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クラシック音楽のひとりごと
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2007/02/21のBlog
朝ジョグをしていると、終盤で四国山脈の上空が赤紫色に染まってきます。
これはホンマに美しい。一年で夜明けが一番綺麗な時です。
その昔、清少納言はよくぞ「春は曙」と云ったもんです。

さて、今日はベートーヴェン若書きの交響曲を。
早春にふさわしく。

ベートーヴェンの交響曲第2番 ニ長調 作品36。
アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリン・フィルの演奏。
1959年4月、ベルリンのグリューネヴァルト教会での録音。EMI盤。

クリュイタンス指揮する洗練された優雅なベートーヴェン全集からの1枚。

ベートーヴェンの交響曲を演奏するのに、洗練とか優雅さとかが必要なのかどうか、ド素人の僕には分からないが、数あるベートーヴェン演奏の中で、クリュイタンス盤は、その洗練されたセンスの良さで、ホンマに個性的だなと思う。

端正で上品、典雅な・・・という形容句は、クリュイタンスという指揮者の個性を表しているのだが、だからといって、このベートーヴェンが弱々しいとか女々しいとかいうのではない。
オケがベルリン・フィルなので、響きは実に剛毅で力強く逞しい。1959年といえば、カラヤンが終身指揮者に就任して間もない頃であって、往年のガッチリとしたドイツ風のベルリン・フィルの音が残っていた頃だったろう。
なるほど、スピーカーから飛び出してくる音の塊としての強靱さは・迫力は十分で、クリュイタンスの指揮が粋で洗練されているといっても、ベートーヴェンの音楽が腰砕けにはならない。その点では、指揮とオケ、双方の美点が融合した、これは素晴らしいベートーヴェン全集だと思う。


さて、この2番の演奏はというと・・・やはり、クリュイタンスの美質がよく出ている名演奏と思う。
第1楽章アレグロ・コン・ブリオが、興奮しすぎず、また速くなりすぎずに抑制が利いていて、上品なフォルムに仕上がっている。
第2楽章では穏やかで柔和な表情が印象的。クリュイタンスが振ると、ラルゲットがホンマに典雅に聞こえる。もちろん、それだけに終始せず、響きが充実しているのも素晴らしい。特に内声部、低音がズシッと来る重さがイイ。これがベルリン・フィルの実力だろう。
第3楽章からフィナーレにかけても、クリュイタンスの制御がよくきいていて、暴力的な響きにならない。叫ぶ一歩手前で自制する品の良さ。

迫力や興奮を求めるなら、他の演奏があるでしょ。
僕は、こんな演奏の方がこのごろ好みになってますな。

録音はこの時期としては良好。優秀録音の部類でしょう。
EMIの録音は、1950年代末から1960年代にかけてが最も良かったんじゃないかと思われます。

さて、夜明けの赤紫を見に、ひとっ走りに出ましょう。

2007/02/20のBlog
すっかり春の陽気。四国はうららかな良い天気でした。
相変わらず仕事は激務ですが、職場の窓からふと眺める景色は、春の風情。
銅山峰に霞がかかってます。

さて、しばらくオーケストラ曲ばかり聴いていたので、今日はコンチェルトをいきましょう。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番ト長調。
マレイ・ペライアのピアノ独奏、ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏。
1984年10月の録音。ハイティンクにしては珍しい、CBSソニー原盤。これは、ペライアの専属だからですな。

ペライアのピアノは滑らかで柔らかく温かい。
窓から射し込んでくる早春の陽光のような暖かさ。
ハイティンク/ACOの伴奏がまた実に良い。ふっくらとして、包容力があって。

第1楽章はアレグロ・モデラート。幾分速めのテンポで進んでゆく。
ペライアのピアノは出だしから非常に美しい。透明感があるのに、冷たくはなく、優しく温もりがある。聴き手の心を安らかに、幸福にさせる音。そして、一つ一つの音が粒立ちよく響く。
ふっくらと炊きあがったご飯の、お米一粒一粒が湯気を出してキラキラしながら立っている・・・・あんな感じの音。懐かしいような、優しいような、母性を感じさせるような音が実に良い。

ハイティンク/ACOの伴奏は職人芸。手堅い。
ハイティンクはベートーヴェンのピアノ協奏曲を数多く伴奏・録音している。このペライアとの全集だけでなく、かつてはクラウディオ・アラウとACOで、ブレンデルとはLPOで、アンドラーシュ・シフとはSKDで。何と、4種の全集録音を果たしている。いや、全くのベテラン。

