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2008/05/08のBlog
[ 21:42 ]
[ 欧米 ]
============追記============
ちょっと過激に書きすぎたかもしれません。
よくよく考えてみれば、AIGが本体で持っているサブプラ関連はおもにRMBSなので、担保によるカバーが期待できます。
また、AIGFPによるCDSは腐ってもsuper seniorが対象なので、これも全部が飛ぶというわけではない(と思う)。
なので、今回の増資に加えて追加資本が必要な状況だとは思うけれど、おそらくは200-300億ドルのイメージ。
AIGが実質債務超過というわけではありません。たぶん。
ただし、super senior CDSは最後に毀損する部分なので、住宅価格下落の影響を限界的に受ける性格だと思います(たとえば住宅価格下落率▲15%のときのsuper senior CDSの毀損が▲10%でも、住宅価格下落率▲25%のときには毀損は▲40%に跳ねるとか・・・)。
素人の戯言ですので、いろいろとご確認ください。
ご迷惑をおかけしたら、深くお詫びします。
(追記の追記)
BETモデルについてですが、参考資料は社債のCDOについて書かれています。
社債に比べると住宅債権(RMBS、ABS)のCDOの場合は、そもそも相関性を高めに設定しているかもしれません。その場合には、”過大評価”といってもあまり大きくはないかもしれません。
無知なくせに憶測でいろいろ書くと、但し書きばかりが増えて、、、申し訳ないです。
==========================
AIGFPは2007年末で2.13兆ドル!ものデリバティブを建てていて、その金額はAIGの全資産の2倍に及ぶ。
ちょっと過激に書きすぎたかもしれません。
よくよく考えてみれば、AIGが本体で持っているサブプラ関連はおもにRMBSなので、担保によるカバーが期待できます。
また、AIGFPによるCDSは腐ってもsuper seniorが対象なので、これも全部が飛ぶというわけではない(と思う)。
なので、今回の増資に加えて追加資本が必要な状況だとは思うけれど、おそらくは200-300億ドルのイメージ。
AIGが実質債務超過というわけではありません。たぶん。
ただし、super senior CDSは最後に毀損する部分なので、住宅価格下落の影響を限界的に受ける性格だと思います(たとえば住宅価格下落率▲15%のときのsuper senior CDSの毀損が▲10%でも、住宅価格下落率▲25%のときには毀損は▲40%に跳ねるとか・・・)。
素人の戯言ですので、いろいろとご確認ください。
ご迷惑をおかけしたら、深くお詫びします。
(追記の追記)
BETモデルについてですが、参考資料は社債のCDOについて書かれています。
社債に比べると住宅債権(RMBS、ABS)のCDOの場合は、そもそも相関性を高めに設定しているかもしれません。その場合には、”過大評価”といってもあまり大きくはないかもしれません。
無知なくせに憶測でいろいろ書くと、但し書きばかりが増えて、、、申し訳ないです。
==========================
AIGFPは2007年末で2.13兆ドル!ものデリバティブを建てていて、その金額はAIGの全資産の2倍に及ぶ。
この数値は、p163の”8. Derivatives and Hedge Accounting”にあるんですが、ここの記述はいろいろと面白いですよ。
たぶん、僕には分かっていないことばかりなんですけどね。
まず、(a)の注記が付いている社債とプライムRMBSを合わせると3790億ドル(40兆円)。これらのCDSはバーゼルIIと関連するらしい。銀行が他のOECD諸国へ資産を移転することでリスクアセットを圧縮することができる。その結果、米国の保険会社が欧州銀行のリスクを引き受け、米銀のリスクを欧州保険会社が引き受ける、なーんてことが起きているみたい。よくわからないけれど。
このリスク圧縮のためのCDSは12-18か月以内に満期となる。すでに540億ドルのCDSは契約終了ないしはその方向らしい。だとすると、、、他のOECD諸国の保険会社が欧州銀のリスクを引き受けるか、欧州銀が資産を圧縮するか、資本増強をしなきゃいけない。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
しかし、当面の課題は下の2つ、Corporate Debt/CLOsとMulti-sector CDOで、おもにsuper senior トランシェへのプロテクションを売っているらしい。今回の1Qの損失計上も、おもにここからきている。
それぞれ700億ドル、780億ドルと、一方だけで株主資本並みのサイズ。前の記事でみた本体でのサブプラ関連投資を合わせると、株主資本の3倍のエクスポージャーを抱えている。
Citiの10-Qを見ると、1Qのsuper senior ABS CDOでは新たにネット・エクスポージャーの15%の追加損失を計上していた。AIGが1QにMulti-sector CDOに関する分だけで、額面780億ドルの15%=117億ドル程度の追加損失を出すのは、まぁ予想された範囲となる。
後講釈だし、実際の内訳はまだわからないけれど。。。
さらに、AIGFPが保証を付けたCDOには期限前償還条項が付いているものが65億ドルある。”2a-7 Puts条項”というらしいけど、CDOがデフォルトしない限りCDO所有者の求めに応じてパーで買い取らなきゃいけないらしい。2007年での買い取りは7.54億ドルだけらしいけど、あぶないですよw
たぶん、僕には分かっていないことばかりなんですけどね。
まず、(a)の注記が付いている社債とプライムRMBSを合わせると3790億ドル(40兆円)。これらのCDSはバーゼルIIと関連するらしい。銀行が他のOECD諸国へ資産を移転することでリスクアセットを圧縮することができる。その結果、米国の保険会社が欧州銀行のリスクを引き受け、米銀のリスクを欧州保険会社が引き受ける、なーんてことが起きているみたい。よくわからないけれど。
このリスク圧縮のためのCDSは12-18か月以内に満期となる。すでに540億ドルのCDSは契約終了ないしはその方向らしい。だとすると、、、他のOECD諸国の保険会社が欧州銀のリスクを引き受けるか、欧州銀が資産を圧縮するか、資本増強をしなきゃいけない。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
しかし、当面の課題は下の2つ、Corporate Debt/CLOsとMulti-sector CDOで、おもにsuper senior トランシェへのプロテクションを売っているらしい。今回の1Qの損失計上も、おもにここからきている。
それぞれ700億ドル、780億ドルと、一方だけで株主資本並みのサイズ。前の記事でみた本体でのサブプラ関連投資を合わせると、株主資本の3倍のエクスポージャーを抱えている。
Citiの10-Qを見ると、1Qのsuper senior ABS CDOでは新たにネット・エクスポージャーの15%の追加損失を計上していた。AIGが1QにMulti-sector CDOに関する分だけで、額面780億ドルの15%=117億ドル程度の追加損失を出すのは、まぁ予想された範囲となる。
後講釈だし、実際の内訳はまだわからないけれど。。。
さらに、AIGFPが保証を付けたCDOには期限前償還条項が付いているものが65億ドルある。”2a-7 Puts条項”というらしいけど、CDOがデフォルトしない限りCDO所有者の求めに応じてパーで買い取らなきゃいけないらしい。2007年での買い取りは7.54億ドルだけらしいけど、あぶないですよw
それで、、、何も知らないくせに書くのは恥ずかしいだけなんですが、最も大きな問題はCDSのプラシイング・モデルじゃないかと。。。
AIGFPはCDSのプライシングにBETモデル(二項展開法モデル)というのを主に使っているらしい。BETモデルとは、ムーディーズがCDOなどの格付評価に使っている(いた?)ようですね。
だけど、下の参考資料をパラパラと眺めるとどうやらBETモデルは、特にプールの資産間の相関性が高い場合には、格付が高いトランシェを特に過大評価する傾向にあるらしい。まったく分かってないんですけどね。
だとすると、ほぼ全ての原資産が一斉に下落している今の状況で、super seniorにBETモデルを適用するのはキケーンじゃないかと。AIGFPのCDSプライシングは実勢を反映していなくて、これからもボン、ボンと損失を計上するんじゃないかな?
(参考)
[日銀金融研究所”CDOのプライシング・モデルとそれを用いたCDOの特性等の考察”]
[BIS Working Papers No 163
"CDO rating methodology: Some thoughts on model risk and its implications"]
[<a href="www.geocities.com/joaogarcia18/DexiaCreditMethodology/CDOBETCopulas74Web.pdf">"Comparing BET and Copulas for Cash Flows CDO’s"</a>]
AIGFPのCDS問題に加えて、前の記事で見た本体でのサブプラ関連が今後数年間にわたって損失を計上する。。。妄想かな?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
AIGFPはCDSのプライシングにBETモデル(二項展開法モデル)というのを主に使っているらしい。BETモデルとは、ムーディーズがCDOなどの格付評価に使っている(いた?)ようですね。
だけど、下の参考資料をパラパラと眺めるとどうやらBETモデルは、特にプールの資産間の相関性が高い場合には、格付が高いトランシェを特に過大評価する傾向にあるらしい。まったく分かってないんですけどね。
だとすると、ほぼ全ての原資産が一斉に下落している今の状況で、super seniorにBETモデルを適用するのはキケーンじゃないかと。AIGFPのCDSプライシングは実勢を反映していなくて、これからもボン、ボンと損失を計上するんじゃないかな?
(参考)
[日銀金融研究所”CDOのプライシング・モデルとそれを用いたCDOの特性等の考察”]
[BIS Working Papers No 163
"CDO rating methodology: Some thoughts on model risk and its implications"]
[<a href="www.geocities.com/joaogarcia18/DexiaCreditMethodology/CDOBETCopulas74Web.pdf">"Comparing BET and Copulas for Cash Flows CDO’s"</a>]
AIGFPのCDS問題に加えて、前の記事で見た本体でのサブプラ関連が今後数年間にわたって損失を計上する。。。妄想かな?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
さらに、AIGFPは流動性の問題を潜在的に抱えている。
右図はAIGグループの長期債務の内訳だけど、AIGFPの長期債務のうち約半分は2008年内に満期が来る。長期じゃないやん!
他にもAIGはSIVを持っていて、その流動性も見なきゃいけない。
AIGは保険会社のくせに、そもそも目先の流動性に懸念があったんじゃないかな。今回の大きめに思える資本調達額も、、、先行きを見込んでというよりも、目先の資金調達こそが目的なのかなー。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
こーやってみてくると、AIGという会社は”うんこの詰め合わせ”じゃないかと。
「CDO=うんこの輪切り」説は踏み上げ太郎さんのアイデアですが、AIGはうんこの輪切りの詰め合わせですね。芳しい。
アリコの変額年金とか保険とか、いっぱい売ってるけれど、あれ買ったらうんこ拭くためのトイレットペーパーにされちゃうかもしれませんよ。気をつけましょうねw
右図はAIGグループの長期債務の内訳だけど、AIGFPの長期債務のうち約半分は2008年内に満期が来る。長期じゃないやん!
