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林材ライター 赤堀楠雄 の「見てある木」
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2007/08/28のBlog
一昨日の土曜日は月1回の定例山仕事活動日。今回の作業は下刈りだった。場所は奥多摩・白丸。数年前に山仕事仲間がイロハモミジ、ヤマボウシ、ナツツバキ、ヤマザクラ、ナナカマドを植えたところで、夏場は雑草が生い茂っている。放っておくとせっかく植えた木が枯れてしまう(ナナカマドとヤマザクラは草のせいというよりも土が合わないのか、ほとんど全滅)。前回7月の活動日もここでの下刈りだった。今回はその残りを刈った。

作業したのは友人2人と私の3人。ひとりは刈払い機をもっているが、私ともうひとりの友人は大鎌での作業だ。私の鎌は2、3年前に信州鎌の産地として有名な長野県信濃町で購入した手打鎌で、切れ味もさることながら長めの柄が気に入っている。柄が長いとハチや蛇とまともに出会う確率がほんの少しだけだが小さくなる。今回もハチの巣がついた草を気づかずに刈ってしまったらしく、黄色いハチがワーと飛び出してきたが、すぐに気づいて身を引いたので刺されずに済んだ。

きょうび、プロの林業者で下刈りに鎌を使う人などはいまい。鎌ではとても仕事がおっつかないからだ。でも私は素人だし、現場に毎日入るわけでもないので、昔の人と同じように鎌で刈る。多くても月に2、3回の作業だが、手の延長のような道具で作業をしていると、草や潅木の手ごたえの違い、鎌の振るい方による作業効率の違い、研ぎの巧拙による切れ味の違いなどが少しずつわかってくる。人と自然が正面から向き合う林業の大本に少しだけ触れたような気にもなる。 真夏の太陽にジリジリ焼かれながらぼんやりとそんなことを考える。衣服は水をかぶったように汗でびっしょりになっている。
水を十分に含ませた砥石をビニール袋に入れて持ち歩き、休憩のときに鎌の刃を研ぐ。切れ味がいっぺんに上がって、そんなに力を入れなくてもざくりとまとめて草が刈れる。写真上は作業前、下は作業後。「坪刈り(つぼがり)」といって、木の根元を中心とした部分だけを集中的に刈った。携帯で撮った写真なのでわかりにくいが、下の写真では雑草を刈ったことで手前と奥の2本のイロハモミジが姿を現している。
それにしても、上の写真の状態のとき、そこに踏み込んで草を刈ろうなんて、コンクリートの上しか歩いたことのない人はとても思わないだろう、なんてことを作業に取り掛かる前にふと思った。

2006/11/12のBlog
先日、ある木造住宅フランチャイズに加盟している工務店を取材したときの話。

そのFCは外断熱工法による高気密高断熱がセールスポイントで、特に気密性については、全棟平均でC値(単位床面積あたりの隙間面積)が0.25㎝2/㎡と非常に高い水準であることを強調している。省エネ機構が定める高気密住宅の基準がC値=5.0㎝2/㎡だから確かに相当なものだ。そのFCのHPによると、床面積150㎡の住宅を建てた場合の隙間の合計は、わずかに名刺1枚程度だというから驚いてしまう。

取材はFC加盟のメリットとデメリットを聞くのが目的。高気密住宅の評価は関係ないので、話をスムーズに進めようと、「気密性がすごく高いそうですね」とまずは持ち上げてみた。ところが先方の反応は予想外で、「いやいや。そりゃあ確かに高いけどねぇ」と自嘲気味の答。

「だってC値が平均0.25だって聞きましたよ」
「まあね。でも、そうするのも大変なんですよ」
「やっぱ窓まわりとか苦労するんでしょうね」
「だから、なるべくフィックスの窓にするようにオススメするんですよ」
「えっ? じゃあ、換気はすべて機械換気にお任せってことですか?」
「全部がフィックスじゃないけど、まあそれに近い感覚かなあ」

しばし絶句。

その後は本題に入って取材自体は滞りなく済ませたものの、嵌め殺しの窓を増やして気密性能を上げようという発想には、あきれ果ててしまった。自分ならそういう家には絶対に住みたくない。想像するだけで息がつまり、窒息しそうになる。

世間では高気密高断熱住宅がもてはやされているが、高断熱はまだしも、高気密というのはどうなのだろう?

