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クラシック音楽のひとりごと
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2006/05/23のBlog
初夏の風が心地よい季節であります。
ああ、シューベルトが聴きたい。爽やかな交響曲を聴きたい。それも、ウィーン・フィルで聴きたい。
今日は仕事中そんなことばかり考えておりました。
(それにしても、今日は忙しかった・・・・・月曜日はいつも大変なんです(^^ゞ・・・)

で、帰宅してゴソゴソ、シューベルトの交響曲全集を探しながら、そういえばウィーン・フィルのシューベルト全集はあったんかいなと気づいた。
シュタインのはバンベルクやし、ブロムシュテットとデイヴィスのはドレスデン・シュターツカペレ、カラヤンとベームはベルリン・フィルだわい。ふんふん、ケルテスとムーティしか我が家にはないぞい。(ほかにウィーン・フィルのシューベルト全集はあるんかな?)


さあ、シューベルトの交響曲第2番変ロ長調 D.125。
リッカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィルの演奏。
1993年1月、ムジークフェラインザールでの録音。EMIの廉価盤。

第1楽章はラルゴ~アレグロ・ヴィヴァーチェ。
プレイ・ボタンを押すと、ああ、ウィーン・フィルの音。
輝かしく色気がある弦楽器。そしてムーティの指揮だからよく歌うし、しかもスタイリッシュ。指揮者の風貌のようなカッコイイ開始。
主部に入ると、これが颯爽と痛快な音楽になる。特に第1ヴァイオリンがイイ。全く軽快でシャープ。聴いていると身体が弾んでくるようなドライブ感がたまらない。
メロディもシューベルトらしく美しく清潔。ホンマ、シューベルトの旋律は清潔なのが良い。

第2楽章アンダンテ。これは変奏曲楽章で、しかもこれまたメロディが清らかで美しい緩徐楽章。
ウィーン・フィルの響きはデリケートで極上の美しさ。これぞシューベルトと云いたくなる繊細さ。傷つきやすい多感な青年の、これは音楽だろう。
ムーティはこのあたりウィーン・フィルの自発性に任せている感じ。彼の往時の強引さは影を潜め、今や大人の指揮ぶり。
それにしても、シューベルトの変奏曲はきれい。即興曲のような一筆書きの流麗さ。

第3楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ。
ここはトリオなのだが、シューベルトの手にかかると、歌心満点の魅力的なトリオになる。短調の切迫感は、劇的表現の得意なムーティならでは。その迫力の中にも、清冽な歌が満ちているのがシューベルト。
弱音ではデリカシーに満ちた表現で切ないほど。ウィーン・フィルの極上のアンサンブルがそれを支えている。

終楽章は一気のプレスト。リズムがよく弾んで、踊り出したくなるような、まるで舞曲のような表現(・・・って、実際、これは舞曲か)。弦楽器のアンサンブルはよく揃って見事なもの。それに呼応する木管がまたよく歌って、味わい深い。


若書きの爽やかなシューベルトであります。
爽快な空気が部屋に流れ込んでくるようなムーティの快演・・・・と書こうとしたら、本当に夏の涼風が・・・・。

良い季節になりました。
2006/05/22のBlog
初夏の風が爽やかな一日。
エエ天気でした。気持ちよかったですね。

で、今日は、夏になれば聴きたくなる音楽を。
(ナニ、いつだって聴きたいのだが、夏には一層ふさわしい音楽ということであって・・・・)

マーラーの交響曲第3番ニ短調であります。

ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルの演奏。メゾ・ソプラノはアグネス・バルツァ。1985年4月、ムジークフェラインザールでの録音。SONY原盤。

1980年代はマーラー・ブーム。特に日本がバブル経済に踊っていた時期に、そのブームは頂点に達した感があった。当時CDの価格は高かったが、2枚組でも平気で買えるほどカネが余っていたのかもしれない。
レコード会社はこぞってマーラーを録音、世に出していたが、わがSONYはマゼール/VPOで発売、やがて全集になった。これは貴重な録音であって、おそらく今のところ唯一のウィーン・フィルによるマーラー・全集ではないかと思われる。


さて、演奏はマゼール独特のもので、アクが強いというか個性的というか、マゼール臭がプンプン匂うもの。これ、マゼール嫌いな人には、とても我慢できないんじゃないかという気がする。ボクはマゼール好きなのだが、1時間40分に及びこの長大な交響曲を聴いていると、何度も「オイオイ(^^ゞ」というところがあって、まあしかし、面白いことは大変面白い演奏。

