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クラシック音楽のひとりごと
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2005/08/23のBlog
先週来の台所工事がようやく終了。これで、ゆっくり食事が出来そう。
家内は完全電化でご満悦。これで亭主の待遇がさらに良くなるかな?

さて、今日は小品集を。

パトリック・ガロワのフルート名曲集。中古屋で@300円。RCA(ビクター)が発売した「世界名曲選集」のうちの1枚で1988年の発売とある。

この頃はバブル経済の全盛期。CDは高価だったが、「クラシック名曲全集」と称してレコード会社が競って家庭用の名曲集を発売していた。新聞や雑誌の広告を結構見たような気がする(今でも書店で「クラシックコ・レクション」なる全集物を見かけるが、あれも同じようなものだろう)。ノリとしては、高度成長期に流行した「百科事典」のたぐいかな。読まないで飾っておく本。こちらは聴かずに飾っておくCD。
で・・・・結局聴かなかったのかなぁ・・・・新品のまま(ビニール袋そのままだもんね)中古屋に並ぶ運命に・・・・。

ガロワは1956年生まれというから、もう50歳になる。「フルートの貴公子」と呼ばれて70年代末から80年代、日本では大人気だった(特に女性から)。そういえば、当時の『レコード芸術』誌の裏表紙には、しばしばガロワの顔が大写しになった広告が載っていたものだ。長くビクター専属だったが90年頃にDGに移籍したようだ。
経歴はスゴイ。1975年パリ国立高等音楽院を一等賞で卒業。77年21歳の若さでフランス国立管弦楽団のソロ・フルーティスト。その後、ソリストとして独立して世界的に活躍中。

曲目は馴染みのものばかり。
ドップラー「ハンガリー田園幻想曲」
マスネ「タイスの瞑想曲」
フォーレ「シシリアンヌ」
グルック「精霊の踊り」
マルチェルロ「ベニスの愛」
ハイドン「セレナード」など。

ガロワのフルートは、軽やかで爽快、輝くように明るい音色が素敵。
音そのものは太くもなく細くもなく、ちょうどよく中庸に響く。
息長いフレージングとなめらかなレガートがまた心地よい。

「タイスの瞑想曲」の名旋律をこころゆくまで歌わせてくれる快感。
ドップラーの曲は、曲想の移ろいを的確に捉えて繊細に吹いてくれるので、聴き手に分かりやすい演奏になっている。
フォーレ、グルックにマルチェルロと来れば、もう、聴き手はウルウルしながら聴き惚れるばかりでありました。

この録音当時(1980年代前半)、ガロワは金髪をなびかせた20代の青年、まさにフルートの貴公子。もてただろうなぁ。
「日比谷花壇」は彼を待つ若い女性の群れで、大もうけをしたことだろう(^^ゞ。
2005/08/22のBlog
四国に恵みの雨。
お隣香川県は高松で親類の結婚式に。良い雨でありました。干天の慈雨。
結婚式は「人前結婚式」。披露宴のスピーチなど2つだけで、あとは新郎新婦が客とゲームをしたり、映像を見せたり・・・・・・、最近の形なんでしょうな。
親族の末席でのんびりと眺めておりました。

さて、今日はマゼール指揮クリーヴランド管でブラームスの交響曲第1番ハ短調。
録音は1975年8月。
DECCA原盤なのだが、発売はSCRIBENDUMからの廉価盤。
HMVの通販、全集3枚組で2000円しなかった。

マゼールという指揮者、神童だとかバトン・テクニックがもの凄いとか、頭の回転がべらぼうに速いとか、さまざまな評を読んだが、専門家の言うことはド素人のボクにはよく分からりません。経歴も華麗ですよ。ニュー・イヤー・コンサートで達者なヴァイオリンを聴かせるなんて芸もあるし(Vnは本芸らしいが)、ホンマにスター指揮者なんだろうと思います。
でも、マゼールを理解するのは、やはり演奏を聴く方が手っ取り早い。個人的には好きな指揮者であります。

マゼールの指揮する演奏は、淡々と表面だけを仕上げた録音のためだけの演奏もあるにはあるのだが(そういうのは、、多くは、聴いていて「アレレ?」と思わせるところがいっぱいある演奏が多い。
聴きどころでグイッとテンポを落としてみたり、あるいは泣かせどころ(歌うところ)でサッサと聴き手の想いを振り切って進んでしまったり、時には、もうエエぞ、もうヤメときいやとこちらが辟易するくらい大見得を切ってみたり・・・・・、何かあるんですな。
他の演奏と聴き比べてみると、面白いんです。何か仕掛けがあって、ニヤリとさせられるところが多いんです。クラシック音楽の本道や王道とはちょいと離れた感じの演奏(というと邪道か?^^;)。

