ニックネーム:   パスワード:
| MyDoblogトップ | Doblogポータル | Doblogガイド | ユーザ登録 | 使い方 | よくある質問 | ツールバー | サポート |
クラシック音楽のひとりごと
Blog
[ 総Blog数:1174件 ] [ このMyDoblogをブックマークする ] [ RSS0.91   RSS1.0   RSS2.0 ] [ ATOM ]
2006/09/24のBlog
今日は豪快に行きましょう。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調 「皇帝」。
ヴィルヘルム・バックハウスのピアノ、ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮、ウィーン・ フィルの演奏。
録音は1958年~1959年、DECCAの全集盤からの1枚。ご存じ、往年の大名盤。

第1楽章冒頭のトゥッティが響いた瞬間、ああ、ウィーン・フィルの音。
「これやこれや、この音や」とひとりごち。DECCAが見事に捉えたウィーン・フィルの音。
そして、バックハウスのピアノが剛毅豪快に登場する。威風堂々、まさに「皇帝」の登場であって、周囲を睥睨するような貫禄がある。これぞ、ベートーヴェンの迫力。ボクの中の「皇帝」のイメージはバックハウスによって作られた。

イッセルシュテット/VPOもまた素晴らしい協調。ベートーヴェンを演奏して幾星霜、ベートーヴェンの音楽が自分たちの肉体の一部になってしまっているような、オーケストラの響きがたまらない。古くさい表現だが、「自家薬籠中」のものにしているとしか云いようがない。

バックハウスのピアノは、速いパッセージだと「あれ?」というところがなくはないのだが、さすがの貫禄で弾ききってしまう。ベーゼンドルファーの音が、太く逞しく、そして染みいるような音色であったり、ビロードの温もりで包み込むような音色であったり・・・ホンマに素晴らしい。

第2楽章は天国の境地。
オーケストラはここでも万全で美しい響き。DECCAの録音も極上で、とても50年近く前の録音とは思えない鮮やかさ。ソフィエンザールでの録音だが、残響成分が多くない。比較的直接音の成分が多いのだが、うまくブレンドされていて聴いていて快感。
こんなに綺麗にウィーン・フィルを鳴らす指揮者は他にいただろうか?・・・と思ってしまうほど、陶酔的な音。

終楽章は愉悦のロンド。
これ以上何を望むのかと思えるほど、これは十全の演奏。ピアノ・指揮・オケが一体となった見事な協奏曲。
最高のベートーヴェンがここにある。

レトロな演奏なのかもしれません。
でも、素晴らしさは不滅です。
ああ、今日もエエ音楽を聴きました。


さて、昨晩、新車が届きました。
11年間乗ったローレルからブルーバード・シルフィに乗り換えました。
他社の候補もありましたが、浮気しませんでした。
ワタシは日産車が好きです。ブランド買いですな(^^ゞ。

2006/09/23のBlog
今日は秋の名曲。

ボロディンの弦楽四重奏曲第2番ニ長調。
クリーヴランド弦楽四重奏団の演奏。
1988年5月、ニューヨークでの録音。テラーク盤で、レーベル創立25周年を記念して廉価盤で発売されたもの。

秋になると、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番を聴きたくなる。
涼しい風と透き通った空気、そして澄んだ青い空。夕暮れは秋が深まるとともに寂しさが増して・・・。

この曲は秋に似合う。
秋の夜長にモゾモゾ聴くのも良いし、昼下がりに窓外の涼風を楽しみながら聴くのも良い。
ボロディンが愛妻に捧げたというこの曲は、懐かしく、美しく、センチメンタルなメロディが一杯詰まっているし。

第1楽章 アレグロ・モデラート
美しく甘い旋律が沢山。ボクはこれを聴くと中央アジアの平原を想像してしまう。どこまでも続く草原が浮かんで、乾いた涼やかな空気が肌に触れるような感触がある。
クリーヴランドSQは、息のあった、引き締まったアンサンブルを聴かせてくれる。録音も良い。4つの楽器の定位など見事なもんだ。

第2楽章は、ああ、ノクターン。
これが聴きたくて、ボクはこの曲をトレイに載せるんですな。心落ち着くかけがえのないメロディ。故郷を思い起こさせるような、郷愁の響き。何と懐かしい響き。
ああ、日本人!