第1楽章の序奏部など、堂々として、あえていえば勿体ぶった演奏。8本のホルンの斉奏が大変ゆっくりで物々しいほど。
マゼールの、この曲に関してのテンポは終始一貫遅い。全編聴き終わるとこの遅さが納得できるのだが、初めはビックリする。
じっくり歌い込んでゆく感もあるし、丁寧な仕上げでもあるのだが、情念がこもっていると云うよりは、猟奇的・怪奇的な感じさえする。音楽はマーラーの素晴らしいオーケストレーションを味わえるし、何せオケはウィーン・フィルだから美しいことこの上ない。豪華絢爛な演奏でもあって、耳は十分に楽しめる。

第2楽章は、「牧場の花が私に語ること」・・・という雰囲気がよく出ている演奏。抒情的な歌が続く。テンポはここでも非常に遅く、止まってしまうのではないかとハラハラするところもある。オケは緊張するだろうなぁ、この遅さ。
マゼールらしいというべきか。実にエグイ演奏ではある。

第3楽章は動物と小鳥がいっぱい。森の中に彷徨いこんで、動物の声や鳥のさえずりが部屋を満たしてゆくような感じ。木管群の柔らかさは、さすがウィーン・フィルと言いたい。遠くで鳴り響くトランペットの持続音が素晴らしく甘い音色。そして、何よりポストホルン!。ああ、エエ音やなぁ・・・・・。ウットリするほど。

第4楽章から声楽付き。女声はアグネス・バルツァ。鋭くよくとおる声。この頃のバルツァは絶好調だった。ただ、柔らかなウィーン・フィルの響きと研ぎ澄まされたナイフのように切れ味鋭いバルツァの声とは、少々違和感あり。
合唱は美しいし軽やかでクリーミー。女声合唱も少年合唱も大変よろしい出来だと思う。

そして、終楽章。最高の終曲。ここでもテンポは遅く、時に止まりそうなのだが、あまりの曲の美しさで、それが気にならない。
ティンパニの響きは豪放、ストリングスの響きは繊細で耽美的。
マゼールの趣味丸出しの第3でありました。
2006/05/21のBlog
午後からもう最高の五月晴れ。
久しぶりの青空だったですね。
四国の田園では、この空を待っていたかのように、一斉に農作業が始まりました。
田んぼへの水引きです。我が家の前の田んぼにも水が入りました。

さて、ブリリアントのモーツァルト大全集、ポツポツ聴いております。

今日はピアノ協奏曲第22番変ホ長調 K.482。
デレク・ハンのピアノ独奏、、ポール・フリーマン指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏。録音は1993年。

第1楽章、聴きやすい音。フィルハーモニア管は機能性に優れたオーケストラだと思う。あまり個性的ではないが、巧い職人オケだなぁと思う。フリーマンの指揮はキビキビしていて気持ちよい。金管の音を際だたせて、この曲の祝典的な側面を明らかにしているような伴奏。メリハリのある指揮。ときおりアクセントをきかせて、聴いていると、「お?」と思うところがある。
デレク・ハンというピアニストはよく知らないのだが、全体的に誠実な弾きぶり。
この誠実さがエエんですな。モーツァルトの音楽は、あれこれカッコつけて面白く演奏することも出来ると思うのだが(そういう演奏はそれなりに楽しいんだが)、何回もCDで聴いていると飽きちゃう・・・・。即興的な演奏は、文字通り1度きりの即興だから面白いので、何度も繰り返し聴ける媒体のCDだと飽きてしまうんですな。
その点、ハンのピアノは真摯な演奏。なんの変哲もない、ひたむきに、マジメに弾いてゆく演奏。その誠実さがかえって滋味溢れるしみじみとした美しさを生んでイイ演奏になっている。
録音のせいか、オケの音に比べて、ピアノの音が小さい。その控えめな音が、センスの良さを感じさせてくれる。カデンツァも大声ではないが閃きに満ちていて好ましい。

第2楽章は悲愴感漂う。オケの音が包み込むような柔らかさ。少し大きめの音量でオケの響きに身を浸すのは快感。
ハンのピアノはエッジが丸く、乳白色系の音色で、優しく柔らかな響きがイイ。カツーンというブルー系・透明度の高い音ではなく、暖かく弾力のある柔らかい音がハンの特徴かと思う。この音色が、モーツァルトにはしっくり来る。
テンポはゆったり、ふっくらとして、とても聴きやすい。

終楽章になってもハンのピアノは堅実で端正そのもの。
このロンドはあまたあるモーツァルトのピアノ協奏曲中、最も愉悦に富んだものだが、ハンのピアノで聴くと、その悦びがしっとりと長く続く感じ。飽きの来ない、淡々としているのに味わい深い・・・・良いピアニストやなぁと思う。

