Blog
前のページ
|
次のページ
2008/03/12のBlog
[ 00:55 ]
[ ヘッジファンド全般・マクロ環境 ]
しばらくお休みをしていました。すぐにブログを復活するということでもないんだけど、暗い話ばかりだったところに明るいニュースというか、FRBが重要なアクションをとったので、たまに書く速報ということで(^^)。
FRBはTerm Securities Lending Facility(”TSLF”)のなかで、これまで以上の流動性供給手段として、政府機関債(エージェンシー債)や民間格付けでAAA格のモーゲージ担保証券(MBS)を担保として期間28日まで市中のプライマリーディーラー資格を持つ金融機関に2000億ドル(約20兆円強)の国債を貸し出す(=ファイナンスをつける)というプログラムを発動した(→FRBの発表文はこちら)。これまではオーバーナイトが主流だったが実質1ヶ月のタームファンディングを金融機関に保証してやったことになる。
えーと、我ながらグチャグチャ書いてるね(^^;。どういうことかというと、FRBが国債を貸し出すと、借りた側はレポ市場というマネーの市場を通じて担保付借入を行うことが出来る。これまでAAA格のMBSを持ってても、民間同士のレポ(マネーマーケット市場)では場合によってはAAA格のファニー・メイやフレディー・マックの債券ですら担保付借入市場の適格担保として取るのを嫌がっていた(ま、いまや格付け会社のAAAには何の意味も無いというか、たとえばモノラインの大手MBIAのAAA格は昨日L+650bpsで取引されてたぐらいで、AAAだからどうしたの?って話になってはいるのだが…)、それほど住宅ローン関連債券は毛嫌いされてたわけ(^^;。従いAAA格のMBSを持っててもそれでおカネを借りるのにかなり苦労してた人も結構多くいたわけ。ところが今回の措置で、持ってるMBSを中央銀行に差し出せば中央銀行が国債に変えてくれて、それをレポ市場にだせば資金調達が出来るようになったということなのだ。いざとなれば中央銀行が取ってくれることがわかったわけだから、民間同士でのレポにおいても国債じゃなくてもAAAのMBSならレポの担保で問題ないや、という判断になるだろう。つまりわざわざFEDにいかなくてもMBSでちゃんとおカネが回るようになることが期待される。この意味は大きい。
しかも発表文をよく読むと、それは銀行に限った話ではなくて、国債引き受けを行うプライマリーディーラー資格をもつもの、つまり最近資金繰りに困ってる一部の証券会社(broker-dealer)にも資金調達の途が開けたわけ。いわば血液が流れてないところの通りをよくする措置で、筆者は金利を下げるのよりも即効性があるとおもう。なぜならば、最近のカネ詰り問題は、いくらで借りられるか(matter of lending rate)ではなくて、そもそもおカネを借りられるのかどうか( availability of money)というところにきていたからだ。この現象は1990年代の日本でも起こった。いくら金利を下げてもおカネを貸すという行為が縮んでしまったのだ。ケインズがこれを「流動性の罠」と名づけたのを知っている読者も多いとおもう。このまま放っておけば、バナンキ議長がいくらおカネをヘリコプターでバラ撒いても(注)効果無しという同じ罠にアメリカも陥るリスクがあったと筆者はおもう。
(注)ヘリコプター・ベンの異名をとる(^^)現議長だけど、ヘリコプター・マネーという名称の発祥?はれっきとした正統経済学というか、マネタリストの大御所ミルトン・フリードマンにあるので、バナンキ議長のいってることが奇異すぎると揶揄したり非難するのは筋違いも甚だしい。
一昨日BSCなどは資金繰り不安の話が出て5年ものCDSは+630~650bpsとかいうとんでもない水準で取引されていたのだ。CitiとかMerrillは言うに及ばず生保最大手のAIGにいたるまで、大手金融機関が軒並みL+200bpsを超える水準で取引されるほど市場参加者はパニックしてたわけね(^^)。また先週欧州でもブンズ(ドイツ国債)以外の周辺の弱小国の国債(イタリアのBTP債など)は、まさに投売りという形容がふさわしいほど悲惨な状況に陥っていた。キャリー取引で死んだ連中も多いとおもう。流動性危機がおこると弱小国から破裂していくのは1998年のLTCM危機のときと同じ構造だ。
今回の措置は、お互い相手を信じられない、担保も国債以外は信じられない、少なくとも国債以外は長い(といっても1ヶ月とか3ヶ月なんだけどね(^^;)期間のレポなんてとんでもないという状態をある程度落ち着かせることが出来るのではないかと思う。流動性の供給手段の直接的確保という意味は大きい。ファニーやフレディーの政府「実質」(implicit)保証が、直接(explicit)保証(=税金投入をすぐには伴わない公的救済と同義)に一歩近づいたという意味で前進だとおもう。
FRBはTerm Securities Lending Facility(”TSLF”)のなかで、これまで以上の流動性供給手段として、政府機関債(エージェンシー債)や民間格付けでAAA格のモーゲージ担保証券(MBS)を担保として期間28日まで市中のプライマリーディーラー資格を持つ金融機関に2000億ドル(約20兆円強)の国債を貸し出す(=ファイナンスをつける)というプログラムを発動した(→FRBの発表文はこちら)。これまではオーバーナイトが主流だったが実質1ヶ月のタームファンディングを金融機関に保証してやったことになる。
えーと、我ながらグチャグチャ書いてるね(^^;。どういうことかというと、FRBが国債を貸し出すと、借りた側はレポ市場というマネーの市場を通じて担保付借入を行うことが出来る。これまでAAA格のMBSを持ってても、民間同士のレポ(マネーマーケット市場)では場合によってはAAA格のファニー・メイやフレディー・マックの債券ですら担保付借入市場の適格担保として取るのを嫌がっていた(ま、いまや格付け会社のAAAには何の意味も無いというか、たとえばモノラインの大手MBIAのAAA格は昨日L+650bpsで取引されてたぐらいで、AAAだからどうしたの?って話になってはいるのだが…)、それほど住宅ローン関連債券は毛嫌いされてたわけ(^^;。従いAAA格のMBSを持っててもそれでおカネを借りるのにかなり苦労してた人も結構多くいたわけ。ところが今回の措置で、持ってるMBSを中央銀行に差し出せば中央銀行が国債に変えてくれて、それをレポ市場にだせば資金調達が出来るようになったということなのだ。いざとなれば中央銀行が取ってくれることがわかったわけだから、民間同士でのレポにおいても国債じゃなくてもAAAのMBSならレポの担保で問題ないや、という判断になるだろう。つまりわざわざFEDにいかなくてもMBSでちゃんとおカネが回るようになることが期待される。この意味は大きい。
しかも発表文をよく読むと、それは銀行に限った話ではなくて、国債引き受けを行うプライマリーディーラー資格をもつもの、つまり最近資金繰りに困ってる一部の証券会社(broker-dealer)にも資金調達の途が開けたわけ。いわば血液が流れてないところの通りをよくする措置で、筆者は金利を下げるのよりも即効性があるとおもう。なぜならば、最近のカネ詰り問題は、いくらで借りられるか(matter of lending rate)ではなくて、そもそもおカネを借りられるのかどうか( availability of money)というところにきていたからだ。この現象は1990年代の日本でも起こった。いくら金利を下げてもおカネを貸すという行為が縮んでしまったのだ。ケインズがこれを「流動性の罠」と名づけたのを知っている読者も多いとおもう。このまま放っておけば、バナンキ議長がいくらおカネをヘリコプターでバラ撒いても(注)効果無しという同じ罠にアメリカも陥るリスクがあったと筆者はおもう。
