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栗ッピング (毬栗日記、棘あります)
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2007/03/24のBlog
好き嫌いはあるかもしれないが、これは今年スクリーンで観ておきたい一作。

映像で臭いを表現するのはとても難しい。この映画は、タイトルはパフュームだが、映画には、香りと悪臭の両方が取り上げられる。

前半は、悪臭の中で人々が蠢き、後半は芳しい香りを求めて殺人が行われる。

物語の焦点が主人公だけにあたりすぎていて、殺されていく女たちに何の感情もいだけず、また忍び寄る死の影のスリルやサスペンスが物足りない。

されど、鼻の動きや表情で香りを表現する様は、不気味だが上手い。

ラストのクライマックスの香り饗宴は、ボティチェリとカラヴァッジオとブリューゲルの絵画が一斉に動き出したようで、圧倒的な演出。香水は、まさに媚薬であり、人間の本能を呼び覚ますもの。食欲も臭いによってかきたてられるしねえ。

死にゆく女性があまり魅力的でないのが残念だが、臭いという人間の本能に作用する点を上手く利用し、主人公を単なる猟奇殺人者と一線を画していて面白い。

栗4つ。
サロンパス・ルーブル丸の内にて。
サロンパス・ルーブル丸の内の客席の頭上にあるシャンデリア。バブル時代にできた映画館らしいねえ。昔は、上下していたのに、最近は色が変わるだけで動かない。
子供向けには違いないのだが、使われている音楽は70年代のものが多く、一緒に来るお父さん世代もターゲットなのかな。

可愛いのは子供時代で成長した後の主人公のペンギンは、ちょっといただけない。アデリー・ペンギンのアミーゴたちの方がコミカルで可愛い。

ミュージカルのような冒険もののような、また環境問題なんか入れてちょっと教育的なところもあり、散漫な印象はあるが、海の中のペンギンたちが泳ぐシーンや氷の洞窟を滑りまくるシーンは、迫力満点。スピード感あふれて楽しめる。南極の氷と青い海の世界も美しく、ロジャー・ディーンの絵画を思い出したりした。

固陋な長老派と若者の対立というのがいかにもステレオタイプ的だけど、子供向けのアニメとしては分かりやすくていいんだろうね。

ペンギンを踊らせたアイデアは成功していると思う。

栗3つ。
丸ノ内プラぜールにて。
2007/03/23のBlog
博物館の剥製や人形たちが夜に動き出すという、少年少女を素晴らしきファンタジーの世界へ連れていってくれると思いきや、平凡以下の想像力に拍子抜けする。まあアイデアも決して新しいものではないのだが、あまりにお粗末なストーリー展開に、結局映像を見せたいだけなのねということが分かる。

正直、実際のニューヨークの自然史博物館は、この映画よりもっともっと楽しい。

唯一最高だったのは、館長役のRicky Gervais(写真)。Ben Stillerより遙かに笑えた。

Mickey Rooney久しぶりに見た。泣ける。

ユナイテッドシネマ豊洲スクリーン10にて。
栗一つ。
2007/03/21のBlog
先月に引き続き、今月も歌舞伎座の通し狂言へ。今月は、「義経千本桜」だ。僕は、「忠臣蔵」よりこっちの方が遙かに好きだなあ。もともとは人形浄瑠璃の三大名作の一つだが、「菅原伝授手習鏡」を含め、三つとも作者が同じ。竹田出雲、三好松洛、並木千柳の合作だ。どれも史実をベースにものすごい想像力の虚構を交え、壮大な物語になっている。

「義経千本桜」、日本人の大好きなヒーロー義経の名が冠されているが中心となるのはその周辺の人々で、とりわけ史実では死んでいたはずの平家の落人が実は生きていたとしたら・・・の後日談が描かれている。結局その生きていた人たちはこの舞台で非業の死を遂げ再び死んでしまうのだが、平家、義経、桜と滅びの美学を頂点まで高めたこの作品は、究極の傑作と言えよう。

序幕 鳥居前
義経と静御前の別れを描く、いきなりクライマックスかのようなシーンだ。形見として静御前に渡される「初音の鼓」は、落語でもお馴染み。どうして狐なのか、この舞台を見ると分かるのね。弁慶がいかにも歌舞伎風だ。(笑) 左団次は、風貌も声も弁慶のイメージ通りだなあ。
今日は、1階の最前列だったので、役者の表情が良く見えた。菊五郎の狐の忠信もいいし、梅玉の義経もはまってた。