さて第1楽章の開始から、マゼールの芸が炸裂。この交響曲、ブラームスが着想から20年もかかって完成したものだけに、物々しい開始なのだが、マゼールはさらに輪をかけて大げさな音楽を作る。気宇壮大、周囲を睥睨しながら振り払うような冒頭。テンポはゆったり、というよりかなり遅い感じ。この楽章に17分以上かける演奏、そう多くはない。
第2楽章もゆっくりペース。しみじみ歌わせるところもあるし、弦のトゥッティなど色気もあるし、全体としては非常に美しい仕上がり。終わりのヴァイオリンのソロも匂うような美しさ。
第3楽章はグッとテンポを速めて、やや素っ気ない感じ。前の2つの楽章が壮大でゆったりとしていたので「アレレ?」と思う。オケはさすがにクリーヴランド、いつもながら巧いし、マゼールの棒にピタッとくっついていく。
終楽章もやや速め、例の第九に似た旋律のところからはグイグイとオケを引っ張る。ホルンのソロが強烈。音がデカイ。トロンボーンもわざと音を割るところがあり、野卑な響きでビックリする。揺れるテンポが面白い。音をグッとためるところもあり、ルバートに近い感じ、聴いていてドキドキする展開。面白い。

第1楽章の壮大な開始から終楽章のやりたい放題まで、異色の演奏だとは思う。
でも、さすがマゼール。聴かせどころを心得ているというか、聴き手をドキッとさせるのが巧いというか・・・。
マゼール嫌いな人には勧めませんが、面白いブラームスだとは思います。
あ、正調とは少し違うかなと思いますし、格調高くはありませんので念のため。

実は2番以降も面白いんですが、またの機会にと言うことで。

2005/08/21のBlog
夕立がこの数日続いたおかげで、朝夕はだいぶ涼しくなりました。
秋来ぬと目にはさやかに見えねども・・・・・であります。
猛暑続きの夏も終わり・・・・・・(になってくれるかどうか・・・・・(^^ゞ・・・・)。

で、夏の名残の交響曲。
今日はマーラーの交響曲第3番。いわゆる「夏の交響曲」。エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送響の演奏。アルト独唱はドリス・ゾッフェル。1985年4月、フランクフルトのアルテオパーでの録音。DENONがさかんに「B&Kマイク使用」と謳って話題になっていた頃のもの。
確かに今聴いても音は良い。抜けがよく、ホールトーンも十分、しかも各楽器が鮮烈に響く。弦は繊細に、金管は逞しく鳴るので、聴いていて実に心地よい。いろいろな楽器がどんなことをしているのか、「見える」ような録音。
このCDが発売された当時、インバルのマーラーを評して「レントゲン写真を見るような」「楽譜の隅々まで光を当てた」なる表現が見られたが、DENON録音の影響も強いんじゃないか。1980年代後半の信じられないようなもの凄いマーラ・ブームから20年、今の耳で聴くと、そういう表現が似つかわしい演奏、ナンボでもあるように思う。

長大な第1楽章、30分は優にかかる楽章だが変化に富んでいて大好き。ホルン8本の勇壮な開始はいつ聴いてもワクワクする。ブラームスの交響曲第1番終楽章も同じ旋律(あ、調性は違うか・・・^^;)、あれもワクワクするところだが。金管の活躍、特にトロンボーンは野太いのだがニュアンスに富んでいて多彩。不安な響きを醸し出したり、時には身を任せたくなるような深々とした響きであったり。ヴァイオリンは繊細。他のオケに比べて響きが細い感じがする。響きが薄いというのではなく、ヴァイオリンがよく揃って1本の糸のような響きをつくり出す。インバルのトレーニングの成果か、DENONの録音の故か素人のボクには分からないが、独特の響きになっていると思う。その細さが、イイ。

第2楽章は木管の響きが繊細。左右のスピーカーに展開する音場が奥深いので、木管の演奏が生きる。さすがDENON録音。オーボエもフルートも優雅でデリケート。この楽章、そういえば「牧場で花が語ること」であったかしら。それにふさわしい、可憐な楽章にインバルは仕上げている。

第3楽章は、もうこれはポストホルンの音色に酔うのみ。ヴァイオリンやピッコロの響きを聴くと、緑の森の中を逍遙する雰囲気になってくる。
第4・5楽章はアルトの太い歌声が落ち着いていて良い。ドリス・ゾッフェルという歌手、西ドイツ(当時)の人でバッハのカンタータなどを得意にしているそうな(ライナーノートにそうあった)。知的で奥ゆかしい歌唱で好み。
終楽章は、マーラーが書いた最も美しい楽章の1つ。静謐の中からしみじみと感動が湧き上がる。ここでもヴァイオリンの糸を引くような「細さ」がイイ。デリケートで可憐な響き、極上の美しさ。

