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クラシック音楽のひとりごと
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2006/05/27のBlog
バックハウスという名ピアニスト・・・・。
ボクがクラシック音楽を聴き始めた頃には既に亡くなっていたので、よくは知らんのです。
でも、長いことクラシックを聴いていると、徐々に手元に集まってくるものですな。特にさすがベートーヴェンは定評があっただけに(と本やライナーを読むと書いてある)、素晴らしい演奏が多い。男らしいというか(最近、なんとか「らしい」というのは使ったらイカンそうだが)、内面の強さというか、にじみ出てくる男の哀愁というか・・・・そういったたぐいの演奏が実にイイ。

今日はそのバックハウスのベートーヴェンを。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番変ホ長調 作品81a「告別」。
ウィルヘルム・バックハウスのピアノ独奏。
1961年11月の録音。DECCA盤。

この作品は、当時ベートーヴェンのスポンサーであったルドルフ大公への徹底した奉献曲で、あとからニックネームのつくことが多いベートーヴェン作品には珍しく、初めから「告別」という標題がついていたという。そう長くない15分程度の曲だが、味わい深い佳品だと思う。

この演奏、まず45年も昔の録音とは思えない、鮮明なピアノが素晴らしい。DECCAの録音技術の優秀性を思わずにはいられない。

バックハウスのピアノはとても清潔な音色で、しかも音の芯が太い。
高音はキラキラと輝くし、低音はどっしりと充実していて、いずれも耳に快い。
そして逞しい。男性的なんだなぁ。
弱々しくないというか、背筋が伸びてスクッと立つ偉丈夫のような演奏。筋骨隆々のマッチョマンという訳ではなく、精神的な、内面的な充実感・偉丈夫を感じさせる演奏であって、その点で非常に男臭い。

どちらかというとゴツゴツした感じで曲が進んでゆく。近頃はやりの流麗感はない。
尤も、ゴツゴツした理由は、高齢のためにテクニックが衰えているせいなのかもしれないが・・・・。
(でも聴いている感じでは、老醜を感じさせない見事なピアノではある)

第1楽章「告別」の、アダージョからアレグロに移ってゆくときの構成感は見事。
第2楽章「不在」は、メロディアスな楽章ではないのだが、聴いているとふと心落ち着く懐の深さ、包容力。ベートーヴェンの指示通り、エスプレッシーヴォなピアノだと思う。
第3楽章「再開」は壮絶なフォルティシモが聴きもの。微動だにしない安定感、豪快な打鍵。独墺の昔気質のオッサンの、頑固な演奏とでも云うべきかな。声はしわがれているが、まだまだ若いモンには負けんぞよ、という演奏。大変立派であって、これが本場物というものかと素直に思ってしまう。

伝統というか、正統というか・・・・。
こういうベートーヴェンも、エエもんです。
2006/05/26のBlog
ここのところ激務が続いております。7時半に出勤(これはいつものことでありますが)、帰路につくのが夜の9時・・・・。
ふだんダラダラ仕事をしているので、こういう日々が続くと、労働基礎体力があまりない怠け者にはこたえますな。やれやれ。

でも、音楽を聴く体力はあるんです。疲れたこういう日に限って、大曲を聴きたくなったりします。

で・・・・・マーラーの交響曲第2番「復活」。

ギルバート・キャプラン指揮ウィーン・フィルの演奏。
ソプラノはラトニア・ムーア、アルトがナージャ・マイケル、合唱はいつものウィーン楽友協会合唱団。
2002年、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音。DG原盤。

キャプランは、ストコフスキーの「復活」を聴いて大感動、いつか自分で指揮してやろうと努力を続けたアマチュア。「復活」のみプロ級という指揮者だが、この演奏はボクにとってはなかなか聴きごたえがあった。ウィーン・フィルを起用しての録音がモノを云ったんじゃないかと思う。
尤も、使用しているのがキャプランが関わった新校訂版の楽譜で、どうせウィーンで初演するならキャプランに指揮してもらおうということで録音が実現したものらしい。キャプランにとっては再録音ということになる(1回目はロンドン響とやっているはず)。

さて、第1楽章からオケの響きが柔らかい。冒頭などは激しい音楽のはずなのに、荒々しい音が出てこないのはウィーン・フィルだからかな。たっぷりと余裕のある鳴り方だし、キャプランの棒の運びもセカセカしていないので、聴き手にとっては実に心地よい。
中間部での旋律の歌わせ方など、堂に入ったもの。マーラーの繊細で傷つきやすい音楽をとても美しく聴かせてくれる。青春の響きというか、若者の憧れや苦悩が溢れてくる素晴らしい音楽だと思う。
もちろん劇性も十分。迫力あるフォルティシモでは、オケのパワーが部屋中一杯に満たされるオーディオ的快感もある。

