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グラの相場見通し
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2007/05/13のBlog
[ 15:48 ] [ 中国・香港 ]
踏み上げ太郎さんとwha_man3さんのご宣託に従います。

今は中国株比率は30%ほどなんですが、更に引き上げようかどうか迷ってます。他の外株はインドも含めて10%しかないんで、やるなら日本株かJ-Reitを売るしかないんですが、、、T+3のズレが泣けてくる。。。

☆☆☆☆☆☆☆☆

米国の小売統計は衝撃でした。

GDP、雇用統計までは「ブレ」の範囲内だと楽観してましたが、、、リセッションの可能性が高いのかもしれませんし、FEDの利下げ(7-9月)が現実味を増したように思います。
ただ、僕はあまり「特殊要因」は信じないのですが(今回はイースターと天気)、小売の個別を見ると確かに特殊要因らしきものがあり(食料品店やドラッグ・ストアなどの変動が小さいはずの業種の落ち込みが異常に大きい)、来月の販売統計を待ちたい。

来月の販売統計も落ち込んだら、、、住宅与信の引き締めによるクレジット・クランチ的なリセッション、と見るべきだろうと思います。その場合、最初は0.25%づつ2-3度の利下げ、ファイン・チューニングをまずやって、その後に本格的な利下げ局面となるんじゃないかと思いますが、、、今はデータを待ちたい。

☆☆☆☆☆☆☆☆

中国のQDII緩和は、踏み上げ太郎さんのご指摘の通りに、過剰流動性に中国政府が押し流されたのだと思う。

私が思うポイントは、アジアの過剰貯蓄(貿易黒字)が米国に債券投資として流入し、グローバルな低金利と米国の過剰消費を支え、それによって世界経済の拡大を実現する、という「新ブレトンウッズ体制」が変質し始めた、という点です。

つまり、中国が米国債を買ってグローバルな低金利を実現し、それによって世界中の資産価格を押し上げる効果を出していたけれど、中国からの資金流出が中国政府による米国債投資(=外貨準備の増加)だけではなく、一部にせよ個別株投資に変わる、ということです。

もちろん、30兆円の貿易黒字は今年は更に拡大するでしょうし、依然として中国による米債購入は続くでしょう。しかし、変化の方向性は、グローバルな低金利効果でもって世界中の資産価格が押し上げられている局面から、特定の分野(もちろん最初は香港株)にそのパワーが集中する、ということ。

これを米国の側から見れば、過剰消費を支えていた資金流入に不安が生じるのかもしれません。
サブ・プライムの問題は、米国でのクレジット・クランチ、信用不安の発生よりも、怪しげな証券化商品を売ることで対外赤字をファイナンスしていた米国の信認が揺らぎ(国際的なエージェンシー問題?)、米国内の金利(クレジット・スプレッド、長期金利)が上昇することではないかと思うのです。この観点と、今回のQDII緩和が与えるかもしれない今後の影響を合わせて考えると、米国の小売販売の落ち込みは衝撃でした。

☆☆☆☆☆☆☆

ただ、今はともかくバスに乗り遅れないように、乗るとしてもどのくらい、そしてどの銘柄に注力するかを考えたい。
それにしても、、、ここ数日、A/H倍率が高いH株が異常に上昇していたのは、こういうことだったのねw
2007/05/09のBlog
予想外に日銀ヲタクというか、賃金絡みの話が続いたので、久々にグラのお話で厄払いをw。

厄払いなんて言ったら、奴に怒られるでしょうが(^^)

☆☆☆☆☆☆☆

もう亡くなってから1年近くになりますが、奴は甘えん坊なだけではありませんでした。
大人の側面もあったのですよ。

母から聞いた話ですが、、、
甥っ子が4歳くらいのときのこと、甥っ子はグラの身体を使って自分の妹(2歳)に性教育を始めたそうです。

「ここがおっぱい」「ここがおしっこするところ」「ここが・・・」

その間、仰向けにされたグラは反抗することなく、されるがままだったそうです。
多分、普段のまん丸目玉じゃなくて、こんな感じの般若顔をしていたと思うんですがw

甥っ子たちよりもグラの方が5つほど年上だったので、グラは彼らに対しては大人の接し方をしていたように思います。

元気いっぱいの孫たちに手が余るときには、母はグラに面倒を見させていたそうです。例えば、田んぼでのかけっことか。

☆☆☆☆☆☆☆

かく言う僕も、奴に迷惑を掛けた覚えが・・・

実家でしこたま酔っ払った後にグラと散歩に行ったときのこと。
どうやら僕は友達に電話をかけたようです。

どうやら、というのは、、、後日、その友達から、「お前さ、電話で『ほら挨拶せんね、グラ!ワンて言わんね!』って繰り返し言ってたよ」と教えられたのですよ。

うーん、多分、グラはやはり般若に似た表情で困り果てていたことでしょう。。。
私も、しつこいんですがw、、、展望レポートではいくつか賃金分析らしきものがありました。彼らなりに、賃金の低さを気にしていることをうかがわせますが、、、その1つ1つについて、確認してみましょう。

最初に、本文p12から。
『グローバル競争を意識した企業の賃金抑制姿勢は、今後も続くと予想される。しかし、景気拡大の長期化に伴う労働需給の引き締まりを背景に、賃金の伸び率も徐々に高まっていくと考えられる(図表16)。』

右図が、図表16の(3)です。
誘発雇用者報酬とは、恐らく、最終需要=生産がどの程度の雇用者報酬を生み出す「はず」かという推計値です。そして02年以降、生産の伸びに対して、雇用者報酬の伸びが低水準に留まっていることが示されています。
つまり、[以前の記事]で、「生産性の伸びに対して実質賃金の伸びが低い」と私が指摘したのと同じ事を言っているわけです。

