Blog
2008/02/14のBlog
[ 03:41 ]
[ 交響曲 ]
天気情報によれば、この冬一番の寒波襲来とのことです。
確かに寒い。伊予路も震えております。雪も舞いました。
寒いときはシベリウスです。
シベリウスの交響曲第6番 ニ短調 作品104。
オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団の演奏。
1997年の録音。BIS原盤の全集から。
ラハティ響の清澄な響きが素晴らしい。北欧の澄んだ空気、冷涼な風、時に凍てつく大地のような、そんなイメージが左右のスピーカーの間に浮かび上がる。
第1楽章の弦楽器の繊細でクールな響きは、なかなか他のオケでは聴けない。実に新鮮で、透明感あふれる音。オーケストラの編成は少し小さいのかな、音が軽快で、爽やかに流れてくる。その爽やかさこそ、シベリウス。弦のトレモロの味わいなどは格別に美しい。
第2楽章はアレグレット・モデラート。旋律が幾つも重なってくる感じ。
メロディを楽しむより、オケ全体の響きに包まれる楽しさの方が強いかな。晦渋な音楽を、ヴァンスカは精力的に指揮してゆく。オケの反応も素晴らしい。機動力があるというか、指揮者とともに共感度が強いというか、自分たちの音楽を楽しんでいる様子が聞こえてくるのは嬉しいものだ。
第3楽章ポコ・ヴィヴァーチェは雄壮。ラストの高揚が素晴らしい。
フィナーレはアレグロ・モルト。最もメロディアスな楽章。クールな抒情が味わい深い。ラハティ響のアンサンブルが実に美しく、ステージの奥まで見通せるような透明な音楽がとても良い。ヴァンスカの指揮も精妙に尽きる。特に音の余韻、余情が美しく、神経を隅々まで行き届かせるデリカシーがイイ。
録音は最高です。さすがにBIS。素晴らしいです。
ダイナミック・レンジが大きく、かそけきpppから大音量のffまで、スッキリと録られています。
左右のスピーカーの間にくっきりと各楽器が定位します。そのクッキリ・スッキリした音は、シベリウスの音楽にふさわしいと思えます。
CD激安の時代、シベリウスの交響曲全集も手ごろな価格で入手できるようになりました・LP時代は高価だったので、C・デイヴィス/ボストン響の全集(フィリップス盤)くらいしか買えませんでした。5枚組7,500円でした。
今や、3,000円程度でナンボでも入手できます。バルビローリ/ハレ管、マゼールはVPO盤(DECCA)にピッツバーグ響盤(ソニー)などは安価で買えます。ザンデルリンク/ベルリン響盤は早くから廉価盤化しておりました。シベリウスのスペシャリスト、ベルグルンド盤もヘルシンキ・フィル盤(EMI)に加えて、最新のヨーロッパ室内管盤(FINLANDIA)も安くなりました。ついつい購入してしまいますね。
松山では、椿神社の例大祭(いわゆる「椿さん」)が始まりました。この「椿さん」が終わると、伊予路に春が来ます。もう、間もなく春です。
大学4年の長男が大阪から戻りました。後期試験を無事終え、退官教授の送別もすませ、あとは卒業を待つばかりとなりました。ここにも、間もなく春・・・があります。
確かに寒い。伊予路も震えております。雪も舞いました。
寒いときはシベリウスです。
シベリウスの交響曲第6番 ニ短調 作品104。
オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団の演奏。
1997年の録音。BIS原盤の全集から。
ラハティ響の清澄な響きが素晴らしい。北欧の澄んだ空気、冷涼な風、時に凍てつく大地のような、そんなイメージが左右のスピーカーの間に浮かび上がる。
第1楽章の弦楽器の繊細でクールな響きは、なかなか他のオケでは聴けない。実に新鮮で、透明感あふれる音。オーケストラの編成は少し小さいのかな、音が軽快で、爽やかに流れてくる。その爽やかさこそ、シベリウス。弦のトレモロの味わいなどは格別に美しい。
第2楽章はアレグレット・モデラート。旋律が幾つも重なってくる感じ。
メロディを楽しむより、オケ全体の響きに包まれる楽しさの方が強いかな。晦渋な音楽を、ヴァンスカは精力的に指揮してゆく。オケの反応も素晴らしい。機動力があるというか、指揮者とともに共感度が強いというか、自分たちの音楽を楽しんでいる様子が聞こえてくるのは嬉しいものだ。
第3楽章ポコ・ヴィヴァーチェは雄壮。ラストの高揚が素晴らしい。
フィナーレはアレグロ・モルト。最もメロディアスな楽章。クールな抒情が味わい深い。ラハティ響のアンサンブルが実に美しく、ステージの奥まで見通せるような透明な音楽がとても良い。ヴァンスカの指揮も精妙に尽きる。特に音の余韻、余情が美しく、神経を隅々まで行き届かせるデリカシーがイイ。
録音は最高です。さすがにBIS。素晴らしいです。
ダイナミック・レンジが大きく、かそけきpppから大音量のffまで、スッキリと録られています。
左右のスピーカーの間にくっきりと各楽器が定位します。そのクッキリ・スッキリした音は、シベリウスの音楽にふさわしいと思えます。
CD激安の時代、シベリウスの交響曲全集も手ごろな価格で入手できるようになりました・LP時代は高価だったので、C・デイヴィス/ボストン響の全集(フィリップス盤)くらいしか買えませんでした。5枚組7,500円でした。
今や、3,000円程度でナンボでも入手できます。バルビローリ/ハレ管、マゼールはVPO盤(DECCA)にピッツバーグ響盤(ソニー)などは安価で買えます。ザンデルリンク/ベルリン響盤は早くから廉価盤化しておりました。シベリウスのスペシャリスト、ベルグルンド盤もヘルシンキ・フィル盤(EMI)に加えて、最新のヨーロッパ室内管盤(FINLANDIA)も安くなりました。ついつい購入してしまいますね。
松山では、椿神社の例大祭(いわゆる「椿さん」)が始まりました。この「椿さん」が終わると、伊予路に春が来ます。もう、間もなく春です。
大学4年の長男が大阪から戻りました。後期試験を無事終え、退官教授の送別もすませ、あとは卒業を待つばかりとなりました。ここにも、間もなく春・・・があります。
2008/02/13のBlog
[ 05:37 ]
[ 室内楽曲 ]
このごろ、交響曲ばかり聴いてましたので、今日は室内楽でも・・・・・・。
シューベルトの弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956。
エマーソン弦楽四重奏団とムスティスラフ・ロストロポーヴィチのチェロによる演奏。
1990年12月の録音。DG盤。
1828年の作品。シューベルトの最晩年の作品になる。この数か月後、シューベルトは死んでしまう。31歳。天才は夭折する。
とても長い作品だが、いかにもシューベルトの晴朗さに溢れた名品。ハ長調という調整のためでもあろうか。ただ、その明るさの中に悲しみが漂う作品でもある。シューベルト独特の「闇」のようなものがソッと顔を出す。
歌に溢れているのだが、シューベルトのピアノ・ソナタと同様、ソナタ形式独特の解決がなく、戻って結論を出すという風がない。出発点に戻らないソナタとでも云うべきか。歌って、歌って、歌っているうちに、最初に戻らなくなってしまう。ベートーヴェンとはエライ違いやなぁ。ベートーヴェンのソナタはバシッと結論が出て、「どうだ、参ったか」という感じなんだが。シューベルトのは「行ったきり」で、結局、帰ってこない。
でも、そこがシューベルトの個性であって、何となく冗長さを感じるのも僕は好きやなぁ・・・・。
チェロの二挺使いで、低音部が充実しているのがイイ。ブラームスやモーツァルトのはヴィオラ二挺だった。シューベルトのは再生音に迫力があって、深々とした抒情が良い。
しかも、このCDがロストロポーヴィチが参加している。第1楽章などの朗々としたチェロは、おそらくロストロポーヴィチのものだろう。とても説得力が強い。
第1楽章は長大なソナタ形式がスゴイ。19分もかかる大楽章。柔らかい旋律と激しく悲しい旋律が入れ替わり、何度も繰り返されるのが聴いていて楽しい。エマーソンSQの音は強靱。シューベルトだからと云って、ヤワな音にしないのがエマーソンの流儀なのだろう。
第2楽章のアダージョに14分。真っ白い衣装をまとった哀しみが、目の前を通り過ぎてゆく感じ。この音楽、長調なのに哀しい。とても哀しい。特にヴァイオリンが切々と訴えてくる。何とも云えない哀愁が漂う。これこそ、シューベルト白鳥の歌。
