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クラシック音楽のひとりごと
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2007/08/16のBlog
「残暑お見舞い申し上げます。」・・・・と云うより「猛暑」お見舞い申し上げます。
日本全国、どこも暑いようです。

まあまあの風通しの我が書斎も、日中は35度まで気温が上がります。夜でも33度を超えておりました。
エアコンなしには、とてもクラシック音楽を聴けません。
「何か、涼しい音楽はないかいなぁ・・・・・」と思うと、やはりシベリウスなどの北欧系、そしてフランス音楽が心地よいですな。(独墺系はどうも暑苦しくなります (^^ゞ)

そこで、きょうはラヴェルを聴きましょう。

ラヴェルのバレエ「マ・メール・ロワ」。
ピエール・モントゥー指揮ロンドン交響楽団の演奏。
1964年2月、ロンドンでの録音。フィリップス盤。

「前奏曲」から、もう夢見るように美しい音楽が目の前に広がる。
ロンドン響のデリケートな音は、モントゥーが引き出したもの。ホルンが遠くで鳴る、その響きも余情たっぷりで、品が良い。この音で、モントゥーのラヴェルの世界に引き込まれてしまう。
息づかいが深く、自然なアーティキュレーション。無理なところは一つもない、しなやかな音楽が続いてゆく。
弦楽セクションの響きも実にデリケートなのだが、管楽器はさらに繊細。ラヴェル特有の味わい深い管楽器の響きを堪能できる。
たとえば「紡ぎ車」でのオーボエ、「眠りの森の美女」のフルートやクラリネットなど、あえかなる美しさを醸し出して、上品ったらありゃしない。

「美女と野獣の対話」もそう。コントラファゴットが奏でる淡い哀しみ。淡くて繊細だからこそ、余情を含んで哀しみが伝わってくる感じ。それに絡んでくるクラリネットは、もう絶品の美しさ。

「一寸法師」の弦の淡彩。弱音器つきの弦楽合奏がたいそう綺麗。それに乗って、クラリネット・フルートがこれまた美しい。

モントゥーの指揮は大らかな感じ。
ロンドン響のメンバーの自発性を大切にして、伸びやかに演奏させている感じがする。
自由にやらせつつ、生まれてくる音楽はラヴェルの計算され尽くしたデリカシーを十全に表現してしまう・・・・・これぞ大家の芸だろう。
ロンドンのオケ、英国人がこの時代だから多かったろうに、音はまるっきりフランス。脱帽であります。

録音状態は上々。無理にレンジを広げす、穏やかにまとめ上げた感じの録音。
全体的にしっとりした渋めの響き。
聴きやすい音でありますが、これがロンドン響の特徴かもしれません。

さて、ちょいと部屋の温度が下がりましたかな?
2007/08/15のBlog
皆様、残暑お見舞い申し上げます。
ものすごく暑いですね。どこへ行っても暑いです。

この5日間、群馬への出張・埼玉への帰郷・亡父の新盆などを、慌ただしくこなしておりました。そして、全く、どこも暑いのであります。いやはや、参りました。

さて、久しぶりの更新であります。

ヘンデルのオラトリオ「メサイア」(抜粋版)
カール・リヒター指揮ロンドン・フィル、ジョン・オールディス合唱団の演奏。
独唱は、ヘレン・ドナート(S)、アンナ・レイノルズ(Ms)、スチュアート・バロウズ(T)、ドナルド・マッキンタイア(Bs)。
1972~73年、ロンドンでの録音。アルヒーフ原盤(発売はDG)。

格調高く、正調で正統的なヘンデル。
リヒターらしく一点一画もおろそかにしない楷書風の表現。ただ、オーケストラがイギリスの団体なので、大らかでふくよかな耳当たりになっている。
これが良い。ヘンデルはおっとりした感じで聴きたい。バッハなら厳しくてもいいのだが、ヘンデルは穏やかに、時に派手に、豪華にふっくらとした音楽で聴きたいと思う。
(リヒターの手兵、ミュンヘン・バッハ管との演奏だと、峻厳で鋭い感じがするものだから・・・・)

