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クラシック音楽のひとりごと
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2005/08/31のBlog
クラシック音楽をきちんと聴こうとすると、まとまった時間が要ります。「ながら聴き」でも構わないんですが、こうしてブログを書こうとしたときにはスピーカーに正対して聴きたいもの。ヘッドホンでもよし。集中して聴ければ良いんです。
そのまとまった時間・・・・・せめて2時間あれば、マーラーがゆっくり聴けるし、オペラでもまぁ何とか最後まで届くかな・・・・と思いつつ、仕事との兼ね合いでなかなか時間が取れませんな。

でも、クラシックを聴きたい。

そういう時には、協奏曲がエエですね。シンフォニーに比べて概して短く、30~45分程度の曲が多いので、好都合。気分良く音楽に浸れます。しかも、ソロの名人芸にウットリ、古典派からロマン派の協奏曲は旋律も美しく聴きごたえも十分。

で、今日はグリーグのピアノ協奏曲。ピアノがマレイ・ペライア、コリン・デイヴィス指揮バイエルン放送響の演奏。1988年1月、ミュンヘンでの録音のCBS盤。ソニーの発売した世界名曲大系のうちの1枚らしく、中古屋で購入したもの。

第1楽章からペライアの流麗で繊細なピアニズムを堪能できる。音が綺麗。ダイナミズムも十分で、弱音の美しさはいつものペライアらしい。フォルティシモでも、強靱なタッチでしかも鮮烈な美しさを味わえる。このグリーグでは、ペライアはピアノを遠慮なく「鳴らして」気持ち良い。モーツァルトやいくつかのソロ曲では控えめな音出しが多い人だっただけに、面白い。

第2楽章の静謐な部分は、ペライア得意の弱音で聴かせる。ニュアンスたっぷりに弾いてくれれば、聴き手としては満足。
べとつかない抒情、というか、停滞せずに流れてゆくような情感というか・・・ロマンティックに歌うんだけれど、泣きっぱなしにならないのがペライアのカッコイイところ。

終楽章も目眩くピアニズム。特に最後のカデンツァで、ペライアがバリバリと鳴らすのには少し驚いた。もちろん、音がデカくなっても、形は崩れない。さすが。

バックのデイヴィス/バイエルン放送響は、あまり色濃い演出をせずに、アッサリ・スッキリ系の伴奏。第1楽章ではペライアのピアノについてゆくのに懸命な感じだが、第2楽章以降はテンポも安定して堂々たる伴奏ぶり。
ロマン派の協奏曲なんだからもう少し嘆いたり喚いたりしてもいいんじゃないかなとは思う。ちょいと淡泊かなと思うのだが、これがデイヴィスの持ち味だろうな。スタイリッシュに造形してゆくのはデイヴィスの真骨頂だから。
バイエルン放送響は、非常に巧いオケ。ホルンやフルートのソロは特に美しい。

録音はややペタッとした音場であまり奥行きなし。
各楽器は美しく捉えられているので、この時期のものとしては標準なのかなと思うが。
2005/08/30のBlog
朝晩の涼しさは、まさに初秋。
コオロギの盛大な鳴き声がこれから1ヶ月続きます。

伊予路では、はや新学期が始まっています。
最近は、高校独自に2学期を始めており、次男坊も文句を言いつつ登校していきました。学力低下だの授業時数不足だの、いろいろなことが叫ばれてますので、その埋め合わせかな。まあ、土日が全部休みなのだから、あまり変わらんような気もするが・・・。

さて、今日は「アダージョ・バーンスタイン」と称したオムニバス盤を。
これは、ユニヴァーサルと丸善メイツが発売した名曲全集「TRINITAT」からの1枚。丸善の通販か訪問販売かに使われた全集なのだろう。
某オークションで75枚セットで出品されていたのだが、誰も入札しないので開始価格で落とせてしまった(ラッキー^^)。こういう商品の入札・落札は正月の福袋のような楽しみ。何枚かダブリがあったが落札したのは正解だった。

曲目は下記のようなもの。
1.マーラー:アダージェット(交響曲第5番)
2.ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番からのレント(弦楽合奏版)
3.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
4.シューマン:交響曲第1番のラルゲット
5.モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
6.ブラームス:交響曲第3番のアンダンテ
7.バーバー:弦楽のためのアダージョ
(オケはVPO、BRSO、ロスPOなど)

「アダージョ・カラヤン」が大当たりしたのは、いつのことだったか。レコード会社は二匹目のドジョウを求めて、随分アダージョのCDを発売したものだ。このセットにも、カラヤンはもちろん、小沢やアバド、何とベームまでアダージョのオムニバス盤を組み込んでいる。商魂はいつも逞しい。