インバルのマーラーは実演を聴いているので、ついつい入れ込んでしまいます。
ナマは(5番を聴きました)はもっと良かった。凄かった。

思えばこの頃のインバル、ブルックナーもマーラーも、ラヴェルもベルリオーズもガンガン録音して元気いっぱいでした。DENONレーベルも、その録音の素晴らしさもあって元気いっぱいでした。
さて、最近のDENONは・・・・・・寂しいぞ。
2005/08/20のBlog
日が少しずつ短くなってきたような気がします。
日の出の時刻がやや遅くなり、夜が来るのも早くなる。
秋の訪れであります。
ここ数日の夕立のお陰か、朝晩の空気も少し冷たくなってきました。

秋が来ると聴きたくなるクラシック音楽は沢山ありますが、特に室内楽なんぞを部屋の中でモゾモゾ聴くのはなかなかエエものです。
で、今日は弦楽四重奏で最も好きなボロディンの2番を。
演奏はイタリアSQ。1968年2月録音。学生の頃1300円で購入した廉価盤LP。
そのうちにCDで買い直そうと思っているうちに、CDを見かけなくなってしまったので今もLPを愛聴している。
実は他の弦楽四重奏団の演奏でも、このボロディンの曲は持っているのだが、イタリアSQを越えるものがない。
それは、全編に漂う「歌」。それに、突き抜けるような明るさを持った弦楽の音色。
この2つに関しては、イタリアSQが抜きんでて素晴らしい。
メンバーは、第1Vnがパオロ・ボルチアーニ、第2Vnがエリーザ・ペグレッフィ、ヴィオラはピエロ・ファルッリ、チェロはフランコ・ロッシ。

第1楽章のアレグロ・モデラート。懐かしく、哀愁を帯びた旋律の第1主題がチェロで奏でられる。チェロの音色が太く深々として心地よい。草原を渡ってくる涼しく乾いた風のようにチェロが響く。それに続くヴァイオリンの音が細く艶やか。スーッと伸びてゆく持続音がものすごく綺麗。
第2楽章のスケルツォ。ヴァイオリンの速いパッセージが面白い。民族舞踊風の旋律も美しい。ここでは低音を支えるヴィオラが巧い。
第3楽章はアンダンテ、「夜想曲」とよばれる楽章。このノットルノが素晴らしい。この旋律だけでも何回でも繰り返し聴きたい。チェロの音色を生かしきった旋律、やがてヴァイオリンが受け継いで、切々と歌い上げる。秋の夜にふさわしい、懐かしく、繊細で、感傷に浸れるメロディ。ああ日本人!・・・。
イタリアSQの「歌」が素晴らしい。ここは、徹底して歌って欲しいところなのだが、この演奏は文句なく素晴らしい。4つの弦楽器が共鳴しながら哀愁のメロディを歌い上げる、見事さ。
終楽章はヴィヴァーチェに入ってからが面白い。ヴァイオリンとヴィオラ、チェロが対話を繰り返す。ここでも抒情に満ちた旋律が聴ける。クライマックスは第1楽章の素材のコーダ。

弦楽四重奏曲は得意ではありません。室内楽はあまり聴きません。
でも、ボロディンのこの曲だけは別格。秋になると聴きます。
学生の頃からの愛聴盤。ロシア・中央アジアの冷涼で乾いた空気が部屋に満ちる音楽。
胸を揺さぶる旋律。大切にしたいですな。

ところで、ボロディンについて、narkejpさんのブログ「電網郊外散歩道」が大変参考になりました。
音楽以外のボロディンの業績
化学者としてのボロディン
2005/08/19のBlog
ボクのリスニングルームは2階にありまして、階下の部屋では退職後悠々自適の父が毎日のように囲碁を打っております。10年前に脳梗塞を患った父は右半身が不自由で外出がままならず、訪れてくれる何人かの友人と碁を打つのが唯一の楽しみ。時々、碁会所のように人が集まることもあります(父が常に家にいるので、客も訪問しやすいんですな)。ですから、休日の午後などは、少々ボリュームを絞って遠慮しつつクラシック音楽を聴きます。それでも、音は真下の囲碁ルームに響きます。
そして、父は言うのです。「今日も、ジャジャジャ ジャーンをしよったのう」と。
(ボクが聴いていたのはマーラーでありますが。)

父はクラシック音楽どころか、音楽そのものに無縁の人であります。楽器などは勿論。カラオケなども歌ったことはないはず。「音楽」は最も父が不得意とする分野であります。その父が、「ジャジャジャ ジャーン」を知っている・・・・・・。
ベートーヴェンの「運命」です。父にとって、クラシック音楽とは何でも「ジャジャジャ ジャーン」なのであります。おそらく、「ジャジャ ジャジャーン」が「運命の」冒頭であることも知らないのではないかと思います。
しかし、そんな父でも断片的に「運命」、ベートーヴェン、「ジャジャジャ ジャーン」という冒頭部を知っている。ヨーロッパから遙か離れた東洋の島国の、そのまた島国の四国の片田舎で育ち、おそらく生涯を終えるであろう父が知っている。
ベートーヴェンはスゴイなと思います。

