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世界読書放浪
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2008/05/16のBlog
前に「初代大使の見たカザフスタン」ってヤツを読んだが、こちらは前大使のヤツらしい。この人もカザフスタン大使で上がりとなって、天下りの身らしいが、退官記念ものとしては意外に良い出来の部類ではなかろうか。宮仕えではなくなった気軽さからか、割と自由な記述が目立つ。中身的には王道で、地理、歴史、文化、政治、経済、地方、国際、そして対日と通り一辺倒ではあるのだが、本題から外れることは「蛇足ながら」で繋いでいて、この辺は好感が持てる。ギリシャ系が5000人もいて、ギリシャ大使館のレセプションに駆り出されたりしてたなんてことは、あまり知る余地もないことなのだが、そうした知られざる多民族国家の言語事情などは参考になった。この件に関しては、BSの小池A子が出てる世界のテレビを紹介する番組でも確認したことなのだが、若い人の間ではカザフ人同士でもロシア語会話が普通らしい。歴史的にも台湾の「国語」に近い事情なのだが、非カザフ、非ロシア系も少なくないということが、共通語としてのロシア語の地位が揺らがない要因になっている様だ。とはいえ、スラブ系住民の地盤低下は著しく、下層階級を形成しているというのは何か意外な気もする。ソルジェニーツィンとジリノフスキーが共にカザフ北部のロシア編入を訴えているというのも意外だが、カザフ・ナショナリズムに依拠した国民国家建設は国の崩壊を招くものであるのだろう。また、大使館アスタナ移転話なども興味深いが、国際関係もかなり整理できる。しかし、上海協力機構の「上海精神」の「翻訳」には笑った。まあこういう国際規約は現場では「翻訳」して読むものだろう。水谷尚子さんの本にも依拠している箇所があったりするのだが、大使館は在カザフ・ウィグル人組織と何か接触があったのかな。かなり同情的なので、それはそれで結構なことなのだが。
アダム・スミスというと「国富論」ということで、もっぱら経済学者というイメージで、「国富論」がそうである様に、今日の経済学の祖であるのだが、それまでの「国富論」以前の「経済学」がない時代に、この人は何をしていたんだろうということは、あまり考えたことがなかった。アダム・スミスの著作はわずか2つしかなく、一つは経済学の嚆矢であり、もう一つは倫理学の本だという。つまりアダム・スミスは大学で倫理学を教えていたということなのだが、その著作が『道徳的感情論』というものらしい。その二つの著作を解説というか、読み下してくれる有難い新書なのだが、著者は経済学の先生であって、なんでも定年退職後に門下生となった院生から、武藤山治はアダム・スミスの思想に影響されているのではないかという指摘を受け、そのヒントとして、思想面からみたアダム・スミスの入門書を執筆することにしたのだという。大昔に『国富論』は訳分からんまま読んだ記憶はあるのだが、この『道徳的感情論』はたしかに全く別ジャンルの本である様だ。今日の経済学徒にとって『国富論』は未だ必携だろうが、『道徳的感情論』を読んでいる人はそうはいないだろう。倫理学という学問が今でも健在かどうかも不明なのだが、その道で古典と称されるものでもないかと思う。ただ、こうやって内容を追っていくと、やはり『国富論』よりは頭に入ってくる。こちらの方が現代社会にも通用する概念の様な気がするのだが、どうだろうか。
2008/05/15のBlog
これもよく分からん本なのだが、ガリバープロダクツというのは広島地場の出版社で、著者は広島県医師会会長というお方なのらしい。この版元から何冊も著書を出しているらしく「ガリバーBOOKS 碓井静照 ベストヒットシリーズ」と銘打って、巻末にズラッとタイトルが並んでいる。もしかしたら広島では知らぬ者がいない有名人なのかもしれない。広島の日野原か養老かといったところなのだろうか。その「ベストヒット・ヒロシマ」は、専門の核戦争防止から、宮本武蔵、徐福、宮島とレパートリーがある様だが、これは在米被爆者の健康診断で米国に赴いた時にしたためたものをまとめたものらしい。カバーは野球場のスタンドの風景になっているのだが、イチローを観にいったなんて話は全くなく、ブラジル移民とか、モンゴル不思議旅とか、不老長寿考とかのごった煮。著者自身の被爆体験も入ってるが、こういうのが定番のスタイルなのかもしれない。しかし、ブラジルの日本人移民がオーストラリア移民の下で多く働いたとか、親戚がサントス開拓の為チリに移民したという話は何か違うような気もするのだが、大先生に間違いはないか。