二幕 渡海屋 / 大物浦
魚をたくさんあしらった台詞が楽しい船宿の「渡海屋」から、前半最大の見せ場「大物浦」は、ものすごい緊張感だ。特に典侍の局役の藤十郎が素晴らしい。役者が役になりきるとは、こういうことなのだろう。すげえ。
史実では死んでいるはずの平知盛が実は生きていて、義経に仇討ちを試みる。船宿の主人に名前を変えて待ちかまえていた知盛は、最初義経を擁護しているような町人を演じ、実は義経暗殺をたくらんでいるのだが、それは既に義経側に知られていて非業の死を遂げるクライマックスに突き進む。
なんというたくみな物語構成なんだろう。江戸時代の作家の比類無き想像力に圧倒された。

三幕 道行初音の旅
悲劇から一転、桜満開の吉野山が舞台の舞は、これぞ歌舞伎という型と様式美に溢れる。悲劇の後の明るい華やかさは、観客をうっとりした気持ちで帰すのと、続く悲劇への嵐の前の一時の幸福感を与えてくれる。


滅び行くものに美を見いだす日本の真骨頂、続きが楽しみだ。続きは、25日の夜。

義太夫の調べに心打たれている今日この頃、年を取ったのか、潜在的日本人の心に目覚めたのか・・・?
2007/03/18のBlog
喬之助さんの真打昇進に伴って今回が最終回というノスケ。サブタイトルもThe Last Gig。
で、次回は、7月10日だ。(笑)
ノスケ・セカンド・シーズンになるそうで、反則だけど、まあそうなるだろうと思ってたよ。

天どん 「殺し屋確定申告」
本日のゲスト。なんと昨日の喬之助さんの真打昇進パーティーで出演依頼され登場。(笑)
実は殺し屋のおばさんが確定申告にやってくる噺。天どんさんのキャラクターは、なかなか面白いが、噺自体はそれほど意表をつく展開もなくちょっと物足りなかった。

三之助 「蜘蛛籠」
マニアックなまくらも何故か万人受けしてしまう。ネタ卸しのこの噺もとてもいい。すごみのきいたアニキ、気の弱そうな弟分、変な酔っぱらい、踊る変な人、どれも最高に面白いキャラクターになっている。表情豊かな登場人物が生き生きしていて、観ていてとても楽しい。
忙しそうにいろんなことに首を突っ込んでいる三之助さんだが、本業の落語は、確実に仕上げてくる。本当の意味で落語界を背負っていくのは、こういう人なのだろう。

三之助 「長屋の花見」
とにかく明るく楽しく華やか。彼の落語は、温かく観客を包み込む。嫌みのないくすぐりも流石。

喬之助 「子別れ」
二日後に真打になる喬之助さん。二つ目最後の高座は、一番やりたい噺ということでこの噺に。個人的には、「三人無筆」や「持参金」が聴きたかったが、「子別れ」を持ってくる気持ちも分かるなあ。
喬之助のかめちゃんは、とても健気で可愛い。筋も結末も知っているし、何度も聴いている噺なのに、やっぱりウルウルとしてしまう。落語と噺家の持つ魅力のなせる技なのだろう。
2007/03/17のBlog
本日は、千葉県富里市に出没。
富里のあづま医院で開催される「あづま亭富里寄席」の第12回に行ってきた。こちらの落語会、毎回満席で最近は予約しないと入れない。地域に根ざした素晴らしい落語会だ。

今回は、ひな祭り月間の特別企画。出演者は全員女性だ。落語、寄席囃子、寄席文字とバラエティに富んだ企画でものすごく楽しかった。

太田その 寄席囃子 (鳴り物:こみち)
知る人ぞ知る落語界の美人三味線弾き。喜多八師匠の会では、三味線と歌を披露しているが、普段は舞台袖で寄席囃子を弾いている影の功労者だ。
今回は、寄席囃子や出囃子を演奏。楽屋の裏話もまじえ楽しかった。最後に弾いた「たぬき」という歌では、間奏の三味線の早弾きが超絶技巧!プログレシブ・ロックも真っ青だ。
鳴り物と楽しいお喋りでこみちさんが助演。

柳亭こみち 「たらちね」
前座の頃からしっかりとした噺を聴かせてくれたこみちさん。昨年、二つ目に昇進し、さらに堂々とした噺を聴かせてくれた。まくらも楽しく会場を沸かし、ネタもきちんとこなす。女性とか男性とかそういうのを超越して、一噺家として落語を演ずる。並々ならぬ努力が伺えた。

春亭右乃香 寄席文字
寄席文字を目の前で色紙に書き、観客にプレゼント。炭の香りが漂い、これがまたものすごい癒しの効果だ。炭ってこんなにいい香りだったんだと再認識。
寄席文字は、太目に書く。余白をなるべく少なくし、お客さんがたくさん入るようにと縁起をかつぐのだ。寄席文字用の筆、ものすごい太い。「縁」とか「喜」がとても秀逸なデザインだったなあ。