ピアニシモでの力の抜き方、フォルテでのペダルなど、結構細かく色々やってくれているが、基本的には穏やかで控えめな表情がよろしい。

フリーマンの指揮は、時々変わったアクセントだなぁと思うところがあるが、まずは無難な指揮ぶり。ハンのピアノをこれも穏やかな表情でしっかり支えております。


ジャケット写真は例の「大全集」ですので今日は載せません。
代わりに、田植えの準備がすんだ田舎の風景をどうぞ。
二階の自室から一望する四国山地と水田であります。 
2006/05/20のBlog
週末も雨模様の天気でありますな。
今週は、ジョギングがままならないんです。走ろうかなと思うと降ってくる天気で困ります。なあに、少々の雨なら走れなくもないんですが、我慢して歯を食いしばって走るのはどうもジョギングらしくないので・・・・。無理して走るのは、長続きしません。
ただ、食事は美味しいので、体重が増えます。
ん、やっぱり走ろうかな・・・・。

というわけで、早朝の更新に戻しました。朝の方がサクサクのようです。

さて今日はバッハ。
J・S・バッハの管弦楽組曲第1番ハ長調 BWV1066。

ラ・ストラヴァガンツァ・ケルンの演奏。
録音は1994年6月、ケルンのドイツ放送ゼンデザールにて。DENONのクレスト1000シリーズで購入したもの。この全集には、第2番で有田正広がフラウト・トラヴェルソで参加している。

ラ・ストラヴァガンツァ・ケルンは、ドイツのケルンで1988年に結成された気鋭の古楽器団体。プレーヤーは国際的、世界各国から集まっている。リーダーはアンドルー・マンゼ、イギリスのバロック・ヴァイオリンの名手で、様々な古楽器アンサンブルのリーダーとして活躍している。

さて第1楽章の序曲。
ヴァイオリンの音色がブルー系で清々しい。透きとおった響きで、瑞々しく清潔な音はとても気持ちよい。アンサンブルも緊密で、ストリングスに一本筋が通っている感じ。マンゼのリーダーシップの賜物かな。
テンポは快速。リズムは溌剌としてよく弾み、音楽が沸きたつように生まれ来る感じ。安らぎよりも活気溢れる音楽づくりで、青春の息吹のような爽やかな序曲になっている。
スピーカー右手で吹いている木管群が素朴な味わい。特にファゴットが渋い音色で好ましい。オーボエは鼻をつくような甘い響き。これもなかなかイイ。あまり目立たないのだが、よく聴いているとチェンバロは結構饒舌に演奏しているのが面白い。

第2楽章はクーラント。アクセントのつけ方、クレッシェンドの盛り上げ方が独特で面白い。ここでも音楽は清潔。

第3楽章はガボット。音楽がよく弾んで、スキップで走り出すような快活さ。古楽器アンサンブルらしい快適な速度で、生気に満ちている。
こういうのを聴いていると、僕の好きなコレギウム・アウレウムやリヒター、バウムガルトナー、パイヤールなどは、随分昔の演奏、ああ遠くなってしまったなと感じる。
(と言いつつ、その昔の演奏がボクは好きなんだが・・・・・)

第4楽章はフォルラーヌは流麗な音楽づくり。強弱も旋律の流れも優美なもんだ。
第5楽章のメヌエットでは弱音部がイイ。弦楽器の倍音がことのほか美しく、優しく空間に溶けてゆく。オーボエとヴァイオリンが同じ旋律を奏するところでは、その厚み・柔らかさが格別の味わい。
第6楽章ブレーは、昼間部での木管アンサンブルが聴きもの。息のあった合奏で、合わせる楽しみ、音楽する愉悦が伝わってくる。
終楽章は、寄せては返す波のようなストリングスが素晴らしい。強弱のニュアンスが多彩で、味わい深い。

テンポは元気ハツラツ、楽器は素朴でひなびた味わい。楽しめるバッハであります。
録音は、さすがDENON。古楽器のしなやかさ、弦の細身の響きをしっかり捉えた音づくり。ブルー系の透明度の高い録音で、特に倍音成分が美しいですな。


2006/05/19のBlog
相変わらず、ぐずついた天気です。
今日も雨。明日の土曜日も雨の予報です。いやはや、五月晴れはどこへ行った?
雨の夜、田んぼに囲まれた田舎暮らし・・・・・カエルの合唱が耳につきます(^^ゞ。

さて、今日は、雨空を吹き飛ばす爽快で威勢の良い音楽を。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」。
マレイ・ペライアのピアノ、ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏。
1986年4月、コンセルトヘボウでの録音。

第1楽章のオーケストラの序奏部が盤石の安定感。
素晴らしく深い響きで包容力のある音。
コンセルトヘボウ管の温もりのある音を生かしながら、ハイティンクは幾分速めのテンポで進んでゆく。全ての楽器が有機的にからみ合いながら鳴り響くトゥッティなど、息を呑む素晴らしさ。力強いのに、重くならないのがイイ。
ペライアのピアノは輝かしく怜悧な音。大声で喚かず、節度を持った音。「皇帝」なのだからもっとガンガン弾いてもいいのにと思うが、ペライアは力任せに鳴らしたりしない。
冒頭のカデンツァからして上品で端正。雄渾なスケール感よりも、粒立ちの良いピアノの音を大切にしている弾き方。一音一音を慈しんでいるような演奏と云ってもいいかな。明るく洗練されたタッチで、第1楽章を見事に弾ききる。
いつも思うが、これだけ音の綺麗なピアニストが、今、何人いるだろうか。

