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クラシック音楽のひとりごと
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2006/03/12のBlog
朝の濃霧はすごかったですな・・・・・久しぶりの霧、視界30m程度・・・。
日中は気温が上昇、ポカポカ陽気でありました。

いよいよ春です。

そこで、今日はシューマンの交響曲第1番変ロ長調作品38「春」。

ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送響の演奏。
1979年5月、ミュンヘンのヘラクレス・ザールでの録音。CBSソニー原盤の懐かしいLP。レコード番号は20AC1505。
昨日のマゼール盤の「運命」と同じく、ソニーのベスト・クラシックス100シリーズの2000円盤。

シューマンの「春」は1841年の作曲。シューマンの生涯の中で最も幸福な時期に当たっていたので、そうした気分にふさわしい作品になっている。
初演も1841年、その様子がスゴイ。
愛妻クララ・シューマンの演奏会で初演され、指揮はメンデルスゾーン、オケはライプツィヒのゲヴァントハウス管。しかも、クララはシューマンのピアノ協奏曲とショパンのピアノ協奏曲第2番を演奏しているわけで、いやはや、目も眩むような豪華曲目、ソリスト、指揮者・・・・。そんな中での「春」の初演、さぞや幸福な船出であったろうなぁ。

さて、クーベリックの演奏は、いつもながらの自然体。バイエルン放送響の美しい響きを十全に引き出して(シューマンの交響曲はだいたい上手く鳴らない、響かないはずだが)、この交響曲の魅力を聴き手に伝えてくれる。

第1楽章の冒頭、トランペットの冴え冴えとした明るい音色が気持ちよい。爽やかなロマンが部屋中に広がる。ストリングスのやや細身でしなやかな音色も爽快で、春の到来を思わせる、ワクワクするような胸弾む音楽をつくり出している。ヴァイオリンはクーベリックのいつもの両翼配置で、第1と第2のヴァイオリンの掛け合いが楽しめる。
木管の響きがややくすんでひなびているのもよい。あまり木管が鳴らないのは、いろいろな音が重なってしまうシューマン独特の書法によるものなで、仕方ないかな。

第2楽章は、穏やかな音楽の中に馥郁たるロマンが薫る。しなやかな弦はここでも素晴らしい響き。クーベリックの指揮は淡々としているのだが、音楽は実に優美で聴いていて心地よい自然体の響き。

第3楽章はスケルツォ。クーベリックのテンポは中庸からやや速めで、サラッとした感じだが、出てくるバイエルン放送響の音は暖かく味わい深い。弦の音色が明るいのは、南ドイツ・バイエルンの明るさか。しかもよく歌う。

終楽章は音量が徐々に増大して、明るく堂々とした終曲になっている。見事な締めくくりだと思う。
ヴァイオリンの両翼配置がここで効いてきて、左右の掛け合いがとても面白い。ホルンのアンサンブルにフルート・ソロが絡んでくるところなど、ため息が出るほど美しい。それらが、わざとらしくなく自然に湧き上がってくるのがまたイイ。


シューマンの「春」、幸福な気分に満ちた春・陽光の音楽。
クーベリックの自然体の指揮に、手兵のバイエルン放送響が合奏を楽しんでいる様子が伝わってきますな。
ともに音楽する喜び。「春」を迎えた喜び。
2006/03/11のBlog
さすがに年度末を迎えて、仕事が忙しくなってきました。
ボクの部署でも若い士がバタバタと走り回っております。あ~でもない、こ~でもないと激論しつつ、しかし、時は立ち止まっていてくれないので、仕方なく前を向いて進めなくちゃなりません・・・・・・。いろいろ指示を出しつつ、「こんなんで良かったんやろか?」と思うことも多く、悩みは尽きませんな・・・・(^^ゞ。


さて、今日は懐かしいLPで、ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調「運命」。

ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルの演奏。1980年11月5日、名古屋市民会館ホールでのデジタル・ライヴ録音盤。カップリングはシューベルトの「未完成」。こちらは11月13日、昭和女子大人見記念講堂でのテイク。いずれも、マゼール/ウィーン・フィル来日公演からのもの。CBSソニー原盤。
LP番号は20AC1501。ソニーが「ベストクラシック100」と称して2000円で売り出したシリーズのトップにあたる。レギュラー盤としては、安かった・・・。

このLP、1982年10月1日発売された我が国初のCDの記念すべき第1号となった。
CD番号は「38DC1」で3,800円!・・・・・高かったなぁ・・・・・。

演奏は、マゼールにとって、ウィーン国立歌劇場監督就任の頃であり、自信に満ちあふれた堂々たるものになった。

第1楽章アレグロ・コン・ブリオ。ソナタ形式。
ベートーヴェンの意志のつよさを表出したような演奏。弦も管も、音が強靱でズシッと来る。LP独特の低音の強さもあるのだろうが、出てくる音が、素晴らしく強烈。そして畳みかけるような迫力。
ああ、ホンマやなぁ・・・ベートーヴェンはこうでなくちゃイカンなぁ、と思わせる演奏。