第3楽章はスケルツォ。活発に、踊るように進んでゆく。推進力が強く、よく弾む演奏。エマーソンSQの生き生きした演奏が楽しめる。シューベルトのスケルツォは、元気な舞曲だ。
終楽章アレグレットは、堂々たるフィナーレ。様々な表情が交錯し、悩んだり微笑んだりするシューベルトの姿を見るような音楽。
エマーソンSQの演奏はここでも強靱。しっかりと、活気あるロンドにしてゆく。チェロも雄弁で歌に満ちているのがイイ。
録音はオンマイク気味で、直接音が多い感じです。
その分、演奏が強く逞しく、鋭く感じます。
残響があまり多くないので、各楽器がシャープに定位するのはエエです。
もう少し、音に柔らかさがあればエエなぁと思いつつも、CDだと、こんなもんかなとも思います。
シューベルトの弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956。
エマーソン弦楽四重奏団とムスティスラフ・ロストロポーヴィチのチェロによる演奏。
1990年12月の録音。DG盤。
1828年の作品。シューベルトの最晩年の作品になる。この数か月後、シューベルトは死んでしまう。31歳。天才は夭折する。
とても長い作品だが、いかにもシューベルトの晴朗さに溢れた名品。ハ長調という調整のためでもあろうか。ただ、その明るさの中に悲しみが漂う作品でもある。シューベルト独特の「闇」のようなものがソッと顔を出す。
歌に溢れているのだが、シューベルトのピアノ・ソナタと同様、ソナタ形式独特の解決がなく、戻って結論を出すという風がない。出発点に戻らないソナタとでも云うべきか。歌って、歌って、歌っているうちに、最初に戻らなくなってしまう。ベートーヴェンとはエライ違いやなぁ。ベートーヴェンのソナタはバシッと結論が出て、「どうだ、参ったか」という感じなんだが。シューベルトのは「行ったきり」で、結局、帰ってこない。
でも、そこがシューベルトの個性であって、何となく冗長さを感じるのも僕は好きやなぁ・・・・。
チェロの二挺使いで、低音部が充実しているのがイイ。ブラームスやモーツァルトのはヴィオラ二挺だった。シューベルトのは再生音に迫力があって、深々とした抒情が良い。
しかも、このCDがロストロポーヴィチが参加している。第1楽章などの朗々としたチェロは、おそらくロストロポーヴィチのものだろう。とても説得力が強い。
第1楽章は長大なソナタ形式がスゴイ。19分もかかる大楽章。柔らかい旋律と激しく悲しい旋律が入れ替わり、何度も繰り返されるのが聴いていて楽しい。エマーソンSQの音は強靱。シューベルトだからと云って、ヤワな音にしないのがエマーソンの流儀なのだろう。
第2楽章のアダージョに14分。真っ白い衣装をまとった哀しみが、目の前を通り過ぎてゆく感じ。この音楽、長調なのに哀しい。とても哀しい。特にヴァイオリンが切々と訴えてくる。何とも云えない哀愁が漂う。これこそ、シューベルト白鳥の歌。
第3楽章はスケルツォ。活発に、踊るように進んでゆく。推進力が強く、よく弾む演奏。エマーソンSQの生き生きした演奏が楽しめる。シューベルトのスケルツォは、元気な舞曲だ。
終楽章アレグレットは、堂々たるフィナーレ。様々な表情が交錯し、悩んだり微笑んだりするシューベルトの姿を見るような音楽。
エマーソンSQの演奏はここでも強靱。しっかりと、活気あるロンドにしてゆく。チェロも雄弁で歌に満ちているのがイイ。
録音はオンマイク気味で、直接音が多い感じです。
その分、演奏が強く逞しく、鋭く感じます。
残響があまり多くないので、各楽器がシャープに定位するのはエエです。
もう少し、音に柔らかさがあればエエなぁと思いつつも、CDだと、こんなもんかなとも思います。
2008/02/12のBlog
[ 05:15 ]
[ 交響曲 ]
カラヤン生誕100年であります。
昨年暮れに注文していたEMIのボックス2セットがようやく発売、そして我が家に届きました。
第1集オーケストラ篇87枚組、第2集声楽曲・オペラ篇71枚組。大冊であります。
相当のダブり買いを承知での注文でありましたが、1枚当たり250円程度の激安に惹かれました。いつも書いてますが、何という有り難い時代でありましょう。
ウキウキしながら聴き始めたところです。
ところが、親父りゅうさんのブログ「親父りゅうのつぶやき横丁」によれば、このボックス第1集には収録ミスと誤記があることを発見。なんと、僕のにも同じミスがありました。
①CD36のシベリウスの交響曲第2番・第5番で、中身が全然違う(ガーシュウィンが鳴りだした!)
②ブックレットには「水上の音楽」収録との記載があるのに、CDにはどこにもない。
(カラヤンに「水上の音楽」録音があったのかと大喜びしたのに、ガッカリ・・・・)
③モーツァルトのバスーン協奏曲がブックレットではCD67となっているが、実際は66に入っている(まあ、これは許せるかな・・・・・)
HMVのサイトから苦情のメールを送ったところ、さすがに、苦情殺到だったのか、わずか2時間後に返信されてきました。「今その原因を調査中なのでしばし待たれよ」とのことでした・・・・・。まあ、のんびりと待ちましょ。もっとも、これだけの大冊なので、他のを聴いているうちに、この3つ程度、忘れてしまいそうですが・・・(^^ゞ
さて、ボチボチ中身を確認と思い、ふと取り出したのが今日のCDであります。
ブラームスの交響曲第2番 ニ長調 作品73。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニア管の演奏。
1955年5月、ロンドンのキングズウェイホールでの録音。
プロデューサーは勿論ウォルター・レッグ、録音エンジニアはクリストファー・パーカー。
今も十分に鮮度を保っている。50年以上も昔の録音と思えば、これ、驚異的に素晴らしい録音なのではないか。今のEMI録音に不満があることは、このブログでも何度も書いてきたが、1950年代~60年代のEMIは凄かった。その証明とも云える録音。
ただし、「ステレオ録音」(とHMVのサイトには書いてある)というが、左右の広がりはとても狭い。モノラルかと思ったくらい。
演奏は、弦楽セクションのしなやさが前面に出てきて、若々しく大変に爽やかなもの。音楽が生き生きとしていて、瑞々しい。暖かい息づかいも聞こえてくる感じ。
そして、録音が癖のない(モノラルっぽいなぁ)せいか、音楽も全体的にとても素直。およそカラヤンらしくない素直さ。1970年代以降のカラヤンの演奏を思えば、別人のよう。けれんみがなく、誠実に音楽に向かいつつ、音楽そのものを語らせようとした感じの演奏。
(これじゃ、まるでハイティンクだ・・・・・)
旋律はよく歌い、響きはクリアで、爽快そのもの。カラヤンらしい流線型のしなやかさもあるが、ブラームスの中に潜む素朴さも十分に出ている。
第2楽章の歌謡性もイイし、第3楽章のひなびた歌も美しい。リズム感も抜群。
終楽章などは聴かせ上手のカラヤンが顔を出してくるが、それでもブラームスの「田園交響曲」らしい素朴な味わいが音楽全体に漂う。フィルハーモニア管も大層巧い。
録音当時、カラヤン47歳。まだまだ壮年、若々しく精力的でもあった。
今まで、この時期の録音を敬遠してきたのだが、これ、なかなかよろしいではないか。
カラヤン/フィルハーモニア管を大いに見直したのであります。
ボックス内にはこのコンビのCDが沢山あります。
また、楽しみが増えました。ガハハ。これだから、クラシック音楽は楽しいんです。
昨年暮れに注文していたEMIのボックス2セットがようやく発売、そして我が家に届きました。
第1集オーケストラ篇87枚組、第2集声楽曲・オペラ篇71枚組。大冊であります。
相当のダブり買いを承知での注文でありましたが、1枚当たり250円程度の激安に惹かれました。いつも書いてますが、何という有り難い時代でありましょう。
ウキウキしながら聴き始めたところです。
ところが、親父りゅうさんのブログ「親父りゅうのつぶやき横丁」によれば、このボックス第1集には収録ミスと誤記があることを発見。なんと、僕のにも同じミスがありました。
①CD36のシベリウスの交響曲第2番・第5番で、中身が全然違う(ガーシュウィンが鳴りだした!)