他にもAIGはSIVを持っていて、その流動性も見なきゃいけない。
AIGは保険会社のくせに、そもそも目先の流動性に懸念があったんじゃないかな。今回の大きめに思える資本調達額も、、、先行きを見込んでというよりも、目先の資金調達こそが目的なのかなー。
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こーやってみてくると、AIGという会社は”うんこの詰め合わせ”じゃないかと。
「CDO=うんこの輪切り」説は踏み上げ太郎さんのアイデアですが、AIGはうんこの輪切りの詰め合わせですね。芳しい。
アリコの変額年金とか保険とか、いっぱい売ってるけれど、あれ買ったらうんこ拭くためのトイレットペーパーにされちゃうかもしれませんよ。気をつけましょうねw
[ 20:17 ]
[ 欧米 ]
8日の米市場引け後にAIGの1Q決算が出て、1Q決算は78億ドルの赤字、そして125億ドルの資本調達計画が発表されました。株主資本は12月末から161億ドルも減ってます。
それなのに、配当は10%増やしている。何考えてんだ、この会社www
MarketWatch: [AIG reports $7.8 bln net loss; to raise $12.5 bln in capital]
[AIGの1Qリリース]
EPSで▲3.09ドル。市場予想EPSは▲0.76ドルだったので、市場予想を大きく上回る赤字決算。
んが、遅ればせながら2007年の10-Kを眺めると、まぁ妥当な数字かなと素人なりに思います。
僕は、バイサイドは金融システムの中核ではないと思い、あまり見てなかったのですが、、、いろいろと芳しい対象のようですね。
以下、3か月遅れで10-Kの内容を確認してみました。1Qの結果じゃないんで、あしからず。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
AIGの2007年末総資産は10605億ドル、うち証券投資が8520億ドル。
株主資本は958億ドルです。
それなのに、配当は10%増やしている。何考えてんだ、この会社www
MarketWatch: [AIG reports $7.8 bln net loss; to raise $12.5 bln in capital]
[AIGの1Qリリース]
EPSで▲3.09ドル。市場予想EPSは▲0.76ドルだったので、市場予想を大きく上回る赤字決算。
んが、遅ればせながら2007年の10-Kを眺めると、まぁ妥当な数字かなと素人なりに思います。
僕は、バイサイドは金融システムの中核ではないと思い、あまり見てなかったのですが、、、いろいろと芳しい対象のようですね。
以下、3か月遅れで10-Kの内容を確認してみました。1Qの結果じゃないんで、あしからず。
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AIGの2007年末総資産は10605億ドル、うち証券投資が8520億ドル。
株主資本は958億ドルです。
これがMBS、ABS、CDOの内訳(p104)。
突っ込みどころ満載なんですがw、
まずAIGFPはAIGのデリバティブ専業子会社で、今のところの問題の噴出元。
AIGはAIGFP以外でもRMBSを899億ドル持っていて、下段にはその内訳がある。
その中身もものすごく、Jumbo含みのnon-agencyに216億ドル、Alt-Aに253億ドル、(第二抵当主体の)その他住宅関連が43億ドル、サブプライムが241億ドル。
この段階で既に、株主資本(12月末で958億ドル、3月末は797億ドル)と同規模のサブプラ関連への投資をしている。
突っ込みどころ満載なんですがw、
まずAIGFPはAIGのデリバティブ専業子会社で、今のところの問題の噴出元。
AIGはAIGFP以外でもRMBSを899億ドル持っていて、下段にはその内訳がある。
その中身もものすごく、Jumbo含みのnon-agencyに216億ドル、Alt-Aに253億ドル、(第二抵当主体の)その他住宅関連が43億ドル、サブプライムが241億ドル。
この段階で既に、株主資本(12月末で958億ドル、3月末は797億ドル)と同規模のサブプラ関連への投資をしている。
2008/05/05のBlog
[ 07:01 ]
[ 日本の経済・相場 ]
右図は有効求人数と有効求職数の、20-65歳人口に対する比率(%)です。
こうすると、労働力人口の減少を除いて、求職者の動向を見ることができると思います。
有効求職率(有効求職数/20-65歳人口)はやはり2002年以降、すう勢的に低下しています。労働力人口の減少以上のペースで求職者数が減っているわけですね。
しかし、その水準は80年代中ごろと同じかやや高い水準にとどまっています。全般的に見れば、求職者にとっては未だに通常の景気後退局面と同等の厳しい局面なのではないかと思います。
一方、有効求人率をみると、低下してきたといってもバブル期並みの非常に旺盛な雇用意欲が伺えます。
ここから推測できることは、、、
現在の労働市場の悪化は、新規採用の抑制にとどまっており、解雇・倒産といったシビアな局面にまでは至っていない。その理由は、これまでの雇用コスト抑制姿勢が奏功して過剰雇用問題を抱えていないという構造的側面がある。また、足もとの求人数の減少は、住宅着工の低迷や暫定税率引き下げが影響した、一時的な現象かもしれない。
また、求人が主に若年労働力に向いており、雇用のミスマッチが生じている可能性も高そうです。
僕が白川総裁はじめ日銀の労働市場判断に不安を覚えるのは、彼らが短観などの労働需要サイド、企業サイドの見方にばかり焦点を当てているからです。
このグラフで言えば、求人の高さにばかり目が行って、求職の高さ(潜在的な労働供給力の大きさ)を十分に踏まえていないのではないか、と思います。
こうすると、労働力人口の減少を除いて、求職者の動向を見ることができると思います。
有効求職率(有効求職数/20-65歳人口)はやはり2002年以降、すう勢的に低下しています。労働力人口の減少以上のペースで求職者数が減っているわけですね。
しかし、その水準は80年代中ごろと同じかやや高い水準にとどまっています。全般的に見れば、求職者にとっては未だに通常の景気後退局面と同等の厳しい局面なのではないかと思います。
一方、有効求人率をみると、低下してきたといってもバブル期並みの非常に旺盛な雇用意欲が伺えます。
ここから推測できることは、、、
現在の労働市場の悪化は、新規採用の抑制にとどまっており、解雇・倒産といったシビアな局面にまでは至っていない。その理由は、これまでの雇用コスト抑制姿勢が奏功して過剰雇用問題を抱えていないという構造的側面がある。また、足もとの求人数の減少は、住宅着工の低迷や暫定税率引き下げが影響した、一時的な現象かもしれない。
また、求人が主に若年労働力に向いており、雇用のミスマッチが生じている可能性も高そうです。
僕が白川総裁はじめ日銀の労働市場判断に不安を覚えるのは、彼らが短観などの労働需要サイド、企業サイドの見方にばかり焦点を当てているからです。
このグラフで言えば、求人の高さにばかり目が行って、求職の高さ(潜在的な労働供給力の大きさ)を十分に踏まえていないのではないか、と思います。
今度は、年齢階層別に就業率を使って、潜在的な労働供給余力を見てみましょう。
80-2007年までと、2007年3月から2008年3月まで。
まずは女性から♪
女性の就業率はこの30年間、趨勢的に高まっています。
98年の労働市場崩壊ののちにやや勢いが低下しましたが、そのあと盛り返して、2000年代の雇用増加は女性主体であると言えるでしょう。
しかし、この女性の就業率の上昇は”女性の社会進出”と歓迎すべきものではないかもしれません。なぜなら、パート比率の上昇と符合したものであり、低賃金雇用の増加という側面もあるからです。
企業収益の好調さ、日本全般の生産性上昇率の高さを考えれば、ほんとはもっと高い賃金を得られるのかもしれませんしね。
80-2007年までと、2007年3月から2008年3月まで。
まずは女性から♪
女性の就業率はこの30年間、趨勢的に高まっています。
98年の労働市場崩壊ののちにやや勢いが低下しましたが、そのあと盛り返して、2000年代の雇用増加は女性主体であると言えるでしょう。
しかし、この女性の就業率の上昇は”女性の社会進出”と歓迎すべきものではないかもしれません。なぜなら、パート比率の上昇と符合したものであり、低賃金雇用の増加という側面もあるからです。
企業収益の好調さ、日本全般の生産性上昇率の高さを考えれば、ほんとはもっと高い賃金を得られるのかもしれませんしね。
一方で、男性の就業率を見てみましょう。
ちょうど1年前に書いた[日本の労働生産性と実質賃金の比較]という記事で見たとおり、日本の労働市場は98年に崩壊しました。
年齢別就業率から見る限り、男性の労働市場は98年の崩壊から回復していません。
これを”雇用のミスマッチ”と考えることもできますし、”潜在的労働供給力の大きさ”とみることもできます。その分かれ目は、賃金上昇率だと思います。
雇用のミスマッチが拡大している、すなわち構造的失業率が上昇しているのならば、賃金上昇率は加速を見せるはずです。企業が雇用したいと思える人材がなかなか集まらず、賃金水準を引き上げることになります。
一方で、潜在的な労働供給力が大きいのならば、賃金上昇率は低い水準にとどまるでしょう。
ちょうど1年前に書いた[日本の労働生産性と実質賃金の比較]という記事で見たとおり、日本の労働市場は98年に崩壊しました。
年齢別就業率から見る限り、男性の労働市場は98年の崩壊から回復していません。
これを”雇用のミスマッチ”と考えることもできますし、”潜在的労働供給力の大きさ”とみることもできます。その分かれ目は、賃金上昇率だと思います。
雇用のミスマッチが拡大している、すなわち構造的失業率が上昇しているのならば、賃金上昇率は加速を見せるはずです。企業が雇用したいと思える人材がなかなか集まらず、賃金水準を引き上げることになります。
一方で、潜在的な労働供給力が大きいのならば、賃金上昇率は低い水準にとどまるでしょう。
失業率と時間当たり賃金の上昇率を見てみます。
僕の見方はこれまでと変わりません。
日本の構造的摩擦的失業率は3%前半、あるいは3%前後の水準であり、現在の3.8%という失業率は構造的摩擦的失業率を上回っていると思います。
そして、日銀は2009年度まで潜在成長率並みの成長を見込んでいるわけですから、失業率は現状程度で横ばいとなると考えているわけです。
賃金上昇率は1-3月に+1.4%にまで高まっていますが、パート比率、業種間シフト、団塊退職といった要因を考慮すれば賃金上昇率の基調は+0.5%程度のとても緩やかな水準だと思います。これは生産性上昇率+1.5%を下回っているので、ULCの基調も未だにマイナス圏です。
日銀は金利引き上げを急ぐべきではなく、失業率の推移と特に賃金上昇率の基調を十分に見極めなければならないと思います。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・・・と僕の考えを書いたわけですが、問題は日銀がどう判断するか、なんですよね。
まず、賃金上昇率はここで取り上げた要因を背景に比較的高い水準で推移すると思います。+1.5-2.0%くらいかな。大企業雇用が活発で中小企業が減っていることも、賃金上昇率を押し上げると思いますし。
それに対して、基本的には日銀は賃金上昇率の高まりを許容すると思うのですが(期待が3-4割入ってますがw)、徐々に判断が強気に傾いてくる可能性も十分にある。
10月の展望レポートの頃には、賃金上昇率がULCをプラス転換させるという記述が出てくるかもしれない。
賃金上昇が続くならば、内需にはプラスなので、相場全体のリスクというよりも金利敏感セクターに対するリスク要因となるでしょう。
今すぐに起きうるリスクではないんだけれど、金融・不動産主体に日本株ポートを構成している僕にとっては、ちょっと先々でセクターを入れ替えなきゃいけなくなるかもしれない。
まとまりのない内容でした。
僕の見方はこれまでと変わりません。
日本の構造的摩擦的失業率は3%前半、あるいは3%前後の水準であり、現在の3.8%という失業率は構造的摩擦的失業率を上回っていると思います。
そして、日銀は2009年度まで潜在成長率並みの成長を見込んでいるわけですから、失業率は現状程度で横ばいとなると考えているわけです。
賃金上昇率は1-3月に+1.4%にまで高まっていますが、パート比率、業種間シフト、団塊退職といった要因を考慮すれば賃金上昇率の基調は+0.5%程度のとても緩やかな水準だと思います。これは生産性上昇率+1.5%を下回っているので、ULCの基調も未だにマイナス圏です。