第2楽章も落ち着いた歩み。情感のこもった歌。ちょいとした「間」にも思い入れが感じられる演奏。弦楽器の分散音が丁寧な弾きっぷりだし、木管もイイ音を出している。優しい音色にウットリしてしまう楽章。

第3楽章もゆったりしたテンポで大らかな流れ。ここでも深い想いが込められている。遅いところでの管弦楽は清澄で、とても清々しい。
マーラーはホンマに綺麗な音楽を書いたなぁ・・・・。ウィーン・フィルが演ると、これがまた実に綺麗で、部屋の空気まできれいになっていくような気がする。

第4楽章のアルト、プレーンでクセのない歌唱。テンポは遅く。情感がこもる。ドロドロした情感ではなくて、キャプランのこの曲を愛するがゆえの情というべきか。
長い間この曲を慈しんできた愛情が、しみじみと伝わってくる。素晴らしい表現だと思う。

終楽章は圧倒的な終曲。ここでもテンポは遅く、十分に聴き手を楽しませてくれる。ここぞと云うところでの、テンポの落とし方や歌い廻しは、長年の経験によるものか(この指揮者、こと「復活」にかけては並の指揮者以上に振った回数が多いはず)。
合唱も独唱も見事に融合してゆくし、何しろオケの響きが輝かしく、素晴らしい。


2002年の最新録音であります。
素晴らしい音です。家庭で聴ける音としては、最高の部類に属すると思います。
このCD、中古盤屋でゴロゴロ転がってました。2枚組で1000円程度でしょ。
世評はどうだったのか知りませんが、あまり人気なかったのかな?
ボクは良い演奏だと思いました。ウィーン・フィルの音が良すぎて、あまりキャプランが前に出てくる演奏じゃありませんが。
中古なら、お買い得だと思います。
2006/05/25のBlog
初夏の爽やかな一日でありました。
日中は汗ばむほどの陽気。いよいよ夏であります。

そこで、今日はR・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」。
短絡的なCDの選び方ですが、まあいいでしょ。
久しぶりに原色のオーケストレーションを楽しみましょう。

演奏はロリン・マゼール指揮ベルリン・フィル。
ヴァイオリン・ソロはコンサートマスターのレオン・シュピーラー。
1985年録音のDG盤。

これはマゼール渾身の「シェエラザード」。力の入った交響的な立派な演奏。
やはり、「シェエラザード」はイイ。
この演奏の良いところは、ヴァイオリン・ソロが素晴らしいこと。レオン・シュピーラーのソロは、思い入れの強いネットリとした響きから、細く艶やかにどこまでも伸びてゆく響きまで、大変幅が広く実に聴きごたえがある。このソロをクッキリと捉えた録音も素晴らしい。低音の太い強さ、高音が伸びてやがて消えてゆくところ、倍音の美しさなど、文句なしの好録音。

第1楽章はゆったりペース。大変遅い。描かれる大海原がとても広く感じるスケールの大きさ。
ベルリン・フィルがとにかく巧い。最上級のアンサンブルに、個々の楽器がもうメチャクチャに巧い。いくらでもスピードを出せる大排気量のクルマが、一般道を悠々と普通の速度で走っているような感じ。余裕しゃくしゃくのオーケストラ。
マゼールの採るテンポは遅いのだが、鈍重にならないし、表現が濃厚になりすぎたり重くならないのはマゼールの趣味だろう。どっしりしているのに、くどくない。純音楽的な表現だと思う。

第2楽章。シュピーラーのソロ、ヴァイオリンの音がちょうど良い「太さ」。強くもなく弱くなりすぎもしない。イイ音。ヌルッとした質感もある。
この楽章、木管のソロが抜群で、ファゴットもオーボエも上品でスタイリッシュ。なのに、音楽は冷たくなく、かえって情感がそこはかとなく漂ってくる風情。さすがマゼール。
半ば過ぎからはマゼールらしい独特のアクセント、デフォルメが見えるがやり過ぎてはいない。シンフォニックな表現と思う。

第3楽章は輝きに満ちた表現。厚みのあるストリングスが素晴らしい響きだし、テンポもやや遅めで心地よい。ヴィオラの生暖かい音などとてもイイ。と思ったら、ホルンもトロンボーンも生暖かい音を出している。この温度感が何とも云えない。
ヴァイオリン群がツヤツヤしている。ヴァイオリンのアンサンブルの時、キラキラと光りがこぼれてくるような瞬間があるが、これはこのCDでしか聴けない香しさ。

