Blog
前のページ
|
次のページ
2008/11/30のBlog
[ 23:01 ]
[ 挨拶・お知らせ ]
みずきの小ネタ?へようこそ!
みずき本人にも収拾がつかなくなってるごった煮なブログです。
「いっちゃんの冒険物語」に興味のある方は、まず冒険物語目次からどうぞ♪
あとは気ままにジャンル表示で(って、おーい、無責任な・・
☆最近、更新された物語☆
【パルキアート国物語】第五部・・・08/11/13更新!
【いっちゃん最初の冒険?】第二部・・・08/10/30更新!
【3つの顔を持つ男】・・・08/10/21更新!
☆現在、ホームページを準備中!☆
もしよろしかったらお立ち寄りを。
まだ準備中であるということを踏まえて、温かい目で見守ってください(._.)オジギ
(「いっちゃんの冒険物語」をお読みになる場合は、準備中のホームページのほうが読みやすいかもしれません。
ただし多くの場合、まず「みずきの小ネタ?」のほうで話の続きがupされ、その後、HPのほうも更新されます)。
この話の続きをぜひ読んでみたい!という方、
ぜひ
アンケート
にご協力ください♪
あなたの投票で、次に更新する物語が変わるかも?w
感想・ご意見等は
メール
をいただけると嬉しいです。
みずき本人にも収拾がつかなくなってるごった煮なブログです。
「いっちゃんの冒険物語」に興味のある方は、まず冒険物語目次からどうぞ♪
あとは気ままにジャンル表示で(って、おーい、無責任な・・
☆最近、更新された物語☆
【パルキアート国物語】第五部・・・08/11/13更新!
【いっちゃん最初の冒険?】第二部・・・08/10/30更新!
【3つの顔を持つ男】・・・08/10/21更新!☆現在、ホームページを準備中!☆
もしよろしかったらお立ち寄りを。
まだ準備中であるということを踏まえて、温かい目で見守ってください(._.)オジギ
(「いっちゃんの冒険物語」をお読みになる場合は、準備中のホームページのほうが読みやすいかもしれません。
ただし多くの場合、まず「みずきの小ネタ?」のほうで話の続きがupされ、その後、HPのほうも更新されます)。
この話の続きをぜひ読んでみたい!という方、ぜひ
アンケート
にご協力ください♪あなたの投票で、次に更新する物語が変わるかも?w
感想・ご意見等は
メール
をいただけると嬉しいです。2008/11/22のBlog
[ 08:34 ]
[ 冒険物語目次 ]
現在進行中の物語は、【3つの顔を持つ男】です。
そして【パルキアート国物語】第五部、【いっちゃん最初の冒険?】第二部等も気ままに更新中?
☆新しく更新された記事(小説)は、しばらく最新更新日のまま公開し、その後、目次の並び順にするために古い日付で奥にしまわれます。各お話の目次にある NEW!
マークが、比較的最近に更新されたものです♪
☆それぞれの物語は、単独で読んでも、それなりに完結しておりますが、この目次の上から順に読んでいただけると、「いっちゃん」の人生が、なんとなくおわかりいただけると思います。興味のある物語をジャンル表示して読んでいただいてもいいかと思います。
「いっちゃんの冒険物語」各ストーリーのあらすじも、参考にしてください。
☆断片☆
ケイのつぶやき 冒険物語の全体像を把握するためのメモ書き?
☆古代世界の物語☆
【パルキアート国物語】古代帝国の3王子、イリヤ、ヨシュア、オハラの物語
序章
第一部
第二部
第三部
第四部
第五部
更新中
08/11/13更新!
☆第1世代の物語☆
【いっちゃんの武者修行】いっちゃんが海賊船に乗り込むことになったいきさつ
【いっちゃん最初の冒険?】舞ちゃんと結婚前後、海賊船で修行中の話。この冒険で『ラーの眼』の七色の輝き・金の輝きを得る
第一部
第二部
更新中
08/10/30更新!
【波瀾万丈の新婚旅行】いっちゃんのサバイバー卒業試験?
【船長さんを追え!】舞ちゃんとの離婚前の大冒険? 船長さんを魔の海峡から救い出し、海賊の財宝の中から『ラーの眼』赤い輝きを得る(予定)
第一部
更新中
【お化け屋敷へ行こう】舞ちゃんと離婚後、いっちゃんは我が子との交流を求めたが・・
【腕輪の試練】三種の神器の一つ、腕輪の封印を解くとともに、愛の試練を乗り越える
【めざめろ、ファス!】三種の神器の一つ、8足の馬の精霊、ファスの封印を解くとともに、何らかの試練が(苦笑)
【槍の精霊の物語(仮題)】三種の神器の一つ、槍の精霊の封印を解くとともに、何らかの試練が(苦笑)
【神器・開眼(仮題)】地上最後の楽園の神殿で、三種の神器にラーの眼を与え、開眼させる
【真実の眼を求めて】真実の眼を手に入れるための3兄弟&舞ちゃんの冒険。「エテルナの涙」強奪大作戦・深海帝国の謎(仮題)・パラレルワールド騒動記(仮題)
序章
第一部
更新中
08/09/02更新!
【鍵の男女の物語】いっちゃん&舞ちゃんの壮絶な最期と舞ちゃんの復活
【オー開眼(仮題)】泉の巨人とよっしーの知恵比べ。オーは神の子として目覚める
【光と闇の戦い(仮題)】オーの戦い。その結末は?
【ある日の3兄弟】きまぐれショートから始まった「京都事件編?」?
更新中
08/03/15更新!
【初代いっきゅう&麻依】初代いっちゃんと別世界から来た麻依ちゃんの物語
☆第2世代の物語☆
【ある日の三条家(気まぐれショート集】三条家の日常?
エピソード1 本郷の災難?
【はじめてのおつかい】三条一休3歳の頃
【母上はお星様になったの?】三条一休4歳の頃
【いっちゃん誘拐される】三条一休5歳の頃
【マジシャンデビュー】三条一休6歳の頃
【スパイ大作戦?】三条一休14、5歳の頃
【鬼教官本郷の特別レッスン】三条一休15歳の頃
【一休、海賊船へ】摩衣霧の船に乗り込んで
【3つの顔を持つ男】三条一休18歳の頃
更新中
08/10/21更新!
【命をかけた大脱出?】摩衣霧と晴れて結婚。そして
【いっちゃん最後の冒険?】三条一休&摩衣霧の章エンディング
☆異世界の物語☆
異世界のいっちゃん&まいちゃん
そして【パルキアート国物語】第五部、【いっちゃん最初の冒険?】第二部等も気ままに更新中?