特筆すべきは第一ヴァイオリン。音が本当に綺麗。品の良いポルタメントに鮮やかなヴィヴラート。そして澄みきった音色。
ドナルド・ワイラースタインという人らしいが、詳しくは知りません。素晴らしいヴァイオリニストですな。

第3楽章はもちろん、終楽章も4人が一体となって白熱してゆく演奏。
音楽的な感興に富んで、演奏する喜びも伝わってくる。「ノクターン」だけじゃないぞと云っているみたい。
素晴らしい演奏。

録音はさすがテラーク。
これだけ生々しい音でクヮルテットを聴けること、そんなにないと思います。
名録音ですな。
2006/09/22のBlog
朝晩はめっきり涼しくなってきました。
早朝ジョギングが快適です。汗があまり出なくなり、バテなくなったので、ペースが上がります。
自分がちょっとした風になったような、爽快な気分を味わえます。

さて、今日はピアノ曲を。

シューベルトの3つの小品D.946。
内田光子のピアノ独奏。フィリップスから出ている彼女のシューベルト・ピアノ曲集からの1枚。

この作品はシューベルトの即興曲の遺作にあたるものだろう。

第1曲・変ホ短調はシューベルトのロマンティックな感情の吐露。幻想曲風の味付け。
内田のピアノは洗練されていて、音色などは研ぎ澄まされた鋭利な刃物のよう。濁りのない澄みきった水。
特に弱音部の緊張感がたまらない。内田のピアノにつきものの、感情のこもった切迫感。
第2曲・変ホ長調は柔らかい感情で始まる。内田のピアノは前曲と一転、真綿で包み込むような温もりがある。シューベルトの音楽も本当に暖かい。穏やかな感情が静かに流れてゆく。抒情的で綺麗な旋律が印象的。
中間部で速度アップ、ピアノはメロウな響きを保って美しい。ダイナミックレンジは広がるが、フォルティシモでも激することがない。フォルテくらいの強さかな。
途中、ベートーヴェンの「運命」に似た曲想が出てくるが、このメロディがシューベルト的で実に美しい。

第3曲・ハ長調は微笑に包まれた佳曲。民謡的な舞曲から取材したのか、独特のリズムが楽しい。ユーモラスなところもある。
この曲も、内田のピアノが美しい。特に弱音部でのデリケートな響きは絶美といっていいんじゃないか。
ロマンの感情が横溢する。ゆっくりしたところでは、夜想曲風に響いてくる。
じっくり聴きたい名演と思う。

内田光子のピアノは夜に聴くのがエエかもしれません。
隠微な妖しげな夜にエエかもしれませんな。
彼女のピアノの音を聴いていて、つくづく思いました。

さて、時間もよし、ちょいと「風」になってきましょうか。

2006/09/21のBlog
爽やかな秋空の一日でありました。久しぶり、抜けるような青空。
そして見事な夕焼け。明日も天気だわい。

さて秋のブラームス。
今日は・・・。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番ニ短調 作品15。
エマニュエル・アックスのピアノ、ジェームズ・レヴァイン指揮シカゴ交響楽団の演奏。RCA原盤。

デジタル初期、デジタル最初期のCD。RCAが「RED SEAL DIGITAL」と称していた頃のもので、CD製造に気合いが入っていたのだろう、輸入盤にしては録音データが詳細を究める。
録音は1983年6月5日、シカゴのオーケストラ・ホール。1日録り。
マイクはショップス、AKG、ノイマンの3社、モニターはInfintyのスピーカーを使用しているとのこと。
アックスのピアノは、スタインウェイ(ハンブルク)のコンサート・グランド。

さて、演奏。
アックスもレヴァインも若い。そしてオーケストラはアメリカ最高の万能オケ、シカゴ響とくるので、生き生き溌剌、若きブラームスのロマンがダイレクトに伝わってくる好演となった。

レヴァインの指揮、そしてシカゴ響の伴奏が見事。巧いだけでなく、音楽のスケールが大きく、独奏者を包み込み、かつ、しっかりと支える。何とも云えぬ迫力と包容力。

アックスのピアノは凛々しく清潔。スタインウェイの豪快な音を生かしきって、音色や響きは光彩陸離たるもので、素晴らしい演奏。
低音の重厚さはいかにもブラームス的だし、柔らかいパッセージでの高音は、青年ブラームスの情熱を描き出して余すところがない。

