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ヒメヒカゲ備忘録
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2008/07/07のBlog
住宅街。ここに住めている人はそこそこ裕福なのかな。布で作った自動車のカバーが懐かしい感じ。
屋根付きスークへの入り口と思って足を踏み入れたら日用品の店の店内だった…。でも、こんなどこにでもある店も見て回るのが好きなのだ。まあ、ほとんど売っているものが変わらない。屋根がないのでプラスチックがすっかり色あせてる。
プラスチック製品の中で目についたのはこのカゴ。
何に使うものなのか、すぐに判明しました。
高級ホテルの並ぶ川沿いの通り。
ルクソール神殿のすぐ近くにあるこのホテルの建物は、もとは19世紀に国王が避寒用に建てた離宮。
観光用の馬車がいっぱい。不当な金額を要求されることが多い。お金をだまし取られた白人男性が、腹いせに別の馬車の御者のムチを奪い取り、その御者をムチで打ちまくっている現場を目撃。いやーなもの見ちゃった。

食事中。
お菓子を売ってる。面白い三輪車。
ホテル通りにあったポスト。外国人観光客が絵はがきなどを出しても、届かないことがけっこうある。どこかに紛れて行方不明になるんじゃなくて、つまりその、ナニだそうです…。本当だとしたら、たくましいよねエジプト人。
私が後でちょっとくやしい思いをしたのは、アスワンのホテルフロントで両替をごまかされたこと。
2008/07/06のBlog

歌声がエラ・フィッツジェラルドに時にそっくりのクリセット・ミッシェル

Chrisette Micheleの『I Am』


1年前に発売されたデビューアルバム。最初に耳にとまったのは1曲目に入っている“Like A Dream”だったと思うが、技巧に走りすぎていると決めつけてしまったんですよ。エラやビリー・ホリデイを盛んにコピーして歌を練習していたことが、本人がこの2人を大好きと言っているのを知る以前に丸分かりなのだ。
でも、ごめんなさい! 改めてアルバム通して聴いたら印象が変わった。かなり良かったです。瑞々しく、可愛らしく、歌を歌うことの喜びがはじけている。ジャケットのイメージにぴったりでした。このジャケットデザインはいいね。

彼女の歌はソウルフルだけど、かなりポップス寄りの曲を含め、バラエティに富んだ曲が収まっている。こういうのをまとめてネオ・ソウルというのだろうか。歌声に個性があるというのは強い。取っつきであまり好きではないと思うタイプの曲も聴けてしまう。曲をじっくり聴こうという気にさせる。
9曲目の“Golden”から11曲目の“Love Is You”に至るジョン・レジェンド風の曲の流れが好きだ。実際にレジェンドがプロデュースしているのは11曲目だけのようだが。

マイ・フェイバリット曲は10曲目の“Let's Rock”です。バックに入っているサンプリングがもうちょっとなんとかならなかったかと残念な気がするけど、個人的には明るい曲調のほうが個性が出ると思う。なので、1曲目も今となってはお気に入り。




アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作2つ。

『オールド・ディック』L・A・モース著/石田善彦訳
(ハヤカワ文庫 1983年邦訳)

もうすぐ78歳、探偵稼業はとうに引退したつもりのジェイク・スパナーの前に、40年以上前に長期の刑務所暮らしに追いやった元ギャングの大物サル・ピッコルが現れる。誘拐された孫の身代金受け渡しに同行してほしいというのだ。そして、受け渡し当日、老いぼれ2人は何者かに殴られ金を奪われてしまう…。


ハードボイルド小説全盛期の探偵が、今も生き続けていて、相変わらず一匹狼のわびしい暮らしをしていたとしたら……。これが意外と様になっている。そりゃあ少し走っただけで息は切れるし、疲れるのも早い。集中力や視力も衰えてはいるんだろうけど、利点もある。老いぼれが何かを嗅ぎ回ってうろついても、誰も気にとめないこと。何事に対しても達観しているようなところも、年寄りゆえに説得力があるのだ。

