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グラの相場見通し
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2006/09/14のBlog
[以前の記事 Paulson to rescue]
ポールソンは先週APECに出席し、今週はシンガポールでG7、その足で中国に向いますが、本日(13日)の財務省でのスピーチについて、前触れ記事がWSJに出ていました。彼が経済・通商問題に関わる主権者であり政権の最大の経済的なテーマは中国であることが如実に示されています。
[米財務省 ポールソンのスピーチ]

今後の米国の経済政策、対中政策の方向性を指し示す重要なスピーチだと思います。

記事の内容(スピーチの内容)は、
米中関係は、世代を超えた真に長期的な関係であり、対中政策には、長期的・戦略的なアプローチが必要である。経済面での対中強硬策は得策ではない。
人民元問題は対中経済問題の1つに過ぎない。対外投資規制の緩和、外資金融機関への規制の緩和、中国経済の輸出依存からの脱却など、より広範なテーマがある。
-中国に対しては、過度に硬直的な通貨制度と裁量的な行政政策に依存することはブーム&バストのリスクを高めるだけであると警告し、また、人民元問題が中国の不公正の象徴と一部で見なされつつあると伝える。

他に、SOX法が過剰規制となっており修正を検討中であること、グローバリゼーションの恩恵を受けていない人々への対策が必要であること、なども触れていますが、今回のスピーチのテーマは、長期的な米中関係の重要性です。公式なタイトルはInternational Economyとなっていますが、中国との経済関係こそが米国の将来を左右すると宣言するのです

また、スピーチとは関係ありませんがWSJの記事では、彼の政権内での地位は既に揺るぎなく、ブッシュや政府高官への影響力を持つ(He has the ear of President Bush and top White House officials)と書いており、ハバートNEC議長、ライス国務長官の名をあげています。また、今日のスピーチを作成するために議会の両党の中国専門家からも数週間に渡るアドバイスを受けたと、議会に対する配慮も十分です。対中強硬派のシューマー、グラムの両上院議員にも「短期的な成果を期待すべきではない」と話したと。

恐るべき掌握力、まさにHeavyweight、大物ですね。怖いおっさんだわ。。。


それで、長期的には米中の経済的関係の深化、グローバリゼーションの進展は、それに対応しつつある国や企業の株式、特にBRICsの株式にとって長期的にプラスだと思いますが、それとは別に、人民元の切り上げ(変動幅の拡大)が近いんじゃないかと
ポールソンは中国の友人として、議会内の対中強硬派を押さえ込んだわけです。その友人に報いる必要を中国は感じるでしょうし、今回のアプローチに応えなければならない。人民元は米中関係の1つのテーマに過ぎないけれど、象徴的存在になっている以上、それを避けるわけにはいかないでしょう。
まあ、今回のアプローチに対して中国の基本方針を胡錦濤訓話みたいな形で表して、それから人民元切り上げ(変動幅拡大)となると考えると、半年以内ですかねぇ。。。
2006/09/12のBlog
[ 18:32 ] [ 日本の経済・相場 ]
[福井総裁会見 9/8]
「本来の」福井総裁が帰ってきましたw。言語不明瞭、タカ派バイアス、強めの経済指標のみを重視する姿勢、、、前回の会見は村上ファンド問題もあって慎重に想定問答を練っていたのでしょう。

僕はうーん、と呻ってしまいました。この人は、強い経済指標やマーケットの動きにしか反応しないのだろうか。
ドラめもんさんが今週お休みなのが残念ですw。

以下、会見の発言を引用し、逐次コメントする形で記事を書きます(長いです)。
私の感想は次の通りです。
福井総裁は年内利上げをしたいのだ
「ゆっくりと」というのは3-5ヶ月毎ということかもしれない(ECBとの比較で)。
-しかし、足下の経済情勢(低すぎるCPI、賃金の低い伸び、マネーの低い伸び、設備投資の急落、米国経済の減速など)を考慮すると追加利上げはするべきではないし、徐々に困難になりつつある。
-それでも、「隙あらば」利上げしたい福井総裁は、国内株式市場の大きなリスク・ファクターである。
-10月発表の展望レポートまでは景況感の変更はない。展望レポートがどの程度ダウンサイド・リスクを織り込むかが重要だと思うが、4月と大きな変更がない場合には、短期金利が再上昇し(ただし長期金利は低下か)、株価が一段と下押しされると見る。

これまでの私の利上げ見通し(四半期に+0.25%づつ、08年末までに2.0%まで)というのはやや早すぎるテンポだったかもしれません。ですが、私の受けた会見議事録の印象では福井総裁は依然として利上げしたがりで、年内利上げを探っていると見ました。商品市場とは別のリスク・ファクターがここに存在します