ロンドン・フィルは好演で、特に弦楽セクションが艶やかでよく頑張っている。
ヘンデルの音楽は光に溢れ、輝かしい方が良いようだ。このロンドン・フィルの音はイイ。そういえば、英国人にとっては、ヘンデルは「お国もの」か。

歌手はそれぞれにきっちりした歌唱。
ドナートは癖のないソプラノ。プレーン・ヨーグルトのような清澄さが良い。
バロウズは、こういうオラトリオの方が合っているように思う。オペラよりイイんじゃないか。
レイノルズとマッキンタイアは、力強さが好ましい。

録音は標準的。
合唱がやや詰まり気味なのが惜しいですが。


メサイアの初演は1742年。もう265年前のこと。
時を越えて、ヘンデルの壮大な宗教音楽が、東洋の島国の、そのまた島国の四国の田舎家で鳴り響く・・・・。
音楽の力はスゴイなぁと、しみじみ思います。

ハレルヤ・コーラスはいつ聴いても素晴らしいと思います。
特にリヒターの演奏は感動的。普遍的な美しさ、形而上的な美しさを感じます。
敬虔な気持ちも不思議と湧いてきます。

僕は真言門徒ですが、ヨーロッパのホンマモンの宗教音楽は、確かにすごいと思います。
そして、無事に、新盆を済ませました。
2007/08/09のBlog
今日は名演奏です。
懐かしいLPです。でも、今も色あせない、昨日発売されたといってもいいんじゃないかと思えるほど、新鮮な演奏であります。


ベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」。
カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルの演奏。
1974年3月、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音。DG盤。

天下無敵、並ぶもののないほど圧倒的に力強いベートーヴェン。
強靱な力、燃え上がる情熱、噴出する雄叫び。
劇的で強烈なことでは、他のどの演奏とも違う、天下の名盤。

今更僕が何を云っても仕方ないような、人口に膾炙した演奏と思う。
LP1枚で30分、贅沢に両面を使っての演奏。この短さの中に、凝縮されたエネルギーの強さ・熱さは凄まじい。針を落とした瞬間から、奔流、激流が荒れ狂う。

ギリギリのところまで追い詰められたような、せっぱ詰まった緊張感。たたみかけてくる迫力、そして聴き手の身体ごとどこかに持って行ってしまうような浮力のようなものまで併せ持つ演奏。

オーケストラも必死で演奏している様子。ウィーン・フィルって、こんなに力強い、重心の低いオケだったのかと再認識を迫るような音でもある。

第1楽章から、もう圧倒的な推進力。クライバーの棒が一閃すると、オケが一気にトップ・ギアに入って、しかも最高度の加速を見せる。素晴らしい。

第2楽章の冒頭などは、慰藉としか云いようがない暖かさ。第1楽章の迫力があってこそのものだが、ふわっと漂う優しさは、快感でもある。
若い頃、この演奏を夢中になって聴いたことを思い出す・・・・ああ、クライバーのレコードは月日が経っても色褪せない。

第3楽章は金管の咆吼。凄まじい雄叫び。これだけホルンが鳴るのは、クライバー盤を措いて他にない。デカイ、実にデカイ音。
そして、チェロ・コンバスの低音部の迫力もスゴイ。この重低音は、この演奏の格好良さを支えていると思う。

終楽章は勝利の行進。テンポは快速、ということは勝利のダッシュか。
強靱な意志の力、エネルギーが沸騰している。金管は吼えまくり、ティンパニは最強打を続ける。いや、ホンマに文句なしにカッコイイ。

録音は今も最高レベル。
実にオケがよく鳴っている。これだけ鳴ると、録音の善し悪しなど関係なくなるかも知れません。
いやはや、まさに天下無双の名演でありました。


亡父はクラシック音楽には縁のない人でありましたが、「ジャジャジャ ジャーン」という運命交響曲の冒頭だけは知っておりました。
僕の趣味は、父にとっては「ジャジャジャ ジャーン」であったのです。
久しぶりに、実に久しぶりにクライバーの「運命」を聴きました。