☆新しく更新された記事(小説)は、しばらく最新更新日のまま公開し、その後、目次の並び順にするために古い日付で奥にしまわれます。各お話の目次にある NEW!
マークが、比較的最近に更新されたものです♪☆それぞれの物語は、単独で読んでも、それなりに完結しておりますが、この目次の上から順に読んでいただけると、「いっちゃん」の人生が、なんとなくおわかりいただけると思います。興味のある物語をジャンル表示して読んでいただいてもいいかと思います。
「いっちゃんの冒険物語」各ストーリーのあらすじも、参考にしてください。
☆断片☆
ケイのつぶやき 冒険物語の全体像を把握するためのメモ書き?☆古代世界の物語☆
【パルキアート国物語】古代帝国の3王子、イリヤ、ヨシュア、オハラの物語
序章
第一部
第二部
第三部
第四部
第五部
更新中
08/11/13更新!☆第1世代の物語☆
【いっちゃんの武者修行】いっちゃんが海賊船に乗り込むことになったいきさつ【いっちゃん最初の冒険?】舞ちゃんと結婚前後、海賊船で修行中の話。この冒険で『ラーの眼』の七色の輝き・金の輝きを得る
第一部
第二部
更新中
08/10/30更新!
【波瀾万丈の新婚旅行】いっちゃんのサバイバー卒業試験?【船長さんを追え!】舞ちゃんとの離婚前の大冒険? 船長さんを魔の海峡から救い出し、海賊の財宝の中から『ラーの眼』赤い輝きを得る(予定)
第一部
更新中
【お化け屋敷へ行こう】舞ちゃんと離婚後、いっちゃんは我が子との交流を求めたが・・
【腕輪の試練】三種の神器の一つ、腕輪の封印を解くとともに、愛の試練を乗り越える【めざめろ、ファス!】三種の神器の一つ、8足の馬の精霊、ファスの封印を解くとともに、何らかの試練が(苦笑)
【槍の精霊の物語(仮題)】三種の神器の一つ、槍の精霊の封印を解くとともに、何らかの試練が(苦笑)
【神器・開眼(仮題)】地上最後の楽園の神殿で、三種の神器にラーの眼を与え、開眼させる
【真実の眼を求めて】真実の眼を手に入れるための3兄弟&舞ちゃんの冒険。「エテルナの涙」強奪大作戦・深海帝国の謎(仮題)・パラレルワールド騒動記(仮題)
序章
第一部
更新中
08/09/02更新!
【鍵の男女の物語】いっちゃん&舞ちゃんの壮絶な最期と舞ちゃんの復活【オー開眼(仮題)】泉の巨人とよっしーの知恵比べ。オーは神の子として目覚める
【光と闇の戦い(仮題)】オーの戦い。その結末は?
【ある日の3兄弟】きまぐれショートから始まった「京都事件編?」?
更新中
08/03/15更新!
【初代いっきゅう&麻依】初代いっちゃんと別世界から来た麻依ちゃんの物語☆第2世代の物語☆
【ある日の三条家(気まぐれショート集】三条家の日常?
エピソード1 本郷の災難?
【はじめてのおつかい】三条一休3歳の頃
【母上はお星様になったの?】三条一休4歳の頃
【いっちゃん誘拐される】三条一休5歳の頃
【マジシャンデビュー】三条一休6歳の頃
【スパイ大作戦?】三条一休14、5歳の頃
【鬼教官本郷の特別レッスン】三条一休15歳の頃
【一休、海賊船へ】摩衣霧の船に乗り込んで
【3つの顔を持つ男】三条一休18歳の頃
更新中
08/10/21更新!
【命をかけた大脱出?】摩衣霧と晴れて結婚。そして
【いっちゃん最後の冒険?】三条一休&摩衣霧の章エンディング☆異世界の物語☆
異世界のいっちゃん&まいちゃん
2008/11/18のBlog
[ 11:16 ]
[ 【3つの顔を持つ男】 ]
vol.1 事業家、一休
vol.2 情報部員、ハリー
vol.3 アルポ作戦始動
vol.4 初顔合わせ
vol.5 新官房長の初仕事
vol.6 新任の挨拶
vol.7 再会
vol.8 捨て身の作戦?
vol.9 デザートはオレか?
vol.10 ファーストコンタクト
vol.11 カジノの女
vol.12 サッジの真意
vol.13 深夜の探索行
vol.14 密談
vol.15 痴話げんか?
vol.16 女の涙
vol.17 二人で朝食を
vol.18 湖上にて
vol.19 危機一髪……
vol.20 メインディッシュは?
vol.21 諜報活動の定石
vol.22 可能性の盲点
vol.23 セバス皇太子
vol.24 ささやかな事故?
vol.25 深まる謎
vol.26 事故の波紋
vol.27 会食は続く
vol.28 サムの黒幕
vol.29 メモが示すもの
vol.30 秘密の言葉
vol.31 鍵が鍵となるか?
vol.32 イレーヌの推測
vol.33 レベル・スリー
vol.34 ホテルの秘密
vol.35 現場が動いた
vol.36 第三の選択肢
vol.37 三者会談
vol.38 ポーカーフェイス
vol.39 直接対決
vol.40 嘘も方便?
vol.41 あの女
vol.42 裏取引
vol.43 ピアニストの話 NEW!
vol.44 曲の秘密(仮題) 準備中
2008/11/14のBlog
[ 06:24 ]
[ 【パルキアート国物語】第五部 ]
☆ストーリーを最初から最後まで続けてお楽しみになる場合は、まずジャンル表示で、【パルキアート国物語】第五部のジャンルを選んでください。
目次の下に、物語本文がストーリーの流れに沿って、上から順に表示されますので、スクロールしながら読み進むことができます。
【パルキアート国物語】第一部へ
【パルキアート国物語】第二部へ
【パルキアート国物語】第三部へ
【パルキアート国物語】第四部へ
vol.172 首都を眼前にして
vol.173 仮面を取る
vol.174 女王の帰還
vol.175 馬上の貴公子
vol.176 晩餐会の準備
vol.177 舞踏の華
vol.178 華麗なステップで
vol.179 意外な贈り物
vol.180 第二幕のリハーサル
vol.181 ささやかな陰謀?
vol.182 ミノスと女官長の仲
vol.183 宴の前に(臨時会議の顛末1)
vol.184 女王の真意(臨時会議の顛末2)
vol.185 決心の波紋 NEW!
