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ケンボーの≪新月≫随想
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2008/05/12のBlog
天声人語の書き出し&結語【名文集】

『縄文の花』

二千五百年間、土中で眠りつづけていたシロザやトウバナの種子が眠りからさめて発芽し、花を開いたという話は感動的だ。秋田県・八郎潟べりの縄文晩期の遺跡で見つかった種子である。遺跡の発掘調査中、深さ八十センチのところから掘り出された。

茎は二センチほどしか伸びず、花もごく小さいものだったそうだ。それでも花は花だ。二千五百年を生きつづけた、その最後の、わずかながら残った生命力をふりしぼって「縄文の花」を咲かせてくれたのだろう。植物学者、笠原安夫氏によると、雑草のタネは地下深くに埋めておくと長持ちする。最高百年間生きていることが実験的には確かめられているという…

一粒の草のタネに何千年も生きうる神秘的な生命力を与えたのもまた、天地の心だろう。


【掲載年月日】1983/01/24