日銀は金利引き上げを急ぐべきではなく、失業率の推移と特に賃金上昇率の基調を十分に見極めなければならないと思います。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・・・と僕の考えを書いたわけですが、問題は日銀がどう判断するか、なんですよね。
まず、賃金上昇率はここで取り上げた要因を背景に比較的高い水準で推移すると思います。+1.5-2.0%くらいかな。大企業雇用が活発で中小企業が減っていることも、賃金上昇率を押し上げると思いますし。
それに対して、基本的には日銀は賃金上昇率の高まりを許容すると思うのですが(期待が3-4割入ってますがw)、徐々に判断が強気に傾いてくる可能性も十分にある。
10月の展望レポートの頃には、賃金上昇率がULCをプラス転換させるという記述が出てくるかもしれない。
賃金上昇が続くならば、内需にはプラスなので、相場全体のリスクというよりも金利敏感セクターに対するリスク要因となるでしょう。
今すぐに起きうるリスクではないんだけれど、金融・不動産主体に日本株ポートを構成している僕にとっては、ちょっと先々でセクターを入れ替えなきゃいけなくなるかもしれない。
まとまりのない内容でした。
2008/05/04のBlog
[ 07:43 ]
[ 日本の経済・相場 ]
日本の相場が長持ちすることを願いますが、賃金上昇率がやや高まってきているので、この点がリスク要因となるかもと思い、簡単に見てみました。
賃金上昇率の加速は、内需の持続的拡大につながる一方で、ULCのプラス転換→先行きのデフレ脱却→金利正常化路線の復活、となるでしょう。相場を考える上では、見過ごせない変化だと思います。
(参考)みずほ総研: [雇用・賃金関連統計(2008年3月)]
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
白川総裁は足もとの物価上昇を容認する姿勢を示しました。
おそらくその理由は、資源・食料価格上昇(供給ショック)による物価上昇は一過性である蓋然性が高いという判断が1つ。加えて、コアコアCPIはゼロ水準であること、賃金上昇率が低いこと、ULCがマイナス圏にあること、といった日本の物価の基調判断があると思います。
賃金上昇率の加速は、内需の持続的拡大につながる一方で、ULCのプラス転換→先行きのデフレ脱却→金利正常化路線の復活、となるでしょう。相場を考える上では、見過ごせない変化だと思います。
(参考)みずほ総研: [雇用・賃金関連統計(2008年3月)]
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
白川総裁は足もとの物価上昇を容認する姿勢を示しました。
おそらくその理由は、資源・食料価格上昇(供給ショック)による物価上昇は一過性である蓋然性が高いという判断が1つ。加えて、コアコアCPIはゼロ水準であること、賃金上昇率が低いこと、ULCがマイナス圏にあること、といった日本の物価の基調判断があると思います。
だけど、賃金上昇率は1-3月平均で+1.4%とやや高い伸びとなってきました。
この賃金上昇率の高まりが続くようならば、日銀の姿勢が変わってくる可能性がある。
賃金上昇の要因の1つは、みずほ総研さんも指摘しているとおりパート比率が低下していることがある。パートの賃金水準は一般労働者よりも低いので、パート比率が低下するとそれだけで平均賃金が上昇することになる。
この賃金上昇率の高まりが続くようならば、日銀の姿勢が変わってくる可能性がある。
賃金上昇の要因の1つは、みずほ総研さんも指摘しているとおりパート比率が低下していることがある。パートの賃金水準は一般労働者よりも低いので、パート比率が低下するとそれだけで平均賃金が上昇することになる。
僕もパート要因を抽出してみました。
ここでは、パート比率の変化と業種間の雇用シフトのクロスセクション分析をやってます。
これで見ると、パート比率の変化要因はみずほ総研さんの分析よりもちょっと大きめですね。
1-3月の現金給与総額の上昇率+1.4%のうち、パート比率の変化要因が+0.56%p、業種間シフトが+0.18%p、この2要因を除いた修正後の上昇率は+0.7%となります。
業種間シフトでは、賃金水準が高い金融・保険業と情報通信業での一般雇用の増加が押し上げています(1-3月の一般雇用はそれぞれ+6%、+5%)。
この2要因のほかに、展望レポートが指摘したように団塊退職がピークアウトしつつあり、2007年とは逆に2008年では団塊退職が平均賃金の押し上げ要因となっている可能性もあります。
このように見てみると、1-3月の現金給与総額が+1.4%の上昇となったといっても、その基調は+0.5%程度のとても緩やかな上昇にとどまっていると見るべきではないかと、僕は思います。
しかし、これらの要因を除いて見ても、賃金上昇率は緩やかに高まっているのかもしれません。
また、賃金水準が高い業種での雇用が増加に転じたということは、日本の労働市場が正常化しつつあることを示しています。低賃金の雇用ばかりが増えるというのは、ゆがんでいますからね。
ここでは、パート比率の変化と業種間の雇用シフトのクロスセクション分析をやってます。
これで見ると、パート比率の変化要因はみずほ総研さんの分析よりもちょっと大きめですね。
1-3月の現金給与総額の上昇率+1.4%のうち、パート比率の変化要因が+0.56%p、業種間シフトが+0.18%p、この2要因を除いた修正後の上昇率は+0.7%となります。
業種間シフトでは、賃金水準が高い金融・保険業と情報通信業での一般雇用の増加が押し上げています(1-3月の一般雇用はそれぞれ+6%、+5%)。
この2要因のほかに、展望レポートが指摘したように団塊退職がピークアウトしつつあり、2007年とは逆に2008年では団塊退職が平均賃金の押し上げ要因となっている可能性もあります。
このように見てみると、1-3月の現金給与総額が+1.4%の上昇となったといっても、その基調は+0.5%程度のとても緩やかな上昇にとどまっていると見るべきではないかと、僕は思います。
しかし、これらの要因を除いて見ても、賃金上昇率は緩やかに高まっているのかもしれません。
また、賃金水準が高い業種での雇用が増加に転じたということは、日本の労働市場が正常化しつつあることを示しています。低賃金の雇用ばかりが増えるというのは、ゆがんでいますからね。
そこで、いくつかの労働統計を確認してみました。
まず、有効求人倍率(有効求人数/有効求職数)です。
有効求人倍率は、その水準自体はバブル期以来の非常に高い水準にあります。労働需給がタイト化しているという日銀の判断、そして各報道にも合致しています。
しかし、足もとでは4か月連続で1倍を割り込み、下落ペースが加速しています(緑のライン)。
その主因は、有効求人が急速に落ち込んでいるからです(青のライン)。
ところが、一方の有効求職を見てみると、同様に足元では落ち込んでおり、2002年以降の求職数の減少傾向は変わっていません(赤のライン)。
通常の雇用悪化局面では、求人が減ると同時に求職が増えます。しかし、現在の悪化局面では求職者が増えていないのです。
この理由は、
①労働力人口が減少し、求職者のパイ自体が減少トレンドにある、②労働市場が改善したといっても潜在的失業者が依然として多く、求職者数の水準自体が高止まりしている、③特に中高齢者に求職者が偏り、一方で低年齢者について求人が偏るという「雇用のミスマッチ」が生じている、④外国人労働者を含めた非正規雇用の割合が高まっているため、求職活動が統計でカバーされていない、などが考えられます。
(続く)
まず、有効求人倍率(有効求人数/有効求職数)です。
有効求人倍率は、その水準自体はバブル期以来の非常に高い水準にあります。労働需給がタイト化しているという日銀の判断、そして各報道にも合致しています。
しかし、足もとでは4か月連続で1倍を割り込み、下落ペースが加速しています(緑のライン)。
その主因は、有効求人が急速に落ち込んでいるからです(青のライン)。
ところが、一方の有効求職を見てみると、同様に足元では落ち込んでおり、2002年以降の求職数の減少傾向は変わっていません(赤のライン)。
通常の雇用悪化局面では、求人が減ると同時に求職が増えます。しかし、現在の悪化局面では求職者が増えていないのです。
この理由は、
①労働力人口が減少し、求職者のパイ自体が減少トレンドにある、②労働市場が改善したといっても潜在的失業者が依然として多く、求職者数の水準自体が高止まりしている、③特に中高齢者に求職者が偏り、一方で低年齢者について求人が偏るという「雇用のミスマッチ」が生じている、④外国人労働者を含めた非正規雇用の割合が高まっているため、求職活動が統計でカバーされていない、などが考えられます。
(続く)
2008/05/01のBlog
[ 14:42 ]
[ 日本の経済・相場 ]
[FOMC statement 2008/04/30]
FEDの利下げは25bpで、かつ利下げの含みを残したでしょ(・・・and will act as needed・・・)。
インフレ懸念が強まったという見方が多いけど、やっぱりFEDはデフレが怖いんだと思うんですよね。シティの追加増資に見られるように、未だに米銀の資本不足懸念はくすぶっている。金融システムが動揺しているので、緩和効果が波及しにくい状況にある。こういう状況では、FEDはデフレのほうを懸念していると思う。
確かに、ステートメントではインフレ懸念に言及している。しかし、市場の利下げ期待を維持することでインフレ期待を比較的高い水準に留めたい、というのが本音だと思うんですよね。
インフレを懸念していたら、利下げしませんよ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
[経済・物価情勢の展望(2008年4月)]
[白川総裁会見要旨]
NIKKEI-CNBC[白川総裁会見(動画)]
今回の展望レポートは、全文(背景説明)も読ませます。興味深い内容でした。
[前回10月の展望レポートに関する記事]に書きましたが、前回のレポートは、背景説明と基本的見解がかみ合っていなかった。調査統計局は経済の悪化をわりときちんと背景説明に書いていたんだけど、おそらくは前総裁が利上げ姿勢を保ちたくて基本的見解を強気に書かせたんだと思う。
だからこそ、今回、基本的見解が大幅に書き換えられたんだと僕は理解してます。
みずほ総研さんが「国内企業部門に対する判断はかなり弱気化」と書いているけれど、日銀スタッフの見方は前回のレポートですでに弱気だったと思いますよ。前総裁がむちゃだっただけですw
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
○物価の見方
印象深いことの1つは、背景説明と総裁会見ともに物価の見方が慎重で、長期的視野で見ていることです。
いくつか列挙すると、、、
今回のレポートにはコアコアCPIへの言及が追加されている。
「・・・ただし、大手小売を中心に、厳しい競争環境を意識した値上げ抑制スタンスも根強く維持されたことから、食料・エネルギーを除くベースでみた消費者物価指数の前年比は、ゼロ%近傍までの改善にとどまった。(p14)」
また、消費者のインフレ実感が高まっていることについては、以下のように留意点を述べている。
「なお、このように購入頻度の高い品目で上昇が目立っていることは、消費者のインフレ実感を物価指数の上昇率以上に高めている可能性がある。(p2)」
白川総裁は、「足もとの物価上昇は、原材料・食料品価格上昇を反映した『供給ショック』ではあるが、同時に、「原材料・食料品価格の上昇の背景には、エマージング諸国を中心とした世界的な需要拡大があるので、単純な供給ショックとは言えない(会見要旨p7を筆者がまとめた)」と述べた。この点は、そうだよな、と納得する。
それでも、彼の基本的な認識は、「供給ショックによる物価上昇によって日本を含めた先進国は需要抑制が生じている。また、供給ショックによる物価上昇は、長期的なインフレ期待が抑制されていれば、一時的影響にとどまる蓋然性が高い。」というものだろう。この点、ミシュキンなどFEDメンバーに近い考え方だ。
以上のような考察と、2009年度のCPI見通しが+1.0%程度と、「中長期物価安定の理解」(0-2%)の中間にとどまることもあって、足もとの物価上昇を容認する姿勢を示しているのだと思う。とても、リーズナブルな判断です。
FEDの利下げは25bpで、かつ利下げの含みを残したでしょ(・・・and will act as needed・・・)。
インフレ懸念が強まったという見方が多いけど、やっぱりFEDはデフレが怖いんだと思うんですよね。シティの追加増資に見られるように、未だに米銀の資本不足懸念はくすぶっている。金融システムが動揺しているので、緩和効果が波及しにくい状況にある。こういう状況では、FEDはデフレのほうを懸念していると思う。
