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クラシック音楽のひとりごと
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2006/12/22のBlog
愛媛の公立高校は冬休みに入りました。
尤も、冬季補習があるので、息子どもはいつも通り登校しております。受験生の次男坊は理系希望、センター試験の演習をブツブツ云いながらやっておりますな。そして、今年は未履修問題が追い打ち、これに「世界史A」の補習が加わるとのこと。
大変やなぁと思っていると、これが実は面白いと次男は云います。今日は十字軍、この間はアメリカ独立、ナポレオンも面白かったし、産業革命はやっぱりスゴイや・・・・・と云ってます。受験直前でクソ忙しい時に、いや、そんな時だからこそと云うべきか。・・・・・・今日も受験に関係のない世界史の講義を楽しみに登校するんでしょう。面白いもんです。でも、その気持ちはよう分かるなぁ。

さて、今日は冷涼で爽やかな協奏曲を。

グリーグのピアノ協奏曲イ短調 作品16。
ジャン=マルク・ルイサダのピアノ独奏、マイケル・ティルソン・トーマス指揮ロンドン交響楽団の演奏。
1993年5月、ロンドンのアビーロード・スタジオでの録音。DG盤。

ルイサダは1985年のショパン・コンクール第5位入賞のピアニスト。
あのときの優勝は、ブーニンだった・・・・もう20年にもなるのか・・・・。月日の経過は早いもんだと、つくづく思う。

ルイサダのピアノは音がとても綺麗。繊細な美しさと燦めくような光が、演奏の端々から伝わってくる。
特に高音。硬質でキラキラしている。フランスパンがはじけるような、軽やかで華やかな音が特徴と思う。

グリーグのピアノ協奏曲は、作曲家25歳の時の作品。憂愁を帯びた甘いメロディと鮮烈なリリシズムが印象的。青春の音楽であるとともに、北欧のロマン溢れる名曲。
ドイツ・ロマン派の影響が強いとは思うが、やはりこの曲からは北欧の澄んだ空気、冷涼な空気が漂ってくる。

第2楽章の、弦楽の伴奏に導かれたルイサダのピアノの見事なこと。
透明で、はかなく涼やかな音色で、情緒タップリに弾いてゆく。
全く美しい。
テンポもゆったりとしていて、一音一音を慈しむような弾き方。そして、華やかでピアにスティックな高音が、響き渡ってゆく。
この演奏の白眉だった。

マイケル・ティルソン・トーマス/ロンドン響は、恰幅の良い伴奏。
フィナーレなどは堂々たる管弦楽で、スカッとするダイナミズム。

録音は、1990年代のDG録音らしく、我が家では少し乾き気味に響きます。
しっとり感よりもカラッとした肌触りが特徴の録音。音場も広く、ピアノの響きは見事に捉えられております。
欲を言えば、この曲ではもう少し「濡れた音」で聴いてみたかったですね。
ちょいと乾燥している感じの音でありました。好みの問題でしょうが。

アクセスを有難うございます。
コメントなどを頂けると嬉しく思います。
2006/12/21のBlog
アルフレート・クラウスの絶唱!
彼こそ最高のウェルテルだった・・・・・・・。

クリスマスが近づいて、四国の田舎町でもイルミネーションが光ります。
最近は家の廻りを飾るのが流行。夜になると綺麗な灯りが光る家が増えました。
朝ジョグが出来ないときに、夜ウォーキングをするんですが、今はその光が楽しいですな。ああ、クリスマスやなぁ。

こういう季節に聴きたいのがマスネの歌劇「ウェルテル」。
クリスマス・イヴの悲恋の名場面、名曲「オシアンの歌」があるからですね。

今日はEMI盤で。
アルフレード・クラウス(テノール)、タティアナ・トロヤノス(メゾ・ソプラノ)、ジュール・バスタン(バス)他の歌手たち。
そしてミッシェル・プラッソン指揮ロンドン・フィルの演奏。
録音は1979年。

最初に書いたように、この演奏はとにかく、アルフレード・クラウスに尽きる!
最高のウェルテル!