第1楽章の激情的な表現も立派で素晴らしいが、第2楽章のモノローグ的静謐さが特にイイ。
ゆっくりと、情熱的にアックスが弾けば、レヴァイン/シカゴ響が優しく包み込む。
さすがレヴァインは歌劇場の指揮者、協奏曲での呼吸の合わせ方など上手いもんだ。ジャケットを見てもレヴァインは相当若いが、なに、栴檀は双葉より芳しってことか。

終楽章のソロとオケが一体となってつくり出す響きは、まさに浪漫的。ブラームスがもともとそう書いているとはいえ、音の充実が半端じゃない。

録音も今聴いても十分に良好。
RCAの気合いの入った録音が聴けます。
さて、この好演盤、国内では廃盤だろうと思っていたら、この春、1200円盤で復活したようです。メデタシメデタシ・・・・・。
2006/09/20のBlog
新居浜のタワーレコードに立ち寄る機会があったので、巷間話題のラトルの新譜を買ってきた。
ホルストの組曲「惑星」作品32。
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの演奏。
2006年3月16~18日、ベルリン、フィルハーモニーでの録音、コリン・マシューズの「冥王星」付きのCD。
ベルリン・フィルの「惑星」はカラヤン、C・デイヴィス以来かな。

第1曲「火星」は独特の緊張感を孕んで進行する。音圧が強く、最新録音の威力を見せつける大管弦楽。金管の迫力は特筆もの。テンポは速く、颯爽とした感じもする。

「金星」はピアニシモが繊細で美しさの限り。
録音も良好。EMIの録音は、我が家では大きめのボリュームで聴くとイイようだ。コンサート・プレゼンスを重視した録り方なので、再生音が大きい方がホール全体の雰囲気が出てきてよろしい。
この「金星」の弱音部の表現、録音の良さが光る。ソロ・ヴァイオリンもとても綺麗。アンサンブルの中によく溶け込んで、デリケートな響きを聴かせる。木管の美しさも格別で、さすがBPOと云うべきか。
それは「水星」でも同じ、これだけ巧いオケだと、このスケルツォ的な楽章も、オケの各奏者のプレイを楽しむのに格好だ。

そして「木星」。
ラトルはあまり音楽を肥大させず、等身大の再現を心がけているよう。
スケールを大きくしない。楽譜のままに、純音楽的な再現を目指しているのだろう。中間部の旋律の処理はとても美しいが、あまりテンポを落とさないで淡々と演奏している感もあり。ボクは、じっくり歌い上げる「木星」が好きなので、ちょいとはぐらかされた感じ。でも、ラトルだもんね、いかにもここはサラッと行きそうな指揮者ではあるわいなぁ。その点では予想通りと云うべきかもしれない。

「土星」以降もスマートな音楽づくり。若々しく凛々しい感触が快い。
「天王星」は妖しげな雰囲気がよく出ているし、「海王星」の神秘的な表情も見事なものだ。

コリン・マシューズの「冥王星」はあまりピンと来ませんでした。
もう何作もこの「冥王星」を加えたCDが出てます。
面白いとは思いますが、う~む、それ以上の感動はボクにはないようです。

ラトルがデビューした頃にボクはクラシック音楽を聴き始めました。
その頃フィルハーモニア管と録音した「惑星」も持ってます。
今回、BPOの演奏はそれに比べるとスッキリと美しくエレガントなものになってます。
旧盤がゴツゴツした迫力があるのに対して、こちら新譜はツルンと滑らかな美肌という感じでしょうか。
2006/09/19のBlog
台風一過の秋空が広がりました。
吹き返しの風は強かったんですが、爽やかな秋の一日でした。

さて、今日はマーラーの交響曲第4番ト長調。

ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。
ソプラノ独唱はマクダレーナ・ハヨーショヴァー。
1980年、プラハは芸術家の家でのアナログ録音。スプラフォン原盤。
購入したのは1988年、2500円の廉価盤。1980年代は3500円が国内盤CDの標準的な価格であったから、2500円でも十分に廉価盤だった。懐かしい話でありますな。

