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2006/08/03のBlog
[ 16:38 ] [ 貴様庫(小説日誌) ]

とってもブスととってもブ男が恋愛すると、
世間は、それを「妥協」か「舐め合い」であると断定する。
とってもブスがとってもイケメンと恋愛できるわけがない
という前提があって、たまにそういう逆転劇があると
「人間は外見じゃない」という意見を肯定したかのように、
そうあってほしいかのように振舞い賛美する。
だけど、心の底では、「んなわけない」と思っている。
「奇跡に近い」とおもっている。
所詮、身の程は身の程の丈で丸く収まると思っている。

だから、世間はとってもブスととってもブ男が恋愛した場合
それは、妥協の産物であって、本物の恋愛ではないと決め付けている。
たとえ、その恋愛は、真の恋愛であったとしても。

キナコの父と母は、とてつもなく不細工である。
じゃがいも2つである。
ただ、この二人は愛し合っているということをキナコは知っている。
本当に愛して愛して愛してやまなくて結婚したのだろうということを確信している。
だけど、小さい頃などは、よく同級生にからかわれた。
「お前の親は、結婚相手がいない同士でくっついた」とか。
「宇宙人は宇宙人としか結婚できましぇん」とか。

キナコは、反論しなかった。
反論しても意味がないということを知っていたからだ。
「本当に愛しあって二人は結婚したんだといったところでどうなる?」

キナコは、所詮世間はそんなもの。
表層的な部分でしか人は人を見ないのだという想いを一層強くしていった。

じゃがいも2つ。
芋男爵と芋婦人。
不細工夫婦から生まれたキナコ。
しかし、キナコは、成長するにつれ、
どういうわけか見る人の胸をキューンと締め付けるほどの美貌を備えていった。

あらゆる男が言い寄ってきた。
あらゆる男がキナコの美しさを褒め称えてきた。
しかし、キナコは、そのたびに心を閉ざして言った。

所詮世間はそんなもの。
表層的な部分でしか人は人を見ないのだ。

そんなとき、キナコはモチオという男に出会うのである。
モチオは、キナコの周りには存在しないタイプの男であった。
簡単に言うと、モチオは、人の心に土足ではいってくるような男であり、
悪くいえば無神経極まりない男であった。しかし、キナコにはそれが新鮮に見えた。
なぜならば、外見や立場の違いなど二の次で、よく言えばナチュラルに
本音、本質で付き合える男に見えたのだ。

そしてキナコはモチオにつつまれるように生活しだしたのだが、
やはりモチオはどうしようもない男であり、気がつくとすべてをキナコに依存して
モチオは、キナコを自分の1つの道具としてしか見ていないことがわかった。
モチオは、外見や相手の背景を気にしないという良さは持っていたが、所詮は
自己中心的な男であり、自分の気分次第で浮気する男であり、アンコという女
とはよく寝ていた。
キナコは、別れを決意する。
でも、それは、モチオの浮気というよりも、結局は外見の呪縛に囚われているのは
自分自身ではないかと気づいたから。人の見た目、自分の見た目、外見を思考の
軸にしてしまってるがゆえに周りが見えなくなっているのは、自分自身だという
ことに気づいたからだ。

どうしたら自分の本質をわかってくれる?
どうしたら人の本質が見抜ける?

キナコは完全に自分を見失っていた。
家に帰ると、じゃがいも2つ。
じゃかいも2つがたのしそうに笑っている。

キナコは疲れ果てた顔で聞いた。
「ねえ、お母さん。なぜお父さんと結婚したの?
それはお母さんがブスだったから?
お父さんが不細工だから、お似合いだから、
もうどうでもいいから、この人なら低レベルだから、
この人で、いいやと諦めたから、世間体を気にして
結婚ぐらいはしようとおもったから、お父さんなら、
ブスの気持ちがわかるとおもったから、人間なら誰でも言いと思ったから
なの!どうなの!どうしてなの、答えてみてよ!」