第2楽章はアンダンテ・コン・モート。
ペライアのピアノはデリカシーの塊。このピアニストの弱音は聴きごたえがある。ピアニシモの方が雄弁。ニュアンス多彩で、色彩感もある。音は静謐そのものなのに、何と多くのことをペライアは伝えるのだろう。悦びや哀しみ、憧れや傷心・・・・いろいろな感情が伝わってくる。

フィナーレはロンド・ヴィヴァーチェ。早春にふさわしい明るい音楽。
ペライアの華麗なピアニズムを堪能できる楽章。冗舌の一歩手前で止める品の良さ。高音のヌケが素晴らしく、聴いていて実に気持ちよい。
ハイティンク/ACOの伴奏は、ペライアにそっと寄り添い、室内楽的な精緻さで支えてゆく。アンサンブルの良さは第1楽章から一貫しているのだが、特に終楽章では緊密感がある。ハイティンクの筋の通った指揮で、この名演奏が支えられているのが分かる。


フィリップス・トーンとは違ったコンセルトヘボウ管の響きが楽しめる録音です。
ペライアのピアノはとても綺麗に捉えられていますし、ホールの余韻も楽しめます。
フィリップスより少し明るめの音、色づけは淡彩画ふうの感じ。
品の良い好録音と云えるでしょう。
2007/02/19のBlog
休日のLSD、ゆっくりのんびりと12㎞。
たんぼ道は春の風情で、空気も冬の冷たさがありません。長袖Tシャツにベストを羽織れば汗だくになってしまうほど、気温もここのところ安定してます。
空はどんより、ジョグの終わりの方ではまた雨に降られたものの、冷たい雨ではなかったですな。春です。

さて、今日は古い懐かしいLPを取り出してます。

J・S・バッハの管弦楽組曲第1番ハ長調 BWV1066。
カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団の演奏。
1960年の録音。独アルヒーフ原盤のLP2枚組。

リヒターが紡ぎ出す峻厳なバッハ。
真正純正、ドイツ風の、そして今聴くとロマンの香りさえ漂わせる正統的な大バッハ。
正統的というより「伝統的」と云うべきか。

ミュンヘン・バッハ管のメンバーが、リヒターの真摯誠実な姿勢に触発されて、懸命に演奏しているのが伝わってくる。実にヒューマンな演奏。いや、演奏というより奉仕に近いかもしれない。その奉仕の方向は、リヒターに、バッハに、そして(おそらく)キリスト教的な神に。

1960年の録音から46年。ほぼ半世紀を経た今の耳には、何とも濃厚、肉厚でロマンティックなバッハに思える(もたれるようなところもある)が、演奏の充実感・熱気は時を越えてくる。じんわりと熱い感動がこみ上げる。
若かった頃に聴いた感動、何か大きなもの、遙かなものをリヒターによって教えられた記憶が蘇ってくる。これ、ノスタルジーかいな。

序曲のスケールの大きさ。偉大な音楽。「これがバッハの音楽だ」と言わんばかりの自信。経験と努力とによって培われた真実のようなものが、この序曲からは聞こえてくる。耳を澄ませば、精確なテンポ、心地よいフレージング、清潔なアーティキュレーションなど、今もなお新鮮に響く。スタイルは古くなっても、この演奏の生命力・迫力は普遍的なものだぁと思ってしまう。

舞曲にはいると、爽やかな愉悦が聞こえてくる。アンサンブルの緊密さも素晴らしい。リヒターの統率力だろう。この合奏があるからこそ、舞曲の悦び、楽しさが伝わる。

録音はこの時期のものとしては上々。
アルヒーフらしい、渋めの音づくり。楽器をクローズアップするよりは、全体の溶け合いを重視している感じ。
CDも悪くないが、LPで聴く方が、当時の雰囲気、時代の空気のようなものが伝わって味わい深い感じがします。
2007/02/18のBlog
雨降りの休日、昔の職場の先輩が今年で定年退職になるので、その送別会で松山に行ってきました。
20年前、伊予弁が一つも分からない僕にとって、「通訳」のように導いてくれ、仕事のイロハを手取り足取り教えていただいた先輩でありました。
この3月で退職とは・・・月日の経つのは早いもんです。
名残の雨はしとしと雨。もうすっかり春の雨でありました。

さて、今日はマーラーの交響曲第6番「悲劇的」。
ロリン・マゼールの指揮ウィーン・フィルの演奏。
1982年9月、ムジークフェラインザールでの録音。CBSソニーの原盤。