詩人ウェルテルのデリケートな感受性、傷つきやすい心情、青年の多感さ・・・・・・、クラウスの声は本当にふさわしいと思う。
全く若々しく高貴で、品格ある歌いぶり。
感情が内へとこもってゆくウェルテル。クラウスが歌うと、その心の中で燃えるような情熱が、品良く表現される。
彼の絶頂期の録音だろう。

「オシアンの歌」など、古今無双、比類なき名唱(・・・と絶賛してしまおう)

この演奏が録音された1980年前後には、カレーラスもドミンゴもウェルテルを歌っている。指揮はデイヴィスにシャイー。当時「ウェルテル」ブームだったとは思わないが、この2つもいずれ劣らぬ名盤だろう。
カレーラスはナイーブなウェルテルで良かったのだが、品格と高貴さでクラウスにやや劣る。(でも情熱的で知性的なカレーラス、ボクは好きです・・・・)
ドミンゴも巧いけれど、やはり彼はオテロやラダメスを歌うヒロイックな人だろう。

クラウスの名唱にはさすがに及ばない。

シャルロットのトロヤノスも健闘。美しい歌唱で、クラウスの相手として十分。
(本当はフレデリカ・フォン・シュターデがエエんだがなぁ・・・これデイヴィス盤)

プラッソンも上品な指揮で、繊細で美しい旋律が一杯のこのオペラを、うまくまとめてゆく。やや淡い色彩で、ニュアンスに富んだ演奏はとても好ましい。

録音も1970年代末のEMI、なかなかよろしい。
でも、録音なんて実はどうでもエエんです。
これほどの、クラウスの名唱、絶唱を聴けるだけで至福の境地。
何度でも、彼の歌に酔いたいと思います。

そして、街はいよいよ年の瀬、クリスマスであります。
2006/12/20のBlog
国内盤の廉価盤化が進んでいます。ユニヴァーサルも「Deutsche Grammophon The Best 1000」と称して、主力級のCDを1000円盤で発売しています。

今日は、その廉価盤になってしまった演奏を行きます。
先日の東京行きで購入した中古盤。700円也。
さすが、御茶ノ水のディスク・ユニオンだけに、このテの情報は早いのだろう。本来なら1200円程度で売るはずのものを、廉価盤化情報が入るとサッサと値下げしてしまう。

ところが地方の中古盤はそうはいかない。草深い四国の田舎では、値付けがメチャクチャであります。
例えば、ハイティンク/BPOのマーラーの6番「悲劇的」2枚組。
これは、廃盤久しいもので、某オークションなどではベラボウな価格で取引されているものだが、たった1000円。( 3枚買うと300円引きとかで、強欲なワタシは結局この名盤を700円で入手したのだが)
ところが、デアゴスティーニの名曲シリーズも、1枚で同じ1000円。ウソやろ、これ、せいぜい200円がええとこやでぇ・・・・。
玉石混淆、宝探しの楽しみはあります。尤も、、石ばかり多いのが現状ですが・・・(^^ゞ。

さて、今日の音楽はそういうわけで。

モーツァルトの交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」。
ジェームズ・レヴァイン指揮ウィーン・フィルの演奏。
1989年6月、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音。

モーツァルト没後200年記念として企画されたレヴァインとウィーン・フィルの交響曲全集、そのラストを飾る1枚。
この全集は、ヴァイオリンの左右両翼配置、反復をすべて実行というのが特徴で、「ジュピター」も演奏時間40分を要するながい交響曲になった。

ウィーン・フィルらしい、豊かで芳醇な音、適度な厚みもあって音楽はとても暖かい。解釈で目立って新しいところはない。穏健で中庸な路線だと思うが、安定感・安心感は無類のもの。
「やっぱり、ウィーン・フィルやなぁ・・・・」の一言で片付けてしまいそう。
ヴァイオリンが左右に分かれているのは聴いていて楽しい。左右のスピーカーをはさんでの弦楽器の対話が実に心地よい。

第2楽章など、特に柔らかく温もりがある。
録音のせいか、ブリリアントな音よりも、ややくすんだ柔らかさが印象的。
フィナーレも、音楽を磨き立ててキラキラさせるよりは、ウィーン伝統の響きを生かしながら、名曲中の名曲であるフーガを精力的に演奏させている。見事な造形であり、演奏と思う。

録音は、適度なホールトーンと穏やかな音で聴きやすいもの。
DGらしい、全体のバランスをよく考えた周到な録音という感じ。
これも中庸の美しさと云うべきでしょうか。
2006/12/19のBlog
今年も残り少すところ10日あまりになりました。
モーツァルト・イヤーということで、今年も沢山モーツァルトを聴きました。

そして、今年もまたトシを取りました。
トシを取ると、年々多くの人とお別れをします。今年も何人かボクの周りの人が亡くなりました。そんなもんだと分かっていても、淋しいものです。