第2楽章でも、ハイティンク/コンセルトヘボウ管のつくり出す響きが最高。暖かく包み込むようなサウンドはコンセルトヘボウならではだし、ハイティンクの指揮も誠実そのもの。
ペライアのピアノは美しさの極み。耽美的と言ってもいいくらい。弱音の美しさはペライア特有のもので、その弱音が、楽章が進むにつれて輝きを増すのだから、スゴイもんだ。
終楽章では、敏感なタッチと端正な表情が印象的。ペライアのピアノはますます輝いて、素晴らしいロンドになっている。オケの響きも幸福で円満、ペライアとの見事な協奏が繰り広げられる。

ベートーヴェンの「皇帝」としては、最も皇帝らしくない演奏。
それでいて、最も協奏的な演奏。
これぞピアノ「協奏曲」。
ピアニストと指揮者/オーケストラが一体となって喜びに満ちた音楽をつくり出していきます。

こういう音楽を聴くのは全く幸福なことでありまして、録音がまた見事なもので、この素晴らしい演奏を支えています。


さてさて、メンテナンス成ったDoblog、夜の更新でも何とかなりそうです。
そんなに軽くはありませんが・・・・・。
2006/05/18のBlog
いやはや、Doblogの長いメンテナンスでした。
少しは快適になったんでしょうかね。
試しに、夜の更新であります。

今日はベートーヴェンを聴きましょう。
これも古今無双の名曲。

ベートーヴェンの交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」。
コリン・デイヴィス指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。
デイヴィスのベートーヴェン全集からの1枚で、1992年9月、ルカ教会での録音が最高。素晴らしいSKDサウンドが味わえる名盤(とボクは思っています)。

第1楽章のテンポは中庸。サラッとした開始で、各楽器の粒立ちがとてもイイ。五月の風にふさわしい爽快な響き。特にストリングスの細かなボウイングがが、サヤサヤと吹く風のようで気持ちがよい。
オケの響きは、もう、これぞSKDと言いたくなるような、柔らかく暖かな音。どこからどう押したって頑として動ずることのない伝統の響き。木管と弦楽がブレンドされたまろやかさは、ちょっと表現できない贅沢な味わい。

第2楽章。慎ましく穏やかな表情のストリングスはこの楽章でも変わらない。「田園」の明朗さが横溢する楽章で、素晴らしい音色と残響に酔いしれてしまうほど。
デイヴィスの指揮は奇をてらうことなく、正々堂々、真摯で端正。表面の仕上げは丁寧で、温もりある木質の肌触りだし、全体的な造形も上品で、まさにデイヴィスの真骨頂。特に中盤以降の木管は、どれも最高のできばえ。クラリネットとフルートが特によろしいようで。

第3楽章はホルンの響きが印象的。コクがあって、とろけるような甘い響き。デイヴィスのきっちり正確なリズムの刻み、型くずれしない格調高いスケルツォ。その真剣さは、「諧謔曲」からは少し遠いところにあるようにも思う。
第4楽章への受け渡しのところで、ヴァイオリンが香り高く弾いている、その響きがえも言われぬ美しさ。素晴らしい。

第4楽章は、これぞベートーヴェンのフォルティシモと言いたくなるような爆発。ズシンと腹にこたえるティンパニの一撃。その低い音の強さが実にイイ。また、嵐を表現した弦楽のトゥッティも凄まじい迫力。

終楽章は、嵐の後の静かな佇まい、ゆったりとした始まり。遅いテンポが、この交響曲のラストの感動にふさわしい。

ああ、自然は素晴らしいなぁ、神に感謝しなくちゃなぁ・・・・そんな思いで聴いておりました。
「田園」を聴くと、終楽章で、感謝の気持ちになります。

デイヴィス/ドレスデン・シュターツカペレの演奏も素晴らしいものです。
ふと、リスニング・ルームから南に目をやると、四国山地が緑濃くなってきていました。

そして、田んぼからはカエルの大合唱が始まりました。
ぐずつく天気の中で、初夏の匂いが漂います。
2006/05/15のBlog
爽やかな五月の陽気。
空気はやや冷たいものの、陽射しは夏の強さであります。
家の前のあぜ道で、子供とキャッチボールをして楽しんでました。
間もなく、我が家周辺でも田植えの準備が始まるでしょう。

