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2007/01/31のBlog
[ 14:01 ]
[ マクロ・ストラテジー ]
この前、東京で喋ったときのテーマはBRICsの水問題を取り上げました。
今日は何故僕がそのテーマで喋ってみようかな?と考えたか、そのきっかけについて書きます。
あれは確か去年の3月頃だと思うんですけど米国の陸軍大将、バンツ・クラドック(米国南方陸軍担当=アメリカにはジェネラル、つまり大将という位はたくさんあるのですけど、この人は所謂、4つ星の将軍なのでとても偉いです)が上院軍事委員会で証言していて、「最近、中国がラテン・アメリカですごくプレゼンスを上げてきている」という警告を発しました。具体的にはラテン諸国の軍隊に軍事教練を提供したりとかトップ・レベルでの交流を深めたりとかしているそうです。
そこで言及されている国を見ると必ずしも石油とか、プラチナなどの普段私たちが国家安全保障と結びつけて考える資源とはあんまり関係ない国々もリレーションシップ作りの対象になっていたんですね。それで「一体、何で中国はそんなにシャカリキになってラテン・アメリカとの関係を強化しているんだろう?、、、」という疑問が湧いたわけです。
で、僕はそれに対する回答として中国は今後到底食糧の完全自給は出来ないことが関係しているのじゃないかと気付いたわけです。それは中国の農業のせいじゃなくて、そもそも中国の水資源が偏在していることが原因です。プレゼンでも言及しましたが、自給か?輸入か?という命題に関しては既に決着が付いていて、中国は数年前から猛然と穀物を輸入しはじめています。
この新しい国際協調のシナリオ下では:
パラナ川
パラグアイ川
パナマ運河
などの場所がとても需要な意味を持ちます。だから最近話題になっているパナマ運河拡張工事などについても中国はたいへん高い関心を持っています。
僕が口角泡を飛ばしてバラ積み船の株の話をしたりするのはこのためです。
銘柄的には以前紹介したダイアナ・シッピング(DSX)とかクィンタナ・マリタイム(QMAR)とかは未だ抱えていて大丈夫だと思うんです。
個人的には今年ひと銘柄だけ挙げろと言われれば迷わずウルトラぺトラル(ULTR)を選びます。あと太平洋航運(2343)なんかも良いかもね。
PS:それから墓場のダンサーさんのご好意で講演会の後でちょっと有志で集まったのですが、たいへん楽しいひとときを過ごせました。挨拶が遅れましたが出席されたひとりひとりの方に心よりお礼申し上げます。
今日は何故僕がそのテーマで喋ってみようかな?と考えたか、そのきっかけについて書きます。
あれは確か去年の3月頃だと思うんですけど米国の陸軍大将、バンツ・クラドック(米国南方陸軍担当=アメリカにはジェネラル、つまり大将という位はたくさんあるのですけど、この人は所謂、4つ星の将軍なのでとても偉いです)が上院軍事委員会で証言していて、「最近、中国がラテン・アメリカですごくプレゼンスを上げてきている」という警告を発しました。具体的にはラテン諸国の軍隊に軍事教練を提供したりとかトップ・レベルでの交流を深めたりとかしているそうです。
そこで言及されている国を見ると必ずしも石油とか、プラチナなどの普段私たちが国家安全保障と結びつけて考える資源とはあんまり関係ない国々もリレーションシップ作りの対象になっていたんですね。それで「一体、何で中国はそんなにシャカリキになってラテン・アメリカとの関係を強化しているんだろう?、、、」という疑問が湧いたわけです。
で、僕はそれに対する回答として中国は今後到底食糧の完全自給は出来ないことが関係しているのじゃないかと気付いたわけです。それは中国の農業のせいじゃなくて、そもそも中国の水資源が偏在していることが原因です。プレゼンでも言及しましたが、自給か?輸入か?という命題に関しては既に決着が付いていて、中国は数年前から猛然と穀物を輸入しはじめています。
この新しい国際協調のシナリオ下では:
パラナ川
パラグアイ川
パナマ運河
などの場所がとても需要な意味を持ちます。だから最近話題になっているパナマ運河拡張工事などについても中国はたいへん高い関心を持っています。
僕が口角泡を飛ばしてバラ積み船の株の話をしたりするのはこのためです。
銘柄的には以前紹介したダイアナ・シッピング(DSX)とかクィンタナ・マリタイム(QMAR)とかは未だ抱えていて大丈夫だと思うんです。
個人的には今年ひと銘柄だけ挙げろと言われれば迷わずウルトラぺトラル(ULTR)を選びます。あと太平洋航運(2343)なんかも良いかもね。
PS:それから墓場のダンサーさんのご好意で講演会の後でちょっと有志で集まったのですが、たいへん楽しいひとときを過ごせました。挨拶が遅れましたが出席されたひとりひとりの方に心よりお礼申し上げます。
[ 02:02 ]
[ 中国株 ]
今日偶然ウォール・ストリート・ジャーナルとニューヨーク・タイムズの両紙が第一面でバブルの様相を呈してきた中国本土(A株)の株式市場のことを報じています。
自分の住処を抵当に入れて相場を張る人とか、クレジット・カードで証券融資を融通する業者が出てきたエピソードとかが紹介されています。
僕の経験ではそういうアホな相場の張り方をする人が出てくると必ず後で怪我する人が出てくる、、、。ただ、何時マーケットが天井を打つか?というタイミングは誰にもわからない気がします。
* * *
強調すべきはA株市場と香港のH株やレッドチップは同じ市場では無いという点です。
実際、本土の人は香港市場のことを「海外市場」という風に呼ぶ場合もあります。
中国本土の人は(大部分の場合)海外市場へのアクセスはありません。だから割高なA株市場(平均PERは30倍を超えています)でプレイせざるを得ないわけです。
一方、H株など香港で取引されている中国株の平均PERは11倍程度です。
ついでに言うとA株は大半がボロ株です。そういう劣悪な株だけしか国内投資家は買えないということはとっても気の毒なことだと思います。しかもそれを高いヴァリュエーションで買わされている、、、。
* * *
僕はいろんな雑誌とかで取材された場合、「中国株は未だバブルでは無い」と答えています。但し、それはあくまでも我々日本人が普段投資するH株とかレッドチップのことに言及しているわけです。
A株は流通玉が少ない上に国内の金余りという要因があるし、ソフィスティケートされていない投資家ばかりがマーケットを形成しています。アジアKABUの平田さん流の言い方をすれば「鉄火場的な」マーケットになっているわけ。
最近、日本の中国株の「専門家」達も上海や深セン市場の動向を手がかりに投資の戦略を語る人が多いようですけど、そういう鉄火場で起こっていることを参考にまともなマーケット(H株など)の投資戦略をくれぐれも練らないで下さい。
よそ見は事故のもとです。
自分の住処を抵当に入れて相場を張る人とか、クレジット・カードで証券融資を融通する業者が出てきたエピソードとかが紹介されています。
僕の経験ではそういうアホな相場の張り方をする人が出てくると必ず後で怪我する人が出てくる、、、。ただ、何時マーケットが天井を打つか?というタイミングは誰にもわからない気がします。
* * *
強調すべきはA株市場と香港のH株やレッドチップは同じ市場では無いという点です。
実際、本土の人は香港市場のことを「海外市場」という風に呼ぶ場合もあります。
中国本土の人は(大部分の場合)海外市場へのアクセスはありません。だから割高なA株市場(平均PERは30倍を超えています)でプレイせざるを得ないわけです。
一方、H株など香港で取引されている中国株の平均PERは11倍程度です。
ついでに言うとA株は大半がボロ株です。そういう劣悪な株だけしか国内投資家は買えないということはとっても気の毒なことだと思います。しかもそれを高いヴァリュエーションで買わされている、、、。
* * *
僕はいろんな雑誌とかで取材された場合、「中国株は未だバブルでは無い」と答えています。但し、それはあくまでも我々日本人が普段投資するH株とかレッドチップのことに言及しているわけです。
A株は流通玉が少ない上に国内の金余りという要因があるし、ソフィスティケートされていない投資家ばかりがマーケットを形成しています。アジアKABUの平田さん流の言い方をすれば「鉄火場的な」マーケットになっているわけ。
最近、日本の中国株の「専門家」達も上海や深セン市場の動向を手がかりに投資の戦略を語る人が多いようですけど、そういう鉄火場で起こっていることを参考にまともなマーケット(H株など)の投資戦略をくれぐれも練らないで下さい。
よそ見は事故のもとです。
2007/01/29のBlog
[ 08:47 ]
[ 相場のテクニック ]
この前日本に行ったとき某ネット証券の担当者の方とお喋りしていて新しい事を学びました。
それは(少なくともそのネット証券では)外国株を購入するとき、信用口座ではなく、キャッシュ(現物)取引でしか買えないということです。
う~ん。これだと個人投資家にとっていろいろ制約が出ますね。
先ずレバレッジを効かせられないので日本株より建て玉を余り建てられないということ。
(まあ、BRICsの株などは荒っぽい値動きの株が多いのでむしろレバレッジは効かせない方が良いのかもしれませんが、、、。)
ただ困るのは空売り(ショート)も出来ないわけですから下げ相場に対処するには買い持ちになっているポジションを処分するほか無いわけです。
これらの事から:
①レバレッジが効かせられる方法は無いか?
②下げ相場で儲けられる方法は無いか?
という2つの工夫について考えてみることにしました。
①レバレッジを効かせられる方法は無いか?についてはETFに指数が1上昇すると株価が2上昇(つまり200%)する商品があります。ProSharesが出している:
Ultra Dow 30 (DDM)
Ultra S&P 500 (SSO)
Ultra QQQ (QLD)
です。因みにQQQというのはナスダック100指数のことです。
②下げ相場で儲けられる方法は無いか?については指数が1下がると株価が2上昇する(つまりマイナス200%)商品もあります。ProSharesが出している:
Ultra Short Dow 30 (DXD)
Ultra Short S&P 500 (SDS)
Ultra Short QQQ (QID)
です。つまり目先米国の相場が下がると思えば、例えばUltra Short QQQ (QID)を買えば良いわけです。
それは(少なくともそのネット証券では)外国株を購入するとき、信用口座ではなく、キャッシュ(現物)取引でしか買えないということです。
う~ん。これだと個人投資家にとっていろいろ制約が出ますね。
先ずレバレッジを効かせられないので日本株より建て玉を余り建てられないということ。
(まあ、BRICsの株などは荒っぽい値動きの株が多いのでむしろレバレッジは効かせない方が良いのかもしれませんが、、、。)
ただ困るのは空売り(ショート)も出来ないわけですから下げ相場に対処するには買い持ちになっているポジションを処分するほか無いわけです。
これらの事から:
①レバレッジが効かせられる方法は無いか?
②下げ相場で儲けられる方法は無いか?