第2楽章は巨匠風の歩み。威風堂々、あたりを振り払うような恰幅の良さ。チェロとコントラバスの低音がよく利いているのは前楽章と同様だ。腹にズシッと来る低音が心地よい。

第3楽章のスケルツォ。ここでも低音重視の設計は変わらない。
ヴァイオリンの高音の伸びも、木管の味わい深い響きもとてもイイ。鮮やかで色彩感もある。ただ、執拗な低音のクローズアップは、なかなか他の指揮者では聴けない面白さ。さすがマゼールと思う。

第4楽章での爆発も強烈。音量が一気に増大する(あまりに強烈な音になったので、アンプのボリュームを慌てて落としたほど・・・)。まだこんな余力を残していたのかと思うほどの大音響。金管群の炸裂、トランペットなど凄まじいまでの咆吼。恐るべしウィーン・フィル。
ヴァイオリンのクレッシェンドやデクレッシェンドも面白い。才人マゼールの魅力満載。終曲は堂々たる勝利。凱歌。見事なもんだなぁと思う。


ソナタ形式・・・・ボクは、ベートーヴェンの「運命」でソナタ形式がどんなものなのか、何となく分かりました。
第1主題の提示、それに対する第2主題が出現。それらが互いにからみ合いながら発展してゆく展開部。やがて、元に戻って再現されながら結論を語る・・・・・ソナタ形式って、こんなもんですかね。

ボクらがしている「仕事」も、そういえばソナタ形式みたいなものやなぁと思いつつ、今日は「運命」を聴いていたのであります。
2006/03/10のBlog
伊予路は早春の日々であります。
県立高校の入試も無事に第1日目が終了、三男坊もまずまず満足の表情。
2日目は天気が心配ですが、まあ頑張って欲しいもの。今日は面接検査もあり。


さて、今日はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。

アルトゥール・ルービンシュタインのピアノ、ダニエル・バレンボイム指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。
1975年3月、ロンドンのキングズウェイ・ホールでの録音。RCA原盤。

この演奏の第2楽章の遅さにはまってしまうと、他の演奏がスケール小さく聞こえてしまうのではないか。何しろ、9分22秒もかけるのだから。
(以前取り上げた、あの風格あるアラウ/デイヴィス盤より1分遅く、ポリーニ盤より1分30秒も遅い。もう、実に全く、本当に遅い!)


さて、第1楽章はアレグロ。ルービンシュタインのピアノで聴くと、すべての音が明晰に鳴る。克明に鳴る。堂々と鳴る。ルービンシュタインが何をしているのか、どんな風に弾いているのか、見えてくるような感じ。
豪壮でスケール雄大、恰幅が良く、まさに皇帝の凱旋のようなピアノ。

タッチは微妙に変えながら弾いているのだが、音色に陰影を施している風でもないし、繊細極まる風でもない。しかし、演奏は実に新鮮でしなやかな張りがある。

この時ルービンシュタイン88歳!何という若々しさ!瑞々しさ!
自分がこの年になったとき、こんなに気宇壮大でいられるんかいな?
何ちゅうピアニストや!

オケも豪放でスケールが大きい。ホルンなどバリバリ鳴る。
(ただし、スケールはルービンシュタインの方がもっとデカイなぁ)

指揮のバレンボイムは3回もベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音している。
1回目はクレンペラー/フィルハーモニア管をバックに独奏者として、3度目はベルリン・フィルを弾き振りで。2回目が、このルービンシュタインとの全集録音。さすがにうまいもんだなぁと思う。

ミュートをつけた第2楽章、オケの静謐さ、ゆったり感、フルトヴェングラーもかくやと思わせるゆっくりしたテンポが素晴らしい。そういえば、バレンボイムが理想とする指揮者はフルトヴェングラーだったか。
ルービンシュタインのピアノはここでも瑞々しく、ベートーヴェンの胸に燃えるロマンを歌う。止まってしまいそうなゆっくりしたテンポがたまらない。
そして、スケールの大きさはこの楽章でも変わらない。しかし、同時にベートーヴェンの心理に入り込んだデリケートさも併せもつのがルービンシュタインのピアノ。この遅さこそ、「皇帝」にふさわしいのだと言っているかのように、自信に満ちている。

第3楽章は堂々としたフィナーレ。ルービンシュタインのピアノの巨大さは、ここでも変わらない。ジャケット写真に見える彼の手の皺・・・・・・こんなに年老いた手で、どうしてこうも高貴なピアノが弾けるのか。テクニックもほぼ完璧だし、ときおり混ぜる装飾音も小憎らしいほど決まっている。しかも、風格・貫禄十分。
拍手喝采、脱帽である・・・・・(^^ゞ。