さて、今日はモーツァルトのクラリネット五重奏曲イ長調 K.581 を。

ハロルド・ライトのクラリネット独奏、ボストン交響楽団チェンバー・プレイヤーズの演奏。1993年5月の録音。フィリップス原盤。

ハロルド・ライトは1970年にボストン交響楽団に首席奏者として入団し、1993年までその地位を務めた名クラリネット奏者。室内楽も沢山録音しているという。
この録音は、そのライトが急逝する3か月前の録音。死を目前にしたモーツァルトの名曲が、ライトという名プレーヤーの晩年と重なって、何ともはかなく美しい、寂寥感さえ漂う名演奏となった。ハロルド・ライトの遺作だ。

ライトのクラリネットは、ボストン響の穏やかな音そのままで、暖かくやさしい音色が特徴的。激することなく、上品典雅にモーツァルトの名作を奏でてゆく。
テンポは中庸、やや速めかな。
でも、速いからといって素っ気なさは感じない。クラリネットの雅やかな響きからは無限のニュアンスが零れてくる。

長調なのに哀しい、弾むようなリズムなのに涙がこぼれる、というまさにモーツァルトの真髄がここにはあるし、その色合いは全く淡彩、モノクロの写真のように味わいが深い。モーツァルト最晩年の(そして、名手ハロルド・ライトの遺作でもある)、至高の境地が美しい音楽となって響いてくる。

ボストン響の室内合奏団とのアンサンブルも素晴らしい。
ふだんから気心の知れたメンバーの、心地よい、信頼し合った合奏が聴ける。
こういう風にアンサンブルを楽しめるのは演奏者冥利に尽きるだろうし、全く羨ましいものだなぁと思う。
各奏者とも巧いが、個々が巧いと云うよりも、息のあったまとまりとしての上手さと云うべきかな。室内楽の醍醐味、ここにありと思われる。

録音は、良くまとまった印象。
派手にならず、フィリップスらしい落ち着いた響きがイイ。
けだし、モーツァルトやブラームスのクラリネット五重奏曲は、こういう穏やかで慎み深い音で聴きたいものです。


この数日アクセス数が異様に多いのですが、これ、検索ロボットですか?
クラシック音楽好きな人が増えたのでしょうか?
「のだめカンタービレ」の効果ですかね?
ドラマも、残すところあと1回。昨晩も面白かったですね。終わってしまうのが残念なくらい。
2006/12/18のBlog
さて、月曜日。
今日は「のだめカンタービレ」の日です。仕事をサッサと終わらせて、早く帰って見ましょう。
ところで、「のだめカンタービレ」のおかげで、わが職場にもクラシック音楽ファンが増えておりまして、嬉しいことではあります。
クラシック音楽には縁のなかった同僚が「オマエ、ベトナナって知っているか?」
「は?」
「ベトナナじゃがや」
「ベトコンなら知っているぞ」・・・(我ながら古いなぁ・・・・・(^^ゞ)
「違うがな。ベートーヴェンの7番じゃがや」
「は?アンタがベートーヴェンなんぞ聴くのかい?」
「ほうほう。ほれ、のだめカンタービレで主題歌になっとるというじゃないかい」
「そやなぁ。第1楽章がテーマソングになっとるなぁ・・・・」
「娘も聴きたいと云うし、オマエ持っとったら、貸してくれんかなぁ」
「エエぞい。誰のがエエかいね?」・・・・・

てな訳で、同僚にこの演奏を貸すのです。
(カラヤンは今でもクラシック音楽界最大のビッグネームなのですね)

ということで、今日はベートーヴェンの交響曲第7番イ長調 作品90。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏。
1983年録音のDG盤。
これ、DGでの3度目、カラヤン晩年、デジタル録音での執念のベートーヴェン全集からの1枚。

デジタル初期なので、音が詰まった感じに聞こえる。高音のヌケがイマイチ。もう少し高音が涼やかに響いてくれたら云うことないのだが・・・。オケの人数も多いようで、厚ぼったい響きが特徴。
しかし、音そのものは逞しく、音圧がスゴイ。ブワッと押し寄せてくる重量感がある。低音の迫力は十分。

第1楽章のテンポは快速。序奏部から第一主題に入るとグングン加速してゆく。アンサンブルは少し甘い感じ。このコンビにしては珍しい。
そして「のだめカンタービレ」のテーマ・ソングへ。木管の上手さがが際だつ。するとオーケストラ全体が歌い始める。洗練された、流麗な歌。美しすぎるかなと思ってしまうくらい。それでも、ベートーヴェン独特のゴリゴリとした音の塊は響いてくる。