ウィーン・フィルの音が艶やかで輝くばかり。鮮烈、ブリリアント、キラキラと光が降り注いでくるような感じ。
弦は柔らかく、管楽器は独特のキツさで響く。ウィンナ・オーボエやウィ院な・トランペットの響きは、まさにこのオーケストラの音。マーラーが作曲したときにイメージしていたのは、こういう音なのだろうなと思いながら聴いてしまう。

マゼールの指揮は普通。実にまっとうなもの。ということは、マゼールらしくないような気もする。エグさがあまりなく、わざとらしさとか、デフォルメ、皮肉、諧謔といった、マゼール独特のやり方が(これは、マーラーの交響曲の形容句でもあるのだが)、やや薄いかなという気もする。
テンポや各楽器のバランスや表情づけなどは、実に普通で、妙な細工は感じられない。あまり弄らず、ストレートに「悲劇的」を振っている、マゼールの鬼才に期待して聴くと、肩すかしを食らう。

迫力は十分でウィーン・フィルの美しさを十分に味わえる演奏。この6番は、マゼールにとってはマーラー全集のうちの第2弾だった。(第1作は当時も人気の5番)。

マーラーの6番交響曲は、20世紀に作曲された音楽としては古典的な形式を持っている。4楽章制の作品だから特にそう思う。どの楽章もよく書けていると音楽学者は云うし、据わりも良い作品。何より、劇的な興奮と深い苦しみに満ちた大作だと思う。

マーラーは大好きだが、この6番は長いこと、あまり聴かなかった。この頃、このマゼール盤をはじめ、ようやく耳慣れてきた感じであります。
マゼールの演奏はアンダンテを第3楽章に置いてます。
最近は第2楽章に持ってくるのが多いようですが、僕は1980年代のマーラー・ブームの洗礼を受けた世代でして、第3楽章の方がしっくり来ますな。

録音は良好。迫力十分で、ウィーン・フィルの美しい響きを堪能できます。
DECCAに比べると、色彩感が少し薄い感じ。その薄さは、でも上品です。
あざとい録音ではないです。
2007/02/17のBlog
昨日のホルスト「惑星」レヴァイン盤では、沢山のコメントを頂戴しました。
ありがとうございました。TBも嬉しく思いました。
さすがにあの「惑星」のスゴイ録音は、多くの方々がご存じですね。もっとも、演奏とレヴァインとについては好みが分かれるんじゃないかと思います。

さて、今日もレヴァインです。これも愛聴してきました。

シューベルトの交響曲第9番ハ長調「グレート」。
ジェームズ・レヴァイン指揮シカゴ交響楽団の演奏。
1983年7月11日の一日録り、シカゴのオーケストラホールでの録音。ラヴィニア音楽祭での演目だったようだ。

これは懐かしいCDで、初めて買った「グレート」のCD。輸入盤仕様、今思えば大枚の3500円。何度も書くが、昔のCDは高かったなぁ(今は、これ1000円盤でしょうか)。

オーケストラが抜群の技術を駆使し、レヴァインがそれを統合して素晴らしい歌の交響曲に仕立て上げてゆく。発売当時は、録音も良くて、一聴して驚喜した思い出の1枚。

第1楽章の序奏部からレヴァインは中庸のテンポ。主部に入っても心地よい穏やかな(といって遅くはない)テンポで音楽が進んでゆく。レヴァインは、いたずらにスケールの大きい演奏を目指さず、端正で柔和な佇まいの交響曲にしてゆく。いわば等身大のシューベルト。ただ、オケがスゴイので、音楽の規模は自然に大きくなっていく感じ。
弦も管も実にバランス良く鳴っている。レヴァインは気持ちよくオケに奏させる職人的な指揮者だと、この盤を聴いて思ったものだ。

第2楽章はシューベルトの歌があふれる。特に良いのは管楽器で、品の良い歌が続く。そして、弦楽セクションからは、見事なアンサンブルの中から時々ハッとするような瑞々しい歌が響いてくる。とてもデリケート。
ショルティ/CSOのコンビ、あの力業では、こうはいくまいなと思いつつ。

第3楽章、レヴァインの自然なテンポはここでも変わらず、息づかいが実に気持ちよい。迫力や強靱さには欠けるかもしれないが、何よりレヴァイン天性の明朗な歌があってイイ。彼の音楽は常に前向きで明るい。やはり、アメリカンというか、楽観主義者というか、そういうところが随所に出てくる。

