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タロジロウ地図帳
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2004/03/16のBlog
「相手の気持ちを考えろよ!」「ひとりで生きてるんじゃないからな!」「おまえのためを思って言ってるんだぞ!」「もっと素直になれよ!」「一度頭を下げれば済むことじゃないか!」「謝れよ!」「弁解するな!」「胸に手をあててよく考えてみろ!」「みんなが厭な気分になるじゃないか!」「自分の好きなことがかならず何かあるはずだ!」こんなもっともらしい言葉をのたまう大人が、吐き気がするほど嫌いだ!

僕もこれらの言葉は昔から嫌いで使ったことは無かったのだが、昨年「一度頭を下げれば済むことじゃないか!」と友人でもある同僚に言ったことがある。職場での揉め事では「謝罪」というのは必要な場合があると思ったからだ。だが、この言葉で僕は友人の信頼をなくし、口も聞いてくれない日々が続いた。

これらの言葉はそれぐらいの破壊力がある。僕は状況と友人のことを考えて善意で言ったつもりだったから、始末が悪い。相手の気持ちに耳を貸さず、「善意」と「やさしさ」を一方的に押し付けて、相手に言葉を返す余地を与えず封じ込めてしまう。「謝る」ことで状況が改善されれば違った結果になったのだろうが、問題点を解決せずにその場を取り繕っても、やはり同じ揉め事が起きた。

この本をもっと早く読んでおけばよかった。上司が部下へ言ったり、距離をとった知人なら聞き流せるかも知れないが、親しい友人に本気で落ち込んでいる時に言われる言葉としては厳しすぎる。著者は「わかってもらえない苦しみは、人間の苦しみのうちで第一級のものだ」と言っている。あの時、混乱し憔悴しきっていた友人は誰よりも僕に分って欲しかったのだ。その僕が言うのは残酷すぎる言葉だった。

言ってはいけない言葉がある。取り返しのつかないことがある。どうしようもないことがある。
2004/03/15のBlog
そろそろ春が近いなという陽気だ。自転車で走っていてコートを脱ぎ捨てたくなった。マフラーも手袋もカバンに入ったまま。

道行く人たちが一台の走っている車を注目していた。僕も目を向けると、運転席から拡声器を持ってなにやら叫んでいる男性がいた。ウォークマンを外して彼の演説を聞く。

「我々は大阪人に搾取さておる!貴様らが俺の金を盗んでいるんだ!そこのお前、わかってんのか!」

などと気合が入った人だった。春が近いなと。変な人が増える。道端の人たちの反応は、おびえる人や、あえて無視する人、悲しそうな目でみる人、首をひねる人、うなずく人、笑いをかみ殺す人など様々だった。

仕事を終えて、同僚とパンダの白と黒はどちらが多いかなどのテーマについて長々と語り合ってから、職場をでる。夜はまだ寒かった。でも、もうすぐ暖かい日がくるだろう。

BGM
「ほんとはね。」ソニン
2004/03/14のBlog
[ 03:17 ] [ 言葉 ]
いずれにしても、自分の思想を裏づけするために読書をするのは下らないことです。他人の書いた書物を読むのは、自分の考えを破壊するためでなければなりません。「読書について」澤瀉久敬
[ 02:40 ] [ 日常 ]
友人達にカラオケに誘われた。決定事項らしく、そのままついていくと、友人3名&友人の職場の後輩&その後輩の妹という、よく分からないメンバーだ。なんだか疲れた。

その妹というのが、二十歳くらいでやたら可愛い。で、彼女は友人のひとりにやたら惚れ込んでいるのだ。彼の繋がりで女の子が来ると、たいていそうだ。見慣れているというか、もう見飽きたというか。愛想はよさそうなのだが話しかける気にもならない。どうぜ愛しの彼ばかり見ているし。

そういや初対面なのにお互いの自己紹介もなかったな。見せびらかしたかったのだろうか。彼も彼女とばかり喋って僕とはほとんど会話してない。なんで呼ばれたのか謎だ。カラオケは自分の好きな歌ばかり歌った。

