鈴木貴博の「会社のしくみをもっと変える」ブログ
ダイヤモンド社
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2006/04/03の記事
鈴木です。先週でブログも終了したはずですが、なぜか午後のこの時間になると文章を書かないのがちょっとムズガユく感じてしまいます。5ヶ月間とはいえ、すっかりブログの文章を考えるのが午後の習慣になっていたようですね。

さて、ブログに関するアンケート、皆様のご協力ありがとうございました。アンケートをお願いする際に約束しましたとおり、結果を簡単にご紹介します。

まず、このブログに来ていただいたきっかけですが、圧倒的に口コミ、検索ページ経由が多かったようです。もともとは書籍のつづきのつもりで書き始めたブログでしたが、読者の皆さんは逆に、先にこのページをWeb上で見つけていただいたようですね。本の巻末ページからブログにとんだ方よりも、ブログを読んで本を買っていただいた方の方がずっと多いというのは興味深い発見でした。

さらに「会社のしくみは変えられますか?」の読者の中で、前作「IT9つの秘密」を読んでいただいている方はそのさらに約半数。ということはブログが最初で、そこから情報発信が始まって、どんどん前作にさかのぼっているんですね。出版を企画していると、前作→続編→ブログという情報発信を想定するものですが、皆さんのアンケートを見るとブログ→続編→前作という流れに近い現象が起きているようです。これがいわゆるロングテール現象のエンジンなのではないかと勝手に想像を膨らませてしまいました。いずれにしても現代的な情報流だと思いました。

このブログを読んでいただいている皆さんが一番読んでいるほかのブログとは、、、やっぱりというか、ええっと言うか、「真鍋かをりのココだけの話」でした。いえ、かくいうオイラもちょっとファンです(ココだけちょっと真鍋調♪デシタ)。

全体で人気のあった話題は、やはり会社のしくみの話が上位に来るかと思えばそうとも言えず、結構さまざまですね。スタバ、ボーダフォン、WBCなどの話題は比較的共感が得られたからでしょうか、関心を持っていただけたようです。もちろんITと仕事に関連するメインのテーマはさまざまな形で共感を感じていただけたようです。

一方で、アストロ球団の話題に共感していただいた方は、、、なんとゼロでした(笑)。アンケートにお答えいただいた読者層の大半は30代未満だったので、アストロに興味がないのはジェネレーションギャップだと勝手に思い込んでいます。40代より上の世代にはアストロは圧倒的に支持されているんですよお(っとちょっと不満げなふりをしてみました)。お暇なお若い方、ぜひレンタルビデオ屋さんで一話だけでもご覧になってはいかがでしょうか。経営には一切役に立たないとは思いますが、血潮は沸くと思います。

さてさて、いつまでも名残り惜しさは残りますが、これで今回のブログは一旦終了とさせてください。まだ企画段階であまりお話できることはないのですが、今年の秋に向けて新しい出版の企画を進めていきたいと考えています。また近い将来、皆さんの関心に沿ったお話ができるように僕も勉強をしていきます。短い期間でしたが、ブログのご愛読、本当にありがとうございました
2006/03/31の記事
毎週金曜日は本のオススメを紹介してきましたが、今日で期間限定のブログも一旦最終回(来月に入って一度、特別編として皆さんから頂戴したアンケートのフィードバックをしますね)ということで、今回は4月から始まるテレビドラマのオススメにからめて会社のしくみの話を書きます。

アテンションプリーズ」、40代のビジネスマンには懐かしい響きの言葉ですね。紀比呂子さん主演で放送された人気ドラマが、この4月からフジテレビで前作とは設定をがらっと変えてリメイクされます。主役は上戸彩さんです。過去2年間、NTTデータさんと一緒に本を出してきたのですが、2作とも執筆の時期がその年の2月から7月ぐらいまでにあたりました。なぜか過去2年ともその時期に「エースをねらえ!」「アタックナンバーワン」と上戸彩さんのリメイクドラマが放映されていて、僕としてはNTTデータの本を書くときは「上戸彩のドラマを見ながら」というイメージが強いのです。

今回のドラマの舞台は航空会社のキャビンアテンダントの世界。上戸彩さんは日本航空のキャビンアテンダントの制服を着て活躍するそうです。日本航空は実は、僕が経営コンサルタントの世界に入って最初の頃、とてもお世話になった会社です。今、いろいろと経営課題を抱えていると報道されていますが、実は70年代には就職人気ナンバーワンの会社で、40代、50代の世代に非常に優秀な社員層を抱えています。余談ですがボストンコンサルティングの歴代日本代表は2期つづけて日本航空出身者が占めています。

キャビンアテンダントのサービス内容も、海外の航空会社が軒並みコスト削減に走るのを横目に、常に高いサービス水準を維持しています。いろいろな意味で、レベルの高い会社のひとつです。航空業界では米国の航空会社の多くが経営破たんするなど、国際的に経営が難しいとされる業界です。その中でむしろ日本航空は海外勢と比べて高い経営能力を持っている会社ですから、困難な局面もうまく乗り切っていけるのではないかと僕は期待しています。