しかし、問題なのは、なぜ生産(生産性)の伸びと比較して雇用者報酬(賃金)の伸びが低いのか、ということなのです。その疑問に、このグラフは何ら回答を示していません。「賃金、低いねぇ」という事実を述べているだけですね。


続いて、p17の脚注、および図表(26)「賃金の抑制圧力」なるものを見てみましょう。

最初にp17脚注は以下のように述べています。
『人件費などの固定費の売上高比率は、景気回復局面では低下する傾向があるが、今次局面では、その低下テンポが過去に比べかなり大きなものとなっている(図表25(1))。これには、資本市場からの規律やグローバルな競争圧力の高まりが影響しているとみられる。実際、実質賃金の労働生産性からの乖離率を実質賃金ギャップとして計算してみると、外国人持ち株比率や輸出比率が高い業種ほど、同ギャップのマイナス幅が大きくなっている(図表26(1)(2))。つまり、資本市場からの規律やグローバルな競争圧力が高い業種ほど、賃金の抑制姿勢が強いことが確認される。』

そして、右図は図表(26)の(2)「実質賃金ギャップと輸出の寄与度」です。

これを見て、「なるほど、輸出の伸びが高い業種ほど賃金が伸びていないのね、確かに国際競争の激化が賃金を抑制しているのかもね」と思いますか?

ここで、横軸(X軸)は輸出の売上高増加率寄与度、つまり、輸出がどれだけ売上の増加に寄与しているかを見たものです。縦軸(Y軸)の実質賃金ギャップとは「実質賃金の伸び/生産性の伸び」ですから、以前の記事で私が「マークアップ率」と書いたものと同じです。

このグラフは03-06年の製造業について説明しています。売上の伸びが輸出によって左右されている時期なので、輸出の寄与は生産の伸びの大半を説明していると考えられます。ですから、横軸は大まかに生産の伸びを示しています
そして、縦軸の実質賃金ギャップの分母も(大まかに)生産です

つまり、このグラフの横軸は生産と正の相関があり、縦軸は生産と負の相関があるのです。だから、縦軸の実質賃金ギャップの分子である実質賃金が生産性に応じて伸びない限り、右下がりの逆相関のグラフになるのは、「当たり前」なのです。

それをさも、「輸出が伸びている産業ほど、実質賃金ギャップのマイナスが拡大している」「だから、国際競争が激しい業種ほど賃金の伸びが低くなっているのだ」と言わんばかりに載せているのは、笑えます。
これ、日銀の半期に1度の景況報告ですよね!?

このグラフで最初に出てくる疑問は、国際競争力が乏しい業種(左側の輸出が売上に貢献していない業種)ほど実質賃金が伸びているのだろうか、ということです。

しかし、そういうわけじゃありません。このグラフが意味しているのは、生産性の伸びと関係なく、そして輸出の売上寄与とも関係なく、全般的に賃金が伸びていない、ということを示しているのです。だからこそ、生産に対する横軸の正の相関と縦軸の負の相関が現れて、右下下がりのグラフになっているのです。
そしてここでも、生産性と比較して賃金が伸びていないのは何故か、という疑問には全く答えていません。

要は、この2つのグラフは、2000年代以降、生産性の伸びとは関係なく賃金が上昇していない、という事実を示しているに過ぎず、賃金が伸びない理由は全く説明していないのです。
それをさも、「国際競争の激化が賃金低迷の主因」と言わんばかりの記述の仕方。。。

いつから日銀はこうも、、、

試みに、03-05年でのマークアップ率(実質賃金/労働生産性)と、生産の伸びをプロットしたグラフを右に示します。

上の図表(26)の(2)ととても似ていることがわかるでしょう。

生産(生産性)の伸びとは関係なく、業種を問わずに、賃金が伸びていないのです。これは、国際競争力とは全く関係ない、日本経済のマクロ的な要因によって賃金が低いのだ、ということを意味してはいないでしょうか?

その理由は、、、未だに労働市場は供給超過だからであり、そして日銀の利上げが早すぎた、あるいは日銀の利上げ姿勢がデフレ期待を強めたからに他ならない、と私は考えるのですが、そういう疑問には一切答えてくれていません。


最後に、本文p18について。
『また、財政再建の動きも、労働集約的な非製造業への誘発が大きい公共投資の削減、地方自治体による公務員給与の削減などを通じて、家計所得の抑制要因となっている。』

Economistと同様に、雇用シフトが賃金低迷の一因であるかのように書いていますが、具体的な数値はありません。

それで、毎月勤労統計をもとに、全産業の現金給与総額の伸びに対する、業種間の雇用シフト要因と、パートタイマー要因を計算してみました(右図)。これを見ると、業種間の雇用シフト要因は前年比▲0.1%程度、パートタイマー要因は▲0.2-0.3%程度でしかないことが解ります。

このほかにも、展望レポートでは『団塊世代の退職は、一人当たり賃金の押し下げ要因として働く(脚注17)』と書いていますが、内閣府の分析によれば2000-05年での団塊世代の退職は、一人当たり賃金を年率▲0.1%押し下げている程度です。
(但し、内閣府の分析によれば07-09年には団塊退職が一人当たり賃金の大幅なマイナス要因になるらしい。07年1-3月の落ち込みは、団塊退職が大きく影響している可能性はある)