柳亭こみち 「湯屋番」
テンポ良く、本当に楽しい。若旦那、居候先の主人、女の婆などキャラクターも良く演じ分けられていて、それぞれがいい味を出している。
前座の頃から常に前向きで努力しているなあと思っていたが、そういう人は確実に成長する。高座を観る度に確実に大きくなっていくこみちさん、今後がますます楽しみだ。

終演後、打ち上げにも誘っていただいた。帰りもこみちさんと一緒に東京まで帰ってきた。努力し常に前向きな人って輝いているなあ。
2007/03/14のBlog
今日は、とっても盛りだくさんでバラエティに富んだ内容だった。楽しいねえ。秋田から帰京中のはらまーるさんを誘って行った。

小ぞう 「子ほめ」
さん喬師匠の9番目のお弟子さんだそうで。明るく爽やかだった。若々しい、まあ若いんだけど。

時松 「反対俥」
最近、毎回違うネタを見せてくれる。レパートリーが増えて来ているねえ。今日も面白かった。多分、今後もっと良くなるはず。また聴きたい。

金翔 「紙入れ」
まくらもそこそこにすっとネタへ。艶っぽい噺の金翔はとてもいい。困りはてる弱気な主人公の表情もいい感じ。今日は、ちょっとハプニングがあったけど、終始観客を笑わせていた。
ネタの後、金翔・時松で踊りの披露。今年の住吉踊りが楽しみだ。

金時 「花見の仇討ち」
二つ目の時にかけたことがあるそうだが、ものすごく久しぶりの「花見の仇討ち」。落語は、季節感があっていいね。間抜けな登場人物がたくさん出てくるが、どれも表情が面白くまた明るく楽しい。ハッピーな気分になれた。
日本人は、昔から、花見でこんな馬鹿らしいことしていたのか。(笑)

遊雀 「熊の皮」
今日のサプライズ・ゲスト。生の高座は、本当に久しぶり。ラッキー!
いやあ、落語界に帰ってきてくれて良かったよ。やはり、こんな逸材、葬ってはダメ。
今日も、夫婦の爆笑まくらから「熊の皮」へ。観客をいじりながら、場内大爆笑。くしゃみをしたお客さんに「緊張感を持て」には、笑った。
遊雀さんを見ると、僕は、高松しげおを思い出す・・・。

三郎 民謡
柳月三郎さん、初めて拝見した。声もいいし、話も面白い。般若心経三味線には、圧倒された。

金時 「淀五郎」
師匠の歌舞伎シリーズ、いいねえ。今日の噺を聞きながら、昨年の金時さんの「中村仲蔵」も脳味噌の中でフラッシュバックされてきた。先日、歌舞伎座で「仮名手本忠臣蔵」を通しで観てきたばかりだったので、そのことも思い出しながら、相乗効果でとても楽しめた。歌舞伎の舞台の裏話、役者の厳しさ、芸とは奥深いものだと実感。この噺、サゲも秀逸だ。


落語、踊り、民謡・三味線にサプライズ・ゲスト。いやあ、楽しい夜を満喫したよ!
2007/03/13のBlog
[ 23:59 ] [ ドラマ ]
大学の同級生だった友人が演出しているドラマです。お暇だったら観てやってください。

グッジョブ NHK総合
3月26日(月)~30日(金) 23:00~23:30
出演:松下奈緒、徳重聡、水野真紀、平泉成
2007/03/12のBlog
[ 22:00 ] [ いがぐり ]
会社帰り、東京駅の大丸のデパ地下で買い物して、都バスに乗って家へ帰った。そのバスの中での小学校低学年の子3人の会話。

少女A「あたしクラスで嫌いな子が一人いるの」
少年A「僕は、嫌いなやつ二人いるよ」
少年B「僕は、嫌いなやつ三人いるよ」
少女A「あ、待って、待って、あたし嫌いな人四人にするから。三人増やすから・・・」
少年A「誰が嫌い?」
少年B「タが付くやつ」
少年A「タブチ?」
少年B「当たり。どうして分かった?」
少女A「あたしは、あいつが嫌い」
少年B「誰?」
少女A「栗がつくやつ」
少年B「ああ、栗がつくやつね。あいつ嫌だね」

