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Joe's Labo
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2008/05/20のBlog
今月の文藝春秋を読んでいて、いろいろな意味で考えさせられた。
特集「世界同時貧困」についてだ。
まず、これを読んで「へえ、そうなんだ、日本も大変だなあ」としか思わなかった人は、
己の昭和的価値観の深さを認識すべきだ。僕が言いたいのはまったく別のこと。
本特集ははからずも、我々の世代が直面する状況を端的にあらわしている。

文藝春秋について説明しておくと、文藝春秋社の“本誌”である月刊誌で、かっちりした
保守系論壇誌である。ちなみに今月の看板特集は「ゼロ戦と戦艦大和」
他にも映画靖国批判など、ゴリゴリのテーマが並んでいる。

で、問題の「世界同時貧困」だ。
なんと、左派系の論者が混じって自論を展開しているではないか。
以下に彼らの主張のダイジェストをまとめてみたい。自民党元総務会長の堀内氏
の「後期高齢者医療制度の批判」は直接関係ないが、オマケでこれもつけてみた。

堀内光雄「老人の負担を増やすとはけしからん」
堤未果「アメリカの医者と教師にはこんなに貧乏な人もいますよ」
富坂聰「中国の貧困層はこんなにひどいんです」
奥野修司「ワーキングプアはこんなに貧乏です」


え?それだけ?と思った人もいるかもしれないが、本当にこれだけ。
要するに、「一体何が原因なのか」「では、どうすべきか」という部分が完全に抜け落ちて
しまっているから、要約すればこれで事足りるのだ。
いや、一応言うには言っているか。要するに「構造改革が悪い」だ。
ただし、論理的な説明は一切無いから、説得力は皆無だが。

僕は上記のようなルポ自体の価値は認めるが、それだけで読者に届くかどうかは疑問だろう。
ある程度段階が進めば、原因と対案を示していかないことには、多数派の支持は
得られないものだ。
もちろん、セーフティネットの充実は主張すべきだろう。
だが、そこから飛躍して、「すべて90年代に戻してしまえ」「これ以上の改革は反対」とくると、
それは本質的には今の格差構造を肯定するに他ならないだろう。


結論を言うと、格差の拡大は規制緩和が非正規雇用のみにおいて行われ、
正社員は相変わらず過保護であること。
支出削減は90年代とそれ以前、こうなることは予測可能だったにも関わらず何も改革しないまま、
ツケを溜めてきた社会全体に責任がある。一言でいえば、戦後日本型のシステムが
にっちもさっちもいかなくなっているわけだ。

それをなんとかして再生し、かつて日本に抜き去られた欧米先進国が復活したように、
平成日本も再生しようと言うのが構造改革であり、新自由主義だのハイエクだのといった話は、
あくまで二次的なものにすぎない。
これは特に、21世紀をしょって経つ我々の世代にとっては死活問題である。
90年代、我々は上の世代の勝ち逃げを許してしまい、後には膨大なツケだけが残されて
しまった。同じ過ちを犯してはならない。
正社員との格差に苦しむ非正規雇用の同世代にとっても、真の格差是正はこれしかないのだ。

ところがだ。当然、それが面白くない連中もいる。
お爺ちゃんはまあいいよ。いきなり保険料引き上げられればカチンとくるだろう。
なにより、保守本流という看板でやってきた人だから、この雑誌で鬱憤ぶちまける資格は
あるだろう。
だが、なぜ左派論者までタッグを組んでいるのか?
別に左派だからダメだと言っている訳ではない。文藝春秋という雑誌で、保守本流の論者と
一緒に主張していることが妙だと言っているのだ。

理由は簡単だ。要するに、どっちも保守派であるということ。
とりあえず逃げ切りたい世代と、既得権を失いたくない集団がガッチリ手を組んでいるわけだ。

新刊にも書いたが、対立軸は左右ではなく、世代間にこそ存在する。
逆に言えば、新しい利益の再分配モデルを作ろうとすれば、左右両勢力を敵に廻しかねない
ということだ。

少なくとも2、30代の人間は、物事の本質を見誤るべきではない。
でないと、必ずどちらかに利用されることになる。それが本紙を手に取った僕の感想だ。
2008/05/19のBlog
5月21日・日経新聞夕刊『ベストセラーの裏側』
登場予定
2008/05/17のBlog
新刊にも登場する会員制ニュースサイトの『MyNewsJapan』

ここで代表の渡邉正裕氏が、先日の朝生について記事を書いているので紹介。
後半部および資料は入会しないと読めないが、無料部分だけでも非常に価値ある
考察となっているので、興味のある人にはオススメしたい。

『激論!新しい貧困とニッポン!』氷河期世代を救い、労働市場を正常化する政策提言

『朝生』出演で見えた討論番組の未来

この記事には、なぜ価値があると言えるのか。
それは、論点を正確に認識した上で、きちんと解決のアプローチまで示しているからだ。
単なる現状レポでもないし、まして必死に論点をすりかえようとする組合的議論でもない。