そして父はカラヤンという人物の名も聞いたことがあるはずです。と言うより、クラシック音楽の指揮者で、カラヤンという名しか知らないでしょう。

ベートーヴェンと同じ謂で、カラヤンもスゴイ。

今日はそんなベートーヴェンとカラヤンに敬意を表して、交響曲第5番ハ短調「運命」を。カラヤンが完成した全集のうち、1970年代のDG盤から。1977年1月、ベルリンのフィルハーモニーでの録音。中古屋で購入したLP8枚組の全集。50ページに及ぶ豪華解説書つき。新品なら18400円だったはずのもの。@2300円×8枚組 でありますな。昔はレコードは高かったんです。しかも名にし負うカラヤンのベートーヴェン。殿様商売でも売れたんでしょう。

で、その1970年代こそ、カラヤン/BPOの全盛期だったろうと思う。
今聴き直すと、このベートーヴェン全集だけでなく他のすべてが素晴らしい録音。

さて、第1楽章、見事なアレグロ・コン・ブリオ。たたみかけるような迫力。ハイスピードなテンポ。現在の流行の演奏に比べて、かなり重厚なのだが十分に爽快。しかも音楽がよく流れて、推進力に溢れている。レガートが美しく非常に流麗、いわば流線形の音楽。マルチ・マイク録音なのだろう、各楽器の音色が美しく録られている(音場は少々不自然なところがあるが)。
第2楽章はヴァイオリン群の音色が聴きもの。金色に輝くような音色。美しく彫り込まれた金細工のような音。輝くような鮮烈な弦とは、こういう音を云うのだろう。
第3楽章のスケルツォは金管の咆吼が凄まじく、またカッコイイ。ハンサムでスタイルの良い演奏。ここでもレガートが特徴的。カラヤンのベートーヴェンはホンマによく流れる。「歌う」というより「流れてゆく」感じ。これはこれで心地よい。
終楽章の盛り上がりも強烈。個々の楽器の音が、全部聞こえるような録音。実際のホールではこういう音はしないだろうなと思いつつも、スピーカーの前で耳にするレコードの音は快感。特にフォルティシモの部分は、麻薬のような媚薬のような美しさ。この流麗さ、この美音、カラヤンのベートーヴェンは癖になる危険を孕む音楽。

カラヤンのベートーヴェンは、60年代の全集も80年代のカラヤン最後の全集も聴きました。で、最もカラヤンらしく流麗で磨き上げた美音、病みつきになるほど悩ましくも美しい演奏は、この1970年代のものではなかったかと思っております。

2005/08/18のBlog
最近、本屋を営む友人が、不景気と読書離れで、本が売れない売れないとぼやいております。
若い人が本を特に読まなくなったように思いますな。
ケータイにあれほど金を使っては、本を買う余裕などないでしょう。
CDはどうかな?もうダウンロードで済ませるようになってしまっているのかな?
クラシック音楽のCDなんて、お先真っ暗な感じもします。
先日も、行きつけのレコード屋を1時間ほど物色したものの、来客はボク一人。
寂しいもんです。

近所の別の本屋(文房具やCDも売っているような、小さいけれど便利だった)が閉店バーゲンしてました。クラシックのCDも少々置いていたんですが、ソニーの1000円盤などは軒並み300円。ダブリ買いに注意しながら(しょっちゅうダブってしまうので・・・(^^ゞ)、10枚ほどゲット。その中の1枚が今日のCDであります。

マーラーの交響曲第1番「巨人」。
若杉弘指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。1986年の録音。原盤はドイツ・エテルナだったと思う。ドレスデン・シュターツカペレの「巨人」は、他にスウィトナーの1962年録音のCDしか聴いたことがない。他にあるのかな?。

ドレスデン・シュターツカペレの音が、DENONなどに比べて、やや明るめで艶やかに聴こえるのは、レーベルの特色か、録音が少々違うのか。もう少し渋めの音だったように思うのだが(DENONやドイツ・シャルプラッテンでは渋め)、エテルナ盤の鮮烈さも悪くない。トランペットやトロンボーンなど、金管の咆吼などキラキラしていて心地よいし、ホルンの音色は、いつも通り甘く太く柔らかい。
アンサンブルも、例によって素晴らしいし、楽器の溶け合いも見事。

この曲はマーラーの青春。
ワルターが言ったように「マーラーのウェルテル」だと思うし、聴き手にとっても青春交響曲だろう。

若杉の採るテンポは、速すぎもせず遅すぎもせず、心地よい。弦は、ドレスデンの柔らかさ、高音はしなやかに伸びてゆくし、木管は柔らかく優しくからみつく。青春の憧憬を十分に表出していると思う。
音楽の表情付けもあまりせず、どちらかというと、淡々と進む。オーケストレーションそのものが良く出来ている(と、ボクは思う)ので、無理な演出を若杉はしていない。
水彩画のような、スッキリとして軽みをもった演奏。さすがに終楽章は壮烈に盛り上がるが・・・・。前の3つの楽章が、アッサリとして特徴的。

