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いちカイにヤリ 投資世代(ロシア株、インド株、中国株、ブラジル株、ADR、BRICs)
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2005/01/30のBlog
[ 01:26 ] [ 相場のテクニック ]
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Wha_Man3さんのログです。なにもつけ加えることはありません。
常に先々の事を考える

結局、倒産しかかったシティは増資を発表しても誰も買い手がなく、サウジアラビアのプリンス・アル・ワリードが公募の転社を全部パクッと呑みました。これが後に彼がマルチ・ビリオネアーになる記念碑的な取引です。僕はと言えばフレデリックス株でお客の信用を完全に失い、エッチなカタログだけが残りました。

僕の過ちは常に先々の事を考えるという習慣がなく、今、眼前に展開する状況に対してリアクショナリー(受動的)に走り回っていたこと。将棋やチェスの上手い人は何手も先の事がいろいろ見えると言いますが、株もこれと同じ。目先のニュースや一般に信じられている通説だけにとらわれるのではなく、先々のことを自分の頭で考えるという習慣をつけないと駄目です。
「このパンティー、こんなところに穴が、、、」

フレデリックス株は暴騰してメデタシめでたし、と言いたいところなんですが、戦勝の浮かれた気分が収まったころには「おい、なんでこんな株がポートフォリオに入ってんだい?」と皆思い始め僕のところには「きみ、ちょっとこの会社どんな商品作ってんのか資料取り寄せてよ」というリクエストが殺到しました。それで会社に電話してダンボール箱一杯にアニュアル・レポートや通販のカタログを送ってもらい、これをお客に配ったのですが、そのカタログを見ていた客さんが「あれ、このパンティー、こんなところに穴が、、、」といって絶句。僕も返す言葉がなくうつむいてしまいました。

敗戦処理

その後、確かにフレデリックス社の業績は「終戦特需」で急伸したのですが、一度株価に織り込んだものは二度とは相場になりません。僕はP&LやBSをひっくり返していろいろ分析したり、会社に電話して取材したり、いろいろやったんですけど株価はじり貧をたどるばかり。会社の受付の御姐さんは甘ったるいヴァレー・トークで「貴方、随分熱心だけどウチの商品のこと知りたかったらハリウッド・ブルバードにある”有名人の下着の殿堂”を観にくれば?マリリン・モンロウとかマドンナの下着あるわよ。」
僕:「もう結構です。」

2005/01/29のBlog
バクダッド・エアショウ

ところが状況は一夜にして激変、或る朝、アメリカ空軍がスティルス(忍者)爆撃機でバクダッドにじゃんじゃん爆弾を落としている!というニュースが出た瞬間にNY市場は爆騰したのです。特にレーザー誘導爆弾が「百発百中だ!」という報道で半導体株に買い物が集中したんです。それまではアメリカはDRAMなどで日本に駆逐され、「もうアメリカのハイテク企業は国際競争力がない」という自信喪失に陥っていました。インテルをはじめとするハイテク株は市況産業中の市況産業、株価評価はドンケツでした。ところが「半導体技術が米国を勝利に導いている」という認識が出た瞬間にそれらの株の評価が激変したのです。僕も僕のお客さんも慌てました。兎に角、ハイテクを買わないことには相場についてゆけないのです。来る日も来る日も相場が高いのに買いたい株は全然満足な株数買えてません。「きみ、これ困るよ!」と言われて僕は本当に途方に暮れてしまいました。

兵隊さんが帰ってくる!

そうこうしているうちにアメリカ軍はあっという間にクウェートとイラクの国境までイラク軍を押し返し(というかイラク兵は皆軍服を脱ぎ捨てて壊走してしまいました)、戦争は終わりになったんです。「兵隊さんが帰ってくる!」というのでウォール街ではリサイクルのコピー紙などを切って紙吹雪の準備したりしています。ところがサンディエゴとかの基地の町では兵隊さんが帰ってくるので化粧品とかが飛ぶように売れているというニュースが流れたんですね。「これですかね?。」ハイテク相場に完全に置いてきぼりを喰った僕はフレデリックス・オブ・ハリウッドというイカガワシイ下着のカタログ販売をしている会社の株に目をつけました。「ウン、それ行ってみよう!」と僕のお客さん達も大乗り気。みるみるうちに買い注文も膨らんで、場伝が「フレデリックス・オブ・ハリウッドに100万のカイ!」なんて叫んでるのがスピーカーから聞こえてきます。そのうち「ジャップがフレデリックスを買っている!」という噂で提灯筋も乗ってきたりして、てんやわんやの大騒ぎ。