という2つの工夫について考えてみることにしました。
①レバレッジを効かせられる方法は無いか?についてはETFに指数が1上昇すると株価が2上昇(つまり200%)する商品があります。ProSharesが出している:
Ultra Dow 30 (DDM)
Ultra S&P 500 (SSO)
Ultra QQQ (QLD)
です。因みにQQQというのはナスダック100指数のことです。
②下げ相場で儲けられる方法は無いか?については指数が1下がると株価が2上昇する(つまりマイナス200%)商品もあります。ProSharesが出している:
Ultra Short Dow 30 (DXD)
Ultra Short S&P 500 (SDS)
Ultra Short QQQ (QID)
です。つまり目先米国の相場が下がると思えば、例えばUltra Short QQQ (QID)を買えば良いわけです。
2007/01/28のBlog
[ 16:25 ]
[ 資源 ]
前回の記事でメキシコのカンタレル油田の生産量が落ち込み始めていることについて書きました。カンタレル油田は世界で2番目に大きい大型油田です。
そこで今日は先ず世界の大型油田の状況を整理してみます。
ガーワー(サウジアラビア) 日産450万バレル →多分ピークを過ぎた
カンタレル(メキシコ) 日産200万バレル →但し12月は150万バレルまで落ちた
ブルガン(クウェート) 日産170万バレル →ピークを過ぎた
大慶(中国) 日産100万バレル →ピークを過ぎた
今後、上の4つの油田に匹敵するような大型の油田が発見される確率はきわめて低いと思います。因みに2~30年に一回くらいの頻度で発見されている「大型油田」は日産25万バレル程度です。
すると新しい油田を発見することではなく、今ある油田の生産をいかに維持するか?が重要になってくるわけです。最新技術を駆使することで一度ピークを過ぎた油田の生産量がまた増えるという例は過去にもあります。実際、1990年頃から釣瓶落としに下落したロシアの原油生産は近年戻ってきたし、カンタレル油田自体もペソ危機の前後には一旦日産90万バレルくらいまで落ち込んでいたのをまた200万バレルまで戻した実績があります。ただ、カンタレルの場合、既に窒素注入などの圧力維持手法をいろいろ実行しているので、お手軽に目先の生産量を増やす方便は既に手を尽くしていると想像されます。
そこで今日は先ず世界の大型油田の状況を整理してみます。
ガーワー(サウジアラビア) 日産450万バレル →多分ピークを過ぎた
カンタレル(メキシコ) 日産200万バレル →但し12月は150万バレルまで落ちた
ブルガン(クウェート) 日産170万バレル →ピークを過ぎた
大慶(中国) 日産100万バレル →ピークを過ぎた
今後、上の4つの油田に匹敵するような大型の油田が発見される確率はきわめて低いと思います。因みに2~30年に一回くらいの頻度で発見されている「大型油田」は日産25万バレル程度です。
すると新しい油田を発見することではなく、今ある油田の生産をいかに維持するか?が重要になってくるわけです。最新技術を駆使することで一度ピークを過ぎた油田の生産量がまた増えるという例は過去にもあります。実際、1990年頃から釣瓶落としに下落したロシアの原油生産は近年戻ってきたし、カンタレル油田自体もペソ危機の前後には一旦日産90万バレルくらいまで落ち込んでいたのをまた200万バレルまで戻した実績があります。ただ、カンタレルの場合、既に窒素注入などの圧力維持手法をいろいろ実行しているので、お手軽に目先の生産量を増やす方便は既に手を尽くしていると想像されます。
2007/01/27のBlog
[ 16:43 ]
[ 資源 ]
[関連したBlog]
以前に「カンタレル油田が何だか怪しい」と書いたときにはちょっとタイミングが早すぎました。しかし週末のWSJの記事によるとメキシコ政府が金曜日に同国の石油生産の公式統計を発表、カンタレル油田の生産量が落ち込んでいることが確認されています。
この記事によると12月のカンタレルの生産量は150万バレルで、2006年1月の199万バレルより約50万バレル、▼24.6%の減少となりました。
なお、カンタレル油田は世界で二番目に大きい油田です。
* * *
ところで「お役所仕事」の色彩が強いぺメックスのやり方を見ていて僕が感じるのは「ベネズエラとか、大丈夫かな?」ということ。資源のビジネスは石油に限らず何でもそうですが、生産してお金を得た後はその一部を新たな埋蔵量を確保するために本業に再投資すべきものです。別の言い方をすればリザーブ・リプレースメントで100%以上を保てる努力をすべきということ。このためには歯を喰いしばって探索や油井に対する投資を継続する必要があるのです。しかしチャべス大統領とかはそういう長期での投資を疎かにして、国民の歓心を買うばらまき政策をしたり、キューバにお金を贈ったりしている。キューバの医療システムを援助するなどの人道的政策が悪いとは言いません。何事も程度問題。ベネズエラがアメリカにとって如何に重要かはトラックバック記事に添付したパイ・チャートを参照下さい。
以前に「カンタレル油田が何だか怪しい」と書いたときにはちょっとタイミングが早すぎました。しかし週末のWSJの記事によるとメキシコ政府が金曜日に同国の石油生産の公式統計を発表、カンタレル油田の生産量が落ち込んでいることが確認されています。
この記事によると12月のカンタレルの生産量は150万バレルで、2006年1月の199万バレルより約50万バレル、▼24.6%の減少となりました。
なお、カンタレル油田は世界で二番目に大きい油田です。
* * *
ところで「お役所仕事」の色彩が強いぺメックスのやり方を見ていて僕が感じるのは「ベネズエラとか、大丈夫かな?」ということ。資源のビジネスは石油に限らず何でもそうですが、生産してお金を得た後はその一部を新たな埋蔵量を確保するために本業に再投資すべきものです。別の言い方をすればリザーブ・リプレースメントで100%以上を保てる努力をすべきということ。このためには歯を喰いしばって探索や油井に対する投資を継続する必要があるのです。しかしチャべス大統領とかはそういう長期での投資を疎かにして、国民の歓心を買うばらまき政策をしたり、キューバにお金を贈ったりしている。キューバの医療システムを援助するなどの人道的政策が悪いとは言いません。何事も程度問題。ベネズエラがアメリカにとって如何に重要かはトラックバック記事に添付したパイ・チャートを参照下さい。
[ 15:23 ]
[ アメリカ株 ]
[関連したBlog]
映画『ボビー』が近く日本でも封切られるそうですね。
よく映画は世相を映すなんて言われますけど、今、アメリカ人の心の中に起こっている心境の変化を知りたいなら、この『ボビー』を観ると良いと思います。
この映画は1968年に選挙運動中に凶弾に倒れたロバート・ケネディーを巡るエピソードです。尤もこの映画の本当の主人公はたまたまケネディー暗殺の現場に居合わせた普通の庶民達です。彼らや彼女達がいろいろな隔絶(例えば黒人とメキシコ人の問題、ベトナム戦争の徴兵を免れるために即席の結婚式を企てるカップルとそれを容認できない親達、etc.)をなんとか乗り越えようとする、そういう日々の営みを中心に描かれています。
なぜ僕がこの映画の話をここで持ち出すかというと、今、アメリカでは2008年の大統領選挙戦への準備が始まっていて候補者が名乗りを上げている最中だからです。で、民主党の最有力候補はヒラリー・クリントンなんですけど、僕は彼女の緒戦の運び方はあまり成功していないと思うのです。以前のブログ(上のトラックバック参照)にも書きましたけどヒラリーに対しては熱烈に支援する有権者と徹底的に嫌う有権者がきれいに分かれているんです。これを英語で言えばdivisive(意見が分かれる、物議を醸し出す)と言えます。
通常なら別にdivisiveでも構わないと僕は思います。でも現在のブッシュ政権がとても強権的な政権でdivisiveだったのでアメリカの国民は心底辟易しているんです。ヒラリーと同じ民主党の候補で彗星のように現れたバラク・オバマ候補はそういう国民の心の動きを捉えて「今のアメリカが駄目なんじゃない、今のアメリカの政治家の器が余りにも小さくなってしまったことが問題なんだ。派閥抗争に明け暮れている場合じゃない。」という意味のメッセージを打ち出しています。つまりアメリカ人全体の心をひとつにまとめる力に自分は成れると言っているわけです。これは映画『ボビー』で多くの登場人物(それにしてもこの映画、大女優、有名俳優、今売れっ子の若手などがウヨウヨ出てくる、、、例えばデミ・ムーア、シャロン・ストーン、アンソニー・ホプキンス、リンジー・ローハン、イライジャ・ウッドなど)がそれぞれの隔絶を乗り越えようとしている姿と妙にダブっているんですね。勿論、映画ではそれらをひとつにまとめる中心になるのがロバート・ケネディーというわけですけど、そこに今のアメリカ人が渇望する浪漫が託されているわけです。
そういう訳で僕はヒラリーの出馬宣言を聞いた瞬間、「あ~あ、こりゃアカン!」と嘆息が出ました。彼女は開口一番「I'm in to win.」と言ったわけです。日本語にすれば「私は出馬する。出馬するからには勝つ!」というわけですけど、フロイド的な深層心理としては「オバマ候補では経験が無いので共和党候補と一騎打ちしたら勝てないわよ。私に任せなさい。」という自分のプレゼンスの大きさを暗に仄めかす言い回しなわけです。これはアメリカ人なら誰でも嗅ぎ取れるニュアンスだとおもいます。しかし、そういう風に民主党内での勝ち負け、或いは共和党と民主党とのせめぎあい、、、、という構図でしか物事を考えられないという点でヒラリーは民心を上手く汲めていないし、もうその時点でカリスマ的なオバマ候補に負けてしまっている。繰り返して言えば、今、アメリカ人が見たいのは「夢」なのです。そして未知のヒーローにさっと体を攫われてしまいたい、、、そう考えているわけです。
イラクの増員問題は長引くでしょうし、増員しても何の解決にもならないと思います。そう判った後で今回の決定を下した人達(その中にはブッシュ政権だけでなく最初に戦争を支持したヒラリーも含まれて居ます)が腐心しなければいけないのは「いかに体面を保ちながら兵を引くか?」ということです。正しくフレッド・アイクルの『Every war must end』で示されたシナリオと同じ展開ですね。
* * *
(このエントリーとは何の関係も無いけど映画中のデミ・ムーア演ずる落ち目のクラブ・シンガーは僕の義理の妹となんかそっくり。鏡台の前でいかにもかったるそうに髪の毛を梳かす仕草とか余りに似ているのでびっくりしてしまった、、、。)
映画『ボビー』が近く日本でも封切られるそうですね。
よく映画は世相を映すなんて言われますけど、今、アメリカ人の心の中に起こっている心境の変化を知りたいなら、この『ボビー』を観ると良いと思います。
この映画は1968年に選挙運動中に凶弾に倒れたロバート・ケネディーを巡るエピソードです。尤もこの映画の本当の主人公はたまたまケネディー暗殺の現場に居合わせた普通の庶民達です。彼らや彼女達がいろいろな隔絶(例えば黒人とメキシコ人の問題、ベトナム戦争の徴兵を免れるために即席の結婚式を企てるカップルとそれを容認できない親達、etc.)をなんとか乗り越えようとする、そういう日々の営みを中心に描かれています。