さて、演奏だが、これは曲目からしてもバーンスタイン得意のものばかり。
マーラーのアダージェットは、粘り着くような演奏。情緒纏綿、粘着質、滂沱たる涙・・・・・(^^ゞ・・・・。ゆったりとしたテンポで、よくVPOがついていっているなと思う。低減のピチカートがこれほど効果的に響く演奏をボクは知らない。このピチカートはマーラーの(いや、バーンスタインか・・・)の涙か?
ベートーヴェンの弦楽四重奏の弦楽合奏版のLPは、1980年頃に発売されたとき大いに話題になったものだ。今は廃盤かな?このレント、ホンマに遅くて、のろくて、でも美しい演奏。本元の弦楽四重奏で聴きたくなった。
ドビュッシーは、すこしアンサンブルがゆるめ。でも、雰囲気が良いので許しちゃう。このテンポも、やや粘り着く感じ。ということは、「ドビュッシーらしくない」ことになってしまうのだろうが、美しい演奏であることには変わりない。ボクは好きです。
シューマンやブラームスは、交響曲の全曲で聴きたい。
最後のバーバー。これは涙が溢れて、しかも絶叫する哀しみにあふれている。感情の表出が凄まじい。バーンスタインの情念に聴き手は満腹になりそう。聴き手は、その渦の中で酔いしれればいいのかもしれないな。
2005/08/29のBlog
朝夕の涼しさ、いよいよ「秋」ですね。

最近の目覚めは、蝉の声ではなく、もっぱらコオロギです。
田舎の生活の良さは、この自然の音を聴けることかもしれません。
初夏はカエル、真夏はセミ、初秋はコオロギ・・・・・(^^ゞ・・・・。


今日は内田光子のピアノでベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番ハ短調。
管弦楽は老巨匠クルト・ザンデルリンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管。
内田光子の完成したベートーヴェンピアノ協奏曲全集からの1枚。オケはRCOとバイエルン放送響だった。

第1楽章は、ベートーヴェン得意のアレグロ・コン・ブリオ。オーケストラの雄大な演奏が冒頭から楽しめる。この曲、なかなかピアノが登場しないのだが、それまでの間の管弦楽がスゴイ。雄弁でスケール大きく、ゆったりと豪快。堂々の行進。王者の風格。
ザンデルリンクのテンポは加齢とともに遅くなって、いまや我が道を行っている感じ。コンセルトヘボウ管の音は、1980年代に比べて少しきつくなったような感じ。もう少し暗く、木質で、柔らかかった音だったが、録音のせいか、すこし明るくきつめに感じる。
そして、ピアノの登場。内田もマイペース。管弦楽との対話を楽しむより、自分の思いの丈を吐露してゆく感じ。オケには「ついてこい」、とでも言っているかのようだが、だからこそ指揮に老巨匠が選ばれたのかな?コンセルトヘボウ管は巧い。
ピアノの音色は、いつもの内田の音。透明感が半端じゃなく透きとおっていて、細く張りがあって、ニュアンス豊かな音。
内田には専属の調律師がついていて、独特の調律らしいのだが耳が悪くよく分からない(^^ゞ。ライナー・ノートにもそれっぽいことが書いてあるらしいのだが、輸入盤のため英語分からず(^^ゞ。

第2楽章、冒頭からデリカシーに満ちた内田のピアノが美しい。ためらうように、夢見るように、秘かな声で、でもピアノの音色はくっきりとして美しく響く。管弦楽も弱音器をつけていて、深い抒情を漂わせる。ゆったり、遅いテンポ。時間が止まってしまうのではないかとさえ思わせる深い息づかい。内田のロマン的心情が伝わってくる演奏。恍惚として弾いているのが、聴き手に「見えてくる」演奏。オーケストラの音も非常に美しいが、楽団員みんな内田についていくのに必死だったのじゃないかと思わせる緊張感あり。

第3楽章のロンド。ベートーヴェンの5曲のピアノ協奏曲の中では、最も面白くない楽章だとボクは思っているのだが、内田とザンデルリンク(ヘボウ管)とのやりとり・掛け合いが結構楽しめるので、面白く聴けた。ハ短調だが、内田のピアノは華麗に舞う。調性を忘れてしまう華やかさ。オーケストラは好調。この楽章が一番イイ音してる。


この全集、HMVで2800円ほど。輸入盤の廉価盤です。
内田の最新のベートーヴェンが3000円以下で買えてしまうこの時代。
内田のピアノについては、好みは分かれるかもしれませんが、この安さは「買い」だと思います。4番も5番「皇帝」も、さらにスゴイ名演でもありますしね^^。
2005/08/28のBlog
我が家の三男坊は中学3年。バレーボール部はようやく引退したものの、相変わらず合唱部は熱心に参加中(来年3月には、高校受験なのだが・・・・・(^^ゞ・・・・)。