いわば「中庸」の演奏。

マーラーこそ後期ロマン派の典型なのだから、もっとドロドロ、表情たっぷりに演奏出来るのだろうが、我が若杉は、「中庸」路線。
「涙節」はないし、「絶叫」もない。
やや薄味かなとも思うが、これが若杉弘のマーラーの特長なのだろう。
オケの特徴を前面に出しながら、ゆったりと焦らず、淡々と演奏させてこの素晴らしさ。
「もっと泣いて欲しい」と若い頃なら思ったかもしれないが、今はこんな演奏がボクは好きです。

2005/08/17のBlog
昼前後に雷雨。激しい雨が1時間ほど降ったので、午後から夕方は涼風が吹き抜けて気持ち良かった。久しぶりの雨だった。このくらい涼しくなれば、初秋を実感できます。
早朝に蜩の鳴き声。窓を開けて寝ているので、肌寒さを感じるようにもなりました。
静かに秋は来ております。

今日はシューマンのピアノ協奏曲。ラドゥ・ルプーのピアノ、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン響の演奏。1973年6月、ロンドンでの録音のDECCA原盤。
キングから発売されていたDECCAのLPが、日本での新会社ロンドン・レコードから発売されるのを記念した廉価盤。と言っても、当時の廉価盤1000~1500円を超えた1800円盤だった。廉価盤というより、ミドル・プライスという価格設定だった。

このレコードは、「千人にひとりのリリシスト」という有名なキャッチ・フレーズでデビューしたルプーの、おそらく最高の名盤。オケもプレヴィンの指揮で、ルプーの繊細で美しいピアノにきれいに寄り添って、見事な「協奏」を聴かせてくれる。

第1楽章の冒頭から、ルプーの弾くピアノの音色にため息が出る。録音はさすがに古びてきたが、澄みきったルプーの音色を伝えてくれる。鋭角的に切れ込んでくる時もあれば、優しく丸みを帯びた音色で歌わせるところもあり、ピアノの音色は、千変万化する。タッチもニュアンス抜群。プレヴィン/ロンドン響も、それに合わせて優しく、時に激しく、素晴らしい伴奏。オーボエの旋律が美しい。歌わせ方が、浪漫的なのだが全く端正でカッコイイ。こういう木管なら、いつまでも聴いていたい。

第2楽章のアンダンテ・グラツィオーソ。甘くはかない青春の香り。憧れの感情が漂う。初めてこのレコードを聴いた学生時代が思い出される。懐かしい。ホンマ、懐かしい。
ルプーのピアノは繊細きわまりなく、特にピアニシモがきれい。この人の特徴は、弱音の繊細さと美しさにあると思うのだが、このあたりがリリシストと云われるゆえんだろうな。ピアノを抒情的に歌わせたら、ルプーは最高のピアニストだと思う。

終楽章はピアノとオケの「協奏」が見事。ピアノの美しさも最高潮。デビュー当時のルプーをイギリスでは「真珠をちりばめたように美しい」と評したと言うが、むべなるかな。フォルティシモで輝くような音色は絶品。オケも絶好調で見事なクライマックスをつくってゆく。

あれからシューマンのピアノ協奏曲を何枚も聴いてきましたが、結局この演奏に戻ります。カップリングのグリーグも、これ以上に素晴らしい名演奏。
(グリーグの方がさらに良いかもしれません。だから名盤)

いろいろ聴いてきて、学生時代から愛聴しているこの1枚に戻ります。
不思議な話であります。人間って成長しないもんです。変わらんもんです。

カップリングはグリーグのピアノ協奏曲。これも素晴らしい演奏。
2005/08/16のBlog
暑い日には、何か涼しい音楽をと思い、取り出したのはシベリウスの交響曲第2番ニ長調作品43。
演奏はコリン・デイヴィス指揮ボストン響。
1976年4月、ボストンでの録音。

普段はLPで聴くことが多い。ゆったりとした音でくつろげるから。
今日聴いたのは、グレート・コンポーザーシリーズの中古盤。
デイヴィスとしては1回目のシベリウス全集。2枚組のDUOシリーズで、廉価盤になっている。部屋のどこかにあったはずだが、見つからなかった・・・・・(^^ゞ・・・・


第1楽章、冒頭の弦楽器の和音が渋く、やや暗めの深々とした音色。あぁ、ボストンのシックな響きだなと思いつつ、やがて木管が絡んでくるその旋律線の美しさ。クラリネットとオーボエが何とも綺麗な響き。決して艶やかではないのだが、心に響く。そして、ホルンがステージ奥で、木管にゆったりと答える。木管が手前で、ホルンが奥で心を通わせつつ、見事なアンサンブル。録音も良い。音場が深く、手前に弦が、奥の金管が左右のスピーカーの間に綺麗に並ぶ。

