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クラシック音楽のひとりごと
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2006/10/30のBlog
晩秋のワーグナー特集です・・・いやいや、特集なんてものではなくて、ワーグナーの毒に当たるとついつい聴き続けてしまうだけのことです。
ホンマ、この作曲家は麻薬的な人でありますな。

Niklaus Vogelさんからいただいたコメントで、「リエンツィ序曲」が話題になりました。
そういえば、「リエンツィ」全曲はホルライザーが指揮したドレスデン・シュターツカペレ盤があったが、最近、見かけないぞい。
序曲も、様々なワーグナー管弦楽曲集があるけれど、フィルアップしている盤があまりないような気もする・・・・。

ゴソゴソ探した末に見つけたのは、テンシュテット盤。
これはromaniさんにご紹介いただいたCDでありまして、昨年購入したもの。録音も良く、さすがライヴで燃えるテンシュテットらしい演奏であって、胸が熱くなります。

というわけで、今日はワーグナーの「リエンツィ」序曲。
クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィルの演奏。
1988年5月6日、ロイヤル・フェスティバルホールでの録音。
(他の収録曲も素晴らしい演奏なので、是非、romaniさんのエントリーをご覧下さい

さて、この演奏、テンシュテットの深々としたフレージングと燃え上がるような情熱が聴くものを圧倒する。テンポは、実演だけに伸縮自在な感じ、徐々に演奏が熱くなってゆく様子が分かる。

低弦の響きが重厚で、包み込むような柔らかさ。
トランペットのソロはせっぱ詰まったような緊張感にあふれているし、4本のトランペットのアンサンブルも上手い。
ロンドン・フィルは、生き生きしている。オケ全体がヤル気に満ちていて、ヴァイオリン群など必死に弾いているのが分かる。汗が飛び散りそうな熱演。
リエンツィの雄叫び「聖なる魂の騎士」や、二重唱「慈悲への感謝の歌」のところなどは、とても美しく仕上げている。

ロンドン・フィルって、こんなに巧いオケだったかな・・・?テンシュテットと組んだマーラー全集など、オケの性能はイマイチだったように思う。響きやアンサンブルもあまり美しくなかったと思うのだが、このライヴ盤はまるで別物。素晴らしく上手い。ロンドン・フィルの実力発揮と云うところか。

終結部での壮大な盛り上がりは、いわば熱狂的な演奏。テンシュテットも精力的なら、オケも白熱。

録音もライヴのハンディを越えた素晴らしさ。
テンシュテットはベルリン・フィルとのコンビで、EMIに2枚のワーグナー管弦楽曲集(1枚は指環からの)を録音しているが、録音はイマイチだったように思う。
このCDはエエ音してます。
テンシュテットの「リエンツィ」序曲を聴くなら、こちらを採るべきでしょう。
2006/10/29のBlog
ワーグナーは中毒になります。毎日毎日聴き続けないと気が済まなくなる、麻薬のような作曲家であります。
一度はまると逃れられない・・・・いやはや媚薬のような快感があるんでしょう。
阿漕なワーグナーの浮気にズブズブとはまってしまった女性たちの気分が何となく分かるような・・・・・(分かるはずもないか(^^ゞ)・・・・。
ワーグナーの「毒」であります。

毒ついでに、今日は毒のある指揮者で。
マゼール編曲版の「ニーベルングの指環 管弦楽曲集」。

ロリン・マゼール指揮ベルリン・フィルの演奏。
1987年12月、ベルリンのフィルハーモニーでの録音。テラーク原盤。

CD1枚で「指環」のエッセンスを聴けてしまう、コレは優れものの1枚であって、演奏も実に素晴らしい。それに、マゼールが自身の編曲版のせいか、彼がいつになく真摯で一生懸命、ついでに毒を吐くのをやめて、至極まっとうに指揮をしているのがまたイイ。