第2楽章、美しくも哀しい歌が流れてゆく。テンポはここでも速め。緩徐楽章にならないように進めている感じ。リズムよりも旋律線が際だち、悲しみより美しさが表面に出てくる演奏。オケの面々がとにかく巧く、管楽器のプレイを聴いているだけでも楽しめてしまいそう。

第3楽章は、あまり速くない。性急にならず、じっくりと腰を据えてかかっている感じ。前の2つが速く感じたのので、ここでの落ち着きが面白い。

そしてフィナーレはまたも快速。速い、速い。オケもフルパワーでカラヤンの棒に応じている。壮絶な盛り上がり。煽り立ててくる感じで興奮させられる。もともと、そういう風に書かれている楽章だけれど、カラヤンの棒で聴くと、そこに媚薬が入っている感じ。アドレナリンがどんどん出てきて、精気・勇気を鼓舞される感じ。
ベートーヴェンはこうでなくちゃね。
コーダでは、こめかみの血管が切れそうな演奏。素晴らしい。

カラヤンらしい演奏でありました。
速い。でも重量感がある。
録音のせいでもあるんでしょう。すこしかぶり気味でもありますが。
2006/12/17のBlog
久しぶりの休日でありました。
年末、そろそろ年賀状を書かなくちゃなぁと思いつつ、怠けてしまい、結局音楽とジョギングで一日が終わりました。ギリギリにならないと物事が手に付かない、ボクは怠け者です。若い頃からの「癖」は、トシを取ってもなかなか治らないもんです。(子供の頃からか・・・・・(^^ゞ)

アカンなぁ・・・・。
こういう気分の時には、ベートーヴェンにゴリゴリと叱咤激励してもらおう。
もう、これぞ大名曲、大定盤、人類の至宝(ホンマか?)ですな。

で、ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調 作品67「運命」。

カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏。
1970年4月、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音。DGの輸入盤、懐かしいLP。
ジャケットが素晴らしい。ムジークフェラインの華やかな雰囲気が伝わってくる。

これはベームの唯一のベートーヴェン全集、最初期の録音。ベームがウィーン・フィルと全集録音できたのは貴重であったと思う。ただ、全集は発売当初から、リズムの弛緩やアンサンブルの乱れ(=統率力の衰え)を指摘されていた。確かにそんな感じ、全体的に今聴いてもその印象は変わらない。まさにベーム「翁」の演奏なのだが、だからこその味わいもあるし、5番「運命」・6番「田園」・9番「合唱」は、十分に時間をかけた録音で素晴らしい演奏だと思う。

「運命」は極めて貫禄のある演奏。
第1楽章からラストまでテンポは遅く、ベームは悠々たる歩みを進めてゆく。
そのゆっくりした歩調と、ウィーン・フィルの澄みきって柔らかい響きとの中から、偉大なベートーヴェンの姿が浮かび上がってくる。緊張感や迫力よりも、この第5交響曲が内包する途方もないエネルギーがジワジワと伝わってくる演奏と云おうか。

第2楽章の、優美で室内楽的な表現は特徴的。ベーム盤以外ではちょいと思いつかない。名演奏と言うべきだろう。
LPで聴くと、ウィーン・フィルの音がとても柔軟で、しかもコシがあって実にイイ響き。音楽が自然に息づき、スッキリしたものになってゆく。
フォルティシモでの堂々たる貫禄も良い。一見(一聴)モッサリ、でも老ベームの含蓄ある表現が聴ける。

第3楽章もベームは遅いテンポで丹念に描いてゆく。職人技を感じさせる演奏でもある。特に低弦の響きが良い。決然としたベートーヴェン。

そしてフィナーレ、勝利と歓喜の行進。ウィーン・フィルの圧倒的なパワーが解き放たれて、凄まじい力、音量。でも、さすがにウィーン・フィル、フルパワーでも音が硬くならず、余裕さえ感じられる。(ベームの指揮をあまり見ていないじゃないかと・・勘ぐってしまうほど、余裕ありますな)
テンポは堂々、一歩一歩踏みしめながらの大行進ではある。

録音は、35年ほど昔なので、さすがに古びてきました。
1970年代初頭の、アナログ録音全盛期の柔らかさ、豊かさはあります。
ふっくらとしたウィーン・フィルの響きを堪能できる1枚でありました。

ベームのLPを聴くときにはMCカートリッジ、DENONの103が合います。トロッとふっくらと、大らかになるのがエエんです。
(カラヤンになると、AudiotechnicaのAT33Eの繊細な音出しが合います。)
LPってのは面白いもんです。
2006/12/16のBlog
師走も半分過ぎました。今年も残り少なくなりました。あと2週間。
この時期ですからね、そろそろ第九合唱でも聴こうかと思いつつ、仕事の忙しさでそれどころじゃありません。いやはや今週は大変でありました。
同僚がノロウィルスにやられて1週間ダウンしてしまったしわ寄せで、ただでさえ忙しいのに、2人分の仕事をせざるを得なくなり・・・。