確かに、ステートメントではインフレ懸念に言及している。しかし、市場の利下げ期待を維持することでインフレ期待を比較的高い水準に留めたい、というのが本音だと思うんですよね。
インフレを懸念していたら、利下げしませんよ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
[経済・物価情勢の展望(2008年4月)]
[白川総裁会見要旨]
NIKKEI-CNBC[白川総裁会見(動画)]
今回の展望レポートは、全文(背景説明)も読ませます。興味深い内容でした。
[前回10月の展望レポートに関する記事]に書きましたが、前回のレポートは、背景説明と基本的見解がかみ合っていなかった。調査統計局は経済の悪化をわりときちんと背景説明に書いていたんだけど、おそらくは前総裁が利上げ姿勢を保ちたくて基本的見解を強気に書かせたんだと思う。
だからこそ、今回、基本的見解が大幅に書き換えられたんだと僕は理解してます。
みずほ総研さんが「国内企業部門に対する判断はかなり弱気化」と書いているけれど、日銀スタッフの見方は前回のレポートですでに弱気だったと思いますよ。前総裁がむちゃだっただけですw
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
○物価の見方
印象深いことの1つは、背景説明と総裁会見ともに物価の見方が慎重で、長期的視野で見ていることです。
いくつか列挙すると、、、
今回のレポートにはコアコアCPIへの言及が追加されている。
「・・・ただし、大手小売を中心に、厳しい競争環境を意識した値上げ抑制スタンスも根強く維持されたことから、食料・エネルギーを除くベースでみた消費者物価指数の前年比は、ゼロ%近傍までの改善にとどまった。(p14)」
また、消費者のインフレ実感が高まっていることについては、以下のように留意点を述べている。
「なお、このように購入頻度の高い品目で上昇が目立っていることは、消費者のインフレ実感を物価指数の上昇率以上に高めている可能性がある。(p2)」
白川総裁は、「足もとの物価上昇は、原材料・食料品価格上昇を反映した『供給ショック』ではあるが、同時に、「原材料・食料品価格の上昇の背景には、エマージング諸国を中心とした世界的な需要拡大があるので、単純な供給ショックとは言えない(会見要旨p7を筆者がまとめた)」と述べた。この点は、そうだよな、と納得する。
それでも、彼の基本的な認識は、「供給ショックによる物価上昇によって日本を含めた先進国は需要抑制が生じている。また、供給ショックによる物価上昇は、長期的なインフレ期待が抑制されていれば、一時的影響にとどまる蓋然性が高い。」というものだろう。この点、ミシュキンなどFEDメンバーに近い考え方だ。
以上のような考察と、2009年度のCPI見通しが+1.0%程度と、「中長期物価安定の理解」(0-2%)の中間にとどまることもあって、足もとの物価上昇を容認する姿勢を示しているのだと思う。とても、リーズナブルな判断です。
○交易利得、実質貿易収支
展望レポートの図表29-30は、日本と世界の交易利得を表している。
図表29は、、、
日本の交易条件は資源価格高や円安によって悪化していて、その結果、交易利得は減少している(交易損失)。だけど、エマージング向けの輸出数量・品質向上が趨勢的に伸びていて、交易損失を上回っている、ということを示しています。
そして、図表30(右図)は、世界の国々の交易利得・損失の変化と、実質貿易収支の変化を表している。
これ、面白いですね。右下のアジア諸国は製造業を中心に輸出数量を伸ばしていて、実質貿易収支は改善している。だけど、交易条件が悪化しているので、交易損失が拡大している。
一方で、左上の資源国は、交易条件が改善しているので交易利得が拡大しているけれど、それと呼応して輸入数量が増加し、実質貿易収支は悪化している。
展望レポートは、「「交易利得」と「実質貿易収支」を交換し合う好循環(p20)」と前向きに評価してる。確かに、資源高と財の交易がうまくバランスしているといえなくもないかも。
まー、米国が世界の需要の過半を生み出していて、その米国の需要減退が問題を生んでいるわけですし、資源高は世界のインフレ要因でもあるわけで、全面的にポジティブに評価するわけにはいきませんが、面白い視点です。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今回の展望レポートの背景説明は、分量こそ15ページと前回(14ページ)とあまり変わりませんが、上手に再構成されていて、現状認識と先行きの判断にうまくわけられている。特に現状認識は前回の2ページ余りから5ページに増えている。
内容も、読ませる、考えさせる。興味深いですね。断言調がほとんどなく、見るべきところを見ている。
さすがは金融政策ヲタクw いやー、楽しくなっちゃいますよwww
展望レポートの図表29-30は、日本と世界の交易利得を表している。
図表29は、、、
日本の交易条件は資源価格高や円安によって悪化していて、その結果、交易利得は減少している(交易損失)。だけど、エマージング向けの輸出数量・品質向上が趨勢的に伸びていて、交易損失を上回っている、ということを示しています。
そして、図表30(右図)は、世界の国々の交易利得・損失の変化と、実質貿易収支の変化を表している。
これ、面白いですね。右下のアジア諸国は製造業を中心に輸出数量を伸ばしていて、実質貿易収支は改善している。だけど、交易条件が悪化しているので、交易損失が拡大している。
一方で、左上の資源国は、交易条件が改善しているので交易利得が拡大しているけれど、それと呼応して輸入数量が増加し、実質貿易収支は悪化している。
展望レポートは、「「交易利得」と「実質貿易収支」を交換し合う好循環(p20)」と前向きに評価してる。確かに、資源高と財の交易がうまくバランスしているといえなくもないかも。
まー、米国が世界の需要の過半を生み出していて、その米国の需要減退が問題を生んでいるわけですし、資源高は世界のインフレ要因でもあるわけで、全面的にポジティブに評価するわけにはいきませんが、面白い視点です。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今回の展望レポートの背景説明は、分量こそ15ページと前回(14ページ)とあまり変わりませんが、上手に再構成されていて、現状認識と先行きの判断にうまくわけられている。特に現状認識は前回の2ページ余りから5ページに増えている。
内容も、読ませる、考えさせる。興味深いですね。断言調がほとんどなく、見るべきところを見ている。
さすがは金融政策ヲタクw いやー、楽しくなっちゃいますよwww
2008/04/30のBlog
[ 19:34 ]
[ 日本の経済・相場 ]
[経済・物価情勢の展望(2008 年4月)【基本的見解】]
今回の展望レポートの基本的見解を読んで、僕は本当に安心しました。
日本と日銀は、ようやく適切な人を得たようです。よかった。。。ほんとに。
今回のレポートは、前回と比較するとほぼ全面的に変更されています。そのなかでも、現状判断と先行きの見通しの変更が注目されるでしょう。
しかし、僕にとっては細部の変更が印象深かった。おそらくは総裁自身が手を加えたと思える箇所が至る所にある。その変更から感じられることは、白川総裁の事実を直視する姿勢、そして不確実な先行きを判断する際に必要な謙虚さです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
おそらく最も重要な点は、需給ギャップの現状判断が「需要超過」ではなくなったこと、そして先行き2009年度までの経済成長が潜在成長並みとなったことでしょう。「需要超過」という言葉は消えました。足もとの需給ギャップがほぼ均衡しており、さらに先行きの経済成長が潜在成長並みということ、加えて、「徐々に金利水準の調整を行う」という正常化路線を示す文言も消えたことから、今後2年間は利上げなし、が基本シナリオとなります。
もちろん、経済・物価動向によって政策金利のシナリオが上下に変わることはあり得ますし、「緩和的な金融環境が長期化するリスク」に関して一定の留保表現が残っています。しかし、「緩和的な金融環境が長期化するリスク」については、ことさらに資産価格上昇を懸念するかのような表現は大幅に削除されました。資産価格上昇懸念で利上げするとしても、かなり先(1年以上?)ですね。
一言でいえば、”まとも”になったのです。
あえて注文をつけるならば、労働市場の現状認識かな。
「企業の人手不足感は強く、雇用者数は増加を続けると考えられる。賃金についても、労働需給がタイトな状況が長期化することから、じわじわと上昇圧力が加わっていくとみられる。」
→有効求人倍率が4カ月連続で1倍を割って低下傾向にあること、3月の有効求人数、新規求人数がそれぞれ前年比▲15%、▲21%と急激に落ち込んできていること、就業者数が2か月連続で減少していること、そして労働市場は遅行指標であることを考えれば、労働市場についての判断は今後、下方修正されるでしょう。
以前の記事でも指摘しましたが、白川総裁はどうも企業サイドの統計に注目する傾向があるようで、短観の労働需給DIに引きずられてこういう判断になったのではないかと思います。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
個別を見てみる。
○削除された重要な文言
「生産・所得・支出の好循環メカニズム」
「需要超過」
「好調な企業部門から家計部門への波及(ダム論)」
「徐々に金利水準の調整を行う」
=>利上げのための"虚構"を一気に消し去りました。ようやく、日銀と市場は事実に基づいた論理的な対話ができるのです。 長かった・・・
○重要な変更箇所
-先行きの成長見通し
「潜在成長率を幾分上回る2%程度」→「概ね潜在成長率並みの緩やかな成長」
-需給判断
「マクロ的な需給ギャップをみても、引き続き、需要超過方向で推移していく」→「雇用や設備といった資源の稼働状況をみると、現在、過去の平均的な水準からみて需給がほぼバランスしている状態にある。マクロの需給ギャップも概ね現状程度の水準で推移する」。
-コアCPI(除く生鮮食品)
「目先はゼロ%近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目でみると、プラス幅が次第に拡大」→「2008年度央までは1%台前半で推移し、その後はやや低下」
-賃金上昇率
「徐々に上昇圧力が高まっていく」→「賃金の伸び率は緩やかなものにとどまる」
-金融環境
「極めて緩和的」→「緩和的」
「中小零細企業や非製造業の一部で金融緩和の程度は幾分後退」との追加あり。
-ULC
「下げ止まっていく」→「マイナス幅は縮小していく」
-国内・海外の成長見通し
「拡大」→「2008年度前半は減速、その後は回復」
「(低金利長期化の期待が定着することで)非効率な資源配分につながるリスク」
→基本シナリオ(第一の柱)からは削除。リスク要因としては2番目から4番目に引き下げ。
=>需給ギャップがバランスしており、今後も潜在成長率並みで推移すると見ている。コアCPIも足元は高まっているが、先行きは落ち着きを見ている。賃金・ULCもより妥当な判断となっている。今後の経済・物価・金融環境を見ながら、金融政策を行う姿勢がよりはっきりした。
リスク要因(上振れ・下振れ要因)も大幅に変更されていますが、米国のダウンサイドリスクを意識するなど、おおむね妥当な内容だと思います。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
小さな変更だけど、白川総裁が手を加えたと思われる箇所は多い。その一例を。
上振れ・下振れ要因についての冒頭部分です。下線部分が追加された部分です。
「以上述べた見通しは、前述の前提やメカニズムに依拠した上で、相対的に最も蓋然性が高いと判断される見通しについて述べたものである。したがって、先行きの経済情勢については、以下のような上振れまたは下振れの要因があり、特に不確実性が高い状況においては、こうした要因に十分留意する必要がある。」
→前総裁とは対照的に、今回の表現は断言調の表現がとても少ない。「相対的に」という追加部分には、あくまで基本の見通しは可能性(シナリオ)の1つにすぎない、という謙虚な姿勢を反映していると思う。また、後半の追加部分は、不確実性が高い現状に特に配慮していることを示している。
ほんとに、よかった。
事実を事実として認識すること、先行きのシナリオを論理的に構成すること、なんてセントラルバンカーなら当たり前です。でも、それだけで嬉しくなるのが、orz...
