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クラシック音楽のひとりごと
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2007/05/14のBlog
爽やかな風、爽やかな空、いい休日でした。
・・・・・にもかかわらず、終日自室にこもって在宅業務であります。
トホホ・・・・。
そういうときは、音楽であります。音楽は沢山「ながら聴き」しましたな。

その中で良かったのは、
グリーグのピアノ協奏曲 イ短調 作品16。
ゲザ・アンダのピアノ独奏、ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィルの演奏。
1963年の録音、DG盤。
懐かしいCDであります。1300円LPグラモフォン・スペシャル(MGWナンバー)で聴いていたものを、CDの廉価盤で買い直した物。それでも当時は2800円の定価がついていた(レギュラー盤は3500円もした時代でありますな)。
CD時代になって、音が良くなったなぁと実感した記憶がある。


第1楽章のオケの伴奏が素晴らしく良い。深々としたフレージングで、望郷の思いを誘うような伴奏。とても抒情的で、先頃聴いたクーベリックのスラヴ舞曲集にも通ずる情感が漂う。美しい旋律を美しく歌わせた名演。スケールも大きいし、オケがまた素晴らしく巧い。フルートやホルンの響きが魅力的。
アンダのピアノは清潔で純粋。一音一音を丁寧に弾いてゆくもので、ゴツゴツした肌触りのところと、柔らかく滑るようなところと、鮮やかに弾きわけている。聴いていて楽しい。ニュアンスも多彩でテクニックも万全。クーベリックとの呼吸もピタッと合っている感じ。

第2楽章もオケの序奏が美しい。この弱音の楚々とした響きはグリーグの美質だが、クーベリック/BPOはその美しさを余すところなく表出してみせる。素晴らしいと思う。ロマン派の音楽を振らせたら(特に国民楽派)、やはりクーベリックは上手い。
そこに滑り込んでくるアンダのピアノが、また純白に輝いて綺麗なこと。真珠の光がこぼれるような感じ。左右のスピーカーの間から、その光が見える・・・・・ような錯覚に陥る。ホンマに綺麗。

終楽章はアンダのピアノの多彩さが聴きもの。意識的にテンポを揺らして、実にメランコリック。そしてロマンティック。前の2つの楽章では抑え気味だったアンダの情念が、ここで表に出てきているようで面白い。オケもよくついていて、壮大なフィナーレを迎える。


録音から40年以上。
でも、聴きやすいエエ音してます。
長いことレコードで聴いてきたものなので、演奏そのものは愛着深いです。
その愛着が、録音の古さを忘れさせる・・・・というより、古さが懐かしさを誘う感じです。
若い頃、一生懸命聴いていた自分を思い出すような・・・・・面はゆさと云いますか。
2007/05/13のBlog
穏やかな初夏の一日を、僕は何と休日出勤でありました。
たまっていた書類の山を片付けて、ホッと一息ついたのが黄昏時。
ヤレヤレであります。
おかげさまで、日曜日は休み。といっても在宅業務持ち帰りですが・・・・・(^^ゞ。


さて、今日はセルのベートーヴェンを聴きます。

ベートーヴェンの交響曲第8番 ヘ長調 作品93。
ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏。
1961年、セヴェランス・ホールでの録音。CBS盤。
(我が家の1300円廉価盤LPでは、1959年10月30日の録音になっております)

テンポ・リズム・造形、どれをとっても完璧。全くスキのないアポロン的な名演。・・・・というと大袈裟な、まさに大讃辞になってしまうのだが、いやはや、もう神がセルをして音楽を語らせた、としか云いようのない名演。
これだけ均整のとれた構成で、しかも全編にわたって緊張感を保ち続けながら最上級のパフォーマンスを聴かせてくれる演奏は、チト他には考えられない。

セルより情熱的な演奏はナンボでもあるだろうし、カッコよく演出巧みな演奏だっていくらでもあるだろう(・・・僕はミーハーなので、そういう演奏も大好きでっせ)。
でも、セルほど高潔でなおかつ高次元で、この交響曲をまとめあげた指揮者は他にいなかったんじゃないかと思われる。