亡父逝って5ヶ月、新盆の準備が出来ました。

では、このブログもお盆休みです。
2007/08/08のBlog
このごろ、ドビュッシーをよく聴いています。
ドビュッシーのサラッとしたところ、時にヒンヤリとするところがイイようです。
・・・・・で。

ドビュッシーのピアノ名曲集。
ミシェル・ベロフのピアノ独奏。
1995年9月、スイスのラ・ショード・フォン、ムジカ・テアトルでの録音。DENON盤。クレスト1000シリーズからの1枚。

先日、NHK教育テレビで、「スーパー・ピアノレッスン」という番組を見た。
ミシェル・ベロフが若い日本の女学生にレッスンしているところで、曲はドビュッシー。久しぶりにベロフを見たような気がする。番組では、彼の言葉の端々に知性と教養が披瀝されて、面白かった。
フランス音楽で大切なのは、響きと色彩と光だという。なるほどなぁ。確かに、ドビュッシーはその三つがないと始まらないわなぁ。

そこで取り出したのがこのCDで、ベロフが健在ぶりを示していたものだった。
1枚もののドビュッシーのピアノ曲集としては、選曲がなかなかよろしい。

1. ベルガマスク組曲
2. 2つのアラベスク
3. ボヘミア風舞曲(ジプシーの踊り)
4. バラード(スラヴ風バラード)
5. 夢
6. ロマンティックなワルツ
7. 夜想曲
8. マズルカ
9. 舞曲(スティリー風のタランテラ)


ベロフのピアノが美しい。濁りのない美しさ。乳白色の磁器のような美しさと輝き。光をうまく使って反射させているような音楽。
タッチは繊細だし、和声は微妙にうつろう、実にはかない美しさ。
音色は刻々と変化して、響きはどこまでもデリケート。
ああ、フランス音楽。美しい。

「ベルガマスク組曲」は、淡々とした中に、様々な味わいと陰影とを盛り込んだ名演。あの有名な「月の光」での弱音のデリカシーは、ベロフならではの表現と思う。これ、僕は好きやなぁ・・・・・。センス・閃きに満ちて、揺れ動く微妙な光が、くすんだ陰を生み出してゆく。
素晴らしい演奏、この短い一瞬が終わるときの、淋しさ。
スピーカーから侘びしさがこぼれてくる。

ああ、夏も終わります。

録音はさすがにDENON。文句なしのいい音です。
ラ・ショード・フォンの音も、いつもながら最高の響きです。

「アラベスク」も「夢」も、美しく響きます。
イイ曲です。うっとりします。

2007/08/07のBlog
田んぼの緑が濃くなる今の時期、海の色も濃くなってきます。
我が家の前に広がるのは瀬戸の内海、燧灘(ひうちなだ)といいます。外海の広がりや陽光、大きな波はないものの、その色はやはり海であって、青が濃くなってきます。

今朝のジョギングは、ふだんより少し足を伸ばして、のんびりと「ひうちの海」を見てきました。のたりのたりと、穏やかな内海。夏の光を浴びた水面を眺めつつ、ワタクシの耳に響くは、ドビュッシーでありました。

そこで、今日は・・・・。
ドビュッシーの「海」。
ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団の演奏。
1955年12月、デトロイトでの録音。マーキュリー原盤だが、フィリップスが発売しているもの。国内盤では1,000円で買えてしまう。

このCD、パレー/デトロイト響の演奏はもちろん素晴らしいのだが、それ以上に、圧倒的な録音がスゴイ!
ドビュッシーの色彩溢れる(天賦の才もあふれる!)音楽を見事にとらえきった録音が素晴らしい。音の輝き、切れ込み、空気感、音場(奥行きも高さも)・・・・唖然とするほど。
1955年の録音、何と、50年以上も昔に、これだけの音で録音できたというマーキュリーこそ、恐るべし。