録音はテラーク、これまた素晴らしい音。優秀録音で名声を博したテラークが、いよいよヨーロッパのメジャー・オーケストラと録音し始めた頃のもの。ベルリン・フィルでの録音は今も珍しいかもしれないが。
ダイナミックレンジは広大で、個々の楽器も実によく捉えられている。音場も広々としていて、左右奥行きの拡大が実に心地よい。

演奏は非の打ち所がないくらい。欲を云えば、もう少し深い息づかいが欲しいか。
(息づかいこそ、ワーグナーの根幹かもしれないのだが)
いわば、現代的な高機能のワーグナー。オケにスキがなく、指揮は完璧、アンサンブルも極上。音は美しく磨かれて、聴いていて心地よいことこの上ない。
しかも、音がとぎれることなくラストまで一気に流れてゆくマゼールの編曲が素晴らしく、滔々とした音の洪水に身を浸す快感もある。

冒頭のライン川の描写はなんと清澄なこと。
ドンナーの「雷鳴」も凄まじい迫力。だいたい、ベルリン・フィルのティンパニは迫力満点。この音こそ、ワーグナーのカミナリだと思う。

「ワルキューレの騎行」の圧倒的な音。テンポが速く、グイグイ進んでゆく。畳みかけてくるような迫力がイイ。強靱な演奏。
「森のささやき」の清々しさもベルリン・フィルならでは。涼しい風が吹いてくるよう。

四国の田舎では、晩秋の風景になりつつあります。
刈り取りも終わってすっかり黄色くなった田んぼに囲まれて聴くワーグナーも、なかなかエエもんです。
2006/10/28のBlog
今日もワーグナーを聴いています。

ワーグナーの歌劇「タンホイザー」序曲。
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏。
1978年から80年にかけて録音されたベーム/VPOのワーグナー管弦楽曲集から。
コレ、LPでは2枚分売だったものだが、CD時代になって再発編集されて、1枚もので有り難くも聴けるようになった。
ジャケットのワーグナーの横顔が気に入っております。ワーグナーは悪漢だけれど(流行の「チョイわるオヤジ」どころではない、大ワルなオヤジだ)、この顔はイイなぁと思う。作曲家の顔だな。

ワーグナーの書いた序曲は、彼の歌劇・楽劇のエッセンス。
ボクは初めオペラが好きではなかったので(日本人には言葉の障害が大きい。何を言っているか分からないと、聴くのが辛かったものだ・・・)、ワーグナーは管弦楽作曲家だった。
素晴らしい序曲・前奏曲の数々。オケも良く鳴るし、聴き終えた後、爽快なカタルシスを味わえる。「タンホイザー」序曲や、「マイスタージンガー」前奏曲など、最高の管弦楽だと思う。そして何より、これらの序曲を沢山聴いたおかげで、ワーグナーの歌劇を聴くことに抵抗感がなくなった。だって、序曲の中の旋律(動機というべきか)が頻出するから。聴きながら「ココも序曲にあった、あそこも序曲の一節だ」などと思っているうちに、ワーグナーの楽劇を「聴く」のが楽しくなった。
(オペラは本来「観る」ものなのだろうが、「聴く」だけでも結構楽しい。長旅で聴くオペラはエエもんです。)

さて、ベームの「タンホイザー」序曲。

ベームのテンポはやや遅め。ゆったりと開始される。
冒頭の管楽器のアンサンブルの味わいは格別で、しっとりと濡れたような聴感が心地よい。ウィーン・フィルらしい音と云うべきだろうか。
ストリングスも綺麗。美麗。
輝かしく張りがあって、色気さえ漂う。キラキラと艶やかに輝く一瞬があって、ドキドキするほど。
「巡礼の合唱」のところでの盛り上がりは感動的。
ヴァイオリンのソロやクラリネットのソロなども、デリカシーに富んでいて美しいことこの上なし。このあたりは、ベームの指揮というより、ウィーン・フィルの個性が際だって、そこが素晴らしいのだろうと思う。