前作の「アテンションプリーズ」では紀比呂子さんがあこがれの国際線乗務にはじめてついたときに、高度1万メートルから窓の外に広がる雲海(つまり雲の海ですね)を見て「この光景が見たくてスチュワーデスになったんだ」とつぶやくシーンが子供心にとても印象的でした。その後、僕が12歳のときだったと思いますが、始めて国際線に乗ったときに紀比呂子のまねをして窓から雲海を眺めた記憶があります(笑)。その後、何百回とフライトに乗るようになると、雲海ごときでは感動しなくなりましたが。今回、上戸彩さんは何に感動してくれるやら。

「さあ、飛ぶよ」というのが今回のドラマのキャッチフレーズのようですが、日本の大企業にも同じキャッチフレーズがあてはまるといいですね。環境が激変するのですから、皆さんの会社ももっと「飛ばなきゃ」と僕も思います。4月に入ると新年度という会社も多いですが、部門長の方は部門のキックオフで言ってみたいですね、「さあ、飛ぶよ」って。

新しい年度、日本経済は引き続き堅調になりそうです。成長できる時期に成長できない会社は要注意。成長する社会、激変する時代に取り残される危険な兆候だと思ったほうがいいと思います。どちらに飛んだらいいのか、そんな疑問に答えられるよう、また新しい書籍の企画と取材準備に入ろうと考えています。

最後になりますが、会社のしくみは変えられていますか?大胆に飛ぶ、細心の注意を払って飛ぶ、どちらも重要ですがポイントは飛ぶところですね。くれぐれも飛びそこなって失速しないようにアテンションプリーズ。また今年の秋ぐらい、新しい書籍で皆さんに論点を新たにして飛び方を問いかけてみたいと思います。それまでしばらくの間、おわかれです。今回のブログの執筆では多くのみなさんにお世話になりました。本当にありがとうございます。
2006/03/30の記事
僕は高校時代以来の牛丼ファンで、昔から優待券が欲しくて吉野家と松屋フーズの株主を続けています。牛めしの松屋はBSE騒動の中でもなんとか持ちこたえて黒字を維持していますが、吉野家は赤字決算になっただけではなく牛丼首位からも転落してしまいました。

吉野家というのはとてもまじめな会社で、牛丼他社がつぎつぎとオーストラリア産や中国産の牛肉を使って牛丼を復活させるのを横目に、きっぱりと牛丼を出さない方針を貫いています。吉野家の牛丼のあの味を出すには米国牛のショートプレートという特殊な部位の肉が一番よいのですが、もともと数量が少ない部位なので他の国の牛では必要なだけの量が確保できないのです。今でも発祥の地である築地市場内の店舗などほんとうにごく一部の店舗では国産牛を使った牛丼を出していますが、他のほとんどの店舗ではきっぱりと牛丼をやめてしまいました

一方で、もともと牛丼以外のメニューを持っていなかったことから、同業の松屋やすき屋のように多メニュー展開も遅れてしまいました。最初はカレー丼や鮭いくら丼のように店舗での加工がほとんどいらない、つまり導入しやすいメニューから始めて、こつこつとメニューを増やしていったのですが、このテンポはなかなかにスローなものでした。たとえば豚丼を出すのも他社に比べてワンテンポ遅れています。最初の頃は失礼ながら味もいまひとつという感じでした。

ところが、今になってみると牛丼各社で一番おいしい豚丼を出している会社はどこかというと、私見ですがおいしくなった吉野家の豚丼が一番おいしいと僕は感じています。根がまじめな人たちですから、味の改良にも真剣に取り組んで、十分な時間があればおいしい豚丼を開発できる。そんな力を持った会社が吉野家です。

おいしいメニューを開発する力もあり、それを多店舗展開できるオペレーション力もあり、経営陣も提供価値に対してまじめである。そんな企業がなぜBSE騒動をきっかけにここまで業績を落としてしまったのでしょうか。僕は吉野家には決定的に欠けていたものがひとつあると考えています。それはシナリオプランニング能力です。

シナリオプランニングとはオランダのロイヤル・ダッチ・シェルがオイルショックのときに業績を悪化させた反省から生み出した経営手法で、起こりうる複数のシナリオを準備しておいて、それぞれの状況に応じた最良な打ち手をあらかじめ検討しておく手法です。

たとえばBSEが発生した段階で、消費者が牛肉を食べなくなったらどうするかとか、アメリカからの牛肉が実際にそうなったように輸入禁止されたらどうするかといったことをあらかじめ検討していきます。現時点で言えば、輸入再開が長引いたらどうするかとか、逆に鳥インフルエンザなど別の要因が起きたらどうするのか、さらには燃料費や人件費などが高騰したらどうするかといったような備えを考えておくわけです。