(注)ヘリコプター・ベンの異名をとる(^^)現議長だけど、ヘリコプター・マネーという名称の発祥?はれっきとした正統経済学というか、マネタリストの大御所ミルトン・フリードマンにあるので、バナンキ議長のいってることが奇異すぎると揶揄したり非難するのは筋違いも甚だしい。
一昨日BSCなどは資金繰り不安の話が出て5年ものCDSは+630~650bpsとかいうとんでもない水準で取引されていたのだ。CitiとかMerrillは言うに及ばず生保最大手のAIGにいたるまで、大手金融機関が軒並みL+200bpsを超える水準で取引されるほど市場参加者はパニックしてたわけね(^^)。また先週欧州でもブンズ(ドイツ国債)以外の周辺の弱小国の国債(イタリアのBTP債など)は、まさに投売りという形容がふさわしいほど悲惨な状況に陥っていた。キャリー取引で死んだ連中も多いとおもう。流動性危機がおこると弱小国から破裂していくのは1998年のLTCM危機のときと同じ構造だ。
今回の措置は、お互い相手を信じられない、担保も国債以外は信じられない、少なくとも国債以外は長い(といっても1ヶ月とか3ヶ月なんだけどね(^^;)期間のレポなんてとんでもないという状態をある程度落ち着かせることが出来るのではないかと思う。流動性の供給手段の直接的確保という意味は大きい。ファニーやフレディーの政府「実質」(implicit)保証が、直接(explicit)保証(=税金投入をすぐには伴わない公的救済と同義)に一歩近づいたという意味で前進だとおもう。
市場はすぐさま反応している。為替は見れば明らかだから他の市場を見てみよう。まずは国債と銀行の信用リスクの差を表象する2年ものスワップスプレッド(銀行間金利と国債利回りの差)をみてみる。これを執筆している時点の2年スワップスプレッドは96.10bps近辺。
次はユーロダラー3ヶ月もの金利と3ヶ月短期国債(T-bill)利回りの差の推移(これは通常TEDスプレッドと呼ばれている。TreasuryとEuroDollarの差ということね)。年初来拡大路線を再び突っ走って150bpsを超えていたが、今日のアナウンスメントで140bps台まで戻った。
三つ目はジニーメイのように政府保証ではないが、「実質」保証といわれている民間金融機関ファニーメイ(FNMA:Federal National Mortgage Association米国連邦住宅抵当公庫)の国債に対するスプレッドの推移。格付けはAAAである。これも大幅買戻しが進行中なのがわかる。
最後は地方債(ミュニシパル債、通称ミュニボンドMuni-Bond)版のSIV発行CPとも言える(^^;、オークションレートセキュリティーズ(ARS)の1ヶ月もの金利の推移。この債券の利回りはまさに名前の通り1ヶ月ごとに投資家の入札形式(オークション)によって設定される。誰もいらないって話になれば金利が跳ね上がる。さきほどみたように、3ヶ月のT-bill金利は1.50%以下で取引され、1ヶ月のLIBORですら2.90%くらいしかないときに、5%を超える水準で取引されてるわけね。そもそもおカネを借りられるのかどうか(availability risk)という話があながち冗談ではないのが理解してもらえるだろうか。当然期間の長いミュニ債券はもっとひどいことに先週なっていた。まあ、価格暴落については某欧州の大手銀行が20億ドル近く投げたのが原因なんて言われてるけど、これではまった投資家はヘッジファンドに限らず結構いたとおもう。。。まあ耐えられればこんなおいしい投資はないだろうが、市場が機能不全に陥るときはえてしてそういう風になるものだよね。
ここは市場が他に比べて薄いのと、データ更新が遅いので実際どうなるかはまだわからない。FEDの思惑からすれば当然これも落ち着いてほしいということだろうしそうなるとはおもうけど、地方債やモノラインの話はかつて狂犬といわれたスピッツァーNY州知事の買春スキャンダル報道を見ても分かるように、相当ドロドロしてるみたいだね(^^;。
まあいづれにしてもやっと明るい材料が出たのはいいことだ。
ここは市場が他に比べて薄いのと、データ更新が遅いので実際どうなるかはまだわからない。FEDの思惑からすれば当然これも落ち着いてほしいということだろうしそうなるとはおもうけど、地方債やモノラインの話はかつて狂犬といわれたスピッツァーNY州知事の買春スキャンダル報道を見ても分かるように、相当ドロドロしてるみたいだね(^^;。
まあいづれにしてもやっと明るい材料が出たのはいいことだ。
2008/01/26のBlog
[ 13:21 ]
[ 雑談・四方山話 ]
更新はしないとつい10日前にアナウンスしたのになんで書いてんだよと言われそうだが(^^;、筆者の基準で笑える(でもそのなかに多少は考えさせられるものがある)話についてはそれこそ忘却してしまうので、ときどき書いておくことにしようとおもう。金融・ヘッジファンド関係のメモ書きはしばらく非公開なのはお許し下さい(本意ではないけれど…)。まあここでの内容は四方山話です。
さて、まずは日本を代表する企業を6社も子会社化したとEDIネットに報告した株式会社テラメント(笑)。
「2008年1月25日16時12分頃、アステラス製薬、ソニー、三菱重工業、トヨタ自動車、フジテレビジョン、日本電信電話の計6社の株式を各々51%取得したという内容の大量保有報告書を関東財務局に提出し、日本全土を震撼させた。」と、以下で紹介するサイトでご丁寧に解説してある。総額20兆7千億円、含み損1兆7千億円となかなかのものですねー(^^;。でも資本金は1,000円(別に間違えてません)の会社。
代表者は山口滋となってるが真偽は勿論不明。ただ愉快犯としては準備周到で、Wikipediaに似せたUncyclopediaというブラックジョークのサイトに、テラメントという項目を立てて丁寧に説明している(→こちら)。彼自身の説明やUncyclopediaで完全なジョークなるも一定のルール?をもって遊んでいる様(→たとえば同サイトのどうしようもない記事の項目参照。イメージファイルはここから採ったもの)が伝わってくる。多分自分で書いたんだろうけど、遊びとしちゃ手が込んでるよね(^^;。
上図でのイメージの作り方や彼の作った?ページに映画Matrixの一部映像が張られていることなどを勘案すると、彼は「巧殻機動隊」(注)のファンで、とりわけ「電脳社会における『笑い男』事件」という題材を一つのテーマとした話がすきなんだろうなとおもう。笑い男は独特の正義感を持つ人物として描かれており、しかしエスタブリッシュメントからすれば法と秩序を破壊するテロリストだ。実際このマンガのお話のほうでも笑い男の模倣犯が独立に(stand alone)、しかし集団ヒストリーのように発生する。あまり気持ちよい譬えじゃないかもしれないが、バラバラに動いていて、でもある緩やかな意志を共有するアルカイダのような組織イメージ(あるいは中心の無いネット社会を予見した概念であるリゾーム?)かもしれない。
注:因みに原作はアーサーケストラーのGhost in the Machineにインスピレーションを得て作られたとか。ケストラーとか集合的無意識というちょっとオカルトな概念を提唱した心理学者C.G.ユング(UFOを人間が何故見るかについての論文も書いてます)に影響を受けてるひとは他にも結構いる。この2月に東京で再結成公演をやるポリス(The Police)のスティングも一時ハマっていて、アルバム「Ghost in the Machine」そして「Synchronicity」(共時性:これはユング心理学のオカルトな概念。最近はERP問題に絡んで(entangled!)量子力学でも話題のひとつ)といった作品をつくっている。
さて、このEDIネットに大量保有報告を送りつけた人物が、笑い男というコンセプトにどのくらいシンパシーを抱いていたかはともかくとして、彼はこの我々が生きる現実においてマンガに描かれる笑い男のようにスマートな?テロリズムを実行しえたのであろうか?