録音もアナログ時代の最高水準と思う。オケがピアノに比べて奥に引っ込んでいる録り方。ステージの奥行き感十分。
もう少し弦も響きに艶やかな魅力があればと思うが、ロンドン・フィルとしては大健闘かな。


少々仕事で疲れ気味の中年クラシック音楽ファンの方々、ルービンシュタインの「皇帝」を聴きましょう。
いやいや、ホンマに元気出まっせ。
こんなジイさんがこれだけヤルんだから、ワシらだってまだまだ出来るわい・・・・・。

ボクは若造であります。ルービンシュタインに叱咤激励されてしまいました(^^ゞ。
2006/03/09のBlog
花粉がだいぶ飛んでいるようです。
幸い、我が家では誰も花粉症のものはいないんですが、職場で、近所で、昨日はだいぶ酷かったようです。・・・・・春です。


今日はメンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調作品56「スコットランド」を。
クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮ウィーン・フィルの演奏。
1976年9月、ウィーンのソフィエンザールでの録音。DECCA盤。
カップリングは定番の「イタリア」と「フィンガルの洞窟」。

ウィーン・フィルによるメンデルスゾーンのこの2つの交響曲の演奏は、あまりないのではないか?ガーディナーくらいしか思い当たらないが・・・・。
どうしてかな?ウィーン・フィルの弦で聴いてみたい作品ではあるのだが・・・。

さて、ドホナーニ/VPOのコンビのこの演奏、ハツラツとして爽快・軽快、気持ちよい「スコットランド」が聴ける。

第1楽章の序奏部は速めのテンポでスッキリ。プレーン・オムレツのような淡泊な味わい。
そもそも、ドホナーニという指揮者は、オケの能力を引き出しつつ、くどくどした演出をせずに、ソーダ水のような爽やかな演奏を聴かせるのが取り柄の指揮者だとボクは思っているのだが、ここでも、彼の個性が発揮されていると思う。
重く感情的にならない序奏部もイイ。
主部にはいると推進力が増して、グイグイ進んでゆく感じ。ウィーン・フィルの弦の音がすっきりスマートで、細くしなやかな糸のような音色で鳴る。その細身の音が気持ちよい。
終結部では、弦がうねり金管が豪快に炸裂する見事な構成。
メンデルスゾーンは、ロマン派作曲家の王道を行く・・・・・そんな演奏。
第1楽章最後で序奏部が戻ってくる、そのヴァイオリンたちが漂うような音で弾く。素晴らしい。

第2楽章はメンデルスゾーンお得意のスケルツォ。快活な舞曲。スコットランドの農民の歌と踊り。金管がバリバリ鳴るのが気持ちよい。そして、その直後に対照的なピアニシモ。その静謐さがまた綺麗。繊細さはさすがにVPOと思う。

第3楽章アダージョは本当に綺麗な旋律に溢れた抒情楽章。
「荒涼たるスコットランドの風景をメンデルスゾーンが描いた」とは、よく解説書で見る文言だが、ドホナーニ/VPOの演奏で聴くと、「荒涼」より「優美」という感じ。管楽器のアンサンブルが艶やかで綺麗だし、ストリングスの旋律の歌わせ方も優しく爽やか。
終楽章はアレグロ・ヴィヴァチッシーモ。リズムがよく弾んで快適。第1楽章と同様、グイグイ進んでゆく。アンサンブルが緊密で、弛緩するところが全然なく、一気に終結部へ向かってゆく。
終曲で、音楽が大きく盛り上がってピークを迎えるところ、生理的快感さえ感じるのは、ドホナーニの棒が優れているんだろう。オケもそれに応えて、美しさを前面に押し出す。

録音は、オンマイクで、個々の楽器がよく録られている。
DECCAにしてはやや渋めの音づくりと思う。もう少し鮮烈さがあって良いのかなとおもうのだが・・・・・さては、メンデルスゾーンだから、あまり派手にしなかったのかな?

ウィーン・フィルの弦のしなやかさと管楽器の見事なアンサンブルが味わえる、これは名演と思います。
2006/03/08のBlog
いよいよ、春になったかな?
日中の暖かさで、夜になっても我が部屋は温もりがありました。
朝も、そう寒くはありません。

明日から愛媛県は県立高校の入試。三男坊が、最後の追い込みと体調管理に努めております。天気がやや心配されますが、さて、何とかなるかな・・・・。

さてさて、今日はロッシーニの「弦楽のためのソナタ」を。
イタリア合奏団の演奏で聴いてみます。
1987年7~8月、例によってコンタリーニ宮での録音。DENON原盤、クレスト1000シリーズで購入。

ロッシーニの「弦楽のためのソナタ」は全部で1番のト長調から6番ニ長調までの全6曲。
これらが作曲されたのは、ロッシーニ僅かに12歳の時。驚くべき早熟!
この5年後に、ロッシーニはオペラを書き始めてゆく。神童やなぁ。
でも、モーツァルトが父レオポルドに徹底した英才教育を受けたのに対して、ロッシーニは殆ど教育受けていないという。
それでこのソナタ集が出来てしまう、天才。いやはや、あっぱれ。