===会見内容(引用・コメントともに無駄に長いです。ご容赦ください)====

-CPIの基準改定の評価、量的緩和・ゼロ金利の解除の是非について
『私どもが物価指数を考える際には、いつもその背後にある物価を巡る環境を点検しながら判断をしているわけですが、今の時点では、景気が緩やかな拡大を続ける中で、マクロ的な需給ギャップは需要超過状態で推移しています。こうしたもとで、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)は、新基準でみても、本年入り後持ち直して、このところプラス基調で推移しており、先行きもプラス基調で推移していくと考えられます。
このように、今回の基準改定は、物価を巡る基本的な判断に変更を迫るものではないと考えています。また、先程述べたとおり、日本経済全体の動向をみても、展望レポートに概ね沿って推移しています。従って、量的緩和政策やゼロ金利政策の解除の判断は、今の時点から振り返ってみても適切なものだったと考えています。(略)
私どもとしては先行きの金融政策の運営についての基本的な考え方は、これまでと変わっていません。すなわち、金利水準の調整は、経済・物価情勢をよく見極めながら、ゆっくりと進めていくという姿勢に些かの変化もないということです。』

→常に上方バイアスの存在するCPIが前年比+0.2%だからといって、統計上有意にゼロではないと言えないと思うんですよね。「このところプラス基調」というのには強い違和感を感じます。ここまで強弁しなくても、「CPIの改訂幅はやや想定を上回っていた」とでも正直に認めれば市場も安心するでしょうに。自己正当化です。
利上げ姿勢も変わらないと明言しています


-長期金利が足下低下していることについて
『・・・従って、今の市場の動き、例えば長期金利をみると、一旦、1.6%まで落ちたものが今日では1.7%台まで戻っておりますが、こういう動きこそが非常に大事です。この先、さらに情勢判断の擦り合わせが行われていけば、市場金利はもっと成熟していくでしょうし、私どもの先行きの情勢判断もより確信の持てるものになっていくだろうと考えています。』

→なぜ、長期金利が2%から1.7%に低下したことが重要ではなく、一時的なボトムである1.6%から小幅上昇したことが重要なのか、さっぱりわかりません。彼は金利が上昇することのみを評価するのだと考えれば、わかりますがね。
「市場金利はもっと成熟する」というのは、経済の強さを織り込んで市場金利が上昇するということでしょうし、「私どもの先行きの情勢判断」というのは、金利引き上げができるだけ経済は強いという判断のことであり、そういう見方に「確信が持てる」ようになる、と言っているのでしょう。


-金融市場の環境について、実質金利の水準について
『金融緩和の度合いについては、現在の経済の成長速度、先行きの予測、それから今の物価の極めて着実な上昇基調を前提に考えると、今の金利水準は十分低く、緩和を十分保証するだけの低い水準にあると思います。企業金融をみても、銀行貸し出しがかなり着実に伸びるようになってきていますし、資本市場調達の面で見ましても、企業の資金調達環境は非常に緩和的な状況が続いており、十分緩和的な金融環境を提供し続けることができていると判断しています。』

→8月の銀行貸し出しは前年比+1.8%で、特殊要因調整後では+2.7%と確かにプラスです。ただし、貸し出しの内訳は不動産業に偏っていて、全般的な資金需要の高まりとは言い難い。「かなり着実に伸びている」という表現には違和感を感じます。デフレ脱却の重要な物差しの1つは銀行貸出・資金需要の回復度合いだと考えますので、もう少し慎重な表現が適切だと思います。マネーサプライが+0.5%と低いことにも一切触れないし。
あと、「緩和を十分保証するだけの低い水準にある」というのは、中立的な金利水準に引き上げるまでは、金利水準は緩和的である、という当たり前のことを言っているにすぎませんので、為念。


-賃金の伸びの低さ、消費の力強さに欠ける動き、一方での労働市場の需給のタイト化について
『企業部門の好調さの家計部門への波及は非常に緩やかですが、着実に進んでいると思っています。雇用者所得は緩やかですが、着実に増加していることに尽きるわけです。(略)従って、雇用の増え方と賃金の上がり方との間の相関は、過去の歴史に比べると賃金引き上げが弱めに出ていると思います。もっとも、おそらくは緩やかであっても着実な景気の拡大が今後とも続けば、賃金の面でもやはり上昇速度は少しずつ増していくと考えるのが自然ではないか、と思っています。』