今回の展望レポートの変化で再認識したことは、日銀の判断は執行部、特に総裁に左右されること、その他の政策委員は執行部の判断にかなーり引きずられていること、ですね。
やっぱり総裁の資質は、重要ですよ。
明日出てくる背景説明についても注目したいところです。
今回の展望レポートの基本的見解を読んで、僕は本当に安心しました。
日本と日銀は、ようやく適切な人を得たようです。よかった。。。ほんとに。
今回のレポートは、前回と比較するとほぼ全面的に変更されています。そのなかでも、現状判断と先行きの見通しの変更が注目されるでしょう。
しかし、僕にとっては細部の変更が印象深かった。おそらくは総裁自身が手を加えたと思える箇所が至る所にある。その変更から感じられることは、白川総裁の事実を直視する姿勢、そして不確実な先行きを判断する際に必要な謙虚さです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
おそらく最も重要な点は、需給ギャップの現状判断が「需要超過」ではなくなったこと、そして先行き2009年度までの経済成長が潜在成長並みとなったことでしょう。「需要超過」という言葉は消えました。足もとの需給ギャップがほぼ均衡しており、さらに先行きの経済成長が潜在成長並みということ、加えて、「徐々に金利水準の調整を行う」という正常化路線を示す文言も消えたことから、今後2年間は利上げなし、が基本シナリオとなります。
もちろん、経済・物価動向によって政策金利のシナリオが上下に変わることはあり得ますし、「緩和的な金融環境が長期化するリスク」に関して一定の留保表現が残っています。しかし、「緩和的な金融環境が長期化するリスク」については、ことさらに資産価格上昇を懸念するかのような表現は大幅に削除されました。資産価格上昇懸念で利上げするとしても、かなり先(1年以上?)ですね。
一言でいえば、”まとも”になったのです。
あえて注文をつけるならば、労働市場の現状認識かな。
「企業の人手不足感は強く、雇用者数は増加を続けると考えられる。賃金についても、労働需給がタイトな状況が長期化することから、じわじわと上昇圧力が加わっていくとみられる。」
→有効求人倍率が4カ月連続で1倍を割って低下傾向にあること、3月の有効求人数、新規求人数がそれぞれ前年比▲15%、▲21%と急激に落ち込んできていること、就業者数が2か月連続で減少していること、そして労働市場は遅行指標であることを考えれば、労働市場についての判断は今後、下方修正されるでしょう。
以前の記事でも指摘しましたが、白川総裁はどうも企業サイドの統計に注目する傾向があるようで、短観の労働需給DIに引きずられてこういう判断になったのではないかと思います。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
個別を見てみる。
○削除された重要な文言
「生産・所得・支出の好循環メカニズム」
「需要超過」
「好調な企業部門から家計部門への波及(ダム論)」
「徐々に金利水準の調整を行う」
=>利上げのための"虚構"を一気に消し去りました。ようやく、日銀と市場は事実に基づいた論理的な対話ができるのです。 長かった・・・
○重要な変更箇所
-先行きの成長見通し
「潜在成長率を幾分上回る2%程度」→「概ね潜在成長率並みの緩やかな成長」
-需給判断
「マクロ的な需給ギャップをみても、引き続き、需要超過方向で推移していく」→「雇用や設備といった資源の稼働状況をみると、現在、過去の平均的な水準からみて需給がほぼバランスしている状態にある。マクロの需給ギャップも概ね現状程度の水準で推移する」。
-コアCPI(除く生鮮食品)
「目先はゼロ%近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目でみると、プラス幅が次第に拡大」→「2008年度央までは1%台前半で推移し、その後はやや低下」
-賃金上昇率
「徐々に上昇圧力が高まっていく」→「賃金の伸び率は緩やかなものにとどまる」
-金融環境
「極めて緩和的」→「緩和的」
「中小零細企業や非製造業の一部で金融緩和の程度は幾分後退」との追加あり。
-ULC
「下げ止まっていく」→「マイナス幅は縮小していく」
-国内・海外の成長見通し
「拡大」→「2008年度前半は減速、その後は回復」
「(低金利長期化の期待が定着することで)非効率な資源配分につながるリスク」
→基本シナリオ(第一の柱)からは削除。リスク要因としては2番目から4番目に引き下げ。
=>需給ギャップがバランスしており、今後も潜在成長率並みで推移すると見ている。コアCPIも足元は高まっているが、先行きは落ち着きを見ている。賃金・ULCもより妥当な判断となっている。今後の経済・物価・金融環境を見ながら、金融政策を行う姿勢がよりはっきりした。
リスク要因(上振れ・下振れ要因)も大幅に変更されていますが、米国のダウンサイドリスクを意識するなど、おおむね妥当な内容だと思います。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
小さな変更だけど、白川総裁が手を加えたと思われる箇所は多い。その一例を。
上振れ・下振れ要因についての冒頭部分です。下線部分が追加された部分です。
「以上述べた見通しは、前述の前提やメカニズムに依拠した上で、相対的に最も蓋然性が高いと判断される見通しについて述べたものである。したがって、先行きの経済情勢については、以下のような上振れまたは下振れの要因があり、特に不確実性が高い状況においては、こうした要因に十分留意する必要がある。」
→前総裁とは対照的に、今回の表現は断言調の表現がとても少ない。「相対的に」という追加部分には、あくまで基本の見通しは可能性(シナリオ)の1つにすぎない、という謙虚な姿勢を反映していると思う。また、後半の追加部分は、不確実性が高い現状に特に配慮していることを示している。
ほんとに、よかった。
事実を事実として認識すること、先行きのシナリオを論理的に構成すること、なんてセントラルバンカーなら当たり前です。でも、それだけで嬉しくなるのが、orz...