それにしても美しいソナタ集。スッカラカンと晴れ上がったイタリアの青い空を思わせるような、綺麗なメロディが次々に出てくる。そして、見事なカンタービレ。
この曲集の第2楽章は、いずれもアンダンテ。
アリアのように、美しく弦楽合奏が歌ってくれる。ああ、気持ちいい。

休日の午後にくつろぎながら聴くもよし、ふだんのBGMによし。
旋律美に溢れたソナタ集。(弦楽合奏なのでジャンルとしては管弦楽曲になるのだろうが)。

イタリア合奏団のロッシーニは、まさに「お国もの」。緻密なアンサンブルに、ヴァイオリンの鮮やかな音色が重なってとてもカラフル。
録音のせいか、磨き抜かれた弦楽合奏で、少し乾いた感じの抒情が漂ってくる。
快速楽章では、生気に満ちて、健康的、元気ハツラツの心地よさ。
気分がウキウキしてくる。

好みで云えば、第2番、4番、5番の第2楽章が美しい。
どれも、素敵なアリアを聴いているかのよう。

録音は、さすがにイタリア合奏団&コンタリーニ宮。
ヴァイオリンの鮮やかな倍音がとても美しい。
残響もまた素晴らしく、弦の音が徐々に消えてゆくときの美しさは、ため息が出そう。
奥行きも広いし、この遠近感は、さすが宮殿の録音と云うべきでしょうな。

2006/03/07のBlog
Doblogのメンテナンスも無事に終わったようです。
さらに快適になるんでしょうか?期待したいもんです。

昨日の雨でだいぶ春めいてきました。今朝のジョギングなど、汗だくになりました。
一歩一歩、春が来てますね。

さて、今日はそんな春の日にふさわしい、モーツァルトのピアノ協奏曲を。

第21番のハ長調 K.467。
ピアノ独奏はアリシア・デ・ラローチャ、演奏はコリン・デイヴィス指揮イギリス室内管弦楽団。
1991年2月、ロンドンのワットフォード・タウン・ホールでの録音。BMG~RCA原盤。

録音当時70歳近かったラローチャの珠玉のようなピアノ。それを大人の風格で支えるデイヴィス/イギリス室内管。ゆったりとしたテンポの第2楽章など聴きどころが多い演奏。

さて、第1楽章アレグロ・マエストーソ。しっかりとした足取りで管弦楽が始まる。テンポは中庸で、心地よい。速くもなく遅くもなく、呼吸しやすいテンポ。イギリス室内管の弦楽器群の音が非常に綺麗。透明度が高く、練り絹のようなしなやかさ・新鮮さ。そして、その中に一本、確固たる芯が通っているようなストリングス。実にエエ音やなぁ。
ラローチャのピアノは暖かみがあって、柔らかさを含んだ優しい表情をしている。ピアノの響きは、エッジがやや丸いのだが、透きとおった清涼な水が染みとおるような感じ。聴き進むにつれて、爽やかな音が次々に飛びだしてくる。こういう音が、K.466には似合う。
カデンツァはパウル・バドゥラ=スコダのもの。燦めくようなピアノ、ハッとするようなパッセージが出てきて、雰囲気豊か。

第2楽章アンダンテはイギリス室内管の響きが柔らかくて実に良い。毛先の柔らかい羽毛で、軽く、優しく、頬を撫でられるような感じ。弦楽器の刻みは、漂うような穏やかさ。その上に、ラローチャのピアノが気持ちよく滑ってゆく。
ラローチャの珠玉のようなピアノに、柔らかいバックが重なって、この静謐な楽章を、極上の美しさに仕上げてゆく。

終楽章アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ。
冒頭のピアノの装飾音がカッコイイ。凛として背筋を伸ばしたピアノ。端正なたたずまい。ここではラローチャのピアノがシャキッとして気持ちいいくらい。
デイヴィスの棒は優しさと包容力に満ちた大人の風格。ラローチャの珠のように響くピアノを包み込んで、美しく整った管弦楽に仕上げている。
終楽章のカデンツァもパウル・バドゥラ=スコダ。ほんの短い装飾音にも、閃きが感じられる見事な作品だと思う。


録音良好。
ピアノの響きはもちろん素晴らしいですし、オケの音色が特に良く録れていると思います。
2006/03/06のBlog
穏やかな早春の休日でありました。
柔らかい陽射しと、まだ冷たいながら頬に優しい春風と。
ジョギングにも気持ちよい季節になってきました。
(今までは、走り始めが寒くてたまらなかった・・・・・)