ある人から教わった例え話だが、これが家ではなく、布団だったらどうか。綿布団や羽毛布団は空気層がたくさんあるから断熱性が高く暖かい。これは納得。経験上もわかる。でも、布団をビニルコーティングして気密性を高めるなんて話は、とんと聞いたことがない。もし、そんな商品が発売されたとしても、布団の中で蒸れてしまい、とても眠ってなんかいられないのではないか。そうやって考えてみると、住宅でもあんまり気密性を高めても仕方ないんじゃないのと思ってしまう。

夏でも冬でも朝起きたらまず窓を開け放ち、外気を室内に取り入れる。これが習慣化しているし、何よりすがすがしく気持ちがいい。それなのに自然な通気はシャットアウトし、機械換気だけに頼るだなんて。ああ、考えただけでも気持ち悪い。そんな住宅の人気が高いとは、この国の住宅市場はいったいどうなっているのだろう?
2006/10/30のBlog
[ 23:53 ] [ 森と木 ]
10月20日、能代市内の銘木センター。
市が終わったばかりということだが、案外、
まだ製品が多く残っていた。売れ行きがそれ
ほどでもなかったのか。
秋田杉といえば、代表的な製品は「2分3厘」
の代名詞で知られる7㎜厚の天井板だ。
木目の良い天井板を取るため、地元の
工場は製材技術に磨きをかけた。
ところが最近の売れ線はこうしたフリッチ。
突き板を取るための盤だ。薄くスライスして
何枚もの板を取る。資源の有効利用という
面もあろうし、薄くスライスする技術も大変
なものだが、やはり味気ない。といっても、
庶民の家では、無垢の2分3厘など高価で
手が出ない。合板に突き板を張った張り天
(張り天井)がほとんどだ。普通の家で、
節のないきれいな木目の天井板が何枚も
連なっているのは、張り天だと思ってまず
間違いがない。
それにしても、さすが秋田。こんな幅広の
板がいくつも無造作に展示されている。
昔はこうした製品がいくらでもあったのだろう。
かつては「木都」(もくと)と呼ばれ、一大
木材集散地だった能代。往時には比べる
べくもないとはいえ、今でもスギのメッカで
あることに変わりはない。品質の良いものは
今もここをめがけて集まってくる。つまり、
全部が秋田杉というわけではなく、他地区の
ものも少なからず混ざっている。品札に
「天然秋田杉」と書いてあるのはもちろん
秋田産。ところが単に「天然杉」と書いてある
ものもあり、これは他地区からの流入品と
見分けが付く。どちらにしても逸品ではある。

ただ、こうした製品の多くは、割れ防止の
ボンドで固められていたり、防カビ剤が
塗られていたりで、けっこう臭う。割れやカビは
銘木の価値を一気に落としてしまう。だから
仕方ないとはいえ、せっかく自然からのすばらしい
贈り物なのに、ちょっと残念な気もする。
2006/10/29のBlog
10月25日のブログで紹介した窓山を気に
入り、リタイア後にはここに住もうと計画
している人がいる。
それがこの人、マシモさん。アウトドア専門の
ツアーコンダクターをなさっていて、年に何回
もカナダやアラスカ、サハリンなどの大自然に
おもむく。後ろに見える丸太小屋は、マシモ
さんの手作り。これは作業小屋で、家は別に
もっとちゃんとしたのをつくる計画とのこと。
マシモさんの小屋の屋根にハシゴがかかって
いたので、僕を含め、何人もが屋根に上って
眺望を楽しんだ。一番最後まで屋根にいたのは
この人。シルエットで誰だかわかれば、あなたも
相当な木の家ネット通。
2006/10/28のBlog
吉野林業のメッカ、奈良県川上村の
吉野杉。吉野林業は500年の歴史が
あるとか。人工林施業の草分けだ。
この森もすべて人が植えたもの。樹齢
250~300年という大木が林立する。
昨日のブログで紹介した秋田の天然杉
と明らかに林相が異なるのがひと目で
わかる。天然杉は他の植生がかなり
混ざっていたが、こちらは人工林らしく
手入れがきちんとされているということ
なのか、杉の他に木らしい木は見当たら
ない。もともと1haに1万本も植えて、綿密に
手入れし、抜き伐りを繰り返してここまで
きた。他の木は排除しながらやってきた
わけだ。ちなみに日本3大美林は秋田杉、
青森ヒバ、木曽ヒノキだが、吉野杉も
「三大美林のひとつ」と言われることが
ある。その場合は「人工林の3大美林」
なのかと思うが、他の2つはどこなのだろう。