なぜ僕がこの映画の話をここで持ち出すかというと、今、アメリカでは2008年の大統領選挙戦への準備が始まっていて候補者が名乗りを上げている最中だからです。で、民主党の最有力候補はヒラリー・クリントンなんですけど、僕は彼女の緒戦の運び方はあまり成功していないと思うのです。以前のブログ(上のトラックバック参照)にも書きましたけどヒラリーに対しては熱烈に支援する有権者と徹底的に嫌う有権者がきれいに分かれているんです。これを英語で言えばdivisive(意見が分かれる、物議を醸し出す)と言えます。
通常なら別にdivisiveでも構わないと僕は思います。でも現在のブッシュ政権がとても強権的な政権でdivisiveだったのでアメリカの国民は心底辟易しているんです。ヒラリーと同じ民主党の候補で彗星のように現れたバラク・オバマ候補はそういう国民の心の動きを捉えて「今のアメリカが駄目なんじゃない、今のアメリカの政治家の器が余りにも小さくなってしまったことが問題なんだ。派閥抗争に明け暮れている場合じゃない。」という意味のメッセージを打ち出しています。つまりアメリカ人全体の心をひとつにまとめる力に自分は成れると言っているわけです。これは映画『ボビー』で多くの登場人物(それにしてもこの映画、大女優、有名俳優、今売れっ子の若手などがウヨウヨ出てくる、、、例えばデミ・ムーア、シャロン・ストーン、アンソニー・ホプキンス、リンジー・ローハン、イライジャ・ウッドなど)がそれぞれの隔絶を乗り越えようとしている姿と妙にダブっているんですね。勿論、映画ではそれらをひとつにまとめる中心になるのがロバート・ケネディーというわけですけど、そこに今のアメリカ人が渇望する浪漫が託されているわけです。
そういう訳で僕はヒラリーの出馬宣言を聞いた瞬間、「あ~あ、こりゃアカン!」と嘆息が出ました。彼女は開口一番「I'm in to win.」と言ったわけです。日本語にすれば「私は出馬する。出馬するからには勝つ!」というわけですけど、フロイド的な深層心理としては「オバマ候補では経験が無いので共和党候補と一騎打ちしたら勝てないわよ。私に任せなさい。」という自分のプレゼンスの大きさを暗に仄めかす言い回しなわけです。これはアメリカ人なら誰でも嗅ぎ取れるニュアンスだとおもいます。しかし、そういう風に民主党内での勝ち負け、或いは共和党と民主党とのせめぎあい、、、、という構図でしか物事を考えられないという点でヒラリーは民心を上手く汲めていないし、もうその時点でカリスマ的なオバマ候補に負けてしまっている。繰り返して言えば、今、アメリカ人が見たいのは「夢」なのです。そして未知のヒーローにさっと体を攫われてしまいたい、、、そう考えているわけです。
イラクの増員問題は長引くでしょうし、増員しても何の解決にもならないと思います。そう判った後で今回の決定を下した人達(その中にはブッシュ政権だけでなく最初に戦争を支持したヒラリーも含まれて居ます)が腐心しなければいけないのは「いかに体面を保ちながら兵を引くか?」ということです。正しくフレッド・アイクルの『Every war must end』で示されたシナリオと同じ展開ですね。
* * *
(このエントリーとは何の関係も無いけど映画中のデミ・ムーア演ずる落ち目のクラブ・シンガーは僕の義理の妹となんかそっくり。鏡台の前でいかにもかったるそうに髪の毛を梳かす仕草とか余りに似ているのでびっくりしてしまった、、、。)
[ 02:52 ]
[ 中国株 ]
中国株ADR市場に近く重要な銘柄が加わります。バイオテクノロジーの会社、スリー・エス・バイオ(3SBio、三生制葯、ティッカーSSRX)です。
同社は中国の本格的なバイオテクノロジーの企業としては最初のIPOとなります。
発行条件:
今回発行ADR数: 770万ADR
ADR:普通株レシオ: 1:7
ディール後発行済み株数(ADRベース):2140万ADR
初値レンジ:$12~14
初値レンジ上限での予想時価総額:3億ドル
幹事:UBS、CIBC、パシフィック・グロース
同社は1993年の創業で過去3年利益を出しています。因みに過去3年の売り上げ成長率は年率18%です。
同社の主力製品はEPIAO(イーパイオ/益比奥)で、アムジェンやキリンのEPOと類似した、腎性貧血症患者に対する赤血球増殖剤です。これまで中国市場ではキリンが強かったのですが、ここ3年くらいの間に3SBioがキリンを追い越し、現在は36%の市場占有率を取り、No.1になっています。EPOの市場は世界的に見てもバイオテクノロジー企業にとって大変大きい市場であり、世界全体での市場のパイは100億ドルにものぼります。現在、3SBioのEPIAOは肝臓障害、キモセラピー、手術後の赤血球補給の3つの用途に対して使用が承認されています。
次の製品がTPIAO(ティーパイオ/特比奧)で、TPOと類似した薬です。3SBioは中国に於けるTPIAOの販売で5年間の独占ライセンスを付与されています。
同社は上記の2つの薬を含めて全部で6つの製品を販売中もしくは開発中です。この事業規模のバイオテクノロジーの企業としては十分なパイプラインを擁していると言えると思います。また、そのうちの4つが自社開発で、R&DのヘッドがHGSIやバイエルのポストを歴任した経験豊かな人であること、などから考えて同社のR&D部門はちゃんとしていると思います。
中国の薬品市場は世界で最も急成長している市場で、過去10年のCAGR(年間成長率)は15%でした。2005年の時点での市場規模は120億ドルで、これが2010年までには2倍の240億ドルへと成長すると見込まれています。その時点では世界第5位の規模になると思われます。中国の薬品市場がGDP成長より早いペースで成長する理由としては、①高齢化が進んでいること、②購買力の成長、③健康保険の浸透、などが挙げられます。
また、中国の薬品市場の特徴として薬品の90%が病院で処方される点です。従って医薬品のセールスは病院に対するセールスが主となります。3SBioの場合、143人のセールスマンを抱えるとともに約80社のディストリビューターと契約しています。このように営業部門がしっかりしている点も同社の特徴です。
さらに生産設備もCGMPの認証を得た中国で最高品質の工場を持っています。
このように同社は「中国のアムジェン」に将来育ってゆくべき必要要件を全て満たした企業だと思います。今後も折にふれて言及してゆくことになると思いますが、とりあえずはアフター・マーケットですぐに買いに行くべき株でしょう。ナスダック上場は2月前半だと思います。
同社は中国の本格的なバイオテクノロジーの企業としては最初のIPOとなります。
発行条件:
今回発行ADR数: 770万ADR
ADR:普通株レシオ: 1:7
ディール後発行済み株数(ADRベース):2140万ADR
初値レンジ:$12~14
初値レンジ上限での予想時価総額:3億ドル
幹事:UBS、CIBC、パシフィック・グロース
同社は1993年の創業で過去3年利益を出しています。因みに過去3年の売り上げ成長率は年率18%です。
同社の主力製品はEPIAO(イーパイオ/益比奥)で、アムジェンやキリンのEPOと類似した、腎性貧血症患者に対する赤血球増殖剤です。これまで中国市場ではキリンが強かったのですが、ここ3年くらいの間に3SBioがキリンを追い越し、現在は36%の市場占有率を取り、No.1になっています。EPOの市場は世界的に見てもバイオテクノロジー企業にとって大変大きい市場であり、世界全体での市場のパイは100億ドルにものぼります。現在、3SBioのEPIAOは肝臓障害、キモセラピー、手術後の赤血球補給の3つの用途に対して使用が承認されています。
次の製品がTPIAO(ティーパイオ/特比奧)で、TPOと類似した薬です。3SBioは中国に於けるTPIAOの販売で5年間の独占ライセンスを付与されています。
同社は上記の2つの薬を含めて全部で6つの製品を販売中もしくは開発中です。この事業規模のバイオテクノロジーの企業としては十分なパイプラインを擁していると言えると思います。また、そのうちの4つが自社開発で、R&DのヘッドがHGSIやバイエルのポストを歴任した経験豊かな人であること、などから考えて同社のR&D部門はちゃんとしていると思います。
中国の薬品市場は世界で最も急成長している市場で、過去10年のCAGR(年間成長率)は15%でした。2005年の時点での市場規模は120億ドルで、これが2010年までには2倍の240億ドルへと成長すると見込まれています。その時点では世界第5位の規模になると思われます。中国の薬品市場がGDP成長より早いペースで成長する理由としては、①高齢化が進んでいること、②購買力の成長、③健康保険の浸透、などが挙げられます。
また、中国の薬品市場の特徴として薬品の90%が病院で処方される点です。従って医薬品のセールスは病院に対するセールスが主となります。3SBioの場合、143人のセールスマンを抱えるとともに約80社のディストリビューターと契約しています。このように営業部門がしっかりしている点も同社の特徴です。
さらに生産設備もCGMPの認証を得た中国で最高品質の工場を持っています。
このように同社は「中国のアムジェン」に将来育ってゆくべき必要要件を全て満たした企業だと思います。今後も折にふれて言及してゆくことになると思いますが、とりあえずはアフター・マーケットですぐに買いに行くべき株でしょう。ナスダック上場は2月前半だと思います。
2007/01/24のBlog
[ 10:26 ]
[ 環境 ]
いまブッシュ大統領の一般教書演説を聴きながらこれを書いています。
注目されたエネルギー政策に関する大統領のプロポーザルの要旨は:
向こう10年間の間に米国内でのガソリンの消費量を今より20%削減する
というものです。
この実現の為の具体的な施策として:
①2017年までにリニューアブルならびに代替エネルギーにより350億ガロンのガソリンに相当するエネルギーを使用することを義務付ける
→これは既存の、2012年までの目標額の5倍。これにより米国内でのガソリン消費量が今より15%削減されることになる
②CAFE(コーポレート・アベレージ・フュエル・エフィシェンシー)基準を強化することでさらに85億ガロン(現在の消費量の5%)を2017年までに削減する
③向こう10年以内に乗用車、軽トラック、SUVなどから排出されるCO2の量がゼロ成長になるようにし、地球温暖化を食い止める一助とする
④2027年までに戦略的原油備蓄を倍増(15億バレル=97日分)させる
などを提案しています。
株式市場へのインパクト
先ず戦略的原油備蓄の額を倍増するという発表はかなり目先のセンチメントに影響する材料だと思います。これで原油の供給過剰感がいくぶん和らぐはず。
エタノールは最も手軽に代替エネルギーへの以降の実績を出せる商品ですから、目先、エタノールの増産、トウモロコシの増産がキックインすることは間違い無いと思います。ヴェラサン(VSE)、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)などは買い。逆にクラフト(KFT)、ケロッグ(K)、コーン・プロダクツ(CPO)などの食品メーカーは原料コスト増が予想されるため売りだと思います。
トウモロコシの市況は新波動に入ると思います。また、農家が有利なトウモロコシの栽培に走ることが予想されるため、大豆などの今後の作付面積は抑えられ、その結果大豆市況も高騰する可能性が高いです。ブンゲ(BG)、ウルトラペトラル(ULTR)、クウィンタナ・マリタイム(QMAR)、モンサント(MON)などにとって強気材料。
注目されたエネルギー政策に関する大統領のプロポーザルの要旨は:
向こう10年間の間に米国内でのガソリンの消費量を今より20%削減する
というものです。
この実現の為の具体的な施策として:
①2017年までにリニューアブルならびに代替エネルギーにより350億ガロンのガソリンに相当するエネルギーを使用することを義務付ける
→これは既存の、2012年までの目標額の5倍。これにより米国内でのガソリン消費量が今より15%削減されることになる
②CAFE(コーポレート・アベレージ・フュエル・エフィシェンシー)基準を強化することでさらに85億ガロン(現在の消費量の5%)を2017年までに削減する
③向こう10年以内に乗用車、軽トラック、SUVなどから排出されるCO2の量がゼロ成長になるようにし、地球温暖化を食い止める一助とする
④2027年までに戦略的原油備蓄を倍増(15億バレル=97日分)させる
などを提案しています。
株式市場へのインパクト
先ず戦略的原油備蓄の額を倍増するという発表はかなり目先のセンチメントに影響する材料だと思います。これで原油の供給過剰感がいくぶん和らぐはず。
エタノールは最も手軽に代替エネルギーへの以降の実績を出せる商品ですから、目先、エタノールの増産、トウモロコシの増産がキックインすることは間違い無いと思います。ヴェラサン(VSE)、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)などは買い。逆にクラフト(KFT)、ケロッグ(K)、コーン・プロダクツ(CPO)などの食品メーカーは原料コスト増が予想されるため売りだと思います。
トウモロコシの市況は新波動に入ると思います。また、農家が有利なトウモロコシの栽培に走ることが予想されるため、大豆などの今後の作付面積は抑えられ、その結果大豆市況も高騰する可能性が高いです。ブンゲ(BG)、ウルトラペトラル(ULTR)、クウィンタナ・マリタイム(QMAR)、モンサント(MON)などにとって強気材料。
2007/01/23のBlog
[ 15:46 ]
[ 環境 ]
ここ数日、エタノールに関して繰り返し書いてきましたが、供給サイドの視点からの議論に未だふれていませんでした。そこで今日は農家にとってエタノール・ブームの意味するところをちょっと書きます。
現在の市況から僕が概算したそれぞれの主要穀物の1エーカー当たりの農家の利益(北米のみ)は以下の通り:
小麦 $75
大豆 $130
とうもろこし $160
というわけでトウモロコシを栽培するのが断然有利です。ただトウモロコシはこのところ急騰した高値($3.95)を基準に計算しています。ですから実際にはその価格を維持できるかどうかは未知数、、、ある程度割り引いて考える必要があるように思います。今年以降、どのくらい米国の農家が他の商品からトウモロコシにシフトするかが見ものですね。それと作付けのスウィッチにより、他の商品の供給が減少することも考えられます。このためそれらの商品全般の市況を押し上げる要因になっていることも指摘しておきます。あるいは2003年以降、素材やエネルギーの分野で商品価格が急騰したのと同様のことがソフト・コモディティーで至現するかもしれません。
そこで銘柄ですけどADM以外では僕が今、一番強気なのは講演会でも言及したウルトラペトラル(ULTR)です。この会社、もともと世銀の投資銀行(?)部門であるIFCの肝いりで出来た企業です。ここ数年のうちに目覚しい業容の拡張を実現しています。世界の大豆輸出の55%は南米のパラナ川、パラグアイ川流域からなされているのですが、この流域に於ける穀物輸送シェアで44%とダントツです。今年、世界の投資家は中国の大豆輸入は今後も趨勢的には増えこそすれ減ることは無いこと、そしてその恩恵を最もピュアーな形で蒙る銘柄がこのウルトラペトラルであることに気付くと思うのです。
現在の市況から僕が概算したそれぞれの主要穀物の1エーカー当たりの農家の利益(北米のみ)は以下の通り:
小麦 $75
大豆 $130
とうもろこし $160
というわけでトウモロコシを栽培するのが断然有利です。ただトウモロコシはこのところ急騰した高値($3.95)を基準に計算しています。ですから実際にはその価格を維持できるかどうかは未知数、、、ある程度割り引いて考える必要があるように思います。今年以降、どのくらい米国の農家が他の商品からトウモロコシにシフトするかが見ものですね。それと作付けのスウィッチにより、他の商品の供給が減少することも考えられます。このためそれらの商品全般の市況を押し上げる要因になっていることも指摘しておきます。あるいは2003年以降、素材やエネルギーの分野で商品価格が急騰したのと同様のことがソフト・コモディティーで至現するかもしれません。
そこで銘柄ですけどADM以外では僕が今、一番強気なのは講演会でも言及したウルトラペトラル(ULTR)です。この会社、もともと世銀の投資銀行(?)部門であるIFCの肝いりで出来た企業です。ここ数年のうちに目覚しい業容の拡張を実現しています。世界の大豆輸出の55%は南米のパラナ川、パラグアイ川流域からなされているのですが、この流域に於ける穀物輸送シェアで44%とダントツです。今年、世界の投資家は中国の大豆輸入は今後も趨勢的には増えこそすれ減ることは無いこと、そしてその恩恵を最もピュアーな形で蒙る銘柄がこのウルトラペトラルであることに気付くと思うのです。
2007/01/22のBlog
[ 18:21 ]
[ 資源 ]
今週はブッシュ大統領の一般教書(年頭演説)があるし、ダボスの国際会議もあります。僕の考えでは去年に続いて一般教書ではかなり環境問題に対する取り組みを前面に押し出してくるのではないかと思うのです。
それはイラクに対する増員に対して、トム・フリードマンなどの影響力のあるコラムニストが「アメリカ軍だけに負担を強いるのではなく、国民もなにか出来ることをやるべきだ。具体的には石油に対する過度の依存を国民ひとりひとりがやめる努力をするときが来た。」と主張しており、「Going green(つまりエコに配慮すること)」がファッショナブルであるのみならず愛国的であるというムードが盛り上がっているからに他なりません。
ちょっと話は脱線しますけど今、ブッシュ大統領ならびにヒラリー・クリントンにとって「過去と決別する」ということがとても大事になってきています。(ヒラリーはイラク戦争を支持し、その後で戦争批判したことで「日和見的だ」と痛烈に批判されています。)そこへ持ってきて今度、民主党からバラク・オバマ上院議員が大統領選挙出馬の意思があることを表明しています。バラク・オバマは今は世論調査ではヒラリー・クリントンに大差をつけられて後塵を拝していますが、ヒラリーは長く政界で活躍しており、知名度が高く、現在の支持率が高いのは当然。問題はヒラリーを毛嫌いする有権者も大変多く、今後の彼女の支持率は余り上昇余地が無い点です。(つまり如何に人気を下げないか?というのが彼女の戦いであり、追う立場のオバマ候補の方がその点、未知の可能性に富んでいるわけです。)オバマ議員はキング牧師とかボビー・ケネディーなど、アメリカの政治の歴史で本当に数えるほどしか居ない卓越したオーレーター(スピーチの上手いひと)の一人です。聞く者の体に電流が流れるような、感動的なスピーチを出来ることで有名です。
オバマ議員の登場によって「政界での長い経験は戦争を支持したなどの経緯から逆にライアビリティー(負の財産)である」という雰囲気になってしまっている、、、。勿論、クリントンの資金力とか選挙マシーンの練達度は素晴らしいので簡単にヒラリーがオバマ議員に負けるということでは無いと思うのです。僕はそういう事が言いたいのではなくて、ヒラリーは全力を尽くしてフレッシュなイメージを作る必要があるということ。ユニヴァーサル・ヘルスケアとかを提唱するだけでは過去の試みの蒸し返しで有権者に既視感を与えるだけなのです。
だから、、、環境。
僕がブッシュ大統領が機先を制して今週の一般教書演説で環境問題への取り組みを大々的に打ち上げると予想しているのはそのためです。
銘柄ですか?。
ADMでいいんじゃないの?。
それはイラクに対する増員に対して、トム・フリードマンなどの影響力のあるコラムニストが「アメリカ軍だけに負担を強いるのではなく、国民もなにか出来ることをやるべきだ。具体的には石油に対する過度の依存を国民ひとりひとりがやめる努力をするときが来た。」と主張しており、「Going green(つまりエコに配慮すること)」がファッショナブルであるのみならず愛国的であるというムードが盛り上がっているからに他なりません。
ちょっと話は脱線しますけど今、ブッシュ大統領ならびにヒラリー・クリントンにとって「過去と決別する」ということがとても大事になってきています。(ヒラリーはイラク戦争を支持し、その後で戦争批判したことで「日和見的だ」と痛烈に批判されています。)そこへ持ってきて今度、民主党からバラク・オバマ上院議員が大統領選挙出馬の意思があることを表明しています。バラク・オバマは今は世論調査ではヒラリー・クリントンに大差をつけられて後塵を拝していますが、ヒラリーは長く政界で活躍しており、知名度が高く、現在の支持率が高いのは当然。問題はヒラリーを毛嫌いする有権者も大変多く、今後の彼女の支持率は余り上昇余地が無い点です。(つまり如何に人気を下げないか?というのが彼女の戦いであり、追う立場のオバマ候補の方がその点、未知の可能性に富んでいるわけです。)オバマ議員はキング牧師とかボビー・ケネディーなど、アメリカの政治の歴史で本当に数えるほどしか居ない卓越したオーレーター(スピーチの上手いひと)の一人です。聞く者の体に電流が流れるような、感動的なスピーチを出来ることで有名です。
オバマ議員の登場によって「政界での長い経験は戦争を支持したなどの経緯から逆にライアビリティー(負の財産)である」という雰囲気になってしまっている、、、。勿論、クリントンの資金力とか選挙マシーンの練達度は素晴らしいので簡単にヒラリーがオバマ議員に負けるということでは無いと思うのです。僕はそういう事が言いたいのではなくて、ヒラリーは全力を尽くしてフレッシュなイメージを作る必要があるということ。ユニヴァーサル・ヘルスケアとかを提唱するだけでは過去の試みの蒸し返しで有権者に既視感を与えるだけなのです。
だから、、、環境。
僕がブッシュ大統領が機先を制して今週の一般教書演説で環境問題への取り組みを大々的に打ち上げると予想しているのはそのためです。
銘柄ですか?。
ADMでいいんじゃないの?。
2007/01/16のBlog
[ 11:27 ]
[ 資源 ]
去年の前半まではエタノール関連株はホットでしたが、夏以降、原油価格の下落とともにエタノールに対する人気も剥落し、エタノール関連株は安値を更新する日々です。
しかし、、、、
そろそろエタノール関連株を研究しはじめても良い頃じゃないかと思います。
そこで今日はエタノールを巡るファンダメンタルズについて少し書いてみることにします。
エタノールのファンダメンタルズ
エタノールの特徴の第一は生産設備に要する初期投資額が比較的小額で済んでしまうことだと思います。トウモロコシを発酵させてアルコールを作るわけですから、お酒造りと仕組みは同じ。巨大な装置は必要ありません。投資家の立場からこれの意味するところを整理すると:
1.新規参入が極めて容易なビジネスである(実際、100社以上の零細な業者が乱立しています)。
2.適正な販売価格さえ維持できればすぐに利益が出せるビジネスである。
実際、エタノール関連株の財務内容をみても業績的にはそこそこ格好がついています。この点が他の代替エネルギーの銘柄とエタノール関連株がちょっと違う点では無いでしょうか?。
しかし、エタノール関連株がそこそこの実績を上げているのには幾つかの幸運な要因が重なっています。