→私は現在の景気を判断するには、この点がもっとも重要だと思います。現在の景気のステージは、外需・設備投資主導から内需・消費主導に移っていくかどうかの分かれ目だと思います(この点、日銀も認めています)。であれば、賃金が着実に上昇していることを確認し、それが消費に波及していくまで待つべきではないかと思います。将来賃金が上昇するだろう、だから早めに金利を上げておこう、というのはまさしく予断であって、賃金が上昇しない限りインフレ圧力が高まることはないと思います。ましてやCPIがゼロである状況でインフレ圧力を懸念するというのはおかしい。賃金上昇率が高まるまで、金利は上げるべきではないと考えます。しかし、彼は金利を上げたいのです。


-ユーロ円について
『円とユーロとの関係についても、先程も申し上げましたとおり、日本銀行は金利水準の調整をゆっくりと行っていくということですので、ECBに比べると、金利引き上げのペースがやや緩慢という認識が市場の中にあり、それが為替相場の動きに反映されやすい状況になっているということではないかと思います。』

→ECBの現在の利上げのペースは2-3ヶ月おきですね。それよりも「ゆっくりと」日銀は利上げするだろうと市場は見ている、ということに触れている。guessではありますが、日銀がECBよりもゆっくりと利上げするとの見方に特に違和感を示していないことから、3-5ヶ月程度のペースでの利上げが彼の頭の中にあるんじゃないかと。。。

あと、ユーロ円の動きに関して「ユーロも円も実効為替の動きは変わっていない」と発言しています。為替に関する記事を書いたばかりなので興味を持ちましたが、「変わっていない」というのは、ごく最近の相場に触れた発言だとしても、間違った認識ではないかと思うんですがね。
2006/09/11のBlog
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8/8の議事録で、GDPの年次改訂によって米国の潜在成長率がこれまでよりも低いかもしれない、という議論がありましたが、どの程度低いのかという数字はありませんでした。

それに関連するスピーチをバーナンキが8/31にしてますので、ご参考までに。
[Remarks by Chairman Ben S. Bernanke, Productivity]
この原稿の中程、Longer-Term Prospects for Productivity Growthという項目の第3パラグラフが唯一重要な点です。他は、、、どーでもいい(ry

ここでバーナンキは
-これまでの様々な分析では米国の長期的な生産性の伸びは+2.5%だった。
-GDPの年次改訂で生産性がこれまでよりも0.25%ほど低いかったかもしれない。
-しかし、別の分析では米国の生産性は堅実に伸びているというものもある。
-総じて見れば、米国の生産性はやはり+2.5%程度ではないか。
と言っています。

バーナンキは最終的に+2.5%と言っていますが、FOMCでは潜在成長率は低くなった可能性があると書き、実際にGDP見通しを下方修正したと書いていますので、これまでよりもGDPの改訂で長期的な生産性(あるいはGDPの潜在成長率)は0.25%程度低くなったんじゃないかと思います。だから中期的な生産性は+2.25%。
個人的なGuessですけど。

労働力人口の伸びは+1%程度(正確には+1.1%だったかな?)ですから、潜在成長率は労働力人口+生産性=+1%++2.25%=3.25%と考えておいていいんじゃないかと思います。

8/8FOMC議事録では、「今後6四半期のGDP成長率は潜在成長率を下回る」と書いていますので、おそらくは彼らが想定しているGDP成長率は+2.5-3.0%程度だろうと思われます。

GDPが+2.0%を下回れば、想定以上の落ち込みで、利下げが本格化するだろうと考えておいていいんではないかと。。。

テクニカルな話ですみませんが、一応、ご報告。
[ 00:09 ] [ 欧米 ]
[Beige book(FRBの景況報告書、9/20のFOMCの資料です)]
危うくフォローする気力が失せるところでした。根性なしですので。

目についたところは、
-エネルギー・商品価格の上昇を最終消費財に転嫁できていないと断定したこと(前回は一部に価格転嫁の動きが指摘されていた)。
→ULCの上方改訂など潜在的な賃金圧力は依然として大きいものの、実際の物価動向の落ち着きが確認されているのかもしれない。利上げは当然、ない。

-生産、雇用活動は全般的に堅調で、住宅・自動車関連を除けば底堅い。在庫も自動車以外は適正水準。
→年内にISMの50割れが見られるかどうかは微妙か。自動車の生産調整の大きさ次第。