結局のところ、中高年正社員の既得権にいかに切り込むか。
このテーマに向き合うこと無しに、問題の解決はありえないのだ。
2008/05/15のBlog
[ 13:40 ] [ その他 ]
先日、うちの実家から聞いて衝撃を受けた話。
近所の本屋さんでは、「若者はなぜ3年で辞めるのか」がプチブレイク状態らしい。
しかも「今、売れています」というフリップまでついてるそうな。
大丈夫か山口県民…。二年遅れてるぞ(笑)
(あと、ち○まはもっと営業かけてくれ)

でもまあ、並んでるだけマシな方だろう。
実は、ベストセラーと呼ばれている本の多く(恐らく8割くらい)は、都市部限定で
売れているものだ。首都圏、関西、名古屋とせいぜい福岡くらい。
その他の地域では、そんな本が売れているという事実も知らないまま、時が過ぎていく。
週刊ダイヤも東洋経済も、よほど大きな書店に行かないと普通は置いていない。

これも明治以降、長く続いた中央集権の産んだ副産物だろう。
政治も経済も、お上でよろしくやってくれ、とでも言うような感覚だ。
そして彼らこそ、昭和的な価値観の強固な担い手でもある。
しかもやっかいなことに、人口比で言えば彼らは多数派なのだ。
彼らをなんとか覚醒させないことには、日本は永遠に変わらない。
自分たちがぶら下がっている価値観が「既に崩壊しつつありますよ」ということを
どうにかして知らしめないと、改革なんて百年経っても進むわけがない。
ところが、彼らに一番食い込んでいるメディアが、これまた朝日新聞だったりするから
もうアレだ。

ところで、全国レベルで売れる本もあるにはある。 ~品格とか~壁とか、
ああいう200万部レベルで売れた本がそうで、全国津々浦々で売れないと
ああいった数字にはならない。
ちなみに、うちの実家にはバカの壁がなぜか2冊あった。
「なんで2冊もあるの?」と聞いたところ・・・
「100万部売れた凄い本だって朝日新聞に書いてあったから」 だそうだ(笑)
2008/05/12のBlog
『日本型雇用が生んだ“なんちゃって管理職”』 寄稿

中公最新号に掲載の上記論考について。結構重要なテーマなので、簡単に補足。

いつも言っているように、日本企業の特徴として「賃金の強い下方硬直性」がある。
この点、経営環境に応じて柔軟に見直し可能な職務年俸制などと比べると、
どこかで帳尻を合わさないといけない。
結果、歪んだ形でひたすら効率化を追求することになる。
①残業地獄、“なんちゃって管理職”、ホワイトカラー・エグゼンプション
こういった流れは、上記のような歪みが顕在化したものなのだ。
メンタルトラブルや労災など、各種調査で30代の負担感が増している背景には、
デフレや資源高といったマイナス環境の中、効率の追求がギリギリまで進んでいる
ことが挙げられるだろう。

雇用の流動化には、単に転職機会の増大というだけでなく、こういった歪みを正す
意味もある。

「WEも雇用条件の見直しも、同じ賃下げではないか」なんて組合なんかは
言いそうだが、一つ大きな違いがある。
WEは労基法外すだけだから、極論すれば三連徹だろうが200時間残業だろうが
管理無しに野放しになってしまうリスクがある(というか実際そうなるだろう)。
逆に労働条件の見直しをきちんとルール化すれば、少なくともその部分は防ぐことが
可能だ。
「年齢給部分を2割カットさせてもらうが、きっちり法定基準は遵守しますよ」の方が
ずっと文明的には違いない。いずれにしても無い袖は振れないのだ。


もう一つ、労働条件の流動化には重要な意味がある。
イノベーション・高付加価値などと叫ばれているように、グローバリゼーションの進む
中で、産業全体が体質改善を強く求められている。簡単に言えば、量から質への
転換だ。そしてこれは多くの日本企業が苦手とする部分でもある。
新規事業立ち上げや業務転換といった“質”ではなく、ひたすら①のような形で
“量”を追求してしまうのだから、当然といえば当然。
だいたい、休暇も取らずに毎晩22時まで残業してるような職場環境で
イノベーションなんて出てくるわけ無いのだ。

IT企業はまさにこの泥沼にはまっている感がある。
本来もっとも創造的な事業であるにも関わらず、ひたすら血を垂れ流すことで挽回
しようとし、結果、美味しいところは全部アメリカに持ってかれている。
戦時中の竹槍訓練を笑う人は多いが、本質的には今でもおんなじことやってるわけだ。
大手は下請けを踏み台にして生き残るかもしれないが、今のままだと中小IT企業なんて
そう遠からず滅ぶだろう。

ああ、そういえばこの国は以前、「集中力がつき、夜も眠らずに働ける魔法の薬」なんて
作り出した前科があったっけ(笑) これこそ究極の効率化かもしれない。