1.MTBEが取りやめになったこと
MTBEというのはガソリンのオクタン価を上げるためにレギュラー・ガソリンに混ぜられる添加物です。MTBEは酸素が多く含まれているためこれを混ぜると燃料がよりきれいに燃焼します。レギュラー・ガソリンのオクタン価は87です。これまではこれにMTBEを混ぜることでオクタン価を上げていたわけです。こうして出来るのがプレミアム・ガソリンで、オクタン価は91です。しかしMTBEの貯蔵地下タンクが漏れ、水源が汚染されるという事例が相次いでおこり、カリフォルニア州(全米で最もガソリンを多く消費する重要な州です)はMTBEを禁止しました。そこでMTBEに代わってオクタン価を上げるための添加物として注目されたのがエタノールです。因みにエタノールのオクタン価は113もあります。このMTBEの代替需要分が年間20億ガロンと言われています。
2.補助金
2004年のアメリカン・ジョブ・クリエイション・アクトにより代替エネルギーを使用した場合は1ガロンにつき51セントのタックス・クレジットが付与されることが決まりました。この補助金は2010年まで実施されます。これによりガソリン・スタンド(正確にはブレンダー)の立場からすればレギュラー・ガソリンの値段にタックス・クレジットの51セントを上乗せ、合計した金額よりもエタノールのスポット価格が安ければどんどんエタノールをレギュラー・ガソリンにブレンドしてガロン当たり単価を下げることが出来るわけです。これがインセンティブとなってエタノールの需要が伸長しました。具体例で示すと:
現在の全米平均レギュラー・ガソリン価格: $2.23/ガロン
+ タックス・インセンティブ: $0.51/ガロン
= $2.74
これに対して現在のエタノールの価格(CBOT)は: $2.079
つまり現在のディファレンシャルは$0.66あるわけです。この価格差があるかぎりブレンダーはエタノールを重宝するわけです。さて、現在カリフォルニアではこのようなブレンディングは混合率5.7%迄許されています。これが10%まで引き上げられるという法改正が近く提出されるという噂で先週金曜日にエタノール関連株が動意付きました。今、仮に全米で売られている全てのガソリンに10%迄の混合率が認められれば140億ガロンの需要が期待できる計算になります。5.7%の混合率で全米の需要を計算すると79.8億ガロンということになります。
3.エナジー・ポリシー・アクト(EPAct)
2005年にエナジー・ポリシー・アクトという法律が制定されエネルギー消費の或る一定量をリニューアブル・フュエルで賄わないといけないということが制度化されました。これをリニューアブル・フュエル・スタンダード(RFS)と呼びますが、2006年の時点では全体の3%、つまり40億ガロン、そして2010年までには全体の5%、つまり75億ガロンは何らかの代替エネルギーを使用することが義務付けられたわけです。勿論、この代替エネルギーは何を使用しても良いわけですが、実際には一番手軽なエタノールがほぼ100%その代替エネルギーとして使われると思われます。
以上のことをまとめるとMTBEの代替需要でエタノールは先ず20億ガロンの需要先が無理なく特定できたことに加えてRFSをクリアする必要と、そもそも補助金によってエタノールを混入した方が経済性の面で得であることから現在州レベルで認められている混入率の上限、つまり5.7%=79.8億ガロンまでは割りとカンタンに需要が伸びることが予想されるということです。
しかし、、、、
そろそろエタノール関連株を研究しはじめても良い頃じゃないかと思います。
そこで今日はエタノールを巡るファンダメンタルズについて少し書いてみることにします。
エタノールのファンダメンタルズ
エタノールの特徴の第一は生産設備に要する初期投資額が比較的小額で済んでしまうことだと思います。トウモロコシを発酵させてアルコールを作るわけですから、お酒造りと仕組みは同じ。巨大な装置は必要ありません。投資家の立場からこれの意味するところを整理すると:
1.新規参入が極めて容易なビジネスである(実際、100社以上の零細な業者が乱立しています)。
2.適正な販売価格さえ維持できればすぐに利益が出せるビジネスである。
実際、エタノール関連株の財務内容をみても業績的にはそこそこ格好がついています。この点が他の代替エネルギーの銘柄とエタノール関連株がちょっと違う点では無いでしょうか?。
しかし、エタノール関連株がそこそこの実績を上げているのには幾つかの幸運な要因が重なっています。
1.MTBEが取りやめになったこと
MTBEというのはガソリンのオクタン価を上げるためにレギュラー・ガソリンに混ぜられる添加物です。MTBEは酸素が多く含まれているためこれを混ぜると燃料がよりきれいに燃焼します。レギュラー・ガソリンのオクタン価は87です。これまではこれにMTBEを混ぜることでオクタン価を上げていたわけです。こうして出来るのがプレミアム・ガソリンで、オクタン価は91です。しかしMTBEの貯蔵地下タンクが漏れ、水源が汚染されるという事例が相次いでおこり、カリフォルニア州(全米で最もガソリンを多く消費する重要な州です)はMTBEを禁止しました。そこでMTBEに代わってオクタン価を上げるための添加物として注目されたのがエタノールです。因みにエタノールのオクタン価は113もあります。このMTBEの代替需要分が年間20億ガロンと言われています。
2.補助金
2004年のアメリカン・ジョブ・クリエイション・アクトにより代替エネルギーを使用した場合は1ガロンにつき51セントのタックス・クレジットが付与されることが決まりました。この補助金は2010年まで実施されます。これによりガソリン・スタンド(正確にはブレンダー)の立場からすればレギュラー・ガソリンの値段にタックス・クレジットの51セントを上乗せ、合計した金額よりもエタノールのスポット価格が安ければどんどんエタノールをレギュラー・ガソリンにブレンドしてガロン当たり単価を下げることが出来るわけです。これがインセンティブとなってエタノールの需要が伸長しました。具体例で示すと:
現在の全米平均レギュラー・ガソリン価格: $2.23/ガロン
+ タックス・インセンティブ: $0.51/ガロン
= $2.74
これに対して現在のエタノールの価格(CBOT)は: $2.079
つまり現在のディファレンシャルは$0.66あるわけです。この価格差があるかぎりブレンダーはエタノールを重宝するわけです。さて、現在カリフォルニアではこのようなブレンディングは混合率5.7%迄許されています。これが10%まで引き上げられるという法改正が近く提出されるという噂で先週金曜日にエタノール関連株が動意付きました。今、仮に全米で売られている全てのガソリンに10%迄の混合率が認められれば140億ガロンの需要が期待できる計算になります。5.7%の混合率で全米の需要を計算すると79.8億ガロンということになります。
3.エナジー・ポリシー・アクト(EPAct)
2005年にエナジー・ポリシー・アクトという法律が制定されエネルギー消費の或る一定量をリニューアブル・フュエルで賄わないといけないということが制度化されました。これをリニューアブル・フュエル・スタンダード(RFS)と呼びますが、2006年の時点では全体の3%、つまり40億ガロン、そして2010年までには全体の5%、つまり75億ガロンは何らかの代替エネルギーを使用することが義務付けられたわけです。勿論、この代替エネルギーは何を使用しても良いわけですが、実際には一番手軽なエタノールがほぼ100%その代替エネルギーとして使われると思われます。
以上のことをまとめるとMTBEの代替需要でエタノールは先ず20億ガロンの需要先が無理なく特定できたことに加えてRFSをクリアする必要と、そもそも補助金によってエタノールを混入した方が経済性の面で得であることから現在州レベルで認められている混入率の上限、つまり5.7%=79.8億ガロンまでは割りとカンタンに需要が伸びることが予想されるということです。
今、エタノールの生産キャパシティーの側を見てやると大体、今年末までに78億ガロンの生産キャパシティーが出来る見通しです。
つまり需要と供給はほぼマッチしていると言えます。
このことからエタノール生産業者は今は安値攻勢で在庫を売り叩く必要は余り無いわけです。すると目先のエタノール価格はレギュラー・ガソリンの価格にかなり連動して動くと考えてよいと思うのです。
さて、右のグラフを今一度見ると最大のエタノールの生産者はアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)でシェアは13%です。次がエタノールのピュア・プレイの会社でヴェラサン(VSE)の4%になります。それにしても「その他」の部分(零細業者)がとても大きいことからもわかる通り、エタノールの業界はとてもフラグメント(細分)化されているわけです。
これらのことからエタノール関連株の業績はかなり激しくブレることが予想されます。従って中期的な株価評価としてはハイテク株的な高いPERではなく、市況株のような低いPERが付与される可能性が高いでしょう。
将来のストーリー
でもこれではエタノールのストーリーというのはあんまり面白く無いわけです。しかし、僕がまだ言及していない「アップサイド」というのが実はエタノールのストーリーにはあります。
上に書いてきたエタノールのファンダメンタルズは全て所謂、「E10」に関する議論です。E10というのはレギュラー・ガソリンとエタノールの混合比率で10%以下という意味です。これは既存の自動車で今日にでもすぐに使える燃料です。
これに対して「E85」という商品があります。これはエタノールの混合比率が85%というものです。例えばブラジルでは既にE85に相当する商品(現地では「アルクール」と呼ばれています)が一般化しています。E85を使用するためには自動車のエンジンが高いエタノール混合率に対応できるようになっていなければいけません。このようなE85対応車のことをフレキシブル・フュエル・ヴィークル(FFV)と呼びます。アメリカでは工務店や農家の人が好んで使うピックアップ・トラックなどでこのFFVの普及がはじまりつつあります。現在は米国で売られている車の5%弱しかFFV対応になっていないのでE85は余りマーケティングされていません。事実、E85を販売しているガソリン・スタンドの数は全米の0.5%に過ぎません。これでは折角、FFVを購入してもE85を扱っているガソリン・スタンドが少ないのでエタノール燃料を注入できないケースも出てきてしまうわけです。
今後の株価刺激材料
先ずブッシュ大統領が地球温暖化対策として何か打ち出すのではないか?ということがしばしば話題に上っています。去年以降、米国の一般の庶民の地球温暖化に対する関心は急激に高まっており、共和党としても「票稼ぎ」の為に何か打ち出す必要があると思われます。次にガソリン価格ですが、実は余り下がっていないのです。原油相場を見ると「底抜け」的なチャートになっているのですが、これは127年ぶりとも言われる暖冬が影響しているからで、ガソリン自体の需要は堅調ですし、価格もしっかりしています。ガソリンの価格がしっかりしているということはエタノールのディファレンシャルもちゃんと健在であることを意味します。米国西海岸と中西部は先週から寒波に襲われており、だんだん例年並の寒さに戻りつつあるのではないでしょうか?。これらのことからエタノールに投資家の関心が戻ってくるのは時間の問題のように思われます。さて、銘柄ですが:
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)
