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グラの相場見通し
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2006/09/24のBlog
田舎から戻ってきました。グラの墓参りも済ませ、姪に「クマのプーさん」をあげてきましたよ。彼女が大人になったときにEeyoreのお話が役に立つことがあるかどうかはわかりませんが、小学1年なのに漢字交じりの文を一生懸命読んでくれてました。

2代目(正確には3代目)のワンちゃんは、私と入れ違いに実家に入りました。台風で環境が変わるのを避けるために、受け取りが伸びたのです。それだけが残念でした。

前回の記事は非表示にしました。頂いたコメントも非表示にしましたことをお詫びするとともに、改めて御礼申し上げます。

☆☆☆☆☆☆☆

私のお休みの間に(というか、それ以前に)大きな変化が起きていたようですね。wha_man3さん、踏み上げ太郎さん、Positive gammaさんのblogへのアクセスが一段と増えているのは、皆さんもそういう変化を感じていらっしゃるからではないかと思います(ドブログのアクセスが全体的に上がっている気もしますが)
[wha_man3さんの記事]を読んで、もやもやがすっきりしました。

全く、私は鈍感です。

商品市場は暫くダメですね。wha_man3さんのバブル宣言や踏み上げ太郎さんの時代遅れ宣言からはっきりしていたんですが、もはやレンジを切り上げるエネルギーが無いのは明らかです。商品の需給の大まかな計算さえしていませんが、wha_man3さんの2008年前半までは低コストの時代という解釈がとてもしっくりきます。あと2年なのか、それよりも前後するのかはわかりませんが、商品はとりあえず終わり。

商品市場が崩壊しても、世の投資家はそれで終わりだとは思っていないようです。リスク・トレランス(許容度)は全く低下していなくて、次の投資対象に目を向けている。ヘッジ・ファンドの破綻が投資家のリスク許容度を低下させる可能性はあるかもしれませんが、今のところは収益機会を求める姿勢は変わっていないようですね。

それで、その収益機会をどこに見出すかという作業を世の投資家はしている。踏み上げ太郎さんが中国経済の分析(鉄鋼や農業など)を加えたり、wha_man3さんがweb2.0銘柄を選別したりするのは、そういう変化を理解しているからだと思います。常に銘柄分析は行うんでしょうが、市場環境の変化、すなわち商品がダメだ、ということと米国経済の減速と将来の利下げを前提とした銘柄発掘だと思います。グロース・オポチュニティをどこに見出すかと言ってもいい。wha_man3さんの考えるグロース・オポチュニティは中印での中間層拡大と、先進国での付加価値創造企業≒web2.0だと理解しますが、私も同感です。

米国経済の減速は、それだけ市場のパイが以前ほどには拡大しないということであり、市場競争の激化を意味する。グローバル化の中で恩恵を受けてきた企業の選別・淘汰が進むのではないでしょうか。その意味で、企業分析の重要性が増し、マクロ分析の重要性は低下したのだと思います。また、商品価格の下落=コスト低下にもかかわらず、先進国の株式はあまり上昇していない理由の1つも、ここらへんにあるのかもしれない。

マクロ的に見れば、米国経済が減速感を強め、金融緩和に向かっていることははっきりしていますが、仮にリセッションになったとしてもシビアな企業収益の落ち込みに至る可能性は低そうです。個別企業では、困難に直面する企業が増えるでしょうけど。

9月のフィラデルフィア連銀指数が-0.4に低下したことが米国のリセッション懸念を高めたと言われてますが、リセッション時はおろか、ソフトランディングに成功した95年でもPhillyは▲10以上に落ち込んでいるので、▲0.4程度でリセッション懸念というのは行き過ぎです。私は7-9月のGDPは+1.5-2.0%程度になるだろうと考えていますが、今回のPhillyはそれと整合的な動きです。

