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ヒメヒカゲ備忘録
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2008/02/09のBlog

旅行でしばらく留守にします。
十中八九、下痢になるだろうことが一番の心配。
老後の生活資金がまったく貯まっていないという深刻な問題はさておき。



2008/02/04のBlog

↑ウィリアム・ランデイ著『ボストン・シャドウ』の感想の項でつけたタイトルを再び。
テレビで予告CMが流れるたびに早く観たいとわくわくしていました。
実話をベースにしたリドリー・スコット監督作品。


「アメリカン・ギャングスター」(2007年 米)
★★★★★

舞台は1968年から70年代前半のニューヨーク。誰かに使われるアメリカ黒人の地位から抜け出すことを誓い、麻薬の新しいビジネスモデルを築くことで暗黒街のボスにのし上がっていくフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)。腐敗のはびこる警察内で正義の意志を貫き、夜学で司法試験の勉強もしている一匹狼肌のユダヤ系刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)。やがてリッチーが麻薬ルート解明の特別任務を与えられることで、2人の人生が交わる…。


好みの題材、好きな監督、好きなタイプのBGM。贔屓目で観たことは否めないが、クオリティの高いアメリカン・ハードボイルド・ムービーでした。
映画のタイトルは、生粋のアメリカ生まれの犯罪組織という意味だろうか。良いタイトルだと思います。時代背景となっているのは、泥沼化するベトナム戦争であり、キング牧師の暗殺以降に過激さを増すブラック・ナショナリズムであり・・・。映画の中でそれらが具体的に描かれることはなく、伝記風にたんたんと物語が進んでいくだけだが、しかし、ちょっとしたセリフや一瞬の映像に盛り込まれる情報が濃厚なので、いろいろに想像が膨らみます。2時間40分がまったく苦痛ではなかった。面白かったです!
当時のヒット曲を多用した音楽は予想していたほど目立たず。音楽の使い方は去年観た「ゾディアック」のほうが上手かったかな。
追記:そういえばクラブシンガーでアンソニー・ハミルトンが出てた!
これはGoodチョイス!

(以下、ネタバレ)

大金持ちになったフランクが、郊外に買った豪邸にノースカロライナから家族を呼び寄せる場面で、黒人が引っ越して来たことに戸惑う隣人の白人夫婦がちらっと映るところ。または、刑事リッチーがヘロイン供給の大元がフランクと気付いた後も、運転手上がりの黒人にこんな商売ができるわけがない、背景には別の大物(イタリア系とか)がいると考える場面は、サクセスものとして痛快!
しかし、フランクが恋人からプレゼントされたド派手な毛皮を着込み、マジソン・スクエア・ガーデンでのボクシングの試合観戦に出かけてしまったところから彼の人生に陰りが生じる。たった一度でも自分のポリシーを曲げたら足下をすくわれるというのを、簡潔に表していて面白い。また、高価なカーペットを血で汚されて「高かったんだぞ!」と怒りを爆発させる場面では、それまでスマートな男の印象だったフランクも、所詮は悪に手を染めた成り上がりにすぎないことを思い出させてくれる。
フランクの麻薬王としての栄枯盛衰を伝えるエピソードが、ラストシーンも含め、どれもあっさり描かれているだけなのに印象的。本当は安くて純度の高いのヘロインの登場で死者も続出だったわけだが、そうした現実もフラッシュのような映像で登場するのみ。あのシーンは、「キングダム・オブ・ヘブン」のクライマックスで、城壁での戦いを俯瞰で撮影した場面とイメージが重なる。

もう一人の主役、刑事のリッチーはフランクに比べると面白みが少ない。同僚の汚職警官たちからは裏切り者扱い。安月給だけで暮らしているので着ている物もさえない。そのうえ家庭は崩壊している・・・ハードボイルド系小説ではおなじみの主人公キャラなのだけど、もう少しアクの強い部分があってもよかった気がします。暴走タイプでもなく、堅実な捜査を続けるリッチー。実在の人物への配慮もあったのか。