なんか、バスの中ですごく嫌ーな気分になった。
2007/03/11のBlog
金時師匠のお弟子さんである金翔さん、時松さんの兄弟会。お客さんいっぱいで、賑々しい第1回目となった。弟弟子との会ということで、会を引っ張って行こうとする金翔さんが、いつもより頼もしく見えた。まあ、金翔ちゃんは素面であれば、かなり頼れるアニさんなんだろう・・・。(笑)

金翔 「道具屋」
前座の時助時代にもう何度となく聞いた噺。こなれている噺なのに、第1回目ということで緊張してたのかなあ、すごーく汗をかいていた。

時松 「締め込み」
途中の夫婦喧嘩のシーンは、もっとテンポ良くなれば弛みもなく良くなるなあと思った。彼は、表情がよくまたちょっとした仕草も上手い。

時松 「無精床」
綺麗好きでファンション・センスも高い金翔さんと、どちらかというとそういうの気にしないのが時松さんというイメージを勝手に持っている。だから、この噺はとっても合っているなあなんて言ったら叱られそう?
人間の耳を食べたい犬の健気さ(?)が目に浮かんだ。(笑)

金翔 「湯屋番」
多少たどたどしいところがあったが、とても明るく楽しい「湯屋番」だった。テンポも良く、また江戸の道楽若旦那が秀逸。クライマックスの番台での一人芝居も会場は大爆笑で、ネタ選びも大正解と言えよう。
多少オーバーなキャラクター設定がこなれて抑揚が出てくればもっともっと面白くなるはず。これは、ぜひモノにしてもらって、何度でも金翔さんで聴きたい噺だ。今後、楽しみなネタの一つになった。
本日の落語会、キリンビールさんが後援していて、もうすぐ発売の新作「THE GOLD」の試飲缶が観客に配られた。キリンビールは、今年100周年、それを記念しての新発売で、苦みのきいた大人の味。酒好きにはたまらんわ。

実は、先日この新製品の試飲缶を一ケースを会社に送っていただいて、同僚に配ったばかり。いつもいつもありがとうございます。僕からビールをもらった人は、ぜひ発売されたらお店でこの商品を買うように。

もちろん、飲み屋での第一プライオリティーは、キリンビールでお願いね。
オープニング、ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」にのってスクリーンいっぱいに広がるニューヨークの摩天楼。その白と黒の圧倒的なコントラストにいきなり強烈な印象を刻み込む。

夜明けのブルックリン橋のベンチ、プラネタリウムでのデートなど圧倒的に美しくうっとりするようなシーンが満載で惹きつけられる。こういう映画ならではの映像美、これこそが映画なのだ。

ちょっと傲慢で哲学的なアレンの台詞、とうてい全部字幕に表現できていない早口が嫌いな観客もいるだろう。大笑いしたいアレン作品が好きなら、「ブロードウェイのダニーローズ」や「ボギー、俺も男だ」の方が好きという人も多いかもしれない。僕も、そうしたスラップスティックなアレン作品も大好きなのだが、やはりアレンの最高傑作は何と聞かれたら、この映画を薦めたい。

美しい映像の中に描かれる、男と女の大人の駆け引きは、愛情のようでもあり同情のようでもあり妥協のようでもある。その中で、この映画は、ラストシーンで人間の純粋であるもう一つの側面を見せてくれる。マリエル・ヘミングウェイとアレンのラストの台詞のやりとりは、初めて観たときは号泣してしまった。今日も、目頭が熱くなった。とてもシンプルな台詞なのに、涙腺が切れて目が真っ赤になってしまう。最後の二つの台詞。それを聞くためだけにでも、この映画を観てほしい。

人は、自分が誰かを愛していることにはすぐ気づくのに、誰かに愛されていることにはなかなか気づかない、そんな気がした。素敵な映画をありがとう。

栗5つ。
早稲田松竹にて。
70年代を代表する映画。こういう雰囲気の映画たくさんあったねえ。ウディ・アレンの作品の中でも大成功をおさめた一本だ。子供の頃、初めて観た時は、映画の登場人物が、いきなり観客に向かって話しはじめたりしてびっくりしたものだ。時空を越えた登場人物たちの交差も、今思うと、ベルイマンの「野いちご」の影響だねえ。アレンは、ベルイマンの崇拝者だから頷ける。