住宅価格の(相対的な)下落が将来の生産活動を押し下げ、金融不安を伴ってリセッションに至る、と言う懸念ならばわかりますが、しかし、今のところはGSやMSなどのマネーセンターの銀行株は堅調に上昇していますので、金融不安を想定するのは尚早です。

☆☆☆☆☆☆

ともあれ、マクロ的な分析は投資活動の上ではあまり意味をなさなくなったと思います。米国は金融緩和に向かい、日欧は「ゆっくりと」利上げをする。株価は全般的には上昇するけれど、選別色が強くなる。個別銘柄の分析の方がはるかに重要になる。

今はリスク量をMAXに維持し、今後2年間の相場上昇で徐々にリスク量を落とす、そういう局面なんだと理解しました。
2006/09/16のBlog
これまでも平気で1週間くらい休んだりしてましたが、来週はネタがないからではなく(ネタはないんですがw)、所用で帰省しなければなりませんので、お休みします。田舎にはなんか色々とシキタリがあるそうです。。。

初めてグラのいない田舎に戻るのです。やつが可愛かったので、寂しくなければいいんですが。既に2代目がいるそうなので、そいつとも良好な関係を築ければと思っています。


グラはこのBlogを始めた直後に亡くなりました。突然に。
そういうことを予見せずに、タイトルを「グラの相場見通し」にしていたんですが、今となってはそれで良かったと思います。
ここでの見通しはグラの見通しなんですね。私、nobinobiはグラの手下となって材料集めをし、分析らしきことをし、情報と知識を集め、加工した上で天国のグラに上程する。私はさしずめ日銀の事務方で、グラが総裁です。

あいつは株式のポジションも持たないし、経済や相場に関する予断は全く持っていないわけです。当然ながら。

右の写真は怒っているように見えるでしょ。そう、怒っているんです。私があいつの写真をとるだけで散歩に行ってくれないから怒っているんですよ。全く、一緒に遊ぶことしか考えていない。だから、相場のことなんかに全く予断を持つはずがない。
それで、部下であるところのnobinobiが集めた材料を元に虚心坦懐に天国から判断を下す、という訳です。

変でしょ。自己満足でしかない。
ですがね、そう考えると自分なりに冷静に判断できるような気がするんですよ。
今のポジションやこれまでの考えや思いこみを一旦なしにして、正面から現実を見ることができるような気がする。米不動産市場のことを考えるときも、天から無心で眺めるように意識したつもりです。

あいつは寂しがり屋だったんで、こうして皆さんにちょっとでも見ていただくと嬉しいんじゃないかと思います。ありがとうございます。


ただ、こういうの年賀状のペットの写真みたいで、人様に見せるもんじゃないとも思うので、帰省から戻ってきたら、この記事は消します。
それでは、しばしお休みなさい。
2006/09/15のBlog
相変わらず、全くの妄想で申し訳ないんですが、これまでも全てがそうだった、ということで。。。

米下院での対日強硬姿勢はどれくらい本物なんでしょう?
従軍慰安婦非難決議、靖国参拝批判、南京大・・・・

米中が軍事的に接近するとは思いにくいですが、経済面ではっきりとした方向性を出した以上、米中関係が緊密化していくのは間違いない。と同時に、イランとの対話姿勢がはっきりしてくるとしたら、米国外交の矛先は日本に向かう可能性が高いんじゃないかと。。。ブッシュ政権で経済が政治・軍事よりも重視されるとは思いにくいんですが、原油価格を引き下げることこそ政権浮揚のために必要だとポールソンに説得されれば、イランなどとの対話姿勢というのも本格化しないだろうか。

中間選挙で民主党が少なくとも下院を取るだろうし、親中派としてのキッシンジャーの対日姿勢を思い浮かべれば、ポールソンと議会はスケープ・ゴートとして日本を狙ってくるんではないだろか。