第1楽章の開始から精緻で精密なオーケストラ演奏が楽しめる。「究極」なんて、そうそう使いたくない言葉だが、セル/クリーヴランドの潔癖な演奏で聴くと、この言葉を安売りしたくなる。もの凄い合奏。

第2楽章は愛らしいメトロノーム楽章。完璧なバランスでオーケストラが鳴っているのが分かる。セルのコントロールが行き届いているのが伝わってくる。正鵠としか云いようがないテンポ。自然なアーティキュレーション。
全く、確信に満ちた表現だと思う。

第3楽章は、中間部での、ホルンの響きにクラリネットが絡むところが息を呑む美しさ。そして、その2つの楽器の前で、チェロがリズムを着実に刻みながら、アンサンブルを整えているのも素晴らしい。こういうのを有機的なアンサンブルというんだろうな。

終楽章は慌てず騒がず、テンポは自然なもの。性急な感じは一切ないのに、聴き手に踏み込んでくる迫力、畳みかけてくる重量感がスゴイ。
セルは煽ったりしない。古典的で清潔端正な佇まいは終始一貫している。これほど背筋が伸びて姿勢の良いベートーヴェンは、ちょっと思いつかない。素晴らしい。

ああ、ベートーヴェンを聴いたなぁ・・・・と心の底から満足できる演奏であります。

このCDで聴く録音は、やはりイマイチ。
低域を少し持ち上げて聴くとちょうど良い感じ。
高音のきつさが和らいで、聴きやすい音になります。
2007/05/12のBlog
まさに風薫る五月。
サラッと爽やかな一日でした。こういう日はクラシック音楽を聴くのが楽しい!
ソファに深く腰を下ろして聴いていると、実に心地よく、次第にウトウトと・・・・・。
何という贅沢。これ、王侯貴族の気分ですか・・・・(^^ゞ。

さて、今日は室内楽を。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 作品59-1「ラズモフスキー第1番」。
ウィーン・ムジークフェライン弦楽四重奏団の演奏。
(演奏団体の名前が長すぎて、このDoblogではタイトル欄に入りきらない・・・・ Wiener Musikverein Quartett ・・・ということでWMQと略してエエんかな?)
1990年9月、ウィーンでの録音。タワーレコード発売の廉価盤全集からの1枚。

ラズモフスキー1番は、英雄交響曲だろう。
勇壮な開始、ヒロイックな主題、理想を追い求める真摯な音楽。
少々押しつけがましいところもあるが、それがまたベートーヴェンだわなぁ。でも、この真面目さからは、純粋な魂、懸命な青年の声(青年といってもこのとき作曲者は35才くらいのはずだが)が聞こえてくる。

演奏は素晴らしいのひとこと。

第1楽章の緊密なアンサンブルが印象的。合奏の息が合うと、こんなに澄みきった響きになるのかと思う。実に透明で、爽快な音。
録音の良さもあるのだろうが、突き抜ける高音と胸にしみる低音とが綺麗にブレンドされ、得も言われぬ美しい響きになっている。

ウィーン・ムジークフェラインSQの採るテンポは自然で、いきり立ったところがない。フレージングも伸びやかで心地よい。ウィーン的な柔軟さと、現代的な切れ味を併せ持った演奏とでも云おうか。
ライナー・キュッヒルのヴァイオリンは、天馬空を行く闊達さ。巧い。綺麗。ポルタメントもヴィヴラートもうっとりする。

第2楽章の理屈っぽさも、このSQで聴くと楽しい。音が透明だからかな。

第3楽章では、痛切で清冽な哀しみが奔る。二つのヴァイオリンの泣きの表情は美しい。それにもまして、ヴィオラの渋さがイイ。忍び泣き。
アンサンブルはここでも素晴らしく、4つの楽器の余韻が同時に消えてゆくときの美しさは、壮絶ですらある。