開戦前夜

90年代の初めイラクのフセインがクウェートを一夜にして占領し世界をアッと言わせました。その後、アメリカはサウジに着々と軍隊を送り込み、万全の反撃体制を敷いたのです。思えば投資銀行のトレーディング・ルームにCNNがつきっぱなしにされ、時事ニュースを横目で睨みながら株を売り買いするというのはあの時が始まりでした。「イラクの兵隊はイラン-イラク戦争で鍛えられているから強いぞ」という考え方が支配的でウォール街の投資家は沢山のアメリカ兵が犠牲になる事を覚悟しました。

このときの恐怖というのはちょっと筆舌に尽くしがたいものがありました。例えば、世界最大の銀行であるシティバンクが「本当に倒産するかもしれない」という戦慄が走ったのもあの頃です。当時、僕の居た投資銀行で銀行株のアナリストをやっていたフランクという奴はシティバンクの株が$12の時、買い推奨したのですが、アッと言う間に$8まで下がり(米国でコノ手の優良株の株価が一桁に下がるというのは大体、倒産を織り込む場合が多い)お客に沢山シティーの株を買わせたセールスマンは皆、阿鼻叫喚の世界でした。イーストサイドのトレンディーなクラブで会社のクリスマス・パーティーが催されたとき、彼が誰からも無視されて、ひとりぽつねんとカクテルを啜っていたのを今でも鮮明に覚えています。(彼はその後アライアンスという有名な運用会社の銀行担当アナリストに転じました。)
僕がサンフランシスコの小さい証券会社に勤めている頃、僕とそれから東京のオフィスの相棒の二人で細々とやっている時期がありました。その時の年間売り買いした株の代金が大体、1千億円超ですか。それでやっと二人が食っていける採算ベースだったと記憶しています。でも回りのセールスマンを見渡すとみんな自分の数倍やっていて、随分肩身の狭い思いをしました。

そりゃアメリカの機関投資家のサイズと日本の機関投資家のサイズを比べるとこれはもう全然勝負にならないですから当たり前なんですけどね。だから日本では「△△生命でございます」とか「○○銀行です」とか肩で風切って歩いている僕のお客さんもひとたびアメリカに来ると数のうちにも入らない「ゴミ投資家」になってしまうんです。

僕の言いたいことは上を見ればきりが無いということ。「このくらいの金額を運用しているから俺は証券会社に対して大きな顔できるぞ」という見栄えのいい金額なんて存在しないという気がします。

個人の場合も全く同じで100万円を株に投じるのも1億円を株に投じるのも大事なお金であることにはなんら変わりありません。応対する証券マンが自分のことを大事じゃないように感じさせるのがいけないのです。どんな小額を投資していようと恥ずかしがらずに胸を張って行動する事が上達する第一歩のような気がします。自分のことを誰かの本のように「ゴミ投資家」という風にレッテルを貼った瞬間に僕はもうその人はお金儲けする資格はないと思います。プライドをもって証券会社ののれんをくぐって下さい。(自営業とかで苦労している人は僕のこの考えに賛成してもらえると確信します。)
「ファイアーフォックス」を作ったモズィラのベン・グッドガーとダリン・フィッシャーがグーグルに入ったそうです。それでグーグルが「キラー・ブラウザー」を計画しているのではないか?という思惑が出ています。

さて、僕が面白いと思うのはこのモズィラの場合もそうですが、ブログが結構重要な役割を果たしているらしいのですね。(僕は機械オンチだから良く知りません。あくまで聞きかじり。)他にも大学の研究とかにもブログが良く活用されていると聞きます。僕は最初はブログは日記とかそういう若い人のコミュニケーションの場で、あんまりシリアスな話題は向かないのかな?なんて思っていました。でも或る日、「双極性障害はかつて躁うつ病と呼ばれた」という題のブログを発見して、余りにその内容が有益(うちのガルボはバイポーラーちゃんなのです)なのでちょっと思いつくところがあってこのブログをはじめたわけです。