さて、まずは日本を代表する企業を6社も子会社化したとEDIネットに報告した株式会社テラメント(笑)。
「2008年1月25日16時12分頃、アステラス製薬、ソニー、三菱重工業、トヨタ自動車、フジテレビジョン、日本電信電話の計6社の株式を各々51%取得したという内容の大量保有報告書を関東財務局に提出し、日本全土を震撼させた。」と、以下で紹介するサイトでご丁寧に解説してある。総額20兆7千億円、含み損1兆7千億円となかなかのものですねー(^^;。でも資本金は1,000円(別に間違えてません)の会社。
代表者は山口滋となってるが真偽は勿論不明。ただ愉快犯としては準備周到で、Wikipediaに似せたUncyclopediaというブラックジョークのサイトに、テラメントという項目を立てて丁寧に説明している(→こちら)。彼自身の説明やUncyclopediaで完全なジョークなるも一定のルール?をもって遊んでいる様(→たとえば同サイトのどうしようもない記事の項目参照。イメージファイルはここから採ったもの)が伝わってくる。多分自分で書いたんだろうけど、遊びとしちゃ手が込んでるよね(^^;。
上図でのイメージの作り方や彼の作った?ページに映画Matrixの一部映像が張られていることなどを勘案すると、彼は「巧殻機動隊」(注)のファンで、とりわけ「電脳社会における『笑い男』事件」という題材を一つのテーマとした話がすきなんだろうなとおもう。笑い男は独特の正義感を持つ人物として描かれており、しかしエスタブリッシュメントからすれば法と秩序を破壊するテロリストだ。実際このマンガのお話のほうでも笑い男の模倣犯が独立に(stand alone)、しかし集団ヒストリーのように発生する。あまり気持ちよい譬えじゃないかもしれないが、バラバラに動いていて、でもある緩やかな意志を共有するアルカイダのような組織イメージ(あるいは中心の無いネット社会を予見した概念であるリゾーム?)かもしれない。
注:因みに原作はアーサーケストラーのGhost in the Machineにインスピレーションを得て作られたとか。ケストラーとか集合的無意識というちょっとオカルトな概念を提唱した心理学者C.G.ユング(UFOを人間が何故見るかについての論文も書いてます)に影響を受けてるひとは他にも結構いる。この2月に東京で再結成公演をやるポリス(The Police)のスティングも一時ハマっていて、アルバム「Ghost in the Machine」そして「Synchronicity」(共時性:これはユング心理学のオカルトな概念。最近はERP問題に絡んで(entangled!)量子力学でも話題のひとつ)といった作品をつくっている。
さて、このEDIネットに大量保有報告を送りつけた人物が、笑い男というコンセプトにどのくらいシンパシーを抱いていたかはともかくとして、彼はこの我々が生きる現実においてマンガに描かれる笑い男のようにスマートな?テロリズムを実行しえたのであろうか?