その合唱、昨日、愛媛県民文化会館で行われたNHKコンクール四国大会で、見事2年連続金賞。大したもんです。顧問の先生が素晴らしい先生なのです。
いよいよ10月はNHKホールでの全国大会であります。

お祝いに、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」を。
ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏。
1980年10月、コンセルトヘボウでのライヴ録音。2枚組LP発売当初は、ハイティンク初のライヴでしかも初デジタル録音、話題になった1枚。CD化も早かった。3000円という激安価格での発売(当時は3000円が廉価盤だったのだ)、ボクは思わず購入(^^ゞ。

第1楽章から、熱気に満ちた迫力で展開してゆく。ハイティンクらしく、別に妙な演出をせず、ひたすら正攻法で押してくる。この正攻法が良い。ベートーヴェンを振るときのハイティンクは全く安心して聴ける。音も素晴らしい。コンセルトヘボウの、深々とした音。美しい残響。この楽章独特の、鬼気迫る音楽に耳を澄ませているのだが、録音が美しいだけに、オケの音に耳が行ってしまうのが難点かも。
第2楽章、ティンパニの力強さにびっくり。金管も、派手にならないがしかし十分に厚みがある。弦のユニゾンも全く美しい。ここでもオーケストラの音に酔う。
第3楽章のアダージョは、コンセルトヘボウの弦が深々とした、自然で、木質で、柔和な肌触りの音色で、精一杯歌う。その歌い方がまたイイ。気品があるというか、やや控えめというか、ノーテンキな歌い廻しではなく、清楚でしみじみとした感じの歌い方。ホルンの音がまた遠くから深々と息長く響くのだから、たまらない。
終楽章、壮大な盛り上がり。オランダ出身の歌手(だと思う)4人も懸命、すがすがしい歌いぶり。音楽全体が伸び伸びとしている。オケを締め付けることなく、心ゆくまで解放してゆくような演奏。合唱団も上手。

ベートーヴェンの「合唱」、実はどんな演奏を聴いても、たいがい感動します。
曲そのものが素晴らしいんでしょう。ボクにとっては殆ど凡演がありません。
どんなCDを聴いても素直に納得できます。

ただ、ハイティンクのこのライヴ盤、初めてCDで購入した第九でありまして、思い入れはひとしお。

今日も感動が深いのでありました。
2005/08/27のBlog
夏も終わり。
まだ日中の暑さはこたえるが、朝夕はかなり過ごしやすくなった。
いやはや、今年の夏も猛暑だった。冷房嫌いなのだが、今年はたまらずエアコンのスイッチを何度も入れた。そのせいか、どうも夏バテ気味。食欲はあるのだが、体がだるい。
冷房のせいではないかと疑っているのだが、さて・・・・・。

今日は夏の名残の「シェエラザード」。
シャルル・デュトワ指揮モントリオール響。ヴァイオリン・ソロはリチャード・ロバーツ。1983年5月、モントリオールでの録音。
ラヴェルの管弦楽曲集で大ブレイクしてから、英DECCAはデュトワに次々とアンセルメのレパートリーを録音させた。ロシアやスペイン物、さらにフランス物など、アンセルメのDECCA音源を、新しいデジタル録音にせんと、デュトワはCDを増やしていった。
このシェエラザードは、その頃のものだ。
(CDはユニヴァーサルの「リベルタ」なる世界名曲全集からの1枚。古書店などでよく見かけるものですな。でもゴールド仕様の豪華盤^^)

第1楽章から、もうデュトワ/OSMの特徴が遺憾なく発揮。優雅で華麗な絵巻物が展開してゆく。デュトワは相変わらずの演出上手。ロバーツのヴァイオリン・ソロは細めだが、明るく艶やかな音色。録音極上なので、どこまでも弱音が空間に伸びてゆく。
管楽器は明るく、時に弾けるよう。柔和で繊細な弦楽がこれに絡んで、フォルティシモのところでも、荒々しい音楽にならないのはさすが。シャリアール王の迫力は十分なのだがが、迫力だけでなく気品さえ漂うのは、デュトワ/OSMの巧さに他ならない。

第2楽章の「カレンダー王子の物語」。ノスタルジックな旋律を歌うファゴットの見事さ。オーボエも品が良く、いい音を出している。クラリネットの吹くカデンツァも、優雅で奥ゆかしい。力強いトロンボーン、浮遊するようなピッコロ。トライアングルまで加わって、様々な奏者のプレイが楽しめる演奏。最高に色彩的で、聴いていて全く退屈しない。そのことこそ、デュトワの腕かな。