第2楽章は、この交響曲の白眉。フィンランドの冷涼な(荒涼とした、というべきか)空気が部屋に充満する。(暑い日にはホンマ涼しくなりますな。)
ボストンの弦は相変わらず美しい。管楽器も大活躍。第1主題のファゴットの淋しさ、フルートが奏でる対旋律など、もうため息出そう。金管の張りも十分。トランペットが朗々と歌う部分など美しい。どの楽器も、浮き出たようなところがないのもイイ。楽団の一員として、おさまるべき場所で自分の役割をきちんと果たす演奏。こういうのをホンマの自発性というのではないかな。スタンドプレーに走らない、綺麗なアンサンブルが聴ける。

第3楽章では、オーボエがレントで歌うシベリウスらしい美しい旋律が印象的。ここでも音色はやや暗めで渋い。部屋が涼しくなる(^-^)。

終楽章のクライマックスは素晴らしい。クレッシェンド続いて、弦のユニゾンの上を金管が雄大に締めくくってゆく。

デイヴィスとボストン響の録音、シューベルトの交響曲もよかったが、やはり代表作はシベリウスだろう、と思わせる1枚であります。
おそらく、この録音当時より現在の方がさらにシベリウス解釈が進んでいると思うんですが(デイヴィスも他の指揮者も)、ボクの中では忘れがたい1枚でもあります。
2005/08/15のBlog
PC画面の見過ぎか、細かな文字が見えにくくなってきました。
老眼の始まりかもしれません。
若い頃から近眼で困ってきたが、いよいよ老眼も出始めたか・・・・。
我が友人で、視力の良いヤツは、早くから(もう5年も前から)老眼になって新聞が読みにくいと愚痴をこぼしていたことを思い出します。
いやはや、衰えを実感するのは、つらいものですな。


そういう気分の時はブラームスであります(^^ゞ。

今日は交響曲第4番ホ短調作品98。ブラームス晩年、52歳の大傑作。ブラームスはこの作品のあと12年間生きるのに遂に交響曲を作曲しなかったので、これが最後の交響曲になってしまった。
演奏はヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮ロンドン・フィル。1989年録音のEMI盤。

第1楽章、密やかな息づかいで始まる。寂しい感情を内に秘めつつも、ついつい表に出てしまう、そんな演奏。ロンドン・フィルの弦が渋くて良い。チェロの美しい旋律など、むせび泣くようだ。サヴァリッシュの指揮は、感情に流されすぎぬよう手綱を締めながら、きっちりと歌うべきところは歌わせている。構造が崩れないのはさすがだが、もっと泣きじゃくってもイイのになぁとも思う。この辺が、サヴァリッシュの美学だろう。

第2楽章はホルンと木管の序奏、この音色が渋くて素晴らしい。朗々と歌うわけではなく、しみじみと後ろ髪を引かれながら、で、つい後ろを振り返ってしまうような響き、演奏。第2主題はチェロ。ここでも低弦部の美しさに聴き惚れてしまう。

第3楽章は、過去の栄光か。トゥッティがよく揃って、心地よい。サヴァリッシュはここでも慎重で、あまり爆発的になることはない。十分に美しい演奏。

終楽章のパッサカリア。人生の酸いも甘いも知り尽くした男の音楽(ブラームスの場合は苦い味が強いのだろうが)。サヴァリッシュはここでも渋く、格調高く、淡々と演奏させる。絶叫しない。腰をくねらせて歌う演歌歌手のような演奏も時々聴くことがあるが、サヴァリッシュ/ロンドンPOはひたすら誠実に、あくまでもスタイリッシュに楽譜を音化してゆく。だからこそ、しみじみとした味わいが出る。人生いろいろなことがあったなぁ・・・・・・・そんな回想の音楽を、美しく仕上げた演奏。

録音がEMIらしく、ボチボチといったところ。あまり鮮烈な録音ではないので、しかも個々の楽器をクローズアップするような録音でもないので、滋味で深々とした音になってブラームス的と言えそう。ホールトーンも十分。
2005/08/14のBlog
お盆休みに入って、田舎は他県ナンバーの自動車が増えております。
週末が重なったので田舎には珍しく渋滞もあったりしまして・・・・・。
OBやOGの盆帰りに合わせたのか、地元高校の芸術文化発表会(もう今年で9回目)が開かれ次男坊もコントラバスを抱えて出演。3年生最後の演奏会でもあり、なかなか感動的。演奏も上手で、特別出演の今久保宏美さんの素晴らしい歌唱も聴けました。満足。