物語を面白くしているのは、なんといっても悪徳刑事のトルーポ(ジョシュ・ブローリン)でしょう! 憎まれっ子の役を一人で引き受けた感じがありました。俗にいう「おいしい役」ってやつです。あまりに分かりやすい悪党ぶりで、物語の展開が読めますが、おかげで娯楽作品としての盛り上がりも十分でした。イタリアンマフィアのドン役をやったアーマンド・アサンテの演技も一癖あって面白かった。フランクの妻役のライマル・ナダルがキュートだった。その他、ほんのワンシーンのために結構名前の知れた俳優が出ていたりして、キャストは申し分なかったです。



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この2日3日、コメントスパム対策に巻き込まれ、Doblogにアクセスできませんでしたが、
問い合わせたらすぐに解除していただきました。
素早い対応ありがとうございます。スタッフ様。
これでまたいらないコメントも復活かもしれないですけどね…。

[ 20:56 ] [ 映画 ]

映画館で先週観た映画。
お嬢さん学校に通う女子高校生と、在日朝鮮人の下っ端ヤクザの恋。
いったん感想を書き上げていたのだけど、嫌な文章になってしまったので削除。でも思い直してポイントだけ。

「風の外側」(2007年 日本)
★★

ストーリーは嫌いじゃない。しかし映画で、特にこのようなボーイ・ミーツ・ガールな映画で主演をはる女優には、このような映画で主演をはるにふさわしい資質を持ち合わせていてほしいと思うわけで、キャスティングが私には致命的だった。
でも、兄貴分ヤクザの北村一輝が、弟分の部屋で見せた一瞬の本気の目つきがやばすぎて、あそこだけでも観た価値はあった。


2008/02/01のBlog

懐かしや、ロバート・レッドフォード主演の映画「コンドル」の原作者による最新作。

『狂犬は眠らない』ジェイムズ・グレイディ著/三川基好訳
(ハヤカワ文庫 2007年邦訳)

それぞれ任務遂行中の過酷な出来事によって、頭がいかれてしまった5人のCIA諜報部員(世代の異なる男4 人と女1人)。彼らが収容されている秘密の精神病院で、栄転目前だった担当医が殺される。誰がなぜ彼を殺したのか、誰が自分たちにその罪をなすりつけようとしているのか。真相を突き止めるために、5人は協力して病院を脱走。しかし、手がかりは少なく、自分たちが投与されていた薬の効き目がいつ切れるのかも油断ならない…。


(少しネタばれ。注意)

頭が正常だったとき、愛する人の命までを犠牲にして入手したメモリの中の情報は、結局は役立てられずに終わった・・・。著者グレイディがこの小説を着想したのは、9.11がきかっけだったと思われる。小説中盤部分のネタばれになるけれど、5匹の狂犬のうちの1匹は、それを事前に防げたかもしれない任務にかかわっていた。そして、一定の成果はあったのだ・・・。この部分だけでも十分にアメリカ批判。しかし、ラストで判明する事実は、それよりもさらにさらに辛辣なジョーク。
がつんときます。

翻訳者の三川基好さんは、この小説のあとがきを推敲した数時間後に亡くなったそう。
本書ではそのあとがきの後に、追悼文が添えられている。原文にできるだけ忠実な翻訳をする人だったという。そのためか、確かにこの小説はところどころ読みづらい。
ゼインはベトナムで、ヘイリーはナイジェリアで、ラッセルはボスニアで、ヴィクターはマレーシアで、エリックはイラクで、5人が精神を病むことになった凄惨な体験が回顧される一方で、実はユーモアもたっぷりな小説なのだけど、それを文面から感じ取るまでには少し時間がかかった。しかし、読み終わる頃には狂犬5匹とも、すっかり愛すべき5人組に変わっており、続きも読みたいと思った。メンバー全員が再集結することはないのだけど・・・。


しかし、このところハヤカワの回し者のような偏った読書をしているなあ。
少し反省。


2008/01/27のBlog

甘い高音ボーカルが個性にもなっている90年代のグループ2組。


After 7の "Kickin' It"

ベイビーフェイスの兄2人とLAリードの従兄弟による七光りボーカルトリオだからアフター7(なわけ、ありません)。92年のアルバム『Takin' My Time』の2曲目に入っているこの「Kickin' It」は、今聴いても心が若やぐ!高揚する! 個人的に忘れられない曲。ダラス・オースティンのプロデュース。
その後の3曲目「Can He Love U Like This」、4曲目の「Truly Something Special」とミディアム・バラードが続いて、5曲目の珠玉のカバー曲メドレー「Baby I'm For Real/Natural High」までの流れもよいわ、よいわ。