終楽章はシカゴ響の力が素晴らしい。圧倒的なクライマックスで、しかも名技の連続。「天国的に長い」などなんのその、このブラスの威力、ストリングスのしなやかさを聴いているだけで楽しい。飽きない。

録音がまた良い。不満なし。
1970年代後半から1980年代にかけて、DGがシカゴ響と録音した演奏は、名録音多し。アバドのマーラー、ジュリーニの9番交響曲シリーズなど、名作揃い。演奏も録音もエエものが多いと思います。

<「グレート」も大好きで、沢山エントリーしてきました>
◆レーグナー/ベルリン放送響
◆スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ
◆ワルター/コロンビア響
◆デイヴィス/ボストン響
◆ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管
◆ジュリーニ/シカゴ響
2007/02/16のBlog
録音の良い演奏は、クラシック音楽を聴く楽しみを倍加させます。
オーディオ的な快感を味わえるのは嬉しいものです。
今日はそんなCDを。

ホルストの「惑星」。
ジェームズ・レヴァイン指揮シカゴ交響楽団の演奏。
1989年6月、シカゴのオーケストラ・ホールでの録音。DG盤。

おそらく今も最も良い録音で聴ける「惑星」。DGの夥しい録音の中でも屈指のものと思う。もともと、DGはシカゴ響と名録音を送り出してきたが(アバドとのマーラー、ジュリーニとの9番交響曲シリーズなど)、この「惑星」はそれらをも遙かに凌駕する圧倒的な録音と思う。

オーケストラのエネルギーが部屋中に広がる。オケは左右のスピーカー一杯に展開し、いや、スピーカーの間隔以上にもっと広がりがあり、奥行きも非常に深く、ステージの高さや奥行きが広大で、臨場感抜群。
各楽器の音が見事に捉えられ、定位もスゴイ。マルチ・マイクなのだろうが、個々の楽器が鮮烈に鳴る。しかも、広大なダイナミックレンジ。いつもの音量で「火星」を聴き始めると部屋が震えてしまう大音響、ところがボリュームを絞ると今度は「金星」のデリケートなピアニシモが聞こえない、かそけき音になってしまう。
いやぁ、凄まじい録音。

マゼール/フランス国立管の「惑星」が出たときには、その録音の良さと演奏の鮮烈さとにビックリしたものだったが、(当時、ソニーはマゼール盤の広告で「惑星戦争に終止符」とのコピーを並べていた)、このレヴァイン盤の衝撃は、それを遙かに上回る。
圧倒的な録音と思う。
その証拠といえるかどうか、このレヴァイン盤が発売された後、「惑星」はあまり録音されていないはずだ。1970~80年代には毎年のように(毎月か?)「惑星」の新譜が出たものだが、レヴァイン以後、めっきり減ったように僕は思う・・・・。

録音の話ばかりでアカンですな(^^ゞ。

演奏もスケール雄大で精力的。レヴァイン特有の、直截的で推進力あふれる演奏。音楽が停滞せず、グイグイ進んでゆくとともに、ピアニシモでの繊細感が素晴らしい。全体的には明朗快活、屈託のない、いわばアメリカン・スタイルの演奏で、クヨクヨしないところがイイ。

「火星」での圧倒的大音量。ティンパニの音がスゴイ。リアル。
テンポは速く、戦争の神が迫ってくるような凄みがある。

「金星」ではソロ・ヴァイオリンが美しい。録音が良いので、静謐感がたまらない魅力。テンポは速めだが、「金星」らしいエロティックなところはよく出ている。穏やかなな表情も好ましい。

「木星」もシカゴ響の最高級の技巧が味わえる。ホルンもトランペットも滅茶苦茶に巧い。テンポも速く、拘泥しない指揮ぶり。民謡風の中間部、聴かせどころでもレヴァインはメソメソしない。お涙頂戴式の演奏ではなく、スカッと爽快にあの美しいメロディを演奏させる。

「土星」の妖しさ、「海王星」の神秘感も素晴らしい。
ラストまで、オケの技量を信じて一気に仕上げてしまう気持ちよい「惑星」と云えそう。
これ、昨年末、ついに廉価盤になって、今や1000円。
嬉しいような、哀しいような、妙な気分でありますが、この「惑星」だけは間違いなく「買い」だと僕は思います。
この録音の良さは別格大明神ですな。