-しかし、一部小売りの減少が指摘され、サービス業の軟化が前回よりも目立っている
→消費の一層の減速が確認され、一部サービス業にも需要減速が波及しつつある。

-住宅価格の下落モーゲージの延滞率の上昇が一部に報告されている。
→住宅価格の動向は未だ金融面に波及するほどではないが、今後とも注意を要する。


以下、概要ですが下線だけに目を通していただければ十分かと。。。

-経済活動の減速を指摘したのはボストン、NY、フィラデルフィア、カンザスシティ、ダラス。
-消費は引き続き減速し、一部では小売りの弱さ・減少も見られた(セントルイス、リッチモンド)。
-自動車在庫が積み上がっている(bloating)が、その他のセクターの在庫は適正水準である。
-サービス業はミックスだが、NYでは軟化した。運輸業はミックスで、空運の軟化(セントルイス、ダラス)、トラック輸送と出荷の軟化(クリーブランド)、ヘルスケアでの突然のレイオフ(セントルイス)が報告された。
-生産活動の軟化は自動車と住宅建設関連に限定されており、概ね先行きに楽観的。

-建設・不動産業は、住宅関連は弱いが、商業関連はほぼすべての地区で強い
-すべての地区から住宅販売の減少が、ほとんどで住宅在庫の増加が報告された。カンザスシティでは在庫増加を膨大な抵当流れ(キャンセル?) ("sizable numbers of foreclosures")によるものであるとした
-住宅価格は、NY、リッチモンド、カンザスシティで変わらずか下落し、フィラデルフィアとサンフランシスコでは上昇率の鈍化が報告された。 リッチモンド、シカゴ、カンザスシティの高価格帯の住宅は特に弱い。賃貸用アパートの建設需要は相対的に強い。
-資金需要はモーゲージ関連で特に需要の軟化が見られるが、信用の質は高い。モーゲージ資金需要は全国的に軟化しているが、特にNY、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、SFでは顕著である。一部に固定金利にシフトする動きが見られる。
-信用の質は高いが、一部に住宅用モーゲージの延滞率の上昇(NY,フィラデルフィア)、商業ローンでの延滞率の上昇(クリーブランド)が指摘された

-労働市場は堅調で、特に熟練労働者の不足と賃金上昇圧力が多くの地区から指摘された。
-エネルギー・商品価格の上昇は最終消費財に転嫁されていないようだ
2006/09/10のBlog
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以前、米ドルの実質実効為替レートに関する記事を書きました。今回はそれのアップデートで、円とユーロに拡大しました。実効為替レートについてはTBの記事とそこでのリンク先を参照してください。

右のグラフはUSD,EUR,JPYの実質実効為替レートです。日銀は1種類の実効為替レートしか発表していませんので、対象はいずれもBroadベースで、途上国も含めたものです。日本円の対象通貨は以下の通りです。

米ドル、ユーロ、新台湾ドル、韓国ウォン、中国人民元、香港ドル、シンガポールドル、英ポンド、マレーシアリンギット、タイバーツ、フィリピンペソ、オーストラリアドル、インドネシアルピー、カナダドル、メキシコペソ

最初に目につくのは日本円の安さです。今の円の実質実効為替は85年9月のプラザ合意前の水準に迫っています。今の水準はプラザ直後の85年10月と同程度で、その当時のドル円は212円でした。

皆さんが何をお感じになるかはわかりませんが、私は円の国際通貨としての地位の低下と、国際経済における日本の相対的な地位の低下を反映していると感じます。後から見るとおり、金利差で説明できる以上の円安、特にユーロに対する円の下落は顕著です。ですから、ドルとは違って、円の水準が低いから反転して円高に向かうとは思えないのです。金利差を反映した一時的な円高はあるかもしれませんが。。。

最初にユーロと円を見てみます。
右のグラフのオレンジの点線は、ユーロの実質実効為替を、円の実質実効為替で割ったものです。単純に割っていいのかは厳密にはわかりませんが、ユーロと円の相対的な実質レートです。青線と白線は欧州と日本の実質金利差です。ここでは物価調整した実質実効為替を見ていますので、金利差も物価調整した実質金利で比較しました。
金利差はユーロ金利-円金利ですので、プラスの場合にはユーロ金利の方が高いということです。

サンプル期間が短い(ECBのデータが少ないので)ですが、2000年頃まではユーロ円の相対的な動きは、実質金利差と大まかに連動する動きのようですが、2001年以降、あるいは04年以降は明らかに金利差では説明できないほどにユーロ高・円安になっています。

ユーロがドルに代わって基軸通貨性を持ち始めたという側面もあるでしょうが、最初のグラフで見るとおりユーロの実質実効為替の水準は未だ95年よりも低いので、ユーロの基軸通貨性が高まったからと言うよりも円が一方的に安くなったと考えるべきではないでしょうか。

続いて、米国ドルと円の比較です。
同じく、実質実効為替の相対的な推移と実質金利差を見たものです。金利差はドル金利-円金利、プラスの方がドル高(円安)&ドル金利高です。