さて、今日は久しぶりに協奏曲を。
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61。ヴァイオリンはジャン・ジャック・カントロフ、伴奏はアントニ・ロス・マルバ指揮オランダ室内管。1984年4月、オランダのヴァールス教会で録音。
DENONの名曲全集からの1枚。(カップリングはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲)。中古書店でよく見かけるもの。1枚300円程度で買えることが多い。
結論から言うと、これは掘り出し物。初めて聴いたが、全く素晴らしい演奏で、録音も最高じゃないかと思えた。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、第1楽章の冒頭、序奏部のヴァイオリンが登場する前のオケの演奏がまず聴きものだと思う。最初のティンパニのあと、オーボエとクラリネット、ファゴットが第1主題を歌い出すところ、マルバ/オランダ室内管のつくり出す響きが素晴らしく繊細でなめらか。木管の音も表情も素晴らしい。強弱をつけて、心を揺さぶるような開始。浪漫的な演奏と言えるのかもしれない。ニュアンスに富んで、この管弦楽を聴いているだけで、幸福な気分になる。
やがて、カントロフのソロが登場、この音がまた繊細で美しい。カントロフって、こんなに美音家だったのか見直す思い。音色は明るめで繊細、やや細身。突き刺すような尖った細さではなく、何本か撚った絹糸のように透明感があって、しかも美音。遠くまで伸びるような、続くような、細いにもかかわらず確かな質感のある響き。耳に何とも心地よい。
この音を聴くだけでもイイのだが、フレージングがまた面白い。今まで聴いた演奏とは、印象が違う。
調べてみると、児島新校訂による新ベートーヴェン全集による世界初録音とのこと。フレージングが独特だなと思ったら、今までの版とはかなり異なっているとのこと。なるほど。カデンツァはクライスラーのものを使用。

カントロフの演奏、技術的にも破綻なく、美しく弾く。耽美的にさえ聴こえてくる。
だいたい、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲には、あまりアクロバティックな聴かせどころはないと思う。それよりも、如何にオーケストラと会話するか、協調するか、あるいは競い合うか・・・・が大事なのだろうと思う。この点で、カントロフの演奏は、オケとよく協調して、愉悦感や安らぎを与えてくれる。しかも、豊かなスケールを示しながら高貴な品格さえ漂わせているように思える。名演だなぁ。

第2楽章は、カントロフの美音を生かして、何とも綺麗な演奏。マルバ/オランダ室内管のつくり出す「歌」もイイ。ベートーヴェンが書いた、これは敬虔な祈りの歌だと思うのだが、ヴァイオリンもオケも静謐で、心落ち着く演奏になっている。

第3楽章のロンド。ヴァイオリンの美音が軽やかに弾み、爽快。オケの音も素晴らしい。DENONの録音がまた最高なので、躍動しながらどんどん高みに登っていけるような演奏になっている。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲といえば、名盤も数多いが、このカントロフ盤、この美音この録音、十分に名盤の価値有りと見ました。
2005/08/13のBlog
猛暑は続きます。雨が降りません。
隣の香川県では早明浦ダムの渇水で、取水制限も始まったようです。
去年は洪水、今年は渇水。いやはや、自然の猛威であります。

十数年ぶりに旧友に再会。出張のついでとはいえ、わざわざ西条まで来てくれました。
大学時代の彼は主将、ボクは連盟委員。
逢うのは、どの友人の結婚式以来だったかなと、互いに思い出せないほど久しぶりでありました。昔話から、今の境遇まで話題は尽きません。
再会を約して松山空港まで見送りました。
学生時代の友人というのはイイもんです。気を遣わず、好きなことが言えますな。


さて、今日はシューベルトの若番交響曲を。
ベーム/BPOで交響曲第2番変ロ長調D125。
録音は1971年。ベームが晩年にさしかかろうとする時期の録音で、シューベルト交響曲全集からの1枚。
シューベルト17歳の頃の作品。若々しく青春の息吹を感じさせる曲、といってもシューベルトのこと、完成度は高いなと思う。天才はいくつの時でも天才なのだ。年齢など関係ないんやなぁ。

シューベルトの交響曲、最近はピリオド楽器の隆盛・流行で、速くスッキリとした演奏が殆ど。このベーム/BPOの演奏を聴くと、時の流れを実感せざるを得ない。
今から34年前の録音、古楽器はバロック演奏にとどまっていた時代のものだから、この演奏を今の耳で聴くとスケールが大きく浪漫的。
ただベームの指揮だから、テンポは常に正鵠。揺れたりはしない。表情付けもあまりないので、どちらかというと誠実・厳粛な感じの演奏。
録音が結構よい。鮮烈と云うことではなく、ベルリン・フィルの重厚な音がよく録られていると思う。弦が渋く、ややくすんだ感じで響くので、ドレスデン・シュターツカペレの音のような錯覚に陥ったほど。エエ音してる。

第1楽章のラルゴの序奏部、ベームはゆったりとしたテンポで開始。着実に進んでゆく印象。やがて、アレグロ・ヴィヴァーチェになるのだが、響きはさすがにこの時代のもの、厚みがあってしっとりとした味わい(現代の演奏なら、もっとサラサラとながすだろう)。
第2楽章は、この交響曲で最も旋律の美しい部分。可愛らしいメロディが変奏曲形式で移ろいゆくさまは美しい。室内楽のように始まるときのヴァイオリンの響きは特に綺麗。
第3楽章はメヌエットなのだが、シューベルトの溢れる情感がたぎるような曲。さすがBPO、弦と管のバランスがほどよく、迫力のある響きをつくりながらシューベルトの感情を伝える。ベームの指揮は古典的。情念に突き動かされることなく、ここでも正確なテンポを刻んでゆく。結果的に格調高い楽章になった。ベームがモーツァルトの交響曲を指揮したときも同じような印象を持ったが。
終楽章はもっと軽やかに進んでもイイかな・・・・と思って聴いていたが、やはりベームの指揮だもんね。このくらい「しっかりと」演奏するのも悪くないか。