日銀は、雇用シフトや団塊退職がさも賃金低迷の大きな要因であるかのような記述をしながら、その具体的な分析・説明を一切していません。そして、もし仮にきちんと分析をしたとしても、それでも過去1年ほどの賃金低迷を充分に説明できなかったことでしょう。

足下の賃金低迷は、雇用シフトや団塊退職では説明しきれないし、国際競争とも関係ない、別の要因で生じているのではないか、つまり、未だに失業率が高すぎるなかで日銀が早めの利上げ、執拗な利上げ姿勢を見せたがために生じているのではないか、という疑問は一向に消えません。
ですから、労働需給とデフレ期待を反映して当面は賃金の低迷が続くでしょうし、デフレ的な傾向が強まることはあっても、簡単には物価がプラス基調になることはない、と考えられるのです。

日銀に限ったことではありませんが、労働市場分析、賃金分析を欠いた物価・景気見通しには、あまり説得力を感じられません。
2007/05/08のBlog
[ 22:14 ] [ 日本の経済・相場 ]
私の照準は既にポスト福井にロックされていて、そのときが来たら信用もフルに使って小型グロースに思いっきりシフトするつもりです。しかし、どれだけ市場が先読みしても、インタゲ導入がリアルになるのは参院選後でしょう。少なくとも尾身じゃ話にならん(と思うw)。

それまでは福井総裁の我侭に付き合わなきゃいかんので、展望レポートと総裁会見をイヤイヤ見ておきましょうw。

☆☆☆☆☆☆☆

まず1点目は、「中長期的な物価安定の理解」を金融政策の縛りから外したがっている、ということ。
自分で1年前に設定しておきながら、「理解」が利上げに不都合になってきたので無視したがっていると私は解釈します。「理解」のレンジは0-2%ですから、マイナス物価での利上げの障害になりかねないわけですね。この点、以前に紹介したみずほ総研のレポートと同じです。

(なんちゃって、ホントは、最初に総裁会見を読んだときは「理解」に関する部分がヒジョーに解りにくかったんですが、みずほのレポートを読んで、ああ、無視したいのね、と腑に落ちた次第。はは。ありがとね、みずほさん)

物価についても同様に「無視するつもりなのだ」と解釈します。
07年度の物価上昇見通しが下方修正されたことや、展望レポートの記述が弱めになったことを以って、「日銀の判断が弱気になった、慎重になった」と書いている人がいますが、私は、単に「足下のマイナス物価が利上げにとって邪魔になったので、(足下の)物価を無視しているのだ」と解釈します。つまり、「マイナス物価でも利上げするよ」と言っているのだ、と。総裁会見でもはっきり言ってますよね、『物価が目先マイナスであっても、経済・物価への好ましい方向への変化のペースが充分確認できるのであれば、金利の調整をしていかないと、かえって資源配分等で好ましくない結果を呼び、ひいては安定的な景気の拡大を阻む』と。(原文どおりじゃありませんが、概ね、こういう趣旨の発言です)

展望レポートの物価見通しが下方修正されたり、マイナス物価を反映した文言に変わったからといって、日銀の利上げ姿勢はなんら変わっていないし、マイナス物価が続いた場合に利上げが躊躇されると考えるのは間違いじゃないかと思う。少々、失礼な言い方かもしれませんが、「日銀が慎重になった」と考える人たちは、もともとマイナス物価をきちんと想定していなかった人たちで、だからこそ、「弱めの物価見通し=慎重姿勢」と考えてしまっていると思う。そうじゃなくて、「日銀は物価を無視しているんだ」と考えれば、福井総裁発言もわかり易くなる。そもそも、2月利上げの段階で既にコアCPIのマイナス突入、それも▲0.3-0.4%程度のマイナスは見えていたわけで、日銀はとっくに物価を見てないんです。物価に関する見通しや文言には、彼らの政策意図はなんら反映されていないのですよ。足下の物価を無視するつもりなんですから。

総裁会見を読んでいて思ったことは、福井総裁の考えは、『先々の経済・物価の姿を抽出しながらその変化に即して金融政策をやっていく』という言葉に表れていると思います。その意味するところは、「利上げに都合の良い情報だけを抽出し、利上げのためのロジックが自分の脳内で成立するのであれば、利上げする」ということだと思います。そして、その意思の表明が、彼の言うところの”コミュニケーション”というわけw。

私の理解、おかしいっすか?ですがね、日銀は私に負けないくらいトンデモ系だと思いますよ。

利上げのロジックが成立するかどうかは、「労働市場は需要超過」という”フィクション”が成り立つかどうかにかかっているわけですね。労働市場が需要超過だからこそ、賃金はいずれ上昇し、消費も増え、物価も上昇する、という彼らの「脳内(思い込み)」だけが利上げの根拠w。でもそれがフィクションであることは彼ら自身が良く知っている。だから、日銀からはまともな労働市場分析は出てこないでしょう。

まあ、半年以内に労働市場の軟化が鮮明になるでしょうから、来年の利上げはないでしょうね。でも、、、利上げに不都合な材料が出てくると思ったら、その前に急いで利上げするのが福井日銀ですから、8-9月にはなんとしても利上げするでしょうw。
データ次第では、その前もあり得ますね。
7月のゼロ金利解除は8月のCPI改訂前、2月の利上げはマイナス物価の前、、、今度は、何?