その思いつくところというのは一言でいえば「徒手空拳で勝負する人たちのためになることをやろう!」という事です。

大体、機関投資家の世界というのは外から見ると閉じていてそのメンタリティーたるや陰湿そのもの。「どうせおめえらみたいな素人にはわかんねぇだろ?」というもったいぶった連中が殆どです。でも彼らは全員、会社の看板で相場張っている人たちなのでして、会社の名刺がなくなると自分では何も意見もなければ相場観もない人たちなのです。(ま、一部例外はありますが。)以前、是川銀蔵の本を読んでいて彼が機関投資家をボロクソにこき下ろしているのを見つけたのですが、彼の真意を汲み取るのに僕は10年以上の歳月を必要としました。(トロいのです、僕。)

そこで、「若し、機関投資家がやりとりしているような情報や議論がなんの編集や脚色もなく一般の個人投資家にタレ流しされたらどうなるだろう?結構、オモロイ事になるんとちゃうか?」というアソビ心が出て、敢えて難解な話題をそのまま殴り書きしてみることにしたのです。

従って、ここに書いていることは僕が日頃アメリカの同業者(ヘッジファンド・マネージャー達)と電話でダベっている議論をそのまま載せているのです。「なーんだ、結構、程度低いじゃん!?」と思われるのならそれはそれで結構。でも学生とかの若い人で「この世界、結構、イケてる」と興味を持ってくれる人とか居ると嬉しいですね。
年初から冴えない展開だったインド株、火曜日にボトムをつけて今週は+3%で終わりました。結構、頑張りましたね。

インドが出直っている理由は①決算がおしなべて好調だったこと、②2月に発表される来年度の予算に対する期待、の二つからです。決算面では以前、本ブログで紹介したようにインフォシス(INFY)に代表されるITアウトソース企業の決算が良かったことがインド市場が土俵際で踏ん張れた大きな原因でした。昨日は大手銀行、ステート・バンク・オブ・インディアが決算発表しています。トップライン成長は+8%、ボトムライン成長は+20%。ネット・インタレスト・マージンはほぼフラットなのですがバランスシートの両端がぐんぐん拡大しています。キャピタル・レシオは12%超ですからまだまだ成長の妨げにはなりません。思うにインドはまだまだバンキング・サービスのぺネトレーションが低く、いろいろな商品を消費者に提示してゆく余地が大きいのでしょう。
だた、前に本ブログで書いたように信用膨張を原動力に経済が拡大するというのは余り質の高い成長だとは僕は思いません。そういう意味では「半身」で乗りたい気がします。

一方、2月に発表される来年度の予算については目玉は租税改革です。多くの発展途上国がそうであるようにインドも先ずタックス・ベース(どのくらい幅広い層から税金を集めているか)が狭く、これが税収を弱くしていました。新しい予算ではVAT(付加価値税)を導入するなどの方法でこれを拡張することが予想されています。次に現行のインドの税制は節税のためにわざとビジネスを小さく分割するなどの歪みを助長してきました。これを改めることが検討されていると聞きます。政府の財政が弱い点がインドのストーリーのアキレス腱ですからこれらは基本的には市場に好感されるでしょう。

1月20日にブラジルの中央銀行(BCB)が金融政策委員会(COPOM)を開催、ベンチマーク・レートと50bp引き上げる決定をしました。このときの議事録が昨日公開されたのですが、その内容は大変インフレについてタカ派(つまりインフレ抑制派)的なトーンでした。「50bp程度の引き上げで収まってよかった。」と思わせる内容です。

この引き上げ、全員一致で決められたようで、今後もどんどん引き上げていくぞ!という意思がはっきり伝わってきます

僕は以前、本ブログで「ブラジルはベア・マーケット入りする」と書きましたが、基本、その考えに今も変わりはありません。ブラジルの株式市場は先日、CVRDが「鉄鉱石の価格を90%値上げする意向だ」と大見得を切ったので未だなんとか持ち堪えています。投資家のエクスペクテーションがこの90%という数字に釘付けになるのが僕には目に見えるようです。

ちょっと話が脱線して恐縮ですが、前、投資銀行に勤めていたとき、中間管理職研修と称して短期MBAコースみたいなのに放り込まれた経験があります。その時、HBSのデビッド・ラックスという先生に「ビジネス・ネゴシエーション」の理論について指南を受けたんですが、上記のCVRDのように高飛車に出て、最初に数字を相手の頭の中に印象付ける手法をAnchoring(投錨)と言うのだそうです。一方、顧客である鉄鋼メーカー側は「最大限で40%でも多すぎる」と主張しています。この場合;