第3楽章、ここは旋律を楽しめる。ソロのヴァイオリンはもちろん、小太鼓のリズムに乗って軽やかに踊るクラリネットも巧い。ホンマ、みんな巧い。

終楽章のクライマックス。エキゾティックなバクダッドの祭りが、劇的に盛り上がってゆく。音量は大きいが、いつも通り、デュトワ/OSMは荒々しくならない。迫力は十分、しかしオケにはまだまだ余力がある感じ。美しい音を徹底的に引き出そうとするかのよう。

録音もDECCAらしく鮮やかで、各楽器も実に美しく録られている。今から20年以上前の録音だが、現役盤として十分通用するばかりか、これ以上のシェエラザード録音はそうはないと思う。
(コンドラシンのコンセルトヘボウ録音、チョン・ミュン・フン/バスティーユの熱気を帯びた録音・・・・・も素晴らしかったが。)

今夏も「シェエラザード」をよく聴きました。自己リンクであります。
アシュケナージ/フィルハーモニア管の演奏

ムーティ/フィラデルフィア管の演奏
2005/08/26のBlog
夏から初秋へ、水田周辺の風景は確実に変わりつつあります。
早場米は稲刈りが始まりました。
早朝のジョギングを楽しみながら日々の田舎暮らしを満喫しておりますが、最近は大阪方面への出張もなく、埼玉に帰省しないので東京に向かうこともなく、なかなか大きな中古盤屋に行けません。
まあ、ネット・オークションで、結構まとまった枚数の買い物は出来ますが、やはり店頭であれやこれやと悩みながら求めたいものであります。

今日のCDは、そのオークションで大人買いしたうちの1枚。
カラヤン/BPOの「幻想交響曲」。録音は1964年というから、もう40年以上前のもの。ベルリンのイエス・キリスト教会での録音。
ユニヴァーサルの「名盤1200」シリーズ、3年前に国内盤として再発されたCD。
カラヤンには3種類のスタジオ録音があるが、ほぼ10年間隔で録っている。これはその真ん中のもの。1974年録音のBPO盤もLPで持っているが(これもDG)、この1964年盤の方がオケの力感が強い。

第1楽章、カラヤンらしい繊細な序奏。レガートを駆使しているので、なめらかな印象。主部に入ると一転、快速なテンポになる。この時期のカラヤンのCDは、グイグイと推進力に富んで清新な演奏が多いのだが、この幻想交響曲も同様。颯爽としたカラヤンの指揮が目に浮かぶようだ。カッコイイことこの上なし。
第2楽章のワルツ、金管もハープも磨き上げたような美しい音色。惚れ惚れする。交響曲に用いられた初めての本格的ワルツ、カラヤンは優雅華麗に仕上げている。BPOのアンサンブルも美しく、磨き上げた音色で勝負する。
第3楽章のアダージョは木管を味わうべき楽章だろう。コーラングレもオーボエも、フルートも、みんな巧いし音色は綺麗だし、レガートも決まっている。ヴァイオリンの美しさも良いのだが、ここでもスゴイのはカラヤンの指揮じゃないか。16分もかかるアダージョ楽章、聴き手を飽きさせずに退屈させずに、居眠りもさせずに、しみじみ聴かせてくれる。
第4楽章から終楽章への、妖しさと盛り上がりもカッコイイ。断頭台への更新の不気味さ、サバトの夜の夢での金管の咆吼も見事な演出。終楽章のコル=レーニョなど、イヤラシイくらい。ラストのBPOのフルパワーも、一種のカタルシスだ。


今から40年前の録音、さすがに今の耳で聴くとやや古びたかなと思う。
ただ、奥行きもあり素直な録音だと思う(後年の1974年録音盤より、音は良いような気がする)。
そして、ベルリン・フィルの力が凄まじい。力感あふれた演奏だと思う。後年のカラヤンならもっと徹底的に磨き込んだんじゃないかと思うが、これは率直な演奏だと思う。
1960年代前半、ベルリン・フィルはこんなにパワーのあるオケだったのだ。
2005/08/25のBlog
台風接近地域の方々にはお見舞い申し上げます。
この数日の雨で、気温がだいぶ下がりました。今朝も涼しいこと。
蝉の群れに替わって(今年は多かったなぁ)、朝夕にコオロギの鳴き声。
いよいよ田舎は秋であります。

さて、今日はモーツァルトのピアノ協奏曲第21番ハ長調K467。
ゲーザ・アンダの弾き振り、管弦楽はウィーン響。
録音は1973年。アンダ晩年の貴重な1枚。
DENONのマイ・クラシック・ギャラリーという名曲全集からのもので、中古盤で手に入れた(カップリングはK466)。