終楽章は中期ベートーヴェンの潔さ。
激しく熱く、時にしんねりむっつり、いかにもベートーヴェンかな。演奏に歌があるのもイイ。名演と思う。


録音は抜群。弦楽四重奏曲で、これだけの音を聴かせてくれたら大満足。
余韻が美しく、大変気持ちがエエです。
だからウトウトしてしまったんですかいなぁ・・・・・・・・。
2007/05/11のBlog
蒸し暑さから一転、冷涼な一日でありました。
五月の風が涼しい・・・・というより寒いくらい。これ、体調に悪いですな・・・・と書こうとしていたら、風邪気味であることに気づきました。
何ということ、風邪など引くとは何年ぶりか・・・・・・こりゃイカン。
こういうときはモーツァルトを聴いて、サッサと寝てしまいたいもんですな。

そこで、今日はモーツァルトのピアノ協奏曲第17番 ト長調 K453。

アンネローゼ・シュミットのピアノ独奏、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。
1970年~77年頃、ドレスデンのルカ教会で録音。ベルリン・クラシックスから出た輸入廉価盤のCD10枚組全集から。

第1楽章の序奏がとても可愛らしい。軽やかで愛くるしい旋律なのだが、ドレスデン・フィルの響きが美しくスッキリしている。五月のそよ風のように明るく爽やかさ。
シュミットのピアノも明快にして軽快。全く可愛らしい。タッチは柔らかく、しっとりと落ち着いた響きが好ましい。曲想にピッタリの弾き方で、聴いていてウンウンと頷いてしまった。シュミットの微笑みが浮かんでくるような演奏。彼女の全集の中でも、ごの17番は最も良い出来なのじゃないかと思わせる。晴朗で爽やかな旋律、幸福感や輝きに満ちたピアノとオケ、実に素晴らしい。
特にカデンツァが良い。咲き誇る花のような美しさ。

第2楽章は恋人の甘い語らい。ピアノの響きは、柔らかく、暖かく、軽く、やさしい。
曲想が微妙に変化してゆくのをシュミットは的確に捉えて、丹念に弾いてゆく。華やぎから暗鬱の表情へ、また軽快な表情へと、モーツァルトらしい移ろいのなかで、ピアノは通してデリケート。
彼女のピアノの音色は桜色。少し頬を染めたような音色といった趣で、ニュアンスに富んでいるのがイイ。

フィナーレも愛らしい。愉悦に富んで、しかもリズミカルな仕上げ。
心浮き立つようなロンド。やや湿気を含んだ色気も感じる。ああ、美しい。
そして、モーツァルトを聴いた後の幸福感が、この演奏からもこみ上げてくる・・・。


この全集は、さて、世評はどうなんでしょう。
オケもイイし、演奏は味わい深く何度聴いても飽きません。
熱情激情的なモーツァルトではないですし、才気の閃きが迸るようなものでもありません。
でも、日常的なモーツァルトはこんな感じかなと思います。毎日食べても飽きないコメのメシのような演奏とでも云いましょうか。

録音はアナログ時代の好録音。
今も、柔らかく、ホッとするような穏やかさであります。
2007/05/10のBlog
暑い一日でした。
四国一帯は真夏日。新居浜では光化学スモッグ注意報が出ました。
陽射しがきつかったですね。久しぶりの注意報でした。

さて、今日もコンセルトヘボウ管の演奏を聴いています。
ただし、録音は昨日のDECCAではなく、本家オランダのフィリップスで。

取り出したのはブラームスのセレナード第1番 ニ長調 作品11。
ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏。
1976年、コンセルトヘボウでの録音。フィリップス原盤のブラームス交響曲全集からの1枚。

ブラームスのセレナードは2曲とも25~6歳の作品で、彼としては幸福な時期(デトモルトの宮廷で宮廷楽団の指揮をしたり夫人たちにピアノを教えたりという)にあたり、その心情がこの曲にもあらわれて、伸びやかでくつろいでいる感じや、牧歌的で穏やかな表情がうかがえる。