70年代から80年代前半は、高インフレと米国の高金利政策によるドル高の時期でしたので、インフレが落ち着いてきた88年以降の推移を次に見てみます。

このグラフから見ると、実質実効為替でみたドル円の動きは、実質金利差の動きに1-2年ほど遅れて推移していることが確認できると思います。95年の円高は、株安に動揺した日本の機関投資家が外貨建て資産を国内に環流させた一時的な動きですので、93-94年頃にドル円はドル高に向かったと考えていいと思います。91年の実質金利差の反転から2年ほど遅れていますね。

そうした傾向は現在も続いていて、ドル円に限定して言えばあと1-2年はドル高傾向が続くのではないかと考えます。

また、88年以降の平均的な実質実効為替と実質金利差の関係からいくと、現在はややドル高の水準にあるように見えます。この間、米国の経常赤字の急速な拡大が見られているにもかかわらず、です。
円の地位は、下落懸念が強いドルに対しても着実に下落しているのではないでしょうか。

最後にドルとユーロの関係です。金利差はドル金利-ユーロ金利です。

データが短いので何とも言い難いですが、昔はドル/マルクの推移は米独の実質金利差で多くが説明できていたと思います(金利差が為替に先行した)。その関係は2001年頃まではあったようにも見えますし、今でも金利差に1-2年ほど遅れて為替が動いていると言えるかもしれません。

しかし、その関係が維持されているならば、2004年頃からは明確なドル高になるべきでしょう。しかし、ドル/ユーロの水準は大きく変わっていません。これは、米国の経常赤字の拡大がドル安に働いているのかもしれませんし、ユーロの基軸通貨性が高まっていることの現れかもしれません。また、金利差に連動してこれからドルがユーロに対して上昇する可能性もあるでしょう。

私の見方は、ドルは安定するだろう、明確なドル安は見られないだろう、というものです。
玉虫色の見方かもしれませんがw


やはり気になるのは円の独歩安の背景です。日本はBRICsの追い上げ、グローバリゼーションの進展のなかで相対的な優位性、創造力、生産性の向上を実現できていないのではないだろうか、という疑問を持ちます。経済回復が本格化し、相対的に日本経済の強さが回復しているのならば、長期金利は緩やかにせよ上昇するだろうなのに、そういう気配が見えない。マネーサプライは前年比+0.5%に低迷し、資金需要も力強さが見えない。。。

今、韓国経済のデータを見ているのですが、韓国は中国経済に飲み込まれて相対的に低下しつつあると思っていたのですが、生産性の伸びは低下しておらず、実質実効為替レートは98年の経済危機以前の水準を上回っているのです。実は、グローバル化に対応しつつあるのは韓国経済ではないか、という考えを持ちつつあるのですが、それとは対照的に、円の水準は長期的な日本経済の凋落傾向を示しているのではないだろうか、という疑問がふつふつと。。。

ただし、日本経済の先行きに強気ならば、現在の円安水準は警戒すべきでしょうね。低金利国の通貨はじりじりと下落し、上昇するときは一気に上昇(円高)になるのが常ですから、円高になるときのエネルギーは凄まじいでしょう。

「どっちなんだよ!」とは言わんでやってください。。。まあ、しばらく円安が続くと思いますが。。。
2006/09/07のBlog
[関連したBlog]
色々と前回から書いてますが、とりあえずメイン・シナリオの線で行くことにしました。これ以上調べても考えてもラチ明かないし(失礼w)。昨日?の日経にも出てましたが[OFHEOの2Q住宅価格]が発表されて「30年以来で最大の上昇率の落ち込み」とか刺激的なタイトルが出ています。
が、リスクをMAXで取りにいきます。中国をどうするかが残るのですが、最近動意づいていますしもうちょっと放置プレイ。

米国経済はスローダウンの度合いを強めるでしょうし、住宅以外のセクターにもある程度波及する。けれど、リセッションにはならないし、米国の金融セクターがS&Lみたく危機に陥ることもない、ということでヨロシク、グラ。


既に、春にこういうリサーチが出ていたんですね(今日9/6には9月WEOレポートの一部が出てます)。
[IMF World Economic Outlook, Apr 2006]
このペーパーのp22-23で、欧米の住宅ブームについて書いてます。
右のグラフは97-2005年の各国の住宅価格の累計上昇率です(p22)。青色が実際の不動産価格の上昇率で、赤色がIMFが計算したファンダメンタルズで説明できる上昇率です

このレポートで注目したのは以下の点です。
-97年以降、英国・ユーロ圏・豪州では米国以上のブームが起きている。
-しかし、そのいずれにおいても住宅価格の崩壊は起きていない(上昇率の鈍化はおきた)。
-(怪しい点はあるが)住宅価格の上昇は経済ファンダメンタルズによって説明できる。
-2003年WEOの分析によれば、過去の住宅ブームのうち、バスト(崩壊)したのは40%である。
-しかし、バストしなくとも、住宅価格の上昇率が10%鈍化しただけで(価格が下落しなくても)1年後のGDPを▲2%押し下げる。