終楽章も急ぎすぎずじっくり腰を落とした演奏。金柑が相変わらず巧いし、弦楽器とのバランスも良い。ラストの破滅、終曲のはかなさも情感があって良い。

「シェエラザード」は、オーケストラのための協奏曲のような曲だが、マゼールは、ソロの楽器を浮き立たせて気持ちよく奏させている。聴いていて実に楽しい。ホンマ、マゼールは聴かせ上手だなぁと思う。

ボクは「シェエラザード」好きです。
何枚も購入しては飽きることがありません。
このマゼール盤は、その中でも聴く頻度が高いです。
名盤やなぁと思います。
2006/05/24のBlog
ブリリアントの激安モーツァルト大全集をコツコツと聴いています。

コツコツというと地道にマジメに聴いているようだが、なんのことはない、適当にその時の気分で取り出しているまで。
何しろこの大全集は、最新の(ついこの間の!)録音もあれば、1970年代初頭のものもあって、録音の出来はマチマチ。ただ、全体的に聴きやすい録音が揃っていて、あまり弦楽器がカサつくようなものはないようだ。
(弦がカサつくと、鑑賞していてシンドイもんです)

今日はディヴェルティメント第17番ニ長調K334。
演奏家は初耳。
フロリアン・ヘイエリック指揮マンハイム・プファルツ選帝侯室内管弦楽団。
いやはや、大変に長い名前の演奏団体。このDoblogでは、タイトルが書ききれませんでした(^^ゞ。
2002年の録音と云うからまさに最新盤。

室内管らしく少人数の楽器が、それぞれクリアな音で捉えられている上出来の録音。
奥行きや高さ十分で、特にヴァイオリンの倍音成分が美しい。
ホルンの響きも暖かみのある上品さ。極上の音ですな。ヴァイオリンと重なり合うところなど、実にエエ音がする。

この団体のこと、全く知らないので、予想でしか云えないのだが、おそらくマンハイムの団体なのでピリオド楽器や奏法なのだろう。

演奏は、もう大変爽やかで快速、スカッと抜けるような爽快感が実に気持ちいい。
アンサンブルもエエし、リズムも生き生きと弾んで、大変心地よいモーツァルト。
若々しく、時に微笑み、時に嘆き(でも大泣きはしないのがエエんですな)、モーツァルトの青春が燦めくような演奏になっている。

有名な第3楽章のメヌエットなど、もう、速い速い。サッサと進んでしまってあっけないくらい。でも、本来、メヌエットは快活な舞曲だわなぁ。今までの演奏が重かったんじゃないのかと思えるほど、このヘイエリック/マンハイム・プファルツ選帝侯室内管の演奏はキマッテる。実にカッコイイ、メヌエットに仕上がっている。


切れ味の良い清涼飲料、シャクシャクと歯触りの良い新鮮なサラダ。
そんな感じの演奏でありました。
緑の季節に、これは気持ちいいもんです。
2006/05/23のBlog
初夏の風が心地よい季節であります。
ああ、シューベルトが聴きたい。爽やかな交響曲を聴きたい。それも、ウィーン・フィルで聴きたい。
今日は仕事中そんなことばかり考えておりました。
(それにしても、今日は忙しかった・・・・・月曜日はいつも大変なんです(^^ゞ・・・)

で、帰宅してゴソゴソ、シューベルトの交響曲全集を探しながら、そういえばウィーン・フィルのシューベルト全集はあったんかいなと気づいた。
シュタインのはバンベルクやし、ブロムシュテットとデイヴィスのはドレスデン・シュターツカペレ、カラヤンとベームはベルリン・フィルだわい。ふんふん、ケルテスとムーティしか我が家にはないぞい。(ほかにウィーン・フィルのシューベルト全集はあるんかな?)


さあ、シューベルトの交響曲第2番変ロ長調 D.125。
リッカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィルの演奏。
1993年1月、ムジークフェラインザールでの録音。EMIの廉価盤。

第1楽章はラルゴ~アレグロ・ヴィヴァーチェ。
プレイ・ボタンを押すと、ああ、ウィーン・フィルの音。
輝かしく色気がある弦楽器。そしてムーティの指揮だからよく歌うし、しかもスタイリッシュ。指揮者の風貌のようなカッコイイ開始。
主部に入ると、これが颯爽と痛快な音楽になる。特に第1ヴァイオリンがイイ。全く軽快でシャープ。聴いていると身体が弾んでくるようなドライブ感がたまらない。
メロディもシューベルトらしく美しく清潔。ホンマ、シューベルトの旋律は清潔なのが良い。