☆2008/11/13 20:45 末尾追記☆
目次の下に、物語本文がストーリーの流れに沿って、上から順に表示されますので、スクロールしながら読み進むことができます。
【パルキアート国物語】第一部へ
【パルキアート国物語】第二部へ
【パルキアート国物語】第三部へ
【パルキアート国物語】第四部へ
vol.172 首都を眼前にして
vol.173 仮面を取る
vol.174 女王の帰還
vol.175 馬上の貴公子
vol.176 晩餐会の準備
vol.177 舞踏の華
vol.178 華麗なステップで
vol.179 意外な贈り物
vol.180 第二幕のリハーサル
vol.181 ささやかな陰謀?
vol.182 ミノスと女官長の仲
vol.183 宴の前に(臨時会議の顛末1)
vol.184 女王の真意(臨時会議の顛末2)
vol.185 決心の波紋 NEW!
☆2008/11/13 20:45 末尾追記☆2008/10/30のBlog
[ 10:51 ]
[ 【いっちゃん最初の冒険?】第二部 ]
☆ストーリーを最初から最後まで続けてお楽しみになる場合は、まずジャンル表示で、【いっちゃん最初の冒険?】第二部のジャンルを選んでください。
目次の下に、物語本文がストーリーの流れに沿って、上から順に表示されますので、スクロールしながら読み進むことができます。
【いっちゃん最初の冒険?】第一部へ
vol.23 嵐の前の・・
vol.24 最初の試練
vol.25 嵐が来る!
vol.26 難破!
vol.27 敢えて帆を……
vol.28 突進!
vol.29 荒海へ
vol.30 助け船
vol.31 チームとして
vol.32 合流
vol.33 応急処置
vol.34 みそぎ?
vol.35 安らかな眠りを……
vol.36 性(さが)か、業(ごう)か
vol.37 行動開始!
vol.38 古代の呼び声 NEW!
vol.39 最初の試練?(仮題) 準備中
目次の下に、物語本文がストーリーの流れに沿って、上から順に表示されますので、スクロールしながら読み進むことができます。
【いっちゃん最初の冒険?】第一部へ
vol.23 嵐の前の・・
vol.24 最初の試練
vol.25 嵐が来る!
vol.26 難破!
vol.27 敢えて帆を……
vol.28 突進!
vol.29 荒海へ
vol.30 助け船
vol.31 チームとして
vol.32 合流
vol.33 応急処置
vol.34 みそぎ?
vol.35 安らかな眠りを……
vol.36 性(さが)か、業(ごう)か
vol.37 行動開始!
vol.38 古代の呼び声 NEW!
vol.39 最初の試練?(仮題) 準備中
2008/10/23のBlog
[ 21:17 ]
[ みずき&いっちゃんの無駄話? ]
い「相変わらず話は遅々として進まない。それなのにまた浮気の虫がわいてきたようだな?」
み「よくわかるわね」
い「おまえさんのことは、自分のようによくわかる(謎笑)」
み「なんかね。話がある程度進むと(ってか、実際はあまり進んでないという気もするけど)、しばらく熟成させたくなるのよね。その間、他に浮気したくなる」
い「熟成というと聞こえはいいが、単に放置だろ。そうして放置中の話が山のようになってるぞ。そのガラクタの山に、また新たなゴミを増やそうって魂胆だな?(苦笑)」
み「なんとでも言いなさい」
い「ま、いいさ。食指が動くものがあるんだったら、迷ってないでさっさとかかってくれ。でもなんだな、それでなくても筆の進みが遅いのに、最近、オレを血祭りに上げようという迫力をあまり感じないんだが……」
み「う”……痛いところを突いてきたわね。なんだろ? リアルでけっこうハードに自分を追い込んでると、バーチャルであんたを追い込まなくてもストレス発散できてるのかも(謎笑)」
い「なるほどな。例の、あれだのこれだののワークアウトだな? そのうち飽きると思ったが。おかげでオレの出番がますます少なくなりそうだ(ますます謎)」
み「よくわかるわね」
い「おまえさんのことは、自分のようによくわかる(謎笑)」
み「なんかね。話がある程度進むと(ってか、実際はあまり進んでないという気もするけど)、しばらく熟成させたくなるのよね。その間、他に浮気したくなる」
い「熟成というと聞こえはいいが、単に放置だろ。そうして放置中の話が山のようになってるぞ。そのガラクタの山に、また新たなゴミを増やそうって魂胆だな?(苦笑)」
み「なんとでも言いなさい」
い「ま、いいさ。食指が動くものがあるんだったら、迷ってないでさっさとかかってくれ。でもなんだな、それでなくても筆の進みが遅いのに、最近、オレを血祭りに上げようという迫力をあまり感じないんだが……」
み「う”……痛いところを突いてきたわね。なんだろ? リアルでけっこうハードに自分を追い込んでると、バーチャルであんたを追い込まなくてもストレス発散できてるのかも(謎笑)」
い「なるほどな。例の、あれだのこれだののワークアウトだな? そのうち飽きると思ったが。おかげでオレの出番がますます少なくなりそうだ(ますます謎)」
2008/10/05のBlog
[ 12:30 ]
[ 【パルキアート国物語】第五部 ]
その後の旅は順調に続き、ソレス伯爵の館を立ってから3日の後にはタッソリアの首都シエラカンドまであと一息という距離にいた。
折しも一行は見晴らしの良い峠にさしかかっているところで、女王は一行の足をしばし止めさせ、自らも馬車から降りたって側にイリヤを呼び寄せた。
その場所からは眼下に美しく城下町が広がり、初めて首都を訪れるイリヤに是非ここからの風景を見て貰いたいと、女王がふと思い立ったとしても無理からぬ事であった。
女王は目を細めて眼下の首都を眺める。久しぶりに愛しい我が子に対面したような目つきであった。イリヤはその表情を見て、やはりこの女王は国の統治に関しては真摯である、と直感した。少なくとも国を愛している。その「愛」が、自己愛の延長である可能性は否定できないが、だからといって非難される筋合いはない。多かれ少なかれ権力者というものは、自分の力で為したことに達成感・満足感を得ているはずだ。見事な街並みを眺めて自分を褒めても悪いことではない。それが明日への活力にもなる。盲目的な愛にならなければそれでいい。