ヴェラサン(VSE)
アヴェンティン・リニューアブル(AVR)
アンダーセンズ(ANDE)
パシフィック・エタノール(PEIX)
などが挙げられます。このうちADMはエタノールが全社売り上げに占める割合は微々たるものですからエタノールのアナリストではなく、食品株のアナリストがフォローしている場合が殆どです。しかし、株価的にはあたかもエタノール・プレイのような動きをしています。実際、去年の夏からはだいぶアンダー・パフォームしました。
つまり需要と供給はほぼマッチしていると言えます。
このことからエタノール生産業者は今は安値攻勢で在庫を売り叩く必要は余り無いわけです。すると目先のエタノール価格はレギュラー・ガソリンの価格にかなり連動して動くと考えてよいと思うのです。
さて、右のグラフを今一度見ると最大のエタノールの生産者はアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)でシェアは13%です。次がエタノールのピュア・プレイの会社でヴェラサン(VSE)の4%になります。それにしても「その他」の部分(零細業者)がとても大きいことからもわかる通り、エタノールの業界はとてもフラグメント(細分)化されているわけです。
これらのことからエタノール関連株の業績はかなり激しくブレることが予想されます。従って中期的な株価評価としてはハイテク株的な高いPERではなく、市況株のような低いPERが付与される可能性が高いでしょう。
将来のストーリー
でもこれではエタノールのストーリーというのはあんまり面白く無いわけです。しかし、僕がまだ言及していない「アップサイド」というのが実はエタノールのストーリーにはあります。
上に書いてきたエタノールのファンダメンタルズは全て所謂、「E10」に関する議論です。E10というのはレギュラー・ガソリンとエタノールの混合比率で10%以下という意味です。これは既存の自動車で今日にでもすぐに使える燃料です。
これに対して「E85」という商品があります。これはエタノールの混合比率が85%というものです。例えばブラジルでは既にE85に相当する商品(現地では「アルクール」と呼ばれています)が一般化しています。E85を使用するためには自動車のエンジンが高いエタノール混合率に対応できるようになっていなければいけません。このようなE85対応車のことをフレキシブル・フュエル・ヴィークル(FFV)と呼びます。アメリカでは工務店や農家の人が好んで使うピックアップ・トラックなどでこのFFVの普及がはじまりつつあります。現在は米国で売られている車の5%弱しかFFV対応になっていないのでE85は余りマーケティングされていません。事実、E85を販売しているガソリン・スタンドの数は全米の0.5%に過ぎません。これでは折角、FFVを購入してもE85を扱っているガソリン・スタンドが少ないのでエタノール燃料を注入できないケースも出てきてしまうわけです。
今後の株価刺激材料
先ずブッシュ大統領が地球温暖化対策として何か打ち出すのではないか?ということがしばしば話題に上っています。去年以降、米国の一般の庶民の地球温暖化に対する関心は急激に高まっており、共和党としても「票稼ぎ」の為に何か打ち出す必要があると思われます。次にガソリン価格ですが、実は余り下がっていないのです。原油相場を見ると「底抜け」的なチャートになっているのですが、これは127年ぶりとも言われる暖冬が影響しているからで、ガソリン自体の需要は堅調ですし、価格もしっかりしています。ガソリンの価格がしっかりしているということはエタノールのディファレンシャルもちゃんと健在であることを意味します。米国西海岸と中西部は先週から寒波に襲われており、だんだん例年並の寒さに戻りつつあるのではないでしょうか?。これらのことからエタノールに投資家の関心が戻ってくるのは時間の問題のように思われます。さて、銘柄ですが:
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)
ヴェラサン(VSE)
アヴェンティン・リニューアブル(AVR)
アンダーセンズ(ANDE)
パシフィック・エタノール(PEIX)
などが挙げられます。このうちADMはエタノールが全社売り上げに占める割合は微々たるものですからエタノールのアナリストではなく、食品株のアナリストがフォローしている場合が殆どです。しかし、株価的にはあたかもエタノール・プレイのような動きをしています。実際、去年の夏からはだいぶアンダー・パフォームしました。
2007/01/11のBlog
[ 10:04 ]
[ 中国株 ]
BRICsに投資している世界の機関投資家の間では当分の間、内需とか消費関連とか金融株を中心にポートフォリオを固めてゆくべきだというのがコンセンサスになっています。
そういう僕も内需、消費、金融なんかのストーリーは良いとずっと思ってきました。
でも相場が落ち着くまでの当分の間、この考えを保留することにします。
* * *
まず金融セクターですけど、中国の銀行セクターは皆が考えているような急成長のストーリーではないことは以前のブログで詳細に論じました。
そういう大局観で見た場合のオーバー・バンキング的状況に加えて、今、中国の銀行セクターには明らかな逆風が吹き始めています。それは利上げやリザーブ・リクワイアメントの引き上げなどの一連の引き締め策です。ただでさえ中国の銀行は世界的に見て利幅が薄いところへもってきて、リザーブ・リクワイアメントなどの形で融資原資の一部を人民銀行に留め置かれたら余計儲からなくなってしまいます。
市中金利の上昇もノン・パフォーミング・ローンの増加を招く可能性があり、目が離せません。とりわけ中国の銀行は引当率が極めて低いのでクレジット・ピクチャーが暗転したら結構、痛い目に遭うと僕は見ています。
いや、中国だけではありません。ブラジルやロシアやインドの銀行だって大体、似たようなものです。インドの或る銀行は去年、住宅ローンが一年で50%以上も伸びたと報告しています。皆が融資競争に走っているときは深慮に欠ける融資もかなりされていることを覚悟するべきでしょう。これらの国の多くの消費者にとって、そもそもローンでモノを買うという習慣自体が全く目新しい経験ですからローンの支払いがキチンと出来るかをよく考えた上で借金しているかどうかは神のみぞ知るです。
保険も注意する必要があると思います。中国の保険会社はハイテク株に近いPBRで取引されています。でもハイテク企業の場合はアイデア一発で優れた製品が出せれば業容の拡大は簿価とは何の関係もありませんけど、保険というビジネスは何をやるにもまずビジネスを創造するネタになるのがブック・ヴァリューなのです。だからPBRで5倍とか、そういう水準まで保険株を買いあがるというのは狂気の沙汰です。
先日、中国人寿保険がA株デビューしましたが、いきなり売り出し価格より100%も上昇しました。今のA株市場は僕に言わせれば中国の「剰余価値分解工場」と化している、、、ということです。つまり中国が競争力を維持するために人民元のレートを或るクローリング・ペッグの範囲内に押さえ込まないといけない。しかし対外収支は大幅な黒字なので必死でSTERILIZATIONをやっている、、、しかし八方手を尽くしてもどうしても不胎化が間に合わなくなってしまったので政府株をA株市場にぶつけてやることでスポンジのように流動性を吸い上げようとしているわけです。金余りを吸い上げるわけですから派手にやった方が効率が良い、、、打ち上げ花火みたいにA株市場でのIPOが爆騰するのは筆頭株主(=政府)が少数株主(=我々のようなH株の保有者)の利害を尊重する、つまり最大限に会社にとって有利な条件でIPOするという義務を全うしていないからです。でも自分達がおつりを誤魔化されているのに気がつきもせず拍手喝采している呑気な投資家が多いのには驚かされます。
次に食品株ですが、これも要注意だと僕は思います。先ずヴァリュエーションがムチャクチャに高い。ところが例えば中国の物価指数を見てみると食品などに価格プレッシャーが見られ始めています。今後食品会社のインプット・コストは急上昇すると僕は考えているので(その理由は今は書けませんけどいずれ書きます)中国に限らず、世界中のパッケージド・フードの会社のマージンは圧迫される気がするのです。
勿論、内需の全部が駄目ということではないと思うんです。ただ、消費関連、内需関連はとても割高になっている銘柄が多いにもかかわらず株価水準に無神経な投資家が大半を占めている点に危惧を感じる次第です。
そういう僕も内需、消費、金融なんかのストーリーは良いとずっと思ってきました。
でも相場が落ち着くまでの当分の間、この考えを保留することにします。
* * *
まず金融セクターですけど、中国の銀行セクターは皆が考えているような急成長のストーリーではないことは以前のブログで詳細に論じました。
そういう大局観で見た場合のオーバー・バンキング的状況に加えて、今、中国の銀行セクターには明らかな逆風が吹き始めています。それは利上げやリザーブ・リクワイアメントの引き上げなどの一連の引き締め策です。ただでさえ中国の銀行は世界的に見て利幅が薄いところへもってきて、リザーブ・リクワイアメントなどの形で融資原資の一部を人民銀行に留め置かれたら余計儲からなくなってしまいます。
市中金利の上昇もノン・パフォーミング・ローンの増加を招く可能性があり、目が離せません。とりわけ中国の銀行は引当率が極めて低いのでクレジット・ピクチャーが暗転したら結構、痛い目に遭うと僕は見ています。
いや、中国だけではありません。ブラジルやロシアやインドの銀行だって大体、似たようなものです。インドの或る銀行は去年、住宅ローンが一年で50%以上も伸びたと報告しています。皆が融資競争に走っているときは深慮に欠ける融資もかなりされていることを覚悟するべきでしょう。これらの国の多くの消費者にとって、そもそもローンでモノを買うという習慣自体が全く目新しい経験ですからローンの支払いがキチンと出来るかをよく考えた上で借金しているかどうかは神のみぞ知るです。
保険も注意する必要があると思います。中国の保険会社はハイテク株に近いPBRで取引されています。でもハイテク企業の場合はアイデア一発で優れた製品が出せれば業容の拡大は簿価とは何の関係もありませんけど、保険というビジネスは何をやるにもまずビジネスを創造するネタになるのがブック・ヴァリューなのです。だからPBRで5倍とか、そういう水準まで保険株を買いあがるというのは狂気の沙汰です。
先日、中国人寿保険がA株デビューしましたが、いきなり売り出し価格より100%も上昇しました。今のA株市場は僕に言わせれば中国の「剰余価値分解工場」と化している、、、ということです。つまり中国が競争力を維持するために人民元のレートを或るクローリング・ペッグの範囲内に押さえ込まないといけない。しかし対外収支は大幅な黒字なので必死でSTERILIZATIONをやっている、、、しかし八方手を尽くしてもどうしても不胎化が間に合わなくなってしまったので政府株をA株市場にぶつけてやることでスポンジのように流動性を吸い上げようとしているわけです。金余りを吸い上げるわけですから派手にやった方が効率が良い、、、打ち上げ花火みたいにA株市場でのIPOが爆騰するのは筆頭株主(=政府)が少数株主(=我々のようなH株の保有者)の利害を尊重する、つまり最大限に会社にとって有利な条件でIPOするという義務を全うしていないからです。でも自分達がおつりを誤魔化されているのに気がつきもせず拍手喝采している呑気な投資家が多いのには驚かされます。