②ブックレットには「水上の音楽」収録との記載があるのに、CDにはどこにもない。
(カラヤンに「水上の音楽」録音があったのかと大喜びしたのに、ガッカリ・・・・)
③モーツァルトのバスーン協奏曲がブックレットではCD67となっているが、実際は66に入っている(まあ、これは許せるかな・・・・・)
HMVのサイトから苦情のメールを送ったところ、さすがに、苦情殺到だったのか、わずか2時間後に返信されてきました。「今その原因を調査中なのでしばし待たれよ」とのことでした・・・・・。まあ、のんびりと待ちましょ。もっとも、これだけの大冊なので、他のを聴いているうちに、この3つ程度、忘れてしまいそうですが・・・(^^ゞ
さて、ボチボチ中身を確認と思い、ふと取り出したのが今日のCDであります。
ブラームスの交響曲第2番 ニ長調 作品73。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニア管の演奏。
1955年5月、ロンドンのキングズウェイホールでの録音。
プロデューサーは勿論ウォルター・レッグ、録音エンジニアはクリストファー・パーカー。
今も十分に鮮度を保っている。50年以上も昔の録音と思えば、これ、驚異的に素晴らしい録音なのではないか。今のEMI録音に不満があることは、このブログでも何度も書いてきたが、1950年代~60年代のEMIは凄かった。その証明とも云える録音。
ただし、「ステレオ録音」(とHMVのサイトには書いてある)というが、左右の広がりはとても狭い。モノラルかと思ったくらい。
演奏は、弦楽セクションのしなやさが前面に出てきて、若々しく大変に爽やかなもの。音楽が生き生きとしていて、瑞々しい。暖かい息づかいも聞こえてくる感じ。
そして、録音が癖のない(モノラルっぽいなぁ)せいか、音楽も全体的にとても素直。およそカラヤンらしくない素直さ。1970年代以降のカラヤンの演奏を思えば、別人のよう。けれんみがなく、誠実に音楽に向かいつつ、音楽そのものを語らせようとした感じの演奏。
(これじゃ、まるでハイティンクだ・・・・・)
旋律はよく歌い、響きはクリアで、爽快そのもの。カラヤンらしい流線型のしなやかさもあるが、ブラームスの中に潜む素朴さも十分に出ている。
第2楽章の歌謡性もイイし、第3楽章のひなびた歌も美しい。リズム感も抜群。
終楽章などは聴かせ上手のカラヤンが顔を出してくるが、それでもブラームスの「田園交響曲」らしい素朴な味わいが音楽全体に漂う。フィルハーモニア管も大層巧い。
録音当時、カラヤン47歳。まだまだ壮年、若々しく精力的でもあった。
今まで、この時期の録音を敬遠してきたのだが、これ、なかなかよろしいではないか。
カラヤン/フィルハーモニア管を大いに見直したのであります。
ボックス内にはこのコンビのCDが沢山あります。
また、楽しみが増えました。ガハハ。これだから、クラシック音楽は楽しいんです。
2008/02/11のBlog
[ 06:07 ]
[ 交響曲 ]
3連休の最終日。第九まで来ました。
ベートーヴェンの交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱」。
レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場合唱団の演奏。
ソプラノはギネス・ジョーンズ、アルト独唱ハンナ・シュヴァルツ。
テノールにルネ・コロ、バスはクルト・モル。
1979年9月、ウィーンのムジークフェラインザールでのライヴ録音。DG盤の全集からの1枚。
この演奏は、僕のクラシック音楽体験の原点であります。
この録音とは別テイクだと思うのだが、1979年(だったと思う)大晦日のNHK-FMでバーンスタイン/VPOの第九が放送された。このころ、大晦日はテレビの紅白歌合戦に対して、FMは第九を放送していたものだった。
演奏はホンマに素晴らしかった。圧倒的だった。
聴き終わったあと、世の中にこんなにスゴイ音楽があるのか、と思ったものだった。それまで、フォークソングやニュー・ミュージック(と当時呼ばれていた)ばかり聴いていた自分には、衝撃だった。背筋はゾクゾク、感動に震え、滂沱たる涙・・・・。
バロック名曲集やライト・クラシカルのLPは持っていたが、このバーンスタインの第九を聴いて、僕は「今後、オレはクラシックを聴こう!」と決心したのであります。
以後、オーディオに関心があったこともあって『ステレオ芸術』を読み(当時はオーディオ・ブームの時代だった)、やがて、少々難しかったが『レコード芸術』を読み始め、NHK-FMのクラシック番組を貪るように聴き(当時は、クラシック番組が大変多かった)、エアチェックして(そのためにカセットテープがどんどん増えた)・・・・。
ビンボー学生のクラシック音楽入門でありました。
それにしても、今聴いてもこの演奏は全く素晴らしい。
重厚な音が迫力十分い押し出してくる。それなのに、鈍重な感じはしない。全体的にテンポは快速で、リズム感一杯で、とてもフレッシュ。しかもバーンスタインらしい情熱的な指揮、それに見事に反応・協調するウィーン・フィルも素晴らしい。
第1楽章は快速。バーンスタインの情熱が噴出する。その激しさの中に引き込まれて、昂奮してゆく自分に気づく。いや、迫力満点。切羽詰まった感じの表現もイイ。その緊張感がたまらない。
第2楽章も緊迫感が続く。特に弱音分が良い。弦楽セクションのヤル気が伝わってくる。速めのテンポで進んでゆくのも、演奏が弛緩しなくてイイ。スケルツォ中間部の木管とホルンの響きも最高と思う。
そして第3楽章のアダージョ。これを聴いて幾度慰められたことか。何と美しい音楽だろう・・・何度も僕は思ったなぁ。
大人になる途中の、疾風怒濤の時代、誰もが経験しただろう沢山の悩みを抱えて(今思えば大したことでもないのだが、当時は重大な問題だった)、だからこそ、このアダージョが身にしみた。
バーンスタインはここでもやや速めのテンポ。サラッと行く。この「サラッ」としたところがイイ。ドロドロした進行では、涙も出ないだろう。
終楽章は、独唱も合唱も素晴らしい。圧倒的。
ソロもよくとおるし、アンサンブルもよく揃っている。クルト・モルの充実した低音は最高だし、ルネ・コロは当時全盛期であったろう。素晴らしいテノールを聴かせる。
女声では、シュヴァルツの声がイイ。しっとりとして、心にしみる優しさ。
ラストに向かって感興が高まります。情熱が噴出します。
録音は今も十分素晴らしく、特に低音の響きがエエです。
かけがえのない一枚です。多分、時々取り出して、一生聴き続けるのだと思います。
すべては、この一枚から始まりました。
ベートーヴェンの交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱」。
レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場合唱団の演奏。
ソプラノはギネス・ジョーンズ、アルト独唱ハンナ・シュヴァルツ。
テノールにルネ・コロ、バスはクルト・モル。
1979年9月、ウィーンのムジークフェラインザールでのライヴ録音。DG盤の全集からの1枚。
この演奏は、僕のクラシック音楽体験の原点であります。
この録音とは別テイクだと思うのだが、1979年(だったと思う)大晦日のNHK-FMでバーンスタイン/VPOの第九が放送された。このころ、大晦日はテレビの紅白歌合戦に対して、FMは第九を放送していたものだった。
演奏はホンマに素晴らしかった。圧倒的だった。
聴き終わったあと、世の中にこんなにスゴイ音楽があるのか、と思ったものだった。それまで、フォークソングやニュー・ミュージック(と当時呼ばれていた)ばかり聴いていた自分には、衝撃だった。背筋はゾクゾク、感動に震え、滂沱たる涙・・・・。
バロック名曲集やライト・クラシカルのLPは持っていたが、このバーンスタインの第九を聴いて、僕は「今後、オレはクラシックを聴こう!」と決心したのであります。
以後、オーディオに関心があったこともあって『ステレオ芸術』を読み(当時はオーディオ・ブームの時代だった)、やがて、少々難しかったが『レコード芸術』を読み始め、NHK-FMのクラシック番組を貪るように聴き(当時は、クラシック番組が大変多かった)、エアチェックして(そのためにカセットテープがどんどん増えた)・・・・。
ビンボー学生のクラシック音楽入門でありました。
それにしても、今聴いてもこの演奏は全く素晴らしい。
重厚な音が迫力十分い押し出してくる。それなのに、鈍重な感じはしない。全体的にテンポは快速で、リズム感一杯で、とてもフレッシュ。しかもバーンスタインらしい情熱的な指揮、それに見事に反応・協調するウィーン・フィルも素晴らしい。
第1楽章は快速。バーンスタインの情熱が噴出する。その激しさの中に引き込まれて、昂奮してゆく自分に気づく。いや、迫力満点。切羽詰まった感じの表現もイイ。その緊張感がたまらない。
第2楽章も緊迫感が続く。特に弱音分が良い。弦楽セクションのヤル気が伝わってくる。速めのテンポで進んでゆくのも、演奏が弛緩しなくてイイ。スケルツォ中間部の木管とホルンの響きも最高と思う。
そして第3楽章のアダージョ。これを聴いて幾度慰められたことか。何と美しい音楽だろう・・・何度も僕は思ったなぁ。
大人になる途中の、疾風怒濤の時代、誰もが経験しただろう沢山の悩みを抱えて(今思えば大したことでもないのだが、当時は重大な問題だった)、だからこそ、このアダージョが身にしみた。
バーンスタインはここでもやや速めのテンポ。サラッと行く。この「サラッ」としたところがイイ。ドロドロした進行では、涙も出ないだろう。
終楽章は、独唱も合唱も素晴らしい。圧倒的。
ソロもよくとおるし、アンサンブルもよく揃っている。クルト・モルの充実した低音は最高だし、ルネ・コロは当時全盛期であったろう。素晴らしいテノールを聴かせる。
女声では、シュヴァルツの声がイイ。しっとりとして、心にしみる優しさ。
ラストに向かって感興が高まります。情熱が噴出します。
録音は今も十分素晴らしく、特に低音の響きがエエです。
かけがえのない一枚です。多分、時々取り出して、一生聴き続けるのだと思います。
すべては、この一枚から始まりました。
2008/02/10のBlog
[ 04:47 ]
[ 交響曲 ]
ベートーヴェンの交響曲、8番まで来ました。
ここまで、ベートーヴェン全集を適当に手にとって、その中の1枚を聴いてきました。
思えば、「ベートーヴェン全集」、随分買ってきたものです。CD激安の時代になって買いやすくなった(新品も安けりゃ、中古盤も嘘のように安い!)こともあります。CDになって枚数が減ったことも原因でしょう。今、全集といっても5枚組ですもんね。
昔は高価でした。LP時代はだいたい8枚組。ですから、廉価盤セットでも(1枚1,500円として)1万2千円。カラヤンの1970年代全集など、売れたんでしょうねぇ、値付けも強気、1枚2,300円で全集18,400円也。バーンスタインの全集は初出盤で16.000円。
今日取り出したブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ盤も8枚組、ただし価格は1万円ポッキリの廉価盤でありました。ブロムシュテットの演奏は1枚ずつ発売されて(最後は第九と2番の2枚組だったかな)、完成したところで、当時1万円の激安価格で出たものでありました。(今日の画像、拡大したらその価格が見えるでしょうか?)