こうやって書いていると、自分が狂っているんじゃないかと思いますよ。ホントは向こうが・・・、イヤイヤ、それは流石に言っちゃいかんw

(展望レポートは、後ほど)
2007/05/04のBlog
相場とは直接の関係はないかもしれないし、全く勘違いの妄想なんでしょうが、、、
日銀から面白いレポートが出てますね。

[インフレのコストとベネフィット:日本経済に対する評価]

「本稿は、日本経済を記述するモデルに基づき、社会厚生上望ましいと考えられる定常状態インフレ率を定量的に評価」したものだそうで。
ここでいう「定常状態インフレ率」とは、インフレに伴う様々なコストとベネフィットを総合的に勘案した「社会損失を最小にするインフレ率」であって、「インタゲの目標値とは必ずしも同じではない」そうですが、、、
まあ、最適なインタゲ目標値との関連は大きいでしょうし、関連付けて見られるテーマでしょうね。
調査統計局じゃなくて、企画局だし、、、

私にとっては非常に難しい内容で、モデルの定式化とかシミュレーション結果って、なんのことやらwwwww おいらー方程式って何???
やはり日銀の方々は優秀であるなぁとため息です。

ここの分析では、インフレ(デフレ)に伴う社会厚生上のコストとベネフィットとして、(a)貨幣保有の機会費用、(b)ゼロ金利制約、(c)価格粘着性、(d)賃金の下方硬直性、を取り上げています。

んで、結果しか見ない危険な読者である私は、『社会損失を最小化する定常状態インフレ率は、概ね0.5%から2.0%の間』という結論に目が行くわけですwwww。ここでは、物価の上方バイアスは考慮していないことと、幾つかのサブ・ケースの結果を加味して、自然体でインタゲの目標値を判断すると中央値が2%、レンジ1-3%ってことになりかねんのですがw、まあ、やはり1-2%程度ってことになるんかなぁ、、、

私の凝り固まった未熟な理解では、生産性1.5%+ULC(≒インフレ率)1.0%を実現するであろう名目賃金上昇率は2.5%程度だと思いますし、この2.5%の賃金上昇率を実現する失業率は3.0-3.5%程度だと一応、見込まれるので、、、失業率が年間で0.3%pづつ低下すると、、、インタゲ採用後は、やはり2-3年程度は低金利が維持されると見込んでいいんじゃないかと。。。

☆☆☆☆☆☆☆

参議院選後はポスト福井が注目されるでしょうし、そういう微妙な時期にインタゲを意識させるレポートが出るってのは、、、とても興味深い。
しかも、金融政策を管掌する企画局から、、、
まあ、「ポスト福井も考慮して、一応、用意だけしとくか」てなバランス感覚なのかもしれませんが。

大田大臣の内閣府には高橋洋一氏が、経済財政諮問会議には伊藤教授が、、、あとは安倍ちゃんが経済にちょっとは関心持ってくれると、、、大相場!?
ああ、いかんいかん、よだれがwwww

政治も当然絡んでくるので、インタゲ採用は簡単にはいかないでしょうが、色んな妄想を抱かせてくれるレポートです。

☆☆☆☆☆☆☆

以下は余談。
全然中身を理解できていないんですが、、、結構、アグレッシブなレポートじゃないかと思うんですよね。特に、日銀的には。

多分、5節「定常状態からの乖離を勘案した社会損失の評価」ってのがメイン・ケースで、6節「異なるモデル設定下における社会損失の評価」が、設定が違うケースなんでしょう。

んで、メイン・ケースでは、テイラー型の政策金利モデルをベースにして、ゼロ金利時での緩和継続のコミットメントを組み込んだモデルです。そのコミットメントの定式化が、将来の金融緩和の効果を「前借り」するモデルとなっているわけですが、実際の日銀の金融政策はコアCPIがゼロになったとたんに量的緩和を解除し、4ヵ月後にはゼロ金利も解除している。つまり、(コアCPIがゼロ=モデル上の最適な政策金利が非負に回復、だとすると)実際の日銀の行動は、「前借り」した分を返済してないんですよね。だから、このメイン・ケースは実際の日銀の行動よりもはーーーるかに緩和的な姿を想定している。

そのメイン・ケースでの、「定常状態インフレ率」は0.5-1.0%程度です。

続いて、メイン・ケースと比較しながら設定変更の効果を見てみると、、、
6-(1)「金融政策に時間軸効果が取り入れられていないケース」では2%程度に上昇する。
これは、、、再びデフレ的な状況に陥ったときに、日銀がCPIコミットメント(あるいは量的緩和)などの「異常な」金融政策を取りたくないんであれば(多分、福井総裁は取りたくないと思っているだろう)、2%程度のインフレを目指せ、ってことなんですよね。。。
この分析でのインフレ率はGDPデフレーターなんで、CPIコアなら、2.5%くらいを目指せ、ってことか。。。
うーん、日銀的にはかなり刺激的な話じゃないかな・・・

6-(2)「賃金と失業のトレードオフがより強いケース」とは、物価フィリップス曲線がよりスティープになった状態のことで、恐らくは、80年代のように、今よりも失業率が低くて名目賃金上昇率が高い状態、今よりもデフレ脱却が進んだ経済状態を想定しているのではないかと思います。
この場合には、「定常状態インフレ率」は、2%台前半となる。やっぱり、「インフレ率の糊代」は結構、高くなる。これも日銀的には、どうなんかなぁ。。。

6-(3)「生産性成長率がより低いケース」だと、「定常状態インフレ率」は1.0%前後と、メイン・ケースよりも若干高くなる。

この3点のケースは、実際の日銀の性向やデフレ脱却後の日本経済の姿を反映したシナリオだと思います。つまり、コミットメントや量的緩和を避けたい日銀、あるいは、名目賃金がより高く失業率がより低い日本経済、などを想定すると、「インフレ率の糊代」は1.0-2.0%か、あるいはもう少し高い状況が好ましい、ということを示唆しているように思います。更に、ここでは考慮していないCPIの上方バイアスを加味すれば、更に「インフレ率の糊代」は高くなるでしょう。もしかして、2%以上なのかも。。。


こうやって考えると、このレポート、結構、大胆な内容だと思うんですよね。当然、企画局長の承認の元に出しているんでしょうし、、、やるなぁ!
これ、どっちかの副総裁が絡んでいるってのは穿ちすぎっすか?