安倍シンゾー政権誕生間近ですが、安倍さんは国内マスコミの批判にも聞く耳を持たない一本気な?性格だとすれば、最大の売りであるところの外交で点数が稼げずに空回り、そのあおりでもともと得意ではない国内政策も滞りがち、なんてことにならないかしら。

ポールソンは日本の対内FDIの低さなどの閉鎖性を突いて、改革継続に名を借りた市場開放を迫ってくる。そのときに安倍さんが民族主義的な反発を示せば、逆に改革路線自体が政権にとって好ましくないものとならないだろうか・・・

米議会のなんちゃら決議が不条理に思えても、その背景を考慮して思慮ある対応をして欲しい。。。

なんてね、私が想像するくらいなら、とっくに次の政権の偉いさんも目がいっているでしょう。
(個人攻撃なのかもしれませんので、リンクと記事の一部を削除しました。)
[関連したBlog]

9/8の福井総裁会見の「解釈」についてですが、この人の(リンク削除しました)9/14付け『CPIを境に金利は景気減速見極めモードへ』というレポートは、私とは180度違う解釈なので、ご紹介しておこうと。

曰く、
「9/8に行われた福井日銀総裁の記者会見では、金融政策について直接的には新味のある内容ではなかったものの、市場金利水準を容認したことで当面(少なくとも年内)の利上げ見送りを事実上示唆したものと判断される」
とおっしゃっている。

この方は、福井総裁の「長期金利について、行き過ぎがあるとか、違和感があるとは一瞬たりとも思っていない」という言葉でもって、福井総裁は市場金利水準を容認したと判断されたようですが、この発言は水野委員とかが「金利は低すぎる」という暴言を吐いたことを念頭に置いて、一旦、「市場金利水準には違和感はない」と言っただけだと思うんですよ。あくまで(余計な)リップサービス。
しかしですね、福井総裁の本音は、「一旦、1.6%まで落ちたものが今日では1.7%台まで戻っておりますが、こういう動きこそが非常に大事です。」という部分だし、「市場金利はもっと成熟していく」という部分だと、私は思うんですがねぇ。。。


私は仕事としてマーケットを追っている訳じゃありませんし、市場の見方について意見交換をする機会はありません。素人のつぶやきにすぎません。ですから、こういう常に市場を見てまわりと意見交換してるはずの人が、自分とは全く違った判断をしていると気になるんです。
私が間違っているのなら、これ以上、日銀絡みであれこれ書くことは有害でしかありません。


念のため付け加えると、年内利上げなし、となる可能性ももちろんあると思ってますよ。福井さんが正気になって(^^;、10月末の情勢判断資料で明確にダウンサイド・リスクにも配慮するならば、利上げなしの可能性が俄然高くなります。
ですがね、今回の会見で年内利上げなしという判断は、私にはできません。
[関連したBlog]
TBの記事のコメントに書いたことですが、一応、別の記事として書きます。

8月の決定会合議事要旨が13日に出ましたが、そのなかで色々注目すべき点があるでしょうが、特に気になったのは「3.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」p8での以下の一文です。

ある委員は、マクロ的な需給の伸びが均衡しており、需要超過幅が拡大していく局面にあるとはみられないことを踏まえると、現行の政策金利は妥当な水準であり、金利水準の調整はゆっくり行うことが妥当であると述べた」

極めて妥当な見解です。これは武藤さんか、野田さんではないかと思っているのですが、まっとうな警告を発したのが1名しかいなかったということなんです(これに関してコメントにて野田さんであるとのご指摘あります)。

現下の状況では、年内利上げなんてすべきではないと思うのですが、可能性はかなり高いと思わざるを得ないです。株式はもちろん、為替にも大きな影響を及ぼすでしょうし、海外の株式市場にも少なからず影響があるかもしれません。
(今日の日経金2面にFT記事の抄訳がありました。そちらの方がわかりやすいかもしれません。)