基本的には世の中は不確定なものです。予測はある程度の意味はありますがあたらないことの方が多いものです。ですから予測をするのではなく、複数のシナリオを検討しながらさまざまな備えを行っていく、この能力を吉野家が持っていればもっとはやく今のおいしい豚丼を市場に投入できたのにと僕は残念に思っているわけです。まあ1株だけとはいえ株主ですから、それくらい残念がる権利はありますよね。今日の夕方、吉野家の業績修正発表があるそうですが、目先の困難にめげずにぜひ頑張ってください。期待していますから。
2006/03/29の記事
僕の出身地は名古屋ですが、今、東京は名古屋ブームだそうです。街中を見るとトヨタ車がたくさん走っていたり、陶磁器ではせとものが売れていたり、歴史上の人物では織田信長が支持されていたりと、、、いやそうではなく、みそかつやきしめんが東京でも日常的に食べることができるようになったというような意味での名古屋ブームです。

名古屋の出身者なら誰でも知っているような、それでいて今までは帰省しないと食べれなかった飲食チェーンも東京に続々と上陸しています。ラーメンの「スガキヤ」は一時期、東京から撤退していましたが、また東京出店が再開されたようです。あの白湯の肉入りラーメンとなぜか食後に食べるソフトクリームが東京でも楽しめるのは嬉しいことです。

銀座ではみそかつの「矢場とん」に長蛇の列ができているようです。みそかつもこれまでは東京のみそかつは味噌田楽の甘ったるいみそをそのままとんかつにかけたような、名古屋人にとっては「ちょっとね」というタイプのみそかつしか食べれませんでしたが、矢場とんでは本格的なコクのあるみそかつを楽しむことができます。

さて、名古屋の人なら誰でも知っているチェーンで、新宿地区に徐々に出店攻勢をかけているのが手羽先で有名な「世界の山ちゃん」です。社長の山ちゃんは、ジャパネットたかたのタカダ社長に良く似たキャラですが、手が翼になっているところが一味違います。鳥の仲間のようです。で、その山ちゃんが開発した秘伝のタレで揚げたのがあの手羽先です。一度食べると後をひく味で、ついついリピーターになってしまいます。ちなみにみそかつも「山ちゃん」では本格的なものが出てきます。

この山ちゃん、最初に東京に上陸したのは川崎でしたが(って東京じゃないですね)、二番目に新大久保に出てきました。その後、新宿近辺が気に入ったとみえて、新大久保に2店、新宿に3店とこのエリアに5店舗を構えるようになりました。そうなってくるとこの地域では結構目立つ店になってきます。あの独特の「山ちゃん」キャラの看板と、「秘伝のタレ」のうたい文句がどうも東京のお客さんを引き寄せるようです。今では新宿地区では「山ちゃん」は結構人気で、週末など2時間待ちもざらという状況です。

このようにひとつの地域に集中して出店することを「ドミナント戦略」といいます。ひとつの地域で圧倒する(ドミナンス)存在になることで、そのエリアでの知名度を上げ、かつリクルーティングや配送といった面でのコストを下げることができます。

飲食・小売や不動産の世界ではこのドミナント戦略は効果が高いようで、ビックカメラ(池袋)、ヨドバシカメラ(新宿)、森ビル(港区)、ステーキのドン(埼玉)、くら寿司(関西)など多くの企業が多店舗展開に移る以前は、まずこのドミナント戦略で企業力を高めるというのが定石です。
2006/03/28の記事
ブログはすでにメディアになりつつあります。最初にブログがメディアとして活躍したのは2004年の大統領選挙だそうです。共和党、民主党双方の陣営に、パワーブロガーたちがプレス(記者団)の一員として参加して情報発信を始めたのが、ブログがメディアとして認知され、同時にパワーを見せつけた最初のきっかけになるそうです。

ブロガーたちは、公式なジャーナリストのように訓練を受けた書き手ではありませんが、それぞれ「自分の目で見て感じたことをストレートに読者にぶつける」ことで読者の支持を受けています。それらの読者が少なからずの数になるため、まず最初に選挙の世界で「この影響力を使おう」という公式な動きが発生したわけです。

自分でブログを続けていてわかるのですが、雑誌に寄稿するときと違い、ブログではその瞬間、その瞬間に感じたことをストレートに文章にぶつけ、それが即時に読者に伝わるという、書き手からみた圧倒的な魅力があります。その一方で、裏をとるといった基本的なチェックはブログの場合なおざりになりがちです。

これはブログのメディアとしての欠陥で、近い将来ブログの影響力が上がった段階で大きな問題になるはずです。プロの書き手の僕ですら「基本的なチェックをなおざりにしがち」と感じるわけですから、いわんやジャーナリストとしての訓練を受けていない通常のブロガーたちの場合課題は大きいと思います。

そうは言っても「ポジションが能力を作る」という言葉があるとおり、読者の支持というスクリーニングで上位に来たパワーブロガーたちは、後から自然淘汰的にジャーナリストとして必要とされる取材力、判断力を身に着けていくことでさらにブロガーとしての力を強化していくのでしょう。そしてそのときにはブログが新聞・雑誌と並ぶ公式なメディアとして脱皮する第二段階を迎える時期ということになるのでしょう。
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