インタゲと関連付けて妄想するのは、著者の趣旨とは違うのかもしれませんが、どーしても考えちゃうんですよねw

あと、名目賃金の下方硬直性が小さい日本での結果がこうならば、米国での「定常状態インフレ率」はもっと高い、例えば2.0-3.0%ということになるんでしょうか?だとすると、、、今のコアPCED2.1%ってのは充分に安定的なインフレ率ということになりますね。米国での分析結果も知りたい!

それから、「前借り」した分を返さない日銀の行動を民間が合理的に予想する場合、このモデルはどうなるんだろうと考えてみると、ちょっと楽しくなります。僕には到底できないことなので、やってくれないかなぁ、、、って、それは流石に無茶ですねw


って、ちょっとふざけて書きましたが、、、未熟者が思うに、このレポートはこれまでの日銀の分析の蓄積を活かした、優れた内容ではないかと愚考いたします。よくぞ、出していただきました。ありがとうございます。
2007/05/01のBlog
前の記事を読んでいただいた方には、私がなんでもかんでも日銀のせいにしていると思われているかもしれませんね。確かに、そうかもしれません。幾つか重要なポイントを見逃しているような気もしますし。。。

ですが、、、日本の労働者は過去(2000年代)の生産性上昇率に見合っただけの賃金上昇を享受することができるし、仮に名目賃金が今後高まるとしても、当面は物価上昇圧力はなかなか高まらないだろう、その結果として実質賃金が上昇し、実質賃金(所得)の増加に伴った消費主導の力強い成長を、低インフレのもとで日本経済は享受できるはずなのです。更には、高い生産性に裏打ちされた高い実質賃金が日本の長期的な潜在成長率を実現するのではないか、と考えます。
そして、そのような可能性を、日銀の早すぎる利上げが徒に阻んでいる、だからこそ、コアコアの物価上昇率がマイナスで推移しているのだ、、、こう考えると全体像がしっくりくるんです、私には。

☆☆☆☆☆☆☆

展望レポートと総裁会見の記事の前に、幾つかお詫びしなければならないことがあります。

1つは「フォワード・ルッキング」な金融政策について
恥ずかしいことに、私は「フォワード・ルッキング」な金融政策は、将来への予想に基づいた金融政策をさすのではないかと思っていましたが、違いましたね。
[明治安田生命のレポート]の巻頭言をご覧ください。
『・・・つまり、フォワード・ルッキングという言葉にはきちんとした経済理論の裏付けがある。
ところが、日銀の言う「フォワード・ルッキング」の意味は、政策委員の間でも統一されているとは言い難い。市場でも、過去の経済指標に依存した方式=バックワード・ルッキング政策で、将来の予想をもとに運営を行う方式=フォワード・ルッキング政策という理解をされることが多いが、これは誤りである理論上は「過去の経済指標にのみ依存したフォワード・ルッキング政策」というパターンもありうる。詳しくはマクロ経済学のテキストに譲るが、政策がフォワード・ルッキングかどうかは、その政策目的のスタイルで決まるからだ。たとえば、なんらかの制約条件のもと、将来にわたって政策目的関数(インフレ率の目標値からの乖離をゼロにするとか、需給ギャップをゼロにするというもの)の最適化を目指すという行動をとっているならば、その政策はフォワード・ルッキングとなる。』

これを読んだときの恥ずかしさ。物言えば・・・ですョ...orz...


2つめは、「インフレ率の糊代」に関する日銀の見解です。
[展望レポート]の後半、『(BOX)「中長期的な物価安定の理解」の点検』において、(1)CPIの上方バイアスは低く、(2)デフレ・リスクも低い、との指摘をしていますね。私は重要な点を見逃していたようです。

日銀が言わんとするのは、「だから、インフレ率の糊代も極めて低い水準でいいのだ」ということでしょう。極論すれば、「ゼロ前後のインフレ率でも問題ない」と言いたいのであり、足下のマイナス・インフレにも係わらず利上げするための強弁ではないかと思います。
しかし、1年前の[「物価の安定」についての考え方]で日銀がイヤイヤながら認めたとおり、「インフレ率の糊代」は必要なのです。ったく、、、


展望レポートに関しては、やはり[みずほ総研のレポート]が良くまとまっていて、特にP2以降の『日銀見通しの実現可能性』『「中長期的な物価安定の理解」に変化なし』は読む価値があると思います。

以下の指摘は、正鵠を射ているでしょう。

『中立的な水準に向けて利上げを進めていきたい日銀としては、政策運営の手足を縛られるような形で、「理解」を位置づけることは避けたかったのが本音であっただろうし、事実、具体的な金融政策運営との関連は曖昧なままで据え置かれた。良いのか悪いのかは別にして、(略)あまり意味を持たない概念に変容していきそうだ』

ただし、みずほの見立てとは違って、日銀は利上げの意思を鮮明に見せたというのが私の判断です。総裁会見も含めると、日銀は利上げにとって都合の悪い物価を無視し、「理解」を無視し、利上げにまい進する腹を変えていないと思います。