2006/10/27のBlog
[ 02:52 ] [ 森と木 ]
能代市水沢の天然秋田杉保護林。
樹齢200~300年の天然秋田杉が
林立している。日本三大美林のひとつ、
天然秋田杉だが、実は人が植えたのでは
ないかという説もある。でも、これだけ
年数が経っていればどっちでもいい。
日本を代表する銘木である。
この美林も過度の伐採がたたり、資源的
には減少が著しい。平成19年度いっぱいで
伐採をやめるという話だ。
ただ、これまでもそうだったが、業界の反対で
多少先延ばしになりそうだ。秋田の木材業界は、
この優れた資源に頼りすぎたので、時代の
変化に対応できず、他産地に後れを取った
という見方もある。
この水沢の林は、実はたいした木が
なかったから残されていたという面も
あるらしい。昔はもっとすごい森が米代川
流域の至るところにあったのだそうだ。
各支流ごとに微妙に品質が異なり、
それを管理する営林署も支流ごとにあった。
米代川流域は全国でも営林署の過密地帯
として有名だった。今は営林署も2つに統合
され、名前も森林管理署に変わってしまった。
日本でもっとも背が高い杉とされる
「キミマチスギ」。樹高は58m、胸高直径
164㎝、推定材積はこれ1本で40m3。
ここの森には大きな木にいろいろな名前が
付いていて、「アキタビジンスギ」とか
「モックンスギ」とかがある。ネーミングの
センスとしては・・、コメントは控えよう。
ネーミングはともかく、いただけなかった
のは、この看板。柱は防腐薬剤が注入
されたベイツガが使われている。いわゆる
ツガの防腐土台をどっかから持ってきて
使っている。ここに外材のしかも薬剤が
注入された木を使うセンスにはまったく
首を傾げたくなる。さっさと取り払うべきだ。
2006/10/26のBlog
22日には白神山地に入った。
もう10年も前に青森県側のコア地域で
登山したことがあるが(正規に入山した
もの。念のため)、秋田側は初めて。
この写真は青森県境。落葉広葉樹と
天然秋田杉、青森ヒバの混交林。
青ヒバが混ざるところが、この地域らしい。

別の沢に入るとブナの純林。
でかいのも小さいのもある。
何かのかげんで、でかいのが倒れると
小さいのがようやく育ちはじめる。
落ち葉も落葉樹林の魅力のひとつだ。
これが養分になってまた森を潤す。
何枚も何枚も重なる落ち葉を見ていると、
ありがたいなという気持ちになる。
この森はもともとは伐採される運命だった。
地元の反対で中止になったのが1972年。
その前に行われていた収穫調査(伐採する
木の内容を事前に調べること)で、この木は
「用材」(建築材)になると判断された。その
ことを示す「用」の字が今も幹に残る。

それから30年以上が経ち、木も太った。
鉈で刻まれた「用」の字は、木が太った
ために縦の線が横に引き伸ばされている。
横の線がそれほど伸びていないのは、
上にはあまり成長しなかったためだ。
ブナの実を狙って木登りした熊の爪あと。
上の写真の爪あとは登りのとき。下の
写真は下るとき。下るときはずるずると
ずり落ちる感じなのだろう。爪あとが下に
向けて引き伸ばされるようについている。
2006/10/25のBlog
久々のブログ。写真中心で足慣らしを。

10月20日~22日に秋田県の米代川流域に
行ってきた。そのときの写真をいくつか。

ここは能代市(旧二ツ井町)の窓山という集落。
その名のとおり、山中にぽっかりと空が開いた
ような平場が広がっている。
空はとっても広い。眺めは最高だ。奥に見える
のは白神山地か。