何より興味が尽きないのは、このセレナードが、ブラームスの本格的なオーケストラ曲になっていることだ。ブラームスはなかなか交響曲を書かなかったので、この曲はその準備段階に当たるわけで、聴き手としては、面白く聴けると思う。

さて、ハイティンクは絶好調。
録音で聴く限り、1970年代半ば以降、ハイティンクは自信に溢れていったと思う。アムステルダム・コンセルトヘボウ管との意思の疎通も十分で、演奏は格調高く風格豊かなブラームスに仕上がっている。

アムステルダム・コンセルトヘボウ管の音も極上の美しさ。実に渋いブラームス・トーンであって、柔らかい残響とともに、若きブラームスの新鮮なロマンを表出して余すところがない。

そういえば、この時ブラームスはフォン・ジーボルト嬢と熱愛中だったという。伸びやかで初々しい抒情が漂うのは、そのせいかもしれない。
中でも美しいのは、第3楽章。ホルンのみのアンサンブルのところなど、惚れ惚れするほど美しい。センチメンタルな響き、メロディにコンセルトヘボウ管の渋さがまた何と合うことか。いやはや、綺麗。

録音はアナログ全盛期の、大変美しいもの。
フィリップスらしい、またACOらしい、柔らかなブラームス。
極上の一枚であります。
2007/05/09のBlog
若葉風の中、松山への出張でありました。
道中、桜三里の緑が目に眩しかったこと!エエ季節になりました。

その車の中で聴いていたのがシャイーのマーラー。
イイ演奏だったので、帰宅して改めて聴き直しました。

マーラーの交響曲第4番 ト長調。
リッカルド・シャイー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管の演奏。
ソプラノ独唱はバーバラ・ボニー。
1999年9月、アムステルダム・コンセルトヘボウでの録音。DECCA盤。

たっぷりと歌うマーラー。
フレージングが深く、旋律線が十分に歌われてゆく。マーラー独特の対向旋律も注意深く処理されていて、知・情・意のバランスがとれている演奏。
旋律には慎重でデリケートな扱いをしている感じで、その上で、よく歌ってゆく演奏と云うべきか。

そしてコンセルトヘボウ管の音色がとても綺麗。DECCA録音のせいか、コンセルトヘボウ管にしてはやや明るめのトーンで、融け合いが見事。
個々の楽器の響きは鮮烈で、シャープな音がするのだが、全体の音楽として聴くと、実によく融け合っている。このへんが、コンセルトヘボウ管の美質だろうな。

全楽章とも、シャイーの繊細な歌とオケの美しさにほれぼれするが(録音も抜群で、オーディオ的な快感もある)、特によいのは第2楽章。
ホルンやソロ・ヴァイオリンのダイナミックな響きは格別だし、歌も良い。

静謐な第3楽章ではアンサンブルが素晴らしく、弦楽セクションの響きが全く美しい。

第4楽章でのボニーの歌唱はさすがに見事。リートの歌い手らしい表現力。声も発音も綺麗。清潔でキリッとした歌いぶりが好ましい
言葉を大切にし、情感豊かに盛り上がり歌唱であって、コンセルトヘボウ管との息もよく合っている。シャイーの合わせ方が上手いのかな。(協奏曲ではないけれど)

1999年の録音なので、まあ最新のスゴイ音で聴けます。
DECCA録音の素晴らしさはいつものことですが、特に、このシャイーのマーラー全集は音が良いです。
その鮮烈さは圧倒的。
快感であります。
2007/05/08のBlog
連休明け。
何となくどんよりした気分で仕事再開でありました。そして、蒸し暑かったこと!
初夏の爽やかさよりも、梅雨時の湿気を思わせる陽気でした。
カエルの合唱も日本の夏ですが、この湿度も日本の夏であります。

さて、今日もモーツァルトです。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216。
ジノ・フランチェスカッティのヴァイオリン独奏、、ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏。
1958年のステレオ録音、CBSソニー盤。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は全部で5曲。いずれも1775年に作曲されている。この時モーツァルト19歳。どれも、青春の爽快さを感じさせる名作だと思う。おそらく、モーツァルト自身が独奏者となってザルツブルクで弾いていたのだろう。