残響音が多く、アンダのピアノが夢見るように美しい。両スピーカーの間から部屋中にフワッと広がり、立ちのぼってゆく感じ。
音はエッジがやや丸く(残響音のせいかな?)、優しく穏やかな透明感がある音。
フォルテの部分でも、音が柔らかく優しい。

第1楽章のアレグロ・マエストーソ。序奏の管弦楽が、これも穏やかな表情で始まる。テンポはやや遅めで落ち着いている感じ。今から30年以上も前の録音なので、ヴァイオリンの音などやや乾いているが、全体的にはふっくらとしたオーケストラの音が聴ける。そこにアンダのピアノが滑るように入ってくる。優しく、少し寂しげな表情の音。この音楽、モーツァルトが書いた最も晴朗なものの一つだと思うのだが、アンダのこの演奏で聴くと、明るいというよりは、やや寂しげな音楽に聞こえる。ソロは突出せず、オケと会話を楽しみつつ進んでゆくのも良い。時々テンポを揺らすのはアンダの貫禄。
第2楽章のアンダンテも同じ。静謐で柔らかく、穏やかなのだが、フッと哀愁を感じさせるピアノ。ニュアンスに富んだ繊細さが何とも言えない。
第3楽章でも、雰囲気は同じ。「ヴィヴァーチェ」だから、快活で推進力に富んでいるのだが、そんな中でもアンダのピアノは常に優しい。オーケストラのつくり出す音の中に、綺麗に溶け込んで、絶美の音楽を作り出す。

アンダが弾くモーツァルトのピアノ協奏曲、1960年代にモーツァルテウム管と録音したDG全集盤があります。あれもオケと一体化した(というか、お互いに良く音を聴き合わせる)もので、オケとの絶妙な会話が楽しめるものでありました。アンダのピアノは清潔感にあふれておりました。

この1973年のDENON盤(原盤はオイロディスクだったと思う)は、それを越えた名演奏だと思います。アンダのピアノが寂しげな音に聞こえるのは、こちらの体調のせいかと思いましたが、2度目でも同じでありました。
2005/08/24のBlog
クラシック音楽をきちんと聴こうとすると、まとまった時間が要ります。「ながら聴き」でも構わないんですが、こうしてブログを書こうとしたときにはスピーカーに正対して聴きたいもの。ヘッドホンでもよし。集中して聴ければ良いんです。
そのまとまった時間・・・・・せめて2時間あれば、マーラーがゆっくり聴けるし、オペラでもまぁ何とか最後まで届くかな・・・・と思いつつ、仕事との兼ね合いでなかなか時間が取れませんな。

でも、クラシックを聴きたい。

そういう時には、協奏曲がエエですね。シンフォニーに比べて概して短く、30~45分程度の曲が多いので、好都合。気分良く音楽に浸れます。しかも、ソロの名人芸にウットリ、古典派からロマン派の協奏曲は旋律も美しく聴きごたえも十分。

で、今日はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35。

ヴィクトリア・ムローヴァのVn独奏、伴奏は小澤征爾指揮ボストン響。
1985年10月の録音。カップリングはシベリウスのヴァイオリン協奏曲。
チャイコフスキー・コンクールとシベリウス・コンクール両方を制覇したムローヴァの、コンクール名にもなっている協奏曲録音だったので、発売当時、随分話題になった1枚。
この2曲のCDを持っていなかったので、国内盤(といっても輸入盤仕様で、日本語解説のペラ紙が付いているだけだったが)を定価で購入した覚えがある。安月給の身、当時は懐にこたえる1枚だった。

チャイコフスキーの協奏曲は、ピアノのもヴァイオリンのも、独奏者が自分の好きなように演奏すればするほど、効果が発揮される曲だと思う。
好き勝手に、目立つように、あるいは思いの丈を吐露するように・・・・・ソロが思い通りに演奏すれば、それだけでも聴き手に訴えかけてくる演奏になる曲だと思う。
伴奏に気を遣いすぎると、かえって効果が上がらない曲のように思う。

このCDは伴奏が小沢。さすがに「つける」のが巧い。ボストン響の音も、いつも通りの渋さ・品の良さで素晴らしい。さらに、フィリップスの録音がまた良い。「CDを買って良かった」と当時思わせてくれた名録音。今聴いても十分に美しい。
開始早々のオケのトゥティの音が、何と深々としていることか。
冒頭から、惚れ惚れしてしまう。ああ、エエ音やなぁ・・・。
この小沢/ボストン響の音(そしてフィリップスの録音!)は聴き手を幸福にさせる。