国を統治し繁栄させるその手段に於いていささか見解の相違があったとしても、こちら(イリヤ)も真摯に向き合うことで、発展的解決に至るだろう……。
そんなイリヤの思いはよそに、女王は感慨にふけるようにしみじみ呟いた。
「やっとここまで来たわね。なんだかずいぶんと長かったわ……」
「まったく……申し訳ありません」
イリヤの口からほとんど衝動的に詫びの言葉が出た。女王に「ずいぶん長かった」と思わせる原因を作ったのは、やはりひとえに自分の数々の無鉄砲な行為のせいだと思わざるを得なかったのである。
「あら、何を謝ってるの? あなたが謝る必要はないわ。振り返れば、けっこう刺激的な日々だったわ。もちろん、あなたがこうして無事でいらっしゃるからこそ、そんな感想も出るのですけど」
「そして私が無事でいられるのは、やはり陛下のおかげです」
「あら? 今日のあなたはずいぶんと殊勝ね。何かあったの?」
「特別何かがあったというわけではありませんが……。たまには私も殊勝に反省するのですよ」
イリヤは思わず苦笑し、しかし直ちに気持ちを切り替えたのか、気さくな調子で話題を転じた。
「それにしても、見事な街並みですね。こうして眺めると、陛下の、このお国に対する考え方というか方針のようなものも、なんとなく感じられる気がします」
「あら、ほんと?」
それは確かであった。パルキアートの帝都と比べれは、それは歴然としていた。パルキアートはやはり皇帝の美意識・価値観も影響して、全体的に質実剛健というか、一言で表現すると、合理的・簡潔・整然……といった言葉がよく似合う。しかし、ここシエラカンドは、文化的・装飾的・優雅・豪華……といった言葉で形容されそうだ。単純に分類できるものではないが、わかりやすくあえて色分けをするならば、パルキアートは男性的、タッソリアは女性的といえなくもない。
イリヤは女王の問いに軽く頷き、言葉を続けた。
「ええ。実はこの旅のきっかけとなったカライラでの滞在で、ふと感じたことでもあるのですが、フラレッサのような豊かな香り、そして、あれはなんと言いましたか、名称は聞きそびれましたが、柔らかくて美しい風合いの衣装に身を包んだたおやかな女性のような、成熟した文化を感じます。陛下、あなたご自身のような……」
「まあ、過分な褒め言葉ですね」
「であるのに、時には武器を振りかざして果敢に攻め入る気迫もおありになる。そこが面白い」
「それは皮肉ですか?」
「褒めているのですよ。だからこそ、やはり陛下とはなんとしても剣を交えたくないものです」
「弱腰ですね」
「美しい女性の前では、いくらでも弱腰になります」
イリヤは無邪気に微笑んだ。
折しも一行は見晴らしの良い峠にさしかかっているところで、女王は一行の足をしばし止めさせ、自らも馬車から降りたって側にイリヤを呼び寄せた。
その場所からは眼下に美しく城下町が広がり、初めて首都を訪れるイリヤに是非ここからの風景を見て貰いたいと、女王がふと思い立ったとしても無理からぬ事であった。
女王は目を細めて眼下の首都を眺める。久しぶりに愛しい我が子に対面したような目つきであった。イリヤはその表情を見て、やはりこの女王は国の統治に関しては真摯である、と直感した。少なくとも国を愛している。その「愛」が、自己愛の延長である可能性は否定できないが、だからといって非難される筋合いはない。多かれ少なかれ権力者というものは、自分の力で為したことに達成感・満足感を得ているはずだ。見事な街並みを眺めて自分を褒めても悪いことではない。それが明日への活力にもなる。盲目的な愛にならなければそれでいい。
国を統治し繁栄させるその手段に於いていささか見解の相違があったとしても、こちら(イリヤ)も真摯に向き合うことで、発展的解決に至るだろう……。
そんなイリヤの思いはよそに、女王は感慨にふけるようにしみじみ呟いた。
「やっとここまで来たわね。なんだかずいぶんと長かったわ……」
「まったく……申し訳ありません」
イリヤの口からほとんど衝動的に詫びの言葉が出た。女王に「ずいぶん長かった」と思わせる原因を作ったのは、やはりひとえに自分の数々の無鉄砲な行為のせいだと思わざるを得なかったのである。
「あら、何を謝ってるの? あなたが謝る必要はないわ。振り返れば、けっこう刺激的な日々だったわ。もちろん、あなたがこうして無事でいらっしゃるからこそ、そんな感想も出るのですけど」
「そして私が無事でいられるのは、やはり陛下のおかげです」
「あら? 今日のあなたはずいぶんと殊勝ね。何かあったの?」
「特別何かがあったというわけではありませんが……。たまには私も殊勝に反省するのですよ」
イリヤは思わず苦笑し、しかし直ちに気持ちを切り替えたのか、気さくな調子で話題を転じた。
「それにしても、見事な街並みですね。こうして眺めると、陛下の、このお国に対する考え方というか方針のようなものも、なんとなく感じられる気がします」
「あら、ほんと?」
それは確かであった。パルキアートの帝都と比べれは、それは歴然としていた。パルキアートはやはり皇帝の美意識・価値観も影響して、全体的に質実剛健というか、一言で表現すると、合理的・簡潔・整然……といった言葉がよく似合う。しかし、ここシエラカンドは、文化的・装飾的・優雅・豪華……といった言葉で形容されそうだ。単純に分類できるものではないが、わかりやすくあえて色分けをするならば、パルキアートは男性的、タッソリアは女性的といえなくもない。
イリヤは女王の問いに軽く頷き、言葉を続けた。
「ええ。実はこの旅のきっかけとなったカライラでの滞在で、ふと感じたことでもあるのですが、フラレッサのような豊かな香り、そして、あれはなんと言いましたか、名称は聞きそびれましたが、柔らかくて美しい風合いの衣装に身を包んだたおやかな女性のような、成熟した文化を感じます。陛下、あなたご自身のような……」
「まあ、過分な褒め言葉ですね」
「であるのに、時には武器を振りかざして果敢に攻め入る気迫もおありになる。そこが面白い」
「それは皮肉ですか?」
「褒めているのですよ。だからこそ、やはり陛下とはなんとしても剣を交えたくないものです」
「弱腰ですね」
「美しい女性の前では、いくらでも弱腰になります」
イリヤは無邪気に微笑んだ。
[ 11:20 ]
[ 【パルキアート国物語】第五部 ]
「まあ、殿下。あなたって意外と、気障なセリフをさらりとおっしゃいますのね。そうやってきっと数多くの女性を泣かすことになるのだわ」