筆者の答えは否(aboslutely not)である。赤穂浪士の義を世の秩序を不安定にする行為なのだから現在にあっては厳罰に処するべきだと言った荻生徂徠のことがすぐにアタマに浮かぶわけだけど、筆者個人はこの犯人を厳罰に処すべきだとおもっている。ご本人も「法の拡大解釈による山口滋氏の逮捕や、資産(6社の株式、残り80兆のオイルマネー)没収など、強権的な対応が想定される。」と書いてるんだから、逮捕してあげればいいとおもう。
たしかに今回の事件は金融商品取引法のもとにおける開示制度の不備をついた点と、もうひとつ会社法や商法の改正で株式会社の資本金が1円からでも良くなったことを逆手にとった点で、きわめて興味深いのは事実。だけどね、たとえば株式会社の資本金制限を緩くしたときになんらかの悪用は予想されてたと思うんだよね。そのうえで、資本金を小さくすることで会社設立・創業のコストを下げられれば万に一つのベンチャーの発祥も期待できるかもしれないということでこの制度は作られたはず。勿論、そこに実証ないし実験に基く費用便益分析(cost-benefit analysis)がちゃんと行われたかどうかは疑義なしとしない。役人が生半可な知識と情報をもとに良かれとおもってやった結果、とんでもないことになるという事例は枚挙に暇が無い(たとえば最近では耐震偽装を是正するという公共の利益の目的で行われた建築基準法の性急な厳格化と、その結果生じたマクロ経済への莫大な悪影響とかね。。。)。
彼のような手法は確かに世の中にアピールするという点ではよいかもしれない。彼が逮捕され公判のときにはおそらく、みんなにこれはインチキだろ、冗談だよね、とわかるように何十にもヒントをばら撒いていたと主張するだろう。開示報告も場が引けてからだったし、ありえない報告をわざわざ出したでしょ、単なる愉快犯ですよというとおもうんだろうけど、たとえばこれをみてこりゃいいアイディアだとおもう反社会的勢力が、もっとありえそうな名前でありえそうな量の保有をしましたと虚偽の報告をし、それをメディアが取り上げて実際にその株価が反応するという可能性は十分ある。
一方警察・検察・証券取引等監視委員会などは、それみたことか放っておけば市場って言うのはこういう野放図でアブナイ輩が跋扈するんだから、自分達の権限をもっと強化して予算も人員も増やさなきゃいけないちう理屈を正当化してしまう根拠を与えてしまったのと同じだ。つまり英雄気取りの彼の行動は結果的に権力側に規制と罰則強化の口実を与える方向に作用してしまうのだ。
市場における規律と自由の問題は古くて新しい問題だけど、こうした「問題提起」をしただけだというおバカがいるために却って規制が強まるかもしれない。ただでさえ閉塞感のある日本市場にまた自由な経済活動を阻害するタネが撒かれたのはちょっと悲しいよね(^^;。
金融商品取引法第197条の2第6項には、「重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者」に対して、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」ことができる、と書いてある。まあやった人間の本意はわからないが、厳罰に処してよいとおもう。筆者個人はもっと厳罰化してもよいとおもっている。ただし公権力の恣意性ができるだけ排除されることが条件だけどね。
筆者の基本的立場を誤解のないように書いておくと、筆者は市場はなるべく自由主義的に運営し、市場の集積である「衆知」の自己規律に運営を委ねるべきであると思っている。そこで不正を行う輩を防ぐために、あれこれ規則を細かく決めて権力を増幅させるのではなく、行政府は善良な参加者だけが参加する市場と同じ行動をとる誘因がはたらくような制度設計(インセンティブ・メカニズムの設計)に腐心すべきで、役人自身の自己増殖と権力拡大の口実にしてはならない。そのうえで悪事を働く市場参加者に対しては断固排除するシステムを設計すればいい。でも実際は検察・警察も金融庁・SESCも自己の権力拡大にしか興味が無さそうだけどね(^^;。検察もSESCもThe elite shall governという発想をどこかで持っているとおもう。選良が民を守るのだ云々。愚かな(^^;!というわけで、筆者は検察もSESCもきらいな組織だ。エリート臭がほんと鼻につく。「衆知」が「衆愚」になりそうなときだけ、そうならないように誘導ないしメカニズムを手助けしてやればいいのであって(フロイトの超自我?)、選良に率いてもらう必要など無い。ただ「衆知」を信ずる立場と、衆知の顕在化したもののひとつである国家権力による厳格な処罰を与えることを顕彰することは矛盾しないのだけれど、話がどんどんずれちゃいそうなので、そうした屁理屈(^^)の話はここではしない。
もっとも言うは易く、行うは難し。公共の利益の定義の難しさは、たとえば鯨(環境?)を守るためなら、自分達の船を艦船に衝突させ、乗組員に実際に怪我を負わせてしまうこと(環境テロリスト達は誰も傷つけていないといってるらしいが、壜や中味が目に入って怪我した人もいるとのこと。立派な傷害罪だ)までやってでも守る価値(=世界の利益)があると真剣に?おもってるバカ団体があるのをみても明らか。筆者個人は、あんなやつら威嚇攻撃のうえ、正当防衛で撃沈させてもいいとおもうけどね(^^;。実力行使は割にあわないことを明確にメッセージとして伝えたほうがいい。捕まえたやつも引き渡さず、公海上の多くの乗組員の安全を脅かした罪で、最大限日本で刑務所に収監すればいい。終身禁錮刑にはできないだろうけど、断固とした態度をとればよろしい。
話がそれた(^^;。ま、最後はカール・マルクスの「ルイ・ボナパルトのブリューメル18日」(岩波文庫まさか絶版なんですか!…)からの引用を。バーチャルな笑い男をリアルで模倣しても出来のわるい喜劇にしかならないのかもしれない。。。
『歴史は繰り返す、最初は悲劇として、二度目は喜劇として。過去の亡霊を呼び出し、その由緒ある衣装に身を包み、借りものの言葉を演じる。』
たしかに今回の事件は金融商品取引法のもとにおける開示制度の不備をついた点と、もうひとつ会社法や商法の改正で株式会社の資本金が1円からでも良くなったことを逆手にとった点で、きわめて興味深いのは事実。だけどね、たとえば株式会社の資本金制限を緩くしたときになんらかの悪用は予想されてたと思うんだよね。そのうえで、資本金を小さくすることで会社設立・創業のコストを下げられれば万に一つのベンチャーの発祥も期待できるかもしれないということでこの制度は作られたはず。勿論、そこに実証ないし実験に基く費用便益分析(cost-benefit analysis)がちゃんと行われたかどうかは疑義なしとしない。役人が生半可な知識と情報をもとに良かれとおもってやった結果、とんでもないことになるという事例は枚挙に暇が無い(たとえば最近では耐震偽装を是正するという公共の利益の目的で行われた建築基準法の性急な厳格化と、その結果生じたマクロ経済への莫大な悪影響とかね。。。)。