今回の展望レポートの変化で再認識したことは、日銀の判断は執行部、特に総裁に左右されること、その他の政策委員は執行部の判断にかなーり引きずられていること、ですね。
やっぱり総裁の資質は、重要ですよ。
明日出てくる背景説明についても注目したいところです。
2008/04/29のBlog
[ 07:14 ]
ちょっと前に、In Progressさんが興味深いエントリーを書いていらっしゃいました。
最近の金融行政の流れもよく知らないので、たぶん的外れなんでしょうが、思うところをダラダラと。
[金融サービス業におけるプリンシプル]
日本の金融庁だけでなく、米財務省の金融監督の青写真、さらには[ジョイント・フォーラムによる報告書]など、至る所で金融監督のあるべき姿が模索されているようです。
この「プリンシプル・ベース」という考え方は今の金融監督の流れを理解する上でのキーワードの1つですよね、たぶん。日本の金融庁が模索する方向性は、正しくは「ルールベースの監督とプリンシプルベースの監督の最適な組合せ」である「ベター・レギュレーション」なのでしょうが、変化の方向は「プリンシプル・ベース」。米財務省の青写真もこの方向を向いているのだと思う。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
なんでプリンシプル・ベースに向かってるの?ということですが、In Progressさんの記事[プリンシプル・ベースの金融規制]から大幅に引用させていただくと、、、
=============引用===============
ルール(法律や規則)はYesまたはNoという形で、明確な回答を用意する傾向にあるが、これが市場の効率性を妨げる場合がある。ルールは、物事にたいして一律的なアプローチをとる傾向があり、また、ルールの制定はスピードに欠ける傾向にある。
ルールの制定というアプローチを取ると、実験的な対応が難しいが、プリンシプル・ベースの規制ではそれが可能となる。
ルールは、一度制定されると、その後の変更にも時間がかかるため、誤ったルールが制定されてしまった場合の悪影響も甚大となる。
ルール・ベースのアプローチでは、特定のルールの作成者の判断に依拠することになるが、プリンシプル・ベースの場合、マーケットによる規律に期待するので、多数のマーケット参加者の意思が反映される結果、正しい判断がなされる可能性が高まる。
国際的な金融規制という観点でも、複数の国でルールを統一させること(いわゆるコンバージェンス)は困難であるが、プリンシプル・ベースのアプローチの場合、コンバージェンスが容易である。通常、プリンシプルのレベルで各国の意見が大きく違うということは少ない。
===========引用おわり============
チョーいい加減にまとめると、「原則(プリンシプル)を定めることで柔軟性が増し、市場の変化に迅速に対応できる。また、金融のグローバル化に対応した普遍性も期待できる(というよりもルール・ベースでは対応できない)」、ということかと。
実際には原則を定めただけじゃなくて、詳細なマニュアルを設けたりするらしいので、ルール・ベースとの違いは大きくはないのかもしれません。金融機関・ホールセール市場の監督と、リテール市場の監督、という監督段階によっても変わってくるようですし。
それでね、このプリンシプル・ベースで行くと、いろいろと行きすぎが生じる恐れがありそうで。。。
たとえば、当局が原則を定めたあとは、その原則を踏まえた上で事業者や業界の主体的な自主規制が期待されていて、原則に反した行為には事後的な制裁(エンフォースメント)が科せられる。
でも、そんなに事業者の行為に期待するのってキケーンじゃないっすか?特に金融業界は人の入れ替わりが激しいから、逃げ切れば勝ち、なんて考える人も、、、
また、様々な形での透明性が求められる。監督当局の考える原則やマニュアルについての透明性が必要なのはもちろんだけど、事業者のディスクロージャーや、さらには顧客に対する情報開示にも透明性が必要となるでしょう。サブプライム問題の根源に銀行と消費者との間の情報の非対称性があったことは、wha_man3さんが新著で指摘されている通りです。問題が表面化するまで騙されていることを知らない消費者が少なくなかったかもしれない。
プリンシプル・ベースを積極的に導入してきた(らしい)英国、そして一部に導入している(らしい)米国で住宅バブルが発生したことは、何らかの因果関係があるんじゃないかな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
それでも、世の趨勢はプリンシプル・ベースに流れているらしい。
プリンシプル・ベースの監督制度が本質的にはある程度の”失敗”が起きることを想定したものだとすると、、、
たとえばwha_man3さんがFEDのコーン副議長の発言を紹介されている。これは証券会社のレバレッジを抑える=バッファーを積み増すことの必要性を述べている。その背景にはBSC破綻があるのだろうけれど、同時にプリンシプル・ベースへの監督の流れを意識したものかもしれない。
世界の(金融先進国の)監督制度がプリンシプル・ベースに向かう中で、金融のレバレッジは抑えられる方向に向かうのかもしれない。言ってみれば、マネーの膨らみを適度に抑えておいて、そのなかでより多様な金融アクセス(金融資産の効率的配分)を目指すという方向性じゃないかな。
だとすると、いろんなところに金融の”ゆがみ”が生じる制度だと思うんですよ。
うまく考えがまとまらないんですがw、
たとえば日本にはその”ゆがみ”が生じ易いんじゃないかと思う。
金融庁の[第11回 政策評価に関する有識者会議(2007/6/13)]で五味長官が以下のように述べているように、日本の金融界にプリンシプル・ベースという企業文化があるかは疑問だ。
=========p25から==========
業者の方がプリンシプル・ベースとおっしゃること自体に私は問題があるとは思わないですが、プリンシプル・ベースで監督せよとおっしゃるなら、自分がプリンシプルに従った行動をちゃんとしてくれるのでしょうね、これを確認したいといつも思っているんですね。「法令違反ではないからいいじゃないか」というのが今の基本的な文化でして、その文化のままプリンシプル・ベースというわけにはいくわけがない。
=========================
あるいは、wha_man3さんがやはり新著で指摘されたイスラム金融は、イスラム(中東)の資金需要とは別に、こういうプリンシプル・ベースの枠外での”抜け穴”として機能するかもしれない。。。
それと、もうひとつ言えるのは、情報開示の均一性が薄れて、投資家の資質がより問われることになるんじゃないかと。日本の決算短信はとても画一性が高いけれど、米国の10-K/Qはバラエティに富んでいる。特に細部はバラバラ。開示資料だけじゃなく、様々な情報の中で、注目すべきツボを抑える力量が問われることになると思う。
などなど、思いつくままに。よくわかってないんですよねー、きっと。
全く根拠がないことなんですが、プリンシプル・ベースの金融監督・規制を導入しようとする背景には、動態的経済学の考察なども反映されているんじゃにゃいかなぁ、と思うのですよ。いや、全く詳しいことは分かりませんがwww
だから、理論的背景などを抑えないと、肝心のところは見えないんだと思う。
ご意見、あるいは参考になるペーパーなどを教えていただくと、とてもありがたいです。
最近の金融行政の流れもよく知らないので、たぶん的外れなんでしょうが、思うところをダラダラと。
[金融サービス業におけるプリンシプル]
日本の金融庁だけでなく、米財務省の金融監督の青写真、さらには[ジョイント・フォーラムによる報告書]など、至る所で金融監督のあるべき姿が模索されているようです。
この「プリンシプル・ベース」という考え方は今の金融監督の流れを理解する上でのキーワードの1つですよね、たぶん。日本の金融庁が模索する方向性は、正しくは「ルールベースの監督とプリンシプルベースの監督の最適な組合せ」である「ベター・レギュレーション」なのでしょうが、変化の方向は「プリンシプル・ベース」。米財務省の青写真もこの方向を向いているのだと思う。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
なんでプリンシプル・ベースに向かってるの?ということですが、In Progressさんの記事[プリンシプル・ベースの金融規制]から大幅に引用させていただくと、、、
=============引用===============
ルール(法律や規則)はYesまたはNoという形で、明確な回答を用意する傾向にあるが、これが市場の効率性を妨げる場合がある。ルールは、物事にたいして一律的なアプローチをとる傾向があり、また、ルールの制定はスピードに欠ける傾向にある。
ルールの制定というアプローチを取ると、実験的な対応が難しいが、プリンシプル・ベースの規制ではそれが可能となる。
ルールは、一度制定されると、その後の変更にも時間がかかるため、誤ったルールが制定されてしまった場合の悪影響も甚大となる。
ルール・ベースのアプローチでは、特定のルールの作成者の判断に依拠することになるが、プリンシプル・ベースの場合、マーケットによる規律に期待するので、多数のマーケット参加者の意思が反映される結果、正しい判断がなされる可能性が高まる。
国際的な金融規制という観点でも、複数の国でルールを統一させること(いわゆるコンバージェンス)は困難であるが、プリンシプル・ベースのアプローチの場合、コンバージェンスが容易である。通常、プリンシプルのレベルで各国の意見が大きく違うということは少ない。
===========引用おわり============
チョーいい加減にまとめると、「原則(プリンシプル)を定めることで柔軟性が増し、市場の変化に迅速に対応できる。また、金融のグローバル化に対応した普遍性も期待できる(というよりもルール・ベースでは対応できない)」、ということかと。
実際には原則を定めただけじゃなくて、詳細なマニュアルを設けたりするらしいので、ルール・ベースとの違いは大きくはないのかもしれません。金融機関・ホールセール市場の監督と、リテール市場の監督、という監督段階によっても変わってくるようですし。
それでね、このプリンシプル・ベースで行くと、いろいろと行きすぎが生じる恐れがありそうで。。。
たとえば、当局が原則を定めたあとは、その原則を踏まえた上で事業者や業界の主体的な自主規制が期待されていて、原則に反した行為には事後的な制裁(エンフォースメント)が科せられる。
でも、そんなに事業者の行為に期待するのってキケーンじゃないっすか?特に金融業界は人の入れ替わりが激しいから、逃げ切れば勝ち、なんて考える人も、、、
また、様々な形での透明性が求められる。監督当局の考える原則やマニュアルについての透明性が必要なのはもちろんだけど、事業者のディスクロージャーや、さらには顧客に対する情報開示にも透明性が必要となるでしょう。サブプライム問題の根源に銀行と消費者との間の情報の非対称性があったことは、wha_man3さんが新著で指摘されている通りです。問題が表面化するまで騙されていることを知らない消費者が少なくなかったかもしれない。
プリンシプル・ベースを積極的に導入してきた(らしい)英国、そして一部に導入している(らしい)米国で住宅バブルが発生したことは、何らかの因果関係があるんじゃないかな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
それでも、世の趨勢はプリンシプル・ベースに流れているらしい。
プリンシプル・ベースの監督制度が本質的にはある程度の”失敗”が起きることを想定したものだとすると、、、
たとえばwha_man3さんがFEDのコーン副議長の発言を紹介されている。これは証券会社のレバレッジを抑える=バッファーを積み増すことの必要性を述べている。その背景にはBSC破綻があるのだろうけれど、同時にプリンシプル・ベースへの監督の流れを意識したものかもしれない。
世界の(金融先進国の)監督制度がプリンシプル・ベースに向かう中で、金融のレバレッジは抑えられる方向に向かうのかもしれない。言ってみれば、マネーの膨らみを適度に抑えておいて、そのなかでより多様な金融アクセス(金融資産の効率的配分)を目指すという方向性じゃないかな。
だとすると、いろんなところに金融の”ゆがみ”が生じる制度だと思うんですよ。
うまく考えがまとまらないんですがw、
たとえば日本にはその”ゆがみ”が生じ易いんじゃないかと思う。
金融庁の[第11回 政策評価に関する有識者会議(2007/6/13)]で五味長官が以下のように述べているように、日本の金融界にプリンシプル・ベースという企業文化があるかは疑問だ。
=========p25から==========
業者の方がプリンシプル・ベースとおっしゃること自体に私は問題があるとは思わないですが、プリンシプル・ベースで監督せよとおっしゃるなら、自分がプリンシプルに従った行動をちゃんとしてくれるのでしょうね、これを確認したいといつも思っているんですね。「法令違反ではないからいいじゃないか」というのが今の基本的な文化でして、その文化のままプリンシプル・ベースというわけにはいくわけがない。
=========================
あるいは、wha_man3さんがやはり新著で指摘されたイスラム金融は、イスラム(中東)の資金需要とは別に、こういうプリンシプル・ベースの枠外での”抜け穴”として機能するかもしれない。。。
それと、もうひとつ言えるのは、情報開示の均一性が薄れて、投資家の資質がより問われることになるんじゃないかと。日本の決算短信はとても画一性が高いけれど、米国の10-K/Qはバラエティに富んでいる。特に細部はバラバラ。開示資料だけじゃなく、様々な情報の中で、注目すべきツボを抑える力量が問われることになると思う。
などなど、思いつくままに。よくわかってないんですよねー、きっと。
全く根拠がないことなんですが、プリンシプル・ベースの金融監督・規制を導入しようとする背景には、動態的経済学の考察なども反映されているんじゃにゃいかなぁ、と思うのですよ。いや、全く詳しいことは分かりませんがwww
だから、理論的背景などを抑えないと、肝心のところは見えないんだと思う。
ご意見、あるいは参考になるペーパーなどを教えていただくと、とてもありがたいです。
2008/04/28のBlog
[ 21:16 ]
[ 日本の経済・相場 ]
みなさん、こんにちは。長らく書かなくてすみません。特にネタはないのですが、、、
いまさらですが日本株を買いまくりました。信用も使って。かなりビビってますw
大型、内需、高ROE、低PB、すなわち金融、不動産、あとレジャー。外人保有比率が高い(高かった)銘柄。
月末の展望レポートで「金融政策の変更あり」などと報道されると、我慢できなくなりました。
”変更”といっても、いきなりの金融緩和ではなく、足もとの景気減速を認めて現状維持を述べるだけでしょうが、金利正常化などの文言は消えるでしょう。当然と言えば当然なんですが、金利市場だけでなく、株式市場も未だに一定のペースでの正常化路線を見込んでいると思うので、実際に文言が変更されるとそれなりのプラス効果はあるんじゃなかろうかと。月曜だけの一日の夢で終わるかもしれませんがw
ちょっと長く見て、仮に”正常化路線”に回帰するとして、一体なにがきっかけになるのか?