気がつくとキナコは髪を振り乱して母親にくってかかっていた。

キナコの父親は、とてつもなく短い足で、かけよって、
キナコの父親は、とてつもなく短い腕で、それを静止しようとした。
じゃがいも1つ。

キナコの母親は、とてつもなくちいさな瞳をうるませて、
ただ、黙ってキナコに揺すぶられていた。
じゃがいも、もう1つ。

キナコとキナコの母親の間に割って入った芋男爵1つ。

キナコは、芋男爵に抱きかかえられた。
しかし、芋男爵の腕は、短く、キナコの細いスレンダーなウエストさえも
おおうことはできなかった。

キナコは立ち尽くした。
キナコは、ビリビリするほど泣きじゃくった。

じゃがいも2つ。
かなしそう。

キナコの母親は、とてつもなくおちょぼ口をふるわせて言った。
「お父さんとは、好きだから結婚したのよ」

キナコは、その極めて稚拙な母親の言葉に逆上して叫んだ。
「そんなの当たり前じゃないの!」

キナコの父親は、とてつもなく中途半端なちょび髭をふるわせて言った。
「お父さんも、好きだから結婚したよ」

キナコは、「だ、か、らああ!」と言いかけて絶句した。

なぜなら、人は、好きだから一緒にいる。
深い意味はなく、ただ、それだけだということに。

そして、好きになるのは、自分自身であり
自分自身の心が決めるということに。

だから、人がどう思おうが、ブスだろうが美人だろうが、
自分が「好き」か「嫌いか」ということだけが真実であり、
本質であるということに。




2006/07/25のBlog
[ 19:43 ] [ 貴様庫(妄想) ]

その男は、強烈な脂性である。
テカヌル。
とくに、鼻の両側面がすごい。
テカヌルヌル。
もともと汗っかきなうえ、気が弱いもんだから、冷や汗もダクダクかく。
ちなみに冷や汗は、通常の汗よりも匂いがキツイ。
足も、とてつもなく臭い。
いつも靴は、
芳醇。
発酵。
微炭酸。

そんなんだから、女にモテたためしがない。
そんな感じだから、引っ込み思案で生きてきた。
そんな引っ込み思案な気弱な男であるのに、
意に反して、体臭は大衆にアピールしまくっている。
そんな人生。

そんな人生のまま、40歳を迎えた。
そして、報われることなく、
そして、報われるどころか、
オヤジ臭さえ手に入れてしまった。
果たして、何重苦の男。
もはや、未来はない。

そう諦めかけていたとき、時代がかわった。
いや、たしかに、ここ数年そういう兆候はあった。
尿素が美肌にいいってな具合で女性が騒ぎ出した頃から。
その流れで、いわゆる汚いと思えるものに、実は人をキレイにする
物質がふくまれるのではないか?と
美容学会では噂になり、定説になり、実際に莫大な費用を投じて研究が行なわれた。
そして、ついに、発明がなされたのである。
それは、中年男性の脂こそ、永遠の美を叶える最高の媚薬になりえるというものであった。
その研究は秘密裏に行なわれ、その研究の総仕上げとして脂性の男獲得が急務となった。

そんな背景はつゆしらず、捕獲された脂性の男。
彼は、実験室に連れて行かれ、三角定規のようなもので、丁寧に1滴残らず
体中の体の脂という脂をこそぎとられた。
そして、そのこそぎ取られた脂は、蜂蜜の瓶36本分にも及んだ。

そして、その脂は、ロイヤルゼリー的な扱いを受けた。
研究者曰く、
「世界5600万人の脂性の男で研究をしたが、あなたの脂が一番素晴らしい!」

ということで、彼の脂をもとに作られた薬は、世界中に発売され、
瞬く間に、世界中で品切れとなった。
おどろくことに、その薬の効果は絶大で、その薬を体の気になる部分に塗るだけで、
痩せるは、美肌になるは、美白になるは、もう、思い通りに美しくなれるのであった。

そうこうしているうちに、週刊誌が、
「なんと、あの噂の媚薬は、東京都在中Yさんの体から採取した脂だった!」
と取り上げられ、その噂は瞬く間に広がり、あっという間に、男は、時の人になったのである。