彼のような手法は確かに世の中にアピールするという点ではよいかもしれない。彼が逮捕され公判のときにはおそらく、みんなにこれはインチキだろ、冗談だよね、とわかるように何十にもヒントをばら撒いていたと主張するだろう。開示報告も場が引けてからだったし、ありえない報告をわざわざ出したでしょ、単なる愉快犯ですよというとおもうんだろうけど、たとえばこれをみてこりゃいいアイディアだとおもう反社会的勢力が、もっとありえそうな名前でありえそうな量の保有をしましたと虚偽の報告をし、それをメディアが取り上げて実際にその株価が反応するという可能性は十分ある。
一方警察・検察・証券取引等監視委員会などは、それみたことか放っておけば市場って言うのはこういう野放図でアブナイ輩が跋扈するんだから、自分達の権限をもっと強化して予算も人員も増やさなきゃいけないちう理屈を正当化してしまう根拠を与えてしまったのと同じだ。つまり英雄気取りの彼の行動は結果的に権力側に規制と罰則強化の口実を与える方向に作用してしまうのだ。
市場における規律と自由の問題は古くて新しい問題だけど、こうした「問題提起」をしただけだというおバカがいるために却って規制が強まるかもしれない。ただでさえ閉塞感のある日本市場にまた自由な経済活動を阻害するタネが撒かれたのはちょっと悲しいよね(^^;。
金融商品取引法第197条の2第6項には、「重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者」に対して、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」ことができる、と書いてある。まあやった人間の本意はわからないが、厳罰に処してよいとおもう。筆者個人はもっと厳罰化してもよいとおもっている。ただし公権力の恣意性ができるだけ排除されることが条件だけどね。
筆者の基本的立場を誤解のないように書いておくと、筆者は市場はなるべく自由主義的に運営し、市場の集積である「衆知」の自己規律に運営を委ねるべきであると思っている。そこで不正を行う輩を防ぐために、あれこれ規則を細かく決めて権力を増幅させるのではなく、行政府は善良な参加者だけが参加する市場と同じ行動をとる誘因がはたらくような制度設計(インセンティブ・メカニズムの設計)に腐心すべきで、役人自身の自己増殖と権力拡大の口実にしてはならない。そのうえで悪事を働く市場参加者に対しては断固排除するシステムを設計すればいい。でも実際は検察・警察も金融庁・SESCも自己の権力拡大にしか興味が無さそうだけどね(^^;。検察もSESCもThe elite shall governという発想をどこかで持っているとおもう。選良が民を守るのだ云々。愚かな(^^;!というわけで、筆者は検察もSESCもきらいな組織だ。エリート臭がほんと鼻につく。「衆知」が「衆愚」になりそうなときだけ、そうならないように誘導ないしメカニズムを手助けしてやればいいのであって(フロイトの超自我?)、選良に率いてもらう必要など無い。ただ「衆知」を信ずる立場と、衆知の顕在化したもののひとつである国家権力による厳格な処罰を与えることを顕彰することは矛盾しないのだけれど、話がどんどんずれちゃいそうなので、そうした屁理屈(^^)の話はここではしない。
もっとも言うは易く、行うは難し。公共の利益の定義の難しさは、たとえば鯨(環境?)を守るためなら、自分達の船を艦船に衝突させ、乗組員に実際に怪我を負わせてしまうこと(環境テロリスト達は誰も傷つけていないといってるらしいが、壜や中味が目に入って怪我した人もいるとのこと。立派な傷害罪だ)までやってでも守る価値(=世界の利益)があると真剣に?おもってるバカ団体があるのをみても明らか。筆者個人は、あんなやつら威嚇攻撃のうえ、正当防衛で撃沈させてもいいとおもうけどね(^^;。実力行使は割にあわないことを明確にメッセージとして伝えたほうがいい。捕まえたやつも引き渡さず、公海上の多くの乗組員の安全を脅かした罪で、最大限日本で刑務所に収監すればいい。終身禁錮刑にはできないだろうけど、断固とした態度をとればよろしい。
話がそれた(^^;。ま、最後はカール・マルクスの「ルイ・ボナパルトのブリューメル18日」(岩波文庫まさか絶版なんですか!…)からの引用を。バーチャルな笑い男をリアルで模倣しても出来のわるい喜劇にしかならないのかもしれない。。。
『歴史は繰り返す、最初は悲劇として、二度目は喜劇として。過去の亡霊を呼び出し、その由緒ある衣装に身を包み、借りものの言葉を演じる。』
2008/01/17のBlog
[ 22:03 ]
[ 雑談・四方山話 ]
ここを読んで下さっている皆さんには申し訳ないのですが、いろいろ考えることがありまして、しばらくお休みしようとおもいます。別にこれまでたいしたことを書いてるわけでもないのですが、もともとは踏み上げ太郎さんやwha_man3さんの真摯なBlogと有益な情報にすこしでもお返しをしたい+自分のそのときに考えていたことの備忘録という理由でこれまで書き殴ってきました。nobinobiさんやEUROSELLERさんのブログも大変参考にさせていただきました。感謝しています。(自分がやめるくせに言えた義理じゃないんですが、投資関連はDoblogの名物に今やなってるようですからどうぞ続けてください。)
端的に言って自分にとっては善意と節度ある大人の共同体としてWeb2.0社会の可能性が感じられる場でありました。おカネと金儲けに深くかかわっている自分が言うのも変ですが(^^;、損得を何にも考えず、純粋に情報と意見を交換したいというおもいをかなえてくださった、コメントしてくださった皆様に深く感謝いたします。
Mixiなどのclosed communityではなく、匿名で不特定多数の方が自由に見られる場で書くことのpros and consは巷間議論されているようにいろいろあるのですが、Doblogの投資コミュニティー?の読者の皆様はやはり無償の情報を提供してくださって、それに対してまた応えるという連鎖も経験できました。ある意味でモース、マリノフスキ、レヴィ-ストロース(そしてデリダ?)と続く人類学の系譜の「贈与交換」の純粋なかたちがネット社会でみられたのだとおもうと、非常に感慨深いものがあります(^^)。
不特定多数に見られるものであるという適度な緊張感と、贈与の連鎖がなければグータラな私がこんなあれこれ続けられることはなかったでしょう(なんせ自分だけだと、ビリー隊長のところに入隊してわずか10分後には脱退している有様ですから)。
このようなヲタブログを読んでくださる一般の個人の方がそれなりにいてくれたのだろうというのは(大上段に言えば)日本の金融リテラシーの将来を考える上でとても励みになりました。現場の生のものをほとんど生のまま出しても反応してもらえるというのは面白いというか楽しい経験でした。でもどこかの投資銀行のひとが業界にDoblogの存在を書いたときいて、潮時かなとおもいました。もちろん、不特定多数が全く自由にアクセスできる場を選んだ以上、そういう「紹介」をメールでばら撒いたひとに文句をいうつもりは全くありません。踏み上げさんやwha_man3さんのアクセス数に引っ張られて、投資ブログが上位に結構来るようになってから、そういう可能性もあるだろうなとは予想していました。存在を知ってる人は筆者が誰かそんなに多くない人数に特定できるだろうとおもいますし、業界の方にみていただきコメントをもらえるのは楽しい経験だったのですから。