ロサンジェルスに住むジェイクは、シャツの胸元をはだけた格好で、毎日何時間も公園のベンチに座り、しなびた体に太陽の光を浴びせる。傷痕のある胸がセクシーだとお世辞を言われなくなって早30年。暇つぶしにペーパーバックの卑猥な三文小説を読んで妄想をかきたててみるが、最後に勃起したのは5年以上前。痛風の気があり、時に不眠症に悩まされる。しかし、そんなことより問題は財政状態。少なくともまだ万引きしたり、キャットフードを食べるところまでは至っていないが、早いところ死なないと無一文になってしまう……。そんなジェイク爺さんのもとに、古なじみが仕事を持ち込んでくるわけです。かつては敵対関係にあったとはいえ、背に腹は代えられない。それに同じ老いぼれが困って助けを求めているのだ。
「クソッ、なんてこった」とつぶやきながらも、過酷な拷問に耐えたり、銃を持った相手から走って逃げ回ったり……。いつ心臓がやられてポックリいっても不思議じゃない状況が、逆にユーモアになってるのがおかしい。作者モースは30代半ばでこの小説を書いているので、実際にジェイクと同世代の人たちが読んでどういう反応をするかは分かりませんが。
介護施設に入れられているジェイクの古い友人の元警官も、いい味を添えていた。そしてラストがまた、老い先短い者らしい決着の付け方というか・・・爽やかだけど、まだまだ因縁の関係が続きそうな予感もあり、ニヤニヤしながら読み終えました。面白かったです。


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『古い骨』アーロン・エルキンズ著/青木久惠訳
(ハヤカワ文庫 1989年邦訳)

北フランス、モン・サン・ミッシェル湾で貝拾いをしていた老人が、潮が満ちるのに気づかず溺れ死ぬ。その老人はレジスタンスの英雄として知られた富豪で、一人で暮らす北フランスの館に、理由も告げずに親族を呼び寄せた矢先の事故だった。そして数日後、遺書の内容で親族がもめるさなか、館の地下室から第二次大戦中のものと思われる人骨が発見される…。


“スケルトン探偵”との異名をもつ人類学者ギデオン・オリヴァー・シリーズの中で、最高傑作といわれる巻。オリヴァーはワシントン大学の教授だが、このシリーズは毎回舞台を変え、観光小説としての楽しみもあるとのこと。
前から人気があるシリーズということは知っていました。骨をもとに推理するというので、もっと見た目からして変わり者の探偵が主人公の、陰鬱な話かと思っていたらまったく違い、コージー・ミステリの味わいもある内容だった。抜群に面白かったのはプロローグ。これはシリーズの中では4作目。とりあえず5作目も読んでみよう。



2008/07/05のBlog

カナダのカルガリーが舞台。笑えるハードボイルド探偵小説。

『揺さぶり』マイク・ハリソン著/棚橋志行訳
(ヴィレッジブックス 2008年邦訳)

私立探偵のエディ・ダンサーは、派手なタトゥーを入れたバイク乗りの男から「銀行をだまして得た金を持ち逃げした相棒を探してほしい」との依頼を受ける。それだけでも迷惑な話なのに、翌日には、その相棒が妻を伴い、まったく同じ依頼をしに訪れる…。


邦題の「揺さぶり」とはそういう意味もあったのか! 恐ろしい! コーラを使ってそんなことができるのも初めて知った。やばすぎ! この小説はある種の人々に読ませては危険! 利用されたら大変です!
でも、楽しい。さまざまな悪党が登場するけれど、義理にあつく愛嬌を忘れない向こう見ずな主人公探偵の性格に引かれ、頼もしい助っ人へと変わっていく者もいる。おバカ系です。続編を大いに期待します。



スウェーデンの人気ミステリ作家最新作。

『タンゴステップ』ヘニング・マンケル著/柳沢由美子訳
(創元推理文庫 2008年邦訳)