数年前まではよくあるパターンだったのだが、どうして今日はこんなに疲れたのだろう。イライラするでもなく、ただ体が重い。そして眠い。

BGM
「ウェカピポ」SOUL'd OUT
2004/03/13のBlog
直木賞候補になり、オール読物推理小説新人賞「フクロウ男」が収録された短編集。

人間の業というのだろうか。怖さよりも哀しさ、嫌悪よりもせつなさをおぼえる短編が多い。ですます調、ひとり喋り調、手紙調などの文体の使い分けや、オチが見事なところなど短編作家としての技量は十分だ。せつなくて、ノスタルジックな独自の雰囲気もあるし、すでに中堅、ベテラン並みの力量だと感じだ。

奇抜なアイデアではなく、既存のネタをアレンジして書く作家のようだ。しっかりと地に足のついたホラー小説は好きだ。アイデアに振り回されて現実感がないと、その世界に入り込めないし怖くない。

「フクロウ男」は稀にみる傑作じゃないだろうか。岩井志摩子「ぼっけぇ、きょうてぇ」よりも好きかも知れない。デビュー作で直木賞候補になったのも頷ける傑作短編集。
2004/03/11のBlog
第1回「このミステリーがすごい」大賞受賞作。この賞は書評家によって選ばれるという珍しいものだ。賞金も1200万と国内最大級で話題を呼んだ。

「感涙」と帯にあったが僕は泣かなかった。すごく安易な展開に思えて、深く小説の世界に入り込めなかった。きっとこれで泣ける人はいい人なんだろうなと思う。

この文庫の「すごい」ところは実は解説だったりする。ここまで内容を絶賛している解説をみたことがない。
失踪した友人を探してインドを旅する男。

幻想文学の傑作。読みやすい文章だが、できるだけゆっくりと読んだ。この凄さをなんと表現したらいいのか、僕の語彙力ではまだ無理なので、冒頭の一文を書いておく。

「これは、不眠の本であるだけなく、旅の本である。不眠はこの本を書いた人間に属し、旅行は旅をした人間に属している。」

日本国憲法誕生の現場に立会い、あの占領軍司令部相手に一歩も退かなかった男。

今の日本の政治家は全員読んで欲しい。できれば日本人も全員読んで欲しい。たぶん理想化して、いいとこだけ書いているのだろうが、この生き方はかっこよすぎる。

二十歳くらいの時に読んでおけば、理想の人物として仰ぐことができたのに。当時は「海賊王になる!」って言ってたもんなぁ。
枕もとに置いて眠るまえにパラパラと捲り、コーネルの作品やチャールズ・シミックの文章を眺める。こんな素晴らしい本は珍しい。宝物にできる本。3000円近くて高いかなと思ったけど、この内容だと考えると安い買物だった。
職場でアルバイト君が突然にクビになるという事件が、今月始めにあった。僕がもっとも信頼していたアルバイト君だ。突然の店長の決定に反論するが受け入れられず、落ち込む日々を過ごしていた。アルバイト君も寝耳に水のような決定に顔面蒼白で店を去った。他のアルバイト2名も、この店に愛想が尽きたと、辞めることとなった。

一昨日、クビになったアルバイト君と会った。クビの宣告から一週間が過ぎているが、落ち込み様は半端じゃなく、見るからに痩せ細っていた。ろくに食事も睡眠もとっていないらしい。以前に辞めた社員と相談して、もう一度店長にクビの理由を問い詰めることになる。僕を含めクビになったアルバイト君と辞めることになったアルバイト、クビを決定した店長と主任の四名で話をする。彼は本当に使えないアルバイトなのか、やる気のあるアルバイトをたった一度のミスでクビにすることの是非について1時間半の討論。

一昨日はろくに口も聞けないほど憔悴していた彼だが、今日は目つきも変わり理路整然と丁寧に自分の意見を主張。たった二日で決めたクビだ。あれから十日間、考え抜いた僕達の意見の前に次々と店長の勝手な理屈が破綻していく。だが、アルバイト君の真摯な態度に店長も納得し始めて、険悪にならずにお互いの意見を尊重しあうという展開。最後には店長が謝罪した。

完全勝利。