40%<Ⅹ<90%

の範囲内でアンカリングが起り、最終的な落とし処がこの範囲を超える場合は大変少ないんだそうです。

それはビジネスの現場での話し。ところが株式市場ではどういう反応をするかというと90%と言われると、「90%ならインライン(予想通り)、90%以上ならポジティブ、90%以下ならディサポイントメント」、という風に織り込む筈。という事はCVRDの株はディサポイントメントが出るような形でセットアップされていると言えないでしょうか?。

(なお、この「ビジネス・ネゴシエーション」の講座での僕の成績はビリッケツでした。そりゃそうだ、選りすぐりの現役M&Aバンカー達としどろもどろの英語で学校でもろくに勉強できず落第点ばかりだった僕とでははじめから勝負になんないですよね。)


2005/01/28のBlog
よくサウジからアメリカ軍を引き上げたのはビンラーデンの、「サウジはアメリカに占領されている」という批判をかわしたいからだと理解されています。僕はもっと純粋にビジネスの利害だけを見て、アメリカが守るべきオイシイ権益とか利害がもうサウジに存在しないから、という点を見逃せない気がします。

つまり、米国とサウジは「お互い自由市場の参加者のワン・オブ・ゼムとして、第三国のプレーヤーと同じ扱い」を受ける間柄になっていると見れないでしょうか?。オープン・マーケットから買って来れる商品なら別に擁護する必要もないのです。国としてはもっと特別なヴァリュー・クリエイション(価値創造)の出来る地域にその政治的影響力や軍事的なリソースを傾倒するのは当然だと思います。
オイル・メジャーはそういうデッカイ油田で自分の持っている最高の技術とノウハウを駆使し、持ち前の組織力でロジスティクスなどの問題を克服し、さらにマーケティング・スキルでもってベストのプライスをその油田の共同オーナーに保証する、そんなディールを追いかけているのです。これはIRR(レート・オブ・リターン)というか、ハードル・レートにも反映されていて、一流のオイル会社のハードル・レートはやはり世界で最も高いです。つまり、「プロフィタブルじゃないとやる意味ない」という事。

株式市場との絡みで言うと、これはまさしくそのような「ハイリスク・ハイリターンの機会を追求して成功している企業」の株が最も人気を博しているんです。この例はBP、BG、ユノカル(UCL)、シェブロン・テキサコ(CVX)、エクソン(XOM)などですね。

ここで地政学の話に入ってゆくわけですが、今、世界のそういう「デッカイ油田」を見ると実にその80%が非OPECなんです。カントリー・リスクの高い国ばかりだという見方も出来ます。アメリカは冷戦時代、ソ連の事を物凄い悪者のように言いましたが、リビアやイランに対するアメリカのレトリックもこの「雪解け前のポーズ」ではないでしょうか?。

最近、原油価格が高いのでカナダのオイルサンドや品質の悪いヘビー・オイルを作っている会社の株も人気のようです。これらの多くは政治リスクの低い国で、しかも技術面でのリスクも低いです。そう言うと良いように聞こえますが、実はインベストメント・リターンを見ると大変お寒い数字なんですね。間違ってもそういう銘柄に投資してはいけません。残飯ですよ、残飯。

それから僕がシノペックとかにもあまり感心しない理由は同様にハードル・レートが無茶苦茶低いのが理由です。これがどうしていけないのか説明するのは大変難しいのですが、喩えて言えば1980年代に日本の銀行がバブルでちやほやされていた時、BIS基準とかで見ると中身は結構お粗末でした。株式の持ち合いを資本に算入したりなんかしてネ。でも薄利多売の悪癖が骨の髄まで沁み込んでましたから信用リスクの分析とか採算性の分析とかできる奴が行内に居なかったんですね。それと同じような「強さの幻想」に惑わされているのが今の中国の石油会社です。

「問題ある国々」のファンダメンタルズの変化とは、つまりこれまでの「一番汲み上げやすい油床から手当たり次第石油を汲み上げる方法」が壁にぶつかっているという事だと思います。この方法は長期的なリソース・マネージメントの観点からすると大変、害のあるやり方で、下手をするとちょうどソ連崩壊直前のバクー油田のように一夜にして西部劇のゴーストタウンみたいになってしまう危険があります。