Baby I'm For Realはマーヴィン・ゲイの作曲。オリジナルを歌ったジ・オリジナルズのほうももちろんいいし、シェリックのカバーもいいし、誰がやってもそのたびに名曲と改めて思う曲であろうおそらく。しかし、ベイビーフェイスの兄の一人だと思うけど少年のような高音ボイス。声だけではとても30代だったとは思えませぬ。

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そしてもう一組。コーラスワークの完成度ではこちらのほうが格段に上かも。

Mint Conditionの"U Send Me Swingin"

93年のミント・コンディション2枚目のアルバム『From the Mint Factory』から。
少々ジャズ・マナーが入っていて、ゴージャスかつ心が洗われるような美しい歌声! 高音リードボーカルのストークリーをはじめ、メンバー粒揃いという感じがします。特にストークリーがやっぱいいわ!
で、この人たちの面白いところは、天国へ誘うような上品で美しいコーラスに、派手なシンセ使いやドラム・プログラミングという、まったく異質に思えるものを組み合わせ、なかなかに個性的なファンク系サウンドをつくりあげ、自分たちで演奏しているところでしょうか。
もともとはコーラスグループ志向、バンド志向、どっちだったのでしょう。

コーラスだけでも十分に素晴らしいです。そこで、当時はファンキー・チューンを好んで聴いていた気がしますが、あえてバラードの「U Send Me Swingin」を。11曲目のギンギンなロックギターが絡んでくるバラード「So Fine」も壮大です。


2008/01/26のBlog

上のタイトルは気にしないで。惰性で付けてるだけなのだ。
スティーヴ・グロスマンの項のヤン・ハマーつながりで。

Jeff Beckの『Wired』


このアルバムを買った当時は、なんだかものすごくクールでカッコいいと思ったんだけど、その後、数々のクロスオーバー/フュージョンの音の洗礼を受けてきた耳で今改めて聴くと、こんなに直球のクロスオーバー/フュージョンだったっけ?と少々驚いている次第です。でもよく聴いた。

私は僻地育ちなので、幼稚園から中学まで同級生はずっと同じ顔ぶれ。高校進学でいくつかの学校に分かれ、それまで特に親しいわけではなかったサトミちゃんと、毎朝の通学バスが一緒という理由でおしゃべりするようになった。ある日、彼女が「どんな音楽聴いてるの? レコード貸して」というものだから、買って間もないジェフ・ベックのこのアルバムを特に考えもせず貸したのだが、それからずいぶん日がたって返してくれるときに、彼女がニコニコしながらも心配そうな口調でこう言い放ったのだ。
「こんなのを聴いていると病気になっちゃうよ」

その言葉がとても印象に残ってる。そして、彼女がそう思った理由が、私にも理解できる気がした。およそエレクトリックなものは人間に害があると信じていた。


ジェフ・ベックの演奏でいちばん懐かしいのは、この一つ前のアルバム『Blow By Blow』に入っている「哀しみの恋人たち」かも。レコード店でジェフ・ベック・コピー集まで買ってきて、うちにあったアコギ(笑)で頭の部分だけでも真似ようと苦戦した。
直接関係ないけど、ロイ・ブギャナンの「メシアが再び」も好きだった!
ついでにサンタナの「哀愁のヨーロッパ」もね!


2008/01/22のBlog

全世界800万人が涙した大ベストセラーとのキャッチフレーズ、そしてこのライトノベルのような邦題。しかしそれより何より、アフガニスタン生まれの作家による小説という点に引かれます。『カイト・ランナー』として刊行されたものを、映画化(日本では2月公開)に合わせ、改題して文庫化。

『君のためなら千回でも』カーレド・ホッセイニ著/佐藤耕士訳
(ハヤカワepi文庫 2006年邦訳)