第1楽章は、「ゆっくりと」という指定のとおり、親しみやすい旋律がゆったりと歌われる。心洗われるような歌わせ方で、フレーズの引っ張りが長いのだが、あざとさやイヤらしさがない。音を伸ばしても粘着質にならず、ソーダ水のような清涼感になるのが、ノイマンのマーラーのエエところ。
楽章半ば、フルートのユニゾンが、高原を吹き抜ける風のように響くところなど最高の出来。
オケは味わい深い響きをつくり出しているが、金管がやや弱いかな。でも全体的には落ち着いたエエ音がするのは、いわば「ヘタウマ」的な巧さ。

第2楽章は、中庸のテンポで心地よい進行。スピーカーの中央最奥部で、ホルンが終始イイ味を出している。慎み深く、特に包み込むように、実にイイ音で鳴らしている。
木管群も総じて好調で、アンサンブルも美しい。
ソロ・ヴァイオリンはもう少し妖しくてもいいんじゃないかと思うくらい、この演奏は端正でサッパリしている。
チェコ・フィルの音は、マーラー特有のコテコテした音には背を向け、響きの清涼感を大切にした感じの弾き方。透明度の高いマーラーだと思う。

第3楽章は、ゆったりと遅いテンポで美しい弦楽合奏が続く。チェコ・フィルの済んだストリングス、まさに独壇場。アンサンブルは綺麗だし、響きの美しさは感動的。特にチェロは絶品の美しさ。
木管の繊細さは感傷的でさえある。

終楽章のソプラノ、ハヨーショヴァーはチェコの名花、素晴らしいリリコ・スピント。若々しく凛とした歌唱が実にイイ。芯も強い。
遅いところでふくよかで柔らかな歌唱、急速なところでは激しく迫力ある強靱な歌い方。使い分けが見事で引き込まれてしまう。
オケも好演。ハヨーショヴァーの歌を慎ましく上品に支えてゆく。

録音は1980年、さすがに古びてきました。
フォルティシモで弦楽がザラつくのは録音のせいなのか、この時期のチェコ・フィルが不調だったのか・・・・少し惜しいです。

スプラフォンに録れたノイマンのマーラーは、復活とこの4番を持ってます。
今、全集が廉価盤で出てますね。欲しいなぁ。
ダブリ買い承知で買おうかなぁ、どうしようかなぁ。
でも、「結局買ってしまうのなら、今買おうが後で買おうが、同じことやん」・・・・もう一人の自分が誘惑します。ガハハ。
2006/09/18のBlog
台風の中の休日、雨戸を閉め切って静かに音楽三昧であります。
久しぶりにLPを何枚も取り出しては聴いておりました。

LPの音は柔らかい。暖かい。包み込まれるような温もりがある。
今日は懐かしいLPでモーツァルトのオペラを。

モーツァルト作曲、歌劇「魔笛」K.620。
コリン・デイヴィス指揮ドレスデン・シュターツカペレ、ライプツィヒ放送合唱団の演奏。
1984年1月、ドレスデンのルカ教会での録音。
キャストはなかなか充実したメンバー。

ペーター・シュライアー(タミーノ)、マーガレット・プライス(パミーナ)、クルト・モル(ザラストロ)、ミカエル・メルビエ(パパゲーノ)、ルチアーナ・セルラ(夜の女王)、テオ・アダム(弁者)など。

序曲、あの有名な冒頭の部分が響いた瞬間に、ドレスデン・シュターツカペレの音の魅力に引き込まれてしまう。
ああ、SKD。なんとふくよかで、まろやかで、暖かく柔らかい音。楽器が程良くブレンドされた響き・・・まさに熟成された極上の響きであって、これに身を浸す快感で一杯になる。
全く、LP向きのオーケストラだと思う。派手なところがないのだが、落ち着いてじっくり味わうのに向いている楽団。何度でも繰り返して聴きたくなる。スルメのようなもので、聴けば聴くほど深まってゆく感銘。

歌手もよろしい。
ボクは「魔笛」をCDで聴くならハイティンク/バイエルン放送響盤が最高と思っているのだが(グルベローヴァにルチア・ポップの女声が最強だから)、オケと男声陣はデイヴィス盤が上回るかもしれない。(ハイティンク盤はパパゲーノが真面目すぎて面白くない)

まずメルビエのパパゲーノが良い。ユーモアがあって、お茶目で、でも実はマジメで小心者の鳥刺し。人間誰しも持っている、見栄と臆病とが同居した見事な歌唱だと思う。

パミーナのマーガレット・プライスも巧い。この頃、彼女はクライバーの「トリスタンとイゾルデ」でも主役を歌って好調だった。貫禄の歌唱だが、もう少し可憐さが欲しいかな。