ベームのシューベルト全集、どの曲もベームの誠実さ・謹厳さが伝わってくる名録音だと思います。未完成やグレートは、もちろんさすがの演奏。若書きの若番交響曲も、しっかりとした演奏でボクは好きです。
2005/08/12のBlog
マリナー指揮するアカデミー室内管のチャイコフスキーの交響曲全集(レーベルはカプリッチョ)、HMVのバーゲンで激安だったのでついついGET。
1800円で6曲が揃って、しかも管弦楽曲もいくつかフィルアップされている、コスト・パフォーマンス抜群の全集・・・・。
(ただし、HMVのサイトでは酷評されていたが^^・・・・ )

芸術にコスト・パフォーマンス云々とは真摯なクラシック・ファンに怒られそうだが、CDも立派な「商品」だからねぇ。価格が安いのはエエことであります。

マリナーのCDは夥しいほど市販されている。この人、カラヤンに匹敵する(凌駕したのかな?)くらい録音が多い指揮者。何でも録れちゃう。

バロックから古典派、ロマン派から近現代まで広大なレパートリー。しかも、何でもそつなく仕上げちゃう職人芸。マリナーのCD、1960年代後半にはドキッとする演奏が多かったが(ヴィヴァルディの四季とか、バッハの管弦楽組曲とか・・)、1970年代後半から現在までは、人間が丸くなったのか、見た目が美しい(聴いた耳に心地よい、と言うべきか)、仕上げの綺麗な演奏が増えた。

100点満点で、平均点80点以上のCDばかり。秀才的指揮者なんだろうな。
我が家にも沢山マリナーのCDあり、どれも素晴らしい。
以前にも書いたホルストの「惑星」は、今もボクのエヴァー・グリーンであります。

(ただ、120点の演奏はないなぁ。時々大爆発する指揮者もいるが、マリナーはそういうタイプではないのだろう。)

で早速、交響曲第4番ヘ短調作品36を聴いてみる。
この交響曲は、彼の交響曲の中で最も情熱的でダイナミックな(金管などスゴイよなぁ)ものだとおもうのだが、さて、アカデミー室内管ではどうなんだろう。

アカデミー室内管、アカデミー・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(英語で書くのは面倒^^;)、略してASMF。室内管弦楽団なのに、スケール大きい演奏。普通の大編成のオケに比べても遜色ない。増員しているのだろうが、十分にチャイコフスキーのオーケストレーションを味わえる。
録音も1991年なので、十分すぎるほど美しい。ただ、室内管の録音の特徴なのか、音がスピーカーの前に出てくる感じで、「ホールトーンを味わいながら雰囲気を楽しむ」という録音ではない。ただ、各楽器は美しく録られており、木管など、ふるいつきたくなるくらい綺麗。

第1楽章のホルンの最強奏、カッコイイ。もう少しガッツがあってもいいなと思うのだが、よく聴いてゆくと、これがマリナーのやり方なのだと納得。金管の大咆吼を目指すのではなく、エレガントにこの交響曲を仕上げようという意図が聴こえてくる。弦も管も華々しくなるのだが、「美しく」鳴る。音が混濁しないし、変にテンポが揺れることもない。きちんとした演奏。
第2楽章は、いつ聴いても泣けるアンダンテ。オーボエが美しい。テンポも速すぎず、ネトネト粘りすぎず、心地よいもの。チャイコフスキーの説明文「仕事に疲れ果てた者が一人家の中に座っているときの憂鬱な感情」という標題からあれこれ想像してしまうが、ここでは音楽そのものの美しさが伝わる。オケも巧い。
第3楽章のピチカート。よく揃って安定。金管のピアニシモがデリケートで綺麗。こういう表情はマリナー、さすがに巧いなぁと思う。
第4楽章の爆発、強烈な終曲まで一気に聴けた。ASMF、確かに巧いのだが、終楽章だけはもう少し雄大にハデハデしくやってくれてもいいんじゃないかと思った。これはボクの好みの問題か。演奏の仕上げはエレガントで美しかった。全体的に上品なこの演奏、終楽章も阿鼻叫喚にしないのがマリナーの美学なのだろう。

ということで、演奏も録音も一級品。仕上げの綺麗な工芸品という感じ。
あ、そういえば、この演奏はちっともロシア臭くないです。
だから、もっとドロドロ、爆発系の演奏が好きな人には向かないだろうなぁ・・・・でも、そういう人はこういうCDを買うことはないか(^^ゞ。