総裁会見と、展望レポート本文に関して記事をいずれかきます。が、暫しお待ちください。
正直、こういう不誠実な奴らに付き合うのはできれば避けたいw ちょっと間をおいて書かせていただきます。
2007/04/30のBlog
今、竹森俊平先生の「世界デフレは三度来る」をようやく読んでいるんですがw、浜口・井上による旧平価での金解禁のためのデフレ政策は、、、今の日銀の姿と重なってもの悲しいですw 不必要なデフレ政策の害悪をまざまざと見せられる思いです。

あと、日銀の雇用需給判断が企業サイドの統計、つまり短観に偏っていて、家計・消費者サイドからの需給判断が必要だ、という指摘を以前したことがありますが、同様の指摘は前々回あたりの日銀の議事録にもありましたね。なんか嬉しくなった覚えがあります。

低すぎる賃金と、企業の旺盛な雇用意欲は符合しますね。「割安」に雇用できるからこそ、採用に前向きになる、という側面もあるはず。賃金上昇率が生産性に見合って高まってくれば、企業の雇用判断も修正されてくる可能性はありますね。いずれにせよ、労働需給が需要超過という見方には、多面的な考察が必要だと考えます。

以上、思いつきまでに。

もう1つ、おまけのおまけで。
右図は、各産業の長期マークアップ率と、その産業に関連すると思われるCPI,GCPIの上昇率をプロットしたものです。
関連物価の分類が怪しい(テキトー)ので、まあ、そんなもんかなぁと見ていただければ幸いですw

☆☆☆☆☆☆☆

「デフレ下の賃金分析」は金融研究所の一連のレポートをまとめたものですので、以下の各文献を見ていただければ足りると思います。ちとヲタクではありますが、読みやすい良書です。

[わが国の名目賃金は下方硬直的か?(Part I)
― 名目賃金変化率の分布の検証 ―
] 同書、第1章に相当

[わが国の名目賃金は下方硬直的か?(Part II)
― フリクション・モデルによる検証―
] 第2章に相当

[名目賃金の下方硬直性が失業率に与える影響
― マクロ・モデルのシミュレーションによる検証―
] 第3章に相当

[名目賃金の下方硬直性が離職行動に与える影響
―サバイバル分析による検証―
] 第4章に相当

[バブル崩壊以降のわが国の賃金変動:
人件費および失業率の変化と名目賃金の下方硬直性の関係
] 第5章に相当
P128以降に、名目賃金の下方硬直性が崩れていく過程を描いたヒストグラムがあります。
P142以降に、名目賃金減少の要因分析が図示されています。

[なぜ名目賃金には下方硬直性があり、わが国ではその度合いが小さいのか?:
行動経済学と労働市場特性・マクロ経済環境の違いによる説明
] 第6・7章に相当

[名目賃金の下方硬直性を巡る論点と政策含意:
わが国の1990年代の経験を中心に
] 第8章に相当
こういう丹念な分析が、政策判断に活かされないってのは残念です。。。
長くなりましたねw。もう直ぐで終わりです。


日銀は、速やかに労働市場・賃金分析を公表すべきなのです。それは、構造的・摩擦的失業率が今よりもはるかに低いのではないか、つまり、金融引き締めに入るのが早すぎるのではないか、という現状判断の是非を論じるためだけでなく、中長期的に日本経済に悪影響を与えようとしているのではないかという懸念があるからです。

というのも、まず、足下の名目賃金がマイナスとなっている状況は失業率の水準からだけでは説明できないからですね。日銀の執拗な利上げ姿勢が企業経営者と雇用者双方にデフレ期待を強く持たせたがために、賃金上昇率がマイナスとなっているのではないか?

生産性上昇率が高まっているにもかかわらず、早すぎる日銀の利上げ故に、名目・実質賃金ともに低く、その結果、適切な労働分配率をゆがめているのではないか?また、それがために内需・消費主体の長期的な日本の経済成長を阻害しているのではないか?また、日本経済の脆弱性を高めているのではないか?

更に、日本の長期的な潜在成長率を低くしている可能性もあるのです。なぜならば、実質賃金は少なくとも生産性上昇率に見合って上昇すべきであり、その高い賃金に見合った資本装備率(設備投資)が求められる、あるいは高付加価値産業への雇用シフトが促進されるべきだと考えるからです。また、賃金が高く、多様な個人消費を行う余裕があればこそ、新しい産業が生み出される余地も生まれるのではないでしょうか?

また、早すぎる利上げによって、格差の助長を行っているのではないでしょうか?欧米、途上国で見られている格差の拡大は急激な経済成長局面、「大競争社会」における不可避の致し方ない側面があると私は考えるのですが、日本の格差拡大は、弱きものが痛めつけられている側面があると思うのです。

それは、日本の貯蓄率低下が欧米のような「過剰消費」によって発生しているのではなく、「所得減少」によっておきていることからも指摘できます。ですから、本来あるべき賃金上昇は、過去9年間のゆがんだ日本の経済構造、所得減少を補う妥当な側面があると思いますし、高い賃金上昇が今後起きるとしても、それによる所得増加は必ずしも行き過ぎではないだろうと考えます。

加えて、失業率をもっと低下させる余地があるのに早すぎる利上げによって雇用創出を阻害しているのならば、ありうべき雇用・人的資本の蓄積を阻んでいることに他ならず、それは日本の長期的な成長率を低下させているだろう事は明らかです。

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このような私の考察がもし正しいのならば、日銀の金融政策が転換することによる相場への影響は非常に大きくなると思います。