次に食品株ですが、これも要注意だと僕は思います。先ずヴァリュエーションがムチャクチャに高い。ところが例えば中国の物価指数を見てみると食品などに価格プレッシャーが見られ始めています。今後食品会社のインプット・コストは急上昇すると僕は考えているので(その理由は今は書けませんけどいずれ書きます)中国に限らず、世界中のパッケージド・フードの会社のマージンは圧迫される気がするのです。
勿論、内需の全部が駄目ということではないと思うんです。ただ、消費関連、内需関連はとても割高になっている銘柄が多いにもかかわらず株価水準に無神経な投資家が大半を占めている点に危惧を感じる次第です。
2007/01/10のBlog
[ 21:46 ]
[ 中国株 ]
最近、中国のソーラー・パネルの株がまた数社米国でIPOされたのでチョッとこの業界についてまとめてみたいと思います。
最初に断っておきますけど僕はこの業界は投資するのがとても難しいセクターだと思います。(自分は今のところ一銘柄もポートフォリオの中に入れてないし、今後も当分買わない気がします。)
ソーラー・パネルは日本では太陽電池と呼ばれていると思うのですけど、ギョーカイではPV(Photo Voltaic)なんて言い方をする場合もあります。要は太陽光を電気に転換してやる技術です。
半導体を使うわけですけど、製品の付加価値としては最先端の半導体の方が単価的に価値が高いのでPVは後回し、というと失礼ですけどプロセス・テクノロジー的にはカッティング・エッジではないと思うのです。
現在、ソーラー・パネルによる発電のコストは一般家庭が支払っている電気代と比べてかなり割高ですから普及促進の為には補助金が欠かせません。従ってソーラー・パネルの浸透はひとえに政府がどれだけ力を入れているか?、その補助金の額に左右される部分が大きいわけです。今のところ世界で最もソーラー・パネルが売れているのはドイツです。スペインなどの他の欧州各国もだんだん力を入れ始めています。現在の市場規模は180億ドルくらいだと思います。これが2010年までには700億ドルくらいになるだろうと予想されています。
ただ、そうなるためには各国政府の補助金が増えるということが大前提だと思うんです。ソーラー発電そのもののコストが家庭の電気代より安くなる(その事をグリッド・パリティーと言います)のは多分2010年から2020年頃でしょう。そこで初めて市場の規模がマーケット・デマンドで決定されることになるわけです。
今、世界で約100社近い会社がソーラー・パネルを作っています。モジュールを作っている企業を入れると軽く100社を超えると思います。つまり未成熟な市場の割りには沢山のメーカーがひしめいており、既に過当競争の様相を呈しているということ。
それでは競争力の差を決める要因は何か?という問題ですけど、一番大事な要素はその会社の作ったパネルがどのくらい効率的に太陽光を電気に転換できるか、その効率(Conversion Efficiency)が決め手になります。一部企業の製品のコンヴァージョン・エフィシェンシーのグラフを上に掲載しておいたので見ておいて下さい。
さらに今はシリコン・ウエハーが不足していますから、原材料に対するアクセスが確保されているか?というのも判断の材料になると思います。今、ソーラー・パネル各社は大体皆同じような仕入先から原材料を供給して貰っていたりして、さらに顧客がモジュールのメーカーとか、言わば競争相手である場合も多いです。黎明期の産業にありがちな、整理されていない状況なわけです。
また、多くの業者はディストリビューターを使って販売しており、さらに最終的な顧客はドイツなどのごく一部の市場に偏っているわけです。今は各社ともソーラー・パネルの生産キャパシティーを倍増させている最中ですから最終製品の価格は下落しています。その一方でシリコン・ウエハーが不足しているので原材料コストは思うようには下がってくれません。つまり各社ともマージン・スクウィーズされているわけです。
そういうわけですから基本的にはこの業界は収益性の面では余り健全では無いと思います。それを反映してかどうか、大手メーカーでもPVのビジネスへのコミットメントは結構ふらついている気がするのです。大企業のいち部門としてソーラー・パネルをやっているようなところは「余りウマ味が無いビジネスならやめるか?」という心情がチラッと透けて見えます。そんな具合ですからマーケット・シェア地図は結構流動的です。
今の大手となると:
BPソーラー
サンヨー
シャープ
キュー・セル
ソーラー・ワールド
などです。
株式市場でのピュア・プレイで言えば例えば:
サンテック・パワー(STP)
トリナ・ソーラー(TSL)
ソーラー・ファン(SOLF)
ファースト・ソーラー(FSLR)
カナディアン・ソーラー(CSIQ)
などがあります。上場ピュア・プレイ企業中、最も時価総額規模の大きいサンテックでも業界での順位は第8位です。
最初に断っておきますけど僕はこの業界は投資するのがとても難しいセクターだと思います。(自分は今のところ一銘柄もポートフォリオの中に入れてないし、今後も当分買わない気がします。)
ソーラー・パネルは日本では太陽電池と呼ばれていると思うのですけど、ギョーカイではPV(Photo Voltaic)なんて言い方をする場合もあります。要は太陽光を電気に転換してやる技術です。
半導体を使うわけですけど、製品の付加価値としては最先端の半導体の方が単価的に価値が高いのでPVは後回し、というと失礼ですけどプロセス・テクノロジー的にはカッティング・エッジではないと思うのです。
現在、ソーラー・パネルによる発電のコストは一般家庭が支払っている電気代と比べてかなり割高ですから普及促進の為には補助金が欠かせません。従ってソーラー・パネルの浸透はひとえに政府がどれだけ力を入れているか?、その補助金の額に左右される部分が大きいわけです。今のところ世界で最もソーラー・パネルが売れているのはドイツです。スペインなどの他の欧州各国もだんだん力を入れ始めています。現在の市場規模は180億ドルくらいだと思います。これが2010年までには700億ドルくらいになるだろうと予想されています。
ただ、そうなるためには各国政府の補助金が増えるということが大前提だと思うんです。ソーラー発電そのもののコストが家庭の電気代より安くなる(その事をグリッド・パリティーと言います)のは多分2010年から2020年頃でしょう。そこで初めて市場の規模がマーケット・デマンドで決定されることになるわけです。
今、世界で約100社近い会社がソーラー・パネルを作っています。モジュールを作っている企業を入れると軽く100社を超えると思います。つまり未成熟な市場の割りには沢山のメーカーがひしめいており、既に過当競争の様相を呈しているということ。
それでは競争力の差を決める要因は何か?という問題ですけど、一番大事な要素はその会社の作ったパネルがどのくらい効率的に太陽光を電気に転換できるか、その効率(Conversion Efficiency)が決め手になります。一部企業の製品のコンヴァージョン・エフィシェンシーのグラフを上に掲載しておいたので見ておいて下さい。
さらに今はシリコン・ウエハーが不足していますから、原材料に対するアクセスが確保されているか?というのも判断の材料になると思います。今、ソーラー・パネル各社は大体皆同じような仕入先から原材料を供給して貰っていたりして、さらに顧客がモジュールのメーカーとか、言わば競争相手である場合も多いです。黎明期の産業にありがちな、整理されていない状況なわけです。
また、多くの業者はディストリビューターを使って販売しており、さらに最終的な顧客はドイツなどのごく一部の市場に偏っているわけです。今は各社ともソーラー・パネルの生産キャパシティーを倍増させている最中ですから最終製品の価格は下落しています。その一方でシリコン・ウエハーが不足しているので原材料コストは思うようには下がってくれません。つまり各社ともマージン・スクウィーズされているわけです。
そういうわけですから基本的にはこの業界は収益性の面では余り健全では無いと思います。それを反映してかどうか、大手メーカーでもPVのビジネスへのコミットメントは結構ふらついている気がするのです。大企業のいち部門としてソーラー・パネルをやっているようなところは「余りウマ味が無いビジネスならやめるか?」という心情がチラッと透けて見えます。そんな具合ですからマーケット・シェア地図は結構流動的です。
今の大手となると:
BPソーラー
サンヨー
シャープ
キュー・セル
ソーラー・ワールド
などです。
株式市場でのピュア・プレイで言えば例えば:
サンテック・パワー(STP)
トリナ・ソーラー(TSL)
ソーラー・ファン(SOLF)
ファースト・ソーラー(FSLR)
カナディアン・ソーラー(CSIQ)
などがあります。上場ピュア・プレイ企業中、最も時価総額規模の大きいサンテックでも業界での順位は第8位です。
2007/01/07のBlog
[ 23:58 ]
[ マクロ・ストラテジー ]
昨日のエントリーの補足をします。
僕は目先、BRICsの相場は荒れると思っています。イメージとしては10%下がったら、次は5%急騰するというような、所謂、高値波瀾を見ています。その過程で場合によってはBRICs全体が10%~20%くらいの調整をする危険性もあるのではないでしょうか?。(なお、昔からの本ブログの読者はよく心得ておられると思いますけど、僕の予感というのは当たりませんから余り真に受けないで下さい。)で、仮にそういう調整が実際に来た場合、どう対処するか?ということが今日の本題です。
僕のその場合の基本姿勢は買い向かうというものです。
「なあんだ、お前はただの「買いたい弱気」じゃねえか。」という揶揄の声が聞こえてきそうですけど、全くその通りです。
僕が買い向かいたいとする理由は(そして多くの欧米の投資家のアタマの中では同じシナリオが芽生えはじめていると考うのですけど、、、)カレンダー的な配慮によるところがおおきいんです。
つまり「2008年問題」です。
BRICsにとって2008年というのは結構節目な年になります。
言うまでも無く中国ではオリンピックがあります。
ロシアでは大統領の任期が切れる年であり、プーチン大統領が降板します。
インドでは今年から08年にかけて地方議会選挙が順次繰り広げられます。
つまり、去年大統領選挙を終えているブラジルを除けば、何れの国も節目となる行事を抱えているわけです。
中国の場合、今は来年に控えた北京オリンピックに向けて建設工事が最高潮に達しています。オリンピックに絡めた建設工事で北京周辺で新たに供給されるフロア・スペースは今、それを全部平たく並べたとするとマンハッタンの5倍の面積に相当するのだそうです。オリンピックの直前までには北京上空の空気をきれいにしたいという思惑がありますから、「殆どの建設工事は2007年中に終えること」というのが暗黙の(?)了解になっているんだそうです。このため目先は建て方工事に必要となるH型鋼やコンクリート打ちに使う棒鋼などの需要は落ちようが無いと思います。別の言い方をすれば人民銀行が矢継ぎ早で打ち出している各種引き締め政策は金融市場の関係者にはインパクトを持ちうるかもしれないけど、実体経済に与える影響は限定的だと思うのです。株式市場というのは大体2年先の材料を織り込みにかかります。ですから北京オリンピックに向けた強気相場というのはもう既に始まっていると考えるべきでしょう。また、来年にオリンピックという材料がぶら下がっている限り、目先株式市場が下落しても再びオリンピックに向けて相場を仕掛け直すという展開になると思うのです。その意味では今回の調整は(まだ来ると決まったわけではありませんけど)僕は余り心配していません。