録音が残念。
オンマイク気味で残響に乏しく、空間的な広がりにやや欠けているようです。
音楽は素晴らしいのに、録音のスケール感が不足しているんです。
惜しいなぁ。ひょっとして、CDへのリマスタリングに失敗しているのかな。

2006/10/27のBlog
昨日からワーグナーづいています。
秋の夜長にワーグナーの楽劇を・・・・・と云いたいところですが、ここのところ帰宅が遅いので、せいぜいクラシック音楽を聴けるのは1時間くらい。
これじゃ、ワーグナーは聴けません。

そういうときに、ハイライト盤はエエですね。
今日取り出したのは、ユニヴァーサルから出ているPANORAMAシリーズ2枚組のワーグナー。
PANORAMAシリーズは、国内発売当初2000円だったのが、今は1500円に値下げされて、1枚あたりの単価は750円。多分、国内盤としては最安部類だと思うのだが、コレものすごくお買い得。(別にワタシはユニヴァーサルの回し者ではないが)
ラフマニノフやチャイコフスキーにはリヒテルの協奏曲が入っているし、ベートーヴェンに至ってはバーンスタインの第九やミサ・ソレムニスという、LP時代を懐かしむ世代にとっては涙が零れるような名盤が1枚750円。オペラのハイライトものも、良い演奏が目白押し。ついつい買っちゃう(^^ゞ。

さて、その中から「ワーグナー オペラ名場面集」を取り出して聴いたのは「ローエングリン」。

ワーグナーの歌劇「ローエングリン」から。
クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィル、同合唱団の演奏。
1991年11月のライヴ録音。
アバドのワーグナーは新しいと思っていたが、すでに15年前のものになったか。

第1幕への前奏曲。
精妙きわまりない演奏。ライヴなのに極めて精密。そして、静謐清浄な弦楽合奏。水面がキラキラ光るような響き。しかも瑞々しく清涼。ああ、エエ音やなぁ。こんな綺麗な音楽を、あの悪漢ワーグナーが書いたのかと思うと、芸術の魔性にゾッとする。
中盤で徐々にクレッシェンドしてゆくところ、キラキラした音楽に色彩が加わって、虹色に変化してゆくのも、実に素晴らしい。
アバドの指揮は優等生的で(と云うより、アバドはエリート、俊才、優等生そのものか)、ワーグナーの毒とか陰影とか淫靡なところとは無縁な感じなのだが、これだけ精密な演奏で聴くのも、悪くない。

「エルザの夢」。ソプラノはチェリル・スチューダー。透明感があってイイ声。あの頃彼女は絶好調だったなぁ。(今はどうしているのかな)

「婚礼の合唱」は聴き慣れた曲だが、アバド/VPOの演奏はとても新鮮。爽やかで涼やか、良い演奏だと思う。これはやはり名曲やなぁ。オケの音も素晴らしいし、合唱も上手。

「遙かな国に」を歌うのはタイトルロール、ジークフリート・イェルザレム。彼の歌唱は気品があってボクは好き。聖杯の王の息子にして白鳥の騎士。胸のすくような歌唱。

以上21分。
ハイライトの中のハイライトだと思うんですが、慌ただしい中で「ローエングリン」を「ちょい聴き」してしまいました。(少し罪悪感あり(^^ゞ)
この後、シノーポリの「タンホイザー」、ヨッフムの「マイスタージンガー」が続きます。
2006/10/26のBlog
秋の夜長はオペラがエエですね。
ひところ、オペラに凝った時期がありました。CDが出始めた頃です。
LPに比べて、扱いが便利で枚数が少ないCDのオペラ組物を買うたびに、CD時代の恩恵を感じておりました。
ただし、価格はベラボウでしたが(^^ゞ。

この頃、オペラをゆっくり聴く時間が取れずに、また聴いていても途中で飽きてしまうので、「つまみ聴き」ばかり。アカンなぁ・・・・久しぶりに取り出してみるか。

そこで、今日はワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲。
(前奏曲で止まってしまいました・・・・・(^^ゞ)