シュライアーの高貴なタミーノ。
清潔で若々しく、しかも誠実で芯の強い王子を好演。ああ、話題のハンカチ王子のイメージか?(^^ゞ

ルチアーナ・セルラは、これがレコード・デビュー盤だった。清潔な歌いぶりで、蒼い色香が漂う。高音部で、スタッカートで歌うところはもう少し伸びやかにやってほしいところだが、全体的には巧いもんだなぁと思う。

クルト・モルやテオ・アダムはもう重厚充実で、盤石の歌唱。


音楽は全編にわたって、しなやかで奥行きがあるもの。
オケの響きが最高なので、いまだにCDで買い直す気になれません。
実にエエ音がします。

CDではセリフをカットして、2枚組廉価盤DUOシリーズで出ているようです。取り敢えず所持しておこうかな。
2006/09/17のBlog
今日はヴァイオリン独奏曲を。

J・S・バッハの無伴奏ヴァイオリンためのパルティータ第3番ホ長調 BWV1006。
ヘンリク・シェリングの独奏。
1967年録音、DG盤の2枚組。

シェリングのヴァイオリンは端正でノーブル。
温かい人柄で、人をホッとさせるような相好なのだが、内実は常に真剣で求道的。真実を求めようとする誠実さにあふれている・・・・・・彼のヴァイオリンを聴くたびにそう思う。

バッハの無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータ集は、そんなシェリングの代表盤だろう。
それぞれの曲の個性を描き分けてゆく技量の見事さは云うまでもないし、聴き手の精神を純化させてゆくような演奏は全く素晴らしいと思う。
バッハの曲そのものも、聴き手が襟を正してしまいそうな峻厳さに満ちているのだが、やはりシェリングの演奏態度が聴き手に伝わって、精神を研ぎ澄まされてしまうのではないか・・・と思う。

このパルティータ第3番は、明るい曲調なのだが、シェリングの真摯な想いがビンビン伝わってくる。

美しくしなやかで、どこまでも伸びてゆく美音。そして、その美しさは奏者の思慮の深さに支えられているような。

夜中にゴソゴソ聴いていると、音量をしぼっているのにもかかわらず、しみじみと心に染みいってくる。
ふだんあまり考えない、人生のこと、宗教のこと、文化のこと・・・・形而上学的なものを想起させてくれるバッハの名品。それを、シェリングは美しく誠実に弾ききる。

聴き慣れた楽しいガボットの中にも、その誠実さが込められている。何と懸命で、マジメで、敬虔な態度の演奏だろう。

日常に埋没してしまいがちな今日このごろ、時にはこういう曲・こういう演奏を聴いて、心の中を洗濯したいものであります。


三連休、近所の西条ひうち球場で、高校野球秋季大会が始まりました。
台風の影響で心配されましたが、なんとか今日は試合が出来たようです。
夏が終わったと思ったら、早くも来春のセンバツ甲子園を目指す高校生の、元気な声。
気持ちいいものです。
2006/09/16のBlog
爽快な秋の一日でありました。陽射しも風も、久しぶりにサラッと肌に心地よく、こういう日は仕事をしていても気分がエエんですな。
ただ、週末三連休は台風接近でまたも雨模様。
う~む・・・・・。

で、今日は、気持ちの良い管弦楽を。

リヒャルト・シュトラウス作曲 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏。
1973年の録音。DGから出ているカラヤン名演集2枚組からの1曲。

カラヤンとR・シュトラウスの相性の良さは、今さらクドクドと書くこともないだろう。「英雄の生涯」やアルプス交響曲などは、まさに「はまり役」であってゴージャスなオーケストラ音楽を満喫できる。音響効果抜群、オケは巧すぎ、演出は巧み・・・歌舞伎十八番ではないが、聴いていて「いよっ!」とかけ声を発したくなるくらい。

この「ティル・オイレンシュピーゲル」も大変な名演なんじゃないかと思う。
特に1970年代のベルリン・フィルの絶好調の様子がよく分かる。昔懐かしい伝統のドイツの音・重厚な響きではなく、カラヤン好みのちょっと軽めで鏡面のように磨き上げられた響きになっているのだが、それが媚薬のように、麻薬のように愉悦をもたらす。
(ボクは麻薬も媚薬も嗜んだことはないんですがね・・・でもきっとそんな感じなんです)