さて、今日はモーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調K.488。

ルドルフ・ゼルキンのピアノ、クラウディオ・アバド指揮ロンドン響の演奏。
1982年1月、ロンドンのキングズウェイ・ホールでのデジタル録音。DG盤。
今年話題のモーツァルトだが、このCDは15年前、モーツァルト没後200年の時に盛んに発売されたもの。DGは交響曲をレヴァイン、管弦楽曲をオルフェウス室内管、そして、ピアノ協奏曲をこのゼルキンで編集したのだった。

ゼルキンのテンポはやや遅め。慌てず、騒がず、克明に弾いていくのが印象的。
繊細を極めるタッチ。純白の音色。研ぎ澄まされて光りがこぼれるような響き。
透明度が高いと云うのか、とても見通しの良い設計。

第1楽章から、そんなゼルキンのピアノの魅力が一杯。アバド/ロンドン響の優しく穏やかな序奏部のあとに、ピアノがスーッと入ってくると、もう耳は虜になってしまう。ああ、素晴らしいピアノ。ホンマにゼルキンのピアノは綺麗。
美しい音しか出てこない。混濁した、汚れた感じの音が全く出ない・・。
カデンツァなど、孤高の響き。
形而上的な感じさえするんだが、そこまで書いてしまうと、ちょいと言い過ぎかな(^^ゞ。

第2楽章の憂愁。テンポは遅く、情緒的に歌うピアノが素晴らしい。
特にピアニシモが綺麗。スピーカーの中央奥の方にフッと溶けていってしまうようなピアニシモ。はかなく消えてしまいそうなピアニシモ。何とも優しい音色。
アバド/ロンドン響の伴奏もイイ。ゼルキンのピアノに寄り添って、デリカシー溢れる演奏。木管の暖かく素朴な音色、弦の涼やかな、さざ波のような演奏など、たまらない魅力。ロンドン響の面々は、アバドの棒にピタッとついて、非常に機能的な感じもする。上手いオケだなぁと思う。

終楽章。微妙にテンポが伸び縮みしながら、モーツァルトの愉悦が音化されてゆく。巨匠の芸だなぁと思う。
ゼルキンのピアノは、全楽章を通じて激することなく(フォルティシモがない感じ。強く弾かない)、ニュアンス多彩。
一聴、淡々と弾いているような感じなのだが、耳を澄ましていると、弱音での強さの幅がとても広く(「弱い音」の音の大きさが全部で10段階くらいある感じ。そのくらい音の幅が広い)、微妙に色調が変化し、無限のニュアンスを伝える。素晴らしい。

ゼルキンの弱音に酔う1枚でありました。

今日5月15日(月)の10時から3日間、Doblogはメンテナンスのため、更新不能になるようです。
というわけで、3日間、お休みであります。
また金曜日に(^-^)。
2006/05/14のBlog
雨がよく降ります。
梅雨の先走りですね。奄美ではもう梅雨に入ったとのこと。
それにしても肌寒い一日でありました。

輸入盤の価格が昨年くらいから少し上がってきてます。
暴落激安の時代は終わったのかもしれません。HMVやタワーレコードのHPを眺めていても、食指が動かない・・・・・。3枚買えば云々とあるが、値引きした価格が以前よりかなり高いではないかい。欺されんぞい(^^ゞ。

思えば、しかしブリリアントの登場は衝撃でありましたな。
圧倒的な激安価格で、たまげたものでした。今日はその中からの1枚。

ブラームスの交響曲第2番ニ長調作品73。
ヤープ・ファン・ズヴェ-デン指揮オランダ放送管弦楽団の演奏。
1999年録音。ブリリアントの超廉価盤の全集からのもの。

第1楽章はゆったりとした開始。弦楽セクションの響きは幸福感に満ちていて、サウンドはやや渋め。オランダ放送管の音は、ほの暗く落ち着いた響きが特徴と言えそう。ヴィオラなどは慎ましく穏やかで心地よいし、ヴァイオリン群の音色もたいそう美しい。しかもよく揃っている。

ズヴェーデンは、もとコンセルトヘボウ管のコンサート・マスター。シャイーの「シェエラザード」で聴かせてくれたソロ・ヴァイオリンは優美で色っぽい演奏だった。

そんな彼の指揮は、若々しく活気のあるブラームスをつくり出す。主部に入ると、テンポは快活で弾むような感じ。ただし、響きは全編を通して穏やかで慎ましい。コンセルトヘボウ管もそうなのだが、オランダのオーケストラの音は、慎ましいのかな。

ブラームスのこの曲は、楽器の混ぜ合わせが聴きどころなんじゃないかと思う。
ブラームスは原色の音楽を書かなかった。楽器の音が、そのまま飛び出てくるような書き方は極力避けて、他の楽器と一緒にブレンドされた音として聴き手の耳に届くように書いた。ズヴェーデン/オランダ放送管の演奏も、随所にその特徴が出ていると思う。