映画館で並んでいる時の後ろのカップルの会話にいらいらする主人公に、妙に納得。美術館とか行くとこういうことに今も出っくわす。

ダイアン・キートンのデカデカ・ネクタイとダブダブ・ズボンの男装ルックは、当時この映画がきっかけで大流行したそうな。

様々な映画技法が取り入れられ、ウィットに富みかつ危ない会話は、アレンの真骨頂。さすがに今は、若干色褪せた感は否めないが、彼のスタイルを確立させた佳作。

ポール・サイモンやクリストファー・ウォーケンがちらっと出てくるのが懐かしい。

栗4つ。
早稲田松竹にて。超満員だった。今も、アレンは人気があるのか、作品の持つ力なのか・・・。
2007/03/10のBlog
戦争という悲惨な側面を抱えながらも、日本と日本人がまだ美しかった時代の物語。木下恵介は、戦時中にも戦意高揚映画であったはずの「陸軍」の中で反戦を連想させる有名なラストシーンを作ってしまった人物だ。戦後、彼の平和への想いが最高の形で昇華したのがこの作品だろう。

構図、カメラワークの美しさは圧巻で、特に桜の下の電車ごっごのシーンは秀逸。海や山の美しい背景は、まさに自然のセット。もう一つのこの映画の主役と言っていい。

そして何よりも、高峰秀子と子供たちの演技が素晴らしい。日本映画史上最高の演技力を持つ高峰秀子(本当に、この人は、出る映画出る映画、皆違う演技で驚嘆する)は、「浮き雲」とは全く違う、でも戦中・戦後を生きた女の喜びと悲しみを完璧に演じている。子供たちも表情も、本当に自然で、前半は映画でなくまるでドキュメンタリーを観ているかのようだ。

全編を流れる唱歌の旋律は、美しい自然と調和して心の琴線に触れる。

上映の最中、あちこちですすり泣きがおきていた。あの時代を生きた人たちの悲しみは、この映画で描かれている以上のものだと思う。

役者、演出、映像、音楽、全てが完璧な日本映画の珠玉の一編。こんなにも美しく、こんなにも悲しくて、こんなにも幸せな映画は、そうはない。

銀座・東劇にて、デジタルリマスターを鑑賞。
栗5つ。
2007/03/09のBlog
[ 23:10 ] [ 演奏会・バレエ・オペラ ]
世界で一番美しい声を持つ歌姫。僕の中で、これまでもそしてこれからもずっとキリだ。歌手生活40周年を越え、確かに彼女の絶頂期は過ぎている。今回の公演も「日本のファンにお別れを言いにきた」そうだ。

しかし、ステージに現れたキリの姿は、眩いばかりの美しさだった。清楚で上品で、それでいてものすごいオーラを放ち自然界の美しさが結晶したような輝きを持っていた。舞台袖からステージ中央に歩くだけで、そしてピアノの前に立っただけで、それだけでもう美しかった。さりげなく舞台後の客席にも微笑みをふりまいていた。

歌い始めて、もうすぐ歌手生活が終盤にさしかかるなんてまるで嘘のような美しい声にうっとりとしてしまう。スピーカーを通さない生の声は、優しく僕の耳の中でこだまする。

ピアノのジュリアン・レイノルズも美しい旋律でサポートする。後半、ちょっとだけ歌声も披露するサービスもあった。

渋い選曲で馴染みのないものも多かったが、歌の調べ、ピアノの旋律ともに美しく、最後のプッチーニで最高に昇華した。

これが最後なのか。もうキリに会えないのね。それだけが寂しい。僕のディーバ、デイム・キリ。

本当に美しい夜だった。


キリ・テ・カナワ ソプラノ・リサイタル
サントリーホール

ピアノ:ジュリアン・レイノルズ

<曲目>
モーツァルト
・静けさはほほえみ
・クローエに寄す
・ラウラに寄せる夕べの思い
・私の心は喜びにおどる

R.シュトラウス
・夜
・番霊節
・私の思いのすべて
・ツェツィーリエ
・セレナード
・あすの朝
・マルヴェン
・献呈

プーランク
・パリへの旅
・ホテル
・愛の小道

グアスタビーノ 「アルゼンチンの花々」より
・コルタデラ・プルメリト(ススキ)
・白いクラベル・デル・アイレ(ハナアナナス)
・紫のビナグリージョ
・なんて可愛いマドレセルバ(スイカズラ)
・アルハバ、チルコの花(フクシア)

フェッラーリ 歌劇「リスペット」より
・片すみ現れた君を見たとき
・貴方を捨てるなんて、あり得ない

プッチーニ
・太陽と愛
・死とは?

<アンコール>
グアスタビーノ
・薔薇と柳

バーバー 歌劇「ヴァネッサ」より
・冬はもうすぐそこまでやってきているに違いない

プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より
・私のいとしいお父さん
2007/03/08のBlog
[ 22:16 ] [ 日常 ]
会社の窓から見た景色。
何かが爆発したように見えた。
曇天の空の割れ目から夕陽が顔だした。
不気味な美しさがあった。デジカメ写真じゃ、伝わらないなあ。