若くして舌ガン宣告を受けた警官リンドマンは、その直後に、森の中の一軒家で隠居生活を送っていた先輩警官が何者かに惨殺されたことを新聞記事で知る。病気への不安を、治療に入る前の休暇を使って事件の独自調査に費やすことで紛らわせようとするリンドマンが注目したのは、先輩刑事が常に何かにおびえているように見えたことと、彼の過去に空白の数年間があることだった…。


ヘニング・マンケルのミステリ小説は、人種差別問題とかグローバリズムの弊害などを浮き彫りにするものが多い。本作では、敗戦後のドイツでナチス戦犯が処刑される場面をプロローグにもってきて、現代も形を変えたとはいえ、外国人労働者の増加などによってヨーロッパ中で再び広がりをみせるナチズム思想の根深さを題材としている。
スウェーデンは基本的にはドイツと同じ文化圏下にあり、戦前戦中は東欧諸国と同じくボリシェヴィキへの抵抗からナチスを信奉した人が多かったのですね。実際にドイツへ渡り、親衛隊に志願した者もけっこういたことが、現代のスウェーデン人も知らない事実として小説の中で語られています。架空のネオナチ組織も登場するのだけど、ヒトラーの描いた理想主義が戦後も一度も死に絶えることなく、ごく普通の人々の間で確信的に受け継がれていることとして描かれているのが不気味といえば不気味です。

前作のクルト・ヴァランダー・シリーズ『目くらましの道』が、これまでのシリーズ最高傑作と思える出来だったので、続いて書かれたこの小説はノン・シリーズながらとても期待していました。けれど、本作はマンケルの社会派としての性格が強く出過ぎたのか、ミステリ小説としての面白さはいまいちだったかなあ…。いろいろとバランスが悪いように感じた。
事件と主人公の個人的な思い出の絡ませ方とか、犯人がスウェーデンに居続ける理由付けが、少し強引に思った。また、元警官殺しの動機となった出来事というのが、それまで語られてきた犯人の執念や残忍な殺人方法の割に、あっさり描かれているところ。そして、小説後半に残されたもう一つの殺人事件の真相も、解明されてみれば案外しょぼい動機というか、意外性が少なくて盛り上がりに欠けた。しかし、この娯楽小説としての物足りなさはヘニング・マンケルの良識のなせるところかもしれない。

ヴァランダー・シリーズ読者へのサービスとしては、『目くらましの道』の中で殺される元法務大臣の兄という人物が登場。あと、あとがきにあったけど、マンケルの現在の妻はイングマル・ベルイマンの娘だそう。夫婦そろって有名人なのね。


2008/06/30のBlog
[ 00:21 ] [ 映画 ]

「今夜、列車は走る」を観たときに、アルゼンチンの映画だったらこれが面白いよとすすめられてレンタル。やはり突然職をなくしてしまうおじさんの話。

「ボンボン」(2004年 アルゼンチン)
★★★★☆

初老の男フアン・ビジェガスは、20年もの間まじめに働いてきたガソリンスタンドを、オーナーが代わったとたんクビにされてしまう。再就職先も見つからず、住まいもなくしたフアンは、娘夫婦の家で肩身の狭い日々を送っていた。そんなある日、人助けをしたフアンは、そのお礼として大きな白い犬“ボンボン”をなかば強引に贈られてしまう。家に戻ると案の定、家族の大反対が待っていた。仕方なく、ボンボンを車の助手席に乗せ、あてのない旅に出るフアン…。
(allcinema ONLINEより)


よかったよおー。こういうの、大好き。仕事も家もなくても希望がある! それだけで幸せな気分にさせてくれる映画。「わらしべ長者」を思わせつつ、そうはすんなり事が運ばない。ひねりのきかせ具合が面白かった。