というところです。

まず、欧州ではとんでもないことになっているんですね。この8年間ではアイルランド、英国、スペインでは住宅価格が倍以上になっている。ここではConstant price、つまり物価調整後の実質ベースなので、名目の住宅価格はもっと上昇している。Roubiniのblogでは「バルセロナの住宅は異常に高い。これじゃ買えねぇ!」という書き込みがありましたし、BOEの8月利上げでは「住宅価格が高いのに利上げしたらますます1次取得者が住宅を買えない」という指摘もあった模様。欧州では鬼平待望論???

それでファンダメンタルズ分析ですが、これはちょっと怪しいと思う。[IMF World Economic Outlook, Sep 2004, Chapter 2]にかなり詳細な分析があって、ファンダメンタルズとして実質可処分所得、実質短期金利、信用の伸び、株価上昇率、人口増加率などを使ってます。株価や信用を説明変数に入れているところは、バブルを知る日本人としてはデジャヴュを見るようです。ですが、この04年のWEOによれば、米国の住宅価格は実質所得やアフォーダビリティなど、まあ「まとも」そうな要因で相当程度説明できていそうです(p75)。

(この2004年9月のレポートはかなり膨大で、他にも世界の住宅価格の相関性が(株価や長期金利ほどではないけど)徐々に高まっていて、住宅価格のうちグローバル要因で説明される部分が40%を占めるとか面白そうな分析もありますので、ご興味がある方はご一読をお勧めします)
とはいえ、発表されたばかりのOFHEOの2Q住宅価格統計では住宅価格の伸び率は10%程度低下しているので、GDPが2%抑制されるわけです。05年の米国のGDP成長率が+3.2%なので、今年後半から来年前半のGDP成長率が+1.0%-1.5%程度に落ちるだろうという目処になります。しかし、住宅価格が更に落ち込まない限りGDPがマイナスになるわけではないし、リセッションにはならない。

06年4月のWEOのp18には、米国のホーム・エクイティの引き出し額も出ています(右のグラフ)。可処分所得の8%前後とのIMFの推計ですが、これは結構大きい。私はモーゲージ申請件数などから判断して05年にはホーム・エクイティは鈍化していると考えていましたが、依然として消費を押し上げていたようですね。
今後、住宅価格の上昇率の鈍化が少なからず消費へのマイナス要因になることでしょう。

右のグラフは購入用モーゲージのうち、IOとネガティブ・アモチの比率です(p18)。踏み上げ太郎さんがBARRON'Sの記事を引用されていましたね。こうした金融市場のインパクトが想定以上のマイナスの影響を与える可能性は少なくないかもしれません。


でも、私にできることはもうこれ以上ありません。外れてリセッションになるんなら仕方ない。
あとは腹くくって突っ込むだけです。
2006/09/04のBlog
[ 00:47 ] [ 欧米 ]
[8/8 FOMC minutes]

遅れましたが、8/8FOMC議事録を読みました。

-現状判断と将来予測
消費減速、住宅減少はこれまでどおり。2Qの機械投資の減少(▲1.6%、03年1Q以来3年ぶり)に言及するも、一時的だとの判断。また、外需でカナダの減速を指摘した。
しかし、景気全般では稼働率が長期平均を上回るなど、底堅いとの認識。

今後の予想では、今後6四半期に渡って潜在成長率以下に抑制されると見通した。減速の要因は、住宅の減少、エネルギー価格高による家計の購買力低下、住宅の資産効果の喪失、過去の利上げの累積効果、である。
コアCPIは年後半から07年にある程度鈍化すると見込むが、潜在的なアップサイドリスクは大きい。

-論点
特に注目されたのは過去のGDP成長率が下方修正された点で、生産性が下方修正され、単位労働コスト(ULC)が上方修正されたこと。これまで考えていた以上に潜在成長率は低く、インフレ圧力は高いのかもしれない、と複数のメンバーが指摘した。

住宅セクターのダウンサイドリスクについても複数のメンバーが言及した。重要な先行指標である新規住宅販売キャンセル率の急上昇や、1戸建て住宅販売の落ち込み、在庫の急増が指摘され、全般的には、メンバーたちは住宅セクターにおける不透明感を表明した。ただ、住宅の資産効果については不透明だが、延滞率などから判断する限り、家計の金融状況は健全だとの認識だった。