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。
1970年11月~12月、ドレスデンのルカ教会での録音。EMI原盤。
カラヤンにはEMIに「ワーグナー管弦楽曲集」があって、それも素晴らしい演奏なのだが、「マイスタージンガー」前奏曲だけは、こちら全曲盤の演奏の方が気に入っている。

オケがドレスデン・シュターツカペレだから。

何ともふっくらした柔らかい響き。大きな翼を広げた鳥の羽毛、これに包まれたような錯覚に陥るほど心地よい柔らかさ。穏やかで心地よい、そして素朴さを併せもつこのオケの響きは、ワーグナーにまこと相応しいと思う。

カラヤンの指揮は精力的で精密を極めている感じなのだが、ドレスデン・シュターツカペレが、その鋭さを、優しくまろやかな演奏にしてしまう。そこがイイ。

テンポは速めで、もう少し遅めの方がスケールが大きくなって良いのにと思うのだが、これこそカラヤンのテンポでもある。しかも細部まで磨き上げて、全く美麗なワーグナー。中世の歌合戦の素朴さと云うより、近代建築のスマートさ。

これから始まる楽劇への期待でワクワクさせてくれる名演。
木管のアンサンブルは実に見事で、音色も美しい。
渋い金管もイイ。キラキラ脂ぎっていない、黒光りするような、ややくすんだ音が何しろ上品で、上質の漆器を見ているような感じ。
終結部の盛り上がりも見事で、豪壮豪快、これぞワーグナーと言いたくなる。

そして第1幕へ。合唱の開始。
素晴らしい合唱。聴いているこちらが敬虔な気持ちになってしまう。
この響き、この歌。
しかもオケは天下の銘器。
しばらく、このまま聴き続けましょう。
2006/10/25のBlog
今日はモーツァルトのピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503。

ダニエル・バレンボイムのピアノ独奏、オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管の演奏。
1967年3月の録音。EMI原盤だが、フィリップスの「20世紀の偉大なるピアニスト」2枚組シリーズの1枚。

これは、職場の同僚で盤鬼・盤友から一聴を勧められた1枚。「とにかくスゴイから聴け」と。どうも、後年のバレンボイムの弾き振り、イギリス室内管盤やベルリン・フィル盤より「比べもんにならん。はるかにエエぞ」とのことらしい。
なるほど、では聴いてみようかと・・・・・。

第1楽章・・・・
ああ、クレンペラーの伴奏!
速い、冷たい、素っ気ない。
細かなところにはこだわらず、サッサと進んでしまう。

しかし、音楽の運びは雄大。後方で力強く鳴らすティンパニなど、押し出し十分。アクセントの付け方や、強弱のコントラストはクレンペラーそのもの。巨大な伴奏であって、じっくり聴いていると巨像のような重厚さ。
テンポは速い。速いのにスケールが大きく重厚という不思議さ。
(ふつうは、ゆっくりテンポを落とすことでスケールを獲得するのに、クレンペラーは別格か・・・・)

バレンボイムのピアノは、若々しく溌剌としている。音色も綺麗。響きが混濁しないことでは、この人は無類のピアニストだなぁと思う。
カデンツァはバレンボイムの自作。センスあふれる佳品。

バレンボイムは1942年生まれ。この時わずか24歳。若い才能が巨人(巨像か)指揮者の作り出す大きな音楽の中で、跳ねるように振る舞う。
この若々しい躍動感が素晴らしい。

第2楽章アンダンテも独特のクレンペラー節。テンポは適度に伸縮して面白い。ピアニストに合わせてやるというより、ピアニストがクレンペラーの作り出す音楽の後をついて行く感じ。
オケのアンサンブルは今一歩。ピッチが不揃いなところも散見されるし、管楽器はもう少しファイト!という感じ。ただ、ピアニストとの呼吸はよく合っている。

