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L'espace du livre*
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2007/08/23のBlog
[ 14:18 ] [ ■国内作家の本 ]
瞬発力は すこし 足りないかもしれないけれど
持久力なら まだ じゅうぶんにあるから

だから
背負っていける

君が のこしていったもの ぜんぶ

いとおしさ と かなしみ
背負って これからも 走っていける


[ 水恋 喜多嶋 隆 ]

喪失の物語ではあるけれど
喪って、得るもの が あることを
静かに 確かに 教えてくれる物語


自殺を考えて海にきた男も
死と背中合わせに今日を生きている女も
悲壮感など、欠片もない


彼らは、死を切望しているわけではない
「死ぬよりない」 ではなく 「死んでしまってもいいか」
という諦観にも似た感情


それは
誰もが、おそらく、一度は思い
誰もが、たぶん、いつか抱くこともある感情だろう


孤独な一万メートル走者だった僕は
彼女にバトンを渡されたのだろう。
<命>というバトンを渡されたのだろう。
僕はいま、そう思っていた。(p258)


死は、望もうと、望むまいと、突然やってくる


それぞれが、自分のペースで走る
それぞれのゴールまで走る

そのゴールのひとつに、死 が ある
それだけのことだ



死を考えて海にきた男は
彼女を通して知ったのだろう


自分が、まだ走れることを
自分は、まだゴールにきていないことを


 [ S_Photo ascさん ] に 紹介していただいた本です。
ありがとうございました。
[ 13:20 ] [ 絵、装画、装幀 ]
酒井駒子さんの絵を見たのは

 [ 不安な童話 恩田陸 ]

これが、たぶん最初だったと思う

海を背景に喪服を思わせる黒いワンピース
うつむき加減に少しだけ覗く表情

これほど タイトルに寄り添った絵は あまり見たことがない

この本が、この装画で出版されたのが、2002年11月
黒を背景にした絵に変わってきた頃らしい
これは、絵本

[ 金曜日の砂糖ちゃん 酒井駒子 ]

2003年10月 偕成社より出版

絵本だけれども、子供に読み聞かせる絵本とは違う

これは、明日が休みの前の夜
そっと、おとなが開く絵本だと思う

そうか、だから、金曜日 と タイトルにあるのかもしれない


表題作のほかにふたつ
美しいお話がおさめられている

夜と夜のあいだに

夜と夜の あいだに
目を さました
子どもは・・・

母親の 引き出しを あけ
白くて ひらひらの
シュミーズを 取り出し

さわると 叱られる 針箱から
糸と 針と ボタンを ひとつかみ
それらを クッキーの 缶に 入れ

髪を とかし

扉を あけて

それきり
もどっては
こないのでした。
[ The Lie Lay Land world’s end girlfriend ]

CDジャケット

これも、すばらしく内容を表している絵だと思う

このアルバムの中の1曲
You TubeのLINKは↓

[ world's end girlfriend - Scorpius Circus ]
酒井駒子さんファンサイト [ B・I・R・D ] にて
手がけた装画などの作品をみることができます
2007/08/20のBlog
[ 16:47 ] [ ■国内作家の本 ]
新人女性作家による 31の短編小説
休日、私は贅沢がしたくなる
と、帯にある

まさしく休日に届いた一冊

[ フーコー短編小説傑作選【27】 彼女の時代 ]


その中におさめられた一篇を繰り返し読む
ページ数にして 8ページの物語


[ 去りゆく人 潮音ましろ ](p85)

『まっしろな気持ち』 の ましろさん の作品


そこに表現された その時 は
時間にして、どのくらいだったのだろう
ごくごく 僅かに違いない


読み終えて ひとつ、息をつく
息苦しかったことに気づく
それは、決して不快な息苦しさではなく
箱を開いた瞬間、とても美しいものが現れて
息をするのを忘れてみつめてしまったときのような
そんな息苦しさ


物語は、小さな少女をみつめる存在によって 語られていく

あえて遠まわしに表現されたいくつかの言葉がある
それが、少女の 「言葉」 に対する姿勢を表しているようだ
理解して、はじめて 「言葉」は 自分のものになる
把握して、はじめて 「言葉」は 命をもつ 生きたものになる


男に向けられた少女の言葉。
ほんの少し前の、少女の拙き言葉の幾つか。
それらはもはや少女の中には残っていない。
言葉は放った先から、別人のものになる。
少女以外の誰かの。 あるいは少女を含む誰かの。
言葉は、そうやって届く。
あらゆる人々と。
そしてまた、ただ放たれたまま、消えゆく言葉もあるのだろう。(p87)


少女のひたむきな 「言葉」への想いは
作者の ましろさんの 「言葉」への想いに重なっているのだろう

もしかすると、この小さな少女は
いつかの ましろさん なのかもしれない

このような想いを記憶にとどめている少女は
他にもいるかもしれない
そう考えると、かつて私にも、あったような気がしてくる

けれども、それをこのように表現できるのは
「まっしろな気持ち」を常に持ち続けている
持ち続けていくことを意識しながら生きている
ましろさん だからこそと言える


透明でありながら 密度の濃い 鉱石のような物語


よいものを読ませてくださって ありがとうございます。