ブツブツ言っていても仕方ありません。クラシック音楽をいきましょう。ガハハ。

今日はストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」組曲(1919年版)。
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団の演奏。
1972年11月の録音。DG盤。カップリングは「春の祭典」。

1970年代のアバドは、若々しく溌剌とした指揮ぶりで、その演奏は生気に濡れて瑞々しく、また精密であって、いつも何かしら新しい発見を与えてくれた。
当時、若手指揮者ナンバーワン。カラヤン・ベーム・バーンスタインの後、次世代を担う指揮者としては最右翼の一人と目されていた。
(事実、彼はやがてウィーン・フィルとベルリン・フィルとを手に入れてしまった)

この「火の鳥」組曲に始まるストラヴィンスキーのバレエ音楽三部作などは、そんなアバドの代表盤と云っていいんじゃないか。

例えば「王女たちのロンド」の郷愁を誘う美しいメロディを、アバドは爽やかに歌い上げる。素晴らしい歌。この演奏の聴かせどころの一つだと思う。
ロンドン響も好演。弦楽セクションのピアニシモなどはデリカシーに満ちていて、味わい深い。オーボエのソロも美しさの限り。受け継ぐクラリネットやバスーン、ホルンも見事な響きで応えてゆく。

「魔王カスチェイの凶悪な踊り」の緊迫感。初めて聴いたときはホンマにコワイ音楽やなぁと思ったものだ。
アバド/ロンドン響の演奏で聴くと、恐ろしさや迫力はもちろんだが、バレエ音楽独特の「軽み」がある。そう、この音楽は踊りの音楽なのだ・・・。
金管の迫力抜群で、重厚感もある。オケも大変巧い。しかし、舞踊の音楽だということを忘れないアバドの、オケを統率する眼光は鋭い。

「子守歌」では、弱音器を付けた弦楽セクションが実に良い音を聴かせてくれる。アンサンブルも充実しているし、バスーンの響きも心地よい上品さ。ストラヴィンスキーの土俗的な雰囲気はないが、その分、品の良い洗練と若々しい情熱とが、この演奏の魅力かな。
録音から34年。
今も上々の音で聴けます。アバドのストラヴィンスキー3部作、どれも録音が良好であります。
確か、当時は優秀録音で、オーディオ雑誌では話題だったと思います。テスト盤などに使われたりしましてね・・・・。
LP時代の古い思い出ですが。
2006/12/15のBlog
今年は、今のところ暖冬です。
この時期になるとボクはスーツの下にベストを着込むんですが、(職場が寒いんです・・・(^^ゞ)・・・まだまだスーツの下はワイシャツだけ、秋の格好です。
さすがにこの数日の雨とどんより曇り空で冬らしくなってきましたが、天気のわりに気温が下がっていないような・・・・。地球温暖化ですね。

それでも寒くなってくるとチャイコフスキーを聴きたくなるもんです。
日本人の季節感ですかね。チャイコフスキーにラフマニノフ、シベリウス・・・・寒いところの作曲家の音楽、寒い季節に合うなぁと思います。

で、今日は懐かしい演奏をLPで取り出してます。懐かしいと云うより、この人の録音では珍しいレパートリーでしょうか。

チャイコフスキーの交響曲第6番ロ短調 作品75「悲愴」。
カール・ベーム指揮ロンドン交響楽団の演奏。
1978年12月、ロンドンでの録音。DG原盤のLPで。

悲愴交響曲は、寒くなると聴きたくなる交響曲。寒々とした冬空が似合う。尤も、暖地の四国の冬空と、ロシアの凍てつく空とは全然その寒さのレベルが違うのだろうけれど。

第1楽章の冒頭は、全く寒い音楽が響く。右スピーカーから出てくるチェロの響きが凍りつくような寒さ。
第2主題あたりからその趣きが変化する。ことのほか美しい。憧れと感傷が詰まった音楽。指揮するベームはこの時84歳。最晩年の録音だった。この第2楽章など、老人性の遅さなのか、確信して遅くしているのか、とにかくテンポが遅いので失速しそうになるのだが、その中から浮かび上がるフルートなどは絶品の美しさ。あとを受けつぐクラリネットも典雅な響き。
リズムは確かに弛んでいるところもあるのだが、遅い分だけ味わいは増す。それに、ドキッとする美しい瞬間がある。
展開部でのドラマティックな激しさもスゴイが、ふっくらした豊かさも同時に伝わってくる。そして、音楽が徐々に温もってゆく。その暖かさが良い。