第2楽章アンダンテ。これは変奏曲楽章で、しかもこれまたメロディが清らかで美しい緩徐楽章。
ウィーン・フィルの響きはデリケートで極上の美しさ。これぞシューベルトと云いたくなる繊細さ。傷つきやすい多感な青年の、これは音楽だろう。
ムーティはこのあたりウィーン・フィルの自発性に任せている感じ。彼の往時の強引さは影を潜め、今や大人の指揮ぶり。
それにしても、シューベルトの変奏曲はきれい。即興曲のような一筆書きの流麗さ。

第3楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ。
ここはトリオなのだが、シューベルトの手にかかると、歌心満点の魅力的なトリオになる。短調の切迫感は、劇的表現の得意なムーティならでは。その迫力の中にも、清冽な歌が満ちているのがシューベルト。
弱音ではデリカシーに満ちた表現で切ないほど。ウィーン・フィルの極上のアンサンブルがそれを支えている。

終楽章は一気のプレスト。リズムがよく弾んで、踊り出したくなるような、まるで舞曲のような表現(・・・って、実際、これは舞曲か)。弦楽器のアンサンブルはよく揃って見事なもの。それに呼応する木管がまたよく歌って、味わい深い。


若書きの爽やかなシューベルトであります。
爽快な空気が部屋に流れ込んでくるようなムーティの快演・・・・と書こうとしたら、本当に夏の涼風が・・・・。

良い季節になりました。
2006/05/22のBlog
初夏の風が爽やかな一日。
エエ天気でした。気持ちよかったですね。

で、今日は、夏になれば聴きたくなる音楽を。
(ナニ、いつだって聴きたいのだが、夏には一層ふさわしい音楽ということであって・・・・)

マーラーの交響曲第3番ニ短調であります。

ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルの演奏。メゾ・ソプラノはアグネス・バルツァ。1985年4月、ムジークフェラインザールでの録音。SONY原盤。

1980年代はマーラー・ブーム。特に日本がバブル経済に踊っていた時期に、そのブームは頂点に達した感があった。当時CDの価格は高かったが、2枚組でも平気で買えるほどカネが余っていたのかもしれない。
レコード会社はこぞってマーラーを録音、世に出していたが、わがSONYはマゼール/VPOで発売、やがて全集になった。これは貴重な録音であって、おそらく今のところ唯一のウィーン・フィルによるマーラー・全集ではないかと思われる。


さて、演奏はマゼール独特のもので、アクが強いというか個性的というか、マゼール臭がプンプン匂うもの。これ、マゼール嫌いな人には、とても我慢できないんじゃないかという気がする。ボクはマゼール好きなのだが、1時間40分に及びこの長大な交響曲を聴いていると、何度も「オイオイ(^^ゞ」というところがあって、まあしかし、面白いことは大変面白い演奏。

第1楽章の序奏部など、堂々として、あえていえば勿体ぶった演奏。8本のホルンの斉奏が大変ゆっくりで物々しいほど。
マゼールの、この曲に関してのテンポは終始一貫遅い。全編聴き終わるとこの遅さが納得できるのだが、初めはビックリする。
じっくり歌い込んでゆく感もあるし、丁寧な仕上げでもあるのだが、情念がこもっていると云うよりは、猟奇的・怪奇的な感じさえする。音楽はマーラーの素晴らしいオーケストレーションを味わえるし、何せオケはウィーン・フィルだから美しいことこの上ない。豪華絢爛な演奏でもあって、耳は十分に楽しめる。

第2楽章は、「牧場の花が私に語ること」・・・という雰囲気がよく出ている演奏。抒情的な歌が続く。テンポはここでも非常に遅く、止まってしまうのではないかとハラハラするところもある。オケは緊張するだろうなぁ、この遅さ。
マゼールらしいというべきか。実にエグイ演奏ではある。

第3楽章は動物と小鳥がいっぱい。森の中に彷徨いこんで、動物の声や鳥のさえずりが部屋を満たしてゆくような感じ。木管群の柔らかさは、さすがウィーン・フィルと言いたい。遠くで鳴り響くトランペットの持続音が素晴らしく甘い音色。そして、何よりポストホルン!。ああ、エエ音やなぁ・・・・・。ウットリするほど。

第4楽章から声楽付き。女声はアグネス・バルツァ。鋭くよくとおる声。この頃のバルツァは絶好調だった。ただ、柔らかなウィーン・フィルの響きと研ぎ澄まされたナイフのように切れ味鋭いバルツァの声とは、少々違和感あり。
合唱は美しいし軽やかでクリーミー。女声合唱も少年合唱も大変よろしい出来だと思う。

そして、終楽章。最高の終曲。ここでもテンポは遅く、時に止まりそうなのだが、あまりの曲の美しさで、それが気にならない。
ティンパニの響きは豪放、ストリングスの響きは繊細で耽美的。
マゼールの趣味丸出しの第3でありました。
2006/05/21のBlog
午後からもう最高の五月晴れ。
久しぶりの青空だったですね。
四国の田園では、この空を待っていたかのように、一斉に農作業が始まりました。
田んぼへの水引きです。我が家の前の田んぼにも水が入りました。