海外金融市場の動揺は当面、少なくとも年内は続く。
物価は、、、未だにコアコアCPIはゼロ水準で、これにはエネルギー価格の転嫁が含まれているはずなので、基本はデフレ。
賃金も低空飛行。
ふつーに考えると、年内、もしかしたら来年も現状維持か、となる。まー、そういうシナリオは表面上は織り込み済みなのかもしれませんが、前総裁以来の市場の不信感は根強いと思うので、実際に展望レポートを目にしたときの安心感、あるいは金融政策に対するシナリオの変化は結構大きいんじゃないかと期待しているんです。
それと踏み上げ太郎さんが言うような、FF利下げなしor25bp下げで爆上げ、も期待してます。
J-Reitは住宅系は一部売却(無知でした・・・)、商業系は保持。
日柄から言うと軽く調整があってもおかしくなさそうなんですが、、、
例によって外したら、笑ってください。
いまさらですが日本株を買いまくりました。信用も使って。かなりビビってますw
大型、内需、高ROE、低PB、すなわち金融、不動産、あとレジャー。外人保有比率が高い(高かった)銘柄。
月末の展望レポートで「金融政策の変更あり」などと報道されると、我慢できなくなりました。
”変更”といっても、いきなりの金融緩和ではなく、足もとの景気減速を認めて現状維持を述べるだけでしょうが、金利正常化などの文言は消えるでしょう。当然と言えば当然なんですが、金利市場だけでなく、株式市場も未だに一定のペースでの正常化路線を見込んでいると思うので、実際に文言が変更されるとそれなりのプラス効果はあるんじゃなかろうかと。月曜だけの一日の夢で終わるかもしれませんがw
ちょっと長く見て、仮に”正常化路線”に回帰するとして、一体なにがきっかけになるのか?
海外金融市場の動揺は当面、少なくとも年内は続く。
物価は、、、未だにコアコアCPIはゼロ水準で、これにはエネルギー価格の転嫁が含まれているはずなので、基本はデフレ。
賃金も低空飛行。
ふつーに考えると、年内、もしかしたら来年も現状維持か、となる。まー、そういうシナリオは表面上は織り込み済みなのかもしれませんが、前総裁以来の市場の不信感は根強いと思うので、実際に展望レポートを目にしたときの安心感、あるいは金融政策に対するシナリオの変化は結構大きいんじゃないかと期待しているんです。
それと踏み上げ太郎さんが言うような、FF利下げなしor25bp下げで爆上げ、も期待してます。
J-Reitは住宅系は一部売却(無知でした・・・)、商業系は保持。
日柄から言うと軽く調整があってもおかしくなさそうなんですが、、、
例によって外したら、笑ってください。
2008/04/17のBlog
[ 18:58 ]
[ 日本の経済・相場 ]
新総裁は武藤さんではありませんでしたが、[以前書いた記事]で、「武藤総裁がまともなら、(日銀レビュー・シリーズなどの)レポート類の分析を進めさせるんじゃないかと思う。それが日銀の決定会合内での議論を変えていく可能性がある。」と書きました。
それでね、出てきたんですよw ”まとも”な分析が。
いや、日銀の分析に”まとも”なんて書くのも失礼なんですが、これまでの分析は実体経済への言及を極力避けてましたからねー。特に賃金分析。
福井のせいだとは言いませんがwww 言ってるか、あはははは。
[景気循環要因を取り除いた生産性の計測
―2000年以降の上昇とその背景、分配面への影響―]
言ってることはね、「日本の技術進歩率(≒全要素生産性)は2000年以降、緩やかながら加速している。その果実は、価格下落という形で内外の購買者に分配されており、必ずしも自産業の収益や賃金の増加につながっていない」ということです。
それでね、出てきたんですよw ”まとも”な分析が。
いや、日銀の分析に”まとも”なんて書くのも失礼なんですが、これまでの分析は実体経済への言及を極力避けてましたからねー。特に賃金分析。
福井のせいだとは言いませんがwww 言ってるか、あはははは。
[景気循環要因を取り除いた生産性の計測
―2000年以降の上昇とその背景、分配面への影響―]
言ってることはね、「日本の技術進歩率(≒全要素生産性)は2000年以降、緩やかながら加速している。その果実は、価格下落という形で内外の購買者に分配されており、必ずしも自産業の収益や賃金の増加につながっていない」ということです。
右図は全ての民間部門の技術進歩(生産性向上)の分配です。
この分析は景気変動の影響を除いているので、雇用者数や売上数量といった数量ベースの影響は除外されている。
これは驚きですよ。生産性向上が賃金に向かわないどころか、企業収益にもプラスに働いていない。生産性向上のすべてが価格引き下げに使われている。労多くて実り少なし。いや、須田に言わせれば「デフレだからいいじゃない!」かなw
日本のデフレ下での実質成長がいかに歪んでいるかがわかるでしょう。
この分析はね、覚めてみれば、日本経済のデフレ構造を違った視点で眺めただけなんです。
[GDPの3面等価]というのがあります。1国の生産活動は誰かの所得になり、それが支出されることで生産物を消費する。GDPという生産活動は、生産、所得、支出から計測され、その3つは(定義上)一致するのです(誤差は在庫変動となる)。
通常のGDPは生産面ないしは支出面から計測されます。
最近のGDP成長率は、だいたいこんな感じです。
名目 +0.5% - GDPデフレーター▲1.5% = 実質 +2.0%
就業者の伸び率は+0.5%程度ですから、就業者(ないしは投下資本)1単位当たりの伸びは、ちょーおおまかに、
名目 0.0% - GDPデフレーター▲1.5% = 実質 +1.5%
この式の実質 +1.5%というのが、このレポートでいうところの技術進歩率に近似します。すごくおおまかに言って。
生産面から見たものと、このレポートの言っていることは同じでしょ。技術進歩(≒生産性)の果実はほぼすべてが価格下落(デフレーターの下落)に向かっていて、1人当たり・資本1単位当たりの名目ベースの果実はゼロ。生産面からも、所得面からも。
だから、この分析は日本のデフレの構造をGDPの所得分配面から確認したにすぎないのです。
でもね、日銀様にとっちゃ大きな変化ですよw
だって、「賃金が伸びていなくとも雇用が増加することで雇用者報酬は着実に増加している」というのが彼らの主張だったのだから。この主張に比べれば、数量要因を除いて1人当たり・資本1単位当たりの分析をするということは、大きな進歩です。このレポートはデフレとの関連には全く触れていないけれど、日本のデフレ構造(=生産性を大きく下回る賃金上昇率)に焦点を当てているに等しい。
さらに言えば「日銀レビュー」は、「本シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。」と日銀が言うとおり、対外説明に主眼を置いたレポートなのです。その意味で、学術的側面が重視される「ワーキングペーパー」でなく、「日銀レビュー」にこのような分析が出てきた意味は大きいと思います。
願わくば、同様の分析を欧米などについて行ってくれれば、日本のいびつさが際立つんだけど。
いやー、福井がいなくなるだけで、日銀の技術進歩率は格段に上昇するなぁwww
今月末の展望レポートが楽しみになりましたよ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ただまあ、このレポートがどういう”日銀的”結論になるのかはまだわかりませんよ。
ふつーなら、、、
①日本は生産性上昇率の加速という”生産性ショック”が発生している可能性がある
②ゆえに、たとえ需給がタイトになっても、物価上昇率が高まりにくいのかもしれない
③生産性上昇率が賃金上昇に向かわず、価格下落にのみ使われている構造はいびつである
→低金利(積極的な金融緩和)によりインフレ期待を高め、賃金上昇率を引き上げることこそがバランスを保った持続的な経済成長には不可欠である
という結論になると思うんですが、白川日銀の解釈では、、、
①”生産性ショック”は過度の期待を生みやすい
②ゆえに、低金利を続けると資産価格の行き過ぎた上昇を生みやすい
③賃金上昇率が高まらないのは、国際競争の激化によるものである
→低金利を続けることは資産価格上昇を生みやすく、危険である。緩やかな政策金利の”正常化”が必要である
となるかもしれない。その場合には、インフレ期待がなかなか高まらず、デフレが長期化するだろう。
このレポートはデフレとの関連には直接には言及していないし、他にも組織的なタブーが多いことを感じさせる(たとえば、図の技術進歩の分配は産業全体に関するものであるにもかかわらず、要旨やまとめでは、「電気機械」の話に限定している)。日銀組織の中にデフレや賃金の低迷を直視したがらない(=デフレの責任を認めたがらない)輩が少なくないだろうことを、僕は感じる。それが企画局なのか、あるいはDQNな政策委員なのかはわからないけれど。
ともあれ、”まとも”な議論の土台になりうる分析が出てきたことはいいことです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
はぁ、、、福井の弊害はほんとに大きかったと思いますよ。
福井がどれだけ関与しているかはわからないけれど、[デフレ下の賃金変動]という素晴らしい分析をした方々を大学准教授に出している。慶応と一橋だからご本人たちは満足しているかもしれないけど、金融研究所から大学転出って日銀の人事異動ではふつーなのかなぁ。。。彼らの賃金分析を日銀本体で発揮してほしいんだけどな。。。
自分でまともな分析をできないのはともかく、組織の能力を押さえつけ、適切な分析をさせないというのは最低だ。もちろん、僕の思い込みかもしれませんがね。
こういう奴が大所高所の物言いをするのは、、、まぁ、軽く笑っておくしかありませんかね。
この分析は景気変動の影響を除いているので、雇用者数や売上数量といった数量ベースの影響は除外されている。
これは驚きですよ。生産性向上が賃金に向かわないどころか、企業収益にもプラスに働いていない。生産性向上のすべてが価格引き下げに使われている。労多くて実り少なし。いや、須田に言わせれば「デフレだからいいじゃない!」かなw
日本のデフレ下での実質成長がいかに歪んでいるかがわかるでしょう。
この分析はね、覚めてみれば、日本経済のデフレ構造を違った視点で眺めただけなんです。
[GDPの3面等価]というのがあります。1国の生産活動は誰かの所得になり、それが支出されることで生産物を消費する。GDPという生産活動は、生産、所得、支出から計測され、その3つは(定義上)一致するのです(誤差は在庫変動となる)。
通常のGDPは生産面ないしは支出面から計測されます。
最近のGDP成長率は、だいたいこんな感じです。
名目 +0.5% - GDPデフレーター▲1.5% = 実質 +2.0%
就業者の伸び率は+0.5%程度ですから、就業者(ないしは投下資本)1単位当たりの伸びは、ちょーおおまかに、
名目 0.0% - GDPデフレーター▲1.5% = 実質 +1.5%
この式の実質 +1.5%というのが、このレポートでいうところの技術進歩率に近似します。すごくおおまかに言って。