-ラッカーの反対理由(彼は利上げを主張した)
インフレ環境は悪化している。最近のコアインフレの上昇はしつこく、広範に生じている。GDPの改訂によりULCが上方修正された。今後GDP成長率は鈍化するだろうが、インフレを抑制するのに十分だとは思わない。更に、実質金利は前回FOMCよりも低下している。

-所感
FOMCメンバーにとっては、今後の需要鈍化と潜在成長率を下回るGDP成長率(2.5%程度か)は想定の範囲内。住宅市場の及ぼすであろうマイナスの影響には注意しているが、今のところはその影響の大きさは不透明。それよりも足下の高すぎるインフレ率への注意のほうが重要であるとの認識。
今後の金融政策の方向性は第一にインフレ次第。しかし、需要減速が住宅のみならず、設備投資や一部外需にも見られるなど景気減速がはっきりしている以上、仮にコアCPIが+0.3%が2-3ヶ月続いたとしても、利上げはしないと思う。コアCPI+0.4%以上が続くようなら、利上げの可能性が高まる。
逆に+0.2%以下ならば利下げの可能性が高まるが、利下げが本格化するためには一層の需要減少が確認される必要がある。ISMの50割れ(生産調整)、雇用の1桁増加ないしはマイナス、などが起きれば利下げシナリオが本格化すると思う。住宅セクターの減少だけならば想定内なので、その他セクターへの波及が確認されることが利下げのためには必要だろう。

今のところの私の予想は、年内コアCPIは+0.2-0.3%で推移、もちろん利上げなし。同時に10月下旬発表の7-9月GDPは1.5-2.0%、10-12月あたりに雇用の1桁増(マイナスもありえる)、ISM50割れとなって、来年1-3月に利下げ、と考えます。
2006/09/02のBlog
雇用者増加数は前月比+12.8万人、過去2ヶ月の数字は若干の上方修正(ただし、民間部門に限れば若干の下方修正)。2Q(4-6月)の平均値+11.5万人と同様に、労働力人口の増加ペースと同じ水準でして、概ね失業率が横ばいとなるペースです。(8月の失業率は0.1%低下して4.7%)

時間当たり賃金の上昇率は前月比+0.1%と低かったのですが、過去2ヶ月が6月+0.4%、7月+0.5%と高かったので、均すと依然として賃金の伸びはやや高め。3ヶ月前比年率は+4.2%、前年比は+3.9%。

労働時間が減少(週33.9時間→33.8時間)しましたが、05年7月からずっと33.8-33.9時間のあいだで推移してきたので、労働時間の水準が下がっているわけではありません。

総労働投入量は雇用の鈍化と労働時間の減少を反映して、前月比▲0.2%となり、生産活動の減速を示しています。9月の雇用増加数と労働時間が8月並みとすると、3Qの労働投入量は年率+0.9%となります。3Q のGDPは年率+1.5%程度に低下するかもしれません(2Qは投入量+2.6%に対してGDP+2.9%)。


住宅関連について・・・住宅関連雇用は増加ゼロ、住宅以外の雇用増加ペースは変わらず
下の記事で紹介した[Nouriel RoubiniのBlog]では、過去3年間の雇用増加のうち30%が直接・間接の住宅関連によるものだと指摘しています。

彼の住宅バブル崩壊→リセッションというシナリオの経路は、
1.住宅着工の落ち込み(四半期ベースで年率▲12-15%もある)
2.逆資産効果による消費の全般的な冷え込み
3.住宅関連雇用の減少と、その全般的雇用への波及

ですが、そのうちの3.雇用について見てみます。
右のグラフは2001年以降の雇用増加数(3ヶ月平均)の内訳を私が住宅関連とそれ以外にわけたものです(住宅関連の内訳は下に)。雇用が増加に転じた2003年9月以降のこの「住宅関連」の雇用増加は、全体の増加数の19%です。
Roubiniは間接的な雇用増加を含めて30%と言っていので、彼の「住宅関連」の定義とは大きな違いはないと思います。

住宅関連は今年3月から既に減少傾向に転じているのに対して、住宅関連以外の部門の雇用はまだ、増加ペースが変わっていません。今年3月以降の雇用増加ペースのスローダウンはほとんど全てが住宅関連から生じているといえます。
(03年9月-06年2月と06年3月以降に月平均の増加数を分けると、住宅関連は3.0万→▲1.3万人、住宅以外は13.4万→13.0万人)
8月分を書いていませんでしたね。8月の住宅関連は0、その他が+12.8万人です。

今後、住宅関連の雇用が減少幅を拡大し、それが住宅以外の部門に波及していく可能性はありますが、現在のところは、住宅関連の雇用は減少しているものの住宅関連以外の部門への波及は認められず、全体として適切な雇用増加ペースへのスローダウンの局面が継続しています。