第2楽章はアレグロ・コン・グラツィア。でも、アレグロじゃないなぁ・・・遅いもの(^^ゞ。
ここは、スラヴ特有の5拍子のワルツなのだが、舞曲というよりも堂々たる行進曲に聞こえてしまうのも一興か。ベームはベームの道を行く。

第3楽章こそ、行進曲。これも鈍足ベームの面目躍如、遅くてつまずきそうなのだが、音楽はスケール雄大、チャイコフスキーの堂々とした管弦楽が部屋全体に広がる快感がある。ロシア風と云うより、ドイツ風のゴツゴツ感がたまらない魅力でもある。

終楽章はストリングスの厚みが良い。ふっくらした響き、そしてベームのとるゆったりとしたテンポから、悲しみがにじみ出てくる感じ。
弦楽セクションだけでなく、ファゴットなどの木管が味わい深い響きを醸し出している。
録音水準は標準レベルでしょう。
オケのロンドン響は好演です。立派なもんです。
このころ、ベームはロンドン響の会長を務めてました。チャイコフスキーの4~6番を録音していたはずなんですが、我が家にはこの「悲愴」しかありません。
巨匠最晩年、まさにベームらしい名演奏でありました。
2006/12/14のBlog
ここのところ、天気がぐずついています。
今日も雨。冷たい雨でした。
先週末から四国はずっと雨模様。午後4時頃から辺りが暗くなって、淋しいもんです。
そういえば、一年で一番日が短い季節ですなぁ・・・・・。

今日はオペラです。時間がないので抜粋盤を。
この数年は、じっくりオペラを楽しむのはもっぱら休日であって、それもなかなか時間が取れないのが残念。だから、抜粋盤は有り難い。聴きどころはこれで十分に楽しめちゃう。

で。

ヴェルディの歌劇「アイーダ」ハイライト盤。
クラウディオ・アバド指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団の演奏。
1981年1月・6月のデジタル録音。DG盤のLP。

アバドのこの「アイーダ」、全曲盤はCDで持っているのだが、若干音が硬いのが残念。デジタル初期の録音のためか、あるいはマスタリングのせいか・・・やや硬い。
LPで聴くとフワッとした暖かい音がするので、このレコードをよく聴く。カートリッジはDENONのDL103。トロッとした柔らかさがとても良い。

演奏は素晴らしい。
アバドの指揮は精密精妙で、特に弱音部の表現がデリケートで味わい深い。この録音はすでに25年も前のもの・・・・・昔からアバドはピアニシモの表現が絶妙だったんやなぁと思う。

キャストは、ちょっとこれ以上望めないくらいの豪華版。

まずはプラシド・ドミンゴのラダメス。軍人としての勇気・気概、男の強さ、男臭い愛情(その中には繊細な感情もある)を表現して余すところがない。逞しく強靱、しかも輝かしい声。いやもう、最高のラダメス、当時のドミンゴはすでに第一人者であったのだと思う。
あのバブリーな時代に、「世界三大テノール」なんてもてはやされたが、ドミンゴのラダメスは、それ以前から凄かったのだ。

カティア・リッチャレッリのアイーダも実にイイ。リッチャレッリは、このころが全盛期かな。おなじDGにはカラヤン盤の「トスカ」・「トゥーランドット」のタイトル・ロールもあった。彼女の声はやや硬質だが、その分、透きとおるような高音がとても美しいし、アバドの精妙さにかなう歌唱になっていると思う。

エジプト王にはルッジェロ・ライモンディ。この人は性格俳優。ボクは好きです。
アムネリスのエレーナ・オブラスツォワも好演。
ランフィスはニコライ・ギャウロフで、この人の安定感は抜群。
でも、一番イイ出来なのは、レオ・ヌッチ演ずるアモナズロかもしれない。

スカラ座管も素晴らしい。輝かしいカンタービレがたまらない。
スコーンと晴れ上がったイタリアの明るい空。そして合唱も上手いと思う。

ハイライト盤なので、聴きどころばかりだが、あえて云えば、ドミンゴの「清きアイーダ」、そして第1幕フィナーレ「この聖なる土地の守護者」、第2幕の大フィナーレ「エジプトに栄光あれ」あたり。