[Remarks by Treasury Secretary Henry M. Paulson on the International Economy]
一応、要約を。日経の記事は為替だけでしたから。あんなんでは国益を損なうように思うのですが。。。

====以下、要約(我ながら下手な訳で、申し訳ない・・・)=====
自由貿易と自由経済(オープンな経済)の進展は米国自身にとって重要であり、その結果、世界は相互依存を深めている。自由経済の進展がテロとの戦いを終了させることはないが、しかし、世界の平和と安定には間違いなく貢献している。

中国が既にGlobal economic leaderであることを、米国もそして中国自身も受け入れなければならない。リーダーシップには責任が伴うのだ。中国内にも「中国は途上国だから対内投資を規制し、国内企業を保護しなければならない」と言う声があるが、これは誤りだ。中国は改革を進め、自由経済を更に受け入れるることなしに、生産性の向上を達成することはできないし、これまでのような経済成長を続けることはできないことを自覚するべきだ。自由化はGlobal economic leaderであろうとの姿勢を示すことになるし、反中感情を緩和するだろう。私の考えでは、反自由貿易感情は反中国感情と結びついており、米国内外で更に強まっている。中国が経済改革を継続しないならば、世界からの反発を浴びるだろうし、そうした反発は世界の誰にとっても有益ではない。

中国の直面する問題は農村改革から年金改革、セイフティ・ネットの構築、資本市場改革、通貨改革、まで幅広い。資本市場改革、通貨改革は資本の効率的配分と持続的な成長、生産性の向上に不可欠だ。セイフティ・ネットの構築は国民の将来への不安を軽減し、消費意欲を高めるだろう。GDPの50%に及ぶ貯蓄率を引き下げ消費主導の経済に転換するために不可欠だ。

米国は中国に追い越されることを恐れてはならない中国の改革が止まることこそを恐れるべきだ。中国の直面する問題は容易ではないし長期的な問題だ。だからこそ、短期的な成果を求めるべきではなく、より長期的な戦略的アプローチが大事なのだ。

米国は中国と様々な分野で協業できるが、特に重要なのはエネルギー環境問題だ。
石油は紛争地帯にあるので、国際紛争を抑えることについて利益を共有する。中国の環境問題は中国についてのみの問題ではなく、その他の世界にとっても重要だ。地球は1つしかない。中国にとっても環境問題の克服なくして経済成長を実現できないし、そのことを中国の官民指導者は良く自覚している。
また、ドーハ・ラウンドの再生やIMF改革についても中国と協力できる。

========

大した感想ではありませんが・・・
最も、どきっとしたのは、「中国に追い越されることを恐れてはならない」という箇所です。米国政府高官が、将来的に中国経済は米国経済よりも大きくなる(かもしれない)と明言したことはこれまでにあったのでしょうか。(あったのかもしれませんが・・・)
「それは、受け入れるべき事実なのだ」と言っているように私には思えました。

ゼーリックの使ったa responsible stakeholder(1回だけ使った)に代わってglobal economic leaderと表現し、中国を持ち上げましたね。と同時に、中国の政治改革にはほとんど触れなかった(人権問題にわずかに触れた)こともあって、中国としてはとても受け入れ易いスピーチであったことでしょう。

また、中国、米国というふうに国で色分けせずに、自由経済を信じるか、保護主義者か、という分類をしたことで、反中意識を軽減することに成功しているように思います。
私には、説得力のあるスピーチであったように思えました。

多分、溜池通信さんなどがより深い分析をされると思います。今週末あたり、楽しみですね。
2006/09/14のBlog
[以前の記事 Paulson to rescue]
ポールソンは先週APECに出席し、今週はシンガポールでG7、その足で中国に向いますが、本日(13日)の財務省でのスピーチについて、前触れ記事がWSJに出ていました。彼が経済・通商問題に関わる主権者であり政権の最大の経済的なテーマは中国であることが如実に示されています。
[米財務省 ポールソンのスピーチ]