さて、こんな休日にはマーラーの交響曲第4番ト長調。

エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送響の演奏。
ソプラノは、ヘレン・ドナート。ソロ・ヴァイオリンはディーゴ・パギン。
1985年10月、フランクフルトのアルテ・オーパーでの録音。DENON原盤。

インバルのマーラー全集は、1985年と翌86年の、僅か2年間で録音が完了している。インバルの精力に当時は驚いたものだ。
時代は、バブルへの登り道、クラシックではマーラー・ブームが頂点を極めようかという時だった。
インバルのマーラーは、出てくる録音がすべて優秀録音、演奏も精密なアンサンブルに貫かれて、シェイプアップされた鮮烈なものだった。

そしてこの第4番は、録音方法が画期的。
B&K社のマイク2本だけでの、ワン・ポイント録音だった。

マーラーのような大編成のオケを、ワン・ポイントで録音できるのか・・・?
もちろん、第4番はマーラーにしてはあまり大きくないが、それでも後期ロマン派的な大オーケストラだろう。

音はもう驚異的な優秀録音。鮮度、定位、残響、奥行きすべてがスゴイ。臨場感抜群の録音。アルテ・オーパーでの最上席で聴いているような錯覚に陥る名録音。

さて、演奏は、インバルらしく精緻で明晰なマーラー。

テンポはやや遅め。
旋律線がよく歌われて、陽光が射し込んでくるような第1楽章。
第2楽章は、ソロ・ヴァイオリンはもちろん、ストリングスのポルタメントが聴きもの。軽く粘るような弦楽はマーラー独特のものだが、インバルが振ると、その粘りが品良く清楚に聞こえる。
第3楽章は、ゆったりとしたテンポ。オケの能力をギリギリに引き出したピアニシモ。緊張感のある弱音だが、あまり鋭すぎないのはインバルの見識かな。
そして、ドナーとのソロが上手い第4楽章。じっくりとした表現は感動的だ。

オケの音色は、寒色系・ブルー系で、締まりが良い。
ただ、録音方法の特徴からか、残響が豊かで、細身の音の割には、柔らかさ・温もりを感じさせる。

オケの技術はもう完璧なもので、一点一画もおろそかにしないキッチリとした演奏。
特に金管のテクニックはスゴイ。
フランクフルト放送響は実演を聴いているが、CDと変わらないハイレベルの技術とアンサンブルだった。インバルのマーラーを聴くと、そのオケの素晴らしさをいつも思い出す。

ああ、指揮良しオケ良し録音極上。
世評は知りませんが、ボクにとっては永遠の名盤。

このスゴイ録音だけでも、インバルのマラ4をボクは聴き続けたいと思います。
2006/03/05のBlog
夜明けの時間帯にジョギングしていると、確実に春が来ていることを感じます。
夜明けとともに徐々に白く浮かんでくる四国山脈、そこにかかる雲が黒から紫へ、さらに紅に変化してゆく様は、全く綺麗。清少納言が云った「春は曙」の一節が思い出されるほどであります。
ああ、『枕草子』の言葉は、このことか・・・・・・・。「春は曙」とはよく言ったもんです。

さて、今日はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61。

ヘンリック・シェリングのヴァイオリン、ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏。
カデンツァはヨーゼフ・ヨアヒムのものを使用。
1973年4月、コンセルトヘボウでの録音、フィリップス原盤。
ジャケット写真は、バッハのヴァイオリン協奏曲集とのカップリングで、2枚組LP。

ベートーヴェンはヴァイオリン協奏曲を1曲しか書かなかった。
あれだけの作品数を残し、ピアノ協奏曲を5曲もものしたベートーヴェンが1曲しかヴァイオリン協奏曲を書かなかった。

しかし、その1曲は古今東西のヴァイオリン協奏曲の最高峰だろうとボクは思う。
いつ聴いても、誰の演奏で聴いてもたいがい感動してしまう。

中でもイイ演奏だなと思うのは、今日取り出したシェリング盤。
ハンス・シュミット=イッセルシュテットと組んだ旧盤も良かったが、このハイティンク/コンセルトヘボウとの共演はオケの音色とホール・トーン、そして録音が素晴らしく、ホンマに名盤やなぁと思う。

第1楽章、あの冒頭のティンパニ。
単純な4つの打音が、この楽章全曲のリズムを作りだし、特に冒頭では徐々に大管弦楽に発展してゆくところなど全く素晴らしい。そしてコンセルトヘボウ管のトゥッティの美しさ、豊かさ、暖かさ。
その上にシェリングのヴァイオリンが、スーッと入ってくる。その美音、高貴な雰囲気、時にものすごく感傷的・抒情的なヴァイオリンがたまらない。
何度も同じ旋律が繰り返される、いわば単調な音楽なのに、その繰り返しが快感になってしまうほど、ヴァイオリンとオケの音色が素晴らしい。