第2楽章もゆったりとした開始。テンポが遅いと老成円熟した音楽になるのだが、ズヴェーデンの再現するブラームスはとても若々しい。弦楽セクションに芯の強い響きが感じられ、それが演奏全体の覇気に繋がっているように思う。オケの響きが少しこもった感じになっているのが惜しい。もう少し透明感があればなぁ。

第3楽章はのどかな田園風景。木管群のひなびた味わいが実にイイし、ストリングスの穏やかな響きも心地よい。ホルンやクラリネットの音色はたまらなく美しい。
ズヴェーデンの指揮は直截的で、手練手管を施したりしない。清潔な指揮ぶりで好ましい。
今聴いている自室からは、西条ののんびりした田園地帯が広がる。そんな風景とブラームスの2番は実によく似合う。

終楽章は少しテンポが速くなる。オケも逞しく盛り上げてゆく。懸命の弾きっぷり、吹きっぷり。そう上手いオケではないと思うのだが、一生懸命演奏しているのが分かる。こういう演奏は、少々のことがあっても心地よく聴けるものだ。

録音は標準的、もう少し奥行きがあってもイイかなと思いました。
でも、この安さ。文句ありません。新品3枚で1000円なら言うことないです。
尤も、芸術は値段ではかるもんじゃないんでしょうけど・・・・(^^ゞ
2006/05/13のBlog
爽やかな五月。
通勤中に眺める街路樹の緑が綺麗です。
車から見ると、葉の裏がよく見えます。表面は緑濃く、葉の裏は黄緑、薄緑。五月の風にそよぐ緑が実に綺麗になってきました。

(と思ったら、今朝は五月雨。変わりやすい天気なことで・・・・・(^^ゞ・・・)

さて、今日はメンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調作品56「スコットランド」。

セミヨン・ビシュコフ指揮ロンドン・フィルの演奏。
1986年12月、ロンドン、トゥーティングでの録音。フィリップス原盤。

中古書店で見つけたもの。丸善書店とフィリップスが組んで発売した名曲全集からの1枚らしい。レギュラー盤と何ら変わらないCDが激安で購入できる幸せ。

ビシュコフは1980年代の半ば、盛んにフィリップスがプッシュしていた指揮者で、このメンデルスゾーンの他にもショスタコーヴィチの5番、チャイコフスキーやビゼーの管弦楽曲などを録音していたのだが、最近、あまり名前を見かけなくなった・・・。

さて、その演奏。
第1楽章は雰囲気たっぷりの始まり。ロマンの匂い芳しい。
ヴィオラとチェロの音色がしっとりとして、実に深い響き。ロンドン・フィルってこんなに奥行きのある・陰影のある響きを出すオケだったかなと思いつつ、弦楽セクションに耳を澄ませていると、いや全く実にイイ。フィリップスの録音技術も良いのだろうが、ビシュコフの旋律の歌わせ方が巧いんだろうと、合点がいった。情緒溢れるしみじみとした歌。青春の憧れ、夢、感傷・・・・そんな感情が込められた歌。見事な序奏部だと思う。
主部に入ると、さらに情熱的。ただ、弦楽器はロマン的に歌うのだが、木管は端正な感じで、あまり姿勢を崩さない。少し違和感あり。
それにしてもオケは上手いぞ。ロンドン・フィル、大健闘といったところか。

第2楽章は速めのテンポで颯爽としている。第1楽章とは対照的で、爽快な感じがする。オーケストラのトゥッティが美しい。特に木管が綺麗。フィリップスの録音は前後左右に音場が広く、スケール感も豊かで残響が素晴らしい。それがこのオケの美しさを支えているんだろうな。
楽章後半からは、畳み込んでゆくような迫力がある。

第3楽章は、荒涼たるスコットランドの風景か。ヴァイオリン群の音が穏やかで、やや暗めの音色がこの楽章にふさわしい。優美な旋律、センチメンタルなメロディのオンパレード。これがゆったりと遅いテンポの中で歌われる。もう、泣けと云わんばかりの風情。少々やり過ぎかなと思うほど。

終楽章は一転、快速テンポとなって終曲へと一気に盛り上がる。ビシュコフの指揮はここでも情熱的で、煽るようなところもあるし、直線的なところもある。若さの発露の交響曲と見れば、こういう解釈もありかなと思う。

ロンドン・フィルの演奏がたいそう美しいです。

ビシュコフの指揮は、ギラギラしたところがあって面白いですが、少々アクが強いかもしれませんな。
でも、メンデルスゾーンはロマン派の作曲ですしね。稀代のメロディ・メーカーでもあるわけで、こういう感情的な演奏もエエかなと思いました。
2006/05/12のBlog
今日は古今無双の名曲いきます。
ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調「運命」。

デイヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団の演奏。
録音は1997年の3月、チューリッヒ・トーンハレでのもの。ARTE NOVAレーベルの輸入盤。

ジンマンのベートーヴェン全集は大変な話題になったし、しかも激安価格だった。ボクが購入したのは2000年初頭だったと思うが、確か5枚組で2000円程度だったと思う。バーゲン価格とはいえ、いかにも安い。
これがきっかけで、輸入盤が著しく安くなっているのに気づき、CD購入意欲に火がついて、次々とBOXセットを買い漁ってしまった・・・・。

そのため、聴かずに放っているCDが随分ありますな・・・・「持っておくことに意義がある」と思っているとはいえ(半分、開き直りでありますが)、箱物を買いすぎると、どうしても聴かないCDやダブリ買いCDが出てきてしまいます。やれやれ。

さて、その演奏たるや、もう面白いを通り越して、やりすぎ、反則技じゃないかと思えてしまうほど、それまでの演奏と全然違う全集であって、この「運命」もビックリするようなところが随所にあって、実に飽きない。
とにかく面白い。抱腹絶倒とは言わないが、聴いていて「ホンマかいな?」嗤ってしまうことあり。

楽譜は話題になったベーレンライター版。でも、ジンマンの面白さは、楽譜とはあまり関係がないかもしれない。エディションは、以前のギュルケ版とたいそう変わっていることもないらしいし、ジンマンの演奏はおそらく古楽器団体の影響を受けているのだろうとは思うが、どうもそれだけではないだろう。ジンマン自身の解釈が独特なのだろうと思う。
録音はクリアでスッキリ系。どちらかというとブルー系の音づくりで、やや冷たい響きだから、好みが分かれるかもしれない。我が家で響くドレスデン・シュターツカペレやアムステルダム・コンセルトヘボウの音とは対極にある、爽やかなソーダ水のような方向の音。あえて云えば、ロック系の録音かな。
ただ、その音はジンマンの解釈に大変合っていると思う。クリアな空間から、次々に装飾音や強調される楽器が飛び出してくる、これが実に聴き取りやすい。透明感のある音場で、ジンマンの独特なベートーヴェンを満喫できる。

ジンマンの解釈は、快速テンポが基調。推進力に溢れて、グイグイ前進してゆくテンポ。アーティキュレーションが独特で、切れ味鋭い細身の刀でスパッと切って捨ててしまうような指揮ぶり。実にサッパリと爽快。
音の融け合いや楽器間のバランスに気を遣うより、個々の楽器を(ジンマンの解釈の中で)自己主張させるような感じ。
仕上げは端正で、表面はツルッとした音楽づくり。新鮮で若々しい、新緑の季節のような瑞々しさ。

第1楽章のオーボエの装飾音は個人技なのか、ジンマンの解釈なのか・・・・。反則技のような面白さ。
第2楽章のティンパニの強打、その目立ち方も面白い。
終楽章では著しい金管の咆吼。クローズアップ。ここでもティンパニの音が生々しく、硬い音を響かせて面白い。


いやぁ、面白い。久しぶりに取り出してみて、やはり面白かった。
この全集、全曲面白いんですが、さて毎日聴くにはどうかなぁ・・・。
毎日の「ご飯」に飽きたら、ジンマンを。
時に変わった料理を喰うのもエエでしょう。
少しゲテモノ臭いかな・・・・・・(^^ゞ。
2006/05/11のBlog
生誕250周年。世間はモーツァルトのブームだそうで・・・。
その最たるものか、大型連休には、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2006が東京国際フォーラムで開催されていたとのこと。
ネットの世界でも、あれに行った、これは良かったと、様々な評が見えました。

都会に住んでいる人は羨ましいです。
どうも、四国の片田舎に住んでいると、その状況がピンと来ないんですなぁ・・・。
連休だったのだから、足を運べなくもなかったんですが、仕事の関係でおいそれとは行けませんしね。
う~ん・・・・都会と地方の格差は、経済的なものだけでなく、文化的な事業でも確実に拡大しているんでしょう。


というのを口実に致しましてね。
ついつい「モーツァルト大全集」を某オークションで落札しました。(「ついつい」も口実です)。例の、ブリリアント170枚組です。15000円ですから1枚100円もしない。

なんというご時世か。ネット通販やオークションだけは、都会と地方の格差がありませんな。これで当分の間、楽しめそうです。
(この際、リンデン/アムステルダムの交響曲集の何枚かがダブっていても、この値段なら許しちゃう(^^ゞ)

「つまみ聴き」しながら、ビックリ。
素晴らしい録音の目白押しであります。特に良かったのはピアノ協奏曲とピアノ・ソナタ。セレナード集も結構イケルし、リンデンの交響曲集は十分によろしい。
録音がイイです。1990年代のものが多く、奥行きが深く臨場感十分、そして残響がとても柔らかい。これは聴きやすい。いわゆる、コンサート・プレゼンスが素晴らしい。