生産面から見たものと、このレポートの言っていることは同じでしょ。技術進歩(≒生産性)の果実はほぼすべてが価格下落(デフレーターの下落)に向かっていて、1人当たり・資本1単位当たりの名目ベースの果実はゼロ。生産面からも、所得面からも。
だから、この分析は日本のデフレの構造をGDPの所得分配面から確認したにすぎないのです。
でもね、日銀様にとっちゃ大きな変化ですよw
だって、「賃金が伸びていなくとも雇用が増加することで雇用者報酬は着実に増加している」というのが彼らの主張だったのだから。この主張に比べれば、数量要因を除いて1人当たり・資本1単位当たりの分析をするということは、大きな進歩です。このレポートはデフレとの関連には全く触れていないけれど、日本のデフレ構造(=生産性を大きく下回る賃金上昇率)に焦点を当てているに等しい。
さらに言えば「日銀レビュー」は、「本シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。」と日銀が言うとおり、対外説明に主眼を置いたレポートなのです。その意味で、学術的側面が重視される「ワーキングペーパー」でなく、「日銀レビュー」にこのような分析が出てきた意味は大きいと思います。
願わくば、同様の分析を欧米などについて行ってくれれば、日本のいびつさが際立つんだけど。
いやー、福井がいなくなるだけで、日銀の技術進歩率は格段に上昇するなぁwww
今月末の展望レポートが楽しみになりましたよ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ただまあ、このレポートがどういう”日銀的”結論になるのかはまだわかりませんよ。
ふつーなら、、、
①日本は生産性上昇率の加速という”生産性ショック”が発生している可能性がある
②ゆえに、たとえ需給がタイトになっても、物価上昇率が高まりにくいのかもしれない
③生産性上昇率が賃金上昇に向かわず、価格下落にのみ使われている構造はいびつである
→低金利(積極的な金融緩和)によりインフレ期待を高め、賃金上昇率を引き上げることこそがバランスを保った持続的な経済成長には不可欠である
という結論になると思うんですが、白川日銀の解釈では、、、
①”生産性ショック”は過度の期待を生みやすい
②ゆえに、低金利を続けると資産価格の行き過ぎた上昇を生みやすい
③賃金上昇率が高まらないのは、国際競争の激化によるものである
→低金利を続けることは資産価格上昇を生みやすく、危険である。緩やかな政策金利の”正常化”が必要である
となるかもしれない。その場合には、インフレ期待がなかなか高まらず、デフレが長期化するだろう。
このレポートはデフレとの関連には直接には言及していないし、他にも組織的なタブーが多いことを感じさせる(たとえば、図の技術進歩の分配は産業全体に関するものであるにもかかわらず、要旨やまとめでは、「電気機械」の話に限定している)。日銀組織の中にデフレや賃金の低迷を直視したがらない(=デフレの責任を認めたがらない)輩が少なくないだろうことを、僕は感じる。それが企画局なのか、あるいはDQNな政策委員なのかはわからないけれど。
ともあれ、”まとも”な議論の土台になりうる分析が出てきたことはいいことです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
はぁ、、、福井の弊害はほんとに大きかったと思いますよ。
福井がどれだけ関与しているかはわからないけれど、[デフレ下の賃金変動]という素晴らしい分析をした方々を大学准教授に出している。慶応と一橋だからご本人たちは満足しているかもしれないけど、金融研究所から大学転出って日銀の人事異動ではふつーなのかなぁ。。。彼らの賃金分析を日銀本体で発揮してほしいんだけどな。。。
自分でまともな分析をできないのはともかく、組織の能力を押さえつけ、適切な分析をさせないというのは最低だ。もちろん、僕の思い込みかもしれませんがね。
こういう奴が大所高所の物言いをするのは、、、まぁ、軽く笑っておくしかありませんかね。
2008/04/16のBlog
[ 06:21 ]
[ 欧米 ]
IMFのFinancial Stability Reportの96兆円という損失予想の中身を見て、特に、CMBS(商業モーゲージ担保証券)での損失の大きさが僕の認識以上でした。やっぱりわかってなかったようですね。
少なくとも、「金融システム危機は過ぎ去った」というのは言いすぎだったかもしれません。
このレポートについては、
[ちゃりメモさん]が貴重な情報を与えてくださってますね。
ただ、、、気になったことの1つは、証券化商品の損失額を計測するのにCMBXなどのインデックスを使っている点です。CMBXは[Markitのヒストリカル・グラフ]を見る限りは落ち着いてきているので、いまIMFが試算をやり直せば、予想損失値は10兆円くらいは減るかもしれませんね。わかりませんがw
少なくとも、「金融システム危機は過ぎ去った」というのは言いすぎだったかもしれません。
このレポートについては、
[ちゃりメモさん]が貴重な情報を与えてくださってますね。
ただ、、、気になったことの1つは、証券化商品の損失額を計測するのにCMBXなどのインデックスを使っている点です。CMBXは[Markitのヒストリカル・グラフ]を見る限りは落ち着いてきているので、いまIMFが試算をやり直せば、予想損失値は10兆円くらいは減るかもしれませんね。わかりませんがw
あと、Financial Stability Reportに載っていたHaircut(担保掛け目)ですが、ABSCDOは当然だとしても、米国債の3%てのは来てますね。投資適格社債やハイイールド債も「カネ貸しません」と言ってるレベルだと思う。
この行きすぎは徐々に改善されてくると思うんだけど、、、甘いかな?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
WBやWaMuが予想以上?の損失を計上したらしい。
まだ10-Qがファイリングされてないので詳細はわかりませんが、[サブプラの現況③]に書いたとおり、カリフォルニアのエクスポージャーが大きいところがサブプラ関連の損失を計上してくるのは、市場の想定内じゃないかな。
あとは、、、JPM、BAC、WFCあたりが注目でしょうか。
僕の未熟な理解では、米銀は先行きを見込んで損失(引当)を計上することは少なくて、債務不履行が確定した分についての損失を計上していくんだろうと考えています。
CA(西海岸)とFLでの金利リセットの本番は今年、しかも年後半のほうが金利リセットは多い。だから、この1Qに損失(引当)を計上した銀行(今のところはWBとWM)は、今年を通じて損失を計上すると考えておいたほうがいい。この2行については増資(予定)の金額は年内に使い切ってしまうという感じじゃないかと思う。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
これから出てくる銀行決算の焦点の1つは、証券化商品、特にCMBSに絡んだ損失をどの程度計上してくるのか、ということかな。勘定区分にもよるでしょうが、時価評価にともなう損失計上がある程度は出てくるでしょう。
CMBXから見るとAAA格で12月末比+100bp程度、デュレーション8年として、8%程度の損失計上、かなぁ。。。
ただ、ローンポートフォリオは依然としてサブプラ関連の損失計上がメインだと思う。僕が考えるように、米銀の損失認識が債務不履行の実現に応じて計上されるのならば、商業不動産や住宅事業者などに関する損失計上は”まだ”多くは出てこないだろう。
商業不動産などに関しては、損失が計上されるとしても年後半以降。その意味で、不動産関連の決算や経済データのほうが重要なんだろうなぁ。。。ここが悪化すると、先行きの銀行資本を圧迫する可能性が高まるだろうから。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
までも、今週にある程度買いますよ。
銀行の資本が再び悪化、ないしは懸念が強まることになるとしても、年後半以降なんじゃないかと思うんですよね。利下げ、金利リセット、銀行の会計姿勢、政府の対策などなどは、”問題の先延ばし”かもしれないけど、”時間を買う”行為でもあると思うので。
銀行どころか、アナリストの経験もない素人の思い付きですので、為念。
この行きすぎは徐々に改善されてくると思うんだけど、、、甘いかな?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
WBやWaMuが予想以上?の損失を計上したらしい。
まだ10-Qがファイリングされてないので詳細はわかりませんが、[サブプラの現況③]に書いたとおり、カリフォルニアのエクスポージャーが大きいところがサブプラ関連の損失を計上してくるのは、市場の想定内じゃないかな。
あとは、、、JPM、BAC、WFCあたりが注目でしょうか。
僕の未熟な理解では、米銀は先行きを見込んで損失(引当)を計上することは少なくて、債務不履行が確定した分についての損失を計上していくんだろうと考えています。
CA(西海岸)とFLでの金利リセットの本番は今年、しかも年後半のほうが金利リセットは多い。だから、この1Qに損失(引当)を計上した銀行(今のところはWBとWM)は、今年を通じて損失を計上すると考えておいたほうがいい。この2行については増資(予定)の金額は年内に使い切ってしまうという感じじゃないかと思う。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
これから出てくる銀行決算の焦点の1つは、証券化商品、特にCMBSに絡んだ損失をどの程度計上してくるのか、ということかな。勘定区分にもよるでしょうが、時価評価にともなう損失計上がある程度は出てくるでしょう。
CMBXから見るとAAA格で12月末比+100bp程度、デュレーション8年として、8%程度の損失計上、かなぁ。。。
ただ、ローンポートフォリオは依然としてサブプラ関連の損失計上がメインだと思う。僕が考えるように、米銀の損失認識が債務不履行の実現に応じて計上されるのならば、商業不動産や住宅事業者などに関する損失計上は”まだ”多くは出てこないだろう。
商業不動産などに関しては、損失が計上されるとしても年後半以降。その意味で、不動産関連の決算や経済データのほうが重要なんだろうなぁ。。。ここが悪化すると、先行きの銀行資本を圧迫する可能性が高まるだろうから。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
までも、今週にある程度買いますよ。
銀行の資本が再び悪化、ないしは懸念が強まることになるとしても、年後半以降なんじゃないかと思うんですよね。利下げ、金利リセット、銀行の会計姿勢、政府の対策などなどは、”問題の先延ばし”かもしれないけど、”時間を買う”行為でもあると思うので。
銀行どころか、アナリストの経験もない素人の思い付きですので、為念。