この協奏曲では、「精神性云々」という演奏評を見るのだが、その精神性という言葉は、よく分からない・・・・・(^^ゞ。
ただ、このシェリング盤を聴いていると、ボクは、シェリングの真摯な演奏態度に気高さ・高貴さを感じるし、さらに抒情性・感傷性も加わって、見事なものだなと思う。
こういうのを「精神性に溢れた・・・」というのかな?(よく分からんが)

第2楽章は、第1楽章であれほど登場したティンパニが消えて、弱音器付きのストリングスの柔らかさ、暖かいピチカートが印象的。
そしてベートーヴェン得意の変奏曲。もうシェリングのヴァイオリンが、美しさの極み。
微笑んだり、涙ぐんだり、優しく愛撫したり、真剣に祈ったり・・・・表情が色々変化して、音色もデリケートで、ホンマに美しい。
高音がよく伸びて、やがて薄くなってフワッと消えてゆく残響・・・・コンセルトヘボウでの名録音が、こういうところで発揮される。さすがフィリップス。

終楽章は、微笑みのロンド。
シェリングのヴァイオリンは弾んだり、流麗に舞ったり、軽やかだ。そんなヴァイオリンにコンセルトヘボウ管の音が加わると、曲想はまるで違うのに「田園」の終楽章にも似た感謝・永遠の浄福が響いてくるような気がする。
ああ、エエ音楽やなぁ。こんなに綺麗な音楽をベートーヴェンは書いたんやなぁ・・・・。

う~ん・・・・やっぱり、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、最高のヴァイオリン協奏曲だと思います。
(なんて云いつつ、明日、ブラームスを聴くと、やっぱりブラームスもエエなぁと思ってしまう自分ではあるんですが・・・・・(^^ゞ)
2006/03/04のBlog
今日は大曲です。

ブルックナーの交響曲第8番ハ短調。
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウィーン・フィルの演奏。楽譜は、1890年のノヴァーク版を使用。
1984年5月、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音。DG原盤。

これは、ジュリーニがウィーン・フィルと初めて共演した交響曲のレコード(CD)だったはず。CD番号はF66G50119~20。2枚組で定価6600円という、今から思えば超高値盤。日本発売は1985年、日本語の解説書はついているが、CDそのものは輸入盤仕様だった、懐かしいCD。

そして、ジャケット写真が素晴らしい。
この自信と決意とに満ちた表情。背景もイイ。

当時ボクはブルックナーの交響曲について、4番の「ロマンティック」くらいしか知らず、他の曲は長いだけとしか思えなかったのだが、このジュリーニ盤を聴いて感動感銘、ブルックナーの偉大さに触れて、ただ、涙・涙・涙。

特に第3楽章!

「至高のアダージョ」・・・・・と、クサイ文句を云ってしまいたくなるほど、しかしこの楽章は凄かった。
ジュリーニはスゴかった。

この楽章にかける時間は、約30分。遅い、ホンマに遅い。
滔々と美しい旋律が流れるアダージョ。
このCDでは、第3楽章16分あたりで弦楽合奏にホルンがかぶってくるところ、20分30秒ころ、24分ころの弦楽セクションが歌うところ。ゾクゾクッとしてくる感動。何か偉大なものに触れてしまったような感動。

第1楽章から、全編にわたってゆったりとしたテンポで、ジュリーニらしく「歌」に溢れたブルックナーになっている。旋律を重視しながら、曲のフォルムが腰砕けにならない、粛々として、また堂々とした威容。太古の昔から悠久と流れてきた大河のような演奏とでも云おうか。

第2楽章など、スケールが大きすぎて、あたりを振り払ってしまうような威厳もある。そして、弦楽セクションが歌う部分での優しさ・暖かさ・甘さ。これ、まさにジュリーニ。

終楽章にいたっては、もう曲の威容がすべて現れて、高峰に登り詰めたような快感がある。

ブルックナーの交響曲には神がいる・・・・と、ひと様が云うのをよく聞きますが、この第3楽章を聴くと、確かに、ああ、これがヨーロッパ人が観る神なのかと思えてきます。

ボクはキリスト教のことはよく分かりません。四国は八十八カ所で有名なところ、我が家も弘法大師よろしく真言宗です。「南無大師遍照金剛」は得意ですが、キリスト教には無縁の輩です。
でも、このブルックナーを聴くと、何か大きなもの、崇高なもの、遙か遠くに存在しているもの、どこかで我々を見ている何か・・・そんなものを感じたりします。

ジュリーニのおかげで、ブルックナーの世界に入ることが出来ました。
それでも入り口程度なんでしょうが、シューリヒトやハイティンク、ブロムシュテット、ヴァント、ヨッフム、クナッパーツブッシュ、マタチッチ・・・・・いろいろな指揮者のブルックナーを楽しむこと出来るようになったのは、このCDのおかげであります。

「ブルックナーは長いだけ、よく分からんなぁ」なんて、若いころ言っておりましたが、いやいや、このCDで、ヨーロッパの「神」(と一応言っておきますが)の端っこのそのまた端っこに触れることが出来たかもしれません。