著者は「日本政策投資銀行調査部課長」という肩書きの人らしい。この銀行は日本開発銀行を継いだ特法なのだが、食糧確保は政策投資に当たるのだろうか。在中日系企業への融資などをしているのかも分からないが、書かれているのは、日系企業が中国で行っている食品工業投資について。どこで何社が何を作ってるなんてことがズラッと並べられていて、この本の狙いは中国食品告発ではなく、どちらかというと中国食品不安払拭が狙いとしてある様だ。人民日報や朝日が宣伝する通り、危険物は元々日本企業が持ち込んだもので、中国食品の安全度は他の国より高く、高い輸出検疫があるので、国内産よりむしろ安全としている。この辺は「政策的」なものがあるのだろうが、中国の食品を責めるより、日本の食料自給率が低いという本質的な問題を考えなくてはならないというオーソドックスな見方。とはいえ、実際問題として犠牲者が出ている訳だし、当の中国人が一番、自国の食品を危険視しているのは周知の通り。ではどうしたら良いかということで、調査報告よろしくデータをズラッと並べた後の提言が、どっかの腐れ医者が書いた様な健康食生活の話になってしまう。お堅い役人みたいなそれまでのトーンと違うので戸惑うのだが、1日1.5食で玄米食にすれば健康に生きられるのだという。肉は一ヶ月に一度くらい外で高級肉を味わうくらいにして、後は粗食が良いのだそうだ。しかし、この著者は中国でも調査したんだろうが、果たしてそんな食生活をあちらでも送れたのだろうか。
中公新書のカラー版。定価1千円か。紙質は良いと思う。写真もキレイだが、これは著者の人が撮ったものらしい。なんでも20年以上もヨーロッパ各地のロマネスク教会を調査しているという「ロマネスク信者」ということで、なるほど力が入っている。とはいえ、私の様な「不信心者」はカラー版ということで救われた次第。説明も的を射たものなのだと思うのだが、どうも頭にスッキリ入ってこない。おそらく日本人のヨーロッパ好きの人は、こういうものに異国情緒を感じるのだと思うのだが、罰当たり者にはどうもその有難さが分からないといったところ。しかし、こうした趣味の東洋人は、欧州の人間にとってどういう位置づけになるのだろうか。自分たちの文化を認める外国人か、それとも野蛮な文化から抜け出た文明人か、同じ神を信じる同志か。いや、キリスト教にも、ヨーロッパ文明にも興味はないんですが、ちょっとばかり建築に興味がありましてなんて言ったら、失望するのかな。

2008/05/14のBlog
「フェミニズム的転回叢書」というヤツらしい。この現代書館コードの白澤社は高金素梅にまんまと引っかかったゴミ本と、旧ユーゴ・ジェンダーの良書という(私的に)相反する本を出したトコなんだが、書館の子会社かんなんかだろうか。同じ傾向ものでも書館の方はは、たしかに男臭い雰囲気があるから、女性陣でフェミ系の子会社を作ったという訳ではないんだろうが、明石のフェミものみたいに粗製濫造しないだろうから、まあ期待したい。ということで、これも女性博論ものなのだが、公立中学教諭から英国留学という著者にとっては、身近な研究テーマなのかもしれない。あちらのフェミ研では御馴染みの話なのかもしれないが、たしかに、この件に関する日本語のテキストはあまりなさそう。今回、博論を大幅に加筆修正したとのことで、大変読みやすいことは読みやすいのだが、フェミニズムの発祥地としてのイギリスのフェミ史が先に展開されていて、女教師だけに絞った方が良かった様な気もした。植民地と帝国女性という構図は、日本の例と重なるところも多々あるのだが、版元の思惑とは別にそうしたものとは距離を置いている様にも感じた。むしろ、元中学教師だった著者にとって、比較対照となるのは現場の話であって、女子高の男性教諭とか、家庭科男女必修とか、2分の1の法則などといったテーマと離れた現実的問題をコラムの形でぶちまけている。読者となる女性教師諸君は著者のメッセージに感ずるところがあるかと思うが、タダの野郎読者の私が興味を持ったのは、1920年代のイギリス女子教育の現場でも、当時の日本のソレ同様「エス」が蔓延していたということ。今でも男女7歳にしてなんてやってるイスラーム国家とかでは、そんな問題が起きているのかな。それはそれで十分微笑ましい気もするのだが。