住居数は5軒。しかし、現在、人が住んで
いるのは1軒だけ。それも80歳を超えた
高齢の男性がたった1人で住んでいる。

この崩壊寸前の集落を再生しようという
プロジェクトが動き出そうとしている。
住民を増やすのは無理としても、人が集う
場所にしようと、里山としての魅力を高める
ためのプランを練る。

まわりの森を少し歩くと、こんな美しい沼もある。
自然の魅力はたっぷり。そこにどうやって手を
加え、いろんな人がこの地と関わり合いたいと
思えるようにしていくか。先々が楽しみだ。

ただ、個人的には、今のままの姿のとき、
キャンプでもしに来て、自然の真っ只中に
いる心細さと、冒険心の疼きとを感じながら、
ここでどんな生活が営まれてきたのかを
ぼんやりと想像して時を過ごしてみたい。
2006/02/20のBlog
別のところにも書いたことだけど…

最近は、役所が法律をつくったり新しい規制を課したりするときに、それぞれのHPでそれらの内容を事前に公開し、国民からの意見を受け付ける「パブリックコメント」が必ず行われる。これが「国民の意見は聴いてます」というポーズになる。

だけど、必要な情報がネットに流れてるかどうかなんて、どうやったらわかるのよ?結局、自分で探し出すか、マスコミに報道してもらうしかない。自分で探すというのも、ネットのおかげで、それができるようになった(役所がネットに公開するのが常になった→だから一応は情報を探し出す道筋だけは付けられている)わけだけど、実際はかなり大変でしょ。

ネットが普及→ネットに公開すれば、それが「情報公開」→HPにこっそり公開されただけでコトが進められる

これって何かヤバくない?

マスコミもウケる情報しか流さない。
よくひどいな、と思うのは、スポーツで日本人選手の活躍ぶりだけ伝えて、試合の結果の報道がおろそかになっていること。オリンピックやメジャーリーグはさすがにそれはないけど、普通の大会だとそういうことがけっこうある。「モーグルの○○大会で上村愛子選手が○位になりました!」、フーン、で、誰が優勝したんだろうって次のコメントを待ってると、そのまま次のニュースに移っちゃう。優勝したのは知らない選手かもしれない。でも、一応は固有名詞(名前)を聞いとかないと、何か物足りない。試合なんだから勝者がいるはずなのに、その事実が伝わらないから、情報としての収まりが悪い。それと、報道する側が「どうせ名前を言っても知らないでしょ」と、高をくくっている、その姿勢も気に入らない。

マスコミの姿勢について、もうひとつ。
昨年末にアメリカ産牛肉の輸入再開が決まったとき、NHKのニュースでは、政府の案(いつから再開、どんな条件等々)をひとしきり説明した後、「パブリックコメントを経て正式決定の運びとなります」と伝えていた。
「おいおい、パブコメって単なる手続きなのかよ。反対意見が殺到しても、『正式決定』になっちゃうわけ??」と、腹が立ったが、実際、その通りなんだと思う。パブコメの意見なんか役所はろくに取り入れない。
が、しかし!
それをそのまま伝えるマスコミの姿勢って何なの?批判精神のかけらもない。ひどい迎合じゃないかね、これは。結局、ふだんから迎合していて、でも表面的には批判的な姿勢をつくろっているんだけど、たまにチラッと本当の姿が出てしまう、と、こういうことなんでしょう。何て頼りにならないことか!

ネットやマスコミに頼ってて、それでいいなんて思ってると相当ヤバい。

・・と言いつつ、自分もマスコミの側(末端だけど)にいるので自戒しています。


2006/02/09のBlog
(財)日本木材総合情報センターが「木のある暮らしとわたし」というテーマで原稿を募集している。字数は1200字程度で、木と関わりのあることなら、どんな内容でもいいそうだ。応募者から毎月1名の原稿を選び、同センターが毎月発行している「木材情報」に掲載するとのこと。採用者されると5,000円の商品券と木製グッズがもらえる。
詳しくはこちらへ
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