今や廉価盤になって2枚で2000円。
ユニヴァーサルの回し者ではありませんし、自分の好みを「エエぞエエぞ」と大声で押しつけるのも気が引けるんですが・・・・・・、このジュリーニ盤はお勧めであります。
2006/03/03のBlog
前日の雨で、今日の暖かさを期待していたのに・・・・真冬に逆戻り。
寒い、寒い。寒い一日。
陽光は春なのに風は冷たく気温は低い・・・・・いまだ春遠し。

さて、今日はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35。
相も変わらず、懐かしいLPを取り出しました。

チョン・キョンファのヴァイオリン独奏、シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団の演奏。
1981年7月、モントリオールでの録音。もう25年前の録音になってしまった。DECCA原盤。

チョン・キョンファにとっては2度目のチャイコフスキー録音。1970年代初頭に、プレヴィン/LSOと録音していた。


さて、第1楽章アレグロ・モデラート。
デュトワ/モントリオールの響きが、いつもながら素晴らしい。ふくよかで暖かく、抜けるようなストリングス。たっぷりと余裕を持って吹き抜ける金管群。これほど安定して、しかもイイ音で聴かせてくれる序奏部はあまりないのではないか。ヴァイオリンが登場する前に、すでに心地よくなってしまうフォルティシモ。ホンマにエエ音。しかもよく揃ったアンサンブル。こんなバックで弾けたら、さぞやソリストも幸せだろう。

そして、チョン・キョンファのヴァイオリンがようやく登場。
その音!
濡れたような色気のある音。自信に満ちた音。
この音色を聴いた瞬間から、チョン・キョンファの世界に引き込まれてゆく。

低音は豊麗で、引き締まっている。そこから高音に一気に駆け上がるパッセージの、鮮やかさ、スピード感。
高音ではチョン・キョンファの情熱のたぎりが聴ける。感情のおもむくままに、ヴァイオリンと同化してゆく・・・スゴイなぁ・・・。

第1楽章に約18分をかける。この協奏曲の半分を占める長さが、あっという間に終わってしまう。ソロもすごけりゃ、オケもメチャクチャに巧い。

第2楽章アンダンテ。静謐なカンツォネッタ。チョン・キョンファのヴァイオリンは、一転、内面に沈潜してゆく。抒情的に奏でるヴァイオリン。ルバートを適度に用いながら、内へ内へと、思い入れたっぷりに弾き込んでゆく。音色も、第1楽章より締まった感じ。緊張感を持った弾きっぷり。

アタッカで続く終楽章フィナーレは、ヴァイオリンのアクロバティックなパッセージが何度も炸裂。目眩くような音楽だが、チョン・キョンファは余裕たっぷり。しなやかな動きで、オケと会話しながら壮烈な盛り上がりを作ってゆく。
速い。ぐんぐん速くなってゆく終曲が見事。


録音から25年。
月日が経つのは早いものです。このLPにワクワクしたのが四半世紀前になるとは。
これからも聴き続けたい、ボクにとっての名盤であります。


2006/03/02のBlog
今日も一日中、雨がしとしと降りました。
ここのところ、よく降ります。底冷えするような日です。
これが「春の雨」であればいいんですが。暖かくなるのはもう少し先かな。

さて、今日はブルックナーの交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」。
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏。1967年10月録音、CBS原盤。

昨日と同じく、これも懐かしいLP。
ボクが初めて買った、そして初めて聴いた「ロマンティック」であります。
CBSソニーが発売した「オーマンディ音の饗宴1300」シリーズの1枚で、タイトル名通り1300円の廉価盤。レコード番号はSOCT20。

埼玉県は西武池袋線・狭山ヶ丘駅前のサヤマ・レコードで購入。
このレコード店はもうとっくになくなっているのだが、当時は小さなレコード・ショップでもそこそこクラシック音楽を置いてあって、あれこれとレコード選びが楽しめたものだった。
(駅前には、そう、小さな駅でも、レコード屋がだいたいあって、こじんまりと経営していたものだったが、今はどうなんだろう。そこそこ乗降客がいる都会でも、経営は厳しいのかしら?)