女王は意味深な流し目を送ってみせた。
「いえいえ、どういたしまして。そのような下心で申したつもりはありませんよ。ごく正直に思うままを申し上げたまでです」
イリヤは生真面目な調子で答え、ちょっと言葉を切ってかすかに遠い目をし、思い出し笑いでもするようにほんのり微笑んだ。
そういえばオレの回りには、美しくて強い女性が多い。母親のケイ・マリアンナしかり、マイラしかり……。
「何を笑ってらっしゃるの? 『正直に思うまま』などと答えておきながら、そんな表情をされると、やはりからかわれているように思ってしまいますよ」
「これは大変失礼いたしました。いえ、私の回りには、つまり実家でもという意味ですが、陛下のように美しくて強い女性が多いものですから……」
「この間おっしゃってた、片思いの君もですの?」
「まさしく」
二人して朗らかに笑った。
笑いながら、イリヤはふと思いを馳せた。そういえば、女王陛下はおいくつになられるのだろう。とかく美しい女性は歳がわからん。そもそもお聞きするわけにもいかん。でもおそらく……。
つい連想が広がったが、イリヤは罪のない想像の範囲に留めておくことにした。これ以上追求するのは憚られる領域であったし、時がたてば自ずと解決する問題でもあると思われた。
「ところであなた、城下に入ったら、貧乏貴族の次男坊イーライの仮面を取ってもよろしいでしょ? どうお思い?」
「そうですね。ことさらに身分を偽る必要もないかと思われます」
女王の問いに、イリヤは穏やかに同意した。
旅の途中でイリヤが身分を隠していたのは、主に宿泊先でいらぬ気を遣わせないためであった。イリヤがハプラスの長男であるというそのことで陰謀に巻き込まれたり命を狙われる危険性は確かにあった。そしてその危険性は旅先より宮廷に入った後に、むしろ増すかもしれなかった。しかしイリヤにしてみれば、そういった危険の芽があるのなら、むしろ早いうちに白日の下に晒すのもひとつの手だと思っている。またしても我が身をおとりに使うのか、と誰かに指摘されそうだが、自分の身を守るためだけに身分を隠すつもりはなかったからこそ、イリヤは穏やかに同意したのであった。そしてそれはまた、イリヤの、女王への信頼の証でもあった。
「ならばあなた、そろそろ正装なさい。パルキアートの皇太子らしく」
「はあ……」
イリヤは思わず苦笑する。
イリヤは今まで正式にパルキアートの皇太子を名乗ったことはなかった。そもそもハプラスの後継者は、基本的に、血統よりは各人の能力を第一の判断基準とし、広く帝国傘下の諸国から募ることになっている。
その点に関しては、ハプラスもイリヤも意見を同じくしていた。能力もないのに血統だけで跡継ぎになることこそ帝国を滅ぼす要因であると父子は考えていたし、イリヤは特に、自分の立場を慎重に扱うように自重していた。とはいうものの、帝国内の(いや帝国外でさえ)誰もが、次期皇帝はイリヤであろうと考えているのも事実であった。
そしてまた、女王の趣旨もイリヤはなんとなく理解していた。イリヤをタッソリアの首都、宮廷に招くのは、単に物見遊山が目的ではなかった。今回の旅の発端となった、タッソリアがパルキアートと今後どう付き合っていくか、同盟か敵対か、その将来を模索するための、イリヤはパルキアートの代表代行でもある。つまり正式な外交使節である。タッソリア側からしてみれば、使節の代表となる人物がパルキアート内で高い地位の人物であればあるほど、外交的な価値も高まる(諸国に対し鼻が高い)というものであった。
イリヤはそのあたりの女王の狙いを十分に理解した上で、ここはひとつ、女王の思いに答えるべきであろうと思った。大仰に出迎えられるのは、正直、こそばゆいが、これも外交的な駆け引きというものである。
「わかりました。急ぎ、着替えましょう」
イリヤは頷き、足早に従者のもとへ向かう。その後ろ姿を女王は目を細めて見つめていた。イリヤが女王の思いを察した上で着替える気になったということを、女王もまた理解していた。
小休止の後、一行は再び移動を開始した。都を目の前に見て、人々の足が少し速まったようであった。先触れの一団が、女王の到着をいち早く城の者に伝えるべく、全速力で駆け出していった。
女王は意味深な流し目を送ってみせた。
「いえいえ、どういたしまして。そのような下心で申したつもりはありませんよ。ごく正直に思うままを申し上げたまでです」
イリヤは生真面目な調子で答え、ちょっと言葉を切ってかすかに遠い目をし、思い出し笑いでもするようにほんのり微笑んだ。
そういえばオレの回りには、美しくて強い女性が多い。母親のケイ・マリアンナしかり、マイラしかり……。
「何を笑ってらっしゃるの? 『正直に思うまま』などと答えておきながら、そんな表情をされると、やはりからかわれているように思ってしまいますよ」
「これは大変失礼いたしました。いえ、私の回りには、つまり実家でもという意味ですが、陛下のように美しくて強い女性が多いものですから……」
「この間おっしゃってた、片思いの君もですの?」
「まさしく」
二人して朗らかに笑った。
笑いながら、イリヤはふと思いを馳せた。そういえば、女王陛下はおいくつになられるのだろう。とかく美しい女性は歳がわからん。そもそもお聞きするわけにもいかん。でもおそらく……。
つい連想が広がったが、イリヤは罪のない想像の範囲に留めておくことにした。これ以上追求するのは憚られる領域であったし、時がたてば自ずと解決する問題でもあると思われた。
「ところであなた、城下に入ったら、貧乏貴族の次男坊イーライの仮面を取ってもよろしいでしょ? どうお思い?」
「そうですね。ことさらに身分を偽る必要もないかと思われます」
女王の問いに、イリヤは穏やかに同意した。
旅の途中でイリヤが身分を隠していたのは、主に宿泊先でいらぬ気を遣わせないためであった。イリヤがハプラスの長男であるというそのことで陰謀に巻き込まれたり命を狙われる危険性は確かにあった。そしてその危険性は旅先より宮廷に入った後に、むしろ増すかもしれなかった。しかしイリヤにしてみれば、そういった危険の芽があるのなら、むしろ早いうちに白日の下に晒すのもひとつの手だと思っている。またしても我が身をおとりに使うのか、と誰かに指摘されそうだが、自分の身を守るためだけに身分を隠すつもりはなかったからこそ、イリヤは穏やかに同意したのであった。そしてそれはまた、イリヤの、女王への信頼の証でもあった。