そのオケの中、決然と入ってくるムローヴァのソロは、もう技巧を越えた巧さ。技術的にどうのこうのと言えるような知識はない、ボクはど素人だが、何の引っかかりもなく気分良く聴かせてくれるソロは、それは技術的に破綻がないということだろう。

ムローヴァの音色は、全体的にはクール。
醒めているというよりは、健康的で明快な音。爽快な響きでもある。ただ音色はクール。色で言うとブルー系。この音が、チャイコフスキーにはマッチしていると思う。

高音部では艶があって透きとおるような美しさ。
何より低音が良い。ムローヴァのヴァイオリン、ボクは低音の美しさが好きだ。肉厚で包容力があって、しかしウェットにならず、グイッと押し出すような音色の美しさ。
第1楽章の速いパッセージでその美しさが生きるが、一番素晴らしいのは第2楽章のカンツォネッタ。ヴァイオリンもそれに絡む木管も、息を呑む美しさ。

ボクはスピーカーの前で、今日も陶然となりました。
2005/08/23のBlog
先週来の台所工事がようやく終了。これで、ゆっくり食事が出来そう。
家内は完全電化でご満悦。これで亭主の待遇がさらに良くなるかな?

さて、今日は小品集を。

パトリック・ガロワのフルート名曲集。中古屋で@300円。RCA(ビクター)が発売した「世界名曲選集」のうちの1枚で1988年の発売とある。

この頃はバブル経済の全盛期。CDは高価だったが、「クラシック名曲全集」と称してレコード会社が競って家庭用の名曲集を発売していた。新聞や雑誌の広告を結構見たような気がする(今でも書店で「クラシックコ・レクション」なる全集物を見かけるが、あれも同じようなものだろう)。ノリとしては、高度成長期に流行した「百科事典」のたぐいかな。読まないで飾っておく本。こちらは聴かずに飾っておくCD。
で・・・・結局聴かなかったのかなぁ・・・・新品のまま(ビニール袋そのままだもんね)中古屋に並ぶ運命に・・・・。

ガロワは1956年生まれというから、もう50歳になる。「フルートの貴公子」と呼ばれて70年代末から80年代、日本では大人気だった(特に女性から)。そういえば、当時の『レコード芸術』誌の裏表紙には、しばしばガロワの顔が大写しになった広告が載っていたものだ。長くビクター専属だったが90年頃にDGに移籍したようだ。
経歴はスゴイ。1975年パリ国立高等音楽院を一等賞で卒業。77年21歳の若さでフランス国立管弦楽団のソロ・フルーティスト。その後、ソリストとして独立して世界的に活躍中。

曲目は馴染みのものばかり。
ドップラー「ハンガリー田園幻想曲」
マスネ「タイスの瞑想曲」
フォーレ「シシリアンヌ」
グルック「精霊の踊り」
マルチェルロ「ベニスの愛」
ハイドン「セレナード」など。

ガロワのフルートは、軽やかで爽快、輝くように明るい音色が素敵。
音そのものは太くもなく細くもなく、ちょうどよく中庸に響く。
息長いフレージングとなめらかなレガートがまた心地よい。

「タイスの瞑想曲」の名旋律をこころゆくまで歌わせてくれる快感。
ドップラーの曲は、曲想の移ろいを的確に捉えて繊細に吹いてくれるので、聴き手に分かりやすい演奏になっている。
フォーレ、グルックにマルチェルロと来れば、もう、聴き手はウルウルしながら聴き惚れるばかりでありました。

この録音当時(1980年代前半)、ガロワは金髪をなびかせた20代の青年、まさにフルートの貴公子。もてただろうなぁ。
「日比谷花壇」は彼を待つ若い女性の群れで、大もうけをしたことだろう(^^ゞ。
2005/08/22のBlog
四国に恵みの雨。
お隣香川県は高松で親類の結婚式に。良い雨でありました。干天の慈雨。
結婚式は「人前結婚式」。披露宴のスピーチなど2つだけで、あとは新郎新婦が客とゲームをしたり、映像を見せたり・・・・・・、最近の形なんでしょうな。
親族の末席でのんびりと眺めておりました。

さて、今日はマゼール指揮クリーヴランド管でブラームスの交響曲第1番ハ短調。
録音は1975年8月。
DECCA原盤なのだが、発売はSCRIBENDUMからの廉価盤。
HMVの通販、全集3枚組で2000円しなかった。

マゼールという指揮者、神童だとかバトン・テクニックがもの凄いとか、頭の回転がべらぼうに速いとか、さまざまな評を読んだが、専門家の言うことはド素人のボクにはよく分からりません。経歴も華麗ですよ。ニュー・イヤー・コンサートで達者なヴァイオリンを聴かせるなんて芸もあるし(Vnは本芸らしいが)、ホンマにスター指揮者なんだろうと思います。
でも、マゼールを理解するのは、やはり演奏を聴く方が手っ取り早い。個人的には好きな指揮者であります。