この編者は少し前に出たジュニア新書の研究指南に、アフリカ研究で登場してたし、そのまえにも一冊ジュニアを書いているので、その流れでまた出すことになったんだろうが、ちょっと手抜きした感じは否めない。というのも、前半40ページ超のイントロダクションがかなり良くて、短い紙幅で、歴史から現実社会まで、マーカス・ガーベイやら、ジェフリー・サックスもエイズもちゃんとジュニアに分かるように説明しており、さすがだと思わせたのが、残りの200ページ弱が、「アフリカの研究者に聞いてみよう」という文字通り、研究者へのインタビューで埋められているから。元々、ホムペの企画でやっていたものを、書籍化したものらしく、それはそれで悪くはないのだが、最初の解説が秀逸だっただけに、編者が最後まで「アフリカ童貞処女」に指南した方が良かったのではないかと思った。企画時は政策研究大学院の仕事であった様で、登場する先生方もヘタなことは言わないので、正直あまり面白くない。アフリカ研究界という小宇宙は他の業界に比べてもこじんまりとしたものなんだろうが、その分、活発な討論とか深刻な意見対立はあまりなさそうな感じもする。おそらくは同志的連帯もあるのだろう。登場する先生方の本は幾つか読了済なのだが、アビジャンのストリート・ボーイをやってた士舘の人だけはちょっと異色かな。研究的にアフリカ手話研究も異色ではあると思うが、調査自体はわりとオーソドックスだった記憶がある。しかし、「モザンビーク解放闘争史」なんてものを書いた猛女がいるとは知らなかった。ブラジル留学あがりか。今度探して読んでみよう。
2008/05/13のBlog
DRCというのは「Defense Research Center」の略とのこと。ということで、防大1期から13期まで、一人を除いてズラッと自衛隊OBか現役を並べた研究所の中国研究会らしい。中国軍艦が来たり、防大に人民解放軍から学生を受け入れたりと、「責任ある大国」同士ということで、それなりの防衛交流はある様だが、当然ながら、日中双方とも対中、対日に一番強行なのが軍事部門。まあお互い「ソ連」という主敵を失ったこともあり、持ちつ持たれつの関係であると言えばそれまでなのだが、どちらも政府の不支持と国民の支持をバックにエールを送りあっている感じ。しかし、こっちは文民統制があるけど、向こうは党統制か。共産党が崩壊したら恐ろしいことになるな。防衛省がそこまで想定しているのかどうか知らんが、このDRCの皆さんが想定しているのは、台湾併合、尖閣占領、沖縄占領、そして日本占領という順番のシナリオらしい。しかし、沖縄併合まではあるかもしらんが、日本は併合せずに、属国にした方が負担は少ないだろう。靖国と伊勢神宮は破壊されるかもしらんが、天皇はダライ・ラマ化されても困るから、愛子さんを立てて、太子党でもくっつけるのかもれない。そんな光景が私が生きているうちに見られるかどうか分からんが、最近はこのDRCの人たちが主張している様な、中国の対日工作が成功している様にはどうも思えん。反日デモ辺りからどうも怪しくなって、朱建栄とか莫邦富が幾ら強弁したところで、長野のアレを支持する様な日本人は、もはや絶滅貴種みたいなもんだろう。「9条の会」の乗っ取りもうまく行っていない様で、反米即親中という時代は終わった様な気もする。しかし、このタイミングであの地域へのピンポイントの地震って一体どうなってるんだ。どこそかのカルトみたいにオリンピックに反対する勢力による「地震兵器」だとか言い出して、解放軍が暴発しなければ良いのだが。
ハリウッド・セレブなんぞには、てんで興味がないのだが、デーブ・スペクターとは違うマトモな解説なので、知識として仕入れておいた。著者は留学後に日刊スポーツアトランタ支局勤務とあるが、これは五輪特設支局かなんかだろうか。その後はロスを拠点にしているとのことだが、ハリウッド・スターの細々としたネタを日本に提供していれば十分採算が合うのだろう。しかし、その方面にてんで興味が無い私でも知ってる話が多かったということは、さすがにアメ芸能界は世界規模であるということか。あちらでセレブをするには桁外れのカネも名声も必要な訳であるから、叶姉妹とか得体の知れない人間がセレブの仲間入りすることはないのだろう。名声はカネで買えるものなので、先だつものがまず必要ということになるのだが、カネはあっても、偽善のチャリティーなどはやらんという、たけしとかタモリみたいな潔い芸人はいないもんなのかね。まあ税金対策という側面もあるのだろうが、あの狂った様な慈善家気取りはどうにかならんのかな。その道で成功しただけでは満足できず、終わることのない名声取りを求めて奔走するのが、人間の悲しい性だろうが、そうやって常に話題を提供していかないと、財産が減ることはあっても、増えることはないのだろう。