1963年にカブール指折りの裕福な家に生まれたパシュトゥーン人のアミールと、翌年その使用人の息子として生まれたハザラ人のハッサン。二人はともに幼くして母親はおらず、同じ乳母の乳を飲み兄弟のように育ったが、アミール12歳の冬の凧合戦の日、二人の仲が変わってしまう出来事が起こる。
以来、大きな罪の意識を背負って生きることになるアミール。それはまだ「世界にその名を知られていない平和なアフガニスタン」の時代。やがてソ連のアフガニスタン侵攻で、アミールは父とともにアメリカに亡命。しかし、凧合戦の年から26年後、パキスタンからの1本の電話によって彼は再び故国へ、タリバンが支配する「絶望の国」アフガニスタンへと旅立つ…。


これは泣くよ! 私でも。文庫上巻の途中からすでに泣く! あとはずっと数ページ読んではぼーっとして、また数ページ読んではぼーっと・・・とても読みやすい文章で、特に後半などはそんなのありえねーという都合のいい展開も多いのだが、いちいち胸が詰まる。
多民族の対立と大国の介入により不毛な戦争が続く国の話だからというのはむしろ二の次だ。もちろんそれはこの物語に欠かすことのできない要素なのだが、「普遍的文学テーマが、まるで精緻な機織り機によって織り込まれたかのように美しく描かれている」(あとがきより)物語だからこそ、全世界で800万冊も売れたのだ。それがとてもよく分かる。

アミールの自ら招いた痛手、ハッサンの子供らしからぬ献身(その背景にある社会的差別)。友情と人間の弱さがもたらす裏切りについて、どこかで読んだ覚えがあると思い立ったのは夏目漱石の小説だ。アミールと父ババが互いに対してもつ思いにも泣ける。そして父の友人であるラヒム・ハーンがアミールたちを思いやるゆえについた最後の嘘と、アミールの前から姿を消した理由・・・なんて繊細な。なんてやさしい人なんだラヒム・ハーン!

アフガニスタンやイスラムのしきたり、風習もとても分かりやすく書かれている。また、タリバン政権下の悲惨な状況もしっかり盛り込みながら、それが小説の硬さになっていないのも素晴らしい。
この作品は映画を見るより先に本を読まないと絶対損!と言い切ってしまおう。

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映画はアフガニスタンでは、民族対立をあおるなどの理由で上映禁止とのこと。その理由ならば致し方ないかもしれない。


2008/01/20のBlog

ハリウッド署勤務、ハリー・ボッシュ刑事シリーズ8作目。

『シティ・オブ・ボーンズ』マイクル・コナリー著/古沢嘉通訳
(ハヤカワ文庫 2002年邦訳)

引退した開業医の飼い犬が、森の中から咥えてきたのは20年前に殺された少年の腕の骨だった。多忙なハリウッド署では、古すぎる事件の捜査に長い日数や人手を割くことをよしとせず、焦らされるボッシュ。さらにその内容をマスコミに流す身内がいて、捜査の矛先が変わるごとに新たな悲劇を生んでいく…。


事件解決とともに、最後の章ではっきりする今作のもう一つのテーマ。その伏線の張り方がうまいです。相棒のエドガーもエドガーなりに頑張っているのに、そのあしらいは気の毒すぎないかと思って読んでいたから、ボッシュの決心には納得。警察の仲間たちにとってもなんとも切ないラスト。
しかし、ボッシュが惚れてしまう女性の傾向は相変わらずだな。真面目に捜査しながら、災いを引き寄せる男といわれることに同情するが、この点だけはそういわれても仕方ない。どうにもならない性(さが)なのでしょうね。

小ネタで面白かったのは、ジャズピアニストのビル・エヴァンスが日本では神扱いされており、エヴァンス専門のラジオチャンネルがいくつもあるように思えるくらい・・・と登場人物に言わせているところ。大げさだけど、日本人がオーソドックスなジャズの良き理解者であることは違いない。

あと、映画やドラマで、アメリカの警官がドーナツを食べるシーンがよくあるような気がするが、あのドーナツは市民からの差し入れで、警官をねぎらうために慣例的に行われているらしいこと。
ドーナツといえば、昨日初めて新宿などで長蛇の列ができているドーナツ屋さんのドーナツを食べたのです。日本の洋菓子にしろ和菓子にしろ、甘くないのが普通になってしまった今日、皆、あのたっぷりコーティングされた砂糖に釣られているだけのような気がするが、どうだろう。