<自己リンクであります>
●ラトル/ベルリン・フィル
●ボールト/ロンドン・フィル
●佐渡裕/N響
●マゼール/フランス国立管
●マリナー/アムステルダム・コンセルトヘボウ管
2007/02/15のBlog
2月も半ば、すっかり春めいてきてしまいました。
こりゃ、イカン。今のうちにシベリウスを聴いておかないと・・・・・。
何しろ今年はメモリアル・イヤーだから・・・・・・。

で、シベリウスの交響曲第5番 変ホ長調 作品82 。
パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィルの演奏。
1986年12月、ヘルシンキのカルチャー・ホールでの録音。
EMI盤で、ベルグルンド2度目のシベリウス全集から。

第1楽章はテンポ・モルト・モデラート ~アレグロ・モデラート。
冒頭は、白鳥が湖水から飛び立ってゆく風景のような、絵画的なイメージの音楽。木管など、白鳥の声さながら。あの声の淋しさはどうだろう。
特に素晴らしいのはオーボエの響き。ほのかな抒情、神秘性をたたえつつ、空間に溶けてゆく響きがたまらない。「トゥオネラの白鳥」を思い出す。

第2楽章はアンダンテ・モッソ~クワジ・アレグレット。
ピチカートの静寂。ベートーヴェンの第7交響曲第2楽章の投影といわれる変奏曲だが、この静謐感はたまらない。
ベルグルンドの指揮は確信に満ちて、安定感がある。
演奏はヨーロッパ室内管との3度目の演奏に比べると、色気というか、行間の余裕というか、独特の落ち着きがある。これは好みの問題だと思うのだが、この第2楽章は、色っぽくやってくれる方が僕は好きだ。

第3楽章アレグロ・モルトは、弦のトレモロが特徴的。北欧の自然を思わせる描写。
木管が奏でる主題は素朴な感情が歌われる。
演奏は端正で控えめな感じ。慎み深いシベリウスらしいもの。シベリウスの交響曲、特に後期の音楽は絶叫しない。
ベルグルンドは、楽譜を信じ切って、北欧の自然がそのまま音になったような音楽をつくってゆく。抑制が効いて、時に厳しく張り詰めた感じの指揮ぶりでもある。
ベルグルンドに対して、筋肉質の響きでこたえるヘルシンキ・フィルも好演。見事な演奏だと思う。

録音は標準的。
スケール感はあるものの、個々の楽器の艶はあまりない。
もっとも、シベリウスなので艶消しの音の方が似合うかな。
EMI的な録音で、左右の広がり・ステージ感を重視した音響でもあります。
EMI録音は、大音量で聴く方が、良いようです。


四国地方に強風。春一番だったそうな。
「春一番」とくれば、西陣の数珠つなぎ連チャン機を思い出してしまう僕はアホウですが(そういえば、当地にもやってきた「梁山泊」は株価操作容疑で捜索を受けたそうだが)、この頃は大手も店でも客が減って経営が大変だとのこと。テレビ・コマーシャルはナンボでも入ってきて閉口であります。

バレンタインデーは総数で対三人息子に完全勝利。ガハハ。オヤジをなめたらアカン。
2007/02/14のBlog
日中の陽気はすっかり春です。
早朝は幾分冷えますが、トコトコ走るにはちょうど良い気温。気持ちいい季節になりました。

さて、今日はドヴォルザークの交響曲第8番ト長調 作品88。
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。
1974年5月、ルカ教会での録音。東独のエテルナ原盤。
ベルリン・クラシックスの廉価輸入盤なので、今は800円くらいで買える。
このコンビの録音としては初期のものになるのではなかろうか。

演奏は豪放快活。ふだんは端正で質朴な演奏の多いこのコンビにしては珍しい、スケール雄大でダイナミックな演奏。

第1楽章の序奏部を過ぎると、勢いのある音楽は怒濤の如く押し寄せてくる。
奔流のようなドヴォルザーク。緩急の差が大きく、ダイナミック・レンジも広い。
チェロの響きは甘やかで暖かい。ぬめりさえ感じる肌触りが艶めかしいほど。その優しく柔らかい響きは全編で聴ける。
各楽器のバランスが良く、オーケストラ全体の音が見事なまでにまろやかに融け合う。クリーミーな味わいさえする、素晴らしい響きだと思う。
さすが、ドレスデン・シュターツカペレ。そしてルカ教会の音響。

第2楽章も、グイグイと抉るような演奏。強弱の差が大きく、表現の幅が非常に広い。感情的な進め方と云ってもいいかもしれない。ブロムシュテットにしては、大変個性的な表現と思う。
ヴァイオリンのソロが泣かせる。美しく意味深い響きで、その余韻がまた綺麗。