この3番も、青春時代のモーツァルトの爽やかさがよく出ている佳品。若々しく清らかな美しさが伝わってくる。

フランチェスカッティのソロが全く美しい。珠玉の美しさ。
鮮烈とか輝かしいというより、上品に光を反射する真珠のような美音と云うべきか。
技巧も万全で、第1楽章のカデンツァなどはため息が出るほど綺麗。

ワルターの伴奏がまた素晴らしい。
柔らかく温かく、ふっくらとしていて実に心地よい。母性的な温かさ。第1楽章の序奏部からして、ホッとする感じの管弦楽になっている。
この時ワルター82歳。19歳の音楽を、あの老大家・名指揮者が誠実に指揮しているだけでも涙が出そうな話だが、第2楽章のアダージョの美しさなど、得も言われぬ風情だと思う。
間もなく最期のときを迎える大指揮者の名演と思う。

ベテラン同士の音楽だけに、全編が味わいに満ちた名演だと思うが、特に第2楽章は優美で情感豊か。ロマンティックな解釈だと思うし、今の耳で聴くと様式的にチト古いのかなとも思うが、この感情細やかな演奏は代え難い魅力。
指揮もソロも素晴らしい。


録音は、いまから半世紀前のものとは思えないくらい良好であります。
オケの柔らかさも、ソロの美しさもよく録れていると思います。
良いコンビでありました。
2007/05/07のBlog
連休の最終日は、四国は雨でした。初夏の雨です。
我が家周辺の田んぼには水が入りましたので、早速カエルの合唱が始まっています。毎年のこととはいえ、自然の生命力はスゴイですな。早くもカエル集団の登場です。これから真夏まで、夜の静けさはなくなります。
でも、自動車の排気音や人々の嬌声よりはマシかな。都会に比べりゃ、静かなもんです。

さて、今日はモーツァルトの室内楽を聴きます。

モーツァルトのフルート四重奏曲集。
バルトルド・クイケン(fl)・コレギウム・アウレウム団員による演奏。
1975年11月、ドイツのシュヴェッツィンゲン・狩の間での録音。ドイツ・ハルモニアムンディ原盤。

フルート四重奏曲は全4曲。
1 フルート四重奏曲第1番ニ長調 K.285
2 フルート四重奏曲第2番ト長調 K.285a
3 フルート四重奏曲第3番ハ長調 K.Anh.171(285b)
4 フルート四重奏曲第4番イ長調 K.298

バルトルド・クイケンのフラウト・トラヴェルソの音色が、実に素朴でひなびていて味わい豊か。現代楽器のフルートを聴き慣れている耳には実に新鮮で清冽、清々しく聞こえる。暖かく、柔らかく、そして古拙・稚拙の美しさと云うべきか。
聴いていて微笑ましくなるような愛らしい音。

クイケンの技巧は確かなものだが、録音当時まだまだ若かったクイケンの華やぎも感じる。瑞々しく精気に濡れた演奏ぶり。
表現も多彩で、ニュアンスの表出も巧いもんだと思う。後年、押しも押されもしない大家に成長するバルトルド・クイケンの、若き演奏として注目していいかもしれない。

バックのコレギウム・アウレウム合奏団員の演奏も見事。ヴァイオリンは、フランツ=ヨーゼフ・マイアー。コレギウム・アウレウム合奏団のコンマスを長らく務めた名手が参加している。
オリジナル楽器の青っぽい響きが何とも爽やかで、清々しい。清涼飲料を飲んだときの、スーッと喉を通ってゆく快感。

録音も最高水準と思う。アナログ全盛期の柔らかさ。
残響成分がとても美しく、ステレオの前で目を閉じると、録音場所の「狩の間」で聴いているような錯覚に陥る生々しさ。
素晴らしい音で今も聴けると思います。
2007/05/06のBlog
今日はルチアーノ・パヴァロッティが歌うイタリア民謡集。