マゼールの指揮する演奏は、淡々と表面だけを仕上げた録音のためだけの演奏もあるにはあるのだが(そういうのは、、多くは、聴いていて「アレレ?」と思わせるところがいっぱいある演奏が多い。
聴きどころでグイッとテンポを落としてみたり、あるいは泣かせどころ(歌うところ)でサッサと聴き手の想いを振り切って進んでしまったり、時には、もうエエぞ、もうヤメときいやとこちらが辟易するくらい大見得を切ってみたり・・・・・、何かあるんですな。
他の演奏と聴き比べてみると、面白いんです。何か仕掛けがあって、ニヤリとさせられるところが多いんです。クラシック音楽の本道や王道とはちょいと離れた感じの演奏(というと邪道か?^^;)。

さて第1楽章の開始から、マゼールの芸が炸裂。この交響曲、ブラームスが着想から20年もかかって完成したものだけに、物々しい開始なのだが、マゼールはさらに輪をかけて大げさな音楽を作る。気宇壮大、周囲を睥睨しながら振り払うような冒頭。テンポはゆったり、というよりかなり遅い感じ。この楽章に17分以上かける演奏、そう多くはない。
第2楽章もゆっくりペース。しみじみ歌わせるところもあるし、弦のトゥッティなど色気もあるし、全体としては非常に美しい仕上がり。終わりのヴァイオリンのソロも匂うような美しさ。
第3楽章はグッとテンポを速めて、やや素っ気ない感じ。前の2つの楽章が壮大でゆったりとしていたので「アレレ?」と思う。オケはさすがにクリーヴランド、いつもながら巧いし、マゼールの棒にピタッとくっついていく。
終楽章もやや速め、例の第九に似た旋律のところからはグイグイとオケを引っ張る。ホルンのソロが強烈。音がデカイ。トロンボーンもわざと音を割るところがあり、野卑な響きでビックリする。揺れるテンポが面白い。音をグッとためるところもあり、ルバートに近い感じ、聴いていてドキドキする展開。面白い。

第1楽章の壮大な開始から終楽章のやりたい放題まで、異色の演奏だとは思う。
でも、さすがマゼール。聴かせどころを心得ているというか、聴き手をドキッとさせるのが巧いというか・・・。
マゼール嫌いな人には勧めませんが、面白いブラームスだとは思います。
あ、正調とは少し違うかなと思いますし、格調高くはありませんので念のため。

実は2番以降も面白いんですが、またの機会にと言うことで。

2005/08/21のBlog
夕立がこの数日続いたおかげで、朝夕はだいぶ涼しくなりました。
秋来ぬと目にはさやかに見えねども・・・・・であります。
猛暑続きの夏も終わり・・・・・・(になってくれるかどうか・・・・・(^^ゞ・・・・)。

で、夏の名残の交響曲。
今日はマーラーの交響曲第3番。いわゆる「夏の交響曲」。エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送響の演奏。アルト独唱はドリス・ゾッフェル。1985年4月、フランクフルトのアルテオパーでの録音。DENONがさかんに「B&Kマイク使用」と謳って話題になっていた頃のもの。
確かに今聴いても音は良い。抜けがよく、ホールトーンも十分、しかも各楽器が鮮烈に響く。弦は繊細に、金管は逞しく鳴るので、聴いていて実に心地よい。いろいろな楽器がどんなことをしているのか、「見える」ような録音。
このCDが発売された当時、インバルのマーラーを評して「レントゲン写真を見るような」「楽譜の隅々まで光を当てた」なる表現が見られたが、DENON録音の影響も強いんじゃないか。1980年代後半の信じられないようなもの凄いマーラ・ブームから20年、今の耳で聴くと、そういう表現が似つかわしい演奏、ナンボでもあるように思う。

長大な第1楽章、30分は優にかかる楽章だが変化に富んでいて大好き。ホルン8本の勇壮な開始はいつ聴いてもワクワクする。ブラームスの交響曲第1番終楽章も同じ旋律(あ、調性は違うか・・・^^;)、あれもワクワクするところだが。金管の活躍、特にトロンボーンは野太いのだがニュアンスに富んでいて多彩。不安な響きを醸し出したり、時には身を任せたくなるような深々とした響きであったり。ヴァイオリンは繊細。他のオケに比べて響きが細い感じがする。響きが薄いというのではなく、ヴァイオリンがよく揃って1本の糸のような響きをつくり出す。インバルのトレーニングの成果か、DENONの録音の故か素人のボクには分からないが、独特の響きになっていると思う。その細さが、イイ。