ドヴォルザークの8番交響曲が、これだけスケール大きく、巨大な交響曲として演奏されるのは珍しいんじゃないか。
そして、オケのメンバーが生き生きと、楽しそうに吹いている、弾いている、叩いている。ティンパニなど実に爽快、気持ちいいくらいブッ叩いている。

第3楽章はワルツ。舞曲の楽しさ。
ドヴォルザークのボヘミア気質丸出しの旋律だが、ブロムシュテットの指揮はここでは格調高く端正なもの。民謡の美しさだけに終わらせないぞとでも云っているか、背筋が伸びて気骨ある演奏を行っている。
ここでも、ドレスデン・シュターツカペレの響きが見事で、感動的。

終楽章は堂々の辺箏曲。それぞれの楽器はこれ以上ないくらい存分に鳴り渡り、しかも形が崩れない立派さ。トランペットやホルンも見事。惚れ惚れする響き。圧倒的なコーダも素晴らしい。

それにしてもブロムシュテットの音楽づくりの見事さ。
この人がドレスデン・シュターツカペレと組んだ数々の録音こそ、至芸というべきなんだろう。
ホンマに名コンビだった。

録音も十全。ルカ教会の残響が美しく、アナログ的な柔らかさも味わい深いです。
これが廉価盤で買えてしまう幸福。
日本での初出以来、世評では、話題にならなかった演奏かもしれませんが、エエですぞい。

<ドヴォルザークの8番交響曲 過去のエントリー>
★ドホナーニ/クリーヴランド管
★サヴァリッシュ/フィラデルフィア管
★セル/クリーヴランド管
★スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ
★ジュリーニ/ロイヤル・コンセルトヘボウ管


2007/02/13のBlog
職場の同僚の中で一人クラシック音楽好きがおりまして、コイツは盤鬼であって、日本だけでなく海外からも買い漁る剛の者なのですが、僕と同じボケが始まっており、よくダブリ買いをします。
もう、お互いにしょっちゅう。情けないくらい。
で、また僕のところに回ってきました。ラインスドルフのベートーヴェン全集。
「こんなモン、何でダブるんかいなぁ?」と思いつつも、僕はシメシメと頂くわけであります。

で、今日はその中から。
ベートーヴェンの交響曲第6番ヘ長調「田園」。
エーリッヒ・ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団の演奏。
1969年の録音。RCAの廉価盤全集から。

基本的にインテンポの演奏なのだが、途中、少しテンポを揺らすところがある。アッチェランドをかけてみたり、グッと落としてみたり。独特のアゴーギクが面白い。

第1楽章など、畳みかけるところがいくつかあって、実に面白く聴ける。精力的で元気もある。「あ、ここでこんな風にヤルかなぁ・・・」という部分が随所に出てくる。演奏そのものは端正な感じで、品は悪くないのだが、1960年代のベートーヴェン演奏ってこんな感じだったのかしら。
ボストン響の弦は、シルクタッチで美しい。田舎に着いたときの晴れやかな気分が、浮ついたものにならないのは、この弦楽セクションがあってこそ。

第2楽章は素朴な演奏。ボストン響の響きはやや暗めで落ち着いた、シックなもの。ギラつかないのがイイ。
ラインスドルフの指揮は、ここではオーソドックス。穏やかにすすめてゆく。
木管が目立って巧い。名手揃いなのだろう、実に達者で音楽的な味わいに満ちた演奏。シルクタッチの弦楽セクションばかりでない、管楽器のブレンドもなかなかのものだと思う。

第3楽章から4楽章は、精力的で迫力が増してくる。独特のアゴーギクが戻り、それにオーケストラがよくついていっていると思う。アンサンブルは緊密で、崩れなし。大音量でも響きが濁らないのはさすが。

そして感動の終楽章。アンサンブルはピタリと合って、崇高な精神を伝えてくれる。あらゆるものへの感謝。そして慰藉。謙虚に、素直に、この感動的な終曲を味わいたい。

録音はこの時期としては標準でしょうか。
今の耳で聴くと少々古ぼけてきたような感じもあります。
ま、貰いモンですからね・・・・・。

<「田園」は沢山聴いてきました。少し整理しておかないと・・・>
◆カイルベルト/バンベルク響
◆クレンペラー/フィルハーモニア管
◆バーンスタイン/ウィーン・フィル
◆カラヤン/ベルリン・フィル(1980年代録音)
◆ベーム/ウィーン・フィル
◆C・デイヴィス/ドレスデン・シュターツカペレ
◆ワルター/コロンビア響
◆ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管
◆アバド/ウィーン・フィル
◆マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管
◆ヨッフム/ロンドン響
◆セル/クリーヴランド管
◆スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ
◆ケンペ/ミュンヘン・フィル