ただせまい業界なので、多分こいつが書いてるんだろうなとおもっても知らない振りして(^^;、そっと大人の対応をしていただけるとよかったかなーという気持ちもすこしあるのです。本来僕の仕事は裏方です。裏方は徹底的にマイナーであるべきで(pour une littérature mineure!)、匿名性がリスクに曝されるのであれば一歩引くしかありませんし、なによりも贈与交換性が失われるリスク(ようは商売ネタのなにかに使われる可能性)は取れないかなと(^^;。
他の方のコメント欄にはたまにコメントさせていただこうとおもっています。ここの読者の皆様、こんなマイナーな業界ネタ?に今までお付き合いくださいましてありがとうございました。2008年は結構厳しい年となりそうですが、自分のおカネを張って真剣勝負している皆様の益々のご発展を祈念する次第です。
pg
端的に言って自分にとっては善意と節度ある大人の共同体としてWeb2.0社会の可能性が感じられる場でありました。おカネと金儲けに深くかかわっている自分が言うのも変ですが(^^;、損得を何にも考えず、純粋に情報と意見を交換したいというおもいをかなえてくださった、コメントしてくださった皆様に深く感謝いたします。
Mixiなどのclosed communityではなく、匿名で不特定多数の方が自由に見られる場で書くことのpros and consは巷間議論されているようにいろいろあるのですが、Doblogの投資コミュニティー?の読者の皆様はやはり無償の情報を提供してくださって、それに対してまた応えるという連鎖も経験できました。ある意味でモース、マリノフスキ、レヴィ-ストロース(そしてデリダ?)と続く人類学の系譜の「贈与交換」の純粋なかたちがネット社会でみられたのだとおもうと、非常に感慨深いものがあります(^^)。
不特定多数に見られるものであるという適度な緊張感と、贈与の連鎖がなければグータラな私がこんなあれこれ続けられることはなかったでしょう(なんせ自分だけだと、ビリー隊長のところに入隊してわずか10分後には脱退している有様ですから)。
このようなヲタブログを読んでくださる一般の個人の方がそれなりにいてくれたのだろうというのは(大上段に言えば)日本の金融リテラシーの将来を考える上でとても励みになりました。現場の生のものをほとんど生のまま出しても反応してもらえるというのは面白いというか楽しい経験でした。でもどこかの投資銀行のひとが業界にDoblogの存在を書いたときいて、潮時かなとおもいました。もちろん、不特定多数が全く自由にアクセスできる場を選んだ以上、そういう「紹介」をメールでばら撒いたひとに文句をいうつもりは全くありません。踏み上げさんやwha_man3さんのアクセス数に引っ張られて、投資ブログが上位に結構来るようになってから、そういう可能性もあるだろうなとは予想していました。存在を知ってる人は筆者が誰かそんなに多くない人数に特定できるだろうとおもいますし、業界の方にみていただきコメントをもらえるのは楽しい経験だったのですから。
ただせまい業界なので、多分こいつが書いてるんだろうなとおもっても知らない振りして(^^;、そっと大人の対応をしていただけるとよかったかなーという気持ちもすこしあるのです。本来僕の仕事は裏方です。裏方は徹底的にマイナーであるべきで(pour une littérature mineure!)、匿名性がリスクに曝されるのであれば一歩引くしかありませんし、なによりも贈与交換性が失われるリスク(ようは商売ネタのなにかに使われる可能性)は取れないかなと(^^;。
他の方のコメント欄にはたまにコメントさせていただこうとおもっています。ここの読者の皆様、こんなマイナーな業界ネタ?に今までお付き合いくださいましてありがとうございました。2008年は結構厳しい年となりそうですが、自分のおカネを張って真剣勝負している皆様の益々のご発展を祈念する次第です。
pg
2008/01/08のBlog
[ 18:00 ]
[ 金利RV戦略 ]
日本株は一応今年初めての上昇だったけど、なーんか元気でなかったよね。。(←スミマセン、1月8日現在のコメントです。以下、ひとり言:今日も終わりは高く引けてすこしはホッとしたかとおもったが、個別株を見てるとガイジンの好きそうな株でめちゃくちゃな売られ方をしてる銘柄もいくつかあるね。なんで月中にこんなアグレッシブな売り方してんのかねー。。)
あんまり書くこともないんだけど、新聞などでも3ヶ月金利が年度越えなんで高止まりしてるなんて記事が出てるよね。短期金利のカーブ取引機会については知ってる人には当たり前だけどあまり述べられる機会もないのでヒマなうちにちょっと書いておこう(^^)。
最初の掲題図は日本の銀行間金利の満期ごとの曲線、所謂イールドカーブというやつだ。1日もの金利から1年もの金利までをプロットしたもの(X軸が満期までの期間、Y軸が金利水準)だけど、翌日物から3ヶ月ものまでは確かに結構急になっているのがわかる。
あんまり書くこともないんだけど、新聞などでも3ヶ月金利が年度越えなんで高止まりしてるなんて記事が出てるよね。短期金利のカーブ取引機会については知ってる人には当たり前だけどあまり述べられる機会もないのでヒマなうちにちょっと書いておこう(^^)。
最初の掲題図は日本の銀行間金利の満期ごとの曲線、所謂イールドカーブというやつだ。1日もの金利から1年もの金利までをプロットしたもの(X軸が満期までの期間、Y軸が金利水準)だけど、翌日物から3ヶ月ものまでは確かに結構急になっているのがわかる。
次の図は、このうち日本円金利の無担保コール翌日物(所謂オーバーナイト overnight金利)と3ヶ月もの金利のスプレッドの推移を過去半年間書いてみたグラフだ。
半年ほど前までは20bps台前半で推移していたが、グローバルな金融セクターでの信用危機の顕在化により一挙に60bps台まで拡大、最近縮まってきたとはいえ40bps台で推移している。
市場には3ヶ月間とか6ヶ月間のあいだ、一方がオーバーナイト金利を支払い、もう一方が3ヶ月や6ヶ月間の金利を固定でにぎる(交換する)市場がある。オーバーナイト金利はもちろん、オーバーナイトで毎日変動する変動金利、もう一方は固定金利だから、変動金利と固定金利を交換してるわけね。こういう金利の交換市場を金利スワップ市場と呼んでいることは随分前のエントリー(→こちら)で説明したと思う。金利デリバティブの市場は巨大市場で、金融機関を通じてそれらのポジションが事業会社からヘッジファンドにいたるまで利用されている。
そのなかでもこうしたオーバーナイト金利のロールと、ある一定程度の期間の金利を交換する取引をOIS(Overnight Indexed Swap)とかOISスワップと呼んでいる。翌日物金利市場はいわゆる短資会社を通じてコール市場に参加できる人しか本来参加できないのだけれど、こうしたOISスワップを通じて市場に参加できる(スプレッドはスワップ契約の相手方である金融機関に多少払わなくちゃいけないけどね)。銀行間金利の指標にLIBORがあるのと同様、この毎日のOIS水準を各国値決めしていて、名前は国によってLIBORと異なりちがうんだけど円金利のものはTONAR(Tokyo Over-Night Average Rate)と通称呼ばれている(OISの簡単な説明はすこし古いけどCSFBのこちらの資料なども参照されたし)。