「ならばあなた、そろそろ正装なさい。パルキアートの皇太子らしく」
「はあ……」
イリヤは思わず苦笑する。
イリヤは今まで正式にパルキアートの皇太子を名乗ったことはなかった。そもそもハプラスの後継者は、基本的に、血統よりは各人の能力を第一の判断基準とし、広く帝国傘下の諸国から募ることになっている。
その点に関しては、ハプラスもイリヤも意見を同じくしていた。能力もないのに血統だけで跡継ぎになることこそ帝国を滅ぼす要因であると父子は考えていたし、イリヤは特に、自分の立場を慎重に扱うように自重していた。とはいうものの、帝国内の(いや帝国外でさえ)誰もが、次期皇帝はイリヤであろうと考えているのも事実であった。
そしてまた、女王の趣旨もイリヤはなんとなく理解していた。イリヤをタッソリアの首都、宮廷に招くのは、単に物見遊山が目的ではなかった。今回の旅の発端となった、タッソリアがパルキアートと今後どう付き合っていくか、同盟か敵対か、その将来を模索するための、イリヤはパルキアートの代表代行でもある。つまり正式な外交使節である。タッソリア側からしてみれば、使節の代表となる人物がパルキアート内で高い地位の人物であればあるほど、外交的な価値も高まる(諸国に対し鼻が高い)というものであった。
イリヤはそのあたりの女王の狙いを十分に理解した上で、ここはひとつ、女王の思いに答えるべきであろうと思った。大仰に出迎えられるのは、正直、こそばゆいが、これも外交的な駆け引きというものである。
「わかりました。急ぎ、着替えましょう」
イリヤは頷き、足早に従者のもとへ向かう。その後ろ姿を女王は目を細めて見つめていた。イリヤが女王の思いを察した上で着替える気になったということを、女王もまた理解していた。
小休止の後、一行は再び移動を開始した。都を目の前に見て、人々の足が少し速まったようであった。先触れの一団が、女王の到着をいち早く城の者に伝えるべく、全速力で駆け出していった。
[ 09:57 ]
[ 【パルキアート国物語】第五部 ]
イリヤが本来の身分に相応しい衣装に着替え、颯爽とケレシスに跨るのを見て、ミノスは軽く口笛を吹いた。ケレシスも見目形の麗しい馬であったので、イリヤの正装に見事にマッチし、よりいっそう馬上のイリヤを輝かせる小道具のひとつともなっている。
そしてケレシス自身もそのことをよく承知しているらしく、身体全体で喜びと誇らしさを表し、脚を高く上げ、跳ねるように歩みを進めていた。いやそれはただ単に訓練の賜物で、正装した主人が馬上にいるときに相応しい歩みをしているに過ぎなかったのかもしれないが……。
「やはりそのほうがお似合いですね。生まれながらの気品というものでしょうな」
「これこれミノス公、からかわないでくれたまえ」
イリヤはさすがに気恥ずかしげに微笑む。
女王が馬車から顔を出してイリヤの方にちらりと視線を走らせ、一番身近な場所に控える従者に何事かを命じた。数人の伝令が前後に飛んで、いったん隊列が止まる。イリヤとミノスのほうにも伝令が飛んできた。
「イリヤ殿下、女王陛下のお側にて、お進みください」
イリヤが本来の身分に戻ったために、隊列の順序も修正されたということであろう。イリヤはミノスに視線を転じた。
「ミノス公、今後は私の腹心の部下、という立場でよろしいか?」
「御意!」
イリヤは無言で頷き、ケレシスを前に出した。軽いキャンターですっと女王の馬車に並ぶと、女王が満足の表情で微笑んだ。ミノスも「イリヤの部下」の地位に就くべく、イリヤの後にぴたりと付く。二人の従者(ペローとオルケス)もイリヤの護衛のためにその背後に続いた。
女王の帰還が近いことを数日前から告知されていた城下では、すでに出迎えの準備を済ませ、女王一行の到着を今や遅しと待ちわびていた。
普段から社交的で精力的に外出もする女王であっただけに、数週間程度の不在なら国民も慣れているが、今回の女王の不在は急なことであった。そしてその旅の真の目的は当然、公には報じられていなかったものの、「情報通」なる者の口からいろいろ憶測が飛び、様々な噂が乱れ飛ぶのも致し方ない。
たまたま辺境の砦近くを通ったばかりという旅の商人が、パルキアートの軍が一時、取り囲んだらしいという最新の噂を持ち込んだ。その場に女王やイリヤがいたことはさすがに外には漏れていなかったが、大軍が現れたというだけでことは重大であった。
パルキアートという大帝国と我が国は不穏な関係になりつつあるのか、その事件をきっかけにやはりパルキアートと一戦を交えることになるのだろうか、いや、軍が取り囲んだものの、何事もなく引き上げたというから、話し合いの道が開けたに違いない、などと、その件に関して活発な議論もされたのであった。
そんな折りの女王の帰還である。民衆がその帰りを注目し、隊列を一目見ようとざわめき立つのも無理からぬことであった。
都が近づくにつれ、沿道の人出も急に賑やかになってきた。女王が馬車の窓から顔を出し愛想良く手を振ると、いちだんと拍手と歓声が沸き起こった。
ひときわ、人々の注目を集めたのはやはりイリヤであった。あの若者は? 身にまとう衣装からして、かなり高貴のご身分に違いない。そしてまた女王陛下のお側を親しげに進んでおられる。どこぞのお国の王子であろうか……。
さすがにタッソリアの首都周辺の民衆で、イリヤの顔を実際に見たことのある人は皆無に近かった。もしあったとすれば、やはり諸国を渡り歩く商人や旅芸人の類であろう。そんなひとりが、たまたまイリヤの顔に見覚えがあれば、その周辺からさっとさざ波のように、一気に噂は広まった。どうやらあのお方は、パルキアートの王子らしいぞ。まさか。他人の空似に違いない。いやそれにしても……。
そしてケレシス自身もそのことをよく承知しているらしく、身体全体で喜びと誇らしさを表し、脚を高く上げ、跳ねるように歩みを進めていた。いやそれはただ単に訓練の賜物で、正装した主人が馬上にいるときに相応しい歩みをしているに過ぎなかったのかもしれないが……。
「やはりそのほうがお似合いですね。生まれながらの気品というものでしょうな」
「これこれミノス公、からかわないでくれたまえ」
イリヤはさすがに気恥ずかしげに微笑む。