で、つまみ聴きが止まらなくなってしまいまして・・・。
とうとう全曲聴いてしまったのが「魔笛」。

チャールズ・マッケラス指揮スコットランド室内管弦楽団と合唱団の演奏。テラーク原盤をライセンス契約してのもの。

録音はイイし、演奏も古楽器的な颯爽としたもので、何しろ配役が良く、しかもそれぞれの歌手の出来が大変良い。

少し記してみると・・・・。
パミーナ;バーバラ・ヘンドリックス
タミーノ;ジェリー・ハドリー
パパゲーノ;トーマス・アレン
ザラストロ;ロバート・ロイド
夜の女王;ジューン・アンダーソン
パパゲーナ;ウルリケ・シュタインスキー
弁者;トフリート・ホーニック

パパゲーナのシュタインスキーはよく知らないが、あとは有名な歌手ばかり。
有名だけでなく、例えば、ハドリーのタミーノは若々しく溌剌として何より声がイイし、ヘンドリックスは相変わらず綺麗な高音だし(低音の地声が少し汚れているが)、ザラストロは貫禄の名唱。
夜の女王が特に良い。「魔笛」は他の歌手が良くても、夜の女王がスカスカだと台無しになってしまうと思うのだが、このアンダーソンという歌手はとてもイイ。グルベローヴァ並みとまでは云わないが、若々しくしかも芯の強さのある夜の女王になっている。コロラトゥーラも非常に美しい。

マッケラスの指揮は颯爽として気持ちいいし、スコットランド室内管がまた鋭敏に反応してさらに気持ちいいです。

大全集170枚、全部聴けるかどうかは分かりませんが、事典のような聴き方が出来そうです。未収録のものも幾つかあるようですが、ボクらトーシローには十分な曲数。
当分楽しめそうであります。

ん~~~。
でも、やはり、都会の人は羨ましいです。
エエなぁ、ホンマに。羨ましいなぁ。
2006/05/10のBlog
気温が上昇、蒸し暑いくらいでありました。
つい数日前まで、「今年は暑くなるのが遅いですね」などと挨拶を交わしていたのに、いや、今日は不快指数の高い一日でした。

昨日と今日、出張(研修会)でお勉強。久しぶりの勉強会だが、これを頑張っておかないと、4月から変わった仕事に対応できない。
勉強好かんのに・・・・・しゃあないのぉ。

でも音楽は好きです。さて、今日はモーツァルト。
この人の音楽を聴くと、気分が晴れますな。

で、取り出したのは、ピアノ協奏曲第26番ニ長調K.537「戴冠式」。

ダニエル・バレンボイムの弾き振り、イギリス室内管の演奏。
1974年5月、ロンドンのアビーロード・スタジオでの録音。EMI原盤。
バレンボイムはこの後TELDECにベルリン・フィルの弾き振りで全集録音しているので、これは旧全集ということになる。

第1楽章。さすがに少し録音が古くなったかなという印象。30年前の録音だから仕方ないかな。オケの音は気合いが入っているんだが、やや、こもり気味なのが残念。リズム感は良く、しなやかな序奏部になっている。
バレンボイムのピアノが入ってくると、フワッと安らかな気持ちが湧き上がってくる。光が射し込んでくるような感じ。
左右のスピーカーの間の空気というか、空間というか、その色が変わってしまう感じ。光沢を増すというか、淡いピンク色のようになる。ピアノだけでここまで雰囲気を変えてしまうのだから、バレンボイムはスゴイと思う。
独奏ピアノはコロコロとよく転がって、響きも透明感があってとても美しい。

カデンツァはバレンボイム自身の作。「フィガロの結婚」のフレーズが入ってきたりして大胆、面白い。このカデンツァを聴けるだけでも価値ありと見た。

第2楽章は、少し霞がかった空の穏やかさ。優しい気持ちになれる楽章。ピアノは優美でロココ調、オケの響きは滑らかで心地よい。ピアノの強弱のつけ方や音色がデリカシーに富んでいて、多彩に変化してゆく。バレンボイムのワザに感心することしきり。

終楽章のアレグレットは活気に富んで素晴らしい終曲。五月の緑葉が風にざわめくような雰囲気、新鮮な空気を聴き手に送ってくるような演奏。
バレンボイムのピアノは終始、多彩なニュアンスで聴き手を楽しませてくれる。ロンドだけでも、色づけがどんどん変化してゆく。万華鏡のような演奏。


TELDECでの再録音、20番以降を持っています。
オケはなるほどベルリン・フィルで素晴らしいですし、バレンボイムのピアノはさらに円熟度を増してます。
ただ、この「戴冠式」については、EMI盤の方がニュアンス多彩で優れているように思います。
天賦の才能が迸るような演奏だと思うからです。