重唱も素晴らしく、何度でも聴きたくなる演奏と思います。
2006/12/13のBlog
昨日の朝は、このDoblogにアクセス不能でありました。ブログのタイトルは表示されるんですが、それから下が出てこない・・・・(^^ゞ

ということで、ひとりごとは昨日はお休みしました。午後には回復したようで、多くの方にアクセスを頂戴しました。ありがとうございました。コメントも感謝です。
これからも、いろいろ教えてください。

Doblogのスタッフも大変でしょうなぁ。今の時代ですから、きっとユーザーから文句・苦情も多いんでしょう。でもね、いつも書きますが、タダで楽しませてもらっている訳ですから、時々異状が起こるのは仕方ないことだと思います。他のブログサイトも結構重いようですしね。きっと、どこもユーザー(ブロガーって云うんですかね)の爆発的増加で弱っているんでしょうねぇ。
何度でもワタシは書きますが、こんなオモロイもの、タダで楽しませてもろて、エライ感謝しとります。小学校の頃の夏休みの宿題、「絵日記」みたいなもんです。クラシック音楽を聴いて、絵日記つける。そんなことしとったら、コメントを頂けて、トラックバックまで頂戴できる。ホンマ、有り難い話です。
ただ、トラックバックを頂いたとき、文字化けすることもあるようです。理由は、よく分かりません。Doblogの仕様なのかもしれません。気分を悪くされたら、申し訳ありません。

さて、今日の音楽であります。寛げる音楽をいきましょう。
寒い季節にも似合いそうです。

チャイコフスキーのバレエ組曲「眠りの森の美女」。
ジェームズ・レヴァイン指揮ウィーン・フィルの演奏。
1993年11月、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音。DG盤。
レヴァイン/VPOのチャイコフスキーの「3大バレエ組曲」から。

「眠りの森の美女」は、チャイコフスキーの三大バレエの中も、最もシンフォニックな音楽で、全曲を単独で聴いても楽しいし、組曲盤も(曲数は少々少ないのだが)実に心地よい。
このレヴァイン盤では、ウィーン・フィルの音がものを云っていて、スケール雄大、壮麗かつ繊細、しかも輝かしさに満ちた響きが全く素晴らしい。弦楽セクションの合奏など(アンサンブルが少しユルイかな・・・なんてお構いなしに)、キラキラと光が零れてくるような感じ。左右のスピーカーの間に、燦めきが走る・・・・と書いたら、いやはや、言い過ぎかな。でも、そんな錯覚に陥るほど。ため息が出る燦めき。

第2曲のパ・ダクシオンでの、ハープのソロの品の良さ。オーケストラはスケール大きくゆったりと音楽を奏でてゆく。チャイコフスキーの旋律の、メランコリックな美しさが浮かび上がってくる。レヴァインの見事な設計だと思う。

第4曲のパノラマは穏やかな音楽。優しく、慰めの音楽。柔らかく演奏するウィーン・フィルは、やはりええオケやなぁとつくづく思う。
バレエは殆ど観たことがないのだが(欧米ではもの凄い人気だそうだ)、この曲など、オーケストラ音楽として極上の美しさだと思う。

組曲のラストはお待ちかねのワルツ。これもシンフォニックな演奏だし、チャイコフスキーの「声」が聞こえてくるような音楽。

録音は1993年、比較的新しいものだが、やや人工的な感じもする。
ホールトーンは豊かで、音楽をスケール豊かに聴かせることに一役買っている感じ。
心地よい音楽であります。
2006/12/11のBlog
三男坊が来週日曜にピアノの発表会に出ます。
なに、小学生の頃から週1回のお稽古を続けているだけの話であって、腕前はシロウトに毛の生えた程度なんですが、長いことやっていると結構弾けるようになるものだそうです。(・・・「そうです」というのは、自分が全く楽器が出来ないので、妻の言葉を鵜呑みにしているだけなんですが(^^ゞ・・・)。

弾くのはベートーヴェンのピアノソナタ第8番ハ短調 作品13「悲愴 」。
その第3楽章。
なかなかヤルもんです。ベートーヴェンを弾けるなんて、大したもんや。
仕上げにホンモノを確認したくなったんでしょう、三男坊が「何か良いCDない?」と訊くので、「あるある、ナンボでもあるぞい」と何枚か(何枚もか?)出してやりました。

ワタシのお薦めはフリードリヒ・グルダのピアノ独奏。

1968年の録音、原盤はAmadeoだったのだが、今はユニヴァーサル系で発売されている。しかもピアノソナタとピアノ協奏曲全集がセットになって12枚組の激安価格で売られている。 どちらもLPで揃えてきた者にとっては、涙が出るような安値だが、これはお薦めです。是非買いましょう(^^ゞ。