2007/02/12のBlog
3連休の目標は3日で30㎞の走破。
まあ、走破といっても、トコトコと歩かない程度でジョギングするだけなんですが、距離を伸ばしていくと、なるほど体重は落ちます。今月に入って距離を伸ばし始めたら、途端に2㎏減。この分で頑張れば、5月の連休までに5㎏くらい落とせるかもしれませんな。(少々のリバウンドも含めて)

さて、今日もLPをノンビリ取り出して。

ベートーヴェンの交響曲第7番イ長調作品90。
オトマール・スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏。
1981年8月、東ベルリン(当時)のイエス・キリスト教会での録音。DENON原盤。

DENONの録音が見事で、発売から25年を経た今も素晴らしい音で聴けるベートーヴェン。
B&Kのマイクを使用して、その録音の良さが、全集一枚一枚の発売ごとに話題になったレコードでもある。
LPの中袋(ポリ袋)がフタつきの立派さ。当時、殆どの国内メーカーがちゃちなポリ袋だったこともあって、DENONからはLP制作の愛情が伝わってきたものだ。さすがにレコードプレーヤやカートリッジを製造販売していたメーカーだと思う。今も銘機が多い。

さて、演奏は質実剛健で実直素朴なベートーヴェンが聴ける。
テンポは中庸からやや遅め。速度を上げることを重視していない演奏と云えるかもしれない。

第1楽章など、実に落ち着いた演奏。
第7交響曲は、曲そのものが持つ異様さ(作曲者の精神の高揚というか、テンションの高さ・鼻息の荒さのような・・・)のためか、リズムとスピード感で駆け抜けてしまう演奏が多いように思う。スウィトナーは、そういう方向で演奏させない。着実、堅実な足取りのベートーヴェンをつくってゆく。響きも比較的渋め。派手な音響にならないのが、スウィトナー流だと思う。
ベルリン・シュターツカペレの音も、充実しきって素晴らしい。やや暗めの音色で、暖かくふっくらとした響きを前面に押し出しながら、音楽の中身ははち切れんばかり。
伝統的なスタイルの中に、現代的な洗練を加えたベートーヴェンという感じ。
一聴、型にはまった古風なベートーヴェンとしか思えなかったのだが、聴き返すほどに味が出てくるような、面白い演奏でもある。
確かな手応えというか、静かな感動というか・・・・阿鼻叫喚で終わってしまうベートーヴェンとは一線を画す、着実な演奏だと思う。

教会の音響が実に心地よい。
木管の倍音の美しさ。ヴァイオリンの高音がスーッと消えてゆく、その余韻の美しさ。
それらに包まれる安堵感。ゆっくり腰掛けて、左右のスピーカーからの音響に身を浸すのは実に快感です。

今も、最も良い音で聴けるベートーヴェン全集。
CDでの全集は廉価盤化され、5000円で買えてしまう時代です。


<ベートーヴェンの交響曲第7番 自己リンク>
■クーベリック/ウィーン・フィル
■ムーティ/フィラデルフィア管
■ティーレマン/フィルハーモニア管
■マッケラス/ロイヤル・リヴァプール・フィル
■ブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ
■コンヴィチュニー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管
■オクトフォロスの9声部ハルモニー版
■ガーディナー/オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティーク

2007/02/11のBlog
3連休の初日は、少し距離を伸ばして11㎞のジョグ。
田んぼ道を走っていると、菜の花が満開。野鳥の声も大きくなった感じがします。
少々風が強かったんですが、ジョギングしながら、着実に春が来ていることを肌に感じました。

さて、今日はマーラーの交響曲第4番ト長調。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏。
ソプラノ独唱はエディット・マティス。
1979年2月の録音。DG原盤。

美しい、ひたすら美しさを追求した、耽美的なマーラー。
オーケストラがスゴイ。個々のメンバーは完璧なテクニックを誇り、アンサンブルも鉄壁、光彩陸離たると云うべきか、もう輝くばかりのマーラー。