まず、今のデフレ期待、利回り期待から、グロース期待、小型株相場へ転換するだろうと思います。
賃金上昇率を抑制していた産業、特に製造業は、輸出次第ですけれども、賃金上昇による収益へのインパクトがあるので、あまり有望な銘柄ではなくなるでしょう。その代わり、内需銘柄、消費、高付加価値産業、新規分野への期待が高まると考えます。

そして、全般的な資産価格の急激な上昇が起きると思います。しかし、これまで見てきたとおり、少なくとも賃金面からの物価上昇圧力は依然として低く、物価上昇率がプラスに転じるには相当の時間を要するでしょう。それは、政策金利が長期間に渡って低水準に維持されるだろうこと、長期金利が依然として低水準に留まるだろうこと、そして利回りの面から資産価格の上昇が正当化されるだろうことを意味します。

また、資産価格の上昇が起きたとしても、成長期待が強まれば、そして、その成長期待が事後的に実現されるのならば、バブルでもなんでもないんじゃないでしょうか?変化の速度が実体経済よりもインフレ期待よりも早く変化する資産価格が速やかに上昇するのは、当然だと私は思います。

足下のマイナス物価、構造的なデフレ体質を直視せず、徒にバブルを懸念する日銀は、経済成長に関する想像力が欠けている。

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適切な「インフレ率の糊代」を考えるためにも、労働市場分析は不可欠です。
まず、日銀が本気でプラスのインフレ率を目指すのならば(もちろん、その意思があるかは非常に疑わしいがw)、名目賃金の下方硬直性が失われている状況は好ましくないかもしれません。というのも、賃金上昇率がある程度高い水準に維持されているからこそ、インフレ率がプラスの水準に保たれるという側面があると思うからです。逆説的になりますが、名目賃金の下方硬直性がある程度保たれることを想定するならば、「インフレ率の糊代」もある程度の幅が必要となります。

また、名目賃金の下方硬直性とは別に、名目金利の非負制約、そしてCPIの上方バイアスを考慮すれば、依然として「インフレ率の糊代」が必要であることは明らかですし、[「物価の安定」についての考え方]などで日銀自身が認めていますね(『「のりしろ」の必要性は低下する』を連発していてむかつきますがw、それでも「インフレ率の糊代」がプラスである必要性は否定していません。要は、消極的に認めているのですよ)。

CPIの上方バイアスについてですが、3月のCPIでは、通常の(固定ウェイト方式の)コアコアCPI(食料・エネルギーを除くCPI)は前年比▲0.4%となりましたが、ラスパイレス方式のコアコアCPIは前年比▲0.5%となりました。つまり、基準改定から1年足らずのうちにCPIの上方バイアスが発生し始めているのです。日銀はかるーくスルーしたいんでしょうが、ウェイト要因だけでもバイアスが発生している事実は軽くないっすよw。

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まあ、妄想かもしれませんが、日銀の金融政策の方針が与える影響は、相場の面でも、また、中長期的な日本経済に対する面でも、極めて大きい、特に、足下はその重要な分かれ目だと思うのです。現状の金融政策の妥当性については、言うに及ばず。。。


だから、、、賃金分析、やれよw
日本の名目賃金上昇率が低いことは、失業率が未だに「高すぎる」ことによって概ね説明できます。

右図は、90年以降の失業率と名目賃金上昇率をプロットしたフィリップス曲線です。直近07年1-2月は緑色のマークです。
(名目賃金上昇率は、パート比率の変化を調整済み)

名目賃金は2005年1Qに一時的に前年比+2.4%まで上昇しましたが、その後の2年間の推移(オレンジ色のマーク)を見ると、失業率と賃金上昇率がともに低下傾向、即ち左下に向かっています。

2005年以降の名目賃金の上昇率は、90年以降のフィリップス曲線と概ね整合的であり、失業率の水準に見合ったものであると言えます。つまり、生産性が高まっているにも係わらず、賃金上昇率は労働需給を反映して低い水準に抑制されていた、と考えられるのです。

これは、労働生産性(労働需要要因)で説明されるよりも失業率(労働供給要因)で説明される部分が大きい、ということではないでしょうか。であれば、未だに、労働需給は供給超過と考えるべきではないかと思うのです。

ここで非常に問題だと思うのは、直近の2四半期(06年4Q-07年1Q)の名目賃金がマイナスとなっていることです。
特にボーナス月である12月が、前年比+0.2%、そのうちの冬季ボーナスは+0.1%に留まったことは重要です。業績給、実績給に賃金体系がシフトしていると見られているにもかかわらず、また、過去5年に渡って増益が続いていたにも係わらず、この低さ。失業率の水準では説明しきれない低さなのです。

もちろん、私は日銀の利上げ姿勢がデフレ期待を強め、その結果、雇用主が賃金上昇率を抑制したからだろうと考えています。
一部の識者が指摘するとおり、98年までの名目賃金の下方硬直性や、過剰な労働コストの解消に苦しんだ経営者が賃金上昇に慎重なのかもしれません。しかし、それならなおのこと、変動性のあるボーナスの伸びは高くなるべきではないでしょうか?