トレーディングする場合、たとえばOISスプレッドが拡大する(掲題下図だとY軸の上方向にいく)方向にかけるとしよう(OISスプレッドのワイドナーwidenerポジション)。
たとえば半年前の例で0.25%のところにいて今後スプレッドが拡大し0.50%~0.60%まで拡大すると考えた場合の戦略はどうなるだろうか。
この場合オーバーナイト(変動)の受け(レシーブ)、固定の支払い(ペイ)でネットで0.25%を支払うことになるが、スプレッドがたとえば50bpsまで拡大したところでオーバーナイトの支払い(ペイ)、固定の受け取りというポジションをとれば、-0.25%+0.50%=25bpsをロックインできることになる。ま、これはそのまま続けているとネガティブキャリーの取引で満期までそんなに時間がないので、素早い行動と見通しが必要だ。
逆に素直にこれから3ヶ月は福井総裁は金利を上げられない(つまりオーバーナイト金利はほぼ0.50%に張り付いたまま)、一方いま目の前に3ヶ月で0.90%払ってくれる銀行間レートがあるならば、それを単純にもらう契約をするというのもありだ。差額の0.40%は儲かる算段になる。OTC(相対)取引でやってもいいし、どうせ短いのでユーロ円金利先物を使ってもいい。スプレッドの更なる拡大にかける取引をやるのか、長短(といっても1日と3~6ヶ月金利の差だけど)金利差を素直に取りに行く(キャリートレード!)のか、それはそのときの需給やスプレッドの水準を考慮して行動することになる。
実際にOISのquoteをみていると3ヶ月の固定サイドは0.5005%くらいなので、十分儲けられると言うわけ。ただしこの例では0.90%と0.5005%の差の3か月分なので、名目元本で1000億円やったとしても、1000億円x(0.90%-0.5005%)x3/12=99,875,000の儲けだけどね。単位が大きすぎてピンとこないかな(^^;。1万円あたり約10円(9.9875円)の儲けということです。株やってるひとからみたら、何ぬるいことやっとんのや、きみぃ、ってことになるかもね(^^)。
ただ筆者の記憶にある限り、わずか3ヶ月くらいの短い期間の間にこれだけカーブが立っているのは珍しいと思う。3ヶ月くらいなら今のマクロ経済の現状を鑑みてforward-lookingしたとしても、いくら福井さんでも金利をあげられるとはおもえないし(^^;、あとは3ヶ月で日本の銀行セクターにデフォルトがおこるかどうかだけど、欧米の金融機関に比べて今回は体力に余裕があるのでまあ心配しなくてもいいでしょう。仮に値洗い(MTM)で多少負けたとしても3ヶ月くらいで勝負がつくしね。短期の資金繰りに不安が出て、中央銀行が大量の流動性を供給しているが故の裁定機会ではあるし、中央銀行は寧ろ裁定して、LIBOR水準を下げて欲しいと思ってるだろうから、お互い?メリットがある取引かもね(^^)。ただし、このような短期のスプレッドの拡大は銀行の信用に対する不信を含意していることは注意しなくてはならない。その上でこういうリスクは十分に取れると判断するか(3ヶ月かそこらでかつ対象は欧米でなく日本の金融機関)どうかってこと。ま、投資はなんでもそうだけどね、リスクとリターンの見きわめが大事なのは株も短期金利取引もかわらないのだ。
半年ほど前までは20bps台前半で推移していたが、グローバルな金融セクターでの信用危機の顕在化により一挙に60bps台まで拡大、最近縮まってきたとはいえ40bps台で推移している。
市場には3ヶ月間とか6ヶ月間のあいだ、一方がオーバーナイト金利を支払い、もう一方が3ヶ月や6ヶ月間の金利を固定でにぎる(交換する)市場がある。オーバーナイト金利はもちろん、オーバーナイトで毎日変動する変動金利、もう一方は固定金利だから、変動金利と固定金利を交換してるわけね。こういう金利の交換市場を金利スワップ市場と呼んでいることは随分前のエントリー(→こちら)で説明したと思う。金利デリバティブの市場は巨大市場で、金融機関を通じてそれらのポジションが事業会社からヘッジファンドにいたるまで利用されている。
そのなかでもこうしたオーバーナイト金利のロールと、ある一定程度の期間の金利を交換する取引をOIS(Overnight Indexed Swap)とかOISスワップと呼んでいる。翌日物金利市場はいわゆる短資会社を通じてコール市場に参加できる人しか本来参加できないのだけれど、こうしたOISスワップを通じて市場に参加できる(スプレッドはスワップ契約の相手方である金融機関に多少払わなくちゃいけないけどね)。銀行間金利の指標にLIBORがあるのと同様、この毎日のOIS水準を各国値決めしていて、名前は国によってLIBORと異なりちがうんだけど円金利のものはTONAR(Tokyo Over-Night Average Rate)と通称呼ばれている(OISの簡単な説明はすこし古いけどCSFBのこちらの資料なども参照されたし)。
トレーディングする場合、たとえばOISスプレッドが拡大する(掲題下図だとY軸の上方向にいく)方向にかけるとしよう(OISスプレッドのワイドナーwidenerポジション)。
たとえば半年前の例で0.25%のところにいて今後スプレッドが拡大し0.50%~0.60%まで拡大すると考えた場合の戦略はどうなるだろうか。
この場合オーバーナイト(変動)の受け(レシーブ)、固定の支払い(ペイ)でネットで0.25%を支払うことになるが、スプレッドがたとえば50bpsまで拡大したところでオーバーナイトの支払い(ペイ)、固定の受け取りというポジションをとれば、-0.25%+0.50%=25bpsをロックインできることになる。ま、これはそのまま続けているとネガティブキャリーの取引で満期までそんなに時間がないので、素早い行動と見通しが必要だ。
逆に素直にこれから3ヶ月は福井総裁は金利を上げられない(つまりオーバーナイト金利はほぼ0.50%に張り付いたまま)、一方いま目の前に3ヶ月で0.90%払ってくれる銀行間レートがあるならば、それを単純にもらう契約をするというのもありだ。差額の0.40%は儲かる算段になる。OTC(相対)取引でやってもいいし、どうせ短いのでユーロ円金利先物を使ってもいい。スプレッドの更なる拡大にかける取引をやるのか、長短(といっても1日と3~6ヶ月金利の差だけど)金利差を素直に取りに行く(キャリートレード!)のか、それはそのときの需給やスプレッドの水準を考慮して行動することになる。
実際にOISのquoteをみていると3ヶ月の固定サイドは0.5005%くらいなので、十分儲けられると言うわけ。ただしこの例では0.90%と0.5005%の差の3か月分なので、名目元本で1000億円やったとしても、1000億円x(0.90%-0.5005%)x3/12=99,875,000の儲けだけどね。単位が大きすぎてピンとこないかな(^^;。1万円あたり約10円(9.9875円)の儲けということです。株やってるひとからみたら、何ぬるいことやっとんのや、きみぃ、ってことになるかもね(^^)。