空高く日差しは強いのに、いつも冷たい強風が吹きつけているような荒涼とした大地、パタゴニアの田舎町が舞台。ここも雇用不況が深刻なようで、主人公のフアンが身を寄せる娘夫婦の家も、娘は働いているが夫は失業中。フアンは手作りのナイフを売り歩いて、生計の足しにしようとするが、まったく売れない。このフアンというのが小柄で物静か。いわゆる競争社会の中ではとことん影の薄い男。でも、困っている人は放っておけない性格で、それがきっかけで血統書付きのボンボンをもらい受ける。そして、ボンボンと一緒に行動するようになってからは、周囲がフアンを放っておかなくなり、儲け話を持ちかけてくるようになる。
その変化を、人のいいファンはありのまま受け入れながらも、何か場違いなところにいる落ち着かなさを感じているようにも見える。特にドッグトレーナーとの関係は、見ていてなんだかハラハラした。悪い人じゃないかもしれないけど、フアンとは性格も価値観も違いすぎる。ボンボンもそれを分かっていたのだろうか…。あれはボンボンがひと芝居打ったとしか思えませんが(笑)。ボンボンと再会したときのフアンに笑顔が最高だった。あと、この映画の後味の良さは、クラブ歌手の女性のひとことが大きく影響している。

主人公のフアンをはじめ、出演俳優のほとんどが素人だという。へたをすると犬のボンボンのほうが演技経験があったりしないか。でも、素人劇という感じがまったくないのがすごい。むしろ、物静かでお人好しのフアンをプロの俳優がやっていたら、あざとさのようなものが鼻をつく映画になっていたかもしれない。原題は「EL PERRO(犬)」。


2008/06/29のBlog

面白いと言われて公開終了ぎりぎりに観に行った。
こ、これは……とんだおバカ映画だ(笑)。

「シューテム・アップ」(2007年 米)
★★★★☆

深夜のニューヨーク。銃をもった男に追われる妊婦を目撃した男は、放っておけず助けようとするが、そのまま銃撃戦に巻き込まれる。そして、妊婦は赤ん坊を産み落とした直後に流れ弾に当たって死亡。男はやむをえず赤ん坊を抱え上げ、赤ん坊の命を狙う謎のギャング団から逃亡をはかる…。


いつもはシリアス系の役が多い豪華キャストを揃え、こういう銃撃戦シーンがあったら面白いというの次々と、リアリティ無視でそのままやっちゃった感じが潔くて、痛快! 2万5千発もの銃弾が放たれたらしい。内容は不謹慎なほどに軽いんだけど、とにかくカッコよすぎて笑える。

銃の腕前は100発100中。片手に主食のニンジン、片手におくるみの赤ちゃんを抱えて追ってくる悪に反撃するクライブ・オーウェンが最高にいかす! でも、性格は若干「シリアル・ママ」入ってるかい?(笑) 対するギャング団のボスであるポール・ジアマッティは、元FBIのインテリで、プロファイリングをしたら100発100中を自負。でも、死んだ妊婦の裸のおっぱいに欲情しそうになる変態野郎だったりして。モニカ・ベルッチに関しては、娼婦役というだけで存在感十分でしょう。熟れた豊満な肉体をあらわにして、娼婦にして聖母を演じる。最高にはまり役。

オーウェンの無精髭の生えたたるんだ頬のアップとか、ベルッチの熟れすぎた肉体が、渋い大人の魅力として見えるのは、撮影に香港映画出身の人を使っているせいもあるのでしょうか。他のハリウッド・アクション映画の映像とはひと味違う感じです。そして、大人キャストだけでなく、赤ん坊までもが一癖ありそうな顔つきの赤ちゃんでした。ヘビメタを聴いたり銃を見ると泣き止んで笑う赤ちゃんですからね、ただ可愛いだけではダメなんですよね。

おバカなアクション・コメディとしては「パニッシャー」、渋いキャスティングや音楽使いなどのセンスは「ペイ・バック」を思い出したけど、それらともちょっと違う。監督はミュージックビデオ辺りが出身の若い人だと想像していたけれど、写真で見る限りはそうでもない。