今の日本では、名目賃金の”上方”硬直性が発生している、、、冗談でなく、そうした懸念を私は持ちます。

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それで、私が恐れているのは、失業率が今の「高すぎる」水準で横ばいになりつつある、ということです。

右図は、新規求人倍率・有効求人倍率と失業率(逆メモリ)の推移です。

求人倍率については、[今週の指標 No.776 「このところ伸びが鈍化している新規求人の動向について」]などが指摘するとおり、いわゆる「偽装請負」の問題から、昨年7-12月は低下しているのだろうか、と考えていました。しかし、過去3ヶ月の新規・有効求人倍率の低下は急です。「偽装請負」による特殊要因があったとしても、7月以降、半年以上もそうした要因が継続していると考えるのは無理があるのではないか。。。

有効求人倍率(新規求人倍率)の変化は、失業率に4ヶ月ほど先行します。
右図は有効求人倍率と失業率の前年差なのですが、これを見ると、失業率は今後、横ばいから緩やかに上昇するのではないかと考えます。

それから、鉱工業生産がプラスを見込まれていた事前予想に反して、前月比▲0.6%と減少したことも重要ですね。現在の労働市場の軟化が生産調整による一時的なものなのか、あるいは「高すぎる」実質金利によって更に需要・労働市場ともに軟化していくのか、、、予断を許さない状況だと考えます。
続いて、非製造業の内訳を見てみましょう。

ここで特徴的なのは、まず建設業ですね。バブル期に一時的に高まった労働生産性は、バブル崩壊とともに低下し、結局80-05年における生産性上昇率はほぼゼロ(+0.3%)。にも係わらず、実質賃金は高止まりしているので、建設業においては、生産性向上か、賃金引下げか、いずれかが不可欠ではないでしょうか。

同様の傾向は、不動産業でも確認できます。生産性上昇率は年率+0.5%でしかなく、日本の不動産業には生産性上昇の余地が高いのかもしれません。。。いい生活、いいと思いますよ(^^)

対して、金融・保険業、卸売・小売業では、(意外にもw)労働生産性が非常に高いのですが、賃金上昇率は90年代以降、ほぼゼロであり、結果としてマークアップ率は低下を続けています。
金融保険業の労働生産性は98年以前は+5.1%、以後は+4.8%と一貫して高い伸びを維持しています。しかし、その内訳を見ると、生産が98年を境にして+5.4%→+2.5%と低下しているのと同時に、労働投入量も+0.3%→▲2.2%と低下している。つまり、98年までは国内市場を中心に生産を高めることができたが、98年以降は国内市場で生産を高めることができず飽和状態になりつつある、その結果、労働投入量を削減することによってしか、生産性上昇率を維持できない、ということかと思います。2002年以降は、生産の伸びが年率+1.2%と更に低下しており、日本の金融保険業は如何にして国際競争力を高めるのかが問われていて、それができなければ業界の統合(雇用削減)によってしか、生産性の伸びを維持できないであろう事を示唆していると思います。

最後に、サービス業と政府サービスですが、まず政府サービス部門の生産性の伸びが年率+2.4%と高いことは意外でした。うーん、GDP統計の作成上、そうなるのか、どうか・・・一応、生産の伸びは+1.7%、労働投入量が▲0.6%となっています。

サービス業は予想通りというか、生産性の伸び率は低く(年率+0.3%)、実質賃金上昇率は+1.7%とプラスとなっています。しかし、98年以降は、マークアップ率はほぼ完全に横ばいとなっています。

物価上昇率が日銀が言うとおりに「プラス基調」となるためには、サービス業を含めた非製造業のマークアップ率が上昇し、非製造業のULCが明確にプラスになる必要があると私は考えます。

しかし、ここまで見てきたとおり、98年以降、マークアップ率が上昇している業種は極めて少なく、2002-3年を境に更に下方屈折して低下基調を辿っている業種すら少なくありません。このように賃金上昇率が労働生産性対比で極めて低い状況は、過去半年の名目賃金上昇率のマイナス基調を見れば、更に強まっている可能性が高いのです。

足下のCPIを見てみると、サービス物価においてプラス基調を維持、あるいは上昇傾向を示しているのは外食や教育関連、家事関連サービスなどCPI全体のウェイトの14%程度、サービスの28%程度でしかありません。

労働生産性よりもはるかに低い賃金の上昇率を勘案すると、サービス物価を含めてプラス基調に転換するのは、現状、非常に難しいだろうと考えざるを得ないのです。更に、実質金利の急激な上昇の影響が出るのはこれからですから、、、一部の見通しのように4月以降、一旦プラスに浮上するとは、ちょっと、、、逆に、今後デフレ傾向が強まるんじゃないかとさえ懸念しています。

CPIがプラス基調になるためには、あるいは非製造業のマークアップ率がプラスになるためには、国際競争力が高い(とされる)製造業において、少なくとも生産性上昇率に見合った実質賃金上昇率が実現されなければならないでしょうし、そのためには、日銀は徒に金利上昇懸念を高めたり、デフレ期待を強めるのではなく、低すぎる賃金上昇率に警鐘を鳴らし、より緩和的な姿勢によってインフレ期待を引き上げる必要があるのではないでしょうか。
一応、国民経済計算(GDP、SNA)ベースの労働生産性、実質時間当たり賃金、マークアップ率の年率の上昇率を右にお示しします。

98年以降、如何に多くの業種でマークアップ率が低下しているか、労働生産性の上昇率と比較して、実質賃金の伸びが低く抑制されているかがわかると思います。

実質賃金の低さは、日本のデフレ期待が未だに払拭されていないために生じたものであり、その結果としてULCがマイナス基調を続け、マイナス物価としてデフレ期待が実現されているのではないか、という懸念を私は強く持つのです。
そして、このデフレ的な構造は、昨年後半以降の日銀の執拗な利上げ姿勢と意味不明な利上げによって更に強化されているのではないか、と考えます。そう考えなければ、名目賃金がマイナスになるという事態はなかなか説明できないのです。