終楽章はアレグレット。
バレンボイムのピアノは闊達そのもの。ニュー・フィルハーモニア管もこの楽章は好調、ソロと一体化した見事な伴奏を聴かせる。

なるほど、わが盤友が推奨するとおり、スケールの大きなハ長調協奏曲でありました。
特に曲のギャラントな雰囲気が、クレンペラーのスケール感にマッチしているように思いました。

録音は残念ながら、EMIの古さ・かさつきが惜しいです。
でも、鑑賞には十分でしょう。

実はこのCD、バルビローリとの共演でブラームスの1番協奏曲も聴けます。
これがまた泣けるんだなぁ・・・・。バルビローリだから。
2006/10/24のBlog
久しぶりの同期会。
青春の日々が蘇りました。
自分のルーツを確認できたような気分でした。

そこで今日は青春の交響曲を。

マーラーの交響曲第1番ニ長調「巨人」(花の章つき)。
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管の演奏。
1969年5月21日、フィラデルフィアのアカデミー・オブ・ミュージックでの録音。

フィラデルフィア管の鮮やかなサウンドが堪能できる一枚。
オーマンディは深刻ぶったところがなく、楷書で明晰、分かりやすいマーラーをつくってゆく。オケの豊麗な音が、その明るさを強めている感じ。
1番交響曲を「マーラーのウェルテル」と云ったのはワルターだったが、オーマンディの演奏は、ウェルテルの悩みを突き抜けた青年の、屈託ないマーラー。
聴いていて楽しい。心地よい。
しかも、「花の章」つき。

その「花の章」は、朗々たるトランペットが全く美しい。惚れ惚れする。
吹くのは、フィラデルフィア管の名首席奏者ギルバート・ジョンソン。
巧いなぁ。ウットリするなぁ。こんなに吹けたら、さぞや気持ちいいだろうなぁ。

この「巨人」、全編ゴージャスな音の饗宴なのだが、特に第1楽章や「花の章」は豊麗でなタップリと脂ののったステーキのような魅力あふれるサウンドが炸裂する。

第3楽章もそう。悲しい旋律のはずが、明るく爽やかに響く。
第4楽章は、どんな大音量になっても音が崩れず、混濁せず、気持ち良く鳴り渡る。

オケは自発性に富んでいて、オーマンディは指揮しているのかどうか分からないほど。個々の奏者が気分良く演奏しているのだろうと思うが、だからこそ、ゴージャスなサウンドが生まれるのだろう。

1969年の録音と云うことは、もう40年近く前のもの・・・・・・とはとても思えない鮮烈な音。RCAの録音スタッフが優秀なのだろうが、そもそもオーケストラの音が素晴らしいから、録音の出来が良く聞こえるのかもしれない。

やや微温的なんでしょうが、こんなマーラーもエエもんです。


20年ぶりに再会した友人たち。
しかし、一目でそれと分かりました。
みんな変わっていないな。
いや、変わっているんだけれど、根っこの部分が変わっていない。
こんなイイ奴らとオレは青春を過ごしたのかと、気持ちいい邂逅でありました。
2006/10/21のBlog
今日は大名曲いきます。

ベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調「英雄」。
ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィルの演奏。
1971年の録音。DG盤。
クーベリックが9つのオーケストラと録音したベートーヴェン全集からの1枚。

どっしりした、重厚で風格豊かな演奏。
テンポはゆったりとしてやや遅め、堂々と歩んでゆく英雄。

ベルリン・フィルのヤル気が伝わってくる。これは、このコンビでのドヴォルザークで感じたことだが、ベルリン・フィルはクーベリックとやる時は、カラヤンの時の澄まし顔の技術者集団ではなく、額に汗して熱気にあふれる演奏を展開する。
そこが、イイ。

ホルンを初めとして、金管群の音色が特に良い。コクがあって、しかし派手にならずに質実剛健、素朴で真摯な音として飛び込んでくる。

第2楽章など、哀しみが惻々と伝わってきて、しかも遅いテンポなので、涙を誘われる。「死んだらこの曲を流してほしい」という人が多いのもうなずける。クーベリックのじっくりと歌い込む指揮が感動的。