むしろ僕が怖いと思うのは「オリンピック後」です。
なぜなら上に書いたように今中国の経済のすくなからぬ部分がオリンピックというひとつのゴールめがけてまっしぐらに邁進しているからです。普通、「相場は知ったら、しまい」とか、「夢を買い、現実を売れ」という格言があるように実際のイベントが起こってしまったら、そこで材料出尽くしとなり、ベア局面に入ってゆくものなのです。しかも今回は北京上空の空気をきれいにするために一斉に建設活動をストップする、、、などのきわめて人為的なファクターがあります。中国と日本は別のシチュエーションですから、日本で起こったことが中国でも起こると決めてかかるのはどうかと思いますけど、それを断った上で日本の「東京オリンピック後」というのをチョッと思い出して見ると先ずギョーカイ関係者として真っ先に想起されるのが東京オリンピック翌年の証券不況と山一證券に対する日銀特融のエピソードです。それから東京オリンピック後あたりを境に公害問題が大きな社会問題化し、所謂、四大公害病に対する公害裁判などが活発化しました。これらのことを契機にがむしゃらな成長から、より生活の質を重視した政策へと社会のプライオリティーが変わりはじめたのがこの時期の特徴だと思うのです。(勿論、高度成長自体は東京オリンピック後もひきつづき維持されましたが。)思い返してみれば60年代の日本というのはそれまでの軽工業から産業の重工業化への移行が最もアグレッシブに押し進められた時期でした。しかし、大阪万博を迎える頃までには産業の重工業化政策は完成してしまい、逆にその分野に資本を投下し過ぎた反動で70年代には余剰キャパシティーに悩まされ始めるわけです。「構造不況業種」なんて言葉が懐かしく思い出されます。
一方、ロシアの大統領の任期切れも2008年です。
プーチン大統領は既に今期で2期目で、ロシアの憲法では大統領は2期を超えて継続することは出来ません。勿論、一部には「憲法を改正してプーチンに継投して欲しい」式の議論があります。でもプーチン大統領本人は改憲する意思は無いと何度も公言しています。プーチン大統領の前任者、ボリス・エリツィンは大統領を辞めるにあたって後任の人選を考え抜き、2年も前から周到に準備しました。或る意味、エリツィン大統領の行なった数々の意思決定のうち、最も成功した決断がプーチンを選ぶという事だったとも言えると思います。エリツィンは後任を選ぶに当たって「絶対、裏切られない人」という選択基準を持っていました。プーチン大統領も当然、周到に準備しているはずです。プーチンの後継者が誰になっても、市場参加者の視点からみるとプーチンを凌駕する優れたリーダーが出てくるのは望み薄です。実質的にプーチン大統領の「院政」みたいな形式になるのかも知れません。また、大統領選挙の前哨戦として07年12月にはデュマ(議会)の選挙もあります。プーチン大統領の支持母体である統一ロシアが過半数を制するというのが大方の見方です。いずれにせよこれまで大変安定感のあったロシアの政治が、節目を迎えることには変わりはないわけです。
インドでは2007年3月から一部の地域で州議会選挙が始まります。
これは2008年までかけて、インド全国で順次繰り広げられてゆくイベントであり、その意味ではクライマックスはありません。この過程でインド国民が現政権にどれだけ満足しているかが明らかになると思うのです。前回の選挙では事前の予想を覆し、コングレス党が当時与党だったBJPをしりぞけました。BJPは経済好調の勢いを買って「輝けるインド」というキャンペーンを張ったのですけど、有権者は冷淡でした。その理由のひとつは都市生活者と農村との格差拡大です。今、インドの経済は引き続き好調ですけど、この格差の問題は全然是正されていないと言って差し支えないと思います。インドの政治の体質からして選挙の時期はどうしても「ばら撒き」政策に流れやすいです。実際、今のインドの財政も支出がオーバーラン気味です。しかし、インドは赤字体質であり、国際機関投資家はそういう人気取りの政策に対して厳しい目を向けるような気がします。
以上のことをまとめると欧米の投資家は「2008年はBRICsにとって結構むずかしい年になるぞ」と感じています。「ならば早いうちに勝負をかけた方が勝ちだな。」というのが皆の心の動きなわけです。目先、相場が突っ込む局面があれば買いたい、、、、そういう風に僕が感じているのは以上のような考察によります。
(コンセンサス的意見でスミマセン。)
僕は目先、BRICsの相場は荒れると思っています。イメージとしては10%下がったら、次は5%急騰するというような、所謂、高値波瀾を見ています。その過程で場合によってはBRICs全体が10%~20%くらいの調整をする危険性もあるのではないでしょうか?。(なお、昔からの本ブログの読者はよく心得ておられると思いますけど、僕の予感というのは当たりませんから余り真に受けないで下さい。)で、仮にそういう調整が実際に来た場合、どう対処するか?ということが今日の本題です。
僕のその場合の基本姿勢は買い向かうというものです。
「なあんだ、お前はただの「買いたい弱気」じゃねえか。」という揶揄の声が聞こえてきそうですけど、全くその通りです。
僕が買い向かいたいとする理由は(そして多くの欧米の投資家のアタマの中では同じシナリオが芽生えはじめていると考うのですけど、、、)カレンダー的な配慮によるところがおおきいんです。
つまり「2008年問題」です。
BRICsにとって2008年というのは結構節目な年になります。
言うまでも無く中国ではオリンピックがあります。
ロシアでは大統領の任期が切れる年であり、プーチン大統領が降板します。
インドでは今年から08年にかけて地方議会選挙が順次繰り広げられます。
つまり、去年大統領選挙を終えているブラジルを除けば、何れの国も節目となる行事を抱えているわけです。
中国の場合、今は来年に控えた北京オリンピックに向けて建設工事が最高潮に達しています。オリンピックに絡めた建設工事で北京周辺で新たに供給されるフロア・スペースは今、それを全部平たく並べたとするとマンハッタンの5倍の面積に相当するのだそうです。オリンピックの直前までには北京上空の空気をきれいにしたいという思惑がありますから、「殆どの建設工事は2007年中に終えること」というのが暗黙の(?)了解になっているんだそうです。このため目先は建て方工事に必要となるH型鋼やコンクリート打ちに使う棒鋼などの需要は落ちようが無いと思います。別の言い方をすれば人民銀行が矢継ぎ早で打ち出している各種引き締め政策は金融市場の関係者にはインパクトを持ちうるかもしれないけど、実体経済に与える影響は限定的だと思うのです。株式市場というのは大体2年先の材料を織り込みにかかります。ですから北京オリンピックに向けた強気相場というのはもう既に始まっていると考えるべきでしょう。また、来年にオリンピックという材料がぶら下がっている限り、目先株式市場が下落しても再びオリンピックに向けて相場を仕掛け直すという展開になると思うのです。その意味では今回の調整は(まだ来ると決まったわけではありませんけど)僕は余り心配していません。
むしろ僕が怖いと思うのは「オリンピック後」です。
なぜなら上に書いたように今中国の経済のすくなからぬ部分がオリンピックというひとつのゴールめがけてまっしぐらに邁進しているからです。普通、「相場は知ったら、しまい」とか、「夢を買い、現実を売れ」という格言があるように実際のイベントが起こってしまったら、そこで材料出尽くしとなり、ベア局面に入ってゆくものなのです。しかも今回は北京上空の空気をきれいにするために一斉に建設活動をストップする、、、などのきわめて人為的なファクターがあります。中国と日本は別のシチュエーションですから、日本で起こったことが中国でも起こると決めてかかるのはどうかと思いますけど、それを断った上で日本の「東京オリンピック後」というのをチョッと思い出して見ると先ずギョーカイ関係者として真っ先に想起されるのが東京オリンピック翌年の証券不況と山一證券に対する日銀特融のエピソードです。それから東京オリンピック後あたりを境に公害問題が大きな社会問題化し、所謂、四大公害病に対する公害裁判などが活発化しました。これらのことを契機にがむしゃらな成長から、より生活の質を重視した政策へと社会のプライオリティーが変わりはじめたのがこの時期の特徴だと思うのです。(勿論、高度成長自体は東京オリンピック後もひきつづき維持されましたが。)思い返してみれば60年代の日本というのはそれまでの軽工業から産業の重工業化への移行が最もアグレッシブに押し進められた時期でした。しかし、大阪万博を迎える頃までには産業の重工業化政策は完成してしまい、逆にその分野に資本を投下し過ぎた反動で70年代には余剰キャパシティーに悩まされ始めるわけです。「構造不況業種」なんて言葉が懐かしく思い出されます。
一方、ロシアの大統領の任期切れも2008年です。
プーチン大統領は既に今期で2期目で、ロシアの憲法では大統領は2期を超えて継続することは出来ません。勿論、一部には「憲法を改正してプーチンに継投して欲しい」式の議論があります。でもプーチン大統領本人は改憲する意思は無いと何度も公言しています。プーチン大統領の前任者、ボリス・エリツィンは大統領を辞めるにあたって後任の人選を考え抜き、2年も前から周到に準備しました。或る意味、エリツィン大統領の行なった数々の意思決定のうち、最も成功した決断がプーチンを選ぶという事だったとも言えると思います。エリツィンは後任を選ぶに当たって「絶対、裏切られない人」という選択基準を持っていました。プーチン大統領も当然、周到に準備しているはずです。プーチンの後継者が誰になっても、市場参加者の視点からみるとプーチンを凌駕する優れたリーダーが出てくるのは望み薄です。実質的にプーチン大統領の「院政」みたいな形式になるのかも知れません。また、大統領選挙の前哨戦として07年12月にはデュマ(議会)の選挙もあります。プーチン大統領の支持母体である統一ロシアが過半数を制するというのが大方の見方です。いずれにせよこれまで大変安定感のあったロシアの政治が、節目を迎えることには変わりはないわけです。
インドでは2007年3月から一部の地域で州議会選挙が始まります。
これは2008年までかけて、インド全国で順次繰り広げられてゆくイベントであり、その意味ではクライマックスはありません。この過程でインド国民が現政権にどれだけ満足しているかが明らかになると思うのです。前回の選挙では事前の予想を覆し、コングレス党が当時与党だったBJPをしりぞけました。BJPは経済好調の勢いを買って「輝けるインド」というキャンペーンを張ったのですけど、有権者は冷淡でした。その理由のひとつは都市生活者と農村との格差拡大です。今、インドの経済は引き続き好調ですけど、この格差の問題は全然是正されていないと言って差し支えないと思います。インドの政治の体質からして選挙の時期はどうしても「ばら撒き」政策に流れやすいです。実際、今のインドの財政も支出がオーバーラン気味です。しかし、インドは赤字体質であり、国際機関投資家はそういう人気取りの政策に対して厳しい目を向けるような気がします。
以上のことをまとめると欧米の投資家は「2008年はBRICsにとって結構むずかしい年になるぞ」と感じています。「ならば早いうちに勝負をかけた方が勝ちだな。」というのが皆の心の動きなわけです。目先、相場が突っ込む局面があれば買いたい、、、、そういう風に僕が感じているのは以上のような考察によります。
(コンセンサス的意見でスミマセン。)