女王が馬車から顔を出してイリヤの方にちらりと視線を走らせ、一番身近な場所に控える従者に何事かを命じた。数人の伝令が前後に飛んで、いったん隊列が止まる。イリヤとミノスのほうにも伝令が飛んできた。
「イリヤ殿下、女王陛下のお側にて、お進みください」
イリヤが本来の身分に戻ったために、隊列の順序も修正されたということであろう。イリヤはミノスに視線を転じた。
「ミノス公、今後は私の腹心の部下、という立場でよろしいか?」
「御意!」
イリヤは無言で頷き、ケレシスを前に出した。軽いキャンターですっと女王の馬車に並ぶと、女王が満足の表情で微笑んだ。ミノスも「イリヤの部下」の地位に就くべく、イリヤの後にぴたりと付く。二人の従者(ペローとオルケス)もイリヤの護衛のためにその背後に続いた。
女王の帰還が近いことを数日前から告知されていた城下では、すでに出迎えの準備を済ませ、女王一行の到着を今や遅しと待ちわびていた。
普段から社交的で精力的に外出もする女王であっただけに、数週間程度の不在なら国民も慣れているが、今回の女王の不在は急なことであった。そしてその旅の真の目的は当然、公には報じられていなかったものの、「情報通」なる者の口からいろいろ憶測が飛び、様々な噂が乱れ飛ぶのも致し方ない。
たまたま辺境の砦近くを通ったばかりという旅の商人が、パルキアートの軍が一時、取り囲んだらしいという最新の噂を持ち込んだ。その場に女王やイリヤがいたことはさすがに外には漏れていなかったが、大軍が現れたというだけでことは重大であった。
パルキアートという大帝国と我が国は不穏な関係になりつつあるのか、その事件をきっかけにやはりパルキアートと一戦を交えることになるのだろうか、いや、軍が取り囲んだものの、何事もなく引き上げたというから、話し合いの道が開けたに違いない、などと、その件に関して活発な議論もされたのであった。
そんな折りの女王の帰還である。民衆がその帰りを注目し、隊列を一目見ようとざわめき立つのも無理からぬことであった。
都が近づくにつれ、沿道の人出も急に賑やかになってきた。女王が馬車の窓から顔を出し愛想良く手を振ると、いちだんと拍手と歓声が沸き起こった。
ひときわ、人々の注目を集めたのはやはりイリヤであった。あの若者は? 身にまとう衣装からして、かなり高貴のご身分に違いない。そしてまた女王陛下のお側を親しげに進んでおられる。どこぞのお国の王子であろうか……。
さすがにタッソリアの首都周辺の民衆で、イリヤの顔を実際に見たことのある人は皆無に近かった。もしあったとすれば、やはり諸国を渡り歩く商人や旅芸人の類であろう。そんなひとりが、たまたまイリヤの顔に見覚えがあれば、その周辺からさっとさざ波のように、一気に噂は広まった。どうやらあのお方は、パルキアートの王子らしいぞ。まさか。他人の空似に違いない。いやそれにしても……。
[ 08:37 ]
[ 【パルキアート国物語】第五部 ]
城下に入ると歓迎ムードは一気に盛り上がった。万事、派手好みの女王である。そんな彼女をどう出迎えたらいいかということを民衆は十二分に心得ており、公式行事でもないのに、まるで凱旋パレードさながらに、人々は女王一行を出迎えた。
ところで、ここで用いた「凱旋パレードさながらに」という比喩は、一般的に通用する比喩であって、イリヤの場合当てはまらない。イリヤだったら、この歓迎ムードを凱旋パレードに結びつけなかっただろう。
そう。驚いたのはイリヤであった。国王の単なる帰郷を民衆が出迎えるときはもちろんのこと、敵国との戦争に勝利したハプラスが帝都に帰還したとしても、こんなふうに派手で賑やかなお祭りムードにはならない。まあ確かに、ハプラス自身が、そんな出迎え方を嫌っているからでもあったが。
ハプラスが民衆に羽目を外すのを禁じたというわけではなかった。年に一度の建国記念日や、各種記念日にはパルキアートでも賑やかに祝う。
ただ凱旋パレードは別であった。それはひとつに戦闘というものが、敵味方にかかわらず多くの兵士の、あるいは罪のない民衆の血を流す行為だということを身にしみて知っているからこそ、戦争に勝利しても手放しで喜べないという皇帝の心境があったからであろう。
だからパルキアートの凱旋パレードは、賑やかで楽しいお祭りというよりは、荘厳で厳粛な儀式に近かった。この勝利の陰で散っていった命、限りない犠牲、それらへの鎮魂の意も込めながら、生きて戻れたことへの感謝と共に厳かに行進し、人々も万感の思いを込めて出迎えたものだった。
そういったパルキアートの式典のあり方は皇帝の美意識の現れでもあり、イリヤも当然ながら、それらパルキアート風に幼い頃から馴染んでいた。だからこそ、タッソリアの民衆の熱狂ぶりには驚かされたのである。
余談はさておき、イリヤは無邪気な驚きと好奇心を素直にその顔に浮かべ、周囲に軽く視線を走らせながら、相変わらず凛々しく、背筋を伸ばしてケレシスを闊歩させている。その横顔がいかにも端正で美しく、民衆に笑顔を振りまく合間に、女王はついついイリヤに視線を止めた。イリヤがその視線に気がついたように、目を見開いて微笑んだ。それはまるで、「すごい歓迎ぶりですね」と女王に語りかけているようでもあった。「いつものことよ」と言わんばかりに苦笑を交えて微笑み返し、女王は再び民衆に儀礼的な笑顔を向けた。
女王もついつい見ほれてしまうような美男子を、民衆たちが放っておくはずはなかった。
壮麗な女王陛下の行列の中で、ひときわ輝く馬上の貴公子。陛下の馬車に寄り添うように進み、窓から顔を出す陛下と時折、親しげな視線を交わしているようでもある。見慣れぬ顔だが、いったい何者? それにしても、なんと凛々しく、清々しく、美しい若者だ。彼の微笑み、彼の眼差しを間近に見たい……。民衆は(特に女性たちが)またたく間に彼に注目し、まるで新しいスターを見つけたかのように、黄色い喚声を上げ始めた。
ここで、タッソリアの首都シエラカンド(芸術の都ともいわれる)について簡単に触れておこう。
タッソリアの国民にとって首都に住むことはステイタスであった。第一に地価が高いので、それなりの富裕層でなければ住めなかった。つまり彼らは豊かさに裏打ちされたゆとりの中に生活している。
そのゆとりが文化を育てるということであろうか。文化的な成熟度も高いので、「シエラカンドっ子」として認められるには知識と教養、優雅さが要求され、単なる「にわか成金」は軽蔑された。そしてまた、国王が女性だからか、女性たちは総じて「元気」であった。