今のリビアなんかその典型じゃないでしょうか。イランもそんな風になりつつある兆候が僕には感じられてなりません。今、かれらに必要なのは欧米の最先端の石油探索、生産技術なのです。

一方、オイル・メジャーの立場からするとそういう「問題ある国々」との商売はむしろサウジなどのスレた相手よりも歓迎だと思います。サウジ・アラムコはもともとアメリカの石油会社が手取り足取り指導して育てた企業ですが、今では技術的にもノウハウ的にも人材的にも外国企業の手助けを一切必要としません。とりつくシマがないのです。

オイル・メジャーは自分達の技術が歓迎され、感謝される場所で仕事したいと思っています。出てゆく側も、受け入れる側もお互いにメリットがあるからこそ長期にわたって維持可能なビジネス・パートナーシップが築けるのです。それではオイル・メジャーの能力が歓迎される場所というのはどういうところかをもう少し綿密に見てみると、それは大油田であるケースが殆どです。なぜなら今日の世界の大油田はいずれも開発リスクが最も高く、しばしばオフショアなど技術的に高度なものが要求される油田が多いからです。

今、潜在性で世界のトップ油田を列挙すると;

カシュガン(カザフスタン)
テンギス(カザフスタン)
カラチャガナク(カザフスタン)
ボンガ(西アフリカ)
サハリン-2(シベリア)
コヴィクタ(ロシア)
タングー(インドネシア)
ACG(アゼルバイジャン)

という風になります。これらの油田、ガス床は現地政府のノウハウだけではどうにもならない相手なのです。

いよいよ今週末ですね、イラクの暫定国民議会の選挙。

欧米の投資家の不安は極点に達しつつあります。その意味ではひどいことになっても織り込み済みでしょうから僕は案外市場の混乱は小さいと思います。

さて、イラクで民主的に選ばれた代表が憲法制定にむけて動き出すならば、結構、周辺諸国、或いは産油国の為政者に与えるインパクトは大きいのではないでしょうか?。ちょうど、第二次大戦後、植民地が独立しはじめると次々に雪崩を打ったようにナショナリズムの嵐が世界を包んだようにコンディ・ライス国務長官の言うところの「自由体制の擁護」が新しいトレンドになることもありうると思います。

これについては「イスラムには民主主義はそぐわない」とか、いろんな意見があると思います。僕もイスラム圏で暮らした経験がありますからその主張はよくわかりますし、以前なら「うん、そうだね」と同意していたと思います。でも今はちょっと考えが変わってきました。その理由は「悪の枢軸」などとレッテルを貼られた所謂、「問題ある国々」の経済のファンダメンタルズが激変したのを僕が感じるからです。それは喩えて言うならちょうど1988年頃のロシアの状況と酷似していると思います。



[ 09:58 ] [ アメリカ株 ]
今日引け後、プロクター&ギャンプル(PG)が株式交換でジレット(G)を買収する意向があるとウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。金額的にはUS$55Billion程度。全然、情報が無い状態でサラサラッと計算した感じではジレットの今日の引け値より20%程度のプレミアムのオファーです。株式交換ですからP&Gの株価は下がる可能性があります。従って、ジレット株は明日せいぜい+$6くらいが限度かな?。

既にPE的にもジレットの方が高く、収益性など全ての面でジレットの数字の方がいいですから、どうやってこのディールをアクリーティブ(合併後のPGの一株あたり利益を合併前のそれより良くする)にするのか、ちょっと戸惑っています。

ま、それはさておき今日は寄り前にSBCがAT&Tの買収を考えているという報道もあり、またまたM&Aのニュースが賑やかになってきています。

以前のブログにも書いたように景気の拡大の頂点を極めた後の現在の局面というのはM&Aが起りやすい環境だと思います。これが株式市場の下支えになってくれるといいんですが。それと経営者のマインドが積極的になってきている事を再度、指摘したいと思います。これは米国内の設備投資にとってプラスです。僕はその意味でハイテクの企業向け市場に関しては楽観視しています。

今後、注目されるのは日用品、食品株、薬品株などでM&Aが起るのではないか?という事ですね。日用品、例えばニューエル・ラバーメイド(NWL)なんてとっくの昔に吸収されているべき会社ですし、最近業績の悪い薬品株もSG&Aとかいまだにブヨブヨに肥大していますからM&Aやると良いと思います。
ルクオイルが同社のブランドを冠したガソリンスタンドを米国で展開すると発表しました。冷戦時代には考えられないことですね。