しかし、ドイツ本もその半分以上がナチス・ヒトラーものではないかとも思えるのだが、ヒトラーもの映画原作本も前に何冊か読んだような。それもこれも、ヒトラーというコンテンツがあちらの市場ではまだまだ威力を放っているからで、徳川家の世継ぎである訳者にとっても他人事ではないのか、その辺のことをあとがきで指摘していたりもしている。一族が改姓したなんて話も伝わっているヒトラーの世継ぎが、その肖像権を主張するなんてことはないのだろうが、印税は結局ユダヤ資本が吸い上げることになるので、まあ理にかなっていると言えばそうなのだろう。この著者も奥さんがホロコーストの生き残りという「大ベテラン・ジャーナリスト」なのだそうだ。オビに「スパイ小説より面白い!」などと書いてあるから、小説ではないのだろうが、ナチスが強制収容したユダヤ人を使ってニセ札を作るというストーリーはどうも解せないものもある。ユダヤ人がその技術を持っていたというより、自由の身の人間を使うより秘匿性が高いことや、秘密保持の為、要員を簡単に「処分」できるという点において、そういう流れになった様だ。となると、やはり想起されるのは、今も国家レベルでニセ札を作っているあの国のこと。日本人化工作員教育は在日がいくらでもいるのに、わざわざ日本人を拉致する訳がないという言説も今考えれば、簡単に崩れるものだった。原田武夫に言わせれば、スーパーKも米国の陰謀だそうだが、今の北では、わざわざ外人にやらせなくても、用済みの自国民は簡単に「処分」できる訳で、やはり真相は金王朝崩壊後に、韓流映画になってからではないと分からんものなのかもしれない。
2008/05/12のBlog
彩図社のいつものヤツなんだけど、その著者に担当がついて、取材を企画される程のものだったというのは驚き。その企画会議を定食屋で行い、「オリエンタルライス」を注文したから、「オリエンタル」行きのなったというのは、ネタにしてもヒドイ出来だ。ということで、最初から企画も取材もあったもんじゃなく、ただ著者がテキトーに旅するだけの話。「アジア」だから、当然、そんな危ない所などある訳も無く、著者が暗黒の様に描いている東チモールにも、実際はそんな雰囲気を感じるのは難しいだろう。 灰谷健次郎や「おじさんバックパッカー」の世代だったら、「アジア」に言いえぬ感傷があるのかもしれんが、この著者くらいだと、もはや「アジア」に特別な感情などありゃしない。「自分たちをアジア人だと思っていない」とか、「黄色いバナナ」なんて言葉が、よく殺し文句として日本人に浴びせられた時期があったが、実際は「アジア」の何処の国の人間も自分を「アジア人」などと認識していなかったことが発覚した。こんなアホ臭い言説で、「アジア人」を揶揄する人間の方が「アジア」を遅れたものと認識する差別者ではないかという気もするのだが、英語の授業でそれをぶちまけた教師も、自分がヨーロッパ人だと思っていないイギリス人だったことを思い出した。その意味では、著者の態度も自然体で宜しいのかもしれんが、いかんせん書いていることが薄っぺら過ぎて、ブログなら良いが、書籍としては成立してない様に思える。
著者は沖縄出身の元外交官でハンガリー大使で上がりとなった人らしい。その意味では「大使もの」の系譜に当たるのだが、現在の肩書きは「ノンフィクション作家」なのだという。「わらしべ会乗馬センター」顧問という肩書きもあるそうだが、退官記念本の枠に収まらない作家活動はしている様だ。53年入省ということで、実際に現場でチャーチルと遭遇することがあったのかもしれない。しかし、チャーチルが日本を愛していたという話は初めて聞いた。日本に融和的な言動はあったのかもしれないが、それも老練な政治家としての礼儀上のものだったと思えるし、皇室関係に対しては同じ立憲体制にある国として尊重するのは当然のことだったのではないかとも思う。それでも現場にいた人からみれば、超一流国の首相が敗戦国に対して見下した態度を取らなかったことは印象深いものだったのかもしれない。駐英特命全権公使も勤めた著者はそれが「英国紳士」の中でも例外的なものであったことを感ずいてていたのだろう。その理由を探るうちに、チャーチルが受けた母親からの影響というものに気が付いた様で、この米国生まれの母親は日本に旅行したことがあり、その好印象を日記に残しているらしい。それが息子チャーチルに伝わったのかどうかは定かではないが、訪れた異国を美化することは、当時も今も上流階級の夫人としては至極当然のことの様にも思える。この人は夫(つまりウィンストンの父)の死後、64歳の時に、23歳下の男と三度目の結婚をしたそうだが、その方はちょっと驚いた。イギリス上流階級における母親と息子の関係は、王室の例をみても想像するに遠いところだが、マゾコン国家の元首には母親落としという手があるのかもしれん。