フィナーレの変奏曲も素晴らしい。クーベリックの緩急の見事な処理で、感動的な締めくくり。オケもどんどん盛り上がってゆく。演奏しているのが見えるような、そして気持ち良く演奏しているのが伝わってくる。オケも巧い。

録音はもう一歩。さすがに古びた。
ティンパニがよく叩いているのに、音がこもり気味。もう少し分離してくれると鮮やかな演奏になり得たのに。
1970年代初頭のDG録音の限界かな。他の楽器の響きは良いだけに、ちとティンパニが惜しい。

「英雄」とはよく云ったもので、この曲はホンマに勇壮な推進力に満ちていて、聴いていると勇気がわいてきます。
すれっからしの中年オヤジのワタクシでも、元気出ます。
名曲とは、聴き手の気分を前向きにさせますな。
ああ、今日もエエ一日でありました。

ところで、本日、家内とともに帰省します。狭山丘陵に帰ります。
日曜日に大学の同期と集まるのです。
ホームカミングデーに行ってきます。懐かしい友人たちとの再会です。
楽しみです。ソフトボール部の盟友たち、どこまで変わっているかな?
女の子たちは(もう「子」じゃないか・・・(^^ゞ)、どう変わっているのかな?
というわけで、「クラシック音楽のひとりごと」はちょいとお休みです。
2006/10/20のBlog
秋の日の ヴィオロンの ため息の
身にしみて ひたぶるに うらがなし


ああ、秋の日にはヴァイオリンを聴きたくなる・・・・・。

今日はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64。
シェロモ・ミンツのヴァイオリン独奏、クラウディオ・アバド指揮シカゴ交響楽団の演奏。
1980年2月、シカゴのオーケストラホールでの録音。DG盤。

作曲家のメンデルスゾーンはこの時35歳。ロマンの香りが漂う、これは名品であって、高貴な婦人の艶やかなドレス姿を思わせる気品が素晴らしい。
録音当時、ミンツは23歳。デビュー間もない頃の演奏。そのメンデルスゾーンの香気あふれるロマンを見事に表出したものと思う。

第1楽章から、ミンツの若さに満ちたヴァイオリンがイイ。勢いが良く、全くフレッシュなヴァイオリン。ピアニシモの美しさがもう一息かなと思うが、アバド/CSOのバックが美しすぎるから、そう思うのかもしれない。(それほど、伴奏が素晴らしい)
カデンツァは聴きごたえ十分。何しろ美音、録音もアナログらしい大らかで柔らかい音、で実にイイ。ノーブルな名演と思う。全体的にテンポもゆったりで、味わい深い。

第2楽章の抒情も素晴らしい。メンデルスゾーンがホンマに美しく書いた楽章だと思うが、ミンツのソロは感性豊かで新鮮、心の奥からの感動を持って弾いているのが好ましい。テクニックも完璧。若いってエエなぁ。
アバド/CSOも万全。ピタッとソロに合わせて、というより、気色悪いくらい合っている。中でも木管が抜群に巧い。

終楽章は克明な弾き方。一音一音を揺るがせない、端正な弾きっぷり。テクニックに裏付けされた、精確な演奏と云うべきか。妙に弾き崩すよりは遙かに好ましいが、もう一つ芸が足りないか・・・・・といって若干23歳の演奏家にそれを云っても仕方ないか。

アナログ最末期の聴きやすい音。
CD化にも成功しているようで、ボリュームを上げていっても音が崩れないのはさすが。
秋の日の ヴィオロン。
十分に楽しめました。
2006/10/19のBlog
今日もモーツァルトです。

交響曲第40番ト短調 K.550。
ニコウラス・アーノンクール指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏。
(ロイヤル・コンセルトヘボウ管と書くべきか・・・・でも、当時はACOだった)
1983年6月の録音。TELDEC原盤。
アーノンクールとコープマンによるモーツァルト交響曲集からの1枚。