さて、ブリリアントのモーツァルト大全集、ポツポツ聴いております。

今日はピアノ協奏曲第22番変ホ長調 K.482。
デレク・ハンのピアノ独奏、、ポール・フリーマン指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏。録音は1993年。

第1楽章、聴きやすい音。フィルハーモニア管は機能性に優れたオーケストラだと思う。あまり個性的ではないが、巧い職人オケだなぁと思う。フリーマンの指揮はキビキビしていて気持ちよい。金管の音を際だたせて、この曲の祝典的な側面を明らかにしているような伴奏。メリハリのある指揮。ときおりアクセントをきかせて、聴いていると、「お?」と思うところがある。
デレク・ハンというピアニストはよく知らないのだが、全体的に誠実な弾きぶり。
この誠実さがエエんですな。モーツァルトの音楽は、あれこれカッコつけて面白く演奏することも出来ると思うのだが(そういう演奏はそれなりに楽しいんだが)、何回もCDで聴いていると飽きちゃう・・・・。即興的な演奏は、文字通り1度きりの即興だから面白いので、何度も繰り返し聴ける媒体のCDだと飽きてしまうんですな。
その点、ハンのピアノは真摯な演奏。なんの変哲もない、ひたむきに、マジメに弾いてゆく演奏。その誠実さがかえって滋味溢れるしみじみとした美しさを生んでイイ演奏になっている。
録音のせいか、オケの音に比べて、ピアノの音が小さい。その控えめな音が、センスの良さを感じさせてくれる。カデンツァも大声ではないが閃きに満ちていて好ましい。

第2楽章は悲愴感漂う。オケの音が包み込むような柔らかさ。少し大きめの音量でオケの響きに身を浸すのは快感。
ハンのピアノはエッジが丸く、乳白色系の音色で、優しく柔らかな響きがイイ。カツーンというブルー系・透明度の高い音ではなく、暖かく弾力のある柔らかい音がハンの特徴かと思う。この音色が、モーツァルトにはしっくり来る。
テンポはゆったり、ふっくらとして、とても聴きやすい。

終楽章になってもハンのピアノは堅実で端正そのもの。
このロンドはあまたあるモーツァルトのピアノ協奏曲中、最も愉悦に富んだものだが、ハンのピアノで聴くと、その悦びがしっとりと長く続く感じ。飽きの来ない、淡々としているのに味わい深い・・・・良いピアニストやなぁと思う。

ピアニシモでの力の抜き方、フォルテでのペダルなど、結構細かく色々やってくれているが、基本的には穏やかで控えめな表情がよろしい。

フリーマンの指揮は、時々変わったアクセントだなぁと思うところがあるが、まずは無難な指揮ぶり。ハンのピアノをこれも穏やかな表情でしっかり支えております。


ジャケット写真は例の「大全集」ですので今日は載せません。
代わりに、田植えの準備がすんだ田舎の風景をどうぞ。
二階の自室から一望する四国山地と水田であります。 
2006/05/20のBlog
週末も雨模様の天気でありますな。
今週は、ジョギングがままならないんです。走ろうかなと思うと降ってくる天気で困ります。なあに、少々の雨なら走れなくもないんですが、我慢して歯を食いしばって走るのはどうもジョギングらしくないので・・・・。無理して走るのは、長続きしません。
ただ、食事は美味しいので、体重が増えます。
ん、やっぱり走ろうかな・・・・。

というわけで、早朝の更新に戻しました。朝の方がサクサクのようです。

さて今日はバッハ。
J・S・バッハの管弦楽組曲第1番ハ長調 BWV1066。

ラ・ストラヴァガンツァ・ケルンの演奏。
録音は1994年6月、ケルンのドイツ放送ゼンデザールにて。DENONのクレスト1000シリーズで購入したもの。この全集には、第2番で有田正広がフラウト・トラヴェルソで参加している。

ラ・ストラヴァガンツァ・ケルンは、ドイツのケルンで1988年に結成された気鋭の古楽器団体。プレーヤーは国際的、世界各国から集まっている。リーダーはアンドルー・マンゼ、イギリスのバロック・ヴァイオリンの名手で、様々な古楽器アンサンブルのリーダーとして活躍している。