第2楽章は木管の響きが繊細。左右のスピーカーに展開する音場が奥深いので、木管の演奏が生きる。さすがDENON録音。オーボエもフルートも優雅でデリケート。この楽章、そういえば「牧場で花が語ること」であったかしら。それにふさわしい、可憐な楽章にインバルは仕上げている。

第3楽章は、もうこれはポストホルンの音色に酔うのみ。ヴァイオリンやピッコロの響きを聴くと、緑の森の中を逍遙する雰囲気になってくる。
第4・5楽章はアルトの太い歌声が落ち着いていて良い。ドリス・ゾッフェルという歌手、西ドイツ(当時)の人でバッハのカンタータなどを得意にしているそうな(ライナーノートにそうあった)。知的で奥ゆかしい歌唱で好み。
終楽章は、マーラーが書いた最も美しい楽章の1つ。静謐の中からしみじみと感動が湧き上がる。ここでもヴァイオリンの糸を引くような「細さ」がイイ。デリケートで可憐な響き、極上の美しさ。

インバルのマーラーは実演を聴いているので、ついつい入れ込んでしまいます。
ナマは(5番を聴きました)はもっと良かった。凄かった。

思えばこの頃のインバル、ブルックナーもマーラーも、ラヴェルもベルリオーズもガンガン録音して元気いっぱいでした。DENONレーベルも、その録音の素晴らしさもあって元気いっぱいでした。
さて、最近のDENONは・・・・・・寂しいぞ。
2005/08/20のBlog
日が少しずつ短くなってきたような気がします。
日の出の時刻がやや遅くなり、夜が来るのも早くなる。
秋の訪れであります。
ここ数日の夕立のお陰か、朝晩の空気も少し冷たくなってきました。

秋が来ると聴きたくなるクラシック音楽は沢山ありますが、特に室内楽なんぞを部屋の中でモゾモゾ聴くのはなかなかエエものです。
で、今日は弦楽四重奏で最も好きなボロディンの2番を。
演奏はイタリアSQ。1968年2月録音。学生の頃1300円で購入した廉価盤LP。
そのうちにCDで買い直そうと思っているうちに、CDを見かけなくなってしまったので今もLPを愛聴している。
実は他の弦楽四重奏団の演奏でも、このボロディンの曲は持っているのだが、イタリアSQを越えるものがない。
それは、全編に漂う「歌」。それに、突き抜けるような明るさを持った弦楽の音色。
この2つに関しては、イタリアSQが抜きんでて素晴らしい。
メンバーは、第1Vnがパオロ・ボルチアーニ、第2Vnがエリーザ・ペグレッフィ、ヴィオラはピエロ・ファルッリ、チェロはフランコ・ロッシ。

第1楽章のアレグロ・モデラート。懐かしく、哀愁を帯びた旋律の第1主題がチェロで奏でられる。チェロの音色が太く深々として心地よい。草原を渡ってくる涼しく乾いた風のようにチェロが響く。それに続くヴァイオリンの音が細く艶やか。スーッと伸びてゆく持続音がものすごく綺麗。
第2楽章のスケルツォ。ヴァイオリンの速いパッセージが面白い。民族舞踊風の旋律も美しい。ここでは低音を支えるヴィオラが巧い。
第3楽章はアンダンテ、「夜想曲」とよばれる楽章。このノットルノが素晴らしい。この旋律だけでも何回でも繰り返し聴きたい。チェロの音色を生かしきった旋律、やがてヴァイオリンが受け継いで、切々と歌い上げる。秋の夜にふさわしい、懐かしく、繊細で、感傷に浸れるメロディ。ああ日本人!・・・。
イタリアSQの「歌」が素晴らしい。ここは、徹底して歌って欲しいところなのだが、この演奏は文句なく素晴らしい。4つの弦楽器が共鳴しながら哀愁のメロディを歌い上げる、見事さ。
終楽章はヴィヴァーチェに入ってからが面白い。ヴァイオリンとヴィオラ、チェロが対話を繰り返す。ここでも抒情に満ちた旋律が聴ける。クライマックスは第1楽章の素材のコーダ。

弦楽四重奏曲は得意ではありません。室内楽はあまり聴きません。
でも、ボロディンのこの曲だけは別格。秋になると聴きます。
学生の頃からの愛聴盤。ロシア・中央アジアの冷涼で乾いた空気が部屋に満ちる音楽。
胸を揺さぶる旋律。大切にしたいですな。

ところで、ボロディンについて、narkejpさんのブログ「電網郊外散歩道」が大変参考になりました。
音楽以外のボロディンの業績
化学者としてのボロディン