ルクオイルは既に旧ゲッティー・オイルのガソリンスタンドのフランチャイズと旧モービルのガソリンスタンドのフランチャイズの一部を傘下に入れています。ただ、これまでは昔のブランドをそのまま使ってきました。ご存知のようにゲッティー・オイルは1984年にテキサコに買収され、モービルは90年代にエクソン傘下に入っています。ガソリンスタンドはその地域によって市場占有率が高すぎると独禁法の関係で買えないので、強制的にスピンオフされます。それでゲッティーやモービルのブランドネームを冠したガソリンスタンドだけが抜け殻のように生き残っていたわけです。

ルクオイルの経営者は「アメリカに来ると他のいろんなブランドは目にするのにわが国のブランドが全然ない。これは残念だ。だからルクオイルのブランドをアメリカの土地に掲げたい」と言っています。ニュージャージーでゲッティーのブランドのガソリンスタンドを経営していたフランチャイジーはブランドをルクオイルに変えたとたんに売り上げが40%も激減したんだそうです。でもそれは最初だけで、ゆくゆくはこの「赤いブランド」がアメリカ人にも浸透すると売り上げも戻ってくるでしょう。

ルクオイルのもうひとつの意図はルクオイル・ブランドを今からアピールしておき、最終的にはルクオイルのADRをNYに上場したいという夢があるのだそうです。こいつぁ人気が出そうだぜッ!

「逆張り」という言葉があります。

相場をやりはじめて日が浅いとどうしてもこの概念が上手く呑みこめません。僕も最初に証券会社に入ったとき、なぜ他人の逆をやれば儲かるのかということが全然わからなくてカリカリ来たことがあります。

この概念を理解するには自分の持ち株のことについてちょっと思いを巡らせると良いと思います。例えば自分が限られた投資資金の中からソニーの株を買ったとします。買った後でソニーの株が下がり、「今、買い増しすればきっと儲かるだろうな」と思っても資金が尽きているのでそれ以上は買えないというケース、心当たりありますよね?。

既にソニーの株を持っている以上、自分に出来ることというのはソニーの株が上がる、下がるに関係なく、ソニーの株を売ることだけなのです。つまり、自分の意見や相場観ではなく、自分のポジション(ソニーをロング=買い持ちしている)こそが次の行動の決定要因なのです。

これは何も投資資金の限られている個人投資家だけにあてはまることではなくてプロだって同じです。その証拠にゴールドマン・サックスの伝説的なトレーダー、ロバート・マニチンも「ベスト・ポジション・イズ・ノー・ポジション」という名言を残しています。

米国には「プロ投資家の強気弱気指数」というのがあります。これはニュースレター屋が相場に対して強気に見ているか弱気に見ているかを集計して、「強気が多ければ売り、弱気が多ければ買い」という逆指標につかわれているのです。
しろうとじゃなくてプロですよ。つまり、プロでも間違う事はありますし(というか間違ってばかりいるのですが)、そもそもプロの意見なんて関係ない、彼らが強気と言っているのであればポジション的には既に買い建てしてあるだろうから次のアクションは売りしかない、というのがこの指数の極意なんです。

さらに「ショート・インタレスト」というのがあります。所謂空売り比率です。空売りの上手な人も居れば下手な人もいるでしょう。でも絶対確実なことは「空売りのポジションを建てれば何時かは買い戻しをかけないといけない、という事。つまり将来のバイアスとしては買い圧力の方が多いのです。こういうのを相場の「取り組み」というのですがヘッジファンド・マネージャーはこの取り組みを大変重視します。


今日、ここで書いたことについて凄く良く説明できている本があります。それは清水一行という作家の「買占め」という本です。日本の証券マンとか機関投資家でこの本を読んだことの無い人は「もぐり」です。その本の中で主人公が次のように言うくだりがあります:

「解決を考えない相場なんて一体存在するのだろうか?」

これは主人公が買占めの資金を出してくれている銀行の頭取に「解決は考えなくて良いぞ」と言われて、本能的に危険を察知する場面なんですね。まあ、一度読んで見て下さい。深いですよ。