ただ筆者の記憶にある限り、わずか3ヶ月くらいの短い期間の間にこれだけカーブが立っているのは珍しいと思う。3ヶ月くらいなら今のマクロ経済の現状を鑑みてforward-lookingしたとしても、いくら福井さんでも金利をあげられるとはおもえないし(^^;、あとは3ヶ月で日本の銀行セクターにデフォルトがおこるかどうかだけど、欧米の金融機関に比べて今回は体力に余裕があるのでまあ心配しなくてもいいでしょう。仮に値洗い(MTM)で多少負けたとしても3ヶ月くらいで勝負がつくしね。短期の資金繰りに不安が出て、中央銀行が大量の流動性を供給しているが故の裁定機会ではあるし、中央銀行は寧ろ裁定して、LIBOR水準を下げて欲しいと思ってるだろうから、お互い?メリットがある取引かもね(^^)。ただし、このような短期のスプレッドの拡大は銀行の信用に対する不信を含意していることは注意しなくてはならない。その上でこういうリスクは十分に取れると判断するか(3ヶ月かそこらでかつ対象は欧米でなく日本の金融機関)どうかってこと。ま、投資はなんでもそうだけどね、リスクとリターンの見きわめが大事なのは株も短期金利取引もかわらないのだ。
(追記)
SYさんより、これはOISとLIBORというロンドンのインターバンク参加者という異なったクレジットクラスの間の取引をしてるだけでは?というなかなかスルドイ質問をいただいたので、おなじ東京で取引している銀行間の金利指標であるTIBORとOISを比べた図を掲げておく。2番目の図との差は片方がLIBORなのかTIBORなのかという点だけだ。TIBORとLIBORの差は縮まってきているとはいえ依然5bps程度はあり、従って対TIBORでやったほうが余計な欧米機関のクレジット問題にひっかかるリスクは少ない。
まあここでの主眼に説明したかったことは、わずか3ヶ月の間の指標金利がかなりsteepだった(急な坂のように立っていた)こと、この3ヶ月間にオーバーナイト金利を上げられる可能性は極めて限られていると考えられること(たとえば期待インフレ率の代理指標であるブレークイーブンスプレッドの推移を見よ)、そしてそれらを利用してのありうる取引について述べようということであった。確かにわざわざL-Tスプレッドまでとりにいく必要はなかった。議論のポイントを曖昧にしてしまったね。SYさんのご質問に感謝します。m(_ _)m
SYさんより、これはOISとLIBORというロンドンのインターバンク参加者という異なったクレジットクラスの間の取引をしてるだけでは?というなかなかスルドイ質問をいただいたので、おなじ東京で取引している銀行間の金利指標であるTIBORとOISを比べた図を掲げておく。2番目の図との差は片方がLIBORなのかTIBORなのかという点だけだ。TIBORとLIBORの差は縮まってきているとはいえ依然5bps程度はあり、従って対TIBORでやったほうが余計な欧米機関のクレジット問題にひっかかるリスクは少ない。
まあここでの主眼に説明したかったことは、わずか3ヶ月の間の指標金利がかなりsteepだった(急な坂のように立っていた)こと、この3ヶ月間にオーバーナイト金利を上げられる可能性は極めて限られていると考えられること(たとえば期待インフレ率の代理指標であるブレークイーブンスプレッドの推移を見よ)、そしてそれらを利用してのありうる取引について述べようということであった。確かにわざわざL-Tスプレッドまでとりにいく必要はなかった。議論のポイントを曖昧にしてしまったね。SYさんのご質問に感謝します。m(_ _)m
2008/01/04のBlog
[ 11:58 ]
[ 日本株 ]
日本市場は今日からスタート。
大発会だったわけだが半日で616円安。10:45には765円安まであった。特別なニュースがあったわけではないと思うが大納会と含めて2日で1000円の下げってのは、なんとも厳しいっすねー(^^;。
(追記)大発会としては史上最大の下げなんだとか。。。元気でないねー(^^;。
この値段から売って益の出るロングオンリーの投資家はいないとおもうので、一つはインデックスアービトラージャのバスケットの売りだろうけど、もうひとつはこの辺(14500円)まで来るとノックインオプションのストライクが溜まってるという話も市場では出ていた。実際証券の自己勘定(プロップデスク)は概ね引値15分くらいには関与できないという自主ルールになっていているようで、10:45でザラ場安値ってのも後付講釈すれば、それが影響してるのかなーと勘繰りたくはなる。日経平均の300~400円はみんな覚悟してたと思うけど、さすがにザラ場760円安ってのは予想外だったのではあるまいか。
ノックインオプションのデルタの変化は、満期までの残存期間によって全く異なるので一概に推測でものを言う事は出来ないのだが、満期の近いノックインがあると、下がればデルタ調整の為に叩き売るという行動が出て来ざるを得ないのも事実。たしかに需給で見れば2月SQまでは気が抜けないというかもう一段下に突っ込無可能性のほうが寧ろ高いだろうなとおもう。
まあ詳しくはネットでいろいろ書かれるであろう市況解説を読んでもらうとして、半日で14億株出来てるのはわるくない。円高、アメリカ株安を受けての自然な流れでいい会社もめちゃくちゃに売られている。掲題表をみてもわかるようにアジアはさほど追随していない。筆者はあまり市場の方向性で勝負していないんだけど、仕込み時としちゃあわるくない。
ともあれ、海外市場に次いで日本市場もスタートした。お屠蘇気分を一新して今年の勝負開始だ!
大発会だったわけだが半日で616円安。10:45には765円安まであった。特別なニュースがあったわけではないと思うが大納会と含めて2日で1000円の下げってのは、なんとも厳しいっすねー(^^;。
(追記)大発会としては史上最大の下げなんだとか。。。元気でないねー(^^;。
この値段から売って益の出るロングオンリーの投資家はいないとおもうので、一つはインデックスアービトラージャのバスケットの売りだろうけど、もうひとつはこの辺(14500円)まで来るとノックインオプションのストライクが溜まってるという話も市場では出ていた。実際証券の自己勘定(プロップデスク)は概ね引値15分くらいには関与できないという自主ルールになっていているようで、10:45でザラ場安値ってのも後付講釈すれば、それが影響してるのかなーと勘繰りたくはなる。日経平均の300~400円はみんな覚悟してたと思うけど、さすがにザラ場760円安ってのは予想外だったのではあるまいか。
ノックインオプションのデルタの変化は、満期までの残存期間によって全く異なるので一概に推測でものを言う事は出来ないのだが、満期の近いノックインがあると、下がればデルタ調整の為に叩き売るという行動が出て来ざるを得ないのも事実。たしかに需給で見れば2月SQまでは気が抜けないというかもう一段下に突っ込無可能性のほうが寧ろ高いだろうなとおもう。
まあ詳しくはネットでいろいろ書かれるであろう市況解説を読んでもらうとして、半日で14億株出来てるのはわるくない。円高、アメリカ株安を受けての自然な流れでいい会社もめちゃくちゃに売られている。掲題表をみてもわかるようにアジアはさほど追随していない。筆者はあまり市場の方向性で勝負していないんだけど、仕込み時としちゃあわるくない。
ともあれ、海外市場に次いで日本市場もスタートした。お屠蘇気分を一新して今年の勝負開始だ!
前のページ
|
次のページ