オケはナショナル・フィルハーモニー管弦楽団やボローニャ市立歌劇場合唱団など。指揮はジャン・カルロ・キアラメッロら。
1970年代の録音が中心。DECCA原盤。

ワタクシ、高校の芸術選択は音楽でありまして、学期に一度、歌唱試験がありました。
その学期で歌った歌を選んでもよし、時には自分の自信のある歌を歌っても良し、まあ「自由曲」みたいなもんですな。
高校2年生の頃だったか、習ったばかりの「カタリ・カタリ」が気に入っていて、よし、コイツを歌ってやろうと練習はしたものの、本番では声が枯れていて上手く歌えませんでした。ワタクシは応援部であったのです。男子校でありました。
エールや応援歌は得意の蛮声でありましたが、なにせ、歌曲は上手く歌えない。コブシを回しちゃアカンのですな。イタリア民謡、ナポリターナならなおさらであります。三波春夫は歌えるが、当時、音楽の時間に習うようなまともな歌は歌えまへん。
しかもワタクシの前後は音楽部の生徒で、これがまた当時ウマイの何のって、一人はテノール、一人はバリトン、いやぁ、上手だったなぁ・・・・。
結局、ガラガラ声の「カタリ・カタリ」でありまして、大恥をかいたものの、しかし、「オマエは応援部だから仕方ねえな」と音楽教師の言葉は嬉しかったなぁ・・・・。
だから、今もイタリア民謡集は好きです。青春の面はゆい思い出を残しつつ・・・・。

閑話休題。

今日の歌唱は名にしおうハイC・ルチアーノ・パヴァロッティ。
もう最高。美声で輝かしい。こんな声で女性が愛を歌われたら、照れて顔が真っ赤になるだろう・・・・。

例えば「オ・ソレ・ミオ」。地中海の青い空、屈託ないイタリア男の明朗さ。素直な歌唱がまた実にイイ。そして何より高音の輝き。パヴァロッティこそ、最高のイタリアン・テノールだったと思わせる歌唱。

「帰れ、ソレントへ」も素晴らしいナポリターナ。オケも美しく、DECCA録音も鮮やか。パヴァロッティの美声を余すところなく伝えてくれる。故郷の美しさを讃えた感情の盛り上がりも良い。

「フニクリ・フニクラ」は火山の登山電車のCMとして作られた歌だが、日本でも菓子のメーカーが使っていた(子供の頃、バターココナッツか何かのCMをよく聴いた)。気持ちいいくらいに声が出ている、パヴァロッティの声量が素晴らしい。

そして、「カタリ・カタリ」。懐かしさもあって、涙が出るほど素晴らしい歌唱。こんな風に歌えたら幸福だろうなぁ。

あ、パヴァロッティの美声は、聴いているだけで幸福になります。
屈託ない明るいナポリターナ。

全曲聴いていたら、スパゲティを喰いたくなってきた。
妻自慢のパスタを作ってもらおう。
ミートソースより・・・やはり、ナポリタンかな。


CDは全部で18曲。全曲聴き通すと、オリーヴ・オイルが少しもたれてくるかも。
瀬戸内の白身の魚の淡泊さに慣れてしまうと、少し脂っこい感じになってしまうかもしれません。

1. オ・ソレ・ミオ(ディ・カプア)
2. かわいい口もと(トスティ)
3. 恋する兵士(カンニオ)
4. マレキアーレ(トスティ)
5. 帰れ,ソレントへ(デ・クルティス)
6. 太陽の土地(ダンニバーレ)
7. プジレコの漁夫(タリアフェッリ)
8. 泣かないお前(デ・クルティス)
9. マリア・マリ(ディ・カプア)
10. フニクリ・フニクラ(デンツァ)
11. 情熱(タリアフェッリ,ヴァレンテ)
12. 雨(ナルデッラ)
13. はるかなサンタ・ルチア(マリオ)
14. カタリ,カタリ(つれない心)(カルディッロ)
15. マンマ(ビクシオ)
16. 忘れな草(デ・クルティス)
17. ロリータ(ブッツィ=ペッチア)
18. 禁じられた音楽(ガスタルドン)