2005/01/27のBlog
三星電子とLGフリップスLCD(LPL)が17インチのモニターの価格を値上げすることを試みているらしいです。液晶パネルとか半導体とかは毎年、価格が二桁くらいずつ下がるのが当たり前ですから、逆に値段が上がるというのは大変なことなのです。僕の長年の経験ではこれらのシクリカル性の高い分野で値上げの話が持ち上がったとき(サイクルのどん底のボロボロの時が多いのですが)にその株を買うと面白いように儲かりました。

問題は今回の値上げトークがただの「騙し」か、ちゃんと実現するかという点です。僕は後者を取ります。その理由はクリスマス商戦でちゃんとデマンド・エラスティシティー(値下げによって需要が喚起されること)が起ったこと、これが一番大事です。そして、商品が上手く捌けたので在庫が払底していること。さらに去年の血みどろの価格下落で17インチの場合、キャッシュ・コスト(製造原価)より工場出荷価格の方が下になってしまっているという事。液晶各社は「これじゃ堪らん」という事で設備投資計画を次々キャンセルしました。(この設備投資計画が続々キャンセルされているときに株を買うといかにオイシイかという事はやってみた事のある人じゃないとわかんないでショ。)

銘柄です。台湾のAUオプトロニクス(AUO)、韓国のLGフィリップスLCD(LPL)。この両社がやはりベストですね。

台湾セミコンダクター(TSM)はアジアのハイテク企業の中でもやはりダントツの部類に入ると僕は思います。短期的にはこの会社、チョクチョク経営目標を下回ったりするんですが(半導体ファウンドリーという業種自体、凄く難しいビジネスだと思います)、長期での同社のトラック・レコードは誰も異論の余地は無いことは数字が物語っています。そういう意味ではデル・コンピューター(DELL)なんかと同列で賞されるべき存在ではないでしょうか?。

さて、その台湾セミコンダクター、僕は買い場が到来していると思います。昨日、同社の第4四半期決算が発表になり、ほぼ市場予想通りの決算でした。売上高は第3四半期に比べて-8%程度、EPSは-20%程度です。悪い数字が出る事は皆承知だったのでむしろほっと胸を撫で下ろすといったところでしょう。

僕が台湾セミコンダクターが面白いと思う理由の一番目はASP(平均販売単価)が+1.7%と上昇したという事、次に工場の稼働率が88%だったという事。これらの数字は今、半導体産業がシケた環境にある中では注目に値するデータ・ポイントです。それから台湾セミコンダクターは今年の設備投資計画を発表しており、US$2.5から2.7Billionを投下すると発表しています。これはアナリストの予想数字よりかなり多い数字です。よく「人の言っている事を鵜呑みにするのではなく、やっている事をじっくり観察しろ」と言われますが、半導体のビジネスほどそれが当てはまる産業はありません。「業績が良くなる」と言う会社は沢山ありますが、その実、本人は確信が持てないので設備投資はへっぴり腰になるなんてケースです。そこへゆくと台湾セミコンダクターやインテルの購買計画というのは相当な時間と労力をかけて決めてゆく性格のもので朝令暮改に変更されません。今後、台湾セミコンダクターの稼働率がどんどん落ちるような予測なら設備投資を積み増すことなんてしないと思うんです。

最後に同社のヴァリュエーションですが、今年のEPSに対して大体、15.5倍のPERです。これは過去の同社のヴァリュエーションでは最も割安な部類に入ります。去年までは同社のADRはローカル・シェアに対して20%以上のプレミアムが付くこともしばしばだったのですが、今は2.8%程度にまで下がっています。これはアメリカの投資家が同社の株を持っていないことを意味します。でも、ひとたびサイクルが好転したと判れば、誰もが先ずいの一番に買う株が台湾セミコンダクターですから今から網張って待っていてもちょうどいいタイミングでしょう。

2005/01/26のBlog
先日発表になった中国のマクロ経済統計は:

GDP(第4四半期) 9.5% (予想は8.9%~9.0%だったと思います)
CPI (12月) 2.4% (4ヶ月連続下落)

でした。

僕の解釈はこれだけ中国経済がブームになっているのにCPIが坂道を転げ落ちるように下がっているのが先ず第一番目に気になります。確かに去年夏まで高騰した食品価格の一服という好材料が指摘できますが、この食品やエネルギーを除いたCPIは実際はマイナス成長なのではないかしら?。