今後の米国の経済政策、対中政策の方向性を指し示す重要なスピーチだと思います。

記事の内容(スピーチの内容)は、
米中関係は、世代を超えた真に長期的な関係であり、対中政策には、長期的・戦略的なアプローチが必要である。経済面での対中強硬策は得策ではない。
人民元問題は対中経済問題の1つに過ぎない。対外投資規制の緩和、外資金融機関への規制の緩和、中国経済の輸出依存からの脱却など、より広範なテーマがある。
-中国に対しては、過度に硬直的な通貨制度と裁量的な行政政策に依存することはブーム&バストのリスクを高めるだけであると警告し、また、人民元問題が中国の不公正の象徴と一部で見なされつつあると伝える。

他に、SOX法が過剰規制となっており修正を検討中であること、グローバリゼーションの恩恵を受けていない人々への対策が必要であること、なども触れていますが、今回のスピーチのテーマは、長期的な米中関係の重要性です。公式なタイトルはInternational Economyとなっていますが、中国との経済関係こそが米国の将来を左右すると宣言するのです

また、スピーチとは関係ありませんがWSJの記事では、彼の政権内での地位は既に揺るぎなく、ブッシュや政府高官への影響力を持つ(He has the ear of President Bush and top White House officials)と書いており、ハバートNEC議長、ライス国務長官の名をあげています。また、今日のスピーチを作成するために議会の両党の中国専門家からも数週間に渡るアドバイスを受けたと、議会に対する配慮も十分です。対中強硬派のシューマー、グラムの両上院議員にも「短期的な成果を期待すべきではない」と話したと。

恐るべき掌握力、まさにHeavyweight、大物ですね。怖いおっさんだわ。。。


それで、長期的には米中の経済的関係の深化、グローバリゼーションの進展は、それに対応しつつある国や企業の株式、特にBRICsの株式にとって長期的にプラスだと思いますが、それとは別に、人民元の切り上げ(変動幅の拡大)が近いんじゃないかと
ポールソンは中国の友人として、議会内の対中強硬派を押さえ込んだわけです。その友人に報いる必要を中国は感じるでしょうし、今回のアプローチに応えなければならない。人民元は米中関係の1つのテーマに過ぎないけれど、象徴的存在になっている以上、それを避けるわけにはいかないでしょう。
まあ、今回のアプローチに対して中国の基本方針を胡錦濤訓話みたいな形で表して、それから人民元切り上げ(変動幅拡大)となると考えると、半年以内ですかねぇ。。。
2006/09/12のBlog
[ 18:32 ] [ 日本の経済・相場 ]
[福井総裁会見 9/8]
「本来の」福井総裁が帰ってきましたw。言語不明瞭、タカ派バイアス、強めの経済指標のみを重視する姿勢、、、前回の会見は村上ファンド問題もあって慎重に想定問答を練っていたのでしょう。

僕はうーん、と呻ってしまいました。この人は、強い経済指標やマーケットの動きにしか反応しないのだろうか。
ドラめもんさんが今週お休みなのが残念ですw。

以下、会見の発言を引用し、逐次コメントする形で記事を書きます(長いです)。
私の感想は次の通りです。
福井総裁は年内利上げをしたいのだ
「ゆっくりと」というのは3-5ヶ月毎ということかもしれない(ECBとの比較で)。
-しかし、足下の経済情勢(低すぎるCPI、賃金の低い伸び、マネーの低い伸び、設備投資の急落、米国経済の減速など)を考慮すると追加利上げはするべきではないし、徐々に困難になりつつある。
-それでも、「隙あらば」利上げしたい福井総裁は、国内株式市場の大きなリスク・ファクターである。
-10月発表の展望レポートまでは景況感の変更はない。展望レポートがどの程度ダウンサイド・リスクを織り込むかが重要だと思うが、4月と大きな変更がない場合には、短期金利が再上昇し(ただし長期金利は低下か)、株価が一段と下押しされると見る。