何とも激しい40番。ロココの味わいだの、優美な暖かさだのからは遙かに離れた、激情のモーツァルト。たいそうドラマティックで、暗い情念が迸る。

アーノンクール独特のアーティキュレーション。ルバートも随所にあって、聴きながらつんのめりそうになる。この時期のアーノンクールだから普通の演奏じゃなかろうと予想していたら、なに、その予想を上回る面白さ。
しかもオケは光輝ある伝統のアムステルダム・コンセルトヘボウ管。現代オケを引きずり回して、古楽器風にやってのける新鮮さ。当時としては全く斬新な演奏だったろうし、ベームがアーノンクールのモーツァルトを聴いて激怒したというエピソードも、なるほどなぁと思う。
今や、現代オケでの古楽器奏法は当たり前になったが、それを20年以上も前にやってしまうところがアーノンクールの凄さだろう。

オケの音響は素晴らしい。さすがACO。
尤も、アーノンクールのフレージングがまた独特なので、非常に新鮮な響きがする。あ、コンセルトヘボウがこんな音を出すのか、という驚き。
サッパリと爽快、名刀・正宗でスパッと切って捨てたような鋭さ、鮮烈さ。

第1楽章は、そんな面白さが詰まっている。何回か繰り返して聴いてみたが、その都度、新鮮な発見があって、楽しい。今まで聴いたことがないような音が耳に届く。
この楽章は、他の演奏を今まで聴いてきて、悲しいとか恐ろしいとかの感情が盛り込まれてくるものなのだが、アーノンクールの演奏は楽しい。面白い。そして、新鮮。
朝採れたトマトをザバザバと水洗いして、そのままガブリつく旨さ・・・・そんな感じ。
第2楽章も同様。強弱のコントラストが大きく、ドキッとするところが多い。テンポは快速で気持ちいい。

フィナーレは、あまり速く演奏させずに、堂々と進む。しかし、音楽の中身は充実していて、疾風怒濤の迫力を持っている。情念が奔流となってゆく。

ああ、面白い演奏。
でも、こんな風に演奏しても、やはりモーツァルトはモーツァルト。
この曲の懐の大きさ、可能性やポテンシャルの豊かさを感じます。

2006/10/18のBlog
「のだめカンタービレ」が始まりました・・・・・(って書くのが1日遅いか(^^ゞ)。
のっけからズデニェク・マーツァル登場!いやはやビックリしましたな。ホンモノだぜよ。
(一緒に観ていた家族に、偉そうにズデニェク・マーツァルのことを説明するスノッブなオヤジであります、ワタシは。)
主演の若い二人もピッタリの感じ、演技も上手でした。ふだんドラマを見ないボクは詳しくは知りませんが。
知っている役者が竹中直人と秋吉久美子と、伊武雅刀・西村雅彦くらいのものだったのは、我ながらトシを感じますな・・・・やれやれ。

さて、今日もモーツァルトであります。
(2台のピアノのためのソナタじゃありませんが)

モーツァルトのピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467。
ウィルヘルム・ケンプのピアノ、ベルンハルト・クレー指揮バイエルン放送響の演奏。
1977年5月、ミュンヘンのヘルクレス・ザールでの録音。DG盤。

ケンプこのとき82歳。高速なパッセージの部分では、さすがにテクニックは衰えたというものの、滋味深いモーツァルトを聴かせてくれる。
モーツァルトの天才が最高に発揮されたのはオペラとピアノ協奏曲だと思うが、この21番協奏曲に限らず、ピアノ協奏曲は老人が弾くと実に味わい深い。
モーツァルトは若くしてこれらの曲を作ったのに、弾き手は年寄りの方が味が出る。

このケンプ盤もそうであって、技術的には「あらあら?」と首をかしげたくなるところがあるのだが、虚心坦懐、ケンプの紡ぎ出す音楽に耳を傾けていると、じわじわ感動がこみ上げてくる。テンポは伝統的とでも云うべき遅さ。そして、ピアノはゆっくりと克明に弾いてゆくのだが、伴奏がガチガチに合っているわけではなく、微妙に遅れる(というより、意識的にケンプがずらしているのか?)。それが絶妙の間合いのように聞こえてくる・・・不思議な演奏でもある。
矍鑠ではない、何と滋味あふれる、哀愁漂う演奏だろう。