さて第1楽章の序曲。
ヴァイオリンの音色がブルー系で清々しい。透きとおった響きで、瑞々しく清潔な音はとても気持ちよい。アンサンブルも緊密で、ストリングスに一本筋が通っている感じ。マンゼのリーダーシップの賜物かな。
テンポは快速。リズムは溌剌としてよく弾み、音楽が沸きたつように生まれ来る感じ。安らぎよりも活気溢れる音楽づくりで、青春の息吹のような爽やかな序曲になっている。
スピーカー右手で吹いている木管群が素朴な味わい。特にファゴットが渋い音色で好ましい。オーボエは鼻をつくような甘い響き。これもなかなかイイ。あまり目立たないのだが、よく聴いているとチェンバロは結構饒舌に演奏しているのが面白い。

第2楽章はクーラント。アクセントのつけ方、クレッシェンドの盛り上げ方が独特で面白い。ここでも音楽は清潔。

第3楽章はガボット。音楽がよく弾んで、スキップで走り出すような快活さ。古楽器アンサンブルらしい快適な速度で、生気に満ちている。
こういうのを聴いていると、僕の好きなコレギウム・アウレウムやリヒター、バウムガルトナー、パイヤールなどは、随分昔の演奏、ああ遠くなってしまったなと感じる。
(と言いつつ、その昔の演奏がボクは好きなんだが・・・・・)

第4楽章はフォルラーヌは流麗な音楽づくり。強弱も旋律の流れも優美なもんだ。
第5楽章のメヌエットでは弱音部がイイ。弦楽器の倍音がことのほか美しく、優しく空間に溶けてゆく。オーボエとヴァイオリンが同じ旋律を奏するところでは、その厚み・柔らかさが格別の味わい。
第6楽章ブレーは、昼間部での木管アンサンブルが聴きもの。息のあった合奏で、合わせる楽しみ、音楽する愉悦が伝わってくる。
終楽章は、寄せては返す波のようなストリングスが素晴らしい。強弱のニュアンスが多彩で、味わい深い。

テンポは元気ハツラツ、楽器は素朴でひなびた味わい。楽しめるバッハであります。
録音は、さすがDENON。古楽器のしなやかさ、弦の細身の響きをしっかり捉えた音づくり。ブルー系の透明度の高い録音で、特に倍音成分が美しいですな。


2006/05/19のBlog
相変わらず、ぐずついた天気です。
今日も雨。明日の土曜日も雨の予報です。いやはや、五月晴れはどこへ行った?
雨の夜、田んぼに囲まれた田舎暮らし・・・・・カエルの合唱が耳につきます(^^ゞ。

さて、今日は、雨空を吹き飛ばす爽快で威勢の良い音楽を。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」。
マレイ・ペライアのピアノ、ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏。
1986年4月、コンセルトヘボウでの録音。

第1楽章のオーケストラの序奏部が盤石の安定感。
素晴らしく深い響きで包容力のある音。
コンセルトヘボウ管の温もりのある音を生かしながら、ハイティンクは幾分速めのテンポで進んでゆく。全ての楽器が有機的にからみ合いながら鳴り響くトゥッティなど、息を呑む素晴らしさ。力強いのに、重くならないのがイイ。
ペライアのピアノは輝かしく怜悧な音。大声で喚かず、節度を持った音。「皇帝」なのだからもっとガンガン弾いてもいいのにと思うが、ペライアは力任せに鳴らしたりしない。
冒頭のカデンツァからして上品で端正。雄渾なスケール感よりも、粒立ちの良いピアノの音を大切にしている弾き方。一音一音を慈しんでいるような演奏と云ってもいいかな。明るく洗練されたタッチで、第1楽章を見事に弾ききる。
いつも思うが、これだけ音の綺麗なピアニストが、今、何人いるだろうか。

第2楽章でも、ハイティンク/コンセルトヘボウ管のつくり出す響きが最高。暖かく包み込むようなサウンドはコンセルトヘボウならではだし、ハイティンクの指揮も誠実そのもの。
ペライアのピアノは美しさの極み。耽美的と言ってもいいくらい。弱音の美しさはペライア特有のもので、その弱音が、楽章が進むにつれて輝きを増すのだから、スゴイもんだ。
終楽章では、敏感なタッチと端正な表情が印象的。ペライアのピアノはますます輝いて、素晴らしいロンドになっている。オケの響きも幸福で円満、ペライアとの見事な協奏が繰り広げられる。

ベートーヴェンの「皇帝」としては、最も皇帝らしくない演奏。
それでいて、最も協奏的な演奏。
これぞピアノ「協奏曲」。
ピアニストと指揮者/オーケストラが一体となって喜びに満ちた音楽をつくり出していきます。

こういう音楽を聴くのは全く幸福なことでありまして、録音がまた見事なもので、この素晴らしい演奏を支えています。


さてさて、メンテナンス成ったDoblog、夜の更新でも何とかなりそうです。
そんなに軽くはありませんが・・・・・。
2006/05/18のBlog
いやはや、Doblogの長いメンテナンスでした。
少しは快適になったんでしょうかね。
試しに、夜の更新であります。