マーラーの情念とか諧謔、グロテスクな趣味とはあまり縁がない感じの演奏。
もともとマーラーの第4交響曲は、天国的な美しさを描いたような音楽だと思う。とすると、カラヤンの耽美的な演奏は、この曲にピッタリなのかもしれない。

例えば、第2楽章。
ホルンの美しいこと!ゾクゾクするような魅惑に飛んだ吹き方。第5交響曲では、第3楽章がホルン協奏曲のような感じになるのだが、この4番の第2楽章はその先取りか。
ヴァイオリンはもちろん素晴らしいのだが、ストリングス全体のレガート奏法が美しく、実に柔らかく優美な弾き方。アンサンブルがよく揃っているせいか、聴いていてヒンヤリした感触もある。クールで透明感のある響き。爽快でスッキリした響き。オケの編成によるものでもあるのだろうが、ベルリン・フィルは、やはりスゴイと思う。

カラヤンの演奏としての白眉は第3楽章以降。
テンポは遅く、ゆったりとした音楽の運び。弦楽合奏の響きが実に綺麗。清澄で透明感のある響きに包まれてゆく安堵感、充足感。

終楽章も遅い。ゆったりとした豊かな歌。
このころのマティスはとても良かった。テキストの発音も綺麗で、分かりやすい。
カラヤンの指揮は陰影をクッキリさせて、音楽の隈取りが濃い。前の3つの楽章が淡々と振っている感じだったのに、ここへ来て、グッと演出を加えている。強弱緩急の差をつけながら、カラヤン流の解釈を押し出してくる。少しグロテスクな感じも出てきたかな。

録音も上々。
アナログ最後期の録音で、大変美しい。
特にLPで聴くと、独特の温もりがあります。

カラヤンが「マーラー指揮者」だったかどうか、よく分かりませんが、こういう美しい演奏を聴くと、3番や7番「夜の歌」をカラヤン/BPOで聴いてみたかったと思います。

とりぷるさんのブログ「Beautiful Sunset」では、室内楽版の演奏が紹介されています。
マーラー : 交響曲第4番(室内楽版)(スイスNovalis)

<例によって自己リンクです>
●ノイマン/チェコ・フィル
●マゼール/ウィーン・フィル
●インバル/フランクフルト放送響
●タバコフ/ソフィア・フィル
●ベルティーニ/ケルン放送響
●シノーポリ/フィルハーモニア管
●ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管
●クーベリック/バイエルン放送響
2007/02/10のBlog
久しぶりのおしめりでした。
どんよりと暗い空、しとしと雨。いかにも春先の雨で、湿った空気も早春の匂いでありました。2月も中旬、もうすぐ春です。

昨日はDoblogのメンテナンスということで早朝更新が出来ませんでしたが、午前中には復旧していたようです。ここは時々、突然のメンテが入ります。そういう日は無理せず僕はノンビリしてます。
さて、ここのところ、アクセス数が増えています。検索ロボットなのか、クラシック音楽ブームなのか、何とかリーダーでしたかね?・・・そのせいなのか、よく分かりませんが、初めてご覧になる方もいらっしゃると思います。どうぞよろしくお願いします。

さて、今日はシューベルトの交響曲第4番ハ短調 D.417 「悲劇的」。
ホルスト・シュタイン指揮バンベルク交響楽団の演奏。
1986年5月の録音。オイロディスク原盤。日本では今BMGが発売しているシューベルト交響曲全集から。

これはシューベルト19歳の時の作品。二十歳に満たない青年の作品とはとても思えない完成度の高い交響曲で、彼の天才が遺憾なく発揮されている佳品。
解説書を読むと、ベートーヴェンのハ短調を意識したらしいのだが(ということは第五交響曲「運命」か!)、やはりシューベルトは抒情と憂愁の作曲家だったと思う。ここには、ベートーヴェン的な闘争と勝利の風はない。

シュタイン/バンベルク響の演奏には気品が漂う。
シューベルトらしい清らかな音楽の佇まいで、彼の初期作品の古典派的な風貌と、ロマン派に今にも入っていこうとする淡く切ない抒情とが、好ましく再現されている。
シュタインの指揮は、いつもながらの職人気質。妙な演出がないのがイイ。
(尤も、このシューベルト全集全てに云えることだが。)

バンベルク響の音は素朴で渋い。
やや暗い音なのだが、肌触りが自然な感じで、テカテカ・ピカピカしたところが皆無。木製の道具の手に馴染む触感とでも云おうか。弦も管もひなびた味わいで心地よい。
バイエルン州の古都たるバンベルクの、中世的な街並みの反映