アンサンブルは強固でオケの厚みも十分。大音量で聴くと、カッと燃えるような音がスピーカーから流れてくる。
ホルンの活躍がめざましい。完璧な技巧と甘い響きがたまならい。特に、やるせないほど情感漂う音色になる。見事だと思う。
ビオラやチェロのアンサンブルも、よく聴いていると、しっかりきっちりやっている。重厚とは云えないが、確かな低音が響いて好ましい。
木管のユーモラスな動きはこの曲の特徴だが、カラヤンが振ると、ソロが羽目を外しすぎず、筋書きにそって着実に吹いている感じがする。

ストリングスは色気タップリ。明るくブリリアントな音色で楽しませてくれる。時に、ヴァイオリンの響きがネットリと艶やかになって、エロティックでさえある。高級クラブのマダムの色香のような(そういうところにボクはふだん出入りしているのではないが(^^ゞ)、そんな雰囲気が漂う。そこがまたR・シュトラウスとカラヤンの相性の良さだろうと思うのだが。

キラキラと光り輝く、豪華絢爛で贅沢な演奏。爛熟したヨーロッパ文明の響き。オケの機能も全開で、これはやはり名盤、名演奏と云うべきなんだろうな。
録音も良好。
エエ音で聴けます。
2006/09/15のBlog
散髪しました。

「髪型が変わりましたね。秋風によく似合いますね」

・・・・・とはだれも言ってくれませんが、コバルトの季節の中で沢田研二ならぬショパンをワタクシは聴いております。
(この文言は、オジサン・オバサンでなくちゃ分からぬか(^^ゞ)

今日はショパンのスケルツォ集であります。
アルトゥール・ルービンシュタインのピアノ独奏。
1959年5月の録音。RCA原盤。

これ、ルービンシュタインのショパンBOX11枚組の1枚。激安廉価盤で、5000円を切った価格で購入したんだと思う。ルービンシュタインの録音したショパンをほぼ網羅しており、「ピアノ王様」と称された彼のピアニズムを十分に味わえる逸品。

ただ、録音が今となっては寂しい感じもする。約50年前のステレオ初期の録音だから仕方ないかとも思うが、出来の良いマスタリングのCDで聴くと、初期の頃の方が音がイイという評も聞くので、さあ、このBOXのリマスターがイマイチなのかもしれない。
微温的なショパンに聞こえるところは、その録音のせいかもしれない。

演奏はもう素晴らしいの一言であって、人生の快楽を窮め尽くし、芸術の奥義に到達しえたルービンシュタインの、まさに王道のショパンが味わえる。

堂々として大らか、健康的な感じはいつものルービンシュタインなのだが、このスケルツォ集は、劇的で緊張感に富んだ曲想もあって、迫力十分のピアノになっている。ボリュームを少し上げて聴くと、緊迫感がヒシヒシと伝わってくる。
ダイナミック・レンジが広いので、夜中にヒソヒソ聴くのではなく(前奏曲やワルツ、夜想曲は夜中にモゾモゾ聴くのがエエもんなんだが)、豪快にステレオを鳴らして聴きたい。
ピアノの一音一音が粒立ちよく、過不足なくなっているのが分かる。グランドマナーも素晴らしく、「王様」のピアノだなぁと思う。
これで、もう少しクリアな録音だったらと、返す返すも惜しい。

4曲の中で良いのはまず第2番。
超有名曲だが、やはりルービンシュタインのピアノは格別。目眩く音色の変化が楽しめるし、技巧もスゴイ。録音当時73歳とは思えない、血気盛んで溌剌としたピアニズム。

3番もイイ。胸の奥を抉るような暗いトーンもあれば、哀しみの影が走り去るようなピアニシモの美しさもある。独特の味わい。

ああ、ルービンシュタインはいつも若者でありました。
とても老人のショパンじゃありません。
永遠の青年であります。
2006/09/14のBlog
ぐずつく天気が一週間になりました。
ここのところ、しばらく太陽を見ていません。いやはや、涼しいのはイイんですが、家人は洗濯物に困っております。