今日はベートーヴェンを聴きましょう。
これも古今無双の名曲。

ベートーヴェンの交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」。
コリン・デイヴィス指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。
デイヴィスのベートーヴェン全集からの1枚で、1992年9月、ルカ教会での録音が最高。素晴らしいSKDサウンドが味わえる名盤(とボクは思っています)。

第1楽章のテンポは中庸。サラッとした開始で、各楽器の粒立ちがとてもイイ。五月の風にふさわしい爽快な響き。特にストリングスの細かなボウイングがが、サヤサヤと吹く風のようで気持ちがよい。
オケの響きは、もう、これぞSKDと言いたくなるような、柔らかく暖かな音。どこからどう押したって頑として動ずることのない伝統の響き。木管と弦楽がブレンドされたまろやかさは、ちょっと表現できない贅沢な味わい。

第2楽章。慎ましく穏やかな表情のストリングスはこの楽章でも変わらない。「田園」の明朗さが横溢する楽章で、素晴らしい音色と残響に酔いしれてしまうほど。
デイヴィスの指揮は奇をてらうことなく、正々堂々、真摯で端正。表面の仕上げは丁寧で、温もりある木質の肌触りだし、全体的な造形も上品で、まさにデイヴィスの真骨頂。特に中盤以降の木管は、どれも最高のできばえ。クラリネットとフルートが特によろしいようで。

第3楽章はホルンの響きが印象的。コクがあって、とろけるような甘い響き。デイヴィスのきっちり正確なリズムの刻み、型くずれしない格調高いスケルツォ。その真剣さは、「諧謔曲」からは少し遠いところにあるようにも思う。
第4楽章への受け渡しのところで、ヴァイオリンが香り高く弾いている、その響きがえも言われぬ美しさ。素晴らしい。

第4楽章は、これぞベートーヴェンのフォルティシモと言いたくなるような爆発。ズシンと腹にこたえるティンパニの一撃。その低い音の強さが実にイイ。また、嵐を表現した弦楽のトゥッティも凄まじい迫力。

終楽章は、嵐の後の静かな佇まい、ゆったりとした始まり。遅いテンポが、この交響曲のラストの感動にふさわしい。

ああ、自然は素晴らしいなぁ、神に感謝しなくちゃなぁ・・・・そんな思いで聴いておりました。
「田園」を聴くと、終楽章で、感謝の気持ちになります。

デイヴィス/ドレスデン・シュターツカペレの演奏も素晴らしいものです。
ふと、リスニング・ルームから南に目をやると、四国山地が緑濃くなってきていました。

そして、田んぼからはカエルの大合唱が始まりました。
ぐずつく天気の中で、初夏の匂いが漂います。
2006/05/15のBlog
爽やかな五月の陽気。
空気はやや冷たいものの、陽射しは夏の強さであります。
家の前のあぜ道で、子供とキャッチボールをして楽しんでました。
間もなく、我が家周辺でも田植えの準備が始まるでしょう。

さて、今日はモーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調K.488。

ルドルフ・ゼルキンのピアノ、クラウディオ・アバド指揮ロンドン響の演奏。
1982年1月、ロンドンのキングズウェイ・ホールでのデジタル録音。DG盤。
今年話題のモーツァルトだが、このCDは15年前、モーツァルト没後200年の時に盛んに発売されたもの。DGは交響曲をレヴァイン、管弦楽曲をオルフェウス室内管、そして、ピアノ協奏曲をこのゼルキンで編集したのだった。

ゼルキンのテンポはやや遅め。慌てず、騒がず、克明に弾いていくのが印象的。
繊細を極めるタッチ。純白の音色。研ぎ澄まされて光りがこぼれるような響き。
透明度が高いと云うのか、とても見通しの良い設計。

第1楽章から、そんなゼルキンのピアノの魅力が一杯。アバド/ロンドン響の優しく穏やかな序奏部のあとに、ピアノがスーッと入ってくると、もう耳は虜になってしまう。ああ、素晴らしいピアノ。ホンマにゼルキンのピアノは綺麗。
美しい音しか出てこない。混濁した、汚れた感じの音が全く出ない・・。
カデンツァなど、孤高の響き。
形而上的な感じさえするんだが、そこまで書いてしまうと、ちょいと言い過ぎかな(^^ゞ。