第1楽章のカデンツァはケンプ自身の作。奥深く、しみじみとした哀感が聴ける。耳を澄ませれば、老人の魂の声が聞こえるかのよう。

第2楽章の淡々とした表情も絶品。管弦楽との仲むつまじい会話がイイ。味わい深い演奏。
第3楽章は心弾むフィナーレだが、ここでもケンプ作のカデンツァが良い味を出している。

指揮のクレーは、名花エディット・マティスの夫君。
バイエルン放送響の伴奏はシンフォニックで、逞しい。
特に、第2楽章冒頭の弦楽合奏は極上の美しさ。息を呑むような美しさであり、アンサンブルもしなやかで気持ちが良い。

録音がヘルクレス・ザールの残響がタップリとられて、雰囲気豊かなもの。
ケンプの滋味を伝えるイイ録音と思います。
2006/10/17のBlog
西条祭りも無事に終了しました。
この肩の痛み、今年も充実したお祭りでありました。

西条祭りが終わると、四国の田舎ではそろそろ冬の支度です。
秋が深まります。

そこで今日はモーツァルトのクラリネット協奏曲イ長調 K.622。
アントニー・ペイのバセット・クラリネット独奏、クリストファー・ホグウッド指揮エンシェント室内管の演奏。
1984年9月、ロンドンのウォルサムストウ、アッセンブリー・ホールでの録音。オワゾリールの原盤で、ロンドンから今年出たモーツァルトの管楽器協奏曲集からの1曲。

ペイのバセット・クラリネットがとにかく素晴らしい。
ふくよかで豊かで上品な音を聴かせてくれる。芯があるのに表面は柔らかくまろやかなところも実に良い。ふわっと真綿でくるまれるような安心感がある、何ともエエ音。

演奏そのものは楷書風で、音符を克明になぞってゆく真摯さ。流して吹いているところなど一つもない。誠実さが聴き手に伝わってくる。テクニックも安定していて、聴いていて、上手いもんやなぁと思う。

ホグウッド/エンシェント室内管の伴奏は、そのテンポが良い。古楽器だから速いんだろうと思ったら、それは先入観であって、極めてまっとうなテンポ(というより、伝統的なテンポと云うべきか)。ピリオド楽器団体としては遅い部類だろう。
慣れ親しんだモーツァルトのほんわかした暖かさが息づくテンポ。
そして、この協奏曲らしく、大声を出さずにしっとりと過去を振り返るような落ち着きのある伴奏。この曲で喚いたり、エキセントリックにやってもらうと聴き手としては少々困る。(そういう演奏をする古楽器団体があったりする)

クラリネット協奏曲イ長調は、モーツァルトの辞世の曲、白鳥の歌。彼岸の音楽のようなものであって、しみじみ穏やかに演奏して欲しいなぁと思う。
ホグウッド/エンシェント室内管は、その点でとても聴きやすいし、ペイのバセット・クラリネットはもう最高の穏やかさ。
良い曲だなぁと思う。

全楽章とも素晴らしいが、やはり第2楽章が最高の出来かな。
現世から来世の境界のように響く。遅いテンポが特にイイ。
西欧の音楽に日本人的な美意識を持ち込んでも仕方がないが、この第2楽章の美しさは「幽玄」の美に近いんじゃないかと思った次第。
ここで響くペイのバセット・クラリネットの深々とした響きは、天上の声かと思うほど、美しさの極み。

録音は素晴らしい。古楽器独特の蒼みがかった、ヒンヤリした音がよく捉えられている。弦楽器の線の細さ、髪の毛一本一本が見えるような繊細な音が、見事に収められている好録音。

ああ、今日もエエ音楽を聴かせてもらいました。
有り難いことです。