グルダのピアノはベーゼンドルファー。深々とした音が印象的。

特に第2楽章が軽くならない、ふくよかで優しく暖かい音になる。
まだ寒い風が吹く、春先の木洩れ陽のようなぬくもり、とでも云おうか。
第1楽章が激烈なので、余計にその暖かさが愛おしい感じがする。

深々と云っても、重厚になりすぎず、もたれることはない。ベートーヴェンの愛らしいメロディを堪能させてくれる。
ああ、「悲愴」はベートーヴェンの初期作品だったのだと、思い直させてくれるような演奏。
テンポもゆったりとしていて心地よい。息づかいがとてもラク。特に左手の動きがしっかりとしていて、時に雄渾。こんなところにも、グルダの様式感が出ている。納得の名演と思う。

第3楽章は一転快速なフィナーレ。
速い、速い。スッキリしていながら、十分な重さもある。軽くなったりはしないのだ。心地よい足取りと云うべきか。地に足が付いて、しかも颯爽としている素晴らしい演奏。


どうだ、イイだろう?
三男坊にグルダを聴かせ、さらにホロヴィッツにバックハウス、ゲルバー、バレンボイム、アシュケナージにブレンデル・・・いろいろあるで・・。どれを持って行くで?

後日、三男坊が言います。
「バックハウスやケンプはミスがあった。だからやめとく」
(何や、偉そうに・・・)「で?誰のがエエで?」

三男坊「ブレンデル」
ワタシ「は?」
三男坊「ブレンデルが、やっぱりエエわ」
ワタシ「ほうかいなぁ。グルダやアシュケナージの方がエエことないか?」
三男坊「いいや、ブレンデルが一番良かった。ブレンデルにしようわい」・・

なんと、息子もブレンデルを選んだか・・・・・。
仕方ない、オマエは母さんの子でもある。
母さんも、昔々、ブレンデルを選んだんだよ。

2006/12/10のBlog
四国伊予路は三日続きの雨。
降ったりやんだりの曇天が続いております。冬らしい空と云うべきでしょうか。

こんな空模様の日はラフマニノフです。
憂愁の音楽を聴きましょう。

そこで、ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調 作品1。
ゾルターン・コチシュのピアノ、エド・デ・ワールト指揮サンフランシスコ交響楽団の演奏。
1982年10月、サンフランシスコでの録音。フィリップスのDUOシリーズでのコチシュ・ラフマニノフピアノ協奏曲全集からの1曲。

第1楽章ヴィヴァーチェ。
冒頭からラフマニノフの個性丸出し。ピアノのアルペジオ、管弦楽の重たさ、ふくらみ、野暮ったいところもあるオーケストレーションなど、全くラフマニノフそのもの。
この曲は彼の作品番号1番。記念すべき処女作。そして何より、彼の美しい旋律が聴ける第1作。「憂愁」としかいいようがない音楽。初冬の曇天のような音楽。
コチシュのピアノは中低音が充実していて、しかも音色がとても綺麗。もちろん高音もキラキラしていてイイのだが、ラフマニノフの「憂愁」を味わうのはやはり中低音だろう。これを綺麗に濁らずに弾いてくれるコチシュ、この時30歳。なかなかヤルもんだなぁ。深々とした音、時に奈落の底に沈み込んでゆくような趣のピアノになっている。こういうピアノで演奏してくれたら、作品1とはいえど、やはり名曲、愛すべき佳品だなぁと思う。

第2楽章はアンダンテ。
エド・デ・ワールト/サンフランシスコ響の伴奏がイイ。ホルンのソロが少し明るいが十分に美しい。音は全体的に明るめなのだが、(ラフマニノフにはもう少しくらい音の方がエエかな・・・・)、オケは充実している。
コチシュのピアノはここでは爽やか、凛とした美人を思わせるような、たおやかな演奏。本当に綺麗な音、メロディも美しい。これに、たっぷりとしたオーケストラも加わって、名演奏になっている。

終楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ。
チャイコフスキーを思わせるところや、ショパンの影響が見られるところもあって面白い。
コチシュはさらに快調。軽快にまた豪快にこの曲を締めくくってゆく。

じっくりこの全集を聴いてみたくなりました。
コチシュは、アンドラーシュ・シフやデジュ・ラーンキと並んで、「ハンガリー三羽烏」と呼ばれておりました。当時30歳、バリバリの若手でありました。
最近、彼の活躍をあまり聴きませんが、このラフマニノフはエエ演奏だと思います。