2007/05/05のBlog
初夏の陽気であります。緑の風がとても気持ちよいですね。
朝ジョグで、1年でいちばん心地よいのはこの時期です。
風は爽やか、寒くも暑くもなく、心地よい汗がかける・・・・1時間くらいラクに走れちゃう・・・・・さあ、今から風になりに出かけましょう。

今日はチェロを聴きます。
サン=サーンスのチェロ協奏曲第1番 イ短調 作品33。
ヨーヨー・マのチェロ独奏、ロリン・マゼール指揮フランス国立管弦楽団の演奏。
1980年4月、パリでの録音。CBSソニー原盤。

若いときにしかできないことがある。未熟であることや若い・蒼いことが良い方向に働くこともある。
このCDはヨーヨー・マのデビュー盤。ラロやシューマンのチェロ協奏曲とのカップリングだが、特にサン=サーンスが良かったと僕は思う。

この曲は20分に満たない短い協奏曲で、第1楽章から終楽章まで切れ目なく続けて演奏される。単一楽章の中に協奏曲の様式が入っているという、小協奏曲といった趣の曲なのだが、小気味よく洒落ている感じの曲でもある。

マのチェロには華やぎがあり、清廉で清潔な若々しいチェロがとてもイイ。おそれを知らぬ若者の颯爽とした演奏で、意気込みも十分。サン=サーンスの香り高いロマンにふさわしい。

緑の風、迸る冷水のようなチェロの運び。実に気持ちよい。ちょうど、我が町西条の「うちぬき」のようなスッキリした味わい。清々しい冷たさは、初夏の風に実によく合うこと。

特によいのは第3楽章。
ロマン派の協奏曲らしい情念に、デビュー当時のマの青春の憧憬といったものが重なって、鮮烈な印象を残す。

もちろん、少したどたどしさを感じさせる第1楽章の初々しさも良いし、その中で時折思い切り踏み込んでゆくところも良い。
第2楽章は伴奏がデリケート。マゼール/フランス国立管の作る響きが極上。このバックを従えて、マが気持ちよく進んでゆく・・・・。

ああ、若いってイイですね。少々未熟であっても構わんのです。今出来ることでやっちゃえば良いんです。トシ取るうちに出来てくることも多いんですが、若くないと出来ない、やれないことも多いでしょ。聴いていて、そんなことを思ってました。

録音がまたよろしいです。
デジタル初期のものですが、この時期のソニーの録音はなかなかエエですな。
マゼールがフランス国立管を振った「惑星」もこの時期でした。
あれも素晴らしい録音(演奏もエグイ)だったです。
2007/05/04のBlog
後半の連休が始まりました。雲ひとつない青空。
気持ちよかったですね。
そんな中取り出したのが大好きな「田園」であります。

今日は、
ベートーヴェンの交響曲第6番 ヘ長調 「田園」。
フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏。


ドイツのベートーヴェンはこうだ、ドイツの田園はこういうものだ、と云わんばかりの演奏。
説得力あふれる語り口、堅牢な構成、ドッシリした重量感、きっちりしたフレージング。どれを取ってもドイツ風。
ああ、ベートーヴェンはドイツ音楽なんだと(このごろ「軽い」演奏が増えているせいからかな?)、改めて思わされた。

どこから聴いてもコンヴィチュニーのガッシリしたベートーヴェンが聴けるのだが、特に第2楽章のテンポがゆったりしていて心地よい。
克明なアーティキュレーションで、一音一音をゆるがせにしない演奏なので、ゴツゴツした印象なのだが、木管のソロになると、これがまたよく歌い、曲線を描くような柔らかさ。ヴィオラやチェロがしっかりと低音を支えているのがよく分かる。この安定感が、ドイツ風の根源かな。
ゲヴァントハウス管は、飾り気のない、質実に徹した演奏。優美なレガートなどとは無縁の演奏ぶりだが、それでも幸福な気持ちが湧き上がってくる。ベートーヴェンの書いた、最も幸福な音楽の一つだと思うが、コンヴィチュニー/LGOで聴くと、質朴で田舎風の、でも誠実な想いが伝わってきて、心温まる感じ。