これまでの私の利上げ見通し(四半期に+0.25%づつ、08年末までに2.0%まで)というのはやや早すぎるテンポだったかもしれません。ですが、私の受けた会見議事録の印象では福井総裁は依然として利上げしたがりで、年内利上げを探っていると見ました。商品市場とは別のリスク・ファクターがここに存在します


===会見内容(引用・コメントともに無駄に長いです。ご容赦ください)====

-CPIの基準改定の評価、量的緩和・ゼロ金利の解除の是非について
『私どもが物価指数を考える際には、いつもその背後にある物価を巡る環境を点検しながら判断をしているわけですが、今の時点では、景気が緩やかな拡大を続ける中で、マクロ的な需給ギャップは需要超過状態で推移しています。こうしたもとで、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)は、新基準でみても、本年入り後持ち直して、このところプラス基調で推移しており、先行きもプラス基調で推移していくと考えられます。
このように、今回の基準改定は、物価を巡る基本的な判断に変更を迫るものではないと考えています。また、先程述べたとおり、日本経済全体の動向をみても、展望レポートに概ね沿って推移しています。従って、量的緩和政策やゼロ金利政策の解除の判断は、今の時点から振り返ってみても適切なものだったと考えています。(略)
私どもとしては先行きの金融政策の運営についての基本的な考え方は、これまでと変わっていません。すなわち、金利水準の調整は、経済・物価情勢をよく見極めながら、ゆっくりと進めていくという姿勢に些かの変化もないということです。』

→常に上方バイアスの存在するCPIが前年比+0.2%だからといって、統計上有意にゼロではないと言えないと思うんですよね。「このところプラス基調」というのには強い違和感を感じます。ここまで強弁しなくても、「CPIの改訂幅はやや想定を上回っていた」とでも正直に認めれば市場も安心するでしょうに。自己正当化です。
利上げ姿勢も変わらないと明言しています


-長期金利が足下低下していることについて
『・・・従って、今の市場の動き、例えば長期金利をみると、一旦、1.6%まで落ちたものが今日では1.7%台まで戻っておりますが、こういう動きこそが非常に大事です。この先、さらに情勢判断の擦り合わせが行われていけば、市場金利はもっと成熟していくでしょうし、私どもの先行きの情勢判断もより確信の持てるものになっていくだろうと考えています。』

→なぜ、長期金利が2%から1.7%に低下したことが重要ではなく、一時的なボトムである1.6%から小幅上昇したことが重要なのか、さっぱりわかりません。彼は金利が上昇することのみを評価するのだと考えれば、わかりますがね。
「市場金利はもっと成熟する」というのは、経済の強さを織り込んで市場金利が上昇するということでしょうし、「私どもの先行きの情勢判断」というのは、金利引き上げができるだけ経済は強いという判断のことであり、そういう見方に「確信が持てる」ようになる、と言っているのでしょう。


-金融市場の環境について、実質金利の水準について
『金融緩和の度合いについては、現在の経済の成長速度、先行きの予測、それから今の物価の極めて着実な上昇基調を前提に考えると、今の金利水準は十分低く、緩和を十分保証するだけの低い水準にあると思います。企業金融をみても、銀行貸し出しがかなり着実に伸びるようになってきていますし、資本市場調達の面で見ましても、企業の資金調達環境は非常に緩和的な状況が続いており、十分緩和的な金融環境を提供し続けることができていると判断しています。』

→8月の銀行貸し出しは前年比+1.8%で、特殊要因調整後では+2.7%と確かにプラスです。ただし、貸し出しの内訳は不動産業に偏っていて、全般的な資金需要の高まりとは言い難い。「かなり着実に伸びている」という表現には違和感を感じます。デフレ脱却の重要な物差しの1つは銀行貸出・資金需要の回復度合いだと考えますので、もう少し慎重な表現が適切だと思います。マネーサプライが+0.5%と低いことにも一切触れないし。
あと、「緩和を十分保証するだけの低い水準にある」というのは、中立的な金利水準に引き上げるまでは、金利水準は緩和的である、という当たり前のことを言っているにすぎませんので、為念。


-賃金の伸びの低さ、消費の力強さに欠ける動き、一方での労働市場の需給のタイト化について
『企業部門の好調さの家計部門への波及は非常に緩やかですが、着実に進んでいると思っています。雇用者所得は緩やかですが、着実に増加していることに尽きるわけです。(略)従って、雇用の増え方と賃金の上がり方との間の相関は、過去の歴史に比べると賃金引き上げが弱めに出ていると思います。もっとも、おそらくは緩やかであっても着実な景気の拡大が今後とも続けば、賃金の面でもやはり上昇速度は少しずつ増していくと考えるのが自然ではないか、と思っています。』

→私は現在の景気を判断するには、この点がもっとも重要だと思います。現在の景気のステージは、外需・設備投資主導から内需・消費主導に移っていくかどうかの分かれ目だと思います(この点、日銀も認めています)。であれば、賃金が着実に上昇していることを確認し、それが消費に波及していくまで待つべきではないかと思います。将来賃金が上昇するだろう、だから早めに金利を上げておこう、というのはまさしく予断であって、賃金が上昇しない限りインフレ圧力が高まることはないと思います。ましてやCPIがゼロである状況でインフレ圧力を懸念するというのはおかしい。賃金上昇率が高まるまで、金利は上げるべきではないと考えます。しかし、彼は金利を上げたいのです。


-ユーロ円について
『円とユーロとの関係についても、先程も申し上げましたとおり、日本銀行は金利水準の調整をゆっくりと行っていくということですので、ECBに比べると、金利引き上げのペースがやや緩慢という認識が市場の中にあり、それが為替相場の動きに反映されやすい状況になっているということではないかと思います。』

→ECBの現在の利上げのペースは2-3ヶ月おきですね。それよりも「ゆっくりと」日銀は利上げするだろうと市場は見ている、ということに触れている。guessではありますが、日銀がECBよりもゆっくりと利上げするとの見方に特に違和感を示していないことから、3-5ヶ月程度のペースでの利上げが彼の頭の中にあるんじゃないかと。。。

あと、ユーロ円の動きに関して「ユーロも円も実効為替の動きは変わっていない」と発言しています。為替に関する記事を書いたばかりなので興味を持ちましたが、「変わっていない」というのは、ごく最近の相場に触れた発言だとしても、間違った認識ではないかと思うんですがね。
2006/09/11のBlog
[関連したBlog]
8/8の議事録で、GDPの年次改訂によって米国の潜在成長率がこれまでよりも低いかもしれない、という議論がありましたが、どの程度低いのかという数字はありませんでした。

それに関連するスピーチをバーナンキが8/31にしてますので、ご参考までに。
[Remarks by Chairman Ben S. Bernanke, Productivity]
この原稿の中程、Longer-Term Prospects for Productivity Growthという項目の第3パラグラフが唯一重要な点です。他は、、、どーでもいい(ry

ここでバーナンキは
-これまでの様々な分析では米国の長期的な生産性の伸びは+2.5%だった。
-GDPの年次改訂で生産性がこれまでよりも0.25%ほど低いかったかもしれない。
-しかし、別の分析では米国の生産性は堅実に伸びているというものもある。
-総じて見れば、米国の生産性はやはり+2.5%程度ではないか。
と言っています。

バーナンキは最終的に+2.5%と言っていますが、FOMCでは潜在成長率は低くなった可能性があると書き、実際にGDP見通しを下方修正したと書いていますので、これまでよりもGDPの改訂で長期的な生産性(あるいはGDPの潜在成長率)は0.25%程度低くなったんじゃないかと思います。だから中期的な生産性は+2.25%。
個人的なGuessですけど。

労働力人口の伸びは+1%程度(正確には+1.1%だったかな?)ですから、潜在成長率は労働力人口+生産性=+1%++2.25%=3.25%と考えておいていいんじゃないかと思います。

8/8FOMC議事録では、「今後6四半期のGDP成長率は潜在成長率を下回る」と書いていますので、おそらくは彼らが想定しているGDP成長率は+2.5-3.0%程度だろうと思われます。

GDPが+2.0%を下回れば、想定以上の落ち込みで、利下げが本格化するだろうと考えておいていいんではないかと。。。

テクニカルな話ですみませんが、一応、ご報告。
[ 00:09 ] [ 欧米 ]
[Beige book(FRBの景況報告書、9/20のFOMCの資料です)]
危うくフォローする気力が失せるところでした。根性なしですので。

目についたところは、
-エネルギー・商品価格の上昇を最終消費財に転嫁できていないと断定したこと(前回は一部に価格転嫁の動きが指摘されていた)。
→ULCの上方改訂など潜在的な賃金圧力は依然として大きいものの、実際の物価動向の落ち着きが確認されているのかもしれない。利上げは当然、ない。

-生産、雇用活動は全般的に堅調で、住宅・自動車関連を除けば底堅い。在庫も自動車以外は適正水準。
→年内にISMの50割れが見られるかどうかは微妙か。自動車の生産調整の大きさ次第。

-しかし、一部小売りの減少が指摘され、サービス業の軟化が前回よりも目立っている
→消費の一層の減速が確認され、一部サービス業にも需要減速が波及しつつある。

-住宅価格の下落モーゲージの延滞率の上昇が一部に報告されている。
→住宅価格の動向は未だ金融面に波及するほどではないが、今後とも注意を要する。


以下、概要ですが下線だけに目を通していただければ十分かと。。。

-経済活動の減速を指摘したのはボストン、NY、フィラデルフィア、カンザスシティ、ダラス。
-消費は引き続き減速し、一部では小売りの弱さ・減少も見られた(セントルイス、リッチモンド)。
-自動車在庫が積み上がっている(bloating)が、その他のセクターの在庫は適正水準である。
-サービス業はミックスだが、NYでは軟化した。運輸業はミックスで、空運の軟化(セントルイス、ダラス)、トラック輸送と出荷の軟化(クリーブランド)、ヘルスケアでの突然のレイオフ(セントルイス)が報告された。
-生産活動の軟化は自動車と住宅建設関連に限定されており、概ね先行きに楽観的。

-建設・不動産業は、住宅関連は弱いが、商業関連はほぼすべての地区で強い
-すべての地区から住宅販売の減少が、ほとんどで住宅在庫の増加が報告された。カンザスシティでは在庫増加を膨大な抵当流れ(キャンセル?) ("sizable numbers of foreclosures")によるものであるとした
-住宅価格は、NY、リッチモンド、カンザスシティで変わらずか下落し、フィラデルフィアとサンフランシスコでは上昇率の鈍化が報告された。 リッチモンド、シカゴ、カンザスシティの高価格帯の住宅は特に弱い。賃貸用アパートの建設需要は相対的に強い。
-資金需要はモーゲージ関連で特に需要の軟化が見られるが、信用の質は高い。モーゲージ資金需要は全国的に軟化しているが、特にNY、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、SFでは顕著である。一部に固定金利にシフトする動きが見られる。
-信用の質は高いが、一部に住宅用モーゲージの延滞率の上昇(NY,フィラデルフィア)、商業ローンでの延滞率の上昇(クリーブランド)が指摘された

-労働市場は堅調で、特に熟練労働者の不足と賃金上昇圧力が多くの地区から指摘された。
-エネルギー・商品価格の上昇は最終消費財に転嫁されていないようだ