カラヤン=DGの強気に比べて、発売元の徳間音工の何と謙虚なこと。売れなかったんでしょうなぁ・・・・・・あのころ、ブロムシュテットは、やはりマイナーな指揮者でありました。(今や押しも押されもしない大指揮者と思いますし、僕は大好きな人ですが。)
さて、今日はその1万円LP全集からであります。
ベートーヴェンの交響曲第8番 ヘ長調 作品93。
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。
1979年12月、ドレスデンのルカ教会での録音。独シャルプラッテン原盤。
ドレスデン・シュターツカペレの幸せな響き。
ふくよかで、暖かく、そして柔らかい響きが部屋中に広がってゆく。ルカ教会の残響も素晴らしい。この音に包まれる幸福は、ちと他に例えようがない。
開始の音が鳴っただけで、ああ、ドレスデン・シュターツカペレ!・・・と云いたくなる音。
演奏はもう安定感満点で、まさに盤石。誠実で正統的、そして確信に満ちた演奏。「ワシらの演奏は、こうやでぇ」と云っているような感じ。テンポなど実に堂々としていて、ビクともしない。
このオーケストラが長年培ってきた伝統が、薫り高く聴き手に迫ってくる。
第1楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ。
演奏はまさに「ヴィヴァーチェ」、活気に溢れている。そしてサウンドはどこまでも暖かい。ベートーヴェンの激しさも良く出ているのだが、SKDのまろやかなサウンドが、しそれを包み込んで、ギスギスした感情にならないのがイイ。聴いていて、大変心地よい。
第2楽章はアレグレット・スケルツァンド。
メトロノームのリズムが楽しい。これこそ、スケルツォ(諧謔曲)か。SKDの弦楽セクションの厚味が生きて、端正・上品に聞こえてくる。ブロムシュテットの安定した棒さばきもさすがと思う。
第3楽章はメヌエット。ベートーヴェンの交響曲唯一のメヌエット楽章。
ここでもふくよかなサウンドが良い。安定感があるのは、ヴィオラやチェロが良いからだろう。そして、ホルンのアンサンブル!美しいことこの上なし。素晴らしいホルン・セクションと思う。(楽器の指定はホルン2本。そのうちの一人は、ペーター・ダムさんでしょう)
フィナーレはアレグロ・ヴィヴァーチェ。
テンポはあまり急ぎすぎず、堂々と安定している。克明なリズムの刻みは、ブロムシュテットの誠実さを語っているようだ。ああ、良いベートーヴェンだなぁ。しっかりとして、堅実で、派手さなんかなくて良い、ただひたすら、ベートーヴェンの声を聴き手に届けてくれれば。
録音は今も上々です。
ルカ教会の響きが最高なので、ドレスデン・シュターツカペレは得をしているなぁと思います。オケもエエんでしょうが、録音のロケーションも最高であります。
なお、日本のキングから、この頃リマスタリング盤が出ています。1枚1,800円はちと高いような気もしますが、音は非常によいとの評判です。
買われた方、おいでますか?懐に余裕があれば、買い直して聴いてみたいと思っています。
ここまで、ベートーヴェン全集を適当に手にとって、その中の1枚を聴いてきました。
思えば、「ベートーヴェン全集」、随分買ってきたものです。CD激安の時代になって買いやすくなった(新品も安けりゃ、中古盤も嘘のように安い!)こともあります。CDになって枚数が減ったことも原因でしょう。今、全集といっても5枚組ですもんね。
昔は高価でした。LP時代はだいたい8枚組。ですから、廉価盤セットでも(1枚1,500円として)1万2千円。カラヤンの1970年代全集など、売れたんでしょうねぇ、値付けも強気、1枚2,300円で全集18,400円也。バーンスタインの全集は初出盤で16.000円。
今日取り出したブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ盤も8枚組、ただし価格は1万円ポッキリの廉価盤でありました。ブロムシュテットの演奏は1枚ずつ発売されて(最後は第九と2番の2枚組だったかな)、完成したところで、当時1万円の激安価格で出たものでありました。(今日の画像、拡大したらその価格が見えるでしょうか?)
カラヤン=DGの強気に比べて、発売元の徳間音工の何と謙虚なこと。売れなかったんでしょうなぁ・・・・・・あのころ、ブロムシュテットは、やはりマイナーな指揮者でありました。(今や押しも押されもしない大指揮者と思いますし、僕は大好きな人ですが。)
さて、今日はその1万円LP全集からであります。
ベートーヴェンの交響曲第8番 ヘ長調 作品93。
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。
1979年12月、ドレスデンのルカ教会での録音。独シャルプラッテン原盤。
ドレスデン・シュターツカペレの幸せな響き。
ふくよかで、暖かく、そして柔らかい響きが部屋中に広がってゆく。ルカ教会の残響も素晴らしい。この音に包まれる幸福は、ちと他に例えようがない。
開始の音が鳴っただけで、ああ、ドレスデン・シュターツカペレ!・・・と云いたくなる音。
演奏はもう安定感満点で、まさに盤石。誠実で正統的、そして確信に満ちた演奏。「ワシらの演奏は、こうやでぇ」と云っているような感じ。テンポなど実に堂々としていて、ビクともしない。
このオーケストラが長年培ってきた伝統が、薫り高く聴き手に迫ってくる。
第1楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ。
演奏はまさに「ヴィヴァーチェ」、活気に溢れている。そしてサウンドはどこまでも暖かい。ベートーヴェンの激しさも良く出ているのだが、SKDのまろやかなサウンドが、しそれを包み込んで、ギスギスした感情にならないのがイイ。聴いていて、大変心地よい。
第2楽章はアレグレット・スケルツァンド。
メトロノームのリズムが楽しい。これこそ、スケルツォ(諧謔曲)か。SKDの弦楽セクションの厚味が生きて、端正・上品に聞こえてくる。ブロムシュテットの安定した棒さばきもさすがと思う。
第3楽章はメヌエット。ベートーヴェンの交響曲唯一のメヌエット楽章。
ここでもふくよかなサウンドが良い。安定感があるのは、ヴィオラやチェロが良いからだろう。そして、ホルンのアンサンブル!美しいことこの上なし。素晴らしいホルン・セクションと思う。(楽器の指定はホルン2本。そのうちの一人は、ペーター・ダムさんでしょう)
フィナーレはアレグロ・ヴィヴァーチェ。
テンポはあまり急ぎすぎず、堂々と安定している。克明なリズムの刻みは、ブロムシュテットの誠実さを語っているようだ。ああ、良いベートーヴェンだなぁ。しっかりとして、堅実で、派手さなんかなくて良い、ただひたすら、ベートーヴェンの声を聴き手に届けてくれれば。
録音は今も上々です。
ルカ教会の響きが最高なので、ドレスデン・シュターツカペレは得をしているなぁと思います。オケもエエんでしょうが、録音のロケーションも最高であります。
なお、日本のキングから、この頃リマスタリング盤が出ています。1枚1,800円はちと高いような気もしますが、音は非常によいとの評判です。
買われた方、おいでますか?懐に余裕があれば、買い直して聴いてみたいと思っています。
2008/02/09のBlog
[ 04:40 ]
[ 交響曲 ]
3連休初日は積雪の予報です。
今のところ、伊予路に降雪はありませんが、どうも今日の天候は怪しいようです。
こういう日は、家にこもってゆっくりクラシックを聴きましょう。
さて、今日はベートーヴェンであります。
ベートーヴェンの交響曲第7番 イ長調 作品92。
オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン交響楽団の演奏。
1977年9月、ロンドンのキングズウェイホールでの録音。EMI原盤。
聴いているのはEMIの輸入盤EMINENCEシリーズの1枚。当時はこれ、ミドルプライスのものだった(と思う)。
アナログ録音のLPで良いのは、弦楽が美しいところ。ヴァイオリンの高音の伸びが良く、倍音が美しく響くところにある。
このLPはアナログ最盛期の録音で、この時期のEMIの録音は概して良かった。デジタルに移行した1980年代に、EMIの音は魅力がなくなったように僕は思うのだが、この時代までのEMIはイイ。特にLPの音は素晴らしいものが多い。
ヨッフムの指揮するこの第7交響曲も、CDの激安全集でも持っているのだが、音はLPの方が良いようだ。音の柔らかさと伸びが違う。CDで聴くときの印象と大分違う。
CDだと四角四面にヨッフムが振った生真面目な演奏に思えるのだが、LPで聴くと、ヨッフムの表情が柔和になり、昔を懐かしむ好々爺のようになる。古き良き伝統を若者に伝え、愛情と包容力を伴いながら、ベートーヴェンのかけがえのない名曲を、堂々と再現してゆく・・・・そんな印象になる。
ロンドン響は好演。ヨッフムの棒に、素晴らしい響きで応えてゆく。立派な重低音に爽やかな高音、そして鋭敏な反応。オケの機動力に富んだ演奏と云うべきか。
第1楽章は堂々として熱気十分。語り口も巧い。
コーダでグイッとテンポを落としていくところなど、歌舞伎役者の大見得のよう。さすがヨッフム、老練の芸。