第2楽章の憂愁。テンポは遅く、情緒的に歌うピアノが素晴らしい。
特にピアニシモが綺麗。スピーカーの中央奥の方にフッと溶けていってしまうようなピアニシモ。はかなく消えてしまいそうなピアニシモ。何とも優しい音色。
アバド/ロンドン響の伴奏もイイ。ゼルキンのピアノに寄り添って、デリカシー溢れる演奏。木管の暖かく素朴な音色、弦の涼やかな、さざ波のような演奏など、たまらない魅力。ロンドン響の面々は、アバドの棒にピタッとついて、非常に機能的な感じもする。上手いオケだなぁと思う。

終楽章。微妙にテンポが伸び縮みしながら、モーツァルトの愉悦が音化されてゆく。巨匠の芸だなぁと思う。
ゼルキンのピアノは、全楽章を通じて激することなく(フォルティシモがない感じ。強く弾かない)、ニュアンス多彩。
一聴、淡々と弾いているような感じなのだが、耳を澄ましていると、弱音での強さの幅がとても広く(「弱い音」の音の大きさが全部で10段階くらいある感じ。そのくらい音の幅が広い)、微妙に色調が変化し、無限のニュアンスを伝える。素晴らしい。

ゼルキンの弱音に酔う1枚でありました。

今日5月15日(月)の10時から3日間、Doblogはメンテナンスのため、更新不能になるようです。
というわけで、3日間、お休みであります。
また金曜日に(^-^)。
2006/05/14のBlog
雨がよく降ります。
梅雨の先走りですね。奄美ではもう梅雨に入ったとのこと。
それにしても肌寒い一日でありました。

輸入盤の価格が昨年くらいから少し上がってきてます。
暴落激安の時代は終わったのかもしれません。HMVやタワーレコードのHPを眺めていても、食指が動かない・・・・・。3枚買えば云々とあるが、値引きした価格が以前よりかなり高いではないかい。欺されんぞい(^^ゞ。

思えば、しかしブリリアントの登場は衝撃でありましたな。
圧倒的な激安価格で、たまげたものでした。今日はその中からの1枚。

ブラームスの交響曲第2番ニ長調作品73。
ヤープ・ファン・ズヴェ-デン指揮オランダ放送管弦楽団の演奏。
1999年録音。ブリリアントの超廉価盤の全集からのもの。

第1楽章はゆったりとした開始。弦楽セクションの響きは幸福感に満ちていて、サウンドはやや渋め。オランダ放送管の音は、ほの暗く落ち着いた響きが特徴と言えそう。ヴィオラなどは慎ましく穏やかで心地よいし、ヴァイオリン群の音色もたいそう美しい。しかもよく揃っている。

ズヴェーデンは、もとコンセルトヘボウ管のコンサート・マスター。シャイーの「シェエラザード」で聴かせてくれたソロ・ヴァイオリンは優美で色っぽい演奏だった。

そんな彼の指揮は、若々しく活気のあるブラームスをつくり出す。主部に入ると、テンポは快活で弾むような感じ。ただし、響きは全編を通して穏やかで慎ましい。コンセルトヘボウ管もそうなのだが、オランダのオーケストラの音は、慎ましいのかな。

ブラームスのこの曲は、楽器の混ぜ合わせが聴きどころなんじゃないかと思う。
ブラームスは原色の音楽を書かなかった。楽器の音が、そのまま飛び出てくるような書き方は極力避けて、他の楽器と一緒にブレンドされた音として聴き手の耳に届くように書いた。ズヴェーデン/オランダ放送管の演奏も、随所にその特徴が出ていると思う。

第2楽章もゆったりとした開始。テンポが遅いと老成円熟した音楽になるのだが、ズヴェーデンの再現するブラームスはとても若々しい。弦楽セクションに芯の強い響きが感じられ、それが演奏全体の覇気に繋がっているように思う。オケの響きが少しこもった感じになっているのが惜しい。もう少し透明感があればなぁ。

第3楽章はのどかな田園風景。木管群のひなびた味わいが実にイイし、ストリングスの穏やかな響きも心地よい。ホルンやクラリネットの音色はたまらなく美しい。
ズヴェーデンの指揮は直截的で、手練手管を施したりしない。清潔な指揮ぶりで好ましい。
今聴いている自室からは、西条ののんびりした田園地帯が広がる。そんな風景とブラームスの2番は実によく似合う。

終楽章は少しテンポが速くなる。オケも逞しく盛り上げてゆく。懸命の弾きっぷり、吹きっぷり。そう上手いオケではないと思うのだが、一生懸命演奏しているのが分かる。こういう演奏は、少々のことがあっても心地よく聴けるものだ。

録音は標準的、もう少し奥行きがあってもイイかなと思いました。
でも、この安さ。文句ありません。新品3枚で1000円なら言うことないです。
尤も、芸術は値段ではかるもんじゃないんでしょうけど・・・・(^^ゞ