第1楽章は素っ気ない感じがあるが、媚びを売らない良さ、誠実さを感じる。
第3楽章のスケルツォでは、弦楽セクションの正確な運びがイイ。
第4楽章の迫力は重低音が強烈。フィナーレは安定感抜群の演奏。


録音も40年以上も昔のものにしては上々。
ああ、ドイツの田園。

そして、伊予西条の田園は、オタマジャクシが可愛らしく泳ぎ始めております。
間もなく蛙の合唱が始まります。
初夏です。


<沢山聴いてきた「田園」の自己リンクです・・・>
◆カイルベルト/バンベルク響
◆クレンペラー/フィルハーモニア管
◆バーンスタイン/ウィーン・フィル
◆カラヤン/ベルリン・フィル(1980年代録音)
◆ベーム/ウィーン・フィル
◆C・デイヴィス/ドレスデン・シュターツカペレ
◆ワルター/コロンビア響
◆ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管
◆アバド/ウィーン・フィル
◆マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管
◆ヨッフム/ロンドン響
◆セル/クリーヴランド管
◆スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ
◆ケンペ/ミュンヘン・フィル
◆ラインスドルフ/ボストン響
◆モントゥー/ウィーン・フィル

2007/05/03のBlog
爽やか昼下がり。緑の風が田舎に吹き渡ります。
ワタシは連休の中日の出勤で、勤労意欲がなく、職場でウトウト昼寝を・・・・・(^^ゞ。
これ、気持ちエエですね。昼寝。
そして、聞こえてくるのはドビュッシーのフルートでありました。

そこで、今日はドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」。
ピエール・ブーレーズ指揮フィルハーモニア管の演奏。
1966年12月、ロンドンでの録音。

髪の毛の一本一本まで見えるような、解像度の高い、克明に描き込まれたドビュッシー。フルートの明晰な響きは全篇にわたって素晴らしく、その他の管楽器も繊細な響きで、聴き手をフランス的な世界に引っ張り込む。

オーボエの鼻にかかったような、ややキツめの音など、いかにもフランス風。
何よりストリングスの洗練された、きめ細やかな音がたまらない。ハープの音も何とも軽やかでデリケート。髪の先まで神経が行き届いている感じの演奏。
オケはフィルハーモニア管。イギリスのオケなのに、音は全くフランス風。これ、ブーレーズの手腕がスゴイのか、ドビュッシーの音楽の力が強いのか・・・・本当にフランスのオケそのものの音。
トゥッティでのオケの厚みは十分。しかし、その音がモコモコ着ぶくれたものではなく、しなやかでサッパリしているのがブーレーズ流。厚いけど重くない、いや、軽いのがカッコイイ。

この録音は、フランス音楽の(というより現代の前衛音楽の)旗手だったブーレーズが、本格的に指揮を始めた、早い時期の演奏だった。

フランス印象派の音楽と云うよりは、現代音楽の扉を開けた作曲家としてのドビュッシーを表現しようとしたのかな。
ブーレーズのつくりだす音楽は、すべてが光に照らされて明るくハッキリと音を出す。この明瞭さは、解像度の高さとでも云おうか、一種独特のドビュッシーだとは思うが、これに慣れてしまうと、他の演奏がボンヤリしたものに聞こえてしまう。
でも、ホンマに素晴らしいドビュッシー。

昼寝しながら耳元で響く音楽としては、最高の贅沢かもしれません。
緑の風に、ドビュッシーのフルートが映えます。
怠け者のワタシは、牧神になってウトウトします。

四国伊予西条、田舎町の田んぼには、水が入りました。
田植えの準備が進みます。