今、投下される投資資本に対するリターンは大きな改善を見てないと思いますからCPIが下がっているのはアメリカの1990年代後半のような「労働生産性の向上」ではなく、中国国内の過剰設備投資、そしてそれが引き起こす熾烈な過当競争が原因のような気がします。

前にも本ブログで書いたと思いますが、コスト・オブ・キャピタルが低いときというのは経済が素晴らしい成長をしやすいときです。企業も思う存分、新しい投資、リスキーなプロジェクトに積極的に取り組めます。しかし、光ファイバーに対する過剰投資の例を引き合いに出すまでも無く、コスト・オブ・キャピタルが低いときというのはとんでもないお手つきをやらかすリスクの高いときでもあるんです

今、中国の金利とPPIを引き算して、実質金利を計算すると、いまだに実質金利は-2%近辺にあります。つまりコスト・オブ・キャピタルが安すぎるわけです。キャピタル・ミスアロケーション(資本の誤った配分)を助長するような政策が全然改まってないわけです。

僕は人民銀行の偉いサンは次のようなことを考えているのじゃないかな?と想像します。:

①中国政府は上記のような議論はよく承知している。
②でも過当競争、価格破壊からくる自壊サイクルは既に始まってしまっている。
③ここで政策を大きくいじれば儲からなくなった民間企業が雇用をストップするので農業部門、政府系企業から大量に放出される労働力を吸収する受け皿がなくなる。
④若し、民間企業で潰れるところが出れば、ただでさえボロボロになっている銀行セクターが大きなダメージを受ける。
⑤今年、銀行セクターが海外での公募を完了し、バランスシートの補強が終わってからでないと無理は出来ない。
⑥だから、今は人民元の切り上げは論外だ。

話はちょっと飛びますが「ハイハイQさん」のホームページで僕が最も勉強になると思うのは「株でウン億円儲けた」とか吹聴しているコラムニストや「中国情報の権威あるソース」と言われる情報提供会社の偉い方の書いたものではなく、実際に中国で中小企業を経営しておられる柳田洋さんのコラムなんですね。彼が最近のコラムで「中国で暴動頻発!」という記事を書いておられますが流石です。これこそが今の中国のマクロ経済政策を歪めている根本的問題で、投資家が細心の注意を払うべきイシューなのです。

フランス革命に関する考察でアレクシス・デ・トクビルが言ったことは「社会不安の起る最も危険な瞬間というのは庶民が一番貧困化した時ではなく、むしろ景気が良くなったあと、庶民のエクスペクテーションが高くなり過ぎ、現実の遅々とした改善ペースに不満が高まった時だ。」

中国の為政者は昔からフランス革命を丹念に研究する伝統がありますから、このへんの教訓はしっかりアタマの中に叩き込まれていると思います。



ひと昔まえなら考えられないプロジェクトが動き始めています。ウォール・ストリート・ジャーナルによるとイランがインドに液化天然ガスを供給する契約をするにあたって、イランからパキスタンを貫通して直接インドに抜けるパイプラインを敷いたらどうか?という案が出ているらしいです。プロジェクトの工費はUS$4Billionと伝えられています。BHPビリトン(BHP)、ロイヤルダッチ・シェル(RD)らがそのプロジェクトに一枚かみたいと申し入れているらしいです。

パキスタン、インド両国の過去の関係を知る人にとって、これは本当に信じられない提案ですね。両国は「インデラ・ガンジーのこころのふるさと」である風光明媚なカシミールを巡ってずっと対立してきました。流血事件も沢山起っています。しかし、最近、両国の関係は雪解け期に入っているように感じられます。先日紹介した、ガスプロムの北朝鮮のパイプラインの話と同様で、天然ガスというのはパイプラインで送るのが一番、経済効率がいいんです。若し実現すれば、イラン、インド、パキスタンの3者とも多大な恩恵を被るでしょう。

銘柄ですが、パキスタンをプレイすることの出来る株は僕の知っている限りではミリコム(MICC)のみです。これ、発展途上国の携帯電話のオペレーターですが、特にパキスタンに強いです。それから、世界のあちこちでパイプラインの話が持ち上がっています。こちらで恩恵を被るのはアルゼンチンのテナリス(TS)です。この会社、傘下に旧NKKの鋼管部門を持っています。ここ数年で随分、いい会社に成長しました。
2005/01/25のBlog