ジャケットは廉価盤にしては豪華な金色。オーマンディ/フィラデルフィアのゴージャスなサウンドを象徴するかのようなデザインだった。尤も、シリーズすべて同じデザイン(真ん中に楽団の写真)であったが・・・。

今聴いてみると、いかにもオーマンディ/フィラデルフィアのコンビ、颯爽としたテンポで、流麗でゴージャス、綺麗に仕上げた「ロマンティック」になっている。

第1楽章、冒頭からフィラデルフィア管の豊かでグラマラスな響きが耳に飛び込んでくる。カンバスに原色の絵の具を塗りたくったような、一つひとつの音が美しく輝いている。実に豊麗な色彩。R・コルサコフの「シェエラザード」を聴いているかのような、豪華な響き。ある意味では屈託ないサウンドが響き渡る。
ステレオの前に座って、右奥のトランペットの響きが明るく気持ちよい。中央のホルンは深々として甘い響き。どちらも、健康的な響きだ。
オーマンディの指揮は、各楽器のテクニックを信頼して、自主性を尊重している感じ。テンポやや速めで、推進力に富んでいる。

第2楽章、弱音器つきのヴァイオリンの響きが美しい。木管のアンサンブルも緊密で、鼻から抜けるような、これまた明るく甘い響きが印象的。フィラデルフィアの管楽器は非常に巧い。とにかく音色が素晴らしい。

第3楽章でも金管の合奏がイイ。冒頭のホルンのアンサンブルにトランペットが絡んでくるところなど、最高の聴きもの。あまりの巧さに、しばし呆然。
中間部のトリオでの木管アンサンブルもスゴイ。

終楽章は、テンポは中庸、大家の風格。堂々たる終曲で、ここでも管楽器が巧い。

全体的には金管・木管の巧さ、響きの豪華さ、音色の甘さ(ほとんど快感だなぁ)が素晴らしい演奏。弦楽器群もイイ音を出しているのに、管楽器の音色が美しいのでそちらに耳を奪われます。

ブルックナーの交響曲を聴いた、というより、出来の良い管弦楽曲を、素晴らしいオケで聴いたという印象が残ります。
それだけ、オケの響きが原色的で鮮やかだということでしょう。

録音はまずまず。ホールトーンも十分だし、楽器の定位も良い。
CBSにしては良い方の部類に入る録音だと思う。

我が家のステレオ、CBS録音との相性がイマイチのことが多く、特にセル/クリーヴランドの再生が苦手のようでありまして・・・・・。


2006/03/01のBlog
今日は懐かしい演奏であります。

マーラーの交響曲第2番ハ短調「復活」。
ズービン・メータ指揮ウィーン・フィルの演奏。
ソプラノはイレアナ・コトルバス、アルトはクリスタ・ルートヴィヒ。合唱はウィーン国立歌劇場合唱団。
1975年2月、ウィーンのソフィエンザールでの録音。DECCA原盤。

長い間、キング・レコード発売の2枚組のLPで聴いてきたが、先日、中古盤屋で1枚もののCDを見つけたので購入。
「DECCA Legends シリーズ」のもので、96kHz 24-bit リマスタリングということで、随分音が良くなっているらしい。

「あれ以上音が良くなるのか?」と、思わずボクは購入したのであります。
(CDジャケット裏のデザインは、LP初出当時のものです。それを画像に用いています。)

メータ/VPO盤の「復活」はLP時代から素晴らしい録音で有名だった。そもそも、メータのレコードはどれもが優秀録音。ロサンゼルスPOと録音したストラヴィンスキーやR・シュトラウス、ホルストの「惑星」は見事としか云いようがない音の饗宴だった。おそらく、演奏効果の高いオーケストラ曲を選んで録音したのだろうが、メータは、そんな大規模な管弦楽曲を振るのが実に巧かった。

この「復活」も、実にメータらしく、バトンが非常に冴えている。

オケのすべての楽器が実によく鳴る。
聴かせどころでは、音量が上がって聴き手にグッと迫ってくる。
しかも、音楽の造形が崩れず、常にしっかりした骨格を保っている。
繊細極まるピアニシモ。本当に美しく、ため息が出るような弱音。
デュナーミクが非常に大きく、オーディオ的効果バツグン。

メータの音楽は、マッチョで恰幅が良く、いい意味で健康的、屈託がない。
小さなことにコセコセとこだわらず、音楽そのものを大づかみに、迫力を持って聴き手に提示する・・・・そんな指揮者だと思う。

1960年代から1980年代の間、家庭にステレオが普及して、一時オーディオ・ブームが湧き起こったが、この普及・ブームの時とメータの録音量・メータの活躍が一致しているようで面白い。
オーディオ・ブームが去ると、メータの活躍の知らせ(録音)が滞るようになったのは、メータの演奏がオーディオ的だったからか、と思ったりする。


コトルバスのソプラノはとても美しい(少し声が弱いような気もするが)。
ルートヴィッヒは貫禄の歌唱。この人のマーラーは、「はずれ」がない。
ウィーン国立歌劇場合唱団の声の迫力も素晴らしい。DECCAの録音がイイので迫真的な大合唱になっている。


ああ、それにしても、素晴らしい「復活」。
懐かしい「復活」。
オケは最高のウィーン・フィル、迫力があって、音色は色彩的で輝くように鮮烈。
しかも、推進力が十分で、音のパノラマを観ているような感じさえする。
そして、感動の終楽章。明るく希望に満ちた終曲。


メータの振る終楽章で、何度勇気づけられたことか。
これは思い出の「復活」でもあります。