パレーの指揮は、大づかみにドビュッシーをとらえたもので、とても分かりやすいのが特徴。思い切りよくグイッと絵の具をパレットに絞り出して、神経質になりすぎず、ダイナミックに、色彩豊かに、カンヴァスに描き出したという感じ。
微妙なニュアンスと聴き慣れない和声とで、戸惑いそうな聴き手に対して、よくかみ砕いて分かりやすく案内してくれるような演奏。
謂わば、啓蒙的な演奏。

デトロイト響も好演。オケ全体にまとまりが良い感じで、これはパレーの統率力をあらわすものだろう。
総じて弦楽器がシルクタッチの渋い音色で基調づくり、そして管楽器が色彩的でニュアンス多彩。
時々現れるハープは絶品。味わい深く上品な美しさ。


カップリングの「牧神の午後への前奏曲」も素晴らしいです。
これは見事なドビュッシー・アルバムと思います。
50年以上も前の録音、ただただ感嘆であります。



さて、「燧灘」のネーミングは、古代、白村江の戦いまで遡ります。
あの有名な、教科書にもきちんと載っている663年の対外戦争です。
唐・新羅の連合軍に敗れた倭国は、逆襲を恐れて、瀬戸内地域に朝鮮式山城と烽火(とぶひ)を多数設置します。その「烽火」から付けられた名前のようです。
火を打つから燧灘です。
当地には朝鮮式山城の跡も遺っています。
2007/08/06のBlog
この数日、夕立があります。
おかげで、涼しい夜であります。朝方など、田んぼを渡ってくる風が冷たいくらい。
日の出も遅くなった感じがします。
そういえば、まもなく「立秋」なんですね。

今日も涼やかにフォーレの音楽を聴いてます。
室内楽もエエですね。

フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 作品13。
シェロモ・ミンツのヴァイオリン、イエフィム・ブロンフマンのピアノによる演奏。
1986年7月、ケルンのゼンデザールでの録音。DG盤。

ミンツの颯爽とした技巧が冴え渡り、小気味よく爽快なフォーレになっている。
ブロンフマンのピアノもよくついて、鮮やかな音色でヴァイオリンを支える。
色彩的で華麗な演奏。
録音も良く、二人の息のあった協奏を楽しめる好演盤と思う。

第1楽章はアレグロ・モルト。
ピアノの序奏部から鮮やかな演奏が始まる。フォーレにしては華麗すぎ、ダイナミックすぎるかなとも思うが、ミンツのヴァイオリンが全く綺麗でよく歌うので、スッと引き込まれてしまう。美音のヴァイオリン。
切れ味も鮮やか、サッパリとした心地よさも快感。

第2楽章はアンダンテ。
この楽章はフォーレらしいモノローグが聴ける。内面に静かに沈み込んで、時に我に返りつつも、やはり徐々に沈んでゆく・・・・・そんな演奏。
第1楽章とは一転して内省的な演奏になっている。心の痛みが伝わる演奏と云うべきか。
ミンツのヴァイオリン、その音色は実にイイ。クールな鋭ささえ感じさせてくれる。

第3楽章はアレグロ・ヴィーヴォ。
スケルツォ風の快活さ。フランスよりもスペインを思わせる陽気さもある。ヴァイオリンもピアノも雄弁。それぞれの楽器に託して、より多くのものを語ろうとしている感じ。元気もいい。特にピアノの響きは多彩で、キラキラと輝いている。ブロンフマンはいいピアニストだと思う。

アレグロ・クワジ・プレストのフィナーレは、鮮やかなロンド。
二人の協奏が美しく、楽しく、弾むよう。
ミンツ29歳、若さが爆発、気持ちよく弾ききっている。
若々しく華のあるロンドだと思う。

録音は上々、今も素晴らしい音で聴けます。
ヴァイオリンとピアノのバランスも良く、瑞々しい音で聴けます。
好録音盤でしょう。
2007/08/05のBlog
妻が三男坊と出て行きました・・・・・

・・・って、別に事件ではありません(^^ゞ。大学のオープン・キャンパスです。
大阪の長男・次男と合流、親子4人で水入らずの暮らしです。
高2の三男坊は、大阪を終えたら東京まで足を伸ばす強行軍。元気なもんです。

ワタシは老母と西条にとどまっています。月曜からのプレゼン準備がたまっているのでしゃあないですな。老母の野菜中心「精進料理」を食っております。健康にはこれがエエかも?

さて、今日はLPを取り出してます。

メンデルスゾーンの交響曲第3番 イ短調 「スコットランド」。
オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏。
1960年1月の録音。EMI盤の古いLPです。

クレンペラーの十八番。往年の名盤。
ゆったりとしたテンポで実に風格豊か。そして、メンデルスゾーン特有の品の良さを備えた演奏。

ヴァイオリンの両翼配置が効果を上げていて、左右の旋律の受け渡しが面白いし、オケの音の広がりも楽しめる。

第1楽章はゆっくりとした大河の流れ。メロディを大切に歌い上げて、スケールが大きく、またスコットランドの荒涼たる自然を思わせるクールさも良い。
音の風景画家メンデルスゾーンの名作を、十二分に表出した、これは名演と思う。
この音の大河に身を任せてしまう快感。

第2楽章もテンポを落とした克明な演奏。スケルツォ楽章だがとてもロマンティックで、暗鬱とした曲想がそのままヌッと出てくる感じ。あまり手を加えないクレンペラーらしい率直さと云うべきか。

第3楽章は憂愁のアダージョ。
この曲は1842年に完成し、ヴィクトリア女王に献呈されたもの。あの大英帝国最盛期の女王だ。そして、彼女こそ、この「スコットランド」の書くきっかけとなったメリー・スチュアート女王の物語から数えて9代目の末裔だとのこと。
・・・そんな想いを巡らせながら聴くアダージョは、また格別。
憂いを秘めた音楽の表情がたまらない。

フィナーレは、クレンペラー特有のゴツゴツ感がある。
流麗な演奏の対極にある感じ(たとえば、カラヤン/BPO盤と比較すれば、エライ違いや)。その分、自然なザラつき、手触りが素朴で木質の感触がある。レガートを用いていないのがイイのだろう。
スケールは大きく、巨匠的な演奏でもある。


録音はさすがに古くなった感が否めません。
でもスケール感が十分に伝わってきます。
ボリュームを大きくして聴いていると、クレンペラーの懐の中で、深く大きく気持ちよく呼吸するような感じがします。
2007/08/04のBlog
暑い日が続きます。
真夏の田舎の昼下がり、どこが一番涼しいでしょう?
木陰もないギラギラ照りつける日中、涼しいところがあります。どこか分かりますか?


さて、今日は田舎っぽいブルックナーを聴きます。

ブルックナーの交響曲第7番 ホ長調 「ノーヴァク版」
クルト・アイヒホルン指揮リンツ・ブルックナー管弦楽団の演奏。
1990年4月、リンツでの録音。カメラータ原盤。

「深々とした呼吸。老巨匠のたどり着いた境地!」というのはこのCDのコピー文句であって、いや全くその通りだわいと思う。
自然な録音で、誇張もあざとさも全くない。個々の楽器も実に聴きやすいし、心地よい音場が広がる優秀録音。
こういう録音で聴くブルックナーは、楽しい。

演奏は謂わば、素朴な手作りの民芸品。
テンポはゆったりとして遅く、一歩一歩足下を確かめながら着実に進んでゆく感じの演奏。いたって真面目で、誠実そのもの。
オケもとても真摯。アイヒホルンのタクトに一生懸命反応して頑張っている様子がうかがえるのは好ましい(特に第4楽章)。

巧いオケならナンボでもあるが、こんな風に心がこもっているオケはそうはないんじゃないか。その誠実さに喝采。

それにしても、何と素朴で飾り気のない演奏だろう。
響きは洗練されていないし、表情は野暮ったいほどのブルックナーなのだが、これこそブルックナーの本質かなとも思う。その点では、説得力が強い演奏でもある。
「田舎のブルックナーやなぁ・・・」と思いつつ聴いていると、確かにチェロの響きは深々として気持ちよく、田んぼの中の風のようだし、ヴァイオリン群の優しい響きは、頬を撫でる微風のよう。素朴な世界に引き込まれて、そんな錯覚に陥りそう。

第2楽章など、ホンマに柔らかい肌触り。よく手になじむ木工品。
身を浸すように聴いていると、しみじみと感動が湧いてくる。
ああ、イイ演奏だなぁ。ブルックナーってエエなぁ・・・そう思います。
指揮者と奏者たちの愛情が伝わってくるような、名演と思いました。


さて、冒頭の問題です。
真夏の田舎の昼下がり、どこが一番涼しいでしょう?

それは、田んぼです。
田んぼの中が涼しいんです。今の季節、稲がどんどん伸びてきて、緑が濃くなっています。その中にたたずむときの涼しさ!
特に、田を渡る風の涼しさときたら、こりゃ格別であります。
緑濃い稲を見ていても、飛び交うトンボを見ていても、畦の水路のキラキラとした反射を見ていても、涼しいもんです。

ああ、田舎生活。
2007/08/03のBlog
台風が一気にやってきて駆け抜けました。

夕方から大雨、愛媛近くを通過した夜半には猛烈な風が30分ほど。
今年2回目の台風。豊後水道を通る可能性もあったので、つまり、台風の東側になるかもしれないので、雨戸を閉めて暴風に備えておりました。

おかげで、部屋が静かになってクラシック音楽を聴くにはエエ環境でした。

そこで、今日は静かに聴こうと・・・・・。

フォーレの劇音楽「ペレアスとメリザンド」。
ミシェル・プラッソン指揮トゥールーズ・キャピトル管弦楽団の演奏。
1980年6月の録音。EMI盤。

フォーレらしい、優しく暖かく、穏やかで、ややくぐもった声で奏でたり、語ったりする音楽。どの曲も感情の昂ぶりを抑えて、淡々とした表情で詩を綴ってゆくような音楽。

トゥールーズ・キャピトル管の音がイイ。強引な、無理な音を出さずに、ゆったりと自然に音を紡ぎ出してゆく感じ。アンサンブルは少しゆるめで、シシリエンヌでは僅かだが、ほんの少し、微妙に音がずれる。わざと縦の線を揃えずに、淡く漂うような美しさを表出する。見事と思う。

このCDは、メリザンドの歌を4曲目に挿入して、全5曲を収めている。
1 前奏曲 2 糸を紡ぐ女 3 シシリエンヌ 4 メリザンドの歌 5 メリザンドの死。
4曲目を歌うのは名花フレデリカ・フォン・シュターデ。可憐で清らか、素晴らしい歌唱が聴ける。

いずれも清冽なリリシズムが美しい佳演。透明度が高く、ひっそりとした息づかいや木管・弦楽器の優しい響きは、まさにフォーレ的。

フォーレは世紀末に活躍した作曲家にしては珍しく自己主張の少ない人だったように思う。彼の音楽は、大声を出さず、愁嘆場にならず、抒情が静かに流れてゆく。
同時代の他の作曲家はナルシストばかりだから、余計にその奥ゆかしさ、品の良さ、涼やかなリリシズムが際だつように思う。

人を出し抜いてでも、自分だけ良ければいい。大きな声を出したもんの勝ち・・・・。
このごろのご時世には、こういうフォーレのような音楽が、実に美しく優しく聞こえるものです。

録音は上々です。少し乾いた感じの音なんですが、これがまたフランス的な音作りなんでしょう。
フランスパンが軽くはじけるような、そんな方向の音。
サッパリしたところがエエですな。
2007/08/02のBlog
夏休みとあって、各地で花火大会が行われています。
長い景気低迷の影響で、昔に比べて数が減ったような気がしますが、凝った花火は増えました。
先週末は今治や新居浜でも大きな花火が見えました。

というわけで、今日はヘンデルを聴いてます。

ヘンデルの「王宮の花火の音楽」。
コレギウム・アウレウム合奏団の演奏。
1971年9月、キルハイムのフッガー城・糸杉の間での録音。独ハルモニア・ムンディ原盤で、日本ではテイチクが発売していた。懐かしいLP廉価盤。

「王宮の花火の音楽」は、8年間に及んだオーストリア継承戦争が終結し、1748年にアーヘンで平和条約が結ばれたことに機嫌を良くしたイギリス国王が祝賀行事を思い立ち、宮殿の造営に取りかかったその落成記念行事の音楽として、ヘンデルに作曲させたもの。

当時は軍楽風の編成で管楽器や打楽器を大量に用いた演奏だったらしいが、今は、ヘンデルがあとで弦楽を加えた版によっているもの。ヘンデルらしく、大らかでで明朗豊かな音楽が展開する名曲。
管楽器が活躍するのも楽しく、これ、当時は派手だったろうなと思われる。

コレギウム・アウレウム合奏団の演奏は豪快。
バッハなどでは素朴でひなびた味わいが良い合奏団なのだが、この「王宮の花火の音楽」では、豪華壮麗に楽器を鳴らして、実に屈託なく、胸のすくような快演をものにしている。

特に序曲がスゴイ。
花火が次々に打ち上がる感じの演奏。音楽がふっくらと心地よく、スカッとする爽快さも十分。

録音もイイ。
いつもながら、響きの余韻が美しく素晴らしい。
音は滑らかで、優しく頬に触れてくる感じ。この感触は、コレギウム・アウレウム合奏団ならではと思う。
フッガー城糸杉の間は、まさに「黄金の間」だった。

今の耳で聴くと、アンサンブルは緩めだし、技術的にも一杯一杯の感があって、少し苦しそうなところもあります。
当時としては、それが限界だったんだろうとは思います。
しかし、この響きの余韻と、大らかな息づかいは捨てがたい魅力と思います。
今ではすっかり忘れ去られた感じもしますが、時々取り出しては楽しみたい演奏であります。
2007/08/01のBlog
暑いぞ、暑いぞ。夏だ。たまらんぞ。
仕事など投げ出して・・・・いや逃げ出して、どこかに行ってしまいたい。

どこへ行こう?・・・・山だ、海だ。
どうせ行くなら、涼しいところがエエな。そやそや、「アルプス」に行こう!

という訳で・・・・・。
R・シュトラウスのアルプス交響曲。
ウラディーミル・アシュケナージ指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏。
1988年5月、マソニック・オーディトリアムでの録音。DECCA盤。

冒頭のホルン。「ウルトラ・セブン」そっくりのホルン。
(いえいえ、本家はこちらであって、「ウルトラ・セブン」の方が似ているのであります)
そして、「日の出」でのオーケストラの大爆発。豪華で、しかも清々しい音楽。
DECCAの録音が素晴らしく、楽器がキラキラと輝いている感じ。特に金管が気持ちよい。

アシュケナージとクリーヴランド管はこのころ蜜月関係。ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を弾き振りで録音するなど、元気なときだった。特に、R・シュトラウスの録音には好演が相次いでいたと思う。
アシュケナージの本職はピアノだろうと今も思うが、一連のR・シュトラウスは良かった。彼は耳の良い指揮者だと思う(指揮者はみんな良いのだろうが、特にアシュケナージはイイと思う)。よく整理された音が、煌めきながらスピーカーから零れてくる・・・その輝きが見えるような、そんな演奏だった。

さて、「アルプス交響曲」。
R・シュトラウスの見事な手管に乗って、アルプスの登山をゆったり楽しめる演奏。
(まったく、何でも描写してしまうR・シュトラウスはホンマにスゴイ)

アシュケナージの指揮、「牧場」の描写は丁寧。微に入り細を穿つ表現で、ニュアンス多彩。アルペン・ホルンがことのほか美しい。
「頂上にて」の見晴らしも良い。オケのパワーが素晴らしく、スケール雄大。ブラス・セクションの響きは快感でさえある。DECCAの録音も絶品。
ここから、「雷雨・嵐」を経て「日没」、終曲に至る部分は圧巻。クリーヴランド管の力量が遺憾なく発揮された名演と思う。

R・シュトラウスの大管弦楽を堪能出来る録音であります。
さすがDECCA。
音量を上げて、ガンガン鳴らしてやりたい衝動にかられます。


アルプスに行きたしと思えども アルプスはあまりに遠し
せめては新しきCDを買うて きままなる鑑賞を楽しまん・・・・・。
皆様、暑中お見舞い申し上げます。


「アルプス交響曲」の自己リンクです
★プレヴィン/ウィーン・フィル
★インバル/スイス・ロマンド管
★ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管
★ショルティ/バイエルン放送響

2007/07/31のBlog
土用丑の日。鰻の蒲焼き、喰いました。
近所の魚屋が売りに来るんです。旨かったですな。
ところが、我が家には女が二人おります。わが妻と母。
さすが、魚屋も商売、ちゃんと二人に売りつけました。一人は家で、一人は近所のスーパーの出店先で。やるもんだなぁ・・・・・・。
結局、ワタクシは蒲焼きをダブルで食いました。家族みんなダブルであります。

目覚めた今、身体が少々脂っこい感じがしますので、今朝はランニングを増やしましょう・・・・・(^^ゞ。

さて、猛暑が続きます。涼しい音楽を聴きましょう。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18。
ペーター・レーゼルのピアノ独奏、クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団の演奏。
1981年、東ベルリンのキリスト教会でのアナログ録音。独シャルプラッテン原盤。例のedelのBOXセットで超廉価販売されているもの。

第1楽章から、レーゼルの冴え冴えとして端正なピアノがとてもイイ。
型くずれせず、泣き喚くともなく、上品にまとめ上げてゆくピアノなので、やや自己主張に欠けるきらいもあるが、何回か聴き返していると、独特の味わいが出てくる。スルメのような噛みごたえというか(あとからジワジワと美味がこみ上げてくるような)、熟成した銘酒のようなというか・・・・そんな感じ。

ザンデルリンク/ベルリンSOの伴奏は、大変重厚でどっしりしたものだが、アンサンブルはもう一歩かなという気もする。
個々の楽器の音色の魅力は後退している感じなのだが、その分、均整の取れた演奏という感じ。

第2楽章のオーケストラは真摯で素直な演奏。レーゼルのピアノも同様で、癖がない。プレーン・オムレツの味わい。こういうシンプルなラフマニノフもイイ。
レーゼルはロシアで学んだピアニストだが、あまりロシア臭がない。
ただ、この楽章特有の憂愁の思いとロマンティックな憧憬は、非常に美しい。ムード音楽寸前の危うさを秘めつつ、レーゼルは美しく歌い上げてゆく。
オケは弦楽器が秀逸。ふっくらと包み込む美しさ。

第3楽章はゆったりとしたテンポで、ピアノもオケも抒情的に歌い上げる。
素晴らしい協奏、そして美しい演奏。
レーゼルのピアノは、ここでも端正で素直な感じ。弾き崩さないのがイイ。こういう演奏は好感が持てる。
ザンデルリンクの指揮は立派。重量感のある伴奏は、フィナーレに相応しい。

録音状態は今も素晴らしい。
アナログ録音だが、解像度高く、十分に美しい。
アナログ録音時代の最末期、柔らかくふっくらしたエエ音です。