そんな、経済的にもゆとりがあり元気な女性たちが、イリヤに喚声を送っている。いや女性ばかりではない。「芸術」にうるさい目の肥えた男たちも、やはりイリヤの何かに惹かれ、思わず手を振っている。
女王も次第に、この喚声は自分に向けられたものばかりではないと気がつきだした。思わず苦笑を浮かべ、横を行くイリヤに、(喚声にかき消されまいとして)叫ぶように言った。
「あなたよ!」
「はい?」
「みんな、あなたを歓迎してるのよ!」
「え? まさか?」
「婦人方に手を振ってごらんなさい。黄色い喚声が返ってくるはずよ!」
イリヤは半信半疑ながら、周囲に視線を巡らせ、少し遠慮がちに微笑みながら、華やかな喚声に答えるように軽く手を振ってみた。
周囲の喚声が、一気にボルテージを上げた。
ところで、ここで用いた「凱旋パレードさながらに」という比喩は、一般的に通用する比喩であって、イリヤの場合当てはまらない。イリヤだったら、この歓迎ムードを凱旋パレードに結びつけなかっただろう。
そう。驚いたのはイリヤであった。国王の単なる帰郷を民衆が出迎えるときはもちろんのこと、敵国との戦争に勝利したハプラスが帝都に帰還したとしても、こんなふうに派手で賑やかなお祭りムードにはならない。まあ確かに、ハプラス自身が、そんな出迎え方を嫌っているからでもあったが。
ハプラスが民衆に羽目を外すのを禁じたというわけではなかった。年に一度の建国記念日や、各種記念日にはパルキアートでも賑やかに祝う。
ただ凱旋パレードは別であった。それはひとつに戦闘というものが、敵味方にかかわらず多くの兵士の、あるいは罪のない民衆の血を流す行為だということを身にしみて知っているからこそ、戦争に勝利しても手放しで喜べないという皇帝の心境があったからであろう。
だからパルキアートの凱旋パレードは、賑やかで楽しいお祭りというよりは、荘厳で厳粛な儀式に近かった。この勝利の陰で散っていった命、限りない犠牲、それらへの鎮魂の意も込めながら、生きて戻れたことへの感謝と共に厳かに行進し、人々も万感の思いを込めて出迎えたものだった。
そういったパルキアートの式典のあり方は皇帝の美意識の現れでもあり、イリヤも当然ながら、それらパルキアート風に幼い頃から馴染んでいた。だからこそ、タッソリアの民衆の熱狂ぶりには驚かされたのである。
余談はさておき、イリヤは無邪気な驚きと好奇心を素直にその顔に浮かべ、周囲に軽く視線を走らせながら、相変わらず凛々しく、背筋を伸ばしてケレシスを闊歩させている。その横顔がいかにも端正で美しく、民衆に笑顔を振りまく合間に、女王はついついイリヤに視線を止めた。イリヤがその視線に気がついたように、目を見開いて微笑んだ。それはまるで、「すごい歓迎ぶりですね」と女王に語りかけているようでもあった。「いつものことよ」と言わんばかりに苦笑を交えて微笑み返し、女王は再び民衆に儀礼的な笑顔を向けた。
女王もついつい見ほれてしまうような美男子を、民衆たちが放っておくはずはなかった。
壮麗な女王陛下の行列の中で、ひときわ輝く馬上の貴公子。陛下の馬車に寄り添うように進み、窓から顔を出す陛下と時折、親しげな視線を交わしているようでもある。見慣れぬ顔だが、いったい何者? それにしても、なんと凛々しく、清々しく、美しい若者だ。彼の微笑み、彼の眼差しを間近に見たい……。民衆は(特に女性たちが)またたく間に彼に注目し、まるで新しいスターを見つけたかのように、黄色い喚声を上げ始めた。
ここで、タッソリアの首都シエラカンド(芸術の都ともいわれる)について簡単に触れておこう。
タッソリアの国民にとって首都に住むことはステイタスであった。第一に地価が高いので、それなりの富裕層でなければ住めなかった。つまり彼らは豊かさに裏打ちされたゆとりの中に生活している。
そのゆとりが文化を育てるということであろうか。文化的な成熟度も高いので、「シエラカンドっ子」として認められるには知識と教養、優雅さが要求され、単なる「にわか成金」は軽蔑された。そしてまた、国王が女性だからか、女性たちは総じて「元気」であった。
そんな、経済的にもゆとりがあり元気な女性たちが、イリヤに喚声を送っている。いや女性ばかりではない。「芸術」にうるさい目の肥えた男たちも、やはりイリヤの何かに惹かれ、思わず手を振っている。
女王も次第に、この喚声は自分に向けられたものばかりではないと気がつきだした。思わず苦笑を浮かべ、横を行くイリヤに、(喚声にかき消されまいとして)叫ぶように言った。
「あなたよ!」
「はい?」
「みんな、あなたを歓迎してるのよ!」
「え? まさか?」
「婦人方に手を振ってごらんなさい。黄色い喚声が返ってくるはずよ!」
イリヤは半信半疑ながら、周囲に視線を巡らせ、少し遠慮がちに微笑みながら、華やかな喚声に答えるように軽く手を振ってみた。
周囲の喚声が、一気にボルテージを上げた。
[ 07:11 ]
[ 【パルキアート国物語】第五部 ]
これがイリヤでなければ女王は嫉妬したかもしれなかった。
国民から第一に慕われ注目されるべきは自分であって、自分以上に他者がちやほやされるのは面白くないはずであった。しかしその対象がイリヤならば、なぜか許すことができた。そんなふうにイリヤが注目されるのはむしろ誇らしいぐらいである。ちょうど、自分が所有する高価なアクセサリーを見せびらかす心境に似ていたかもしれない。いやけしてイリヤを自分の所有物と見なしているわけではなかったが、最初にこの子に目をつけ側に置いているのは私なのよ、この子の信頼の目は私に向いているのよ、という思いはあったかもしれぬ。
そしてまたこうしてちやほやされても、イリヤならばけしておごり高ぶることがないことを女王は見
国民から第一に慕われ注目されるべきは自分であって、自分以上に他者がちやほやされるのは面白くないはずであった。しかしその対象がイリヤならば、なぜか許すことができた。そんなふうにイリヤが注目されるのはむしろ誇らしいぐらいである。ちょうど、自分が所有する高価なアクセサリーを見せびらかす心境に似ていたかもしれない。いやけしてイリヤを自分の所有物と見なしているわけではなかったが、最初にこの子に目をつけ側に置いているのは私なのよ、この子の信頼の目は私に向いているのよ、という思いはあったかもしれぬ。
そしてまたこうしてちやほやされても、イリヤならばけしておごり高ぶることがないことを女王は見