第2楽章は悲しみのアレグレット。遅いテンポで切々と歌う。低音部のチェロやコントラバスの表情は悲痛。そしてヨッフムの指揮は情熱的だ。
第3楽章はヴァイオリンの涼やかな響きが素晴らしい。木管とのバランスも実に良く、充実した演奏になっている。全体的な仕上げも上々、美しく磨かれたスケルツォとなっている。金管が加わったときの分厚い響きもヨッフムならでは。ブルックナーを思わせる力強さが、イイ。
フィナーレも力強く逞しい演奏。無骨なところもあるのだが、音そのものは大変美しくしなやかだ。若々しく瑞々しい触感。爽やかな風が吹いてくるような肌触り。時に、弦楽の濡れたようなしっとり感も良い。
こういう響きというのは、ヨッフム/ロンドン響のアンサンブルの良さもあるのだろうが、やっぱり、アナログLPの強みかな・・・・・。
という訳で、録音は今聴いても素晴らしいです。
ヨッフムはイイ指揮者でした。
今のところ、伊予路に降雪はありませんが、どうも今日の天候は怪しいようです。
こういう日は、家にこもってゆっくりクラシックを聴きましょう。
さて、今日はベートーヴェンであります。
ベートーヴェンの交響曲第7番 イ長調 作品92。
オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン交響楽団の演奏。
1977年9月、ロンドンのキングズウェイホールでの録音。EMI原盤。
聴いているのはEMIの輸入盤EMINENCEシリーズの1枚。当時はこれ、ミドルプライスのものだった(と思う)。
アナログ録音のLPで良いのは、弦楽が美しいところ。ヴァイオリンの高音の伸びが良く、倍音が美しく響くところにある。
このLPはアナログ最盛期の録音で、この時期のEMIの録音は概して良かった。デジタルに移行した1980年代に、EMIの音は魅力がなくなったように僕は思うのだが、この時代までのEMIはイイ。特にLPの音は素晴らしいものが多い。
ヨッフムの指揮するこの第7交響曲も、CDの激安全集でも持っているのだが、音はLPの方が良いようだ。音の柔らかさと伸びが違う。CDで聴くときの印象と大分違う。
CDだと四角四面にヨッフムが振った生真面目な演奏に思えるのだが、LPで聴くと、ヨッフムの表情が柔和になり、昔を懐かしむ好々爺のようになる。古き良き伝統を若者に伝え、愛情と包容力を伴いながら、ベートーヴェンのかけがえのない名曲を、堂々と再現してゆく・・・・そんな印象になる。
ロンドン響は好演。ヨッフムの棒に、素晴らしい響きで応えてゆく。立派な重低音に爽やかな高音、そして鋭敏な反応。オケの機動力に富んだ演奏と云うべきか。
第1楽章は堂々として熱気十分。語り口も巧い。
コーダでグイッとテンポを落としていくところなど、歌舞伎役者の大見得のよう。さすがヨッフム、老練の芸。
第2楽章は悲しみのアレグレット。遅いテンポで切々と歌う。低音部のチェロやコントラバスの表情は悲痛。そしてヨッフムの指揮は情熱的だ。
第3楽章はヴァイオリンの涼やかな響きが素晴らしい。木管とのバランスも実に良く、充実した演奏になっている。全体的な仕上げも上々、美しく磨かれたスケルツォとなっている。金管が加わったときの分厚い響きもヨッフムならでは。ブルックナーを思わせる力強さが、イイ。
フィナーレも力強く逞しい演奏。無骨なところもあるのだが、音そのものは大変美しくしなやかだ。若々しく瑞々しい触感。爽やかな風が吹いてくるような肌触り。時に、弦楽の濡れたようなしっとり感も良い。
こういう響きというのは、ヨッフム/ロンドン響のアンサンブルの良さもあるのだろうが、やっぱり、アナログLPの強みかな・・・・・。
という訳で、録音は今聴いても素晴らしいです。
ヨッフムはイイ指揮者でした。
2008/02/08のBlog
[ 04:39 ]
[ 器楽曲 ]
今日はピアノ曲を聴いてます。
シューマンの「クライスレリアーナ」作品16。
アルフレート・ブレンデルのピアノ独奏。
1980年8月、ロンドンのワトフォードでの録音。フィリップス盤。
シューマンは、僕にとっては交響曲の作曲家であって、彼のピアノ曲などはあまり聴かない。歌曲などは全く聴かない。ところが、かの吉田秀和は名著『LP300選』の中で、シューマンならまずは歌曲(「詩人の恋」)、ついでピアノ曲(「クライスレリアーナ」と「幻想曲」)をとるべきで、交響曲はとらない・・・・と書いていた。なるほど、やはり音楽史的にはそうなるのかな。
コメントを下さる多くの方々も、シューマンのピアノ曲はエエぞと、お奨め下さいます。
シューマンのピアノ曲、持っていない訳ではないんです。ラックをゴソゴソ探していたら、結構出てきます。そこで、今日はブレンデル盤を取り出して、じっくり「クライスレリアーナ」を聴いたのです。、
さて、その題名の「クライスラー」とは、小説家E・T・A・ホフマンの創作したヨハネス・クライスラーのことであって、シューマンは、このクライスラーを自分の分身として、当時、文通のほか逢うに逢えなかったクララへの激しい愛を綴ったのだった。
さすがにドイツ・ロマン派の旗手による作品、どれもファンタジーに富んで、旋律もリズムも変化が大きく、シューマンの情熱や詩情や、時には悲憤慷慨も聴ける名品と思う。
特に第2曲は名作だろう。シューマンの想いが一杯詰まって、ピアノの音色の端々にその想いが零れてゆく。実にロマンティック。
全部で8曲。
第1曲 最高に激しい動きをもって
第2曲 非常に親密感をこめて
第3曲 非常に激しく
第4曲 大変ゆっくりと
第5曲 極めて生き生きと
第6曲 たいへんゆっくりと
第7曲 ひじょうに速く
第8曲 急速に、戯れるように
およそ35分くらいの曲だが、ブレンデルの演奏で聴いていると、構成か素晴らしいためか、あまり長く感じない。
ブレンデルは、だいたいが知的でスマート、品格を保ちながら丁寧に演奏してゆく。何もシューマンだからって、性格的に破綻しそうに弾くこともないだろう。ブレンデルのような、知性と教養を感じさせる、バランス感覚に富んだ演奏で聴く方が分かりやすい。感情的にはクールで、落ち着いている。聴き手の加齢のせいか、そのヒンヤリ感が良い。
ピアノの音もイイ。音色がとても綺麗で、かつ芯がある。透明度が高いのだが、透き通ると云うより、透き通る寸前の色合い、存在感、ひと肌の温もり・・のような音。
実にいい音だ。
録音も万全。さすがフィリップス。
ピアノをしっかり捉えつつ、適度な残響が聴いていて大変心地よい。
こういう音で聴くのなら、シューマンのピアノ曲もまたよし、と云うべきでしょうか。
シューマンの「クライスレリアーナ」作品16。
アルフレート・ブレンデルのピアノ独奏。
1980年8月、ロンドンのワトフォードでの録音。フィリップス盤。
シューマンは、僕にとっては交響曲の作曲家であって、彼のピアノ曲などはあまり聴かない。歌曲などは全く聴かない。ところが、かの吉田秀和は名著『LP300選』の中で、シューマンならまずは歌曲(「詩人の恋」)、ついでピアノ曲(「クライスレリアーナ」と「幻想曲」)をとるべきで、交響曲はとらない・・・・と書いていた。なるほど、やはり音楽史的にはそうなるのかな。
コメントを下さる多くの方々も、シューマンのピアノ曲はエエぞと、お奨め下さいます。
シューマンのピアノ曲、持っていない訳ではないんです。ラックをゴソゴソ探していたら、結構出てきます。そこで、今日はブレンデル盤を取り出して、じっくり「クライスレリアーナ」を聴いたのです。、
さて、その題名の「クライスラー」とは、小説家E・T・A・ホフマンの創作したヨハネス・クライスラーのことであって、シューマンは、このクライスラーを自分の分身として、当時、文通のほか逢うに逢えなかったクララへの激しい愛を綴ったのだった。
さすがにドイツ・ロマン派の旗手による作品、どれもファンタジーに富んで、旋律もリズムも変化が大きく、シューマンの情熱や詩情や、時には悲憤慷慨も聴ける名品と思う。
特に第2曲は名作だろう。シューマンの想いが一杯詰まって、ピアノの音色の端々にその想いが零れてゆく。実にロマンティック。
全部で8曲。
第1曲 最高に激しい動きをもって
第2曲 非常に親密感をこめて
第3曲 非常に激しく
第4曲 大変ゆっくりと
第5曲 極めて生き生きと
第6曲 たいへんゆっくりと
第7曲 ひじょうに速く
第8曲 急速に、戯れるように
およそ35分くらいの曲だが、ブレンデルの演奏で聴いていると、構成か素晴らしいためか、あまり長く感じない。
ブレンデルは、だいたいが知的でスマート、品格を保ちながら丁寧に演奏してゆく。何もシューマンだからって、性格的に破綻しそうに弾くこともないだろう。ブレンデルのような、知性と教養を感じさせる、バランス感覚に富んだ演奏で聴く方が分かりやすい。感情的にはクールで、落ち着いている。聴き手の加齢のせいか、そのヒンヤリ感が良い。
ピアノの音もイイ。音色がとても綺麗で、かつ芯がある。透明度が高いのだが、透き通ると云うより、透き通る寸前の色合い、存在感、ひと肌の温もり・・のような音。
実にいい音だ。
録音も万全。さすがフィリップス。
ピアノをしっかり捉えつつ、適度な残響が聴いていて大変心地よい。
こういう音で聴くのなら、シューマンのピアノ曲もまたよし、と云うべきでしょうか。
2008/02/07のBlog
[ 05:52 ]
[ 交響曲 ]