さて、今日はマーラーの交響曲第9番ニ長調。大曲であります。

ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団の演奏。
1967年の録音。DGのクーベリック/バイエルン放送響のマーラー全集の1枚。

クーベリックのマーラーはボヘミアの香りが漂う。
そして、故郷への郷愁を誘うようなマーラー。
クーベリックのマーラーを聴くと、ボクはいつも故郷の武蔵野の台地が懐かしくなる。

最近のマーラー演奏は(特に1980年代のマーラー・ブーム以降は)、高度に発達した工業都市というか、、高層ビルディングが建ち並ぶ大都会というか・・・・そんなマーラーが多いように思う。
それはそれで美しいし、カッコイイのだが、時には、故郷の草むらの匂いのようなマーラーを聴きたくなる。
それがクーベリック盤。

彼のマーラー演奏には、独特のしなやかさとともに、静かな感傷が流れて、人間とは本来弱いものだという暖かな眼差しがある。
そこがイイ。

この9番もそう。
聴き終えたあとの、しみじみと湧き上がってくる感動は格別。
ああ、イイ演奏を聴いたなぁ、暖かいマーラーだったなぁ・・・そう思う。


さて、演奏であります。

ヴァイオリンの両翼配置が効果抜群。この交響曲第9番は第1と第2のヴァイオリンのやり取りを聴くのが楽しい。

録音は今から40年も前のものとは思えない鮮明さ。

アンサンブルは極上。バイエルン放送響の技量抜群。お互いによく聴き合って、暖かい合奏(決して冷たくないですな)。音色も明るい、暖色系の聴きやすさ。

第2・3楽章ではグロテスクなところを強調しすぎることなく、形良く収めている。活躍するホルンは見事な演奏。

終楽章は速めのテンポだと思うが、だからこそ、情に溺れず、惻々とした想いが迫ってくる素晴らしさ。

ああ、クーベリック。
今日も感動でありました。
2006/09/13のBlog
今日は、秋になると聴きたくなる曲です。
モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調 K488。
第2楽章がとりわけ素晴らしく、しっとりとした季節によく合います。
もちろん、第1楽章の推進力、第3楽章の愉悦に満ちた音楽も楽しい・・・・ホンマに名曲やなぁと思います。

今日は、フリードリヒ・グルダのピアノ、ニコラス・アーノンクール指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏で。
1983年の録音、TELDEC盤。

第1楽章の序奏部、ピアノの独奏登場まで待てないグルダが、一緒に弾いている。初めて聴いたときはビックリした。別の編曲版かと思ったくらい。でも、面白い。アーノンクールとの呼吸もピタリ。
アーノンクール独特の性急さやアーティキュレーションは影を潜め、グルダに寄りそっている。と云うより、二人の目指す方向が同じで、二人の傑物が好きなように弾いたり振ったりしているうちに、協奏曲として合ってしまった・・・・そんな感じの面白さ。

グルダのピアノは天馬空を行く快演。自由闊達で、屈託がない。実に気持ちよく弾いている感じ。目眩くようなピアニズムの快感を味わえる。

音も良い。突き抜けるような透明感・・・にもかかわらず少しも冷たくならないピアノ。しかもエッジが少し丸く、柔らかい。
ベーゼンドルファーの深々とした音色が素晴らしいし、しなやかで時にくすんだ感じがあるのも良い。

第2楽章は秋の物思い。
グルダらしい装飾音もあり、オケと一緒になっての通奏低音風のところもあり、聴きどころ満載。
グルダもアーノンクールもいろいろなことをしているのだが、それでもちゃんとモーツァルトになってしまう。モーツァルトの懐の深さよ。
グルダのピアノは、大変美しい。冴え冴えとした秋の空を思わせる美しさ。すがすがしく、また聴き手を陶然とさせる。

終楽章の精気。みなぎる生命力。愉悦に満ちたピアノ、そして管弦楽。
グルダもアーノンクールも、ホンマに楽しそうに演奏している。
コンセルトヘボウ管の音がまた泣かせるくらいにエエんですな。
ああ、モーツァルト。
何でこんなに綺麗な曲を書けたんだろう・・・と思ってしまう、これは名演。


録音から23年。購入して20年。
幾星霜の年月が流れ、今やこれ、1000円盤であります。
まだお持ちでない方、迷わず買うべし、であります。
カップリングの26番「戴冠式」もさらに楽しく美しい名演奏ですしね。