もちろん、Roubiniの指摘する展開、特に2.逆資産効果がこれから見られるかも知れず、消費者センチメントの悪化や雇用意欲の急ブレーキには警戒が必要だと思います。その意味で、センチメント悪化後の来月の雇用統計に注目したいところです。


住宅関連・・・居住用建設業、材木・金属・家電・家具などの製造業、家具・家電・建材・園芸などの卸・小売業、不動産業、モーゲージ関連の金融業の合計
2006/08/31のBlog
[クルーグマンのNYT記事]で、Call me Eeyore.といきなり出てきたんで、何なんだろ?と思っていたんですが、[この記事]によるとタカ派発言を重ねるダラス連銀のフィッシャーが住宅バブル崩壊のリスクを主張する人々を"Eeyore"と言ったからみたいですね。んで、Eeyore(イーオー)とはクマのプーさん(Winnie-the-Pooh)に出てくるキャラクターで、年老いたシニカルなロバのことらしい。ある意味、知恵のある常識人でもあると。
知らなかった。。。

これも一種の教養でしょうねぇ。子供の頃にクマのプーさんを読んでなかった(ついてに『グリとグラ』も知らなかったけれど、タイトルのグラのお陰で人様に教えてもらいました)ことを恥じ、早速プーさんをオーダーしましたw

こういうやり取り、好きですねぇ。「俺はひねくれているかもしれないが、お前よりも少しは知恵があると思うぜ」
Call me Eeyore!! ・・・イヤ、私は違う立場だけど、気持ちイイ。でも、Eeyore知らない私に知恵はない、ハハ。

フィッシャーは今の日銀で言えば水野委員のような扱われ方かな。でももっとユーモアのある(でもシリアスな)やり取りのように思いますねえ。

米国経済やグローバル経済に関しては、上のリンクだけでなく[こちらのBlog]も参考になりそうです。

ということで、Blogのご紹介だけでした。
わからんのです、とばかり書いていても情けないので、一応、今考えていることを。

住宅価格の調整は、長期間、5年以上にわたってゆっくりとおきるのではないかと考えています。ですから、リセッションには至らずにソフトランディングに成功するというのが私のメイン・シナリオです。

その理由は、[FRBのペーパー]のP23、Figure 5で書かれていることですが、過去の米国の不動産ブームでは上昇が急で下落はじわじわと起きる傾向にあること、米国の不動産市場が地域性が強いこと、足下の長期金利が低下していて今後も低下基調を続けるだろうこと、などが理由です。
また、FEDが金融緩和に向かうならば(来年1-3月から開始、来年は2-3回の0.25%づつの緩和で終了、ととりあえず想定してますが)、住宅価格の下落を更に緩やかにするでしょう。

それでも、今アメリカに住んでいるわけではないので、どの程度の熱意で住宅への投資ブームがおきているのかが判っていない。住宅を株式と同じような感覚で投資しているのならば、従来よりも速やかな価格下落、期待リターンの修正がおきてもおかしくないし、FEDの分析(実質金利と住宅プレミアムが相関性を高め、同一方向に作用する傾向が見られる・・・)もそういう可能性を示唆していると思います。


話を戻して、そもそも住宅価格の下落が起きるかについては、起きるだろうし、既に起き始めているのでしょう。FRBのペーパーが述べている通りに地価が99年から2004年のわずか5年で2倍になっているのならば、やはり行き過ぎですよね。それなりの調整は起きる。地価が半値に戻るとは言わないけれど、地価の上昇分の半分が飛ぶ(高値から▲25%)として、住宅の半分が地価なわけですから、住宅価格では▲12.5%の調整は少なくともおきる。

ただし、その調整が名目ベースでおきる必要はない。あるいは、必ずしも住宅価格が一気に下落しなければならないわけではない。
住宅価格が割高だとしても、家賃や経済規模(GDP)、可処分所得との比較で割高なのだから、比較対象である家賃やGDP、所得が緩やかに上昇し、住宅価格が横ばいで推移すれば住宅価格の割高感は5-6年で解消されることになる。名目ベースでの住宅価格の下落が見られない、あるいは小幅の下落で済むのならば、家計の住宅関連債務や住宅関連貸付の不良債権化などのいわゆるバランスシート調整も大きな問題とはならないでしょう。


住宅価格の「相対的な」下落は避けられないけれど、その下落のスピードは比較的緩やかで、住宅関連以外の消費への波及は避けられるのではないか、というのが今の私のシナリオです。(今日の日経金2面で、バークレーズ証券の人が英豪の住宅バブル崩壊がリセッションには至っていない、という指摘をしていましたが、心強い要因です)

もともとの米株上昇!シナリオに固執しているだけかもしれませんがw