しかも、
「その媚薬を使うより、じかに、その脂にまみれることで、信じられない効果が得られる!」
という噂が広がったもんだから大変だった。

女が家に殺到したのである。
それは、一般人から、文化人、キャバクラ嬢、女優、歌手、タレント、ミス○○・・・多義に渡った。
そして彼女らは、口々に絶叫したのである。


「一度でいいから、抱いて!」

40年間、一度も女に相手にされず、相手にされないどころか蔑まれてきた男。
それが世界中の女を手にした瞬間である。

男は、家の前を、いや町中を、埋め尽くした女の前に、現れて。
ブリーフ一丁で。
そのさらされた脂ギッシュな体は、太陽光を反射し、隣の家の壁を焼いた。

果たして、男は、そのむらがった女の海に飛び込むのだろうか?

いや、違った。

男は、拡声器で声高らかに云った。

「お前らは、俺が好きなんじゃなくて、俺の脂が好きなんだ。
お前ら女は、いつもそうだ。その男自身じゃなくて、その男をとりまく金であったり、
権力であったり、・・・・ぐぎゃ、ごげ」

そういいかけたとき、
そう格好つけて世の女性を正そうとしたとき、

そのうねるような数の女性が、どどどどどどどどっと押し寄せてきて、
その脂性の男の脂という脂を掃除機やら、バキュームやら、脂取り紙やら、固めるテンプルやら
吸わせるテンプルやらで、根こそぎ吸いつくし、吸い尽くされた男は、カサカサになって踏みつけられて
タックルくらって、ぶっ飛んでいった。

それを路地裏で眺めていた老紳士。
ポケットからしわくちゃのハイライトを出して、ゆっくりとふかした。
「やっぱり、あいつは、女ってものを一つもわかっちゃいねえ・・」
そう、ダンディーにつぶやいた。
内心「決まった!」と思った瞬間、

イテテテテテッ!
その老紳士が叫んだ。

「あんた、早くじゃがいも買ってこいよ!」
こめかみにピップエレキ版を貼った嫁が、耳をひっぱったのである。

「はい!ただ今言ってまいります!」
老紳士は、声を裏返して走っていった。





男は、女のためにいきている。
ただ、それだけでいいじゃないか。
2006/06/01のBlog
[ 18:51 ] [ 貴様庫(妄想) ]

誰にでもやさしい人がいる。
その人は、本当に心底素晴らしい人間なのかもしれない。
だけど、僕は信じない。
僕が、信じるのは優しさを限定する人。
自分だけに優しさを降り注いでくれる人である。
いつ、どんなときでも、自分がどんなに落ちぶれてても。

だから、僕自身も優しさを限定する。
誰にでも、いい顔はしない。
ほんとうの優しさとは、そういうものだと思っているから。
それでこそ、相手に気持ちが伝わると思っているから。

なにも、殻に閉じこもろうということじゃない。
いつもは、ラブ&ピースが最高の生き方だと思っている。
だけど、ほんとうに大切なモノの基準はブレないでいたい。
誰にでも優しい人は、誰の相談にでものる。
誰にでも優しい人は、誰にでも笑顔をふりまく。
誰にでも優しい人が、溺れている人を何人、
2人乗りのボートに乗せることができるというのだ。
あと一人、誰を選ぶというのだ。
善人面して、優しさ振りまいてる奴、好き好き言いまくる奴、
本音を言えよ。本性をさらせよ。
おめえらは、自分が孤独になってしまうのが嫌なだけだろ。
自分が嫌われるのが嫌なだけだろ。

誰にでも優しい人が、悪いわけじゃない。
できることなら、自分もそうなりたいと思っている。
けれど、正直に、こう言って欲しい。
「俺は、誰にでも優しくするよ、だけど最後は自分の大切な人しか
救わないけどね。そこらへん、よろしく」と。

ほんとうの優しさは、その前提から生まれる。
そして、ほんとうの優しさとは、ひけらかすものではなく
さりげないものであると思う。


知らんけど。