寒空と冬枯れの田んぼを眺めながら、のんびりと、今日もクラシック音楽を聴いております。
伊予路での田舎暮らしに、ベートーヴェンの「田園」は実に合います。
ベートーヴェンの交響曲第6番 ヘ長調「田園」。
リッカルド・ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏。
1987年9月、フィラデルフィアのメモリアル・ホールでの録音。EMI盤。
フィラデルフィア管の豊麗なサウンドがふっくらと広がってゆく「田園」。
そして美しく歌われた「田園」。
第1楽章は穏やかな表現。いかにも古典風の「田園」。様式的にも伝統的であり、20年前のベートーヴェンはこうだたよなぁ・・・・と懐かしくなってくる演奏。昨今のピリオド奏法・古楽器演奏に慣れた耳には、かえって新鮮な感じもする。
ふくよかな音響が心地よい。夢見るような音楽が、徐々に盛り上がって、拡散してゆく感じ。
第2楽章もゆったりテンポ。ムーティはあまり急がない。セカセカしない。着実な歩みを心がけている感じ。フィラデルフィア管の響きは大変優美。弦楽セクションのシルキータッチはいつもながら心地よく、頬を優しく撫でられているような快感がある。
負けじと木管も優美に鳴る。フルート、オーボエ、クラリネット、どれもやさしく暖かい。このサウンドは全く「田園」にふさわしい。遅いテンポに身を任せていると、幸福な気持ちがこみ上げてくる。
第3楽章は堂々たるスケルツォ。農民の楽しい踊りが目の前で繰り広げられる。ムーティのリズム感最高。
木管も金管もバランス良く鳴っていて、仕上げはとてもスマート。もう少しホルンの音を大きな音量で聴いてみたい気もするが、少し抑え気味かな。それがまた上品さでもあるか。
第4楽章の嵐の場面も、どちらかというとエレガント。嵐の場面もあまり激越にならず、上品なまとめ方。録音のせいか、音がまろやかで柔らかい。ティンパニの強打でさえ、優雅な感じ。妙な言い方になるが、「大変美しい嵐」であり田園だと思う。
そして、フィナーレは「美」の彼方へ連れて行かれるような音楽。
祈り・感謝の音楽と云うより、美への礼賛・ヴィーナス的な演奏でも云うべきか。テンポ良し、響き良し。イヤ全くフィラデルフィア管の音が美しく、感動的。
この音は媚薬のようなもので、ここまで綺麗な「田園」の終楽章は、そうはないんじゃないか・・・。
録音は、音源が少し遠い感じに聞こえます。
近接音が少なく、オフマイク的な録音なんでしょう。
残響豊かなホール中央の上席で聴いている感じで、臨場感は良好であります。
音の粒だちがもう少し良くてもイイかな、とも思うんですが、このふんわり感が、演奏の柔らかさ・優美さに繋がっているんでしょう。
その点では、優秀録音になるんじゃないかと思います。
ここDoblogのメンテナンスが2月7日1時~8時に行われるようです。
そこで、ちと早めに更新しておきます。
伊予路での田舎暮らしに、ベートーヴェンの「田園」は実に合います。
ベートーヴェンの交響曲第6番 ヘ長調「田園」。
リッカルド・ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏。
1987年9月、フィラデルフィアのメモリアル・ホールでの録音。EMI盤。
フィラデルフィア管の豊麗なサウンドがふっくらと広がってゆく「田園」。
そして美しく歌われた「田園」。
第1楽章は穏やかな表現。いかにも古典風の「田園」。様式的にも伝統的であり、20年前のベートーヴェンはこうだたよなぁ・・・・と懐かしくなってくる演奏。昨今のピリオド奏法・古楽器演奏に慣れた耳には、かえって新鮮な感じもする。
ふくよかな音響が心地よい。夢見るような音楽が、徐々に盛り上がって、拡散してゆく感じ。
第2楽章もゆったりテンポ。ムーティはあまり急がない。セカセカしない。着実な歩みを心がけている感じ。フィラデルフィア管の響きは大変優美。弦楽セクションのシルキータッチはいつもながら心地よく、頬を優しく撫でられているような快感がある。
負けじと木管も優美に鳴る。フルート、オーボエ、クラリネット、どれもやさしく暖かい。このサウンドは全く「田園」にふさわしい。遅いテンポに身を任せていると、幸福な気持ちがこみ上げてくる。
第3楽章は堂々たるスケルツォ。農民の楽しい踊りが目の前で繰り広げられる。ムーティのリズム感最高。
木管も金管もバランス良く鳴っていて、仕上げはとてもスマート。もう少しホルンの音を大きな音量で聴いてみたい気もするが、少し抑え気味かな。それがまた上品さでもあるか。
第4楽章の嵐の場面も、どちらかというとエレガント。嵐の場面もあまり激越にならず、上品なまとめ方。録音のせいか、音がまろやかで柔らかい。ティンパニの強打でさえ、優雅な感じ。妙な言い方になるが、「大変美しい嵐」であり田園だと思う。
そして、フィナーレは「美」の彼方へ連れて行かれるような音楽。
祈り・感謝の音楽と云うより、美への礼賛・ヴィーナス的な演奏でも云うべきか。テンポ良し、響き良し。イヤ全くフィラデルフィア管の音が美しく、感動的。
この音は媚薬のようなもので、ここまで綺麗な「田園」の終楽章は、そうはないんじゃないか・・・。
録音は、音源が少し遠い感じに聞こえます。
近接音が少なく、オフマイク的な録音なんでしょう。
残響豊かなホール中央の上席で聴いている感じで、臨場感は良好であります。
音の粒だちがもう少し良くてもイイかな、とも思うんですが、このふんわり感が、演奏の柔らかさ・優美さに繋がっているんでしょう。
その点では、優秀録音になるんじゃないかと思います。
ここDoblogのメンテナンスが2月7日1時~8時に行われるようです。
そこで、ちと早めに更新しておきます。
2008/02/06のBlog
[ 06:06 ]
[ 交響曲 ]
ベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」。
ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏。
1999年5~7月、ベルリンの旧東ドイツ放送局第1スタジオで収録された全集盤からのもの。TELDEC原盤。
純ドイツ風の重厚さで迫ってくる伝統のベートーヴェン。
古色蒼然たる響きで聴き手を包み込む重量感のあるオーケストラが素晴らしい。ベルリン・シュターツカペレの剛毅な音が前面に出てくる演奏。
ピリオド奏法や古楽器団体の演奏が全盛の時代にあって、これほど古いタイプのベートーヴェンをやるのだから、バレンボイムもスゴイ。フルトヴェングラーの時代に遡ったような感じ。カラヤンやベーム、バーンスタインでも、こんな重厚剛毅強靱な響きのベートーヴェンはやらなかった。とすると、やはりこれがバレンボイムが目指すフルトヴェングラーを意識しての演奏なのだろう。
第1楽章の強さ。もう堂々たる「運命」。その音が見事。そやそや、ベートーヴェンの「運命」だもの、こういう音でやらにゃ、感じが出んぞよ・・・と膝を叩く場面しきり。
テンポが中庸だが、音がとにかく強いので、もう王者の風格満点のベートーヴェンになっている。近来稀に見る(聴く)伝統スタイル。こういうの久しぶり。エエなぁと思う。
第2楽章は一転、たっぷりしたテンポで遅い。じっくりと旋律を歌わせつつ。対向旋律などにも配慮して、対位法的作風を明らかにしていこうとする感じ。昼間部のチェロの美しい歌は、悠久たる大河を思わせる名演奏と思う。
ティンパニの強打、トランペットの輝かしく強靱な響きも最高。弦楽合奏も充実、このトラック6分過ぎのトゥッティが減衰して消えゆくときの余韻余情は、いや全く絶美。たまらない美しさ。
第3楽章は緊張感で一杯。ホルンやトロンボーンは見事。ヴァイオリンが両翼配置なので、響きが左右に大きく広がってゆくのもイイ。聴いていて、オーケストラに包み込まれてゆく安心感、心地よさがある。演奏は緊張感で一杯なのに、聴いていると、その包容力に感動してしまう。
そして、フィナーレは勝利の大行進。凱歌。雄叫び。ベルリン・シュターツカペレが目一杯鳴り響いて、それこそ大爆発している。素晴らしい。
苦悩から歓喜へ。勝利の凱歌は、こうでなくちゃ。気持ちいいほど、オケが唸り、叫んでいる。
録音も素晴らしいです。
重厚な響きが広がり、左右・高低ともに音がよく伸びていきます。残響も大変美しいです。
ティンパニの音ヌケがもう少し良ければもっとカッコイイのになぁと思うんですが、もしかするとあえて目立たせないようにしたのかもしれません。
弱音でも音がやせず、生々しさが伝わります。その緊張感がまたエエんです。
バレンボイムのうなり声はご愛敬。臨場感に一役買っているかもしれません。
ネットの世界をボンヤリ眺めていると、バレンボイムはあまり評判よろしくないようです。
そんな気がします。
そこで、ちと、褒めてみました。
ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏。
1999年5~7月、ベルリンの旧東ドイツ放送局第1スタジオで収録された全集盤からのもの。TELDEC原盤。
純ドイツ風の重厚さで迫ってくる伝統のベートーヴェン。
古色蒼然たる響きで聴き手を包み込む重量感のあるオーケストラが素晴らしい。ベルリン・シュターツカペレの剛毅な音が前面に出てくる演奏。
ピリオド奏法や古楽器団体の演奏が全盛の時代にあって、これほど古いタイプのベートーヴェンをやるのだから、バレンボイムもスゴイ。フルトヴェングラーの時代に遡ったような感じ。カラヤンやベーム、バーンスタインでも、こんな重厚剛毅強靱な響きのベートーヴェンはやらなかった。とすると、やはりこれがバレンボイムが目指すフルトヴェングラーを意識しての演奏なのだろう。
第1楽章の強さ。もう堂々たる「運命」。その音が見事。そやそや、ベートーヴェンの「運命」だもの、こういう音でやらにゃ、感じが出んぞよ・・・と膝を叩く場面しきり。
テンポが中庸だが、音がとにかく強いので、もう王者の風格満点のベートーヴェンになっている。近来稀に見る(聴く)伝統スタイル。こういうの久しぶり。エエなぁと思う。
第2楽章は一転、たっぷりしたテンポで遅い。じっくりと旋律を歌わせつつ。対向旋律などにも配慮して、対位法的作風を明らかにしていこうとする感じ。昼間部のチェロの美しい歌は、悠久たる大河を思わせる名演奏と思う。
ティンパニの強打、トランペットの輝かしく強靱な響きも最高。弦楽合奏も充実、このトラック6分過ぎのトゥッティが減衰して消えゆくときの余韻余情は、いや全く絶美。たまらない美しさ。
第3楽章は緊張感で一杯。ホルンやトロンボーンは見事。ヴァイオリンが両翼配置なので、響きが左右に大きく広がってゆくのもイイ。聴いていて、オーケストラに包み込まれてゆく安心感、心地よさがある。演奏は緊張感で一杯なのに、聴いていると、その包容力に感動してしまう。
そして、フィナーレは勝利の大行進。凱歌。雄叫び。ベルリン・シュターツカペレが目一杯鳴り響いて、それこそ大爆発している。素晴らしい。
苦悩から歓喜へ。勝利の凱歌は、こうでなくちゃ。気持ちいいほど、オケが唸り、叫んでいる。
録音も素晴らしいです。
重厚な響きが広がり、左右・高低ともに音がよく伸びていきます。残響も大変美しいです。
ティンパニの音ヌケがもう少し良ければもっとカッコイイのになぁと思うんですが、もしかするとあえて目立たせないようにしたのかもしれません。
弱音でも音がやせず、生々しさが伝わります。その緊張感がまたエエんです。
バレンボイムのうなり声はご愛敬。臨場感に一役買っているかもしれません。
ネットの世界をボンヤリ眺めていると、バレンボイムはあまり評判よろしくないようです。
そんな気がします。
そこで、ちと、褒めてみました。
2008/02/05のBlog
[ 05:46 ]
[ 交響曲 ]
回線を光にしてから、だいぶ速度が上がりました。
速度測定サイト(http://www.bspeedtest.jp/)で調べてみると、今朝などは49Mbpsという数値を叩きだしてます。
ADSL時代に比べて10倍ほど速くなっているんですが、体感的にはそこまでいきません。しかし、あのモデム時代、テレホーダイの時刻を待ちわびていた頃を思えば、便利な時代になったものです。
さて、今日もベートーヴェンです。
ベートーヴェンの交響曲第4番 変ロ長調。
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏。
1971年の録音。DG盤。
短時日で録音されたベームのベートーヴェン全集からの1枚。アナログLP。
いつも厳格で、無骨なまでの構成感で迫ってくるベームにしては、大らかで明朗な演奏。肩の力が抜けて、ウィーン・フィルの美質を十分に発揮させた演奏と云うべきか。オケに任せていると点で、ベームにしては珍しい感じ。
一筆書きの流麗さも感じられる。楷書体を旨とするベームにしては、やはりこれも珍しい。全体的にテンポは中庸で、ガッシリした安定感が特徴。その歩みは堅実だ。
第1楽章は迫力・勢いとも十分で、格調高い。ウィーン・フィルの響きがとても美しく、特にウィンナ・ホルンとウィンナ・オーボエが綺麗。弦楽セクションはいつも通り輝かしく、鮮やかなサウンド。
ベームの指揮は厳めしさが薄れ、オーケストラを信頼して手綱を少し緩めた感じ。あまり指揮者の存在を感じさせない印象もある。アンサンブルはスッキリとまとまっていて、そこはさすが、ウィーン・フィルと思う。
第2楽章も同様、美麗なウィーン・フィルの響きを堪能できる。弦の厚みが十分で、木管の音色も実にイイ。
第3楽章は堂々と押し出しの強いスケルツォ。安定感十分。フワフワしない、腰の据わった演奏と云うべきか。ベームもオケも長年演奏してきた自信・確信に満ちた演奏と思う。
フィナーレはゆったりと進む。伝統的な演奏様式で、今の耳で聴くと、さすがに古くなったかなぁとも思うが、その美しいサウンドに身をゆだねるのは一種快感であって、ウィーン・フィルの響きに惚れ惚れとしてしまう。
ベームがオーケストラに任せきってしまった感じが、かえって新鮮で良い印象となった。
録音は標準的です。
第4交響曲1曲でLP1枚AB両面を使い切ってしまう贅沢さ。
その分、音質は上々であって、左右への広がりが心地よいです。
DGの録音らしく、空間的な広がりを重視している感じです。
あまり個々の楽器を鮮やかに捉えすぎないところ(例えばDECCAのように・・・)が、良いのかもしれません。
速度測定サイト(http://www.bspeedtest.jp/)で調べてみると、今朝などは49Mbpsという数値を叩きだしてます。
ADSL時代に比べて10倍ほど速くなっているんですが、体感的にはそこまでいきません。しかし、あのモデム時代、テレホーダイの時刻を待ちわびていた頃を思えば、便利な時代になったものです。
さて、今日もベートーヴェンです。
ベートーヴェンの交響曲第4番 変ロ長調。
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏。
1971年の録音。DG盤。
短時日で録音されたベームのベートーヴェン全集からの1枚。アナログLP。
いつも厳格で、無骨なまでの構成感で迫ってくるベームにしては、大らかで明朗な演奏。肩の力が抜けて、ウィーン・フィルの美質を十分に発揮させた演奏と云うべきか。オケに任せていると点で、ベームにしては珍しい感じ。
一筆書きの流麗さも感じられる。楷書体を旨とするベームにしては、やはりこれも珍しい。全体的にテンポは中庸で、ガッシリした安定感が特徴。その歩みは堅実だ。
第1楽章は迫力・勢いとも十分で、格調高い。ウィーン・フィルの響きがとても美しく、特にウィンナ・ホルンとウィンナ・オーボエが綺麗。弦楽セクションはいつも通り輝かしく、鮮やかなサウンド。
ベームの指揮は厳めしさが薄れ、オーケストラを信頼して手綱を少し緩めた感じ。あまり指揮者の存在を感じさせない印象もある。アンサンブルはスッキリとまとまっていて、そこはさすが、ウィーン・フィルと思う。
第2楽章も同様、美麗なウィーン・フィルの響きを堪能できる。弦の厚みが十分で、木管の音色も実にイイ。
第3楽章は堂々と押し出しの強いスケルツォ。安定感十分。フワフワしない、腰の据わった演奏と云うべきか。ベームもオケも長年演奏してきた自信・確信に満ちた演奏と思う。
フィナーレはゆったりと進む。伝統的な演奏様式で、今の耳で聴くと、さすがに古くなったかなぁとも思うが、その美しいサウンドに身をゆだねるのは一種快感であって、ウィーン・フィルの響きに惚れ惚れとしてしまう。
ベームがオーケストラに任せきってしまった感じが、かえって新鮮で良い印象となった。
録音は標準的です。
第4交響曲1曲でLP1枚AB両面を使い切ってしまう贅沢さ。
その分、音質は上々であって、左右への広がりが心地よいです。
DGの録音らしく、空間的な広がりを重視している感じです。
あまり個々の楽器を鮮やかに捉えすぎないところ(例えばDECCAのように・・・)が、良いのかもしれません。
2008/02/04のBlog
[ 05:24 ]
[ 室内楽曲 ]
昨日は節分。今日は立春。
我が家は伝統行事をきちんと行います。そうです、「鬼は外、福は内」。
寒い中、窓を開けてまきました。良い春が来るように、きちんと声を出して。
鰯の頭を柊に刺して戸口にも置きました。
(太巻きを喰う行事は関西の慣習ですか?関東生まれの僕にはその習慣がないので、喰いません。だいたい、あれはコンビニの陰謀ではないかと思うんですが、どうなんでしょう・・・・)
さて、そこで今日は春立つ音楽を。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 作品24「春」。
ダヴィッド・オイストラフ(Vn)とレフ・オボーリン(Pf)の演奏。
1962年6月、パリでの録音。フィリップス原盤。
人口に膾炙した名盤と思う。
オイストラフの大らかでのびのびとしたヴァイオリンを、オボーリンのピアノが慎ましく柔らかく支えてゆく。互いの個性と役割を尊重しあった、美しいデュオ。
ああ、室内楽ってエエなぁ、アンサンブルって楽しいなぁ・・・・と云っているような演奏。聴いていて心の底から喜びがじんわりと湧いてくる。
オイストラフのヴァイオリンは、太めでたっぷりとした音色。それが良い。とても暖かく、「春」にふさわしい。聴いていてウットリするような心地よさ。心が朗らかになってくる。
(正直に告白すれば、僕はこの演奏を聴いていて、ホンマにウットリしてしまったのです。途中、うたた寝をしてしまったのです。しかし、それは、何と贅沢なうたた寝だったでしょう!)
テンポは中庸で、幸福な音楽がリスニング・ルームに広がる。そう、この曲の調性はヘ長調。あの「田園」と同じ。心伸びやかな幸福な曲になるわけだ。
録音はさすがに古びてきましたが、音場感はエエです。
特に定位がよろしい。
オイストラフが左手前に、オボーリンが右手奥にくっきり定位します。そして、オイストラフがすくっと立って、気持ちよく弾いている感じが伝わって来ます。
ピアノの音がもう少しクリアなら申し分ないんですが、録音から45年以上経過したことを考えれば欲張りすぎでしょう。
暦の上では、四国伊予路も「春」。
寒風の中、近所の桜の木にも着実に新芽が育っています。
心なしか、今朝の目覚めは、少し暖かかったように思います。
さあ、新しい気分で、新しい季節の始まり、一週間の始まりです。
我が家は伝統行事をきちんと行います。そうです、「鬼は外、福は内」。
寒い中、窓を開けてまきました。良い春が来るように、きちんと声を出して。
鰯の頭を柊に刺して戸口にも置きました。
(太巻きを喰う行事は関西の慣習ですか?関東生まれの僕にはその習慣がないので、喰いません。だいたい、あれはコンビニの陰謀ではないかと思うんですが、どうなんでしょう・・・・)
さて、そこで今日は春立つ音楽を。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 作品24「春」。
ダヴィッド・オイストラフ(Vn)とレフ・オボーリン(Pf)の演奏。
1962年6月、パリでの録音。フィリップス原盤。
人口に膾炙した名盤と思う。
オイストラフの大らかでのびのびとしたヴァイオリンを、オボーリンのピアノが慎ましく柔らかく支えてゆく。互いの個性と役割を尊重しあった、美しいデュオ。
ああ、室内楽ってエエなぁ、アンサンブルって楽しいなぁ・・・・と云っているような演奏。聴いていて心の底から喜びがじんわりと湧いてくる。
オイストラフのヴァイオリンは、太めでたっぷりとした音色。それが良い。とても暖かく、「春」にふさわしい。聴いていてウットリするような心地よさ。心が朗らかになってくる。
(正直に告白すれば、僕はこの演奏を聴いていて、ホンマにウットリしてしまったのです。途中、うたた寝をしてしまったのです。しかし、それは、何と贅沢なうたた寝だったでしょう!)
テンポは中庸で、幸福な音楽がリスニング・ルームに広がる。そう、この曲の調性はヘ長調。あの「田園」と同じ。心伸びやかな幸福な曲になるわけだ。
録音はさすがに古びてきましたが、音場感はエエです。
特に定位がよろしい。
オイストラフが左手前に、オボーリンが右手奥にくっきり定位します。そして、オイストラフがすくっと立って、気持ちよく弾いている感じが伝わって来ます。
ピアノの音がもう少しクリアなら申し分ないんですが、録音から45年以上経過したことを考えれば欲張りすぎでしょう。
暦の上では、四国伊予路も「春」。
寒風の中、近所の桜の木にも着実に新芽が育っています。
心なしか、今朝の目覚めは、少し暖かかったように思います。
さあ、新しい気分で、新しい季節の始まり、一週間の始まりです。
2008/02/03のBlog
[ 04:36 ]
[ 交響曲 ]
ベートーヴェンの交響曲は、やはりエエです。聴きながら、だいたい僕は感動してます。
どんな演奏でも、「やっぱり、ベートーヴェンはエエなぁ」と思います。
好きなんでしょうね。
そして、今日のエントリーのような演奏なら、もう、背筋がゾクゾクするほど興奮します。
ということで、「エロイカ」、行きます。
ベートーヴェンの交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」。
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークの演奏。(いやはや、オケ名が長すぎてタイトルに入りません・・・・略称ORRでエエんでしょうか?)
1993年3月、スネイプ、モールティングス・コンサートホールでのライヴ録音。独アルヒーフ原盤。
録音に使用されたホールは、残響2秒という、アムステルダム・コンセルトヘボウと同じ残響時間を持つ、イギリス有数の名ホールらしい。煉瓦造りの建物と木造の室内というから、ざぞや美しい響きを持つのだろう。
さて、演奏は激しい勢い。奔流のような力強さ。表現したいという強い意欲が感じられる演奏。
古楽器の爽やかな響きにもかかわらず、演奏全体が熱く、力強く、そう、熱い血潮が通った演奏になっている。迫力も十分。ティンパニの強打など、胸のすく気持ちよさ。ブッ叩いている感じ。
テンポは快速。たたみかけるような迫力と力強い推進力に満ちている。特にその速さは、初めて聴いたときには尋常ならざるものに思えた。(今はもう慣れたが・・・)
その速さと強さの中から、怒りのベートーヴェン、ファイティング・ポーズのベートーヴェンが出現する。
そうか、この交響曲は戦いの音楽なのだ。伝統、因習、社会の古い仕組み、アンシャン・レジームか、それらとの戦い、そして自身の耳疾・・・・ベートーヴェンには戦う相手が沢山あったのだ。その闘争へ向かう魂がこの交響曲なのだ・・・・・ガーディナーとORRの演奏は、そういったことを意識させてくれる演奏と思う。
その点では、この演奏は美しくない。荒々しく、猛り狂うのであって、その表現のあり方は昔のフルトヴェングラーを思い出させる。50年以上昔の古い演奏と、現代のピリオド楽器の新しい演奏と、様式は全く違うのだが、不思議な共通点を聴く。
「憤怒のベートーヴェン」とでも云うべきか・・・・。
第1楽章は力強く逞しいアレグロ・コン・ブリオ。一途で、孤独、まさに男の戦いを思わせる。
第2楽章は孤独感・寂寥感一杯の演奏。崇高な悲しみが鳴り渡る葬送行進曲。木管のひなびた響きが、その侘びしさを増幅させる。
スケルツォは推進力に溢れる。オケも大変巧い。ホルンのアンサンブルなど、全く見事。間然とするところなし。
フィナーレは見事な変奏曲。個々の楽器の名人芸を楽しみながら、一気に終曲へ向かってゆく。その勢いや良し。素晴らしい。
録音も最高。残響も素晴らしく、これはホールがイイんでしょう。
ライヴのハンディなし。
古楽器が瑞々しく響き渡り、爽快な心地よさに包まれます。
どんな演奏でも、「やっぱり、ベートーヴェンはエエなぁ」と思います。
好きなんでしょうね。
そして、今日のエントリーのような演奏なら、もう、背筋がゾクゾクするほど興奮します。
ということで、「エロイカ」、行きます。
ベートーヴェンの交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」。
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークの演奏。(いやはや、オケ名が長すぎてタイトルに入りません・・・・略称ORRでエエんでしょうか?)
1993年3月、スネイプ、モールティングス・コンサートホールでのライヴ録音。独アルヒーフ原盤。
録音に使用されたホールは、残響2秒という、アムステルダム・コンセルトヘボウと同じ残響時間を持つ、イギリス有数の名ホールらしい。煉瓦造りの建物と木造の室内というから、ざぞや美しい響きを持つのだろう。
さて、演奏は激しい勢い。奔流のような力強さ。表現したいという強い意欲が感じられる演奏。
古楽器の爽やかな響きにもかかわらず、演奏全体が熱く、力強く、そう、熱い血潮が通った演奏になっている。迫力も十分。ティンパニの強打など、胸のすく気持ちよさ。ブッ叩いている感じ。
テンポは快速。たたみかけるような迫力と力強い推進力に満ちている。特にその速さは、初めて聴いたときには尋常ならざるものに思えた。(今はもう慣れたが・・・)
その速さと強さの中から、怒りのベートーヴェン、ファイティング・ポーズのベートーヴェンが出現する。
そうか、この交響曲は戦いの音楽なのだ。伝統、因習、社会の古い仕組み、アンシャン・レジームか、それらとの戦い、そして自身の耳疾・・・・ベートーヴェンには戦う相手が沢山あったのだ。その闘争へ向かう魂がこの交響曲なのだ・・・・・ガーディナーとORRの演奏は、そういったことを意識させてくれる演奏と思う。
その点では、この演奏は美しくない。荒々しく、猛り狂うのであって、その表現のあり方は昔のフルトヴェングラーを思い出させる。50年以上昔の古い演奏と、現代のピリオド楽器の新しい演奏と、様式は全く違うのだが、不思議な共通点を聴く。
「憤怒のベートーヴェン」とでも云うべきか・・・・。
第1楽章は力強く逞しいアレグロ・コン・ブリオ。一途で、孤独、まさに男の戦いを思わせる。
第2楽章は孤独感・寂寥感一杯の演奏。崇高な悲しみが鳴り渡る葬送行進曲。木管のひなびた響きが、その侘びしさを増幅させる。
スケルツォは推進力に溢れる。オケも大変巧い。ホルンのアンサンブルなど、全く見事。間然とするところなし。
フィナーレは見事な変奏曲。個々の楽器の名人芸を楽しみながら、一気に終曲へ向かってゆく。その勢いや良し。素晴らしい。
録音も最高。残響も素晴らしく、これはホールがイイんでしょう。
ライヴのハンディなし。
古